WEBVTT 00:00:01.142 --> 00:00:04.746 私が26歳のとき 大学院を出たばかりの頃の話です 00:00:04.770 --> 00:00:08.155 「やる気」について 半日がかりの講義を頼まれました 00:00:08.460 --> 00:00:10.055 すっかり乗り気だったのですが 00:00:10.079 --> 00:00:15.512 後になって 聴講者はアメリカ空軍の 将官・佐官たちだと判明しました 00:00:15.812 --> 00:00:18.186 私には荷が重すぎる仕事だったのです 00:00:18.295 --> 00:00:21.105 逃げようにも 時すでに遅しでした 00:00:21.435 --> 00:00:23.798 講義室に入ると 目の前には 00:00:23.818 --> 00:00:28.247 勲章が鈴なりの軍服で身を固めた 自分の倍くらいの年齢の人々が 00:00:28.267 --> 00:00:30.226 席を埋めていました 00:00:30.807 --> 00:00:34.982 「狙撃屋」「打撃屋」「忍び」といった 別名まである人たちでした 00:00:35.722 --> 00:00:39.345 開始1時間も経たずに こりゃボロボロだと思いました 00:00:39.990 --> 00:00:43.029 そしてやはり 講義評価アンケートでは 00:00:43.053 --> 00:00:44.542 ボロクソに書かれました NOTE Paragraph 00:00:45.355 --> 00:00:46.696 ある出席者の感想です 00:00:46.720 --> 00:00:50.713 「有用な情報は壇上よりも 聴講席のほうに多かった」 00:00:51.978 --> 00:00:53.410 こんな声もありました 00:00:53.434 --> 00:00:56.418 「講義から得たものは無いに等しい 00:00:56.442 --> 00:00:59.577 しかし 講師のほうは 良い教訓を得たはずだ」 NOTE Paragraph 00:00:59.601 --> 00:01:02.049 (音楽) NOTE Paragraph 00:01:02.073 --> 00:01:04.439 腹に一発食らったような気分でした 00:01:04.940 --> 00:01:07.211 ずっと悶々としていました 00:01:07.567 --> 00:01:12.156 そこで 組織心理学者の名に恥じない 行動をとることにしました 00:01:12.170 --> 00:01:13.386 研究を始めたのです 00:01:13.386 --> 00:01:19.631 批判されると精神的打撃を感じるのはなぜで 批判とは好きになれるものなのか NOTE Paragraph 00:01:19.655 --> 00:01:26.044 (音楽) NOTE Paragraph 00:01:26.068 --> 00:01:27.537 アダム・グラントです 00:01:27.561 --> 00:01:30.300 私のTEDポッドキャスト番組 WorkLifeへようこそ 00:01:30.314 --> 00:01:32.596 私は仕事を嫌いにならない方法を 研究しています 00:01:32.950 --> 00:01:36.254 GoogleやNBAや ビル・ゲイツ財団などに招かれて 00:01:36.274 --> 00:01:39.764 仕事の意義やチームの創造性 協力的な企業文化の向上に 00:01:39.784 --> 00:01:41.677 助力してきました 00:01:41.697 --> 00:01:46.553 この番組では 知らないともったいないような 仕事のコツを極めた 00:01:46.577 --> 00:01:50.636 尋常じゃなく型破りな組織に お邪魔していきます 00:01:51.267 --> 00:01:54.590 今日は「批判」を 徹底的に解剖していきます NOTE Paragraph 00:01:55.664 --> 00:01:58.395 Bonobosの協賛でお送りします NOTE Paragraph 00:01:58.419 --> 00:02:01.987 (音楽) NOTE Paragraph 00:02:01.997 --> 00:02:03.990 (アダム・グラント)こんにちは (キラン・ラオ)どうも NOTE Paragraph 00:02:04.010 --> 00:02:06.283 (アダム)よろしく (キラン)こちらこそ NOTE Paragraph 00:02:06.283 --> 00:02:08.046 こちらはキラン・ラオ氏 00:02:08.046 --> 00:02:11.093 元は金融会社で 