Return to Video

【26分解説】ツァラトゥストラ|ニーチェ ~無敵の自己肯定感を生み出す、究極の思想とは?~

  • 0:00 - 0:02
    はい!どうもアバタローです。
  • 0:02 - 0:04
    本日はドイツの哲学者
  • 0:04 - 0:07
    ニーチェの[ツァラトゥストラ]
    こちらをご紹介いたします。
  • 0:07 - 0:08
    どんな作品かと言いますと
  • 0:08 - 0:10
    人生を前向きに
  • 0:10 - 0:12
    肯定的に生きぬく力を与えてくれる
  • 0:12 - 0:14
    世界的名著でございます。
  • 0:14 - 0:18
    まず、どういった方に
    お役に立ちそうな内容なのかをお伝え致します。
  • 0:18 - 0:20
    [自分の人生に意義を見出せない]
  • 0:20 - 0:22
    [気の弱い自分を吹き飛ばしたい]
  • 0:22 - 0:24
    [もう一回人生をやり直したい]
  • 0:24 - 0:26
    [自己肯定感の低さをどうにかしたい]
  • 0:26 - 0:28
    これに1個でも当て嵌まれば、
  • 0:28 - 0:31
    ニーチェについて全くご存じない方でも
  • 0:31 - 0:34
    今回の動画は見ていただく価値はあると思います。
  • 0:34 - 0:37
    ここ数年、自己肯定感について悩んでいる方が多く
  • 0:37 - 0:40
    巷にはそういったジャンルの本が
    溢れていますよね。
  • 0:40 - 0:43
    ただ、色んなテクニックや知識を仕入れても
  • 0:43 - 0:45
    あまり効果が見られなかったのであれば
  • 0:45 - 0:48
    「ニーチェ」という
    劇薬に頼るのもひとつの解決策です。
  • 0:48 - 0:52
    といいますのも、ニーチェ哲学のテーマは
    [生の肯定]であり、
  • 0:52 - 0:56
    徹底的に自分の人生を
    肯定することを説いているんです。
  • 0:56 - 0:59
    そして、本日ご紹介をさせていただく
    [ツァラトゥストラ]は、
  • 0:59 - 1:01
    ニーチェ哲学の集大成であり、
  • 1:01 - 1:04
    人生のネガティブループを強制終了させる
  • 1:04 - 1:07
    最強の劇薬であるというわけです。
  • 1:07 - 1:09
    ニーチェは本書について
    次のように述べています。
  • 1:09 - 1:11
    私は、[ツァラトゥストラ]を書くことにより
  • 1:11 - 1:14
    これまで人類に贈られた
    [最大の贈物]をした。
  • 1:14 - 1:17
    何千年先にも届く声を持ったこの本は、
  • 1:17 - 1:20
    およそありうる限り、最高の書物である。
  • 1:20 - 1:23
    ここで、彼が何故こういった独特な表現を使い
  • 1:23 - 1:26
    自信に満ち溢れた
    発言をしているかについては、
  • 1:26 - 1:29
    動画の後半に行くにつれて
    見えてくると思います。
  • 1:29 - 1:32
    因みに、難しい話かもしれないとご心配の方。
  • 1:32 - 1:33
    大丈夫です。
  • 1:33 - 1:36
    哲学に関する知識は一切要りません。
  • 1:36 - 1:37
    手ぶらでオーケーでございます。
  • 1:37 - 1:41
    お茶でも飲みながらリラックスして
    ぜひ最後まで、楽しんで行ってください。
  • 1:41 - 1:42
    それでは、参りましょう。
  • 1:42 - 1:44
    ニーチェ[ツァラトゥストラ]
  • 1:44 - 1:45
    まず、どういった流れで
  • 1:45 - 1:49
    お話をさせていただくか
    整理をしておきたいと思います。
  • 1:49 - 1:50
    大きく3つです。
  • 1:50 - 1:51
    [1. ニーチェの生涯]
    [-本日の内容-]
  • 1:51 - 1:52
    [2. ツァラトゥストラについて]
    [-本日の内容-]
  • 1:52 - 1:53
    [3. 運命愛]
    [-本日の内容-]
  • 1:53 - 1:56
    以上、3つのテーマに沿って
    進めてまいります。
  • 1:56 - 1:59
    というわけで早速
    ひとつ目から見て行きましょう。
  • 1:59 - 2:00
    フリードリヒ・ニーチェ。
    [フリードリヒ・ニーチェの生涯]
  • 2:00 - 2:02
    彼は1844年。
    [フリードリヒ・ニーチェの生涯]
  • 2:02 - 2:05
    ドイツの前身であるプロイセンの東部にある
  • 2:05 - 2:07
    レッケンという小さな村で
  • 2:07 - 2:09
    牧師の息子として生まれました。
  • 2:09 - 2:11
    ただ、彼は見た目は子供。
  • 2:11 - 2:13
    頭脳は大人という、所謂「天才少年」でして
  • 2:13 - 2:15
    勉強はできる。
    [ニーチェは規格外の天才だった]
  • 2:15 - 2:16
    作曲もできる。
    [ニーチェは規格外の天才だった]
  • 2:16 - 2:17
    詩も書ける。
    [ニーチェは規格外の天才だった]
  • 2:17 - 2:19
    しかもセンスは抜群。
    [ニーチェは規格外の天才だった]
  • 2:19 - 2:20
    と言うように、始めから
    [ニーチェは規格外の天才だった]
  • 2:20 - 2:22
    普通の子供ではなかったと言います。
    [ニーチェは規格外の天才だった]
  • 2:22 - 2:24
    そして、20代の半ばという若さで
  • 2:24 - 2:28
    スイスにあるバーゼル大学の
    教授に就任します。
  • 2:28 - 2:31
    しかも当時の彼は、教員資格も博士号もなく、
    [20代半ばでバーゼル大学教授]
  • 2:31 - 2:33
    ただの学生という立場で
    [20代半ばでバーゼル大学教授]
  • 2:33 - 2:34
    教授に推薦されたそうです。
    [20代半ばでバーゼル大学教授]
  • 2:34 - 2:37
    如何にニーチェが、並外れた存在であったかが
    [20代半ばでバーゼル大学教授]
  • 2:37 - 2:38
    よく分かります。
  • 2:38 - 2:42
    ただ、常に右肩上がりといかないのが
    人生でございます。
  • 2:42 - 2:46
    ニーチェの快進撃は
    30歳手前ぐらいでピタッ!と止まり
  • 2:46 - 2:49
    そこから数々の試練が
    怒涛の如く彼を襲います。
  • 2:49 - 2:53
    苦労して書き上げた書籍はことごとく売れない。
    [天才哲学者の苦悩]
  • 2:53 - 2:55
    授業をやっても学生は来ない。
    [天才哲学者の苦悩]
  • 2:55 - 2:57
    教授に推薦してくれた恩師、
    [天才哲学者の苦悩]
  • 2:57 - 2:59
    そして友人からも見放され、
    [天才哲学者の苦悩]
  • 2:59 - 3:01
    更に慢性的な頭痛に加え、
    [天才哲学者の苦悩]
  • 3:01 - 3:03
    胃の痛み、吐き気も治まらない。
    [天才哲学者の苦悩]
  • 3:03 - 3:05
    そのうえ女性関係も上手く行かない。
    [天才哲学者の苦悩]
  • 3:05 - 3:07
    もう絶不調が止まりません。
    [天才哲学者の苦悩]
  • 3:07 - 3:10
    そしてそんな、呪いがかかったような状態の中、
  • 3:10 - 3:14
    彼は渾身の力を込めて、1冊の本を生み落とします。
  • 3:14 - 3:16
    それが、[ツァラトゥストラ]
  • 3:16 - 3:19
    ただこの本、タイトルがちょっと怪しすぎて
    [ツァラトゥストラ・・・売れず]
  • 3:19 - 3:21
    あまり手に取る気が起きません。
    [ツァラトゥストラ・・・売れず]
  • 3:21 - 3:23
    しかも内容も正直言って、理解し難いです。
    [ツァラトゥストラ・・・売れず]
  • 3:23 - 3:25
    ですので、本人の期待とは裏腹に、
    [ツァラトゥストラ・・・売れず]
  • 3:25 - 3:27
    当時、全く売れなかったんです。
    [ツァラトゥストラ・・・売れず]
  • 3:27 - 3:29
    しかも、よりによって4部構成にして、
    [ツァラトゥストラ・・・売れず]
  • 3:29 - 3:31
    4冊に分けて気合を入れて出版したんです。
    [ツァラトゥストラ・・・売れず]
  • 3:31 - 3:33
    その結果、爆死です!
