エントロピーって何?―ジェフ・フィリップス
-
0:07 - 0:10化学と物理学において
ある重要な概念があります -
0:10 - 0:15それは物理的な変化がなぜ一方向のみに
起こるのか 説明の手助けとなるものです -
0:15 - 0:17なぜ氷は溶けるのか
-
0:17 - 0:19なぜクリームはコーヒーに広がるのか
-
0:19 - 0:23なぜ穴の開いたタイヤから空気は抜けるのか
-
0:23 - 0:27それがエントロピー
理解することが難しいことで有名な概念です -
0:27 - 0:32エントロピーとは多くの場合
「無秩序の程度」だと説明されています -
0:32 - 0:36これは便利なたとえですが
残念ながら紛らわしいのです -
0:36 - 0:39次の例では
どちらがより無秩序でしょうか -
0:39 - 0:43カップに入った砕けた氷?
それともグラスに入っている室温の水? -
0:43 - 0:45ほとんどの人が氷だと言うでしょう
-
0:45 - 0:49ですが 本当は氷の方が
エントロピーが低いのです -
0:49 - 0:53では確率を用いる別の考え方を
紹介しましょう -
0:53 - 0:57理解に手間取るかもしれませんが
時間をかけて習得して下さい -
0:57 - 1:01エントロピーへの理解が
前よりも深まるはずです -
1:01 - 1:042つの小さな固体を考えましょう
-
1:04 - 1:08それぞれには
原子間の6つの結合があります -
1:08 - 1:13このモデルでは 各固体のエネルギーは
結合の中に蓄えられています -
1:13 - 1:15単純なコンテナだと考えれば良いでしょう
-
1:15 - 1:20これは「量子」と呼ばれる
分割不能なエネルギーの単位を含んでいます -
1:20 - 1:25固体のエネルギーが増すと
より熱くなります -
1:25 - 1:29エネルギーの総和を一定にしたまま
-
1:29 - 1:312つの固体に
-
1:31 - 1:35エネルギーを分配する方法は
沢山あることが分かります -
1:35 - 1:39これら選択肢のそれぞれは
「ミクロ状態」と呼ばれています -
1:39 - 1:43固体Aの6つのエネルギー量子と
固体Bの2つに対して -
1:43 - 1:489,702のミクロ状態が存在します
-
1:48 - 1:53もちろん この8つのエネルギー量子の
配分の仕方は他にもあります -
1:53 - 1:58例えば 全てのエネルギーが固体Aにあり
Bにはない場合や -
1:58 - 2:01AとBに半分ずつという場合などです
-
2:01 - 2:04各ミクロ状態が
等しい確率で起こると仮定すると -
2:04 - 2:07あるエネルギーの配分が起こる確率は
-
2:07 - 2:11他のエネルギー配分よりも
高くなるということが起こります -
2:11 - 2:14これはより多くの
ミクロ状態があるためです -
2:14 - 2:20エントロピーとは 各エネルギー配分に対する
確率を測る直接的な尺度なのです -
2:20 - 2:23ここで見て取れることは
-
2:23 - 2:27固体間でエネルギーが最も分散している
エネルギーの配分が -
2:27 - 2:29最も高いエントロピーを持つということです
-
2:29 - 2:30よって 一般的な意味では
-
2:30 - 2:35エントロピーは このようなエネルギー分散の
尺度だと考えることが出来ます -
2:35 - 2:38低エントロピーとは
エネルギーが集中している状態 -
2:38 - 2:42高エントロピーとは エネルギーが
広く分散している状態を意味しているのです -
2:42 - 2:46例えば熱い物体が冷めるといった
自然に起こる現象を説明するのに -
2:46 - 2:48なぜエントロピーが
役立つのかを知るためには -
2:48 - 2:52エネルギーのやり取りがある
力学系に注目する必要があります -
2:52 - 2:55現実には エネルギーは
元の場所に留まっていません -
2:55 - 2:58隣接する結合間を絶え間なく
動いています -
2:58 - 3:00エネルギーが動くと
-
3:00 - 3:03エネルギー配分が変化する
可能性があります -
3:03 - 3:05ミクロ状態の分配から計算すると
-
3:05 - 3:10その後の系の状態は
エネルギーが最も分散した― -
3:10 - 3:14状態になる確率は21%あり
-
3:14 - 3:17元の状態に戻る確率は13%
-
3:17 - 3:23固体Aがさらにエネルギーを
得る確率は8%となります -