管理職をしていた人です 00:02:11.117 --> 00:02:14.839 管理職の例に漏れず 膨大な時間を会議に費やしていました 00:02:14.863 --> 00:02:17.471 会議のほとんどは ありきたりのものでしたが 00:02:17.481 --> 00:02:20.713 1つだけ 記憶に焼き付いている 会議があるそうです 00:02:21.207 --> 00:02:24.284 では どんな会議だったのか 解説してもらいましょう NOTE Paragraph 00:02:24.308 --> 00:02:26.609 (キラン)大きな白いテントの中に 00:02:26.633 --> 00:02:30.230 会社のトップ300に入る管理職が 200人ほど座っていました NOTE Paragraph 00:02:30.254 --> 00:02:32.207 録音:(男)次の2つの部分は 00:02:32.231 --> 00:02:34.315 実務への応用についてです NOTE Paragraph 00:02:34.339 --> 00:02:36.830 (キ)それまでの議題は 戦略に関する諸事項でしたが 00:02:36.850 --> 00:02:38.315 ここで あるチャートが登場 NOTE Paragraph 00:02:38.339 --> 00:02:39.864 録音:(男)この一覧は 00:02:39.888 --> 00:02:43.622 この場の皆さん全員を 業績順に並べたものです NOTE Paragraph 00:02:43.646 --> 00:02:46.371 (キラン)「最悪の管理職ランキング」 と書いてありました NOTE Paragraph 00:02:46.395 --> 00:02:48.585 録音:(男)これらは 我々が敬愛する人々ですが 00:02:48.609 --> 00:02:52.651 名前の挙がった何名かはおそらく この場にふさわしくない方々でしょう NOTE Paragraph 00:02:52.991 --> 00:02:55.550 (キラン)1位は私だったのです NOTE Paragraph 00:02:55.560 --> 00:02:58.264 録音:(男)この名前の人 キランは私が採用しました 00:02:58.288 --> 00:03:01.832 入社2年目ですが あまり振るわない様子です NOTE Paragraph 00:03:01.856 --> 00:03:05.504 (アダム)なんとまぁ 完全に虚を突かれましたね 00:03:05.528 --> 00:03:08.078 200人の出席者がいる場で 00:03:08.102 --> 00:03:10.599 お前は管理職の中で最下位だと 名指しされたのですね NOTE Paragraph 00:03:10.599 --> 00:03:12.170 (キラン)その通り NOTE Paragraph 00:03:12.180 --> 00:03:13.770 (アダム)どんな気持ちでしたか NOTE Paragraph 00:03:14.189 --> 00:03:15.389 (キラン)まぁ… NOTE Paragraph 00:03:16.948 --> 00:03:18.441 ガツンと来ましたよ NOTE Paragraph 00:03:18.465 --> 00:03:23.002 (音楽) NOTE Paragraph 00:03:23.022 --> 00:03:25.243 キランには また後でお話を聞きます 00:03:25.267 --> 00:03:29.041 ここで もし自分がキランの立場だったら と想像してみてください 00:03:29.199 --> 00:03:31.754 批判を受けたとき どんなことが起こるでしょうか 00:03:32.021 --> 00:03:36.506 身体的には 肩がこわばって 呼吸が浅くなります 00:03:36.817 --> 00:03:39.204 否定的なことを言われると 危険信号が発せられ 00:03:39.228 --> 00:03:41.467 神経が実際に刺激されます 00:03:41.872 --> 00:03:43.450 心理的にはどうでしょう 00:03:43.474 --> 00:03:45.137 心がザワザワして 00:03:45.309 --> 00:03:48.421 防御体制を取り始め 反撃に移ります 00:03:48.975 --> 00:03:51.499 クジャクなら羽を広げ 00:03:51.658 --> 00:03:54.371 サルなら拳で胸を打つところです 00:03:54.560 --> 00:03:57.268 しかし人間は別の種類の反応をします 00:03:57.676 --> 00:03:59.459 