    [ツァラトゥストラ・・・売れず]
  • 3:33 - 3:35
    特に最後の第4部は、
    [ツァラトゥストラ・・・売れず]
  • 3:35 - 3:38
    余りに売れなさ過ぎて自分で知り合いに、
    [ツァラトゥストラ・・・売れず]
  • 3:38 - 3:40
    これを貰ってやってくれないかと
    [ツァラトゥストラ・・・売れず]
  • 3:40 - 3:41
    配り歩いていたそうです。
    [ツァラトゥストラ・・・売れず]
  • 3:41 - 3:43
    そんな状況の中、流石のニーチェも
    [ツァラトゥストラ・・・売れず]
  • 3:43 - 3:46
    もう本なんか書くかと、腐ってしまうのかと思いきや
    [ツァラトゥストラ・・・売れず]
  • 3:46 - 3:49
    なんと彼は、そのまま筆を握り続け、
    [ニーチェの執念]
  • 3:49 - 3:51
    次々と著作を生み出していきます。
    [ニーチェの執念]
  • 3:51 - 3:54
    しかも、それらの作品のほとんどが
    [ニーチェの執念]
  • 3:54 - 3:57
    あの滑りに滑った[ツァラトゥストラ]を補足し、
    [ニーチェの執念]
  • 3:57 - 3:59
    解説するという書籍なんです。
    [ニーチェの執念]
  • 3:59 - 4:00
    凄い執念です!
    [ニーチェの執念]
  • 4:00 - 4:01
    どれだけ彼が、本作に
    [ニーチェの執念]
  • 4:01 - 4:04
    魂を込めていたかが伺えます。
    [ニーチェの執念]
  • 4:04 - 4:07
    しかし、そんな力強い精神を持ったニーチェも
    [ニーチェの執念]
  • 4:07 - 4:08
    遂に限界を迎えます。
    [ニーチェの執念]
  • 4:08 - 4:10
    1889年
    [ニーチェの限界]
  • 4:10 - 4:13
    彼が45歳を迎える年の頃です。
    [ニーチェの限界]
  • 4:13 - 4:15
    滞在していたイタリアトリノの広場で
    [ニーチェの限界]
  • 4:15 - 4:16
    事件は起こりました。
    [ニーチェの限界]
  • 4:16 - 4:17
    一説によると、
    [ニーチェの限界]
  • 4:17 - 4:20
    鞭でバンバン叩かれている馬に駆け寄り、
  • 4:20 - 4:23
    その馬の首を泣いて抱きしめながら発狂し、
  • 4:23 - 4:25
    そして、意識を失ってしまったと言われています。
    [ニーチェの精神崩壊]
  • 4:25 - 4:28
    幸い意識は戻ったのですが、
    [ニーチェの精神崩壊]
  • 4:28 - 4:30
    彼の心は完全にこの時壊れてしまい、
    [ニーチェの精神崩壊]
  • 4:30 - 4:32
    二度と元のニーチェに
    [ニーチェの精神崩壊]
  • 4:32 - 4:33
    戻ることはありませんでした。
    [ニーチェの精神崩壊]
  • 4:33 - 4:35
    ただ、運命とは皮肉なもので、
    [酷評が一転、再評価へ]
  • 4:35 - 4:38
    実はこのタイミングになって、ようやくニーチェの
    [ニーチェの精神崩壊]
  • 4:38 - 4:40
    著作に対する評価が高まって来るんです。
    [ニーチェの精神崩壊]
  • 4:40 - 4:43
    「ニーチェ文庫」という出版社まで出来て、
    [ニーチェの精神崩壊]
  • 4:43 - 4:44
    本もバンバン売れていきます。
    [ニーチェの精神崩壊]
  • 4:44 - 4:47
    しかし、ニーチェに
    どれだけ今の状況を言い聞かせても
  • 4:47 - 4:49
    何も認識することができないのです。
  • 4:49 - 4:53
    そして精神に異常がで始めてから約10年後。
  • 4:53 - 4:54
    55歳という若さで
  • 4:54 - 4:57
    ニーチェは天に旅立って行ったというわけです。
  • 4:57 - 5:00
    ニーチェの人生について、超高速で見てきましたが
    [ニーチェの生涯については以上です]
  • 5:00 - 5:02
    ここまでよろしいでしょうか。
    [ニーチェの生涯については以上です]
  • 5:02 - 5:03
    以上のストーリーを踏まえたうえで、
    [ニーチェの生涯については以上です]
  • 5:03 - 5:07
    彼が渾身の力を込めて生み落とした最高傑作。
  • 5:07 - 5:09
    [ツァラトゥストラ]について
    見て行きたいと思います。
  • 5:09 - 5:11
    まず簡単に、どういったお話かといいますと、
    [ツァラトゥストラとは?]
  • 5:11 - 5:13
    「ツァラトゥストラ」というおじさんが
    [ツァラトゥストラとは?]
  • 5:13 - 5:15
    10年間山籠もりをし、
    [ツァラトゥストラとは?]
  • 5:15 - 5:17
    孤独の中で知恵を蓄え、
    [ツァラトゥストラとは?]
  • 5:17 - 5:19
    それを他の人間たちにも分けてやりたいと言って
    [ツァラトゥストラとは?]
  • 5:19 - 5:21
    下山をする。
    [ツァラトゥストラとは?]
  • 5:21 - 5:23
    そして、その中で様々な人と出会い、
    [ツァラトゥストラとは?]
  • 5:23 - 5:25
    語り合いながら自分の知恵を
    [ツァラトゥストラとは?]
  • 5:25 - 5:27
    分け与えて行く、といったお話です。
    [ツァラトゥストラとは?]
  • 5:27 - 5:29
    因みにこの[ツァラトゥストラ]というのは、
    [ツァラトゥストラとは?]
  • 5:29 - 5:32
    ゾロアスター教の開祖であるゾロアスターを
    [ツァラトゥストラとは?]
  • 5:32 - 5:33
    ドイツ語読みしたものです。
    [ツァラトゥストラとは?]
  • 5:33 - 5:36
    ただ、「ニーチェ哲学」と「ゾロアスター教」は
    [ツァラトゥストラとは?]
  • 5:36 - 5:37
    全然関係がありませんので、
    [ツァラトゥストラとは?]
  • 5:37 - 5:39
    ここはスルーしていただいて大丈夫です。
    [ツァラトゥストラとは?]
  • 5:39 - 5:42
    大事なのは、ツァラトゥストラというおじさんが
    [ツァラトゥストラとは?]
  • 5:42 - 5:44
    ニーチェの分身である、ということです。
    [ツァラトゥストラとは?]
  • 5:44 - 5:47
    ですから、山から下りて来たツァラトゥストラが
    [ツァラトゥストラとは?]
  • 5:47 - 5:49
    人々に語っていることは全て
    [ツァラトゥストラとは?]
  • 5:49 - 5:50
    ニーチェの言葉として
    [ツァラトゥストラとは?]
  • 5:50 - 5:52
    捉えてえていただく必要があるわけです。
    [ツァラトゥストラとは?]
  • 5:52 - 5:54
    では早速、見て行きましょう。
  • 5:54 - 5:56
    まず、山から下りて来たツァラトゥストラは、
    [ツァラトゥストラ、降臨]
  • 5:56 - 5:59
    森の麓で1人の老人と出会います。
    [ツァラトゥストラ、降臨]
  • 5:59 - 6:02
    そして、「あなたは森で何をしているのか」と
    [ツァラトゥストラ、降臨]
  • 6:02 - 6:03
    尋ねるのです。
    [ツァラトゥストラ、降臨]
  • 6:03 - 6:05
    するとその老人は、歌を歌ったりして
    [ツァラトゥストラ、降臨]
  • 6:05 - 6:08
    神様を讃えたりしているんですよと
    [ツァラトゥストラ、降臨]
  • 6:08 - 6:10
    答えるのですが、これに対しツァラトゥストラは
    [ツァラトゥストラ、降臨]
  • 6:10 - 6:12
    とんでもない衝撃を受けます。
    [ツァラトゥストラ、降臨]
  • 6:12 - 6:14
    そして、心の中で
    [ツァラトゥストラ、降臨]
  • 6:14 - 6:15
    次のように呟きました。
    [ツァラトゥストラ、降臨]
  • 6:15 - 6:18
    「あり得ない!この老人は、まだ
    [老人の言葉に驚愕!!]
  • 6:18 - 6:20
    あのことを誰からも聞いていないのか」
    [老人の言葉に驚愕!!]
  • 6:20 - 6:22
    [神は死んだ]ということを...」
  • 6:22 - 6:24
    はい!ここでストップします。
    [「神は死んだ」とは?]
  • 6:24 - 6:27
    早速、有名なセリフが出てきました。
    [「神は死んだ」とは?]
  • 6:27 - 6:28
    「神は死んだ」
    [「神は死んだ」とは?]
  • 6:28 - 6:31
    ニーチェを知らない方もこのパワーワードは
    [「神は死んだ」とは?]
  • 6:31 - 6:33
    聞いたことがあるんじゃないでしょうか。
    [「神は死んだ」とは?]
  • 6:33 - 6:35
    では、この「神は死んだ」というこの言葉。
    [「神は死んだ」とは?]