3:23 - 3:27ここでも
エネルギーが集中した状態よりも -
3:27 - 3:30エネルギーが分散した高エントロピー
状態の方がより多くあるので -
3:30 - 3:33エネルギーは分散する傾向が
あることが見て取れます -
3:33 - 3:36だから 熱い物体を
冷たい物体の横に置くと -
3:36 - 3:40冷たい物体は温まり
熱い方は冷めるのです -
3:40 - 3:42しかしこんな例の中でも
-
3:42 - 3:47熱い物体がもっと熱くなる確率が
8%あります -
3:47 - 3:51これが現実には決して起こらないのは
なぜでしょう? -
3:51 - 3:54要は系の大きさ次第なのです
-
3:54 - 3:58我々の仮想固体には
それぞれ6つしか結合がありません -
3:58 - 4:04規模を大きくして6千個分と8千個分の
エネルギーで結合している固体を考え -
4:04 - 4:08ここでも 始めに
Aにエネルギーの4分の3を― -
4:08 - 4:10Bに4分の1を系に与えてみましょう
-
4:10 - 4:14ここで Aが自然に
エネルギーを増加させる確率は -
4:14 - 4:17こんな僅かな値だということです
-
4:17 - 4:22見慣れた日用品は これよりも
何倍も何倍も多い粒子で出来ています -
4:22 - 4:26熱い物体が現実世界で
もっと熱くなる可能性は -
4:26 - 4:28話にならないほど低いので
-
4:28 - 4:30決して起こらないのです
-
4:30 - 4:32氷は溶け
-
4:32 - 4:33クリームは混ざってしまい
-
4:33 - 4:35タイヤはぺちゃんこ
-
4:35 - 4:40元の状態よりもずっとエネルギーが
分散しているから起こるのです -
4:40 - 4:44エントロピーをより高くするような
不思議な力というものがあるのではなく -
4:44 - 4:49単に高エントロピーはどんな時でも
統計的に起こりやすい状態というだけなのです -
4:49 - 4:52それがエントロピーが「時間の矢」と
言われてきたゆえんです -
4:53 - 4:57エネルギーは分散する機会さえあれば
必ず分散するのです
- Title:
- エントロピーって何?―ジェフ・フィリップス
- Description:
-
化学と物理学においてある重要な概念があります。それは物理的な変化がなぜ一方向のみに起こるのか、説明の手助けとなるものです ― なぜ氷は溶けるのか、なぜクリームはコーヒーの中に広がるのか、なぜ穴の開いたタイヤから空気は抜けるのか。それがエントロピーという、理解が難いことで有名な概念です。エントロピーについて、ジェフ・フィリップスが見事な講座を開いてくれます。
講師:ジェフ・フィリップス、アニメーション:Provincia Studio
*このビデオの教材:http://ed.ted.com/lessons/what-is-entropy-jeff-phillips - Video Language:
- English
- Team:
closed TED
- Project:
- TED-Ed
- Duration:
- 05:20
![]() |
Natsuhiko Mizutani approved Japanese subtitles for Entropy - Jeff Phillips | |
![]() |
Tomoyuki Suzuki edited Japanese subtitles for Entropy - Jeff Phillips | |
![]() |
Satya Srk edited Japanese subtitles for Entropy - Jeff Phillips | |
![]() |
Satya Srk edited Japanese subtitles for Entropy - Jeff Phillips | |
![]() |
Satya Srk edited Japanese subtitles for Entropy - Jeff Phillips | |
![]() |
Satya Srk edited Japanese subtitles for Entropy - Jeff Phillips | |
![]() |
Satya Srk edited Japanese subtitles for Entropy - Jeff Phillips | |
![]() |
Satya Srk edited Japanese subtitles for Entropy - Jeff Phillips |