数十年前の研究によると 00:03:59.483 --> 00:04:02.761 この状況では 自我を守ろうと 防衛本能が働きすぎるあまり 00:04:02.785 --> 00:04:06.109 自我の独裁政権が始まるのだそうです 00:04:06.133 --> 00:04:09.204 独裁者がメディアを 統制するのと同じように 00:04:09.228 --> 00:04:11.451 自我が脳に入る情報を統制し始めます 00:04:11.802 --> 00:04:12.912 考えてみてください 00:04:12.942 --> 00:04:15.739 自我が自分の耳に入る内容を 検閲しているんですよ 00:04:16.228 --> 00:04:19.873 でも 批判が耳に入ってこない人は けっして成長しません 00:04:20.208 --> 00:04:24.116 社員が 全員の自己成長のために 絶えず批判し合い 00:04:24.146 --> 00:04:27.570 かつ 自ら批判的なフィードバックを 求めるような職場とは 00:04:27.594 --> 00:04:29.184 どんなところでしょうか 00:04:29.370 --> 00:04:31.593 何百という組織と仕事してきましたが 00:04:31.617 --> 00:04:34.371 それが普通に行われている会社が 1つだけありました NOTE Paragraph 00:04:34.395 --> 00:04:37.449 (レイ・ダリオ)社員に 「最低です」と言われたら 00:04:37.459 --> 00:04:39.633 「そうか 私は最低なのか」 と返事します NOTE Paragraph 00:04:39.663 --> 00:04:41.533 (アダム)この人は経営者で 00:04:41.543 --> 00:04:42.606 レイさんといいます NOTE Paragraph 00:04:42.636 --> 00:04:45.273 (レイ)人類に起こった最大の悲劇は 00:04:45.297 --> 00:04:48.759 皆が言いたいことを 胸にしまっていることです 00:04:48.783 --> 00:04:52.109 なぜ 悲劇なのかというと 簡単に解決できるからなんです 00:04:52.133 --> 00:04:53.783 隠さずに表に出して 00:04:53.807 --> 00:04:55.958 ちゃんとした耐久試験に かければいいのです 00:04:55.982 --> 00:04:59.793 そうすれば より良い決断を下せる 確率が上がります 00:04:59.949 --> 00:05:03.483 皆で喜び合ったり 微笑み合ったりするだけでは 00:05:03.507 --> 00:05:06.324 対処すべき物事に 向き合っていることにはなりません NOTE Paragraph 00:05:06.334 --> 00:05:09.649 (アダム)想像すると ものすごく面白そうですね 00:05:09.673 --> 00:05:11.729 誰彼かまわず最低呼ばわりしても 00:05:11.743 --> 00:05:14.167 「詳しく教えて」という返事が定番な職場 00:05:14.187 --> 00:05:16.796 批判への反応として それが理想形だとお考えなのですか NOTE Paragraph 00:05:16.796 --> 00:05:20.784 (レイ)批判を皆で検討して よく考えることがねらいです 00:05:20.814 --> 00:05:24.687 人を不快にしたり 誤解したりしているのは 自分かもしれませんから NOTE Paragraph 00:05:24.707 --> 00:05:26.371 (アダム)70年代中盤に 00:05:26.395 --> 00:05:30.059 レイは金融会社を立ち上げました ブリッジウォーター・アソシエーツです 00:05:30.243 --> 00:05:33.652 創業当初は 友人同士で 納屋を拠点に働いていました 00:05:33.804 --> 00:05:36.761 瞬く間に事業は大成功し 00:05:37.031 --> 00:05:38.869 レイは慢心しました 00:05:39.056 --> 00:05:40.799 市場予想を外し 00:05:40.823 --> 00:05:42.112 会社は大損失を被って 00:05:42.122 --> 00:05:43.776 友人を解雇するはめになりました NOTE Paragraph 00:05:43.800 --> 00:05:46.347 (レイ)お金に困りすぎて 00:05:46.371 --> 00:05:49.473 家族の生活のために父親から4000ドルを 00:05:49.473 --> 00:05:51.369 借金しなければなりませんでした 00:05:51.508 --> 00:05:54.879 とてつもなく辛かったですが 00:05:54.903 --> 00:05:57.109 結果的には またとない経験でした NOTE Paragraph 00:05:57.427 --> 00:06:01.125 (アダム)とても辛かったことが またとない経験とはいかに? 