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【27分解説】夜と霧|フランクル 自分の人生を肯定できないあなたへ ~絶望的な世界を生き抜く唯一の思想~

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    はい!どうもアバタローです。
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    本日は、ビクトール・フランクルの[夜と霧]
    こちらをご紹介いたします。
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    どんな作品かと言いますと
    自分の未来に対して希望が持てず
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    生きる意味を見失ってしまった人を
    救い出してくれる世界的名著になります。
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    フランクルは、著名な精神科のドクターであり
    また、心理学の専門家です。
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    皆さま、よくご存じの[アドラー]
    そして、[フロイト][ユング]
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    彼らは[世界三大心理学者]と呼ばれていますが
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    フランクルは、それに次ぐ
    [第四の巨頭]とも言われる人物になります。
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    そんな彼が、第二次世界大戦中
    ナチスによって捕らえられ
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    強制収容所に入れられた時の
    体験について書かれたもの。
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    それが[夜と霧]という作品です。
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    因みに、このタイトルの
    [夜と霧]というのは
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    ヒトラーによって発せられた
    作戦名のことです。
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    自分たちに敵対する者を捕まえる時。
    まるで、夜の霧の中に消えるように
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    ひっそりと跡形もなく連行されることから
    そのように呼ばれていました。
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    ただ、「ナチス」とか
    「強制収容所」と聞きますと
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    あれ?今日の話って凄く怖い話なんじゃないの?
    暗い話なんじゃないの?と
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    ご心配された方もいるかもしれません。
    ...ですが、ご安心ください。
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    この作品は、収容所の恐ろしさや
    戦争の悲惨さを訴えることを
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    目的として書かれたものでは
    ございません。
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    絶望の極致に置かれた人間たちの
    メンタルに焦点が宛てられた作品なんです。
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    収容所という受け入れがたい
    理不尽な環境の中で、人々の心は
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    どのような変化をしていき
    どのようなことに苦しんでいたのか。
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    また、何を心の支えとし、どんな考えをもって
    未来に希望を見出そうとしたのか。
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    [夜と霧]には、こういった、今正に
    知っておきたい生き方のヒントが多く含まれており
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    重たいテーマではありますが、読む人の心を
    軽くしてくれる不思議な力があるのです。
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    この動画をご視聴いただくにあたって
    予備知識は一切いりませんので
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    是非、安心して最後まで
    お付き合いいただければと思います。
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    それでは、参りましょう。
    ビクトール・フランクル[夜と霧]
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    まず、この動画の全体像からお示し致します。
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    初めにこの作品を読む前に
    知っておくべき前提知識として
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    著者のフランクルとは、一体どんな人物で
    どういった経緯で
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    強制収容所に入ることになってしまったのか
    についてお話をします。
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    それを踏まえた上で
    [夜と霧]の中身に入っていき
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    最後は、フランクル思想を知る上で欠かせない
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    [ブーヘンヴァルトの歌]について触れて
    終わりたいと思います。
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    では早速、フランクルについて
    見て行きましょう。
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    ビクトール・フランクル
    彼は1905年。
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    オーストリアの首都
    ウィーンに生まれたユダヤ人です。
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    幼少期から非常に
    好奇心旺盛であったフランクルは
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    人間の「生きる意味」という
    壮大なテーマに興味を持ち
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    更に、アドラーやフロイトなどの
    影響を受けることで精神科医になったといいます。
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    また、医師として
    彼の最大の功績の1つは
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    [ロゴセラピー]と呼ばれる
    心理療法を開発したことです。
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    [ロゴセラピー]とは
    自分の生きる意味を実感できず
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    毎日、「虚しい」「苦しい」といった
    感情を持った人に対して
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    生きる意味を見つけ出すサポートをする
    そういった『心理療法』のことを指します。
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    そして、彼は自ら開発した
    [ロゴセラピー]を実践し
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    人生に絶望した人の心の救済に
    全生涯を捧げ
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    1997年の92歳のときに
    天寿を全うしました。
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    あのマザー・テレサから『ノーベル平和賞』の
    推薦を受けたこともあるほど
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    世の為、人の為に尽くし続けた偉人。
    それが、ビクトール・フランクルです。
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    ただ、そんな彼が
    強制収容所に入れられてしまうというのは
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    なかなか信じがたい事実です。
    ...なので、今から
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    彼が強制収容所に入るまでの経緯について
    お話をいたします。
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    時は、今から遡ること約90年前。
    1933年のドイツでのことです。
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    ここで、ある大きな
    政治的変化が起こりました。
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    なんと、長らく政権野党であった
    「国家社会主義ドイツ労働者党」
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    通称『ナチス』が
    その年の1月30日。
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    遂に、与党となったのです。
    もちろん、政権のトップは
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    皆様ご存じの
    『アドルフ・ヒトラー』です。
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    そして彼は、ユダヤ人を排除するための政策を
    次々と打っていきました。
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    何故、ヒトラーは
    そんなことをしたのでしょうか?
