オープンデータは国際援助をどう変えるのか
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0:00 - 0:05私はビハール州で育ちました
インドで最も貧しい州です -
0:05 - 0:096歳の時のことを 覚えています
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0:09 - 0:13ある日 学校から帰ると 玄関の前に
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0:13 - 0:18最高においしいお菓子で
いっぱいのカートがありました -
0:18 - 0:21兄弟でむさぼるように食べていると
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0:21 - 0:25そこに父が帰って来て
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0:25 - 0:30激怒され どんなに泣いたか
いまでも覚えています -
0:30 - 0:34半分食べかけのお菓子を
乗せたままカートは -
0:34 - 0:37とりあげられてしまいました
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0:37 - 0:42あとで父がなぜ あんなに
怒ったのかわかりました -
0:42 - 0:46そのお菓子は賄賂だったのです
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0:46 - 0:49業者が父に
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0:49 - 0:53州政府の契約を発注させるものでした
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0:53 - 0:57父はビハール州の道路建設の責任者で
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0:57 - 1:02汚職に対して厳しい態度で
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1:02 - 1:06いやがらせや脅迫があっても
立ち向かっていました -
1:06 - 1:09それは孤独な戦いでした
なぜならビハール州は -
1:09 - 1:13インドで最も腐敗した州
でもあったからです -
1:13 - 1:17州の役人たちは汚職で金持ちになり
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1:17 - 1:21貧しい人々の役に
立とうとしませんでした -
1:21 - 1:25むしろ貧しい人々は子供たちが
食物も学校もない苦痛を -
1:25 - 1:29訴えるすべがなかったのです
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1:29 - 1:33私がそれを切実に経験したのは
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1:33 - 1:39貧困を研究するために
田舎の村を訪ねた時です -
1:39 - 1:43村から村をまわっていた時
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1:43 - 1:50ある日 空腹と疲れから
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1:50 - 1:52倒れそうになりました
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1:52 - 1:55そこは木の下の焼けつくような場所でした
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1:55 - 2:01ちょうどその時 村の
最も貧しい人の一人が -
2:01 - 2:07私を小屋に招き入れ
親切に食物を与えてくれたのです -
2:07 - 2:12後に分かったのですが その食物は
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2:12 - 2:17彼の全家族の食事の2日分でした
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2:17 - 2:22この寛容な深い恵みが
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2:22 - 2:27私の心を揺さぶり
生きる目的そのものを変えたのです -
2:27 - 2:31私はこの慈悲に報いようと決めました
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2:31 - 2:35その後 私は世界銀行に入りました
富裕国から貧困国へと -
2:35 - 2:41支援を届けることで
貧困と戦う組織でした -
2:41 - 2:46私の最初の担当はウガンダでした
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2:46 - 2:50ウガンダの財務省に改革を
促すことに注力し -
2:50 - 2:53ローンを得ることができました
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2:53 - 2:56しかしローンの貸出後に
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2:56 - 3:01ウガンダを旅した時にみた
真新しい学校を覚えています -
3:01 - 3:04そこには教科書も教師も
なかったのです -
3:04 - 3:06新しい診療所には薬がなく
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3:06 - 3:12貧しい人々はそこでも孤立無援で
訴えも頼るものもありませんでした -
3:12 - 3:16まるでビハール州の状況の再現でした
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3:16 - 3:20ビハール州は開発の困難さを体現しており
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3:20 - 3:24汚職にまみれた絶望的な貧困状態です
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3:24 - 3:28世界的に 13億人の人々が
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3:28 - 3:33一日1.25ドル以下の生活をしています
ウガンダでの私の仕事は -
3:33 - 3:38この貧困問題への典型的な
アプローチでした -
3:38 - 3:42これは1944年から実施されており
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3:42 - 3:48第二次世界大戦の勝者で
創立の父 500人と -
3:48 - 3:51創立の母 たった1人が
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3:51 - 3:53アメリカのニューハンプシャー州に
集結して -
3:53 - 3:56ブレトンウッズ体制を設立し
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3:56 - 3:58その中に世界銀行が含まれていました
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3:58 - 4:01この開発の伝統的アプローチには
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4:01 - 4:053つ要素が鍵でした
まず資源の移転すること -