00:06:01.149 --> 00:06:04.092 普通の人間は そうはなりませんよね NOTE Paragraph 00:06:04.116 --> 00:06:06.403 (レイ)確かに私はどん底にいました 00:06:06.427 --> 00:06:10.652 しかし 自分の傲慢さを克服するための 謙虚さを学びました 00:06:10.676 --> 00:06:14.291 自分に反対意見を言ってくれる 最高に頭のいい人たちを見つけたいと 00:06:14.315 --> 00:06:15.782 思うようになりました NOTE Paragraph 00:06:16.005 --> 00:06:18.497 (アダム)挫折の理由は 天狗になっている自分を 00:06:18.517 --> 00:06:21.222 戒める人が周りにいなかったせいだと 気づいたのです 00:06:21.222 --> 00:06:25.093 人の意見に耳を貸さなかったのか イエスマンに囲まれていたのか 00:06:25.117 --> 00:06:27.504 結果として誰もいなくなったというわけです NOTE Paragraph 00:06:27.523 --> 00:06:32.283 (レイ)この経験で つくづく身にしみたんです 00:06:32.444 --> 00:06:34.886 よく言っていることですが 自分を振り返って 00:06:34.896 --> 00:06:38.675 「うわっ 1、2年前の自分は 何てバカだったんだ」と言えない人は 00:06:38.685 --> 00:06:41.662 間違いなく その間 たいして成長していないんですよ NOTE Paragraph 00:06:41.696 --> 00:06:43.110 (アダム)レイは決心しました 00:06:43.130 --> 00:06:45.931 再生後のブリッジウォーターの社風は ガラッと変えよう 00:06:45.951 --> 00:06:49.056 お互いに容赦無く率直に 何でも言い合える社風にしよう と 00:06:49.100 --> 00:06:51.434 それが 今のブリッジウォーターです 00:06:51.458 --> 00:06:53.725 レイは「徹底した透明性」と 呼んでいます 00:06:54.124 --> 00:06:57.815 批判も意見もひとつ残らず 大っぴらにします 00:06:57.839 --> 00:07:00.902 そんな風にさらけ出して 気まずくなったりしないんですか NOTE Paragraph 00:07:00.926 --> 00:07:04.585 (レイ)気まずいほうがおかしいのでは? NOTE Paragraph 00:07:04.609 --> 00:07:09.932 (アダム)恥ずかしい、傷ついた 嘲られた、酷だ といった思いをしませんか NOTE Paragraph 00:07:09.942 --> 00:07:13.117 (レイ)でも実際は どれにも当てはまりませんよね 00:07:13.141 --> 00:07:15.712 やりにくいこともあるだろうとは 認識しています 00:07:15.736 --> 00:07:20.323 本当にこの社風の中で働きたいのかと 入社前に確認しますから 00:07:20.347 --> 00:07:21.496 社員同士が 00:07:21.510 --> 00:07:25.799 真の意味での自己発見に協力し合うのは いいことだと思いませんか NOTE Paragraph 00:07:27.006 --> 00:07:28.805 (アダム)ブリッジウォーターは今や 00:07:28.815 --> 00:07:31.418 世界トップのヘッジファンドだと 言われています 00:07:31.637 --> 00:07:35.416 レイは自社の社風こそが 成功を牽引していると考えています 00:07:35.599 --> 00:07:38.709 現在の資産管理額は1600億ドルにのぼり 00:07:38.723 --> 00:07:41.370 レイは世界有数の大金持ちになりました 00:07:42.045 --> 00:07:43.649 もうお気づきでしょうが 00:07:43.673 --> 00:07:47.255 ブリッジウォーターは私が見てきた中でも