ウーマノミクス | キャシー・松井 | TEDxTokyo
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0:07 - 0:12(拍手) おはようございます
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0:12 - 0:15なぜ ウーマノミクスなのでしょうか?
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0:15 - 0:18遡ること1999年に
私は『ウーマノミクス』の題で -
0:18 - 0:21研究レポートを
書くことにしました -
0:21 - 0:26というのも その時も
今でも確信していますが -
0:26 - 0:33多種多様な日本の
構造的な課題へのいくつかの解決策は -
0:33 - 0:36目の前に存在していると
確信していたからです -
0:36 - 0:39それは人口の半分です
-
0:39 - 0:41多様な構造的な課題とは
何でしょうか? -
0:41 - 0:461つ目 そして最も大きな課題は
人口動態です -
0:46 - 0:49この種の統計は
皆さんもよくご存知だと思いますが -
0:49 - 0:52万一ご存知でない場合のために
振り返らせてください -
0:52 - 0:57みなさんも生きていらっしゃるであろう
2055年頃までに -
0:57 - 1:01この列島では
総人口が -
1:01 - 1:043分の1減少してしまいます
-
1:04 - 1:06その頃には
ご覧のように -
1:06 - 1:10老人の人口の割合が
-
1:10 - 1:1520%から40%超へと倍増します
-
1:15 - 1:18この統計は
恐ろしいものですよね -
1:18 - 1:21人口動態の変化はすさまじく
-
1:21 - 1:26OECD諸国の中で
子供の数よりペットの数の方が多いのは -
1:26 - 1:32日本だけなのはご存知ですか?
(笑) -
1:32 - 1:34でっち上げじゃないですよ
-
1:34 - 1:36きちんと調べ上げたものです
-
1:36 - 1:39続いて 人口動態について
世界と比べてみます -
1:39 - 1:40これは人口に占める割合で
-
1:40 - 1:44労働人口の割合です
もちろん赤線で示されているのが日本です -
1:44 - 1:48もちろん 先進国すべてで
人口動態が課題になっていますが -
1:48 - 1:52見て分かるように 日本は
労働人口の比率が縮小しており -
1:52 - 1:56他のどの国よりも
速いペースで進んでいます -
1:56 - 1:59では どんな答えや解決策が
あるでしょうか? -
1:59 - 2:02基本的には 私が知る限り
3つの策しかありません -
2:02 - 2:051つ目 出生率を上げる
-
2:05 - 2:082つ目 移民に関する法律を変える
-
2:08 - 2:133つ目 もう一度言いますと
人口の半分を効率的に使う -
2:13 - 2:171つ目については 政府が
何とかしようとしましたが -
2:17 - 2:21不幸にも 多くの若い日本人―
この会場に居る人の多くも -
2:21 - 2:23そうかもしれませんが
-
2:23 - 2:29結婚は不要だ と結論を出しています
(マイクは必要ですけどね) -
2:30 - 2:35そして 結婚していない人の割合が
上昇しているのだから -
2:35 - 2:38もちろん 出生率を上げるのは
ちょっと難しいですよね? -
2:38 - 2:402つ目は移民
-
2:40 - 2:43私は個人的には
法改正は不可避だと考えますが -
2:43 - 2:46改正にはもう少し時間が
かかりそうだと考えています -
2:46 - 2:48そうなると
3つ目しか -
2:48 - 2:51実行可能で短期的にできる
解決策は残されていません -
2:51 - 2:53良いニュースと
-
2:53 - 2:55悪いニュースがあります
-
2:55 - 3:00まずは良いニュースからです
日本の女性の労働力率は -
3:00 - 3:05現在 働いている女性は
史上最高の60%に達しています -
3:05 - 3:08私がレポートを書いた
12年前からすれば -
3:08 - 3:11進歩があって
本当に良かったと思っています -
3:11 - 3:15しかしながら 悪いニュースは
世界と比較した場合 -
3:15 - 3:17これが日本の順位です
-
3:17 - 3:20殆どの他の先進国よりも
ずっと低いのです -
3:20 - 3:22特にスカンジナビアなどの国々では
-
3:22 - 3:25労働力率が80%近くにもなっています
-
3:26 - 3:28何が問題なのでしょうか?
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3:28 - 3:321つ目の問題は
日本独特の現象で -
3:32 - 3:34「M字カーブ」と呼んでいます
-
3:34 - 3:36どんな現象でしょうか?
