批判を喜べる人の強さ
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0:01 - 0:05私が26歳のとき
大学院を出たばかりの頃の話です -
0:05 - 0:08「やる気」について
半日がかりの講義を頼まれました -
0:08 - 0:10すっかり乗り気だったのですが
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0:10 - 0:16後になって 聴講者はアメリカ空軍の
将官・佐官たちだと判明しました -
0:16 - 0:18私には荷が重すぎる仕事だったのです
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0:18 - 0:21逃げようにも 時すでに遅しでした
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0:21 - 0:24講義室に入ると 目の前には
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0:24 - 0:28勲章が鈴なりの軍服で身を固めた
自分の倍くらいの年齢の人々が -
0:28 - 0:30席を埋めていました
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0:31 - 0:35「狙撃屋」「打撃屋」「忍び」といった
別名まである人たちでした -
0:36 - 0:39開始1時間も経たずに
こりゃボロボロだと思いました -
0:40 - 0:43そしてやはり
講義評価アンケートでは -
0:43 - 0:45ボロクソに書かれました
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0:45 - 0:47ある出席者の感想です
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0:47 - 0:51「有用な情報は壇上よりも
聴講席のほうに多かった」 -
0:52 - 0:53こんな声もありました
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0:53 - 0:56「講義から得たものは無いに等しい
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0:56 - 1:00しかし 講師のほうは
良い教訓を得たはずだ」 -
1:00 - 1:02(音楽)
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1:02 - 1:04腹に一発食らったような気分でした
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1:05 - 1:07ずっと悶々としていました
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1:08 - 1:12そこで 組織心理学者の名に恥じない
行動をとることにしました -
1:12 - 1:13研究を始めたのです
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1:13 - 1:20批判されると精神的打撃を感じるのはなぜで
批判とは好きになれるものなのか -
1:20 - 1:26(音楽)
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1:26 - 1:28アダム・グラントです
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1:28 - 1:30私のTEDポッドキャスト番組
WorkLifeへようこそ -
1:30 - 1:33私は仕事を嫌いにならない方法を
研究しています -
1:33 - 1:36GoogleやNBAや
ビル・ゲイツ財団などに招かれて -
1:36 - 1:40仕事の意義やチームの創造性
協力的な企業文化の向上に -
1:40 - 1:42助力してきました
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1:42 - 1:47この番組では 知らないともったいないような
仕事のコツを極めた -
1:47 - 1:51尋常じゃなく型破りな組織に
お邪魔していきます -
1:51 - 1:55今日は「批判」を
徹底的に解剖していきます -
1:56 - 1:58Bonobosの協賛でお送りします
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1:58 - 2:02(音楽)
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2:02 - 2:04(アダム・グラント)こんにちは
(キラン・ラオ)どうも -
2:04 - 2:06(アダム)よろしく
(キラン)こちらこそ -
2:06 - 2:08こちらはキラン・ラオ氏
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2:08 - 2:11元は金融会社で
管理職をしていた人です -
2:11 - 2:15管理職の例に漏れず
膨大な時間を会議に費やしていました -
2:15 - 2:17会議のほとんどは
ありきたりのものでしたが -
2:17 - 2:211つだけ 記憶に焼き付いている
会議があるそうです -
2:21 - 2:24では どんな会議だったのか
解説してもらいましょう -
2:24 - 2:27(キラン)大きな白いテントの中に
-
2:27 - 2:30会社のトップ300に入る管理職が
200人ほど座っていました -
2:30 - 2:32録音:(男)次の2つの部分は
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2:32 - 2:34実務への応用についてです
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2:34 - 2:37(キ)それまでの議題は
戦略に関する諸事項でしたが -
2:37 - 2:38ここで あるチャートが登場
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2:38 - 2:40録音:(男)この一覧は
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2:40 - 2:44この場の皆さん全員を
業績順に並べたものです -
2:44 - 2:46(キラン)「最悪の管理職ランキング」
と書いてありました -
2:46 - 2:49録音:(男)これらは
我々が敬愛する人々ですが -
2:49 - 2:53名前の挙がった何名かはおそらく
この場にふさわしくない方々でしょう -
2:53 - 2:56(キラン)1位は私だったのです
-
2:56 - 2:58録音:(男)この名前の人
キランは私が採用しました -
2:58 - 3:02入社2年目ですが
あまり振るわない様子です -
3:02 - 3:06(アダム)なんとまぁ
完全に虚を突かれましたね -
3:06 - 3:08200人の出席者がいる場で
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3:08 - 3:11お前は管理職の中で最下位だと
名指しされたのですね -
3:11 - 3:12(キラン)その通り
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3:12 - 3:14(アダム)どんな気持ちでしたか
-
3:14 - 3:15(キラン)まぁ…
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3:17 - 3:18ガツンと来ましたよ
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3:18 - 3:23(音楽)
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3:23 - 3:25キランには
また後でお話を聞きます -
3:25 - 3:29ここで もし自分がキランの立場だったら
と想像してみてください -
3:29 - 3:32批判を受けたとき
どんなことが起こるでしょうか -
3:32 - 3:37身体的には 肩がこわばって
呼吸が浅くなります -
3:37 - 3:39否定的なことを言われると
危険信号が発せられ -
3:39 - 3:41神経が実際に刺激されます
-
3:42 - 3:43心理的にはどうでしょう
-
3:43 - 3:45心がザワザワして
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3:45 - 3:48防御体制を取り始め
反撃に移ります -
3:49 - 3:51クジャクなら羽を広げ
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3:52 - 3:54サルなら拳で胸を打つところです
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3:55 - 3:57しかし人間は別の種類の反応をします
-
3:58 - 3:59数十年前の研究によると
-
3:59 - 4:03この状況では 自我を守ろうと
防衛本能が働きすぎるあまり -
4:03 - 4:06自我の独裁政権が始まるのだそうです
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4:06 - 4:09独裁者がメディアを
統制するのと同じように -
4:09 - 4:11自我が脳に入る情報を統制し始めます
-
4:12 - 4:13考えてみてください
-
4:13 - 4:16自我が自分の耳に入る内容を
検閲しているんですよ -
4:16 - 4:20でも 批判が耳に入ってこない人は
けっして成長しません -
4:20 - 4:24社員が 全員の自己成長のために
絶えず批判し合い -
4:24 - 4:28かつ 自ら批判的なフィードバックを
求めるような職場とは -
4:28 - 4:29どんなところでしょうか
