イラン、アメリカそして平和の車輪|リック・ガン|TEDxKish
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0:06 - 0:08マハトマ・ガンジーはかつてこう言いました
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0:08 - 0:12「世界には2種類の力が存在する
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0:12 - 0:15罰への恐れから生まれるものと
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0:15 - 0:18愛の行いからもたらされるものだ」
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0:18 - 0:20彼は 愛こそが変革への力となること
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0:20 - 0:25罰への恐れから生まれる力は弱々しく
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0:25 - 0:29長続きしないし
人の心を むしばんでしまうものだが -
0:29 - 0:32愛の行いから生まれた力は
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0:32 - 0:35その1,000倍も効果があるうえに
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0:35 - 0:39永遠に続くものだと信じていたのです
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0:39 - 0:43父が 自転車の乗り方を
初めて教えてくれたときに -
0:43 - 0:48私はその「愛の力」を感じました
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0:48 - 0:49彼の愛は 「忍耐」という形でした
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0:49 - 0:56父が私の横をゆっくりと走りながら
自転車を支えたり 安定させたり 押したり -
0:56 - 1:01私の中にあると知っていたものを信じるよう
はげましてくれたことを 思い出します -
1:02 - 1:05100回は失敗したはずです
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1:06 - 1:10しかし とうとう
魔法のような瞬間が訪れました -
1:10 - 1:13初めてまっすぐに走れたのです
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1:13 - 1:16幼い子供だった私は
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1:16 - 1:22近所の空中を飛んでいるように
感じたことを憶えています -
1:22 - 1:28そしてそのひととき
子供心に重くのしかかっていた -
1:28 - 1:31子供には理解できない
さまざまなものごとが― -
1:31 - 1:34夜遅くの両親のいさかいや
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1:34 - 1:38破たんしかかっていた結婚生活
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1:38 - 1:40母の身体を徐々に蝕みつつあった病気も
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1:40 - 1:43その午後には 全てが
消え去ったたように感じました -
1:44 - 1:49それからまもなく
私は私だけの「儀式」をするようになりました -
1:49 - 1:51それは毎日放課後に始まります
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1:51 - 1:53自転車のところに急いで帰ると
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1:53 - 1:57ラックから取り出して 近所を横切り
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1:57 - 1:58フェンスの下をくぐって向こう側へと
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1:58 - 2:02そして サンフランシスコ・ベイ地区の
東部にある -
2:02 - 2:07荒れ地の真ん中に向かって 走り出すのです
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2:07 - 2:10私はそこで慰めを見つけました
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2:10 - 2:15泥道でペダルをこぎ
森や木々の間を走り抜ける -
2:15 - 2:20そんな単純な行動の中に
何かがあったからです -
2:20 - 2:23そのうえ ゴムと鉄でできた
これまた単純な機械に -
2:23 - 2:26私を本来の自分に戻してくれる
何かがあったからです -
2:26 - 2:30そこでは 私は自由だったのです
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2:31 - 2:34しかしその後 私の人生は一変しました
そういうものです -
2:34 - 2:372年たたないうちに
両親はひどい口論を繰り返しました -
2:37 - 2:43父は家を出ていってしまい
私は自転車に興味をなくしました -
2:44 - 2:49そして 自転車がガレージのどこか片隅で
埃をかぶって眠っているころ -
2:49 - 2:52母は辛い離婚のさなかに亡くなりました
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2:54 - 2:58言うまでもありませんが
若くして世間に放り出された私は -
2:58 - 3:02人生の最初の10年を 怒り 苦しみながら
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3:02 - 3:06自分自身や他人を傷つけて 過ごしました
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3:06 - 3:10愛の力など どこにも見つかりませんでした
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3:10 - 3:14でも その時 父が戻ってきたのです
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3:14 - 3:17父は私に言いました 「俺には分かるよ
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3:19 - 3:22俺も その痛みを感じたんだ
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3:22 - 3:23だから 誰かに話さなきゃならなかった
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3:23 - 3:26お前も 同じように
考えたらいいんじゃないかな」 -
3:29 - 3:326か月後
私は心理療法士の前に座っていました -
3:34 - 3:37「僕は気が狂ってると思うんです」 と
彼女に言いました -
3:37 - 3:39私は 彼女が全てを委ねさせると
思ったのですが -
3:39 - 3:42その代わりに彼女は
暖かく 同情するような眼で私を見つめ -
3:42 - 3:47「リック ほんとに狂ってる人達ほど
必死に -
3:47 - 3:51狂ってないと納得させようとするものよ」と
言ったのです -
3:52 - 3:55それが私の回復への始まりでした
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3:55 - 3:58それからの3年間
私は自分自身を深く見つめました -
3:58 - 4:02時には 見たくなかったものを
見ることもありました -
4:03 - 4:07しかし その3年間が過ぎると 人々が
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4:07 - 4:11気づきの瞬間 あるいは
「転換点」と呼ぶものが訪れ -
4:11 - 4:17自分自身に 人生で最も大切な問いかけを
することができたのです -
4:17 - 4:20お前が死ぬ前の望みは何だ?