  • 6:35 - 6:37
    これは一体、どういう意味なんでしょうか。
    [「神は死んだ」とは?]
  • 6:37 - 6:38
    簡単に言ってしまいますと、
    [「神は死んだ」とは?]
  • 6:38 - 6:41
    もうこの世の中には、絶対的な真理や
    [「神は死んだ」とは?]
  • 6:41 - 6:43
    価値なんてものは "ない!"と言っているんです。
    「神は死んだ」とは?]
  • 6:43 - 6:46
    自然科学が発達する前の人類は、
    「神は死んだ」とは?]
  • 6:46 - 6:49
    自分たちの頭で理解できない事柄については、
    「神は死んだ」とは?]
  • 6:49 - 6:53
    神のなせる業、神の意図であると解釈をし
    「神は死んだ」とは?]
  • 6:53 - 6:54
    納得をして来ました。
    「神は死んだ」とは?]
  • 6:54 - 6:57
    ところがその、神の深淵なる意図を解明しようと
    「神は死んだ」とは?]
  • 6:57 - 6:59
    人類は科学技術を発達させ、
  • 6:59 - 7:02
    神の存在を前提とする世界観を
  • 7:02 - 7:04
    自らの手によって
    破壊してしまったわけです。
  • 7:04 - 7:06
    例えば「天動説」
  • 7:06 - 7:08
    地球は宇宙の中心であり、その他の天体は、
  • 7:08 - 7:12
    この地球の周りを
    グルグル回っているだけだというこの説は、
  • 7:12 - 7:14
    中世のキリスト教世界においては、
    [天動説は絶対的な真理]
  • 7:14 - 7:16
    まさに、絶対的「真理」でした。
    [天動説は絶対的な真理]
  • 7:16 - 7:18
    反対意見を言おうものなら、
    [天動説は絶対的な真理]
  • 7:18 - 7:19
    もう大変なことになってしまいます。
    [天動説は絶対的な真理]
  • 7:19 - 7:22
    しかし地動説という科学に基づいた
    [神を前提とする世界観が崩れていった]
  • 7:22 - 7:24
    新たな解釈が生まれたことによって
    [神を前提とする世界観が崩れていった]
  • 7:24 - 7:27
    ジワリジワリと、神を前提とする世界観が
    [神を前提とする世界観が崩れていった]
  • 7:27 - 7:28
    崩れて行った訳です。
  • 7:28 - 7:30
    人間の存在も同様です。
  • 7:30 - 7:33
    神が天地を創造し、自分を模って
  • 7:33 - 7:36
    男と女を作り上げたという創造論。
  • 7:36 - 7:38
    これも旧約聖書をベースとしたストーリーですが、
  • 7:38 - 7:41
    「進化論」という新たな学説によって
  • 7:41 - 7:42
    揺らいでしまいました。
  • 7:42 - 7:45
    つまりニーチェは、人間は自分たちの手で
    [西洋世界の常識を疑い、そして破壊した]
  • 7:45 - 7:48
    絶対的真理はないと証明してしまった。
    [西洋世界の常識を疑い、そして破壊した]
  • 7:48 - 7:50
    もっと乱暴に言えば、自分たちの手で
    [西洋世界の常識を疑い、そして破壊した]
  • 7:50 - 7:53
    神を「殺してしまったのだ」という主張をし、
    [西洋世界の常識を疑い、そして破壊した]
  • 7:53 - 7:55
    西洋世界のこれまでの常識を
    [西洋世界の常識を疑い、そして破壊した]
  • 7:55 - 7:57
    丸々ひっくり返しにいったわけです。
    [ニーチェ以前の哲学を破壊]
  • 7:57 - 8:00
    となりますと、その影響は哲学にも及んできます。
    [ニーチェ以前の哲学を破壊]
  • 8:00 - 8:02
    ニーチェ以前の哲学は、
    [ニーチェ以前の哲学を破壊]
  • 8:02 - 8:05
    神の存在、絶対的真理の存在を
    [ニーチェ以前の哲学を破壊]
  • 8:05 - 8:06
    前提として成り立っていました。
    [ニーチェ以前の哲学を破壊]
  • 8:06 - 8:08
    例えば、哲学の父[ソクラテス]
    [哲学の父ソクラテス]
  • 8:08 - 8:11
    彼は街の人に話しかけては、善とは何か。
    [哲学の父ソクラテス]
  • 8:11 - 8:14
    徳とは何かと、その答えを求めて
    [哲学の父ソクラテス]
  • 8:14 - 8:15
    問い続けていました。
    [哲学の父ソクラテス]
  • 8:15 - 8:18
    そして弟子のプラトンは、その問いの答えに対し
    [ソクラテスの弟子プラトン]
  • 8:18 - 8:21
    「イデア」という概念を用いて説明を試みました。
    [ソクラテスの弟子プラトン]
  • 8:21 - 8:24
    要するに、ニーチェ以前の哲学者は、
    [絶対的真理の存在を前提としている]
  • 8:24 - 8:27
    それぞれの説明、解釈の仕方は違えど、
    [絶対的真理の存在を前提としている]
  • 8:27 - 8:28
    普遍的な ”善” ってあるよね。
    [絶対的真理の存在を前提としている]
  • 8:28 - 8:30
    普遍的な ”徳” もあるね。
    [絶対的真理の存在を前提としている]
  • 8:30 - 8:33
    というように、絶対的な真理の存在を
    [絶対的真理の存在を前提としている]
  • 8:33 - 8:35
    前提に物事を考えていたんです。
    [絶対的真理の存在を前提としている]
  • 8:35 - 8:38
    ところがニーチェは、「ない!そんなものはない!」
    [ニーチェはこれまでの哲学を破壊した人物]
  • 8:38 - 8:41
    「絶対的な価値」「絶対的な基準」「絶対的な真理」
    [ニーチェはこれまでの哲学を破壊した人物]
  • 8:41 - 8:44
    そんなものは、あるわけない!と主張しました。
    [ニーチェはこれまでの哲学を破壊した人物]
  • 8:44 - 8:46
    それ故彼は、これまでの哲学を
    [ニーチェはこれまでの哲学を破壊した人物]
  • 8:46 - 8:48
    破壊した人物とされているわけです。
    [ニーチェはこれまでの哲学を破壊した人物]
  • 8:48 - 8:50
    ここで、話を元に戻しましょう。
    [絶対的なものがないと何がいけない?]
  • 8:50 - 8:52
    では、この世界に「絶対的な価値」
    [絶対的なも」がないと何がいけない?]
  • 8:52 - 8:54
    「絶対的真理」がない状態だと
    [絶対的なものがないと何がいけない?]
  • 8:54 - 8:56
    何がいけないんでしょうか。
    [絶対的なものがないと何がいけない?]
  • 8:56 - 8:58
    どんな問題が生じるんでしょうか。
    [絶対的なものがないと何がいけない?]
  • 8:58 - 9:00
    「別に私は何の宗教も信じてはいないし、
    [絶対的なものがないと何がいけない?]
  • 9:00 - 9:03
    哲学のこととか、絶対的ナンチャラとか、
    [絶対的なものがないと何がいけない?]
  • 9:03 - 9:05
    そんな難しいことを考えて
    [絶対的なものがないと何がいけない?]
  • 9:05 - 9:07
    生きているわけじゃないし、関係ないね!
    [絶対的なものがないと何がいけない?]
  • 9:07 - 9:09
    もしかしたらそう思われる方も
    [絶対的なものがないと何がいけない?]
  • 9:09 - 9:11
    いるかもしれませんが、実はこの問題
    [絶対的なものがないと何がいけない?]
  • 9:11 - 9:13
    人間が人間として生きている以上
    [絶対的なものがないと何がいけない?]
  • 9:13 - 9:16
    誰にでも関係してきてしまう大事なお話なのです。
    [絶対的なものがないと何がいけない?]
  • 9:16 - 9:19
    絶対的なものが存在しないということは、
    [絶対的なものがないと何がいけない?]