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4:29 - 4:32何百という組織と仕事してきましたが
-
4:32 - 4:34それが普通に行われている会社が
1つだけありました -
4:34 - 4:37(レイ・ダリオ)社員に
「最低です」と言われたら -
4:37 - 4:40「そうか 私は最低なのか」
と返事します -
4:40 - 4:42(アダム)この人は経営者で
-
4:42 - 4:43レイさんといいます
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4:43 - 4:45(レイ)人類に起こった最大の悲劇は
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4:45 - 4:49皆が言いたいことを
胸にしまっていることです -
4:49 - 4:52なぜ 悲劇なのかというと
簡単に解決できるからなんです -
4:52 - 4:54隠さずに表に出して
-
4:54 - 4:56ちゃんとした耐久試験に
かければいいのです -
4:56 - 5:00そうすれば より良い決断を下せる
確率が上がります -
5:00 - 5:03皆で喜び合ったり
微笑み合ったりするだけでは -
5:04 - 5:06対処すべき物事に
向き合っていることにはなりません -
5:06 - 5:10(アダム)想像すると
ものすごく面白そうですね -
5:10 - 5:12誰彼かまわず最低呼ばわりしても
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5:12 - 5:14「詳しく教えて」という返事が定番な職場
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5:14 - 5:17批判への反応として
それが理想形だとお考えなのですか -
5:17 - 5:21(レイ)批判を皆で検討して
よく考えることがねらいです -
5:21 - 5:25人を不快にしたり 誤解したりしているのは
自分かもしれませんから -
5:25 - 5:26(アダム)70年代中盤に
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5:26 - 5:30レイは金融会社を立ち上げました
ブリッジウォーター・アソシエーツです -
5:30 - 5:34創業当初は 友人同士で
納屋を拠点に働いていました -
5:34 - 5:37瞬く間に事業は大成功し
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5:37 - 5:39レイは慢心しました
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5:39 - 5:41市場予想を外し
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5:41 - 5:42会社は大損失を被って
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5:42 - 5:44友人を解雇するはめになりました
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5:44 - 5:46(レイ)お金に困りすぎて
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5:46 - 5:49家族の生活のために父親から4000ドルを
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5:49 - 5:51借金しなければなりませんでした
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5:52 - 5:55とてつもなく辛かったですが
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5:55 - 5:57結果的には またとない経験でした
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5:57 - 6:01(アダム)とても辛かったことが
またとない経験とはいかに? -
6:01 - 6:04普通の人間は そうはなりませんよね
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6:04 - 6:06(レイ)確かに私はどん底にいました
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6:06 - 6:11しかし 自分の傲慢さを克服するための
謙虚さを学びました -
6:11 - 6:14自分に反対意見を言ってくれる
最高に頭のいい人たちを見つけたいと -
6:14 - 6:16思うようになりました
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6:16 - 6:18(アダム)挫折の理由は
天狗になっている自分を -
6:19 - 6:21戒める人が周りにいなかったせいだと
気づいたのです -
6:21 - 6:25人の意見に耳を貸さなかったのか
イエスマンに囲まれていたのか -
6:25 - 6:28結果として誰もいなくなったというわけです
-
6:28 - 6:32(レイ)この経験で
つくづく身にしみたんです -
6:32 - 6:35よく言っていることですが
自分を振り返って -
6:35 - 6:39「うわっ 1、2年前の自分は
何てバカだったんだ」と言えない人は -
6:39 - 6:42間違いなく その間
たいして成長していないんですよ -
6:42 - 6:43(アダム)レイは決心しました
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6:43 - 6:46再生後のブリッジウォーターの社風は
ガラッと変えよう -
6:46 - 6:49お互いに容赦無く率直に
何でも言い合える社風にしよう と -
6:49 - 6:51それが 今のブリッジウォーターです
-
6:51 - 6:54レイは「徹底した透明性」と
呼んでいます -
6:54 - 6:58批判も意見もひとつ残らず
大っぴらにします -
6:58 - 7:01そんな風にさらけ出して
気まずくなったりしないんですか -
7:01 - 7:05(レイ)気まずいほうがおかしいのでは?
-
7:05 - 7:10(アダム)恥ずかしい、傷ついた
嘲られた、酷だ といった思いをしませんか -
7:10 - 7:13(レイ)でも実際は
どれにも当てはまりませんよね -
7:13 - 7:16やりにくいこともあるだろうとは
認識しています -
7:16 - 7:20本当にこの社風の中で働きたいのかと
入社前に確認しますから -
7:20 - 7:21社員同士が
-
7:22 - 7:26真の意味での自己発見に協力し合うのは
いいことだと思いませんか -
7:27 - 7:29(アダム)ブリッジウォーターは今や
-
7:29 - 7:31世界トップのヘッジファンドだと
言われています -
7:32 - 7:35レイは自社の社風こそが
成功を牽引していると考えています -
7:36 - 7:39現在の資産管理額は1600億ドルにのぼり
-
7:39 - 7:41レイは世界有数の大金持ちになりました
-
7:42 - 7:44もうお気づきでしょうが
-
7:44 - 7:47ブリッジウォーターは私が見てきた中でも
ひときわ異彩を放つ会社です -
7:48 - 7:51批判し合う社風はあくまでも
特色のひとつに過ぎません -
7:51 - 7:53同社が実践する習慣を
ひとつ残らず分析したり -
7:53 - 7:56業績を細かく研究したり
真似ろと言ったりするつもりはありません -
7:57 - 7:59ですが 上達したい物事があれば
その道を極めた人々に -
7:59 - 8:02教えを乞うべきだと考えています
-
8:02 - 8:04運動のコツを
オリンピック選手から -
8:04 - 8:06学ぼうとするのと同じです
-
8:06 - 8:09ブリッジウォーターは
「批判」の道を極めており -
8:09 - 8:12批判を与えることも 逆に自ら切望することも
習得できると考えています -
8:13 - 8:16歴代の重役の中には有名人もいます
-
8:16 - 8:20最近までFBI長官を務めていた
ジェームズ・コミー氏などです -
8:20 - 8:23上院公聴会でもブリッジウォーターの話を
していたくらいです -
8:23 - 8:25ジェームズ・コミー:
ブリッジウォーターに -
8:26 - 8:28勤めた理由の一つが
歯に衣着せぬ社風でした -
8:28 - 8:30私自身が元から そんな性格だからです
-
8:30 - 8:32(アダム)現在 約2000人いる社員の
-
8:32 - 8:37誰もが 批判を大っぴらに
口にするよう求められています -
8:37 - 8:40億万長者の創業者でさえも批判の対象です
-
8:40 - 8:44ジム・ハスケルという社員が
レイに送ってきたメールを紹介しましょう -
8:44 - 8:48「社長の今日の成績は
Dマイナスです -
8:48 - 8:5150分間も
とりとめもない話をして -
8:51 - 8:54何の準備もしてこなかったのが
見え見えでした -
8:54 - 8:58今日は本当にひどかった
二度としないでください」 -
8:59 - 9:03ジムに手厳しい評価をされ
レイは他にも意見も聞くことにしました -
9:03 - 9:05社員に頼んで
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9:05 - 9:08その日の自分にA〜Fの間で
成績をつけてもらい -
9:08 - 9:12結果を全員に公表したのです
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9:12 - 9:15なんと Aは
ひとつもありませんでした -
9:15 - 9:17(レイ)大失態です
-
9:17 - 9:19(アダム)普通 その状況なら
ジムとの間で -
9:19 - 9:21事を収めようとする人が
ほとんどでしょう -
9:21 - 9:23でも あなたは返信に
-
9:23 - 9:26会議の出席者全員を含めたわけですよね
-
9:26 - 9:27(レイ)いや 全社です
-
9:27 - 9:29(アダム)全社に?