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    まっ凄く簡単に言いますと
    共通の敵を作ることで
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    当時、バラバラだった
    ドイツ国民の心を一つにし
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    国をまとめ上げようとしたのです。
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    具体的には、自分たちは
    ”アーリア人” と呼ばれる優性民族であり
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    劣等民族であるユダヤ人を迫害し
    国外に追い出し
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    「我々でヨーロッパを統一しませんか?」と
    言い出したわけです。
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    ナチスが政権与党となって初期の頃は
    ユダヤ人が経営するお店を妨害するとか
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    レストランに入れないとか
    そういうレベルの嫌がらせが多かったのですが
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    徐々に、これがエスカレートしていきます。
    1935年には
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    『ニュルンベルク法』と呼ばれる
    ユダヤ人の公民権を奪う人種差別法が制定されます。
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    これによって、ユダヤ人とドイツ人の結婚が禁じられ
    更に、ユダヤ人は公共的な場所。
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    例えば、定演・劇場・プールなどへの出入りが
    禁止されてしまいます。
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    そして、1938年11月。
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    フランスの首都
    パリにあるドイツ大使館で書記官が
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    ユダヤ人青年によって ”射殺される”
    という事件が起こりました。
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    因みにその青年は
    自分の家族をナチスによって迫害され
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    その恨みから
    書記官を襲ったと言います。
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    こうなりますと当然、ドイツに居る国民たちは
    「けしからん!」と、大激怒です。
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    そして、国内にあったユダヤ教会や商店街が
    次々と襲撃されるという大暴動が起こり
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    90人以上のユダヤ人の方が
    亡くなってしまったと言います。
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    破壊された家や商店街の窓ガラスが
    ドイツ中の道路を埋め尽くし
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    それが、月明かりによって照らされ
    まるで「水晶」のように光っていたことから
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    その事件は[水晶の夜]
    ”クリスタル・ナハト” と名付けられました。
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    これによって、ドイツ国内における
    ユダヤ人追放の動きは
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    更に、加速していくこととなったのです。
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    そして、その流れのまま翌年1939年。
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    ドイツ軍がポーランドに侵攻したことを契機に
    「第二次世界大戦」 が勃発します。
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    ナチスも自分たちが占領した地域のユダヤ人を
    初めは追放したり、隔離したりしていたのですが
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    戦線が膠着するにつれて方針を一変させます。
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    なんと!「殺処分する」という...
    えげつない方向に舵を切り始めたのです。
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    これが、ナチスによる『大量虐殺』
    所謂、[ホロコースト]の始まりです。
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    因みに[ホロコースト]とは、元々ギリシャ語で
    ”焼かれた生贄” という意味になります。
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    水面下で行われてきたユダヤ人狩りが
    遂に、ここから本格化していくことになる訳です。
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    そして1941年、当時36歳であった
    ビクトール・フランクルの元にも
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    ナチス当局から軍司令部への
    出頭命令が下ります。
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    そして1942年。
    遂に、連れて行かれてしまう訳です。
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    因みに当時のフランクルは
    数年前に自分の病院を立ち上げたばかりで
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    更に、結婚もしたばかりという状況でございます。
    そんなタイミングで彼は...
  • 7:06 - 7:10
    これ以上ない絶望の世界に
    呑み込まれて行くことになるのです。
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    続きまして...彼が捕まってから解放に至るまでの
    大まかな流れをスライドにお示しします。
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    ちょっと、カタカナが多いですが
    これらの名前は
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    全く覚えておかないで大丈夫ですので
    そこは、ご安心ください。
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    1つ目が
    [1.テレージエンシュタット]
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    ここは、今もチェコにあります。
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    1942年の9月から
    自分の両親と奥さんと一緒に
  • 7:31 - 7:34
    フランクルは2年程
    ここに収容されることになります。
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    実は、フランクルのお父さんは当時
    80歳を超すほどのご高齢であったんですが
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    非常に栄養状態の悪い生活を強いられたことによって
    ここで、餓死をさせられてしまうのです。
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    そして、2つ目がポーランドにある
    [2.アウシュヴィッツ]です。
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    絶滅収容所として
    非常に”悪名” 高い所ですね。
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    ここで、フランクルは自分のお母さんと
    お兄さんを失ってしまいます。
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    滞在期間は、4日ほどです。
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    その後、ドイツ南部バイエルン地方にある
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    [3.ダッハウ]と呼ばれる強制収容所の
    [カウフェリング第3支所]という所に送られ
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    最後は、病人収容所である
    [カウフェリング第6支所]に行き
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    1945年の4月に
    ようやく「解放」という流れになります。
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    ここで、抑えておいていただきたいのは
    [夜と霧]の舞台がアウシュビッツ以降
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    特にダッハウ強制収容所の
    支所であるという点です。
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    もっとハッキリ言いますと...
    この作品のメインステージは
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    アウシュヴィッツではありません。
    支所です!
  • 8:31 - 8:34
    ここは、よく誤解されますので
    ご注意いただければと思います。
  • 8:35 - 8:38
    ここまで、よろしいでしょうか?