ひときわ異彩を放つ会社です 00:07:47.575 --> 00:07:50.593 批判し合う社風はあくまでも 特色のひとつに過ぎません 00:07:50.813 --> 00:07:53.140 同社が実践する習慣を ひとつ残らず分析したり 00:07:53.140 --> 00:07:56.337 業績を細かく研究したり 真似ろと言ったりするつもりはありません 00:07:56.675 --> 00:07:59.299 ですが 上達したい物事があれば その道を極めた人々に 00:07:59.319 --> 00:08:01.617 教えを乞うべきだと考えています 00:08:01.641 --> 00:08:04.182 運動のコツを オリンピック選手から 00:08:04.182 --> 00:08:05.926 学ぼうとするのと同じです 00:08:05.936 --> 00:08:08.842 ブリッジウォーターは 「批判」の道を極めており 00:08:09.055 --> 00:08:12.428 批判を与えることも 逆に自ら切望することも 習得できると考えています 00:08:13.116 --> 00:08:16.404 歴代の重役の中には有名人もいます 00:08:16.408 --> 00:08:19.635 最近までFBI長官を務めていた ジェームズ・コミー氏などです 00:08:19.911 --> 00:08:23.399 上院公聴会でもブリッジウォーターの話を していたくらいです NOTE Paragraph 00:08:23.409 --> 00:08:25.487 ジェームズ・コミー: ブリッジウォーターに 00:08:25.501 --> 00:08:28.045 勤めた理由の一つが 歯に衣着せぬ社風でした 00:08:28.069 --> 00:08:30.268 私自身が元から そんな性格だからです NOTE Paragraph 00:08:30.292 --> 00:08:32.417 (アダム)現在 約2000人いる社員の 00:08:32.441 --> 00:08:36.794 誰もが 批判を大っぴらに 口にするよう求められています 00:08:36.818 --> 00:08:40.029 億万長者の創業者でさえも批判の対象です 00:08:40.316 --> 00:08:43.918 ジム・ハスケルという社員が レイに送ってきたメールを紹介しましょう 00:08:44.347 --> 00:08:47.806 「社長の今日の成績は Dマイナスです 00:08:48.223 --> 00:08:50.515 50分間も とりとめもない話をして 00:08:50.628 --> 00:08:54.265 何の準備もしてこなかったのが 見え見えでした 00:08:54.433 --> 00:08:58.000 今日は本当にひどかった 二度としないでください」 00:08:58.785 --> 00:09:03.209 ジムに手厳しい評価をされ レイは他にも意見も聞くことにしました 00:09:03.435 --> 00:09:04.633 社員に頼んで 00:09:04.643 --> 00:09:08.118 その日の自分にA〜Fの間で 成績をつけてもらい 00:09:08.248 --> 00:09:11.795 結果を全員に公表したのです 00:09:11.819 --> 00:09:15.437 なんと Aは ひとつもありませんでした NOTE Paragraph 00:09:15.447 --> 00:09:16.744 (レイ)大失態です NOTE Paragraph 00:09:16.768 --> 00:09:18.967 (アダム)普通 その状況なら ジムとの間で 00:09:18.991 --> 00:09:21.275 事を収めようとする人が ほとんどでしょう 00:09:21.275 --> 00:09:23.213 でも あなたは返信に 00:09:23.237 --> 00:09:25.766 会議の出席者全員を含めたわけですよね NOTE Paragraph 00:09:25.766 --> 00:09:27.268 (レイ)いや 全社です NOTE Paragraph 00:09:27.292 --> 00:09:28.642 (アダム)全社に? (レイ)そう NOTE Paragraph 00:09:28.652 --> 00:09:31.187 (アダム)A〜F評価も? (レイ)重要なことなので NOTE Paragraph 00:09:31.604 --> 00:09:34.429 (アダム)こんなことは 日常茶飯事だそうです 00:09:34.449 --> 00:09:37.420 もしDマイナスと評価されたら あなたならどうしますか? 