(レイ)そう -
9:29 - 9:31(アダム)A〜F評価も?
(レイ)重要なことなので -
9:32 - 9:34(アダム)こんなことは
日常茶飯事だそうです -
9:34 - 9:37もしDマイナスと評価されたら
あなたならどうしますか? -
9:38 - 9:41実際に研究で証明されているのですが
人は同僚に批判されると -
9:41 - 9:43関係を一切断ってしまう傾向があります
-
9:43 - 9:46少なくとも 何とかして
その同僚を避けようとします -
9:46 - 9:48さらに 味方になってくれる人の元に直行して
-
9:48 - 9:50愚痴って 慰めてもらいます
-
9:50 - 9:54友人や 考え方が似ている
仲のいい同僚や母親など -
9:54 - 9:56これが「サポートの輪」です
-
9:56 - 9:58(音楽)
-
9:58 - 10:00しかし もう一つ
私たち皆に必要な「輪」があります -
10:00 - 10:02「チャレンジの輪」です
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10:02 - 10:06自分の成長を後押ししてくれると
信用している人たちのことです -
10:07 - 10:10耳に痛くても耳を貸すべき
意見がもらえる場です -
10:11 - 10:14ブリッジウォーターは
巨大な「チャレンジの輪」なのです -
10:14 - 10:16(レイ)ジムがくれたような
批評が欲しいんです -
10:16 - 10:19私にはグダグダ話す癖や
-
10:19 - 10:22準備を怠る癖があるかも
しれないからです -
10:22 - 10:26(アダム)レイはジムに
次は頑張ると伝えました -
10:26 - 10:28(レイ)「いや 信用できませんね」と言われ
-
10:28 - 10:31「確かに私も自分で
自分を信用できんな」と -
10:31 - 10:34毎回ジムに電話を
入れてもらうことになりました -
10:34 - 10:37お互いにとっても 会社にとっても
それが得策だと -
10:37 - 10:39ジムは理解しているのです
-
10:39 - 10:43(アダム)「チャレンジの輪」は耳を貸す
心構えのある人にしか役に立ちません -
10:43 - 10:46(レイ)特に私は
失敗も成功もひっくるめて -
10:46 - 10:49皆にさらけ出すことが
大事だと考えています -
10:49 - 10:52そうしない人の気が知れません
-
10:52 - 10:54(アダム)真実が怖いのでは?
-
10:54 - 10:56(レイ)具体的には何が怖いと?
-
10:56 - 11:00(アダム)「王様は裸だ」
という現実ですよ -
11:00 - 11:05(レイ)可能な限り人間として
成長することが目標ならば -
11:05 - 11:07むしろ その現実を知りたいはずです
-
11:07 - 11:10(アダム)実際に成長するよりも
錯覚でもいいから -
11:10 - 11:14まともなイメージを保ちたい人が
多いんだと思います -
11:14 - 11:15(レイ)でも それでは
-
11:15 - 11:18成果よりもイメージのほうが
大事だということになってしまいます -
11:19 - 11:21(アダム)それは許さない
と仰りたいわけですね -
11:22 - 11:24(レイ)成果を出したほうが
人生 ずっと楽しいでしょ? -
11:24 - 11:26(笑)
-
11:26 - 11:29(アダム)そこまで大っぴらに
批判し合うなんて -
11:29 - 11:31恐ろしいと思うかもしれません
-
11:31 - 11:32気持ちはわかります
-
11:32 - 11:36大抵の職場では そんなことをすれば
辛いだけならまだマシで -
11:36 - 11:37イジメだと思われます
-
11:37 - 11:41経済学の様々な研究で
人を順位づけすることは -
11:41 - 11:43概して やる気を削ぐものだと
証明されています -
11:43 - 11:45順位が上の人でさえ
-
11:45 - 11:47もっと上だと思ったのに とがっかりし
-
11:47 - 11:48下位の人たちは
-
11:48 - 11:53周りの皆と比べて低い評価になるので
面白くありません -
11:53 - 11:59(レイ)おそらく普通の会社では
社員の理解を得て心構えをさせておらず -
11:59 - 12:02それが良いことかどうか
話し合えていないのではないでしょうか -
12:03 - 12:04(音楽)
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12:04 - 12:06(アダム)皆さんの職場はどうでしょう
-
12:06 - 12:09もしあなたが突然思い立って
-
12:09 - 12:11「徹底した透明性」を追求しだしたら
-
12:11 - 12:13そう順調にはいかないかもしれません
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12:13 - 12:16(AJ)『エスクワイヤー』誌に
勤めていたときでした -
12:16 - 12:19会議中に 担当の編集者に言ったんです
-
12:19 - 12:22「ここが『ニューヨーカー』
だったらいいのに -
12:22 - 12:25誘われたら きっと移っちゃうよ」
-
12:26 - 12:29編集者の表情が固くなりました
気に障ったようでした -
12:29 - 12:31(アダム)AJ・ジェイコブズ氏は
-
12:31 - 12:34人生は実験だと思って楽しもうと
考えている文筆家です -
12:34 - 12:36(AJ)ある時 記事のネタとして
-
12:36 - 12:40数週間の間 思ったことを100%
口してみるという実験をしました -
12:40 - 12:43(AJ)嫌いな上司には
「嫌いです」と伝えます -
12:43 - 12:46(アダム)AJは接する人全員に
それをしたのです -
12:46 - 12:51義理の母、近所のお年寄り
自分の子ども、妻の友人などです -
12:51 - 12:54(AJ)妻と外食中に
-
12:54 - 12:57卒業以来会っていない
妻の大学時代の友人に出くわしたんです -
12:57 - 12:59皆 妻を懐かしがって
-
12:59 - 13:03今度 皆で子供を連れて
集まろうという話になりました -
13:03 - 13:06私は頭に浮かんだことを
そのまま言わなければならず -
13:06 - 13:08「皆さん いい人なんでしょうけど
-
13:08 - 13:10もう会いたくないな」と言いました
-
13:10 - 13:13(アダム)(笑)まさか!
