なぜアリストパネスは喜劇の父と呼ばれるのか?―マーク・ロビンソン
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0:07 - 0:11紀元前426年
毎年恒例のアテナイの演劇祭で -
0:11 - 0:14若き詩人アリストパネスが書いた喜劇
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0:14 - 0:17『バビロニア人』が
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0:17 - 0:201等になりました
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0:20 - 0:24しかし ぺロポネソス戦争での
アテナイの行為の描き方が -
0:24 - 0:26物議をかもし その後
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0:26 - 0:30クレオンという政治家が
アリストパネスを法廷で訴えました -
0:30 - 0:35外国人の面前で
アテナイ市民の名誉を棄損したというのです -
0:35 - 0:40アリストパネスは2年後
『騎士』という劇で仕返しをしました -
0:40 - 0:43劇中では あからさまに
クレオンが笑いものにされ -
0:43 - 0:49身分の低いソーセージ売りとして
市外で働くという結末が描かれています -
0:49 - 0:51こんな諷刺劇が成立しえたのも
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0:51 - 0:55紀元前5世紀当時の
アテナイの自由な民主主義の賜物で -
0:55 - 0:58それは現在「古喜劇」と呼ばれます
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0:58 - 1:02アリストパネスの劇は
現存する世界最古の喜劇で -
1:02 - 1:09パロディ、歌、下ネタ
シュールな空想に溢れています -
1:09 - 1:11途方もない状況が描かれることが多く
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1:11 - 1:15英雄が糞虫に乗って天まで飛んだり
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1:15 - 1:19家に網をかけて
中にいる父親を閉じ込めたりして -
1:19 - 1:22観客の予想を裏切ります
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1:22 - 1:27古喜劇はその後の喜劇の脚本や
上演のあり方を方向づけました -
1:27 - 1:32“comedy”という語は お祭り騒ぎを意味する
古代ギリシア語“komos”と -
1:32 - 1:35歌唱を意味する“oide”に由来し
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1:35 - 1:40対になる芸術形式の「悲劇」とは
多くの点で異なります -
1:40 - 1:45古代アテナイの悲劇では
身分の高い有力者達の没落が扱われ -
1:45 - 1:48喜劇は普通 ハッピーな結末を迎えます
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1:48 - 1:51悲劇では ほぼ常に
伝説から筋書きが借用されたのに対し -
1:51 - 1:54喜劇では同時代の出来事が扱われました
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1:54 - 1:59アリストパネスの喜劇は市井の人々を讃え
権力者達を非難しました -
1:59 - 2:01標的になったのは傲慢な政治家や
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2:01 - 2:03戦争好きの将軍
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2:03 - 2:05自惚れた知識人といった—
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2:05 - 2:09まさに舞台の正面席に
陣取っている人達だったので -
2:09 - 2:11誰もが彼らの反応を見ることができました
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2:11 - 2:15その結果 彼らは
「喜劇の中でからかわれる人達」と -
2:15 - 2:16呼ばれるようになりました
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2:16 - 2:24アリストパネスは辛辣に そして
しばしば不埒なほど指導者達を嘲り -
2:24 - 2:27その責任を追及し
市政のあり方を問いました -
2:27 - 2:31特に ある一つの出来事が
多くの作品執筆の契機となりました -
2:31 - 2:35アテナイとスパルタが戦った
ぺロポネソス戦争です -
2:35 - 2:39紀元前421年に書かれた『平和』では
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2:39 - 2:43ある中年のアテナイ市民が
平和を人格化した女性を洞穴から解放します -
2:43 - 2:47彼女は暴利を貪る政治家達に
流罪にされていたのです -
2:47 - 2:53その後 紀元前411年のアテナイ海軍の
壊滅的な敗北を受けて -
2:53 - 2:56アリストパネスは
『女の平和』を書きました -
2:56 - 2:59この劇では
戦争に辟易したアテナイの女性達が -
2:59 - 3:03セックス・ストライキを起こし
夫達に終戦を迫ります -
3:03 - 3:09他の劇でも似たような現実離れした筋書きで
時局的状況を厳しく批判しています -
3:09 - 3:11例えば『雲』では
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3:11 - 3:15アリストパネスは
当時流行の哲学思考を笑いものにしました -
3:15 - 3:20主人公ストレプシアデースが入学した
ソクラテスの新しい哲学の学校では -
3:20 - 3:22悪が善であることを証明する方法や
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3:22 - 3:24借金が借金でないことを
証明する方法を学ぶのです -
3:24 - 3:30どんなに途方もない状況に陥っても
主人公達は最終的にいつも勝利します -
3:30 - 3:35アリストパネスは
パラバシスの名手でもありました -
3:35 - 3:39これは俳優が観客に直接語りかける
喜劇の技法で -
3:39 - 3:43よくあるのが劇作家への賛辞や
時局的話題についてのコメントや冗談です -
3:43 - 3:45例えば『鳥』では
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3:45 - 3:48コロスが様々な鳥を演じ
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3:48 - 3:52アテナイの審査員達を脅します
「我々の芝居を1等にしないと -
3:52 - 3:55町で見かけた時に
お前達に糞を落としてやる」 -
3:55 - 3:58審査員達は
この冗談を面白いと思わなかったようです -
3:58 - 4:01この劇は2等でしたから
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4:01 - 4:03新しい理念を探求し
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4:03 - 4:06アテナイの社会に自己批判を促すことで
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4:06 - 4:08アリストパネスは
同胞を笑いの標的にしただけでなく -
4:08 - 4:12喜劇そのもののあり方を
決定づけました -
4:12 - 4:15一部の学者達に喜劇の父と称される
アリストパネスの影響は -
4:15 - 4:19喜劇の技法として至るところで
目にすることができ -
4:19 - 4:20ドタバタ物から
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4:20 - 4:21掛け合い漫才
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4:21 - 4:22ものまねや
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4:22 - 4:24政治的風刺劇にまで及んでいます
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4:24 - 4:28自由な言論や
一般市民の主人公達を讃えることで -
4:28 - 4:31アリストパネスの劇は笑いを誘いつつ
問題提起もしました -
4:31 - 4:37紀元前425年 クレオンに言い放った言葉は
今も共感を呼びます -
4:37 - 4:41「私は喜劇作家だから 正義を語ります
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4:41 - 4:44あなたにはそれが
どんなに耳の痛い話であっても」
- Title:
- なぜアリストパネスは喜劇の父と呼ばれるのか?―マーク・ロビンソン
- Speaker:
- マーク・ロビンソン
- Description:
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喜劇の父と言われることの多いアリストパネスは、現存する世界最古の喜劇を書きました。パロディ、歌、下ネタ、シュールな空想に溢れた彼の作品は、その後の喜劇の脚本や上演のあり方を方向づけました。マーク・ロビンソンがアリストパネスの功績を簡潔に振り返ります。
講師:マーク・ロビンソン、監督:アントン・ボガティ
*このビデオの教材:https://ed.ted.com/lessons/why-is-aristophanes-called-the-father-of-comedy-mark-robinson - Video Language:
- English
- Team:
closed TED
- Project:
- TED-Ed
- Duration:
- 04:59
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Riaki Ponist approved Japanese subtitles for Why is Aristophanes called "The Father of Comedy"? | |
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Tomoyuki Suzuki accepted Japanese subtitles for Why is Aristophanes called "The Father of Comedy"? | |
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