00:09:37.610 --> 00:09:40.934 実際に研究で証明されているのですが 人は同僚に批判されると 00:09:40.958 --> 00:09:43.276 関係を一切断ってしまう傾向があります 00:09:43.300 --> 00:09:45.869 少なくとも 何とかして その同僚を避けようとします 00:09:45.892 --> 00:09:48.198 さらに 味方になってくれる人の元に直行して 00:09:48.222 --> 00:09:50.246 愚痴って 慰めてもらいます 00:09:50.423 --> 00:09:54.067 友人や 考え方が似ている 仲のいい同僚や母親など 00:09:54.305 --> 00:09:55.968 これが「サポートの輪」です NOTE Paragraph 00:09:55.992 --> 00:09:57.561 (音楽) NOTE Paragraph 00:09:57.585 --> 00:10:00.188 しかし もう一つ 私たち皆に必要な「輪」があります 00:10:00.212 --> 00:10:01.766 「チャレンジの輪」です 00:10:02.181 --> 00:10:06.457 自分の成長を後押ししてくれると 信用している人たちのことです 00:10:06.814 --> 00:10:10.211 耳に痛くても耳を貸すべき 意見がもらえる場です 00:10:10.598 --> 00:10:13.672 ブリッジウォーターは 巨大な「チャレンジの輪」なのです NOTE Paragraph 00:10:13.696 --> 00:10:15.950 (レイ)ジムがくれたような 批評が欲しいんです 00:10:16.291 --> 00:10:18.807 私にはグダグダ話す癖や 00:10:18.831 --> 00:10:22.149 準備を怠る癖があるかも しれないからです NOTE Paragraph 00:10:22.173 --> 00:10:25.601 (アダム)レイはジムに 次は頑張ると伝えました NOTE Paragraph 00:10:25.625 --> 00:10:28.188 (レイ)「いや 信用できませんね」と言われ 00:10:28.212 --> 00:10:31.238 「確かに私も自分で 自分を信用できんな」と 00:10:31.257 --> 00:10:34.261 毎回ジムに電話を 入れてもらうことになりました 00:10:34.285 --> 00:10:36.915 お互いにとっても 会社にとっても それが得策だと 00:10:36.939 --> 00:10:38.537 ジムは理解しているのです NOTE Paragraph 00:10:38.561 --> 00:10:42.633 (アダム)「チャレンジの輪」は耳を貸す 心構えのある人にしか役に立ちません NOTE Paragraph 00:10:42.657 --> 00:10:45.929 (レイ)特に私は 失敗も成功もひっくるめて 00:10:45.939 --> 00:10:48.791 皆にさらけ出すことが 大事だと考えています 00:10:48.815 --> 00:10:51.696 そうしない人の気が知れません NOTE Paragraph 00:10:51.955 --> 00:10:54.175 (アダム)真実が怖いのでは? NOTE Paragraph 00:10:54.205 --> 00:10:55.847 (レイ)具体的には何が怖いと? NOTE Paragraph 00:10:55.871 --> 00:10:59.836 (アダム)「王様は裸だ」 という現実ですよ NOTE Paragraph 00:11:00.310 --> 00:11:04.834 (レイ)可能な限り人間として 成長することが目標ならば 00:11:04.858 --> 00:11:07.041 むしろ その現実を知りたいはずです NOTE Paragraph 00:11:07.051 --> 00:11:10.276 (アダム)実際に成長するよりも 錯覚でもいいから 00:11:10.300 --> 00:11:13.537 まともなイメージを保ちたい人が 多いんだと思います NOTE Paragraph 00:11:13.561 --> 00:11:14.903 (レイ)でも それでは 00:11:14.923 --> 00:11:18.107 成果よりもイメージのほうが 大事だということになってしまいます NOTE Paragraph 00:11:18.605 --> 00:11:21.141 (アダム)それは許さない と仰りたいわけですね NOTE Paragraph 00:11:21.692 --> 00:11:24.306 (レイ)成果を出したほうが 人生 ずっと楽しいでしょ? NOTE Paragraph 00:11:24.330 --> 