(AJ)本当ですよ -
13:13 - 13:17無理もないことですが 皆の気分を
害してしまい 妻はカンカン -
13:17 - 13:18大失態となりました
-
13:18 - 13:21でも その人たちには
二度と会うこともなく -
13:21 - 13:23効率良く成果を出せたとも言えるんです
-
13:23 - 13:28(キム・スコット)(笑)
私がよく使う言葉で説明すると -
13:28 - 13:31この種の発言は
「徹底した率直性」ではなく -
13:31 - 13:32「不愉快な攻撃性」です
-
13:32 - 13:36(アダム)キム・スコットは
シリコンバレーで働く経営コーチです -
13:36 - 13:38CEOや管理職を対象に
-
13:38 - 13:40徹底的に率直なフィードバックの
方法を教えています -
13:40 - 13:44(キム)人間らしさを失わずに
タフでクールな上司であること -
13:44 - 13:47(アダム)どうすれば批判を上手く
伝えられるかキムに聞いてみました -
13:47 - 13:48すると 秘訣は
-
13:48 - 13:52AJのように頭に浮かんだことを
何でも吐き出すことではないようです -
13:52 - 13:54(キム)徹底して率直であることのねらいは
-
13:54 - 13:58相手のことを大切に思いながら
-
13:58 - 14:01同時に あえて率直に指摘することです
-
14:01 - 14:05(アダム)では 気兼ねせずに
率直な指摘をするには? -
14:05 - 14:09相手のためを思っての指摘だと
確実に伝えるにはどうすれば? -
14:09 - 14:11(キム)一番大事だと思うのは
-
14:11 - 14:14「気を悪くしないで聞いて」
という一言は -
14:14 - 14:16絶対にやめることです
-
14:16 - 14:20相手が怒ったり
感情的な反応をしてもいいんです -
14:20 - 14:21それが普通ですし
-
14:21 - 14:23避けられないことなんです
-
14:23 - 14:26そうなったときに 思いやりを持って
接してあげればいいんです -
14:27 - 14:31感情を麻痺させる薬があれば
処方してあげたいくらいです -
14:32 - 14:35(アダム)これまで多くの人から
こんな言葉を聞きました -
14:35 - 14:38「面と向かって指摘するのは
本当に気まずいから -
14:38 - 14:41相手のためを思って言っていると
態度で示すために -
14:41 - 14:44サンドイッチ式で
フィードバックしようと思う -
14:44 - 14:47まずは褒めてから
真ん中に批判を挟んで -
14:47 - 14:49最後にまた褒めれば
-
14:49 - 14:52感じ良く始めて 感じよく終われるから」
-
14:52 - 14:55研究結果から分かっているのは
これはダメなやり方で -
14:55 - 14:57その理由は2つあるそうです
-
14:57 - 14:591つは 褒め言葉から始めると
-
14:59 - 15:01もっと褒められると期待させてしまい
-
15:01 - 15:03不誠実に見えるということ
-
15:04 - 15:07もう1つは 真ん中の批判だけ
聞き飛ばされてしまいがちなこと -
15:07 - 15:11サンドイッチ型フィードバックに代わる
いい方法を教えてください -
15:11 - 15:14(キム)お説教のサンドイッチは
誰も喜ばないでしょうね -
15:14 - 15:18褒めるときも批判するときも
等しく重要なのは— -
15:18 - 15:19批判するときは特にそうですが—
-
15:19 - 15:22謙虚な態度で接することです
-
15:22 - 15:26自分が間違ったことを
言っているかもしれない -
15:26 - 15:27それでもいいのです
-
15:27 - 15:32批判を口にするときにできることで
非常に大切なのは -
15:32 - 15:34助けになりたいという思いを
明言することです -
15:34 - 15:36(音楽)
-
15:36 - 15:38(アダム)これには裏付けもあります
-
15:38 - 15:40ブリッジウォーターでも
頻繁に聞いたことですが -
15:40 - 15:44自分のためになるとわかっていると
批判を受け入れやすいのです -
15:44 - 15:46一見 辛辣に聞こえるかもしれないことも
-
15:46 - 15:48自分のためになると
考えているそうです -
15:48 - 15:51(キム)健全な批判だとわかっていて
-
15:51 - 15:54その効果を肌で感じたことがあれば
-
15:54 - 15:56批判を求め続けるようになります
-
15:56 - 15:58ジョギングは苦しいこともあるけれど
-
15:58 - 16:03心身の健康のために大事だと
わかっているから続けるのと同じです -
16:03 - 16:07外に出るのがおっくうでも
それでも頑張りますよね -
16:07 - 16:09批判も同じことだと思います
-
16:09 - 16:11(音楽)
-
16:11 - 16:13(アダム)続きはまた後で
-
16:14 - 16:16ここで一味違う広告をはさみます
-
16:16 - 16:18創造的なアイデアを追求している
-
16:18 - 16:21スポンサーのBonobos社を
のぞいてみましょう -
16:21 - 16:28(音楽)
-
16:33 - 16:35(音楽)
-
16:35 - 16:39地球上の誰もがそうだと思いますが
私もカスタマーサービスが嫌いです -
16:39 - 16:41人間と話をするのも一苦労
-
16:41 - 16:44つながっても
マニュアル通りのことしか言わない -
16:44 - 16:47何か結果を出したければ
マネージャーを呼ぶしかありません -
16:47 - 16:49しかも何度も何度もです
-
16:49 - 16:52でも Bonobosでは違います
-
16:52 - 16:56体にフィットする紳士服を作るこの会社
問題があって電話すると -
16:56 - 16:59きちんと対応できる権限を持つ
本物の人間が電話に出ます -
16:59 - 17:01「ニンジャ」と呼ばれる人々です
-
17:01 - 17:06(ケルシー・ナッシュ)肩書はクリエイティブ
顧客エンゲージメント・リードです -
17:06 - 17:09ニンジャを統率するチームの一員です
-
17:09 - 17:11(アダム)こちらはケルシー・ナッシュ
-
17:11 - 17:13ケルシーをはじめニンジャには
-
17:13 - 17:16カスタマーサービス業界では
珍しい権限が与えられています -
17:16 - 17:17「自由裁量」です
-
17:17 - 17:21(ケルシー)ニンジャ一人ひとりが
その時々で好きなように -
17:21 - 17:24自分が必要だと思う方法で
顧客に対応する権限を持っています -
17:24 - 17:28解決法を見つけるために
上や下にたらい回しにするようなことは -
17:28 - 17:29ありません
-
17:29 - 17:32「24〜48時間でお返事します」は
無しです -
17:32 - 17:34ですから毎日ニンジャたちに
問いかけます -
17:34 - 17:37「あなたがお客様の立場なら
何を求める? -
17:37 - 17:38どう感じる?」と