  • 9:19 - 9:20
    言ってしまえば、何も信じるものが
    [信じられるものがなくなる]
  • 9:20 - 9:22
    ないということです。
    [信じられるものがなくなる]
  • 9:22 - 9:23
    例えば、想像してみてください。
  • 9:23 - 9:25
    高度経済成長期の日本。
  • 9:25 - 9:27
    バブル絶頂だった時の日本。
  • 9:27 - 9:30
    この時代は「21世紀の資本」でもやりましたが
    [信じられる物語があった時代を私たちは経験]
  • 9:30 - 9:33
    頑張ったら頑張った分だけ報われる時代でした。
    [信じられる物語があった時代を私たちは経験]
  • 9:33 - 9:35
    たくさん勉強をして名門大学に入って、
    [信じられる物語があった時代を私たちは経験]
  • 9:35 - 9:38
    一流企業に入ってしまえば一生安泰。
    [信じられる物語があった時代を私たちは経験]
  • 9:38 - 9:40
    人をたくさん雇い物をたくさん作れば
    [信じられる物語があった時代を私たちは経験]
  • 9:40 - 9:41
    売り上げも上がる。
  • 9:41 - 9:44
    働けば働くほど給料も上がる。
    [信じられる物語があった時代を私たちは経験]
  • 9:44 - 9:45
    そんな時代です。
  • 9:45 - 9:48
    つまり、頑張れば人生どうにかなるという道筋が
    [信じられる物語があった時代を私たちは経験]
  • 9:48 - 9:49
    間違いなくあったわけです。
    [信じられる物語があった時代を私たちは経験]
  • 9:49 - 9:51
    だから、自分の夢や希望。
    [信じられる物語があった時代を私たちは経験]
  • 9:51 - 9:53
    そして家族の為に、出世の為に、
    [信じられる物語があった時代を私たちは経験]
  • 9:53 - 9:55
    辛いことも苦しいことも耐えられたし、
    [信じられる物語があった時代を私たちは経験]
  • 9:55 - 9:57
    歯を食いしばって努力が出来ました。
    [信じられる物語があった時代を私たちは経験]
  • 9:57 - 9:59
    ところが、今はどうでしょうか。
    [信じられる物語があった時代を私たちは経験]
  • 9:59 - 10:02
    企業を「神の如く」絶対的な存在とみなし、
    [信じられる物語を奪われると人はどうなるのか?]
  • 10:02 - 10:05
    定年まで面倒をみて貰おうという終身雇用神話は、
    [信じられる物語を奪われると人はどうなるのか?]
  • 10:05 - 10:07
    最早、過去のものとなりました。
    [信じられる物語を奪われると人はどうなるのか?]
  • 10:07 - 10:11
    いつ職を失うか、いつ食いっぱぐれるか分からない。
    [信じられる物語を奪われると人はどうなるのか?]
  • 10:11 - 10:13
    そして将来何を目指し、何に希望を持ち
    [信じられる物語を奪われると人はどうなるのか?]
  • 10:13 - 10:14
    頑張ればいいのか分からない。
  • 10:14 - 10:16
    そういった漠然とした不安だけが
    [信じられる物語を奪われると人はどうなるのか?]
  • 10:16 - 10:18
    日に日に大きくなっている。
  • 10:18 - 10:19
    それが今の状態です。
  • 10:19 - 10:22
    このように人が絶対的に信じるものを失い、
    [信じられる物語を奪われると人はどうなるのか?]
  • 10:22 - 10:25
    何のために生きるのか、その意義を
    [信じられる物語を奪われると人はどうなるのか?]
  • 10:25 - 10:26
    見出せなくなる状態のことを
  • 10:26 - 10:28
    [ニヒリズム]と言います。
  • 10:28 - 10:31
    そして、このニヒリズムが蔓延していきますと、
  • 10:31 - 10:34
    [末人]と呼ばれる人間が大量発生すると
  • 10:34 - 10:36
    ニーチェは警鐘を鳴らしたのです。
  • 10:36 - 10:37
    末人というのは、
    [最後の人間「末人」とは?]
  • 10:37 - 10:39
    「最後の人間」とも訳されるのですが、
    [最後の人間「末人」とは?]
  • 10:39 - 10:41
    簡単に言ってしまえば、
    [最後の人間「末人」とは?]
  • 10:41 - 10:44
    将来に対して何の憧れも希望もなく、
    [最後の人間「末人」とは?]
  • 10:44 - 10:47
    ただ楽に、無難に惰性的に生きることを
    [最後の人間「末人」とは?]
  • 10:47 - 10:49
    よし!とする人のことを指します。
    [最後の人間「末人」とは?]
  • 10:49 - 10:51
    これは勿論、本人だけに
    [最後の人間「末人」とは?]
  • 10:51 - 10:52
    原因があるわけではないと思います。
    [最後の人間「末人」とは?]
  • 10:52 - 10:56
    ただこの「末人」にだけは、絶対になっちゃダメ!
    [最後の人間「末人」とは?]
  • 10:56 - 10:58
    これがニーチェの揺るぎないスタンスなんです。
    [最後の人間「末人」とは?]
  • 10:58 - 10:59
    イヤイヤ、私だって
    [最後の人間「末人」とは?]
  • 10:59 - 11:01
    好きで希望を失ってるわけじゃないんです。
    [最後の人間「末人」とは?]
  • 11:01 - 11:03
    末人になるな!って言うんだったら、
    [最後の人間「末人」とは?]
  • 11:03 - 11:05
    私等一体、なに人になればいいんですか。
    [最後の人間「末人」とは?]
  • 11:05 - 11:07
    そう突っ込みたくなりますが、結論
  • 11:07 - 11:08
    「超人になってください!」
  • 11:08 - 11:10
    これがニーチェの回答でございます。
  • 11:10 - 11:11
    「えっ!?超人ですか?」
  • 11:11 - 11:13
    「はい!超人です」
  • 11:13 - 11:15
    そして、今から紹介しますニーチェの超人思想。
    [ツァラトゥストラの前半は「超人思想」がテーマ]
  • 11:15 - 11:18
    これが[ツァラトゥストラ]の前半。
    [ツァラトゥストラの前半は「超人思想」がテーマ]
  • 11:18 - 11:20
    第1部、第2部のメインテーマとなるわけです。
    [ツァラトゥストラの前半は「超人思想」がテーマ]
  • 11:20 - 11:23
    ここは、非常に重要で面白いテーマなので
    [ツァラトゥストラの前半は「超人思想」がテーマ]
  • 11:23 - 11:25
    是非、抑えていただきたいところでございます。
    [ツァラトゥストラの前半は「超人思想」がテーマ]
  • 11:25 - 11:28
    では早速、作品の中で超人について語られる
    [ツァラトゥストラの前半は「超人思想」がテーマ]
  • 11:28 - 11:30
    シーンについて見て行きましょう。
  • 11:30 - 11:31
    先程、ツァラトゥストラは
    [街に向かうツァラトゥストラ]
  • 11:31 - 11:33
    老人と会話をしていましたが、それが終わると、
    [街に向かうツァラトゥストラ]
  • 11:33 - 11:35
    森を抜けて街に向かいます。
    [街に向かうツァラトゥストラ]
  • 11:35 - 11:37
    すると、街の市場の方でなんか
    [街に向かうツァラトゥストラ]
  • 11:37 - 11:39
    ザワザワしているんですね。
  • 11:39 - 11:40
    "なんだろう?" と思って近づいてみますと
  • 11:40 - 11:44
    町内イベントで綱渡りのショーが行われるらしく、
    [綱渡りのショーが始まるらしい]
  • 11:44 - 11:47
    それで町中の人が集まって来ていたというわけです。
    [綱渡りのショーが始まるらしい]
  • 11:47 - 11:48
    楽しみだなぁ、まだかなぁ
    [綱渡りのショーが始まるらしい]
  • 11:48 - 11:49
    そんな声が聞こえる中、
    [綱渡りのショーが始まるらしい]
  • 11:49 - 11:52
    山籠もりで蓄えた知恵を吐き出したくてしょうがない
    [綱渡りのショーが始まるらしい]
  • 11:52 - 11:54
    ツァラトゥストラがフラフラしながら
    [綱渡りのショーが始まるらしい]
  • 11:54 - 11:56
    その群衆の中に近づいて行きます。
    [綱渡りのショーが始まるらしい]
  • 11:56 - 11:59
    誰か適当な人を捕まえて説教でも
    [近づいていくツァラトゥストラ まさか...]
  • 11:59 - 12:01
    始めちゃうのかな
    と思いきやそうではないんです。
  • 12:01 - 12:03
    なんと彼は、その民衆全員に向けて
    [ツァラさんのトークショー:お題は超人思想]
  • 12:03 - 12:03
    叫んでしまうんです。
  • 12:03 - 12:06
    「皆さん、よく聞きなさい!私は今から
    [ツァラさんのトークショー:お題は超人思想]
  • 12:06 - 12:08
    皆さんに超人について教えます」
    [ツァラさんのトークショー:お題は超人思想]
  • 12:08 - 12:09
    「皆さんはかつて猿でした」
    [ツァラさんのトークショー:お題は超人思想]
  • 12:09 - 12:11
    しかし、いまの人間は
    [ツァラさんのトークショー:お題は超人思想]
  • 12:11 - 12:13
    猿以上に猿なのであります!」
    [ツァラさんのトークショー:お題は超人思想]
  • 12:13 - 12:15
    なるほど!これは怪しいおじさんが
    [ツァラさんのトークショー:お題は超人思想]
  • 12:15 - 12:18
    意味不明なことを叫んでるようにしか聞こえません。
    [ツァラさんのトークショー:お題は超人思想]
  • 12:18 - 12:20
    当然、そこにいた人々は、
    [ツァラさんのトークショー:お題は超人思想]
  • 12:20 - 12:22
    そんな彼を全く相手にしませんでした。
    [ツァラさんのトークショー:お題は超人思想]
  • 12:22 - 12:24
    しかし、ツァラトゥストラは気にせず
    [ツァラさんのトークショー:お題は超人思想]
  • 12:24 - 12:26
    奇妙な演説を続けます。
  • 12:26 - 12:28
    そして、超人について話を終えたところで
    [ツァラさんのトークショー:お題は超人思想]
  • 12:28 - 12:30
    群衆の中の一人が大声で叫びました。
    [ツァラさんのトークショー:お題は超人思想]
  • 12:30 - 12:34
    「よし!これで綱渡り芸の前口上はバッチリだ!」
    [綱渡り芸の前口上と馬鹿にされる...]
