ニュートンの三体問題の説明 ― ファビオ・パクチ
-
0:08 - 0:122009年に2人の研究者が
簡単な実験をしました -
0:12 - 0:15太陽系に関する全ての知識を使って
-
0:15 - 0:2150億年先までの
全惑星の位置を計算したのです -
0:21 - 0:25そのために2千を超える
数値シミュレーションを行いました -
0:25 - 0:30全く同一の初期条件を設定したのですが
1つだけ条件を変えました -
0:30 - 0:34水星と太陽との距離を
シミュレーションごとに -
0:34 - 0:381ミリ未満で変えたのです
-
0:38 - 0:41驚いたことに シミュレーションの約1%で
-
0:41 - 0:44水星の軌道が非常に大きく変わり
-
0:44 - 0:49太陽または金星と衝突する可能性がありました
-
0:49 - 0:50さらに悪いことに
-
0:50 - 0:55あるシミュレーションでは
内太陽系全体を不安定にしました -
0:55 - 0:59これは間違いではなく
結果にこれ程のばらつきがあったのは -
0:59 - 1:05私どもの太陽系が思っていたよりも
ずっと不安定だという真実を明かしています -
1:05 - 1:10天体物理学者たちは
この驚くべき重力系の特性を -
1:10 - 1:12「N体問題」と称します
-
1:12 - 1:18互いに引力で引き合う2体の動きを
完全に予測する数式はありますが -
1:18 - 1:24もっと天体数が多い問題に直面すると
解析できる術がありません -
1:24 - 1:29実際に 一般的な数式の項を
全て書き出すことは不可能になり -
1:29 - 1:353体以上の互いに引き合う天体の動きを
正確に記述できません -
1:35 - 1:42なぜでしょうか?N体系に含まれる
未知の変数の数に問題があるのです -
1:42 - 1:45アイザック・ニュートンのおかげで
いくつかの方程式によって -
1:45 - 1:49天体間に働く引力を表すことができます
-
1:49 - 1:55しかし これらの方程式の未知変数の
一般解を 見つけようとすると -
1:55 - 1:58数学的な制約に行き当たってしまいます
-
1:58 - 2:02未知変数1つにつき
少なくとも1つは方程式が必要で -
2:02 - 2:04しかも各方程式は
独立してないといけません -
2:04 - 2:09最初は 2体系にも位置や速度に関する
未知変数の数が -
2:09 - 2:13運動方程式の数より
多くあるようにみえます -
2:13 - 2:15ただし 解き方があります
-
2:15 - 2:192つの天体の相対的な位置と速度を
-
2:19 - 2:23この系の重心からみて考えてください
-
2:23 - 2:27これにより 未知変数の数が減り
解くことができる系になります -
2:27 - 2:33軌道を回る3つ以上の天体が関わると
全てが複雑になります -
2:33 - 2:37相対運動を考える時の数学的な解法を
同じようにあてはめても -
2:37 - 2:42未知変数の数の方が
それを表す方程式の数より多く残ります -
2:42 - 2:46この系の方程式の変数の数は
どう考えても多過ぎて -
2:46 - 2:50一般解を導き出すことができません
-
2:50 - 2:54解析的に解くことができない
運動方程式に従う宇宙にある天体は -
2:54 - 2:59一体どのように動くのでしょうか?
-
2:59 - 3:02例えばアルファケンタウリのような
3つの星から成る系 は -
3:02 - 3:05お互いに衝突する可能性がありますし
より可能性が高いのは -
3:05 - 3:10見かけの上では長期間安定していた天体が
軌道から放り出されることです -
3:10 - 3:14ほとんど起こり得ない
安定した幾つかの系を除き -
3:14 - 3:21起こりうるほぼ全ての場合では
長期にわたる予測は不可能なのです -
3:21 - 3:25それぞれが天文学的な数の結果を生む
可能性を持っており -
3:25 - 3:30位置や速度の微小な変化に影響されます
-
3:30 - 3:34物理学者たちは
この振る舞いを「カオス」と称し -
3:34 - 3:37これは N体系の重要な特徴です
-
3:37 - 3:42このような系も決定論的な法則に従っており
決してランダムなものではありません -
3:42 - 3:46複数の系が全く同一の条件で始まれば
-
3:46 - 3:48いつも同一の結果にたどり着きます
-
3:48 - 3:54ただし 最初にごく僅かな力が
加わっただけで 全く違う結果になるのです -
3:54 - 3:57これは 人間が宇宙探査をする場合のように
-
3:57 - 4:02複雑な軌道も非常に精密に計算する
必要がある時には 明らかに重要なことです -
4:02 - 4:06幸い コンピュータ・シミュレーションが
進歩を遂げてきたので -
4:06 - 4:09大惨事を避ける方法が幾つかあります
-
4:09 - 4:14益々パワフルになってきたプロセッサーで
解を概算することにより -
4:14 - 4:20N体系の動きを長期にわたって
より確実性を持って予測することができます -
4:20 - 4:233体のうち 1体の質量が非常に軽く
-
4:23 - 4:26他の2体に有意な力がかからない場合は
-
4:26 - 4:312体系と非常に近似した振る舞いをします
-
4:31 - 4:35この手法は「制限三体問題」として
知られており -
4:35 - 4:42例えば 地球と太陽の重力場の中にある
小惑星を記述する際や -
4:42 - 4:47ブラックホールと恒星の重力場の中にある
小さい惑星を記述する際には非常に役立ちます -
4:47 - 4:49私どもの太陽系に関しては
幸いなことに -
4:49 - 4:56少なくとも 今後 数億年は安定していると
かなりの確実性を持って言えます -
4:56 - 4:58とはいえ もし別の恒星が
-
4:58 - 5:02銀河のかなたから地球に向かって来たら
-
5:02 - 5:04一巻の終わりです
- Title:
- ニュートンの三体問題の説明 ― ファビオ・パクチ
- Speaker:
- ファビオ・パクチ
- Description:
-
2009年に研究者が簡単な実験を行いました。太陽系に関する全ての知識を使って、50億年先までの全惑星の位置を計算したのです。2千を超えるシミュレーションを行いましたが、結果には驚く程のばらつきがあり、私たちの太陽系が思っていたより遥かに不安定であるということが分かりました。ファビオ・パクチがN体問題と引力を受ける物体の運動を説明します。
講師:ファビオ・パクチ
監督:Hype CG*このビデオの教材:https://ed.ted.com/lessons/newton-s-three-body-problem-explained-fabio-pacucci
- Video Language:
- English
- Team:
- closed TED
- Project:
- TED-Ed
- Duration:
- 05:09
TED Translators admin approved Japanese subtitles for Newton's three-body problem explained | ||
Tomoyuki Suzuki accepted Japanese subtitles for Newton's three-body problem explained | ||
Tomoyuki Suzuki edited Japanese subtitles for Newton's three-body problem explained | ||
Tomoyuki Suzuki edited Japanese subtitles for Newton's three-body problem explained | ||
Yoko Emori edited Japanese subtitles for Newton's three-body problem explained | ||
Yoko Emori edited Japanese subtitles for Newton's three-body problem explained | ||
Tomoyuki Suzuki declined Japanese subtitles for Newton's three-body problem explained | ||
Tomoyuki Suzuki declined Japanese subtitles for Newton's three-body problem explained |