-
17:38 - 17:41(アダム)意外な展開になることもあります
-
17:41 - 17:43ケルシーの対応もその一つです
-
17:43 - 17:47(ケルシー)デレクという男性から
メールで問い合わせがありました -
17:47 - 17:50「家で火事があって
-
17:50 - 17:53お気に入りのフランネルのシャツに
傷がついてしまいました -
17:53 - 17:56このシャツを直したりは
できないでのしょうか -
17:56 - 17:59ウェブサイトを見ると
もう売っていないようなので」 -
17:59 - 18:01(アダム)ケルシーは
すぐに返信しました -
18:01 - 18:03(ケルシー)「新品をお送りします
-
18:03 - 18:05本当に大変でしたね
皆さんご無事ですか?」 -
18:05 - 18:08デレクの返事はこうでした
「皆 大丈夫でした -
18:08 - 18:12ただ 15歳の飼い犬の
救出が間に合わず -
18:12 - 18:16助からなかったことだけが
残念でたまりません」 -
18:16 - 18:19(アダム)それを聞いたケルシーは
「ニンジャモード」になり -
18:19 - 18:23(ケルシー)ネット検索すると
デレクのインスタグラムがあったので -
18:23 - 18:27犬の写真を手に入れて
肖像画を注文しました -
18:27 - 18:32それからフランネルのシャツを
2〜3枚送りました -
18:32 - 18:35(デレク[電話口で])
感傷的なタイプではないのですが -
18:35 - 18:37大変な目に遭ったばかりで
-
18:37 - 18:38絵を見たとたんに涙が出ました
-
18:38 - 18:42(アダム)この話を聞いたとき
デレクに取材せねばと思いました -
18:42 - 18:45(デレク)ある意味
絶望的な状況にいたわけで -
18:45 - 18:50そんな時に 小さなことでも
いいことがあれば -
18:50 - 18:52ものすごく心に響くものです
-
18:53 - 18:56Bonobosに そこまでする
義務はありません -
18:56 - 18:59正しいことだからという思いだけで
してくれたんです -
18:59 - 19:03(ケルシー)当社が万事において
誇りにしているのは人間らしさです -
19:03 - 19:07問い合わせ一件一件を
一対一で対応します -
19:07 - 19:10電話には人間が出ますし
人間同士として会話します -
19:10 - 19:12「よし 何とかしましょう」って
-
19:12 - 19:13(アダム)時には必要な対応です
-
19:14 - 19:17新しい仕事を始めたばかりのデレクは
間違いなく身に染みて感じています -
19:17 - 19:21(デレク)今の所 飾っている絵は
あの一枚しかありません -
19:21 - 19:24机の真上にある
窓の上の壁に掛けています -
19:25 - 19:28毎朝 部屋のドアを開けて
最初に目に入るのがこの絵です -
19:29 - 19:30(アダム)Bonobosは
良質の洋服を作っていますが -
19:30 - 19:34家を出ずに手に入るところが
私のお気に入りです -
19:34 - 19:35私は買い物に出かけるのが
-
19:35 - 19:38カスタマーサービスに電話するのと
同じくらい嫌いなんです -
19:38 - 19:41Bonobosのサイトでは
注文も楽々です -
19:41 - 19:45配送も早く サイズが合わなければ
ケルシーに電話をかけられます -
19:45 - 19:47話をするためだけでもね
-
19:47 - 19:50bonobos.com/TEDを
のぞいてみてください -
19:50 - 19:52初回注文は20%オフになります
-
19:52 - 19:56bonobos.com/TEDで
20%オフをご利用ください -
19:56 - 20:00(音楽)
-
20:04 - 20:05(音楽)
-
20:05 - 20:08大学時代 飛び込みの選手だった私は
-
20:08 - 20:12二回転半ひねりを
習得しようとしていました -
20:13 - 20:16ある競技会で披露した時
うまくいったと思いました -
20:17 - 20:19でも 審査員が出したスコアは
-
20:19 - 20:23「2」「2.5」「0.5」でした
-
20:24 - 20:27そんなスコアは見たこともありません
-
20:28 - 20:30空中で回転しながら
ひねりを入れている最中は -
20:30 - 20:33自分の演技の出来は
なかなか判断がつきません -
20:33 - 20:36仕事人生も 大部分は
これと似ています -
20:36 - 20:38その真っ只中にいる当事者は
-
20:38 - 20:41自分を客観的に
見ることができません -
20:41 - 20:45飛び込み競技会では 何人もの審査員が
同じ欠点に気づきました -
20:46 - 20:49後からビデオで観ると自分でもわかりました
-
20:49 - 20:51私がやったのは
完璧に近い腹打ちだったのでした -
20:51 - 20:53(音楽)
-
20:54 - 20:55スポーツ経験者なら
-
20:55 - 20:57現実を教えてくれる
コーチや仲間と一緒に -
20:57 - 21:00録画を観ることの価値を
知っているはずです -
21:00 - 21:03これを仕事でも
やってみてはいかがでしょう? -
21:04 - 21:06ブリッジウォーターはやっています
-
21:06 - 21:09同社では徹底した透明性への
こだわりから -
21:09 - 21:12会議はほぼ全て
ビデオや音声で残しています -
21:13 - 21:15「お上が見ているぞ」的なノリですね
-
21:15 - 21:17それに変わりはないのですが
-
21:17 - 21:20ここでの違いは
皆に見られているということ -
21:20 - 21:23会議の録音を頻繁に聞いて
学ぼうとしているのです -
21:23 - 21:26徹底した透明性を体現した
会話をお聞かせしましょう -
21:26 - 21:29創業者レイ・ダリオと
社員の会話です -
21:29 - 21:32(レイ)君の意見が全部
的外れだとは言っていないよ -
21:32 - 21:35(社員)そうお考えのように
聞こえますけど -
21:35 - 21:37(レイ)一部はそうだが
-
21:37 - 21:38ここで彼が言いたいのはだな
-
21:38 - 21:42自分の無知を認識していることを
態度で示しなさいということだ -
21:42 - 21:44(アダム)こういう会話を
-
21:44 - 21:46内内に処理してしまう
職場が本当に多いのです -
21:47 - 21:49(ジェン・ヒーリー)
普通の上下関係だと -
21:49 - 21:50心の内を人に明かしませんよね
-
21:50 - 21:53(アダム)ジェン・ヒーリーは
ブリッジウォーターの管理職です -
21:53 - 21:57(ジェン)人に与える印象や
どう思われるかを常に意識しています -
21:57 - 22:00上の人にはおべっかを使い
-
22:00 - 22:03万事順調で 自分は何でも把握していると
印象づけようとします -
22:03 - 22:05(アダム)「徹底した透明性」には
-
22:05 - 22:09会社人生における大罪「社内のしがらみ」を