4:05 - 4:07北側の豊かな国から
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4:07 - 4:10南側の貧しい国に
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4:10 - 4:12改革の処方箋をつけて
移転させます -
4:12 - 4:162番目に 資源の移転を
仲介する開発機関が -
4:16 - 4:21不明瞭で
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4:21 - 4:25投資目的と成果が
不透明でした -
4:25 - 4:28そして3番目は 開発途上国での関与が
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4:28 - 4:32一部の役人のエリートに限られ
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4:32 - 4:35まさに開発援助の恩恵を
受けるべき市民との -
4:35 - 4:39対話がほどんどなかったことです
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4:39 - 4:44今日 これらの要素が
明らかになってきました -
4:44 - 4:47世界の状況が大きく変化したからです
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4:47 - 4:51オープンな知識 オープンな援助
オープンな意思決定 -
4:51 - 4:54またこれらと共に 3つの要素は変わり
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4:54 - 4:57開発援助を変化させ
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4:57 - 5:01ウガンダやビハールで
私が見た問題に対し -
5:01 - 5:05大きな希望を抱かせてくれます
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5:05 - 5:08最初の変化の鍵は
オープンな知識です -
5:08 - 5:12ご存知のように 今日の
開発途上国は単純に -
5:12 - 5:16米国やヨーロッパや世界銀行に
与えられた解決策を -
5:16 - 5:19受け取るわけではありません
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5:19 - 5:22彼らは創造性と 自身の希望と
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5:22 - 5:24実践的なノウハウを獲得しました
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5:24 - 5:28南側諸国の経済発展の
成功によって得られたものです -
5:28 - 5:33彼らが知りたいのは
中国の5億人もの人々が -
5:33 - 5:3630年前の貧困から
いかに離脱できたのか -
5:36 - 5:39メキシコにおける貧困政策
(Oportunidades)が -
5:39 - 5:44いかに数百万人の子供達の教育と
栄養状態を改善できたのか -
5:44 - 5:50これはオープンな知識による
新たなエコシステム(生態系)であり -
5:50 - 5:54単に北から南でなく
南から南へ -
5:54 - 5:57そして南から北へ向かう流れなのです
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5:57 - 6:03メキシコの貧困政策はいま
ニューヨークでも注目されています -
6:03 - 6:06この南北間の知識の移転が始まったように
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6:06 - 6:09それらの移転を支えた開発機関にも
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6:09 - 6:12変化が始まっています
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6:12 - 6:16この2つ目の変化は オープンな援助です
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6:16 - 6:19最近 世界銀行はデータを公開し
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6:19 - 6:24200ヶ国で50年以上にわたる
8000もの経済・社会指標の -
6:24 - 6:28一般利用を可能にしました
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6:28 - 6:32さらにデータを利用した革新的アプリの
開発をクラウドソース(業務委託)する -
6:32 - 6:36世界規模のコンペを発表しました
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6:36 - 6:39今さらに 開発機関は
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6:39 - 6:43投資計画を公開調査できるよう
公表しています -
6:43 - 6:47ジオマッピングで ケニアの地図を見ると
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6:47 - 6:52赤い点のように資金提供で
建設された学校と -
6:52 - 6:56濃い緑色で示した
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6:56 - 6:59未就学児童が多い地域が
一目で分かります -
6:59 - 7:04この簡単なマッシュアップ技術で
資金援助者は -
7:04 - 7:06この地域の学校はまだ
資金援助がなく -
7:06 - 7:09ほとんどが未就学児童だと知らされ
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7:09 - 7:13新たな課題として開発援助が
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7:13 - 7:17最も必要な人々に向いているか
と問いかけます -
7:17 - 7:22このように世界銀行は
143ヶ国 3万のプロジェクトを -
7:22 - 7:25ジオマップにまとめ
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7:25 - 7:28資金援助者が共通のプラットフォームで
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7:28 - 7:31全ての援助プロジェクトを
確認するようになりました -
7:31 - 7:36これにより援助の透明性と
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7:36 - 7:39説明責任が格段に進歩しました
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7:39 - 7:42さらにこれが私の見解では
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7:42 - 7:45開発における最も重要なシフトを導きました
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7:45 - 7:503番目のオープンなガバナンス
(意思決定)です -
7:50 - 7:53政府は今日 市民が求める声明と
説明責任を開示しています -
7:53 - 7:58アラブの春からインドの
アンナハザレア運動まで -
7:58 - 8:00携帯電話やソーシャルメディアを使い