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4:20 - 4:22お前の夢は何なんだ?
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4:22 - 4:26私は新聞のカメラマンとして
14年間働きました -
4:26 - 4:30一つ確かに分かったのは キャリアはもはや
飢えを満たしてくれないことでした -
4:32 - 4:34私にはもっと大きな夢がありました
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4:34 - 4:38世界中を自転車で旅してまわることを
ずっと夢見ていたんです -
4:38 - 4:41そして2年後
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4:41 - 4:44私はゴールデンゲイト・ブリッジの上で
自転車にまたがり -
4:44 - 4:50家族や友人たちに別れを告げて
アメリカ横断を始めました -
4:53 - 4:57アメリカを6400キロも走り回り
ヨーロッパに渡りました -
4:57 - 5:02歴史的な寒さに見舞われた冬のヨーロッパで
8か月の間過ごしました -
5:03 - 5:09そこから南に下ってギリシャからトルコへ
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5:09 - 5:11イランではビザの発給を拒否されました
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5:11 - 5:16そこで私はウズベキスタンからキルギスタン
そして中国へ -
5:16 - 5:21標高5400メートルのチベット高原を抜け
インドに下り -
5:23 - 5:25ネパール、そしてバングラデシュ
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5:27 - 5:30私はそこで 自転車のサドルの上から
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5:30 - 5:32違う何かを見始めたのです
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5:32 - 5:36それは 以前には見たことがないような
苦しみでした -
5:37 - 5:41私がふたつ目の愛の力を学んだのは
その時でした -
5:41 - 5:45ひとつ目が自分自身をケアすることなら
ふたつ目は -
5:45 - 5:49それを周りに反映させ
他の人たちに尽くすことです -
5:51 - 5:53私は 自転車に乗っていない時間
ボランティアを始めました -
5:53 - 5:56最初の頃 もっとも辛かったのは
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5:56 - 5:59タイのホスピスで 死人や
死につつある人の世話をすることでした -
6:01 - 6:05その後 ラオスで不発弾の解体作業を
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6:05 - 6:09この人たちと一緒に行いました
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6:09 - 6:13不発弾を解体して
犠牲者が出ないようにする作業です -
6:13 - 6:18その後はベトナムで 地雷の被害者たちの
リハビリに携わりました -
6:19 - 6:23そしてカンボジアでは 貧しい子供たちに
英語を教えました -
6:25 - 6:27しかし 私が今日ここにいるのは
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6:27 - 6:30その直後に起きた出来事について
お話しするためなのです -
6:30 - 6:33私は自転車でタイを南に旅していました
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6:33 - 6:39そして イランのマシャードからやってきた
このイラン人の紳士と出会ったのです -
6:39 - 6:41私たちは しばらくの間
メールでやりとりをしました -
6:41 - 6:43彼は モハメド・タヤランという名前でした
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6:43 - 6:46彼は私をマレーシアのペナンに招きました
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6:47 - 6:51じきに 私は彼と座って
コーヒーやランチをしていました -
6:51 - 6:53自転車で一緒にマレーシアを旅することになり
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6:53 - 6:59世界最古の熱帯雨林の一つである
マレーシア中部を縦断しました -
6:59 - 7:03並んで自転車を走らせながら
私は彼の人生について尋ねました -
7:04 - 7:07彼の話はとても奥深いものでした
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7:08 - 7:12彼の父親は
彼がまだ小さい頃に亡くなりました -
7:12 - 7:15彼は 人生において正しいことをなんでも行い
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7:16 - 7:20工学の学位を取り 事業でも成功しました
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7:20 - 7:22しかし ある日山登りをしていた時
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7:22 - 7:26彼は それが正しくなかったことに
気づいたのです -
7:26 - 7:32それで彼は 旅に出ようと計画を始めました
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7:32 - 7:36彼も 世界中を自転車で旅してまわることを
夢見ていました -
7:38 - 7:43その準備が整うと 彼は英語を学び
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7:45 - 7:49500ドルをポケットに入れて出発したのです
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7:49 - 7:54そう その午後私には
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7:54 - 7:59彼の話すことが
私自身の物語だと分かったのです -
7:59 - 8:01それは私の物語だったのです