解決する機能も組み込まれています -
22:09 - 22:11会議中の出来事が
-
22:11 - 22:15事後になって水面下で行われる
根回しや密談ほどには力を持たない — -
22:15 - 22:17そんな組織が多すぎるのです
-
22:17 - 22:20(ジェン)うちでは
思った通りに発言していいし -
22:20 - 22:22同時に まずいことを言えば
責を負うのは自分です -
22:22 - 22:25(アダム)でもこの方式は
批判に対する本能的な拒否反応を -
22:25 - 22:28同僚全員が克服できて初めて
うまくいきます -
22:28 - 22:30特に最初のうちは
簡単なことではありません -
22:30 - 22:34(アイリーン・マーレイ)
ブリッジウォーターを知ったばかりの頃は -
22:34 - 22:35いい気分ではありませんでした
-
22:35 - 22:37(アダム)アイリーン・マーレイさんです
-
22:37 - 22:40(アイリーン)会議に出るため
初めて出社したときのことです -
22:40 - 22:42取締役会か何かで そこでは
-
22:42 - 22:44尋問されている人がいました
-
22:44 - 22:46納得いく事情説明が出てくるまで
-
22:46 - 22:49その人を問いただすというもので
-
22:49 - 22:51私はその場にいるのが苦痛でした
-
22:51 - 22:54頭がおかしくなりそうでした
皆狂ってる と思いました -
22:54 - 22:57(アダム)今やアイリーンは
同社のダブルCEOの片割れです -
22:57 - 23:01そこに到るまでの間に 批判を
愛の鞭だと思えるようになりました -
23:01 - 23:03家族に言われるようなものです
-
23:03 - 23:06(アイリーン)妹に
我ながらよく我慢できるなと -
23:06 - 23:09思うようなことを時々言われますが
-
23:09 - 23:12それでも我慢できるのは
私のためを思っての言葉だからです -
23:12 - 23:14そうして腑に落ちたのです
-
23:14 - 23:19自分で自分を理解するという目的の下
人を理解することがねらいであり -
23:19 - 23:24そうすることで要は 自分が得意なことと
不得意なことを自覚できるようになり -
23:24 - 23:26物事の要領が良くなる ということに
-
23:26 - 23:28(レイ)SEALsのようなものですよ
-
23:28 - 23:31米海軍SEALsは
兵士を冷たい海で泳がせます -
23:31 - 23:34それが困難であるならば
慣れるまで練習しようということです -
23:35 - 23:39(アダム)ブリッジウォーターでは
毎日新しい「チャレンジの輪」と出会います -
23:39 - 23:41社員は信頼の置ける批評家を
探し求めることを学び -
23:41 - 23:43自らの意志で参加を選びます
-
23:43 - 23:47そしてだんだんと 耳の痛い真実を
聞いても平気になっていきます -
23:47 - 23:50もちろん脱落者もいます
-
23:50 - 23:54ブリッジウォーターでは新人の3分の1が
1年半経たずに辞めていきます -
23:55 - 23:59前に登場したキラン・ラオも
ちょうど入社1年半で -
23:59 - 24:03社内の管理職の中で最下位だと
突然言われたのでした -
24:03 - 24:05同僚200人の前でです
-
24:05 - 24:08心の準備ができていたとしても
キランにはこたえました -
24:09 - 24:14(キラン)インド人の私の肌でも
これ以上ないほど真っ赤だったでしょうね -
24:14 - 24:16あの経験をたとえるなら
-
24:16 - 24:19ある日 海水浴に行こうと
-
24:19 - 24:22水着にビーチサンダル姿で
-
24:22 - 24:26勢いよくドアを開けて出たら
外は大吹雪 みたいな状況ですね -
24:26 - 24:28(アダム)キランはこれでも
-
24:28 - 24:30ブリッジウォーター入社前は
-
24:30 - 24:34順風満帆のキャリアを送り
いくつもの肩書きを持っていました -
24:34 - 24:37医師として世界保健機構で働き
-
24:37 - 24:39コンサル会社のプリンシパルを務め
-
24:39 - 24:42業績好調な投資会社に勤めていました
-
24:42 - 24:45あんな挫折は初めてだったのです
-
24:45 - 24:49しかし 続いて私が見たことのない
出来事が起こりました -
24:49 - 24:52キランさん そのときはさぞ
恥ずかしかったでしょうね -
24:52 - 24:54どうやって立ち直ったんですか?
-
24:55 - 24:57(キラン)いや 爽快な気分でした
-
24:57 - 24:58(アダム)今 何て?
-
24:58 - 24:59(キラン)爽快でしたよ
-
24:59 - 25:01(アダム)それ 変ですよ
-
25:01 - 25:02(キラン)確かに
-
25:02 - 25:04(アダム)キランが順位を知って
-
25:04 - 25:06どう反応したか
会議の録音で 聞いてみましょう -
25:06 - 25:08録音:私がキラン・ラオです
-
25:08 - 25:11この順位表で 今や悪名高き
ナンバーワンを頂いた本人です -
25:11 - 25:14(笑)
-
25:14 - 25:15素晴らしい順位表ですし
-
25:15 - 25:18私の順位は正当だと思います
-
25:18 - 25:21無力に感じるどころか
力が湧いてきます -
25:22 - 25:25社に貢献するか辞めるか
どちらが正しいにしても -
25:25 - 25:26この先が楽しみです
-
25:26 - 25:29(アダム)要は
ドMってことですか? -
25:29 - 25:30(笑)
-
25:31 - 25:32(キラン)順位表は
-
25:32 - 25:36私という人間を表した
客観的なデータに過ぎません -
25:36 - 25:39どん底もてっぺんも
実際どういうものなのか -
25:39 - 25:42知らないよりも
知っておくほうがいい -
25:42 - 25:44それに対応できるように
-
25:44 - 25:48(アダム)懐疑的な人
特に私の専門の筋の人なら -
25:48 - 25:51認知的不協和を解消したいだけだ
と言うかもしれません -
25:51 - 25:55つまり「最悪だったけど それでも
会社に留まることにしたからには -
25:55 - 25:58何かの教訓となり 成長につながる
出来事だったはずだ -
25:58 - 26:01でないと 説明がつかない」
と言っているのだ と -
26:01 - 26:04自分は不快な出来事を
正当化しているだけではないかと -
26:04 - 26:06思ったことはないですか?
-
26:06 - 26:07(キラン)ありませんね
-
26:07 - 26:11こういう衝撃的な体験が問題なのではなくて
-
26:11 - 26:14自分がブリッジウォーターに
向いているかどうか -
26:14 - 26:18判断するにあたって
一番難しいのは -
26:18 - 26:20衝撃的な体験よりも
-
26:20 - 26:22その社風に日々触れることです
-
26:22 - 26:23でしょ?