-
3:36 - 3:37このグラフを見ると
-
3:37 - 3:40まぁ 遅い時間になってきて
ちょっと読みにくいでしょうが -
3:40 - 3:43見てみてくださいね
これは簡単に言えば -
3:43 - 3:47横軸に 年齢 年齢層 が
書いてあって -
3:47 - 3:49縦軸に 働いている女性の
割合が書かれています -
3:49 - 3:51現在 どんな社会でも
-
3:51 - 3:55学校を出たら
労働を始めて -
3:55 - 3:58退職するまで
労働し続けるのが典型的です -
3:58 - 4:03多くの経済システムでは
このように丘のようなカーブになります -
4:03 - 4:05しかし日本では
この「谷」のようになっています -
4:05 - 4:08谷が20代後半と
-
4:08 - 4:1140代後半の間にあるのです
-
4:11 - 4:13さて 観客の皆様
考えてみてください -
4:13 - 4:16働いている方々に聞きます
-
4:16 - 4:2020代後半から40代後半という期間は
-
4:20 - 4:24どんな人のキャリアにとっても
最も生産性が上がる期間ではないですか? -
4:24 - 4:27でも日本の女性の場合には
この期間はほとんど -
4:27 - 4:30MIA つまり
行方不明です -
4:31 - 4:33より大きな問題の1つは
もちろん -
4:33 - 4:35みなさんがご存知のように
-
4:35 - 4:37M 字カーブのせいです
原因の1つは -
4:37 - 4:40日本では 多くの母親は
働かないからです -
4:40 - 4:43実に 70%の日本の母親は
-
4:43 - 4:47最初の子供を産むと
仕事を辞めてしまいます -
4:48 - 4:50国際的に見ると
-
4:50 - 4:526歳以下の子を持つ母親の場合
-
4:52 - 4:563分の1程度しか働いていません
-
4:56 - 5:02この割合がスウェーデンでは80%近くで
アメリカなら60%です -
5:03 - 5:05なぜ 働く女性が
少ないのでしょうか? -
5:05 - 5:074つの理由があります
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5:07 - 5:09保育施設と託児所
税金の構造 -
5:09 - 5:12労働多様性への注力度合
そして移民です -
5:12 - 5:14でも まずは1つ目と3つ目を
話します -
5:14 - 5:18この分野は非常に頻繁に
議論になります -
5:18 - 5:20日本でウーマノミクスを
実現するには -
5:20 - 5:22託児所が本当に
足りないのです -
5:22 - 5:25もちろん 日本政府も
-
5:25 - 5:28関連施設を増やしています
ただ 現実には -
5:28 - 5:32日本では
3歳以下の子供が -
5:32 - 5:35託児所に預けられている割合は
-
5:35 - 5:37現在28%です
-
5:37 - 5:42これがフランスでは43%で
デンマークでは60%を超えています -
5:42 - 5:47これは託児所や
家庭の外での育児ですが -
5:47 - 5:50家庭内ではどんな状況でしょうか?
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5:51 - 5:54私の夫が現状を知って
笑い出してしまいました -
5:54 - 5:57これは政府の調査結果ですが
-
5:57 - 5:59各国の父親―
-
5:59 - 6:04スウェーデン ノルウェー アメリカ
ドイツの父親が -
6:04 - 6:07育児と家事に費やした
平均時間は -
6:07 - 6:111日3時間を超えています
-
6:11 - 6:14日本では
1日1時間です -
6:14 - 6:16さらに日本の棒グラフの
赤い部分を見てみると -
6:16 - 6:20育児については
15分となっています -
6:20 - 6:23さて 男性の方 少し考えてみましょう
15分です -
6:24 - 6:26これは私の想像ですが
恐らくお風呂に入るのに -
6:26 - 6:29みなさん15分以上は
かけていますよね -
6:29 - 6:31毎日15分以上は
テレビを見ているでしょう? -
6:31 - 6:34隠さずに真実を明らかにしましょう
-
6:34 - 6:39このように 家庭でも
共同作業や助け合いに -
6:39 - 6:41大きな問題があります
-
6:41 - 6:43次に 焦点を誤った
労働多様性です -
6:43 - 6:46私はこれを
大問題と考えています -
6:46 - 6:49過去5年で
先進国の多くでは -
6:49 - 6:51具体的な進捗が見られました
-
6:51 - 6:54変化は必ずしも
ボトムアップで起こるものではなく -
6:54 - 6:57多くの場合には トップダウンで
起こす必要があります -
6:57 - 7:01社会に変化を起こすには
トップの位置に -
7:01 - 7:03変化が起こせる人を
起用する必要があります -
7:03 - 7:08日本の女性管理職の割合は
いまだに9%です -
7:08 - 7:12これは5年前の割合と
全く一緒です -
7:12 - 7:15他の国では
35から50%です -
7:15 - 7:19ロールモデルとなる人が
もっと必要なのです -
7:19 - 7:24面白いことに およそ25年前に
実は日本政府は -
7:24 - 7:30雇用機会均等法を
成立させています -
7:30 - 7:36それにも関わらず
現在日本の女性の平均収入は -
7:36 - 7:40未だに男性の収入の
3分の2程度しかありません -
7:40 - 7:42このグラフで分かるように
-
7:42 - 7:48ジェンダーによる賃金の差は
日本に限らず いたるところにあります -
7:49 - 7:52考えれば簡単に分かります
私が日本の女性だとして -
7:52 - 7:57いかに一生懸命働いて
どれだけの努力をしたとしても -
7:57 - 8:01給与や昇進の面で
常に冷遇されることが分かっています -
8:01 - 8:05私はどうしたら良いでしょう?