  • 12:34 - 12:36
    「それじゃあ、さっそく超人に登場して貰って、
    [綱渡り芸の前口上と馬鹿にされる...]
  • 12:36 - 12:38
    その超人技とやらを披露して貰おう!」
    [綱渡り芸の前口上と馬鹿にされる...]
  • 12:38 - 12:41
    すると、この人のボケがドカン!とウケてしまい、
    [綱渡り芸の前口上と馬鹿にされる...]
  • 12:41 - 12:43
    ツァラトゥストラは皆から馬鹿にされ
    [綱渡り芸の前口上と馬鹿にされる...]
  • 12:43 - 12:44
    大笑いされてしまうのです。
  • 12:44 - 12:46
    そんな中、綱渡り芸が始まりました。
    [綱渡り芸のスタート]
  • 12:46 - 12:49
    人々もその様子を固唾を呑んで見守っています。
    [綱渡り芸のスタート]
  • 12:49 - 12:51
    ここでツァラトゥストラ、馬鹿にされたショックで
    [綱渡り芸のスタート]
  • 12:51 - 12:54
    黙り込むのかと思いきやなんとまだ喋り続けています
    [10年間山籠もりした男のトークは止まらない!]
  • 12:54 - 12:57
    そしてここで、非常に重要なセリフを口にするのです
    [10年間山籠もりした男のトークは止まらない!]
  • 12:57 - 13:02
    人間という生き物は動物と超人との間に張り渡された
    [人間は動物と超人との間に張り渡された1本の綱]
  • 13:02 - 13:04
    1本の綱である。
  • 13:04 - 13:06
    渡って彼方に進むのも危うく
    [人間は動物と超人との間に張り渡された1本の綱]
  • 13:06 - 13:08
    途上にあるのも危うく
    [人間は動物と超人との間に張り渡された1本の綱]
  • 13:08 - 13:10
    後ろを振り返るのも危うく、
    [人間は動物と超人との間に張り渡された1本の綱]
  • 13:10 - 13:12
    おののいて立ちすくむのも危うい。
    [人間は動物と超人との間に張り渡された1本の綱]
  • 13:12 - 13:14
    はい!ここで一旦止めましょう。
  • 13:14 - 13:16
    彼が何を言わんとしているのか
    [言っている意味が分かりません]
  • 13:16 - 13:17
    考えてみたいと思います。
    [言っている意味が分かりません]
  • 13:17 - 13:20
    まず、超人って何?というところから
    お話をしていきます。
  • 13:20 - 13:21
    結論から言うと
  • 13:21 - 13:23
    不屈の精神力。
  • 13:23 - 13:25
    そして力強い意志を持ち、
  • 13:25 - 13:27
    自らの人生を肯定しながら
  • 13:27 - 13:30
    より高みへ向かおうとする存在。
  • 13:30 - 13:31
    それが「超人」のイメージです。
  • 13:31 - 13:34
    なぜ、イメージ と申しあげたかと言いますと
    [超人=絶対コレ!という定義はない]
  • 13:34 - 13:35
    実は「ツァラトゥストラ」では、
    [超人=絶対コレ!という定義はない]
  • 13:35 - 13:38
    具体的に「超人」とはこういうものですと
    [超人=絶対コレ!という定義はない]
  • 13:38 - 13:39
    定義付けをしていないんですね。
    [超人=絶対コレ!という定義はない]
  • 13:39 - 13:41
    もし定義付けをしてしまえば、
    [超人=絶対コレ!という定義はない]
  • 13:41 - 13:43
    ニーチェは自ら、絶対的な存在を
    [超人=絶対コレ!という定義はない]
  • 13:43 - 13:46
    認めたことになってしまいますから、ここは敢えて、
    [超人=絶対コレ!という定義はない]
  • 13:46 - 13:49
    読者の想像に委ねられているのかもしれません。
    [超人=絶対コレ!という定義はない]
  • 13:49 - 13:50
    そして人間というのは、
    [超人=絶対コレ!という定義はない]
  • 13:50 - 13:52
    その超人という存在に向かって
    [超人=絶対コレ!という定義はない]
  • 13:52 - 13:54
    綱渡りのような危険を乗り越えていく
    [人間は危険を冒しながら超人に向かう存在だ]
  • 13:54 - 13:57
    そういう存在なんですよと、言っているわけです。
    [人間は危険を冒しながら超人に向かう存在だ]
  • 13:57 - 13:59
    では、どうやったら「超人」の域に
    [人間は危険を冒しながら超人に向かう存在だ]
  • 13:59 - 14:00
    到達できるのでしょうか。
  • 14:00 - 14:01
    ツァラトゥストラが言うには、
  • 14:01 - 14:04
    人間の精神には3段階あって、
    [超人になるための3ステップ]
  • 14:04 - 14:06
    どんどんそのレベルを上げていくことで
    [超人になるための3ステップ]
  • 14:06 - 14:08
    「超人」に近づくことが出来るそうです。
    [超人になるための3ステップ]
  • 14:08 - 14:11
    その段階には名前が付いており、
  • 14:11 - 14:13
    第一段階が[ラクダ]
  • 14:13 - 14:14
    第二段階が[獅子」
  • 14:14 - 14:17
    第三段階が[幼子]です。
  • 14:17 - 14:19
    順番に見て行きます。
    [第1ステージ:ラクダ]
  • 14:19 - 14:21
    まず、初めの[ラクダ]の段階というのは、
    [第1ステージ:ラクダ]
  • 14:21 - 14:23
    重い荷物を背負って我慢するステージです。
    [第1ステージ:ラクダ]
  • 14:23 - 14:26
    自分の身に積極的に負荷をかけ、
    [第1ステージ:ラクダ]
  • 14:26 - 14:28
    そこで、自分の「強み」を獲得するわけです。
    [第1ステージ:ラクダ]
  • 14:28 - 14:30
    学校での勉強。
    [第1ステージ:ラクダ]
  • 14:30 - 14:31
    会社での仕事。
    [第1ステージ:ラクダ]
  • 14:31 - 14:32
    体を鍛える事。
    [第1ステージ:ラクダ]
  • 14:32 - 14:35
    人それぞれに、ラクダのステージがあります。
    [第1ステージ:ラクダ]
  • 14:35 - 14:38
    そして、忍耐力や自分の強みが磨かれたのなら
    [第1ステージ:ラクダ]
  • 14:38 - 14:40
    次の段階は[獅子]です。
    [第2ステージ:獅子]
  • 14:40 - 14:43
    このステージは、窮屈な状態から解放され、
    [第2ステージ:獅子]
  • 14:43 - 14:46
    「自由」を求める者が進む段階です。
    [第2ステージ:獅子]
  • 14:46 - 14:49
    既存の価値観・常識・権威に対して、
    [第2ステージ:獅子]
  • 14:49 - 14:51
    ハッキリと自分の言葉で「No」と言える。
    [第2ステージ:獅子]
  • 14:51 - 14:54
    そんな独立の精神を持った段階。
    [第2ステージ:獅子]
  • 14:54 - 14:56
    それが、この獅子のステージです。
    [第2ステージ:獅子]
  • 14:56 - 14:57
    そして最後。
    [第3ステージ:幼子]
  • 14:57 - 15:01
    第三段階になると、獅子は幼子に変身をします。
    [第3ステージ:幼子]
  • 15:01 - 15:03
    自らの想像力に身を委ね
  • 15:03 - 15:05
    勝手に自由気ままに遊ぶ。
  • 15:05 - 15:09
    まるで、幼い子供のような無邪気な精神。
    [第3ステージ:幼子]
  • 15:09 - 15:11
    それこそが最終段階なのだ、というわけです。
    [第3ステージ:幼子]
  • 15:11 - 15:13
    どれだけ大人が世の中の理不尽さを
    [第3ステージ:幼子]
  • 15:13 - 15:15
    嘆いていても、将来を悲観しても
    [第3ステージ:幼子]
  • 15:15 - 15:17
    幼い子供には関係がありません。
    [第3ステージ:幼子]
  • 15:17 - 15:19
    彼ら彼女らにとって
    [第3ステージ:幼子]
  • 15:19 - 15:22
    世界は無条件に肯定されるものであり、
    [第3ステージ:幼子]
  • 15:22 - 15:24
    心のままに戯れ、無心に遊び、
  • 15:24 - 15:28
    自由に、創造的に今、
    この瞬間瞬間を生きています。
  • 15:28 - 15:30
    つまり[超人]たる者は、
    [第3ステージ:幼子]
  • 15:30 - 15:31
    この3つのプロセスを経て、
    [第3ステージ:幼子]
  • 15:31 - 15:36
    最終的には、幼子のような精神を
    その身に宿すものなのだというわけです。
  • 15:37 - 15:41
    さぁ、「1部」「2部」のメインテーマである
    [超人]に関するお話は、ここでお終いですが、
  • 15:41 - 15:43
    この内容が「第3部」「第4部」
    [ツァラトゥストラの前半は終了]
  • 15:43 - 15:45
    後半の内容へと繋がって行きます。
    [ツァラトゥストラの前半は終了]
  • 15:45 - 15:46
    この後半パートのテーマは、
  • 15:46 - 15:48
    [永遠回帰]と呼ばれる
  • 15:48 - 15:50
    「ツァラトゥストラ」の中心思想でございます。
  • 15:50 - 15:52
    つまり、今からお話しするところが
    [一番重要なパートです]
  • 15:52 - 15:55
    この動画の最も重要な箇所であり、
    [一番重要なパートです]
  • 15:55 - 15:56
    「ニーチェ哲学」を学ぶ上で
    [一番重要なパートです]
  • 15:56 - 15:58
    絶対に外せないテーマというわけです。
    [一番重要なパートです]
  • 15:58 - 16:00
    では、早速見て行きましょう。
    [永遠回帰とは?]