-
26:23 - 26:29衝撃のほうは 自分探しに真剣に
取り組んだときの副産物に過ぎません -
26:30 - 26:34私はブリッジウォーターに入って
深いところで根本的に変わったと思います -
26:35 - 26:37(アダム)面白いですね
話を聞いていると まるで -
26:37 - 26:41本能を書き換えるか解除しようと
しているように思えます -
26:41 - 26:44(キラン)自分が何かやらかしたと
誰かに指摘されると -
26:44 - 26:46自我が働いて
-
26:46 - 26:50私はみるみる
平静を失ってしまいます -
26:51 - 26:53「そんなはずがない
何かの間違いだ -
26:53 - 26:57これだけのことを成し遂げてきた私が
そんな人間のはずがない」と -
26:58 - 27:00(アダム)私が
「証明モード」と呼ぶ状態です -
27:00 - 27:03原始的で感情的な反応です
-
27:03 - 27:04低次元バージョンの自分です
-
27:04 - 27:07でも 人の脳には
高次元バージョンの設定もあって -
27:07 - 27:08「改善モード」といいます
-
27:09 - 27:11例えて言うと
内なるオリンピック飛び込み選手 -
27:11 - 27:13自分の能力を正確に把握したがり
-
27:13 - 27:16成長する手段を
全て知りたがるモードです -
27:17 - 27:20改善モードのあなたは
常に「未完成」です -
27:20 - 27:22ブリッジウォーターの考え方は
-
27:22 - 27:24四六時中フィードバックに晒されれば
-
27:24 - 27:27改善モードの心の声に耳を傾ける力がつく
というものです -
27:27 - 27:29(キラン)もっと穏やかな声もあります
-
27:29 - 27:33論理的なほうの自分は
頭の中でこう語りかけてきます -
27:33 - 27:35「この1年は大変だったよ
-
27:35 - 27:38あまり実りある年だったとは言えないし
-
27:38 - 27:41自分で立てた目標もろくに
達成できていない -
27:41 - 27:43でも あまり驚くことでもない」
-
27:43 - 27:45ただし この2つの声は
-
27:45 - 27:48その時で音量が大きく異なるんです
-
27:49 - 27:51低次元の自分はわめき散らし
-
27:51 - 27:53高次元の自分はささやいている
-
27:53 - 27:54(アダム)なるほど
-
27:54 - 27:57つまり 2通りの自分が常に
何かしら対立し続けていると -
27:57 - 28:00(キラン)そういうことです
-
28:00 - 28:03ありがたいのは 今はそれを
自覚できるようになったことです -
28:03 - 28:06以前は これを認識して
落ち着きを取り戻すのに -
28:06 - 28:091、2ヶ月かかっていました
-
28:09 - 28:12レイと仕事していると
それが0.1秒で済みます -
28:12 - 28:15(レイ)ええ まさにそれくらい
一瞬で終わります -
28:15 - 28:19それが何であれ
「しまった ああしておけば...」となり -
28:19 - 28:22同時に「ここでの教訓は?」
と考えるのです -
28:22 - 28:25これは習慣の為せるわざです
-
28:25 - 28:26(アダム)奇妙な話です
-
28:26 - 28:28レイの話はつまり
-
28:28 - 28:31批判されたとき
他の人間ほど苦痛を感じないばかりか -
28:31 - 28:35苦痛を感じる信号が
快楽を感じる信号を伴うように -
28:35 - 28:37自らを鍛えた ということで
-
28:37 - 28:39何年にもわたって
否定的なフィードバックが -
28:39 - 28:41肯定的な結果を生むさまを
見てきた今 -
28:41 - 28:44レイは批判を耳にするのが
どうも嬉しいようです -
28:44 - 28:48(レイ)批判されたとき
あなたはどう感じますか? -
28:48 - 28:51(アダム)私は概して...
-
28:52 - 28:54たいていは批判されて
いい気はしません -
28:54 - 28:55でも求めてはいます
-
28:55 - 28:58教壇に立つようになった頃
人前で話すのが怖かったんです -
28:59 - 29:00講義評価アンケートに
-
29:00 - 29:01私の極度の緊張が
-
29:01 - 29:05聴講席の生徒まで
ガタガタふるえさせたと書かれたことも -
29:05 - 29:08当時は自己嫌悪に陥りましたが
-
29:08 - 29:11そんな情けない自分を脱却するには
フィードバックが必要なのです -
29:11 - 29:14自分から求めた評価で
受け入れやすかったというのもあります -
29:14 - 29:18勝手に向こうから言ってきて
「お前に聞いてないし」となるときは -
29:18 - 29:21批判をうまく受け入れられないと思います
-
29:22 - 29:23(レイ)いいこと言いましたね
-
29:23 - 29:26求めてもいない批判をされると
びっくりするのは -
29:26 - 29:28至極 当たり前のことです
-
29:28 - 29:30扁桃体が反応しているからです
-
29:30 - 29:34扁桃体は闘争・逃走反応を司り
反応は ほんの一時的なもので -
29:34 - 29:38しばらくすれば落ち着きます
-
29:38 - 29:41そこで振り返って考えることで
-
29:41 - 29:45「苦痛+自省=成長」という
方程式が働くのです -
29:45 - 29:51というのも 苦痛は
何かがおかしいと教えてくれますし -
29:51 - 29:54自省することで
学びが生まれます -
29:54 - 29:58それをしばらく続けると
学習せずにはいられなくなるのです -
29:58 - 29:59(音楽)
-
29:59 - 30:01(アダム)それを目指してるんですね
-
30:01 - 30:02ところが 普通の人だと
-
30:02 - 30:05自分の中の「独裁者」が
自省を乗っ取り -
30:05 - 30:08直ちに拒絶と攻撃が
始まってしまいます -
30:09 - 30:11もっと素直に自分を省みる
必要があるのですが -
30:12 - 30:14いざとなると難しいものです
-
30:14 - 30:17心理学では
他人の目に映る自分の姿を -
30:17 - 30:20もう少し自覚しやすくする
面白い方法があります -
30:21 - 30:25パソコンの前に座って 時間制限のある
選択式テストを受けているとしましょう -
30:25 - 30:28指示には タイマーが鳴るまで
設問に答え続けるように -
30:28 - 30:30書かれています
-
30:30 - 30:34ただし キーボードでの入力が
記録されていることは知らされていません -
30:34 - 30:38タイマーが鳴った後で設問に答えれば
ズルをしたことがバレるというわけです -
30:39 - 30:43ここで 教室に鏡があると
不正が起こる確率が -
30:43 - 30:45ぐっと下がることがわかりました
-
30:45 - 30:49自分の行いが他人の目にどう映るか
省みる気にさせられるからです -
30:49 - 30:50(音楽)
-
30:50 - 30:54ブリッジウォーターで レイは
絶えず自らを鏡に映すことで -
30:54 - 30:57他人の目に映る自分を
見ようとしています -
30:57 - 31:00心理学ではよく
「第2スコア」の話をします -
31:00 - 31:01次のような考え方です
-
31:01 - 31:04準備不足で冗長な発表を
してしまったのはどうしようもない -
31:04 - 31:06Dマイナスは決定で
もうやり直せない -
31:06 - 31:08できることは一つだけ
-
31:08 - 31:10「第1スコアについては何もできない
-
31:10 - 31:13第2スコア つまり最初の評価の
受け取り方は自分で決められる」 -
31:13 - 31:15つまり Dマイナスをつけられたとしても
-
31:15 - 31:18評価への反応については
Aプラスを獲得することもできる -
31:18 - 31:20そう明確に自己評価しているんですか?