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8:00 - 8:03単に政治的な説明責任だけでなく
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8:03 - 8:07開発の説明責任をも 追及しています
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8:07 - 8:11では政府は国民にサービスを
提供しているのか? -
8:11 - 8:16例えば アフリカと東ヨーロッパの
いくつかの政府は -
8:16 - 8:21予算を一般公開しました
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8:21 - 8:24しかしご存じのように
公表されている予算と -
8:24 - 8:28利用できる予算に
大きな差があります -
8:28 - 8:33これは公表されている予算です
(笑) -
8:33 - 8:36ご覧のように実際に触れられず
-
8:36 - 8:39一般市民には その資源の
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8:39 - 8:44政府の利用計画が 理解されないのです
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8:44 - 8:48そこで解決策として 政府は新たに
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8:48 - 8:52予算を可視化して
一般に分かりやすくするツールを -
8:52 - 8:55利用しています
-
8:55 - 8:59このモルドバの地図上の緑色は
-
8:59 - 9:03教育支出が少なくても
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9:03 - 9:05優れた教育効果が出ている地域を示し
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9:05 - 9:08赤色はその反対を示しています
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9:08 - 9:15このようなツールは 不可解な書類で
いっぱいの棚を -
9:15 - 9:19だれでも見て わかるようにし
-
9:19 - 9:22さらに素晴らしいことに
この公開によって -
9:22 - 9:26今日の市民にフィードバックと
-
9:26 - 9:30政府に携わる機会を与えました
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9:30 - 9:34フィリピンでも 親たちや生徒達が
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9:34 - 9:38ウェブサイト上でリアルタイムに
フィードバックできます -
9:38 - 9:43「Checkmyschool.org」や
SMS(ショートメッセージサービス)で -
9:43 - 9:46学校に先生や教科書が
整備されているかどうか -
9:46 - 9:51これはまさに私が目撃した
ウガンダやビハール州の問題です -
9:51 - 9:54政府の対応が迅速だった例もあります
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9:54 - 9:58このサイトに報告された
800名の生徒が -
9:58 - 10:02学校の修理が汚職で中断し
危険な状況だ -
10:02 - 10:05というレポートに対して
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10:05 - 10:08フィリピンの教育省は
素早く行動しました -
10:08 - 10:12素晴らしいことに この革新は
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10:12 - 10:16今や南側諸国から南へ フィリピンから
-
10:16 - 10:21インドネシア、ケニア、モルドバ、さらにその先まで
広がり続けています -
10:21 - 10:25タンザニアのダルエスサラームの
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10:25 - 10:28貧困コミュニティでさえ これらのツールで
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10:28 - 10:31その願望を主張できるのです
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10:31 - 10:34これは(ダルエスサラームの)
タンデール地区の2011年8月の地図です -
10:34 - 10:39これが数週間のうちに
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10:39 - 10:43大学生達が携帯電話と
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10:43 - 10:48オープンソースなプラットフォームを使い
全てのコミュニティ の -
10:48 - 10:51インフラが描かれた飛躍的な地図に
することができました -
10:51 - 10:56エキサイティングなことに
市民がそこで -
10:56 - 11:01どの保健衛生拠点や給水所が
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11:01 - 11:03機能していないかフィードバックすれば
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11:03 - 11:06赤い点で集計されて
可視化できるのです -
11:06 - 11:11これにより貧い人々の声が
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11:11 - 11:15視覚的効果と共に 届けられました
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11:15 - 11:21今日ビハール州でさえ転換が起き
オープンになろうとしています -
11:21 - 11:24熱意あるリーダーシップのもとで
政府を透明化し -
11:24 - 11:29貧しい人々に 理解しやすく
すぐに対応するように -
11:29 - 11:32しかし世界の多くの地域では
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11:32 - 11:35政府が情報公開や
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11:35 - 11:40貧困への援助に興味を持たないので
-
11:40 - 11:45仕組みを変えようとする人々には
まさに挑戦なのです -
11:45 - 11:48彼らは孤独な戦士です
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11:48 - 11:52私の父や他の多くの人々のように
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11:52 - 11:55開発援助を切り開く鍵となるのは
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11:55 - 12:00これらの孤独な戦士と手を携えて
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12:00 - 12:04共に不正と戦うことです
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12:04 - 12:08例えば今日 ガーナの市民組織の
勇敢な改革者たちと -