  • 16:00 - 16:02
    まず永遠回帰とは、一体何なんでしょうか。
    [永遠回帰とは?]
  • 16:02 - 16:04
    結論から言いますと
    [永遠回帰とは?]
  • 16:04 - 16:08
    同じことが無限に繰り返されるという
    仮説のことを指します。
  • 16:08 - 16:09
    もうちょっと具体的に言うと、
    [人生の無限ループ]
  • 16:09 - 16:13
    あなたは今の人生を永遠に繰り返している。
    [人生の無限ループ]
  • 16:13 - 16:16
    前世も来世も、ずっと同じ人生を繰り返している。
    [人生の無限ループ]
  • 16:16 - 16:18
    無限ループの中をグルグル、グルグルと
    [人生の無限ループ]
  • 16:18 - 16:20
    生き続けているんですよという「仮説」です。
    [人生の無限ループ]
  • 16:20 - 16:21
    繰り返しになりますが、
    [人生の無限ループ]
  • 16:21 - 16:24
    これは仮設であり、事実か事実でないかは
    [人生の無限ループ]
  • 16:24 - 16:26
    あまり重要ではありません。
    [人生の無限ループ]
  • 16:26 - 16:29
    仏教の世界にも
    「輪廻思想」という教えがありますが
  • 16:29 - 16:32
    「永遠回帰」とは、全く異なる概念になります。
  • 16:32 - 16:35
    生命は色んなものに無限に生まれ変わり続ける。
  • 16:35 - 16:37
    これが「輪廻思想」です。
  • 16:37 - 16:39
    例えば、私の来世は大資産家かもしれないし
  • 16:39 - 16:41
    小さなクラゲ かもしれない。
  • 16:41 - 16:42
    そういうお話です。
  • 16:42 - 16:45
    一方「永遠回帰」の場合は、同じ人が同じ人生を
    [あなたはずっとあなたのまま、それが永遠回帰]
  • 16:45 - 16:48
    グルグル永遠にループし続けるというものです。
    [あなたはずっとあなたのまま、それが永遠回帰]
  • 16:48 - 16:49
    さて、ここで質問です。
  • 16:49 - 16:53
    皆さまは、この「永遠回帰」の思想を
    受け入れることが出来ますか。
  • 16:53 - 16:57
    それとも、同じ人生をループし続けるなんて
    「勘弁してくれ!」と
  • 16:57 - 16:58
    拒絶されますか?
  • 16:58 - 17:01
    もちろん正解はありませんし、人それぞれです。
    [最大の重し]
  • 17:01 - 17:03
    因みにニーチェは、別の著作で、
    [最大の重し]
  • 17:03 - 17:06
    この「永遠回帰」の思想を人間にとっての
    [最大の重し]
  • 17:06 - 17:08
    最大の重石であると表現しています。
    [最大の重し]
  • 17:08 - 17:10
    要するに、人間というのは、
    [最大の重し]
  • 17:10 - 17:12
    余ほど幸せで恵まれた人でない限り、
    [最大の重し]
  • 17:12 - 17:14
    忘れ去りたい過去のトラウマ、
    [最大の重し]
  • 17:14 - 17:17
    失敗・過ちが、1つや2つあるでしょうと。
    [最大の重し]
  • 17:17 - 17:19
    それを無限に経験し続けるのは、
    [最大の重し]
  • 17:19 - 17:22
    過去の記憶が消去されているとはいえ
    [最大の重し]
  • 17:22 - 17:24
    誰だって嫌でしょうと、そう言ってるんですね。
    [最大の重し]
  • 17:24 - 17:26
    ただ、この思想というのは
    [最大の重しだが、最強の武器でもあるのだ]
  • 17:26 - 17:28
    その人の捉え方次第で
    [最大の重しだが、最強の武器でもあるのだ]
  • 17:28 - 17:30
    人生を大きく変えるくらいの
    [最大の重しだが、最強の武器でもあるのだ]
  • 17:30 - 17:32
    強力な「武器」にもなるんです。
    [最大の重しだが、最強の武器でもあるのだ]
  • 17:32 - 17:34
    仮に本当にループし続けると
    [最大の重しだが、最強の武器でもあるのだ]
  • 17:34 - 17:36
    真剣に想像してみてください。
    [最大の重しだが、最強の武器でもあるのだ]
  • 17:36 - 17:37
    どうでしょうか?
  • 17:37 - 17:40
    永遠にネガティブで否定的で
    不幸な人生か。
  • 17:40 - 17:44
    永遠にポジティブで肯定的で
    幸福な人生か。
  • 17:44 - 17:48
    極端な2つの選択肢が
    目の前に浮かび上がってくるはずです。
  • 17:48 - 17:50
    さぁ、選びたいのはどっちですか?
  • 17:50 - 17:52
    そう聞かれれば、どう考えても後者しかありません。
    [永遠回帰は、人生を好転させる思考法]
  • 17:52 - 17:56
    そしてもし後者を選べば、永遠に繰り返しても
    [永遠回帰は、人生を好転させる思考法]
  • 17:56 - 17:58
    良いと思えるような人生にしようと
    [永遠回帰は、人生を好転させる思考法]
  • 17:58 - 18:00
    前を向いて生きていくしかなくなるんです。
    [永遠回帰は、人生を好転させる思考法]
  • 18:00 - 18:02
    つまり、「永遠回帰」というのは、
    [永遠回帰は、人生を好転させる思考法]
  • 18:02 - 18:04
    神が死んだ後の世界。
    [永遠回帰は、人生を好転させる思考法]
  • 18:04 - 18:06
    絶対的に信じるものが失われた世界で、
    [永遠回帰は、人生を好転させる思考法]
  • 18:06 - 18:10
    [末人]に陥ることなく人生を肯定的に
  • 18:10 - 18:14
    力強く前向きに歩んでいく為の
    思考法と言えるわけです。
  • 18:14 - 18:17
    では、一体どうすれば「永遠回帰」の思想を
  • 18:17 - 18:19
    受け入れることが出来るようになるのでしょうか?
  • 18:19 - 18:20
    頭で理屈は分かっても
    [理屈は分かるけど・・・難しそうだ・・・]
  • 18:20 - 18:23
    なかなか自分のものにするのは、難しそうです。
    [理屈は分かるけど・・・難しそうだ・・・]
  • 18:23 - 18:25
    そこでニーチェは、「永遠回帰」を
    [理屈は分かるけど・・・難しそうだ・・・]
  • 18:25 - 18:27
    自分のものとする条件として
    [理屈は分かるけど・・・難しそうだ・・・]
  • 18:27 - 18:31
    「ニヒリズム」を克服する必要があると説きました。
    [ニヒリズムの克服が前提となる]
  • 18:31 - 18:32
    イメージしづらいと思いますので、
    [ニヒリズムの克服が前提となる]
  • 18:32 - 18:35
    今から実際に「ニヒリズム」を克服し
    [ニヒリズムの克服が前提となる]
  • 18:35 - 18:38
    「永遠回帰」を受け入れた人間を描いている
    [永遠回帰を受け入れた者の物語]
  • 18:38 - 18:40
    「ツァラトゥストラ」の重要な
    [永遠回帰を受け入れた者の物語]
  • 18:40 - 18:41
    ワンシーンを紹介いたします。
    [永遠回帰を受け入れた者の物語]
  • 18:41 - 18:42
    どんな場面かというと、
    [永遠回帰を受け入れた者の物語]
  • 18:42 - 18:45
    1人の若い牧人が倒れているところを
    [ツァラトゥストラと牧人]
  • 18:45 - 18:48
    ツァラトゥストラが発見するというシーンです。
    [ツァラトゥストラと牧人]
  • 18:48 - 18:50
    牧人というのは、馬とか牛とか
    [ツァラトゥストラと牧人]
  • 18:50 - 18:51
    羊などのお世話をする人です。
    [ツァラトゥストラと牧人]
  • 18:51 - 18:53
    その主人が倒れている横で
    [ツァラトゥストラと牧人]
  • 18:53 - 18:55
    犬がギャンギャンと鳴いています。
    [ツァラトゥストラと牧人]
  • 18:55 - 18:57
    そして、その声にツァラトゥストラが気付き
    [ツァラトゥストラと牧人]
  • 18:57 - 18:58
    「何事だ」と言って、近づいて行くんです。
    [ツァラトゥストラと牧人]
  • 18:58 - 19:02
    そこで彼は、とんでもない光景を
    目の当たりにします。
  • 19:02 - 19:02
    なんと!