-
31:20 - 31:23(レイ)社員全員がしています
(アダム)全員ですか -
31:23 - 31:25学習やフィードバックにどう反応するかが
-
31:25 - 31:27評価されていると分かっていれば
-
31:27 - 31:30守るべき固定イメージは
ないということになりますね -
31:30 - 31:32(レイ)お見事 その通りです
-
31:32 - 31:34(アダム)第2スコアの考え方で
-
31:34 - 31:35私はフィードバックを得るたび
-
31:35 - 31:39それをどれだけ上手く受け止めたかを
自己評価しています -
31:39 - 31:41誰もが取り入れていい習慣だと思います
-
31:41 - 31:44フィードバックした側からすれば
最初の評価はもう済んでいます -
31:44 - 31:48今の時点での評価の焦点は
受け入れるか反発するかという態度にあると -
31:48 - 31:50自分に言い聞かせるとといいでしょう
-
31:50 - 31:53自己防衛心が働いているとき
自覚があるとは限りません -
31:53 - 31:55率直な意見をくれる人々に
頼りましょう -
31:55 - 31:57第2スコアを
つけてもらうのです -
31:57 - 32:00「フィードバックを聞いたときの
私はどんな態度だった?」と -
32:00 - 32:03そして その人たちの言葉を
真摯に受け止め -
32:04 - 32:06「ありがとう」と返事しましょう
-
32:07 - 32:08(音楽)
-
32:08 - 32:11自分の力を示す最善の方法は
-
32:11 - 32:13向上心を見せることです
-
32:14 - 32:15キランがいいお手本です
-
32:15 - 32:18(キラン)その日の帰り道 妻に電話して
このことを話したんです -
32:18 - 32:23管理職を出来の悪い順に並べた
順位表で私が筆頭だったこと -
32:23 - 32:27そして 精力的に
素晴らしい1日を過ごし -
32:28 - 32:29爽快な気分だったことを
-
32:29 - 32:31すると妻は「素敵じゃない あなた
誇らしいわ」と -
32:31 - 32:33(アダム)誇らしいと
言われたんですか -
32:33 - 32:35管理職最下位と
ランク付けされたことを? -
32:35 - 32:37(キラン)いや 自らを鏡で見たこと
-
32:37 - 32:39そして見えた姿に
嫌悪しなかったこと -
32:39 - 32:42現実をありのままに
見られたことを ですよ -
32:43 - 32:45もうその頃には
家に着いてましたね -
32:45 - 32:46会社から近いんですよ
-
32:46 - 32:53(音楽)
-
32:53 - 32:56(アダム)WorkLifeのホストは
私 アダム・グラント -
32:56 - 32:59制作はTEDおよび
Transmitter Media -
32:59 - 33:01およびPinapple Street Mediaです
-
33:01 - 33:04スタッフは コリン・ヘルムズ
グレタ・コーン、ガブリエル・ルイス -
33:04 - 33:06アンジェラ・チェン
そしてジャネット・リー -
33:06 - 33:10制作責任者はダン・オドネル
アシスタントはジュリア・アルソップ -
33:11 - 33:14編集はデイヴィッド・ハーマン
アシスタントはダン・ドズーラ -
33:14 - 33:16オリジナル音楽は
ハンスデール・スー -
33:17 - 33:19協賛は
-
33:19 - 33:23Bonobos、Accenture
JP Morgan ChaseそしてWarby Parker -
33:23 - 33:25次回のWorkLifeでは
-
33:25 - 33:27The Daily Showの
放送作家の部屋にお邪魔して -
33:27 - 33:30壮絶なプレッシャーの中で
新しいものを作る様子を見ていきます -
33:30 - 33:34(デイヴィッド・キブッカ)
最終稿にならないものが初稿なんです -
33:34 - 33:37(ダン・アミラ)
だから初稿って呼ぶんです -
33:37 - 33:39(デイヴィッド)それが
「初稿」の主な由来ですからね -
33:40 - 33:41(アダム)以上 次回予告でした
-
33:41 - 33:44最後までお付き合い
ありがとうございました -
33:44 - 33:46気に入っていただけた方は
番組をもっと広くお届けできるよう -
33:46 - 33:48評価やレビューをお願いします
-
33:49 - 33:50では また来週!
-
33:50 - 33:54(音楽)
-
33:55 - 33:59レイさん いつもながら
楽しく 興味深く 示唆に富むお話を -
33:59 - 34:00ありがとうございました
-
34:00 - 34:03(レイ)では どんな批判を
聞かせてくれるのかな -
34:03 - 34:04(アダム)批判しなきゃいけないと?
-
34:04 - 34:05(レイ)そう
-
34:05 - 34:08(アダム)えっと… 時間足ります?
-
34:08 - 34:09(笑)
-
34:09 - 34:13お話が 抽象的な概念や
考え方のレベルに留まり -
34:13 - 34:17ご自身の実体験や物語や
その時感じたことにまでは -
34:17 - 34:20及んでいませんでした
-
34:20 - 34:23それがあれば もっと実感のこもった
お話になっていたでしょう -
34:23 - 34:27具体的な内容や 感情を含む内容を
もっと取り入れて -
34:27 - 34:29抽象的な概念と合わせて
お話されれば -
34:29 - 34:31もっと効率良く伝わると思います
-
34:33 - 34:35(レイ)ご指摘ありがとう
- Title:
- 批判を喜べる人の強さ
- Speaker:
- アダム・グラントのWorkLife
- Description:
-
思っていることを同僚に正直に言えるとしたら? 世界最大のヘッジファンド会社であるブリッジウォーターでは、社員一人ひとりが絶えず評価され順位づけされています。しかも、皆の前で。否定的なフィードバックを受け入れる方法をマスターし、これが自社の成功に欠かせない要素であると断言しています。批判を効果的に受け止め、他人にも上手に与えられるようになる方法をアダム・グラントが紹介します。(音声のみ)
- Video Language:
- English
- Team:
closed TED
- Project:
- TEDTalks
- Duration:
- 34:39
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