    以上の流れを踏まえた上で
  • 8:38 - 8:42
    早速、作品の中身に入っていきたいと思います。
    では、行きましょう。
  • 8:42 - 8:48
    私は、一心理学者として
    強制収容所で体験したことを述べたいと思う。
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    ただ...何も私は、身の毛のよだつ
    恐ろしい話をしたいのではない。
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    そこにいた囚人たちが、収容所の中で
    どのような苦労を抱えて過ごしてきたのか。
  • 9:00 - 9:03
    そういった「心の問題」を取り扱いたいのだ。
  • 9:03 - 9:08
    [119104]忘れもしない。
    これは、私の囚人番号だ。
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    強制収容所において、私は「心理学者」でも
    ましてや「医者」でもなかった。
  • 9:13 - 9:18
    ただ、番号が振られただけの
    一人の囚人でしかなかったのだ。
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    ではまず、私がアウシュヴィッツに送られた時の
    様子から話しをしていこう。
  • 9:22 - 9:26
    1つの貨物車両に
    80人程の人間たちと
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    その荷物が息苦しいほどに
    隙間なく入れられ
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    私たちは、ある場所へと輸送させられた。
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    辛うじて窓の一番上から薄暗い空を
    眺めることができたのを覚えている。
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    一体、我々は何処に連れていかれるのか?
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    軍需工場で強制労働でもさせられるのか?
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    そうやって、狭い空間の中で
    言葉を交わし合った。
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    しばらくすると...列車は
    開けた平地に止まろうとしていた。
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    何処だ!
    ここは一体、何処なんだ。
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    そんな、言い知れぬ空気が列車内を覆う中
    群衆の中から、突然一つの叫び声があがった。
  • 10:00 - 10:04
    「ここに、立札があるぞ!」
    [AUSCHWITZ]
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    「アウシュヴィッツだ!」
    この瞬間、どれほど心臓が止まると思ったか。
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    「アウシュヴィッツ」は1つの概念だった。
    何かよく分からないけれども
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    しかし、それだけに「恐怖」しかなかった。
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    停車場に着くと
    エレガントな紳士のような将校が現れた。
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    そして、我々を指さしながら
    何やら指示を出し始めたのだ。
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    私はこの時、知る由もなかった。
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    あの男の指の動き一つ一つが
    「命」の選別であったということを...
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    この時、輸送された
    約90パーセントの人が
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    数時間も経たないうちに
    「ガス室」に送られ命を奪われた。
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    一方、私を含む残りの人間たちは
    風呂場に連れていかれ全身の毛を剃られた。
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    そして文字通り
    「裸」の存在となったのだ。
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    はい!ここで止めましょう。
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    非常に恐ろしい世界です。
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    列車から降りますと
    最初にあったのは「命の選別」でした。
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    ここでフランクルは
    偶然にも生き残ることが出来たわけですが
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    それは一体、なぜでしょうか?
    結論から言いますと
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    労働者として「使える!」と
    判断されたからです。
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    逆に、労働者として「使えない!」と
    思われた人のことごとくは
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    最初の段階で "ふるい" に
    掛けられてしまったという訳です。
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    この時、囚人たちは「収容ショック」といって
    とてつもない恐怖体験をすることになります。
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    囚人によっては、収容所を取り囲んでいる
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    高電圧が流れている鉄条網に走って
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    自害を試みることもあったようです。
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    ...ですが、しばらくしますと
    死の恐怖がなくなっていき
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    自分で命を絶つことすら
    考えなくなっていく、と言います。
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    フランクルは「自分の命だけは諦めない」と
    気持ちを強く保っているのですが
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    いつ、心が崩壊してもおかしくない状態で
    収容所生活を送っていました。
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    そんな中、先輩囚人が
  • 11:43 - 11:47
    こっそりと、フランクル達が
    寝泊まりしている所にやってきます。
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    そして、生きる為のアドバイスを
    授けてくれるのです。
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    では、そのシーンから
    続きを見て行きましょう。
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    「いいか...僕は、君たちに
    1つのことを忠告する。
  • 11:56 - 12:00
    それは「ヒゲを剃れ!」ということだ。
    出来れば毎日。
  • 12:00 - 12:02
    剃るものは、何だっていい。
  • 12:02 - 12:05
    僕は、その辺に落ちている
    ガラス片でやっている。
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    後、病気になるな。
    病気であっても、それを悟られるな。
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    命を奪われたくなければ
  • 12:10 - 12:14
    とにかく、労働が「可能である」という
    印象を相手に与えろ。
  • 12:14 - 12:18
    「コイツは、動けない」と判断されたら
    もう、俺たちはお終いなんだ。
  • 12:18 - 12:20
    いいか!もう一度言うぞ。
    ヒゲを剃れ!