00:11:25.760 (笑) NOTE Paragraph 00:11:26.335 --> 00:11:29.101 (アダム)そこまで大っぴらに 批判し合うなんて 00:11:29.125 --> 00:11:30.940 恐ろしいと思うかもしれません 00:11:31.047 --> 00:11:32.437 気持ちはわかります 00:11:32.459 --> 00:11:35.649 大抵の職場では そんなことをすれば 辛いだけならまだマシで 00:11:35.673 --> 00:11:37.383 イジメだと思われます 00:11:37.404 --> 00:11:40.630 経済学の様々な研究で 人を順位づけすることは 00:11:40.650 --> 00:11:43.449 概して やる気を削ぐものだと 証明されています 00:11:43.473 --> 00:11:44.855 順位が上の人でさえ 00:11:44.875 --> 00:11:46.795 もっと上だと思ったのに とがっかりし 00:11:46.805 --> 00:11:47.903 下位の人たちは 00:11:47.903 --> 00:11:52.642 周りの皆と比べて低い評価になるので 面白くありません NOTE Paragraph 00:11:52.662 --> 00:11:59.102 (レイ)おそらく普通の会社では 社員の理解を得て心構えをさせておらず 00:11:59.126 --> 00:12:02.404 それが良いことかどうか 話し合えていないのではないでしょうか NOTE Paragraph 00:12:02.634 --> 00:12:04.439 (音楽) NOTE Paragraph 00:12:04.463 --> 00:12:06.333 (アダム)皆さんの職場はどうでしょう 00:12:06.363 --> 00:12:08.636 もしあなたが突然思い立って 00:12:08.660 --> 00:12:10.561 「徹底した透明性」を追求しだしたら 00:12:10.585 --> 00:12:12.595 そう順調にはいかないかもしれません NOTE Paragraph 00:12:12.797 --> 00:12:15.728 (AJ)『エスクワイヤー』誌に 勤めていたときでした 00:12:15.752 --> 00:12:19.466 会議中に 担当の編集者に言ったんです 00:12:19.490 --> 00:12:22.395 「ここが『ニューヨーカー』 だったらいいのに 00:12:22.415 --> 00:12:25.364 誘われたら きっと移っちゃうよ」 00:12:25.574 --> 00:12:29.287 編集者の表情が固くなりました 気に障ったようでした NOTE Paragraph 00:12:29.297 --> 00:12:30.625 (アダム)AJ・ジェイコブズ氏は 00:12:30.649 --> 00:12:33.964 人生は実験だと思って楽しもうと 考えている文筆家です 00:12:34.079 --> 00:12:35.871 (AJ)ある時 記事のネタとして 00:12:35.895 --> 00:12:39.581 数週間の間 思ったことを100% 口してみるという実験をしました NOTE Paragraph 00:12:39.591 --> 00:12:42.608 (AJ)嫌いな上司には 「嫌いです」と伝えます NOTE Paragraph 00:12:42.628 --> 00:12:46.055 (アダム)AJは接する人全員に それをしたのです 00:12:46.079 --> 00:12:51.442 義理の母、近所のお年寄り 自分の子ども、妻の友人などです NOTE Paragraph 00:12:51.466 --> 00:12:53.625 (AJ)妻と外食中に 00:12:53.649 --> 00:12:57.370 卒業以来会っていない 妻の大学時代の友人に出くわしたんです 00:12:57.375 --> 00:12:59.191 皆 妻を懐かしがって 00:12:59.201 --> 00:13:02.879 今度 皆で子供を連れて 集まろうという話になりました 00:13:02.899 --> 00:13:05.782 私は頭に浮かんだことを そのまま言わなければならず 00:13:05.798 --> 00:13:07.956 「皆さん いい人なんでしょうけど 00:13:07.978 --> 00:13:09.970 もう会いたくないな」と言いました NOTE Paragraph 00:13:10.265 --> 00:13:12.664 (アダム)(笑)まさか! (AJ)本当ですよ 00:13:12.688 --> 00:13:16.603 無理もないことですが 皆の気分を 害してしまい 