  • 19:02 - 19:05
    倒れ込んでいる牧人の口から
    [蛇に窒息させられそうな牧人]
  • 19:05 - 19:08
    黒い蛇の尻尾がニョロッと出ていたんです。
    [蛇に窒息させられそうな牧人]
  • 19:08 - 19:11
    牧人は、余りの苦しさにのたうち喘ぎ、
    [蛇に窒息させられそうな牧人]
  • 19:11 - 19:12
    痙攣を起しています。
    [蛇に窒息させられそうな牧人]
  • 19:12 - 19:13
    そこで、ツァラトゥストラは、
    [蛇に窒息させられそうな牧人]
  • 19:13 - 19:16
    その牧人を助けなければとうわぁっ!と近づいて行き
    [蛇に窒息させられそうな牧人]
  • 19:16 - 19:18
    蛇の尻尾をギュッと掴み、
    [蛇に窒息させられそうな牧人]
  • 19:18 - 19:20
    力いっぱい引っ張って口から出そうとします。
    [蛇に窒息させられそうな牧人]
  • 19:20 - 19:23
    ところが全く蛇を引きずり出すことができません。
    [蛇に窒息させられそうな牧人]
  • 19:23 - 19:25
    何度やっても同じでした。
    [蛇に窒息させられそうな牧人]
  • 19:25 - 19:26
    そこで、ツァラトゥストラは絶叫します。
    [蛇に窒息させられそうな牧人]
  • 19:26 - 19:29
    「蛇の頭ごと、噛みちぎってしまえ!」
    [牧人よ、蛇を噛め!]
  • 19:29 - 19:31
    「さぁ!噛むんだ!噛んでしまえ!」
    [牧人よ、蛇を噛め!]
  • 19:31 - 19:33
    すると、牧人は言われるがままに
    [牧人よ、蛇を噛め!]
  • 19:33 - 19:34
    蛇をガブッと噛みちぎり
    [牧人よ、蛇を噛め!]
  • 19:34 - 19:36
    その頭を吐き捨て
    [牧人よ、蛇を噛め!]
  • 19:36 - 19:38
    それと同時にパッと立ち上がります。
    [牧人よ、蛇を噛め!]
  • 19:38 - 19:40
    そして、この様子を見たツァラトゥストラは、
    [あれ?ぼ・・・牧人さん]
  • 19:40 - 19:41
    次のように語ります。
    [あれ?ぼ・・・牧人さん]
  • 19:41 - 19:43
    「私の目の前にいた男は、
    [もはや、牧人ではない]
  • 19:43 - 19:45
    もはや牧人ではなかった。
    [もはや、牧人ではない]
  • 19:45 - 19:46
    イヤ、人間でもなかった。
    [もはや、牧人ではない]
  • 19:46 - 19:48
    一人の変容した者。
    [もはや、牧人ではない]
  • 19:48 - 19:50
    光りに包まれた者だった。
    [もはや、牧人ではない]
  • 19:50 - 19:52
    そして彼は、高らかに笑った。
    [もはや、牧人ではない]
  • 19:52 - 19:53
    今まで地上のどんな人間も
    [もはや、牧人ではない]
  • 19:53 - 19:56
    笑ったことがないほど高らかに。
    [もはや、牧人ではない]
  • 19:56 - 19:58
    いかがでしょうか、このシーン。
    [・・・意味が分かりません!]
  • 19:58 - 19:59
    非常に重要な場面なんですが
    [・・・意味が分かりません!]
  • 19:59 - 20:02
    言わんとしていること分かりましたでしょうか。
    [・・・意味が分かりません!]
  • 20:02 - 20:04
    要するにこの、七転八倒している牧人というのは、
    [・・・意味が分かりません!]
  • 20:04 - 20:07
    ニヒリズムに囚われた人間のことを
    [牧人は、ニヒリズムに囚われ苦しむ人間]
  • 20:07 - 20:08
    描いているんです。
  • 20:08 - 20:09
    もうちょっと分かりやすく言いますと、
  • 20:09 - 20:11
    こんな希望もない世界に生きている意味なんか
    [牧人は、ニヒリズムに囚われ苦しむ人間]
  • 20:11 - 20:12
    ないじゃないか!
  • 20:12 - 20:14
    頑張ったってどうせ報われないじゃないか!
    [牧人は、ニヒリズムに囚われ苦しむ人間]
  • 20:14 - 20:16
    「どうせ私なんか!」
    「どうせ私なんか!!」
  • 20:16 - 20:18
    こういったニヒリズムに陥ってしまいますと
    [牧人は、ニヒリズムに囚われ苦しむ人間]
  • 20:18 - 20:22
    私たちはあの牧人のように息苦しい人生を
    [牧人は、ニヒリズムに囚われ苦しむ人間]
  • 20:22 - 20:24
    送ることになってしまいますよと
    言っているわけですね。
  • 20:24 - 20:27
    しかし牧人は、自分を苦しめる蛇を噛みちぎり、
    [牧人は弱い己を殺しニヒリズムを克服]
  • 20:27 - 20:29
    窮地を脱しましたよね。
    [牧人は弱い己を殺しニヒリズムを克服]
  • 20:29 - 20:32
    すなわち、これこそがニヒリズムの克服なんです。
    [牧人は弱い己を殺しニヒリズムを克服]
  • 20:32 - 20:33
    もっと、具体的に言えば
  • 20:33 - 20:38
    「不安」「恐怖」「嫉妬」「失望」「自己不信」
    といった色んなことに囚われ
  • 20:38 - 20:42
    人生を悲観的に捉えることしかできなかった
    弱い自分を自ら噛み殺したんです。
  • 20:42 - 20:46
    そして、新たな力強い自分に生まれ変わる覚悟を決め
    [新たな力強い自分に生まれ変わる覚悟を決めよ]
  • 20:46 - 20:48
    自分の人生を否定的なものから
    [新たな力強い自分に生まれ変わる覚悟を決めよ]
  • 20:48 - 20:51
    肯定的に捉え直すことに成功し
    [新たな力強い自分に生まれ変わる覚悟を決めよ]
  • 20:51 - 20:52
    高らかに笑った。
  • 20:52 - 20:55
    これこそが「永遠回帰」の思想を受け入れ、実践し
  • 20:55 - 21:00
    自らの全生涯を肯定した者の
    姿であるというわけです。
  • 21:00 - 21:02
    また、ニーチェは「永遠回帰」の実践的態度として
    [永遠回帰の実践的態度]
  • 21:02 - 21:06
    最も重要なのは、苦しい人生を目の前にし
    [永遠回帰の実践的態度]
  • 21:06 - 21:08
    死にたくなるほど絶望したとしても
    [永遠回帰の実践的態度]
  • 21:08 - 21:11
    ”これこそが、人生なのか!
    だったらもう一度
  • 21:11 - 21:14
    掛かってこい!と勇気を持って
    立ち向かうことであると説きます。
  • 21:14 - 21:17
    今、生きているこの瞬間を
  • 21:17 - 21:21
    「これこそ、私の人生なのだ!」と
    自信を持って肯定できる人は、
  • 21:21 - 21:23
    これまで、歩んできた過去を振り返っても
  • 21:23 - 21:26
    「これで良かったんだ」と、
    肯定することが出来ます。
  • 21:26 - 21:29
    そして、未来に対しても臆することなく
  • 21:29 - 21:32
    前向きに肯定的に歩んで行くことが出来ます。
  • 21:32 - 21:34
    更にこれが、永遠にループするとなれば
  • 21:34 - 21:36
    「自分が生きる世界」
  • 21:36 - 21:37
    「自分の命」
  • 21:37 - 21:39
    「自分の人生」そのすべてが
  • 21:39 - 21:42
    永遠に肯定され続けることを意味するわけです。
  • 21:42 - 21:46
    つまり今!この瞬間を肯定さえしてしまえば
  • 21:46 - 21:49
    永遠の肯定ループが生まれる、というお話です。
  • 21:49 - 21:50
    それ故ニーチェは、
  • 21:50 - 21:51
    「永遠回帰」の思想を
  • 21:51 - 21:56
    [およそ到達しうる限りの
    最高の肯定の定式]と名付けました。
  • 21:56 - 22:00
    そして、この思想を受け入れた者が
    辿り着く思考の領域。
  • 22:00 - 22:01
    それが[超人]なんです。
  • 22:01 - 22:04
    勿論、そこに至る道は決して楽ではありません。
  • 22:04 - 22:06
    1本の綱を渡るように
  • 22:06 - 22:07
    大きな危険を伴います。
  • 22:07 - 22:10
    しかし、「絶対に安全な道がある」と
  • 22:10 - 22:14
    頑なに信じ、何もせず
    時が経つのをただ待っているだけでは
  • 22:14 - 22:16
    あの牧人のように苦しむしかないんです。
  • 22:16 - 22:19
    であれば、自分の弱さを思い切って断ち切って
  • 22:19 - 22:21
    勇気をもって前進しましょう。
  • 22:21 - 22:23
    そして、やれるだけのことを全部やって
  • 22:23 - 22:26
    自分の何もかもを肯定してしまえ!