  • 12:20 - 12:22
    そして、いつも
    真っすぐ立って歩け。
  • 12:22 - 12:23
    はい!ここで止めましょう。
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    どれだけ理不尽で
    残酷な環境の中でフランクル達が
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    生きていたかが、よく分かります。
    収容された当初は
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    「苦しい」とか、「怖い」とか。
    様々な感情の浮き沈みを体験するそうです。
  • 12:35 - 12:40
    しかし、それが長引いてきますと
    今度は、逆に何も感じなくなるという
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    新たな状態に移っていきます。
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    つまり、自分が生きている世界に対して
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    無感動、無関心、
    無感覚になっていくというのです。
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    こうなりますと、自分の家族や
    仲間が殴られていても
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    一切、目を反らさなくなるといいます。
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    黙って、ただ眺める。
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    そこには、「嫌悪感」も「恐怖」も
    「同情」もない。
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    何にも感じることができないのです。
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    更に、収容所の世界において
    「苦しんでいる人」「病んでいる人」
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    「死につつある人」
    そして、「死んでいる人」というのは
  • 13:08 - 13:13
    全く、珍しくなく
    むしろ、当たり前すぎる光景であるため
  • 13:13 - 13:16
    人としての心が、徐々に
    動かなくなってくるのです。
  • 13:16 - 13:19
    フランクルは、この
    「感情」が動かなくなる状態のことを
  • 13:19 - 13:24
    「心を包む、最も必要な『鎧』であった」
    と、表現しています。
  • 13:24 - 13:25
    つまり、自分の肉体が
  • 13:25 - 13:31
    「生命を維持する」という、ただその目的だけに
    集中するという「モード」に入るんです。
  • 13:31 - 13:36
    その結果、生命維持に直接関係のない
    「心の機能」が
  • 13:36 - 13:40
    シャットダウンしてしまう、という訳です。
    一旦、その「モード」に入りますと
  • 13:40 - 13:42
    人は、「食べる」とか
    「寝る」とか、そういった
  • 13:42 - 13:46
    原始的な「欲求」だけに
    支配されることになった、と言います。
  • 13:46 - 13:49
    ただ、当時の囚人たちは
    一日に水のようなスープと
  • 13:49 - 13:53
    パンのかけらくらいしか食事を
    与えられていなかった為
  • 13:53 - 13:57
    原始的な「欲求」のほとんどは
    「食欲」が占めていたと言います。
  • 13:57 - 13:59
    当然、地獄のような
    飢餓状態におかれますから
  • 13:59 - 14:03
    一人残らず屍のように
    痩せこけていきます。
  • 14:03 - 14:06
    更に、その状態で蹴られたり
    殴られたりしながら
  • 14:06 - 14:09
    朝から晩まで
    強制労働をさせられ
  • 14:09 - 14:12
    「使えない」と判断されれば
    処理されてしまう。
  • 14:12 - 14:15
    それが、収容された者たちの世界だったんです。
  • 14:15 - 14:19
    そんな極限状態の中
    フランクルは、不思議な体験をします。
  • 14:19 - 14:23
    なんと、自分の目の前に
    「奥さん」の面影が現れ
  • 14:23 - 14:27
    そして、言葉を
    交わし合ったというのです。
  • 14:27 - 14:32
    この場面は、[夜と霧]という作品の中でも
    特に、胸が締め付けられるところになります。
  • 14:32 - 14:35
    では、そこから続きを見て行きましょう。
  • 14:35 - 14:37
    私は妻と語った。
  • 14:37 - 14:41
    そして、彼女が答えるのを聞き
    彼女が笑うのを見た。
  • 14:41 - 14:45
    例え、その場に居なくても
    彼女の眼差しは
  • 14:45 - 14:49
    今、正に昇ろうとしている「太陽」よりも
    私を照らしてくれた。
  • 14:49 - 14:51
    その時、私は気付いたのだ。
  • 14:51 - 14:55
    『愛』こそが、人間にとって
    最高のものだということを。
  • 14:55 - 14:58
    例え、この世に何一つ残っていなくても
  • 14:58 - 15:02
    人間は、愛する人の面影を
    心に宿すだけで、救われるのだ。
  • 15:02 - 15:06
    この時、私は...自分の妻が
    生きているかどうかも、知らなかったし
  • 15:06 - 15:08
    知る必要もなかった。
  • 15:08 - 15:13
    私は、深い愛情をもって
    彼女の面影を見つめ続けた。
  • 15:13 - 15:15
    彼女は、まだ生きているのか。
  • 15:15 - 15:17
    それとも、もうこの世にいないのか。
  • 15:17 - 15:19
    そんな事実は、もはや問題ではなかった。
  • 15:19 - 15:22
    例え、愛する妻が
    亡くなっていたと分かっていても
  • 15:23 - 15:24
    それでも私は...