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8:01 - 8:05私は思いました ここにいる
みんながお前の敵だと言うこの男は -
8:05 - 8:10実際のところ 故郷にいる
私のたくさんの友人たちよりも -
8:10 - 8:13自分と共通する部分が多いんだと
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8:15 - 8:17私たちの旅が終わった後
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8:17 - 8:20マレーシアの西の海岸に穴を掘りました
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8:20 - 8:23彼は 世界中に木を植えて回っていたのです
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8:23 - 8:26私たちは 平和の証に
一緒に木を植えることにしました -
8:26 - 8:29その木は今でもありますし
私たちそれぞれの祖国 -
8:29 - 8:31アメリカとイランの平和の証として
育ち続けています -
8:32 - 8:33(拍手)
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8:42 - 8:48モハメッドに別れを告げる時
彼に「愛している」と言いました -
8:48 - 8:54私たちの祖国が
戦時下のようなレトリックを -
8:54 - 8:59突きつけ合っているのが悲しくて
私は泣き出してしまいました -
8:59 - 9:01彼らの振る舞いは 愛の力によるものではなく
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9:01 - 9:03彼らが 懲罰の脅威によって
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9:03 - 9:07得たいと願っている力によるものです
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9:07 - 9:10モハメッドと会わなかった何年かの間に
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9:10 - 9:15私たちは「平和の車輪」と名付けた
プロジェクトを立ち上げました -
9:16 - 9:18そして その説明をする代わりに
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9:18 - 9:21彼自身に説明してもらうため
ここに来てもらおうと思います -
9:21 - 9:26モハメッド その辺にいるんだろ?
自転車で道に迷ったかな -
9:26 - 9:30どこにいるんだい モハメッド
彼はシャイなんです -
9:30 - 9:31彼は今出てきたくないのかも
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9:31 - 9:34モハメッド いるよね?
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9:38 - 9:40どうしちゃったのかな
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9:40 - 9:41(拍手)
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9:49 - 9:53タヤラン:私はこの瞬間を待ち続けてきました
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9:53 - 9:58私の国 イランで みなさんの前で
親友と抱き合える時を -
9:58 - 10:01すごく興奮してますし 泣きそうです
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10:02 - 10:05「平和の車輪」は
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10:05 - 10:08二つの国の子供たちを結びつける
プロジェクトです -
10:08 - 10:14子供たちは まるで自転車の二つの車輪のように
お互いに頼りあっています -
10:14 - 10:19ひとつが動かないと
もう一方もうまくいかないでしょう -
10:19 - 10:26リックと私は ちょうどフレームのようなもので
私たちの力で 彼らを結びつけようとしています -
10:26 - 10:29手紙を書き それをやりとりすることです
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10:30 - 10:32分かりあうための手紙です
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10:33 - 10:37全体のシステムの中で
彼らはみんな同じ価値を持っています -
10:37 - 10:41同じように この世界では
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10:41 - 10:45ひとつひとつの国の平和が
全体の平和に関係しているのです -
10:47 - 10:49サアディーが言ったように
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10:49 - 10:55「人類は ひとつの創造物 ひとつの魂を
構成する一員なのだ -
10:55 - 11:02一人が痛みに苦しめば
他のものたちも心は安まらない」 -
11:04 - 11:08ガン:私とモハメッドはイランとアメリカの
学校を訪ねました -
11:08 - 11:11それぞれ 子供たちが交換するための
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11:11 - 11:14絵や手紙を集めて回ったのです
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11:14 - 11:17そして私たちは・・・言葉が出てこない
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11:17 - 11:21キーシュ島 すぐそこで去年会ったのです
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11:21 - 11:25私たちは 絵や手紙を一緒に運びました
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11:25 - 11:28そして 私が締めくくりとして
お話ししたいのは -
11:28 - 11:31このことによって いったい何を学んだのか
ということです -