    と言っているわけです。
  • 22:26 - 22:27
    さぁ、いかがでしたでしょうか。
    [ツァラトゥストラはここでお終い]
  • 22:27 - 22:29
    端折りに端折って進めてきましたが
    [ツァラトゥストラはここでお終い]
  • 22:29 - 22:32
    [ツァラトゥストラ]に関しては
    ここでお終いです。
  • 22:32 - 22:34
    作品の肝となっている「超人思想」
    [ツァラトゥストラはここでお終い]
  • 22:34 - 22:35
    そして、「永遠回帰」
  • 22:35 - 22:37
    ざっくりイメージいただけたでしょうか?
  • 22:37 - 22:39
    最後にニーチェが提唱した
  • 22:39 - 22:41
    [運命愛]について簡単に触れて
    終わりたいと思います。
  • 22:41 - 22:44
    [運命愛]というのは、一言で言ってしまえば
  • 22:44 - 22:47
    自分の運命を全て受け入れ、肯定し
  • 22:47 - 22:49
    愛する心の態度のことを意味しています。
  • 22:49 - 22:52
    ニーチェの思想に基づくならば
    [部分的に受け入れず全て受入れ肯定せよ]
  • 22:52 - 22:54
    この世界に絶対的な善も悪も
    [部分的に受け入れず全て受入れ肯定せよ]
  • 22:54 - 22:56
    存在しないということになります。
    [部分的に受け入れず全て受入れ肯定せよ]
  • 22:56 - 22:59
    であれば、自分の人生で起こる様々な出来事
    [部分的に受け入れず全て受入れ肯定せよ]
  • 22:59 - 23:02
    一つ一つにこれは楽しかったから「〇(まる)」
    [部分的に受け入れず全て受入れ肯定せよ]
  • 23:02 - 23:03
    これは、キツかったから「×(バツ)」
    [部分的に受け入れず全て受入れ肯定せよ]
  • 23:03 - 23:06
    と部分的に受け入れるのではなく
  • 23:06 - 23:09
    その全てを愛することの大切さを説いたわけです。
  • 23:09 - 23:12
    ただ、そうやって綺麗サッパリ
    気持ちの整理がつけばいいんですが
  • 23:12 - 23:15
    それが出来なくて悩むのが
    我々人間でございます。
  • 23:15 - 23:18
    自分の存在。
    自分の人生に価値を見出せず
  • 23:18 - 23:20
    できることならもう一回
    過去に戻ってやり直したい。
  • 23:20 - 23:24
    そんな気持ちが、夜な夜な
    出てきてしまうことだってある訳です。
  • 23:24 - 23:26
    しかしニーチェは、次のように言います。
  • 23:26 - 23:27
    [たった1度でいい]
  • 23:27 - 23:31
    [本当に魂が震えるほどの悦びを味わったのなら]
  • 23:31 - 23:33
    [その人生は生きるに値する]
  • 23:33 - 23:38
    つまり生きている間に、言葉では
    言い表せないような歓びを手に入れさえすれば
  • 23:38 - 23:41
    全ての苦しみ
    全ての悲しみを引き連れてでも
  • 23:41 - 23:45
    あなたは自分の人生をもう一度
    生きることを望むはずだ!
  • 23:45 - 23:49
    だから、どんな運命だろうと愛し
    自分の人生を前向きに
  • 23:49 - 23:51
    肯定的に生きれば良いのだ、と
    言っている訳です。
  • 23:51 - 23:54
    ニーチェ哲学のテーマは「生の肯定」ですが
  • 23:54 - 23:58
    この「運命愛」は、正に
    その象徴的な概念と言えます。
  • 23:58 - 24:02
    しかし、そんな非常に前向きで
    パワフルな思想の持主であるニーチェですが
  • 24:02 - 24:07
    彼自身の人生と言えば
    実に「苦悩」と「悲哀」に満ちたものでした。
  • 24:07 - 24:09
    才能があっても、仕事は評価されず
  • 24:09 - 24:13
    発狂するほど苦しみ、精神を病んで
    この世を去るんです。
  • 24:13 - 24:18
    これが、永遠に回帰するのかと考えますと
    正直、ゾッとしてしまいます。
  • 24:18 - 24:24
    ただ彼は、晩年に書いた『自叙伝』において
    自身の人生を次のように、振り返っています。
  • 24:24 - 24:25
    [どうして私は]
  • 24:25 - 24:28
    [私の全生涯を感謝せずにおれようか?]
  • 24:28 - 24:31
    [そして、だからこそ私は私自身に]
  • 24:31 - 24:35
    [私の生涯を、語り聞かせようとしているのである]
  • 24:35 - 24:38
    ニーチェの精神が崩壊するのは
    この言葉を残した
  • 24:38 - 24:43
    わずか数ヶ月後と言われています。
    つまり彼は、最後の最後まで
  • 24:43 - 24:46
    苦悩に満ちた、自分自身の運命を愛し
  • 24:46 - 24:49
    「生の肯定」という自分の哲学を貫き通し
  • 24:49 - 24:51
    その人生を全うしたのです。
  • 24:52 - 24:54
    そして、ニーチェは自分の死後
    何百年か先に
  • 24:54 - 24:58
    きっと、ニヒリズムが世界を覆い尽くし
    人々から希望を奪い
  • 24:58 - 25:01
    生きる意味を失わせてしまうだろうと
    予見していました。
  • 25:01 - 25:06
    だからこそ彼は、自分の魂と声を宿した人格。
    [ツァラトゥストラ]を作り上げ
  • 25:06 - 25:10
    絶望の前に立ち尽くす
    未来の人類への「贈り物」としたのです。
  • 25:10 - 25:15
    どこまでも生を肯定し
    運命を愛した天才哲学者。
  • 25:15 - 25:16
    フリードリヒ・ニーチェ。
  • 25:16 - 25:20
    彼の贈り物が開かれるべき時は
    正に、今なのかもしれません。
  • 25:21 - 25:23
    ...というわけで
    ニーチェの[ツァラトゥストラ]
  • 25:23 - 25:25
    以上でございます。
    いかがでしたでしょうか?
  • 25:25 - 25:28
    ニーチェ哲学は、やはり
    パワーが凄いですね。
  • 25:28 - 25:31
    圧倒されてしまいます。
    もし、この後お時間があるようでしたら
  • 25:31 - 25:35
    概要欄に貼ってあるリンクから
    岡本太郎さんの[自分の中に毒を持て]
  • 25:35 - 25:39
    こちらをチェックしていただきますと
    また、新たな発見があると思います。
  • 25:39 - 25:44
    ...と言いますのも、岡本太郎さんの思想に
    最も影響を与えたのは
  • 25:44 - 25:47
    フランスの哲学者
    「バタイユ」という人物なんですが
  • 25:47 - 25:50
    このバタイユに影響を与えたのが
    ニーチェなんです。
  • 25:50 - 25:54
    ...ですから、岡本太郎さんの力強い言葉には
    何処かニーチェっぽさがあります。
  • 25:54 - 25:59
    そういったところに、注目して観ていただきますと
    今日の内容の解釈の幅が広がって
  • 25:59 - 26:03
    更に、気持ちを高めて
    いただけるのではないかな、と思います。
  • 26:03 - 26:08
    面白かった、参考になったという方は
    高評価・コメントなどいただけますと嬉しいです。
  • 26:08 - 26:10
    また、チャンネル登録も
    よろしくお願い致します。
  • 26:10 - 26:12
    ではまた、次の動画でお会いいたしましょう。
  • 26:12 - 26:13
    ありがとうございました。
Title:
【26分解説】ツァラトゥストラ|ニーチェ ~無敵の自己肯定感を生み出す、究極の思想とは?~
Description:

more » « less
Video Language:
Japanese
Duration:
26:14

Japanese subtitles

Revisions Compare revisions