  • 15:24 - 15:27
    彼女の面影を
    見つめ続けていただろう。
  • 15:27 - 15:29
    何時間も凍った地面を掘り続けても
  • 15:29 - 15:33
    監視兵に怒鳴られても
    私は、彼女と言葉を交わした。
  • 15:33 - 15:37
    そして、その度に妻の存在を強く感じた。
  • 15:37 - 15:39
    彼女を抱きしめることが出来るのではないか。
  • 15:39 - 15:42
    手を伸ばせば触れることが
    出来るのではないか。
  • 15:42 - 15:45
    そんな感情が強く私を襲うたび
    思うのだった。
  • 15:45 - 15:47
    彼女はきっと、そこにいる。
  • 15:47 - 15:49
    ...そこにいるのだ。
  • 15:49 - 15:50
    はい!ここで止めましょう。
  • 15:51 - 15:56
    つまり、フランクルは
    いつ精神が崩壊してもおかしくない極限状態の中で
  • 15:56 - 15:59
    「愛」によって、生かされたのです。
  • 15:59 - 16:03
    そして、どれほど人間にとって「愛」が
    大切なものであるか、ということを
  • 16:03 - 16:06
    頭ではなく
    心から痛感したというのです。
  • 16:06 - 16:11
    ただ、非常に申し上げにくいのですが
    実はこの時、フランクルの奥さんは
  • 16:11 - 16:15
    別の収容所に移送され
    そこで、処刑されてしまっているのです。
  • 16:15 - 16:20
    それを知らない状態で、彼は
    ただ、愛する奥さんの面影を心に宿し
  • 16:20 - 16:22
    見つめ続けていたという訳です。
  • 16:22 - 16:26
    因みに、以前紹介した
    古代ローマの哲学者[セネカ]は
  • 16:26 - 16:29
    「過去は唯一、運命に支配されない。
  • 16:29 - 16:33
    誰からも奪われない、神聖な時間だ!」
    と言っていました。
  • 16:33 - 16:36
    彼の言葉の重さが
    ここに来てズシン!と、響いてきます。
  • 16:36 - 16:39
    つまり、フランクルは
    身ぐるみを全て剥がされ
  • 16:39 - 16:43
    財産も、家族も、尊厳も
    何もかも奪われたのですが
  • 16:43 - 16:45
    唯一、「過去」だけは
    侵害されなかったのです。
  • 16:45 - 16:50
    そして彼は、極限状態の中で
    自分にとって最も大切な「過去」
  • 16:50 - 16:55
    つまり、愛する奥さんという存在を
    自分の記憶から引っ張ってきました。
  • 16:55 - 17:00
    そして、会話ができてしまうくらい
    彼女の存在を自分の心のスクリーンに
  • 17:00 - 17:04
    強く投影させ
    それによって、自らを支えていた訳です。
  • 17:05 - 17:07
    ただ、気を強く保っているフランクルですが
  • 17:07 - 17:11
    それでも、心が折れそうになる瞬間は
    何度かあったようです。
  • 17:11 - 17:15
    その中でも、特に
    「これは、キツイ!」と思われる要素を
  • 17:15 - 17:17
    彼は本書で、1つ挙げています。
  • 17:18 - 17:21
    それは、フランクルだけではなく
    他の囚人たちも
  • 17:21 - 17:25
    「確かに、その通りである」と
    意見が一致したと言います。
  • 17:26 - 17:31
    皆さんは、何が囚人たちのメンタルを
    最も苦しめたと思いますか?
  • 17:31 - 17:34
    答えを言いますと
    [「期日」が無かったこと]です。
  • 17:34 - 17:38
    私らは、「いつまで」この収容所にいて
    「いつ」解放されるんですか?
  • 17:39 - 17:43
    一体、いつになったら...
    今まで通りの生活に戻れるんですか?
  • 17:43 - 17:47
    こうやって、終わりの日が見えないこと。
    出口が見えないことが
  • 17:47 - 17:52
    何よりも辛かったと、彼らは口を揃えて
    そう言っているのです。
  • 17:52 - 17:56
    更に、収容所という
    極端に活動が制限された環境の中で
  • 17:56 - 18:01
    無限の時間を感じるのは、並大抵ではない
    精神的ストレスであったと言います。
  • 18:01 - 18:04
    そんな中...
    「もうすぐ戦争が終わるらしいよ」
  • 18:04 - 18:07
    「後...6週間で、出られるらしいよ」と
  • 18:07 - 18:13
    終息の見込みに関する色んな噂が収容所内に流れては
    また、引き延ばされる。
  • 18:13 - 18:14
    これの繰り返しです。
  • 18:14 - 18:18
    こういった、「期待」と「幻滅」の
    無限ループに置かれると
  • 18:18 - 18:22
    「人はいずれ、心が壊れてしまう」
    フランクルは、そう言っているのです。
  • 18:22 - 18:25
    そして、彼はまた次のように
    語り始めます。
  • 18:25 - 18:28
    1944年のクリスマス。
  • 18:28 - 18:31
    そして、1945年の新年。
  • 18:31 - 18:35
    この間に、未だかつてない
    大量の死亡者が出た。
  • 18:35 - 18:40
    強制収容所にいた医者によると
    それは、過酷な労働条件や
  • 18:40 - 18:46
    悪化した「栄養状態」、或いは「伝染病」などで
    説明がつくものではなかったそうだ。
  • 18:46 - 18:51
    むしろ、その原因とは
    囚人たちが、Xmasや新年には
  • 18:51 - 18:54
    きっと、状況も良くなって
    「家に帰れるだろう」と
  • 18:54 - 18:57
    素朴な希望に
    身を寄せたからなのだ。
  • 18:58 - 19:00
    もう直ぐ、クリスマスだというのに
  • 19:00 - 19:04
    収容所から流れて来るニュースと言えば
    何時も暗い話ばかりで
  • 19:04 - 19:06
    明るい記事など一切なかった。
  • 19:06 - 19:10
    そうやって、囚人たちは
    どんどん失望し、落胆し
  • 19:10 - 19:12
    そして、「抵抗力」を落として行ったのだ。
  • 19:12 - 19:18
    凄まじい、収容所生活において
    自分の内側にある「抵抗力」を落とすことは
  • 19:18 - 19:21
    そのまま、「命」を落とすことに繋がる。
  • 19:21 - 19:23
    だから、自分たちの
    「抵抗力」が落ちないよう
  • 19:23 - 19:27
    どうにか、気持ちだけは維持しなければならない。
    その為には...