-
8:05 - 8:09働き続けようなんて思わないですよ
そうでしょう? -
8:09 - 8:13だから 私から見ると
均等法は表面上は法律ではありますが -
8:13 - 8:17本来行われるべきように
施行されていないのです -
8:18 - 8:21私がウーマノミクスの講演をすると
多くの人がこう尋ねます -
8:21 - 8:23「でも 本当に重要なの?」
-
8:23 - 8:27統計によれば重要だということが
明確に示されていると私は考えています -
8:27 - 8:29というのも
-
8:29 - 8:35労働多様性を推進する明確な実現策を
採用している企業を見ればわかります -
8:35 - 8:38実例として
働く母親を支援するプログラムや -
8:38 - 8:44客観的評価基準が確実に
使われるようにするプログラムなどがあります -
8:44 - 8:49これらの施策を行っている
赤の棒グラフの企業の平均利益率が -
8:49 - 8:53施策を行っていない青の棒グラフで示した
企業よりも高いことがわかります -
8:53 - 8:57でも1つ言っておきますと
日本でウーマノミクスの話をして -
8:57 - 9:01私が遭遇する最も困る障壁は
この質問です -
9:01 - 9:05「でも 松井さん
もしレポートが正しくて -
9:05 - 9:09社会で日本の女性が
もっと働くようになったとしたら -
9:09 - 9:16既に最低レベルの日本の出生率を
さらに下げることになりませんか?」 -
9:16 - 9:19これと同じことを
聞いたことのある方は? -
9:19 - 9:22そう ほとんどの人が
聞いたことがありますよね -
9:22 - 9:27「非常に良いレポートではありますが
経験的に事実と異なりますね」と言われます -
9:27 - 9:29このグラフを見てください
-
9:29 - 9:33単純なグラフです
縦軸を出生率として -
9:33 - 9:37横軸を女性の労働参加率として
グラフにしました -
9:37 - 9:40それぞれの点は見ずに
赤線を見てください -
9:40 - 9:43右肩上がりです
言い換えると -
9:43 - 9:46その国の女性の
労働参加率が高くなるほど -
9:46 - 9:49出生率が高いのです
低いなんてことはありません -
9:49 - 9:53スウェーデン アメリカ イギリス
フランス オーストラリアを見てください -
9:53 - 9:58私やこの統計が信じられないという
日本人の方もこの会場におられるでしょうが -
9:58 - 10:01これは日本でも
当てはまることです -
10:01 - 10:04これは47都道府県を
グラフにしたものです -
10:04 - 10:08全く同じ関係です
-
10:08 - 10:13沖縄 福井 長野では女性の労働参加率が
比較的高い一方で -
10:13 - 10:16比較的高い出生率となっています
-
10:16 - 10:20では ウーマノミクスを実現できた場合
何が良くなるでしょうか? -
10:20 - 10:23夢物語のようですが
少しの間お付き合いください -
10:23 - 10:26もし 日本で女性労働参加率を
上げることができたら -
10:26 - 10:31ここでは日本男性の80%に匹敵する
60%と仮定しましょう -
10:31 - 10:35これはその時の
GDP の潜在的上昇率です -
10:35 - 10:4115%です! 日本のGDP の水準を
15%も上昇させます -
10:41 - 10:44この効果なら実施する
十分な価値があると私は考えます -
10:44 - 10:46では結局何をすべきでしょうか
4つあります -
10:46 - 10:491つ目 モノの見方を変えましょう
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10:49 - 10:53ウーマノミクスを含めて労働多様性は
任意参加の活動ではだめです -
10:53 - 10:57長期的な経済成長を可能にするための
-
10:57 - 11:01企業戦略の現実的な核である必要があります
-
11:01 - 11:072つ目は柔軟性の高い勤務や
客観的な評価を行うことです -
11:07 - 11:11多くの人が女性のための柔軟な勤務を
主張していますが -
11:11 - 11:14考えてください
結婚しない日本の女性が増えると -
11:14 - 11:18これは同時に
多くの独身男性が増えることであり -
11:19 - 11:23さらにこれが一人っ子であれば
結果的には彼らの年老いた両親を -
11:23 - 11:25介護する必要が生じます
違いますか? -