12:08 - 12:12議会と政府が
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12:12 - 12:16石油部門にて透明な
契約をするための -
12:16 - 12:20同盟を結びました
これに感化され -
12:20 - 12:25議会の改革者達がいま
疑惑のある契約を調査中です -
12:25 - 12:30これらの事例は新たな希望と
新たな可能性をもたらします -
12:30 - 12:34私がウガンダで見た問題や
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12:34 - 12:39父がビハール州で直面した問題に対してです
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12:39 - 12:462年前 2010年4月8日
私は父を訪ねました -
12:46 - 12:51それは夜遅くでしたが 80歳の父は
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12:51 - 12:5670ページにおよぶ
道路計画の汚職に対する -
12:56 - 12:59告訴状をタイプしていました
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12:59 - 13:04父は弁護士でもないのに
法廷でこの件を争い -
13:04 - 13:08翌日 勝訴しました
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13:08 - 13:10しかし まさにその日の午後
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13:10 - 13:15父は倒れ 亡くなりました
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13:15 - 13:20彼は最後まで戦い続け
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13:20 - 13:24腐敗や貧困への闘争に対し
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13:24 - 13:28誠実であるべき政府の
役人だけでなく -
13:28 - 13:31その声を届かせるために
集い参加すべき市民にも -
13:31 - 13:34高まる情熱を注ぎました
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13:34 - 13:39これらは彼の人生の両端の
ブックエンドのようでした -
13:39 - 13:41その間を旅する人生は
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13:41 - 13:46開発環境の変化を映す鏡でした
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13:46 - 13:51今 私はこの変化に鼓舞され
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13:51 - 13:54世界銀行が 20年前の
私のウガンダの仕事から -
13:54 - 13:57私達が抱いていた
2つの新たな方向へ -
13:57 - 14:01大きな出発をした事に
興奮しています -
14:01 - 14:05私達は開発を大々的に
公開する必要があります -
14:05 - 14:08そうすれば知識が多方面へ広がり
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14:08 - 14:12実務者を鼓舞し
援助は透明化されて -
14:12 - 14:17説明可能で効率的なものなります
政府はオープン化し -
14:17 - 14:21政府の改革によって市民が
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14:21 - 14:22関与でき権限を与えられます
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14:22 - 14:25この変化を加速する必要があります
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14:25 - 14:30もし実現すれば
貧しい人々みんなの声が -
14:30 - 14:35ビハールに響きわたるでしょう
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14:35 - 14:37ウガンダにも そして世界中にも
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14:37 - 14:41きっと教科書があり 先生のいる学校が
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14:41 - 14:44子供たちのために整備されるでしょう
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14:44 - 14:48子供たちもまた
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14:48 - 14:54実際に貧困を抜け出す
チャンスをつかめるのです -
14:54 - 14:58ありがとうございました(拍手)
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14:58 - 15:00(拍手)
- Title:
- オープンデータは国際援助をどう変えるのか
- Speaker:
- サンジャイ・プラハン
- Description:
-
どうすれば経済開発や援助資金が実際にそれを最も必要としている人々に届いたことを証明できるでしょうか? 世界銀行のサンジャイ・プラハンは汚職防止に対し取り組みを容易にしつつインパクトを最大化する3つのガイドラインを提起します。一つの鍵は、壊れた国際援助の仕組みを変革しようとする人々と、彼らが必要なデータを結びつけることです。
- Video Language:
- English
- Team:
- closed TED
- Project:
- TEDTalks
- Duration:
- 14:26
Natsuhiko Mizutani approved Japanese subtitles for How open data is changing international aid | ||
Natsuhiko Mizutani edited Japanese subtitles for How open data is changing international aid | ||
Natsuhiko Mizutani edited Japanese subtitles for How open data is changing international aid | ||
Natsuhiko Mizutani edited Japanese subtitles for How open data is changing international aid | ||
Natsuhiko Mizutani edited Japanese subtitles for How open data is changing international aid | ||
Natsuhiko Mizutani edited Japanese subtitles for How open data is changing international aid | ||
Maki Sugimoto accepted Japanese subtitles for How open data is changing international aid | ||
Maki Sugimoto edited Japanese subtitles for How open data is changing international aid |