  • 19:27 - 19:31
    「自分は、何としてでも
    生き延びなければならない」 という
  • 19:31 - 19:35
    [人生の目的意識]が必要だったのだ。
  • 19:35 - 19:37
    はい!ここで止めましょう。
  • 19:37 - 19:40
    どんな人であれ
    苦しい時、辛い時はありますが
  • 19:40 - 19:44
    それを乗り越えるためには
    その「苦しさ」や
  • 19:44 - 19:48
    「辛さ」に見合うだけの意義が必要だ、と
    フランクルは言っているのです。
  • 19:49 - 19:53
    耐え抜く意味、頑張り通す意義。
    それが無ければ
  • 19:53 - 19:57
    「苦しさ」や「辛さ」に耐えられず
    心が折れてしまうわけです。
  • 19:57 - 20:00
    好きな仕事だから
    辛い時でも、頑張れた。
  • 20:00 - 20:04
    応援してくれる仲間がいたから
    苦しかったけど、頑張れた。
  • 20:04 - 20:07
    皆さんにも、そんなご経験が
    あるのではないでしょうか?
  • 20:07 - 20:10
    ただ、心が崩壊してしまった囚人たちは
  • 20:10 - 20:11
    どれだけ励ましても...
  • 20:11 - 20:13
    どれだけ慰めても...
  • 20:13 - 20:17
    何も言葉を受け取らなくなってしまった
    と言います。
  • 20:17 - 20:22
    そして、こんな未来に期待のできない人生を
    「なぜ、生きなきゃいけないんだ」
  • 20:22 - 20:27
    「生きていたって、意味なんかないじゃないか」と
    口にするように、なっていったそうです。
  • 20:27 - 20:30
    では、こういった状態に陥ってしまったら
  • 20:30 - 20:32
    一体、どうすればよいのでしょうか?
  • 20:32 - 20:37
    この問いに対しフランクルは、本書で
    見事な回答を提示してくれています。
  • 20:37 - 20:39
    では、その続きから見て行きましょう。
  • 20:39 - 20:42
    これからの未来に
    一体、何が期待できるんだろう?
  • 20:42 - 20:45
    自分の生きている意味って、何だろう?
  • 20:45 - 20:49
    そうやって、自分の人生に
    問いを投げるのは
  • 20:49 - 20:52
    実は、正しい態度ではない。
    むしろ、私たちが人生から
  • 20:52 - 20:57
    「君は、これからどうするんだ?」と
    期待され、問われているんだ。
  • 20:57 - 21:01
    人生は、私たちに毎日
    様々な問いを投げかけて来る。
  • 21:01 - 21:05
    そして、その度に私たちは
    その問いに対して
  • 21:05 - 21:09
    口先ではなく、行動によって
    答えなければならない。
  • 21:09 - 21:12
    「生きる」ということは
    自分に課せられた使命に対し
  • 21:12 - 21:15
    責任をもって、全うする事なのだ。
  • 21:15 - 21:19
    人生から要求されることは
    人によって異なるし
  • 21:19 - 21:21
    その瞬間によって「変化」もする。
  • 21:21 - 21:26
    だから...人生にどんな意味がるだろう、と
    どれほど考えようが
  • 21:26 - 21:28
    答えなど見つかりはしない。
  • 21:28 - 21:31
    人生からの問いかけ。
    すなわち、『運命』とは...