11:31 - 11:35そう みなさんがすでに
お分かりになっていることだと思います -
11:35 - 11:39私たちの日々の行い
その時その時の行いの中で -
11:39 - 11:43私たちは ガンジーが話していた
「愛」によってもたらされるもの -
11:43 - 11:48あるいは「怖れ」によってもたらされるもの
どちらをよりどころにするか 選んでいるのです -
11:50 - 11:55そして 私自身の選択が何か
みなさんは ご存じだと思います -
11:55 - 11:58モハメッドの選択が何か ご存じだと思います
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11:58 - 12:00しかし 長い年月の間に
いずれ私たちはこの世を去ります -
12:00 - 12:03そして 次の世代が現れるのです
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12:03 - 12:05そこで 絵や手紙によって
お互いに伝えようとしたことを -
12:05 - 12:08ここでみなさんにご紹介したいと思います
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12:11 - 12:15[アメリカとイランの子供たちが
お互いに伝えようとしたこと] -
12:16 - 12:18(ビデオ)(音楽)
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12:33 - 12:35[僕は君のことが好きだよ!]
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12:35 - 12:39[私たちみんな人間でしょ
だったら仲良く生きられるよね?] -
12:47 - 12:48[愛]
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12:53 - 12:55[君と僕 いつまでも友だち]
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13:02 - 13:03[友だち]
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13:05 - 13:07[戦争はやめよう]
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13:13 - 13:16「イラン アメリカ 平和」
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13:17 - 13:20[戦争やめよう もっと平和を]
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13:33 - 13:36[愛だけが敵を友人に変える力を持つ」
マーチン・ルーサー・キング博士 -
13:36 - 13:37(拍手)
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13:37 - 13:38ガン:ありがとうございます
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13:38 - 13:41タヤラン:本当にありがとう
心から感謝します -
13:41 - 13:42(拍手)
- Title:
- イラン、アメリカそして平和の車輪|リック・ガン|TEDxKish
- Description:
-
異なる文化の人たちに共通なものは何か?平和を樹立しようという同じ思いをどのように共有できるでしょう。この心に強く訴えるトークの中で、ガンは自転車の旅を通して平和への思いを共有した二人の男の話を紹介します。
このビデオはTEDカンファレンスとは独立して運営されるTEDxイベントにおいて収録されたものです。 - Video Language:
- English
- Team:
closed TED
- Project:
- TEDxTalks
- Duration:
- 13:49
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Natsuhiko Mizutani approved Japanese subtitles for Iran, America, and the Wheels of Peace | Rick Gunn | TEDxKish | |
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Natsuhiko Mizutani edited Japanese subtitles for Iran, America, and the Wheels of Peace | Rick Gunn | TEDxKish | |
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Masaki Yanagishita accepted Japanese subtitles for Iran, America, and the Wheels of Peace | Rick Gunn | TEDxKish | |
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Masaki Yanagishita edited Japanese subtitles for Iran, America, and the Wheels of Peace | Rick Gunn | TEDxKish | |
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Masaki Yanagishita edited Japanese subtitles for Iran, America, and the Wheels of Peace | Rick Gunn | TEDxKish | |
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yoshiki nagai edited Japanese subtitles for Iran, America, and the Wheels of Peace | Rick Gunn | TEDxKish | |
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yoshiki nagai edited Japanese subtitles for Iran, America, and the Wheels of Peace | Rick Gunn | TEDxKish | |
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yoshiki nagai edited Japanese subtitles for Iran, America, and the Wheels of Peace | Rick Gunn | TEDxKish |