11:26 - 11:28彼らも休暇をとる必要が出てきますし
-
11:28 - 11:30より柔軟な勤務形態が
必要になります -
11:30 - 11:32だから ジェンダーの問題ではありません
-
11:32 - 11:36柔軟な勤務形態は
男女 両方のためのものなのです -
11:36 - 11:413つ目は保育 託児所
移民法の規制緩和です -
11:41 - 11:44日本は1,000人の看護師を
フィリピンとインドネシアから -
11:44 - 11:48迎える政府間合意を結んでいます
素晴らしいことです -
11:48 - 11:51でも もし3年以上滞在したい場合には
どうなると思います? -
11:51 - 11:56日本に留まってビザを延長するためには
日本語で行われる日本の国家資格試験を受け -
11:56 - 11:59合格する必要があります
-
11:59 - 12:05昨年2月には 257人の看護師が試験を受け
3人が合格しました -
12:05 - 12:10もし 看護師に来てもらおうと思うなら
こんなにハードルを高くしてはダメです -
12:10 - 12:13最後は 変化を起こすのに十分な数の
ロールモデルとなる女性です -
12:13 - 12:18これは非常に重要です
実は私自身 昔はクオータ制や -
12:18 - 12:21優遇措置には大反対していました
-
12:21 - 12:24私の考えは
進化するようになりました -
12:24 - 12:29ノルウェー政府は 2004年に
クオータ制を法的に採用しました -
12:29 - 12:32この法律は ノルウェーの
上場株式会社全てが -
12:32 - 12:36取締役会に最低でも40%の女性役員を
置くべきというものでした -
12:36 - 12:39あなたがノルウェーの
ビジネス界にいたとしたら -
12:39 - 12:42その時「できっこないよ!」
と言ったことでしょう -
12:42 - 12:45「わが社の役員席数を
埋めるだけの能力を持った -
12:45 - 12:48ノルウェー女性がいない
実現しない」 -
12:48 - 12:51どうなったと思います?
1年が過ぎ -
12:51 - 12:552年が過ぎ
今ではほとんどの企業で -
12:55 - 12:58法的クオータの40%が
満たされました -
12:58 - 13:01なぜです?
実は十分な数の女性がいたからです -
13:01 - 13:03姿を消していた女性たちが
突如現れ -
13:03 - 13:05他の人たちに引き上げられて
-
13:05 - 13:08今では意思決定の重要な地位に
就いているのです -
13:08 - 13:11こんなことも
不可能ではないということです -
13:11 - 13:14そして特に日本では
現在かなり遅れていることを考えると -
13:14 - 13:17企業における女性役員数を増やすには
-
13:17 - 13:19それ以上の推進策を
取る必要があります -
13:19 - 13:23最後に この会場の女性たちには―
-
13:23 - 13:24多くの女性がいることは素晴らしいことです
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13:24 - 13:28もし今日の私のトークの内容を
全く覚えていなくても -
13:28 - 13:331つだけ覚えてください
女性の出世の壁 ガラスの天井などないのだと -
13:33 - 13:36あるのは分厚い男たちの壁だけです
-
13:36 - 13:39どうもありがとうございます
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13:39 - 13:41(拍手)
- Title:
- ウーマノミクス | キャシー・松井 | TEDxTokyo
- Description:
-
日本という国は、人口と労働力両方の減少と高齢化に伴い、様々な構造的な課題を抱えています。ひとつの解決策は、人口の半分をもっと効率的に使うことです。より多くの女性が働くと、すでに非常に低い日本の出生率をさらに低下させると考えるのは根拠のない説に過ぎないのです。キャシー・松井は「女性の出世の壁、ガラスの天井(glass ceiling)なんてなくて、あるのはただの厚い男性の壁です」と主張し、変化の必要性を訴えます。
- Video Language:
- English
- Team:
closed TED
- Project:
- TEDxTalks
- Duration:
- 13:44
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