  • 21:31 - 21:33
    決して、漠然としたものではなく
  • 21:33 - 21:38
    常に、具体的な状況となって
    私たちの目の前に現れる。
  • 21:38 - 21:41
    そして、その度に
    「さぁ、君はどう行動する?」と
  • 21:41 - 21:44
    問いかけられているのだ。
    従って、今まさに
  • 21:44 - 21:49
    「苦しみ」という課題が与えられているのならば
    そこに対して人間は
  • 21:49 - 21:51
    『運命』を見出さなければならない。
  • 21:52 - 21:54
    私たちは、自分以外の誰かの苦しみを
  • 21:54 - 21:56
    代わりに背負うことはできない。
  • 21:56 - 22:01
    その『運命』を授かった本人が
    その苦しみを背負い
  • 22:01 - 22:04
    担わなければならない。
    しかし、その苦しみの中にこそ
  • 22:04 - 22:09
    本人だけしか達成できない
    「唯一無二」の業績があるのだ。
  • 22:09 - 22:13
    こんなことを聞くと
    「なんて、現実離れした考え方だ」と
  • 22:13 - 22:15
    思うかもしれない。
    しかし、この考え方は
  • 22:15 - 22:20
    地獄のような強制収容所生活において
    我々を絶望させない
  • 22:20 - 22:22
    唯一の「思想」だったのだ。
  • 22:22 - 22:24
    はい!ここで止めましょう。
  • 22:24 - 22:28
    なかなか、ガツン!と響くものが
    あったのではないでしょうか。
  • 22:28 - 22:32
    ...と言いますのも、今紹介したパートは
    フランクル思想の
  • 22:32 - 22:36
    正に、中心的な部分なのです。
    もう一度、整理しますと...
  • 22:36 - 22:41
    自分の人生に意義を見出せずに「苦しい」
    そういう時は、その考えを
  • 22:41 - 22:45
    クルリと、反転させて
    人間の方が、逆に人生から
  • 22:45 - 22:50
    問われている存在である、と
    思考を切り替えてくださいね、と言っている訳です。
  • 22:50 - 22:53
    また、苦しみにも
    『運命』を見出せという
  • 22:53 - 22:57
    力強い言葉もありましたが
    彼が人生というものに対して
  • 22:57 - 23:01
    「絶対に肯定する」という
    揺るぎないスタンスを取っているのが
  • 23:01 - 23:03
    伺えます。
    そして、フランクルは
  • 23:03 - 23:08
    人生における重要な考え方を
    もう1つ、本書で示してくれています。
  • 23:08 - 23:10
    それは、この先の未来に...
  • 23:10 - 23:14
    [自分のことを待ってくれている存在を意識する]
    ということです。
  • 23:14 - 23:16
    この「待ってくれる存在」というのは
  • 23:16 - 23:18
    人でも、物でも何でもいいのです。
  • 23:18 - 23:22
    ある人は、いずれ巡り合う
    「運命のパートナー」や
  • 23:22 - 23:24
    自分の「子供」や「孫」かもしれませんし
  • 23:24 - 23:28
    また、ある人は一生涯
    誇りをもって打ち込める「仕事」
  • 23:28 - 23:32
    或いは、「趣味」かもしれません。
    つまり、「未来に待っている存在」というのは
  • 23:32 - 23:35
    人それぞれ、違うのです。
    そして、未来の世界は
  • 23:35 - 23:38
    自分がやって来るのを
    期待しながら待ってくれている。
  • 23:38 - 23:42
    そうやって自分を待つ
    何かの「存在」に意識を向け
  • 23:42 - 23:46
    未来に責任を感じていれば
    人は、絶対に自分の「命」を
  • 23:46 - 23:49
    自ら諦めたりはしない。
    だから、今...
  • 23:49 - 23:51
    この瞬間を乗り越えてください。
  • 23:51 - 23:56
    「我々は、人生に試されているんです」と
    フランクルは解いたのです。
  • 23:56 - 24:00
    ここで[夜と霧]については、お終いです。
    では、最後に...
  • 24:00 - 24:03
    フランクル思想を理解する上で
    非常に重要な
  • 24:03 - 24:07
    [ブーヘンヴァルトの歌]について
    紹介して、終わりたいと思います。
  • 24:07 - 24:11
    「ブーヘンヴァルト」というのは
    ドイツの強制収容所の名前です。
  • 24:11 - 24:14
    場所は、フランクルがいた
    「ダッハウ強制収容所」から
  • 24:14 - 24:17
    400キロメートルほど離れた所にあります。
  • 24:17 - 24:20
    そして、そこにいた囚人たちが
    歌った「行進曲」
  • 24:20 - 24:22
    それが[ブーヘンヴァルトの歌]です。
  • 24:22 - 24:26
    その、歌詞の一部を読み上げますので
    ちょっと、聞いてみてください。
  • 24:26 - 24:27
    [ブーヘンヴァルトよ]
  • 24:27 - 24:30
    [私は、お前を忘れることが出来ない]
  • 24:30 - 24:32
    [お前は、私の運命だったのだ]
  • 24:33 - 24:35
    [お前から去った者だけが分かる]
  • 24:35 - 24:37
    [自由がどれほど素晴らしいか]
  • 24:37 - 24:38
    [ブーヘンヴァルトよ]
  • 24:38 - 24:41
    [私は嘆いたり、悲しんだりはしない]
  • 24:41 - 24:45
    [私達の運命がいかなるものであろうとも]
  • 24:45 - 24:47
    [私達はそれでも]
  • 24:47 - 24:48
    [人生にイエスと言おう]
  • 24:48 - 24:50
    [なぜならその日は]
  • 24:50 - 24:51
    [いつか来るから]
  • 24:51 - 24:53
    [私達が自由になる日が]
  • 24:53 - 24:56
    [私達はそれでも人生にイエスと言おう]
  • 24:56 - 24:57
    [なぜならその日は]
  • 24:57 - 24:58
    [いつか来るから]
  • 24:58 - 25:00
    はい、こんな感じの歌でございます。
  • 25:00 - 25:05
    先程、フランクルは「苦しみ」という課題を
    『運命』として捉えましょう。
  • 25:05 - 25:08
    そこに、自分だけの「業績」を見出しましょう。
  • 25:08 - 25:10
    「なぜなら、この考え方こそが
  • 25:10 - 25:13
    強制収容所のような環境でも
    人間を唯一
  • 25:13 - 25:16
    絶望させない「思想」だったんですよ」
    と言っていました。
  • 25:16 - 25:18
    そんな中、ブーヘンヴァルトの囚人たちは
  • 25:18 - 25:20
    どうしようもない状況下であっても
  • 25:20 - 25:24
    ”私達はそれでも人生にイエスと言おう” と歌い
  • 25:24 - 25:27
    自分たちの運命を受け入れ、肯定し
  • 25:27 - 25:30
    「自由になれる日が、我々を待っているのだ」と
  • 25:30 - 25:32
    叫び続けたのです。
  • 25:32 - 25:35
    つまり、どんなに苦しい人生であっても
  • 25:35 - 25:37
    どんなに辛い人生あっても
  • 25:37 - 25:41
    全て、「人生からの問いかけである」と
    説くフランクルの思想を
  • 25:41 - 25:44
    [ブーヘンヴァルトの歌]は
    見事に表現していると言えます。
  • 25:44 - 25:47
    そして、フランクルは1945年4月。
  • 25:48 - 25:52
    遂に、収容所から解放され
    9月に終戦を迎えます。
  • 25:52 - 25:55
    その後、彼はわずか9日間で
    [夜と霧]を書き終え
  • 25:55 - 25:57
    世界に衝撃を与えました。
  • 25:57 - 26:02
    更に、自身の収容所体験について
    世界中で講演活動を行い
  • 26:02 - 26:08
    人生の意味を見出せずに嘆いている人に
    勇気を与え続けた、といいます。
  • 26:08 - 26:13
    その講演録は、後に書籍となり
    [夜と霧]に次ぐ、彼の代表作として
  • 26:13 - 26:15
    世界中で読み継がれることとなるのです。
  • 26:15 - 26:19
    フランクルは、その本のタイトルを
    [ブーヘンヴァルトの歌]から取り
  • 26:19 - 26:22
    [それでも人生にイエスと言う]と
    名付けました。
  • 26:22 - 26:26
    もし、この動画で[夜と霧]に
    ご興味を持っていただいた方は
  • 26:27 - 26:30
    是非、こちらの作品も併せて
    ご一読いただければと思います。
  • 26:30 - 26:33
    心が苦しくて、耐えられない時。
  • 26:33 - 26:37
    きっと、フランクルの言葉が
    あなたのことを守ってくれるはずです。
  • 26:37 - 26:41
    はい!というわけで
    [夜と霧]以上でございます。
  • 26:41 - 26:42
    いかがでしたでしょうか?
  • 26:42 - 26:48
    重たいテーマでしたけれども、意外に後味は
    悪くなかったのではないでしょうか。
  • 26:48 - 26:54
    また、以前紹介したニーチェの思想と
    今回の話との関連性に気づいた方。
  • 26:54 - 26:56
    恐らく、いらっしゃると思います。
  • 26:56 - 27:02
    フランクル思想の中心にある
    [それでも人生にイエスと言う]という、この言葉は
  • 27:02 - 27:06
    ニーチェ哲学のテーマである
    [生の肯定]そのものなんです。
  • 27:06 - 27:10
    ニーチェは、人生の意義を
    見出せなくなってしまう状態のことを
  • 27:10 - 27:12
    「ニヒリズム」と呼びました。
  • 27:12 - 27:19
    そして、それを克服するために「超人思想」や
    「永遠回帰」といった概念を持ち出したわけですが
  • 27:19 - 27:23
    正にフランクルは、極限状態で
    それを体現した人と言えます。
  • 27:23 - 27:28
    [夜と霧]の中には、何度かニーチェの言葉を
    引用するシーンがありますので
  • 27:28 - 27:31
    恐らく、思想的影響を
    受けているものと思われます。
  • 27:31 - 27:34
    そういったところにも
    ご注目いただきながら読んでいただくと
  • 27:34 - 27:37
    より作品を楽しんで
    いただけるのではないかなと思います。
  • 27:37 - 27:42
    面白かった、参考になったという方は
    高評価・コメントなどいただけますと嬉しいです。
  • 27:42 - 27:45
    また、チャンネル登録も
    よろしくお願い致します。
  • 27:45 - 27:47
    ではまた、次の動画でお会いしましょう。
  • 27:47 - 27:48
    ありがとうございました。
Title:
【27分解説】夜と霧|フランクル 自分の人生を肯定できないあなたへ ~絶望的な世界を生き抜く唯一の思想~
Description:

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Video Language:
Japanese
Duration:
27:48
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