妻はカンカン 00:13:16.624 --> 00:13:18.331 大失態となりました 00:13:18.355 --> 00:13:20.524 でも その人たちには 二度と会うこともなく 00:13:20.538 --> 00:13:22.904 効率良く成果を出せたとも言えるんです NOTE Paragraph 00:13:22.928 --> 00:13:27.633 (キム・スコット)(笑) 私がよく使う言葉で説明すると 00:13:27.657 --> 00:13:30.628 この種の発言は 「徹底した率直性」ではなく 00:13:30.638 --> 00:13:32.236 「不愉快な攻撃性」です NOTE Paragraph 00:13:32.260 --> 00:13:35.735 (アダム)キム・スコットは シリコンバレーで働く経営コーチです 00:13:35.759 --> 00:13:37.720 CEOや管理職を対象に 00:13:37.744 --> 00:13:40.426 徹底的に率直なフィードバックの 方法を教えています NOTE Paragraph 00:13:40.450 --> 00:13:43.577 (キム)人間らしさを失わずに タフでクールな上司であること NOTE Paragraph 00:13:43.601 --> 00:13:47.124 (アダム)どうすれば批判を上手く 伝えられるかキムに聞いてみました 00:13:47.148 --> 00:13:48.329 すると 秘訣は 00:13:48.353 --> 00:13:52.228 AJのように頭に浮かんだことを 何でも吐き出すことではないようです NOTE Paragraph 00:13:52.252 --> 00:13:54.447 (キム)徹底して率直であることのねらいは 00:13:54.457 --> 00:13:57.829 相手のことを大切に思いながら 00:13:57.849 --> 00:14:01.001 同時に あえて率直に指摘することです NOTE Paragraph 00:14:01.188 --> 00:14:05.183 (アダム)では 気兼ねせずに 率直な指摘をするには? 00:14:05.201 --> 00:14:08.694 相手のためを思っての指摘だと 確実に伝えるにはどうすれば? NOTE Paragraph 00:14:09.478 --> 00:14:11.404 (キム)一番大事だと思うのは 00:14:11.428 --> 00:14:14.380 「気を悪くしないで聞いて」 という一言は 00:14:14.404 --> 00:14:15.950 絶対にやめることです 00:14:15.974 --> 00:14:19.713 相手が怒ったり 感情的な反応をしてもいいんです 00:14:19.737 --> 00:14:20.998 それが普通ですし 00:14:21.022 --> 00:14:22.551 避けられないことなんです 00:14:22.847 --> 00:14:26.486 そうなったときに 思いやりを持って 接してあげればいいんです 00:14:26.510 --> 00:14:31.442 感情を麻痺させる薬があれば 処方してあげたいくらいです NOTE Paragraph 00:14:32.073 --> 00:14:35.284 (アダム)これまで多くの人から こんな言葉を聞きました 00:14:35.308 --> 00:14:38.458 「面と向かって指摘するのは 本当に気まずいから 00:14:38.474 --> 00:14:41.325 相手のためを思って言っていると 態度で示すために 00:14:41.349 --> 00:14:43.657 サンドイッチ式で フィードバックしようと思う 00:14:43.681 --> 00:14:47.252 まずは褒めてから 真ん中に批判を挟んで 00:14:47.276 --> 00:14:49.347 最後にまた褒めれば 00:14:49.371 --> 00:14:51.656 感じ良く始めて 感じよく終われるから」 00:14:51.680 --> 00:14:54.839 研究結果から分かっているのは これはダメなやり方で 00:14:54.863 --> 00:14:56.978 その理由は2つあるそうです 00:14:57.002 --> 00:14:59.004 1つは 褒め言葉から始めると 00:14:59.028 --> 00:15:01.276 もっと褒められると期待させてしまい 00:15:01.300 --> 00:15:03.180 不誠実に見えるということ 00:15:03.649 --> 00:15:06.813 もう1つは 真ん中の批判だけ 聞き飛ばされてしまいがちなこと 00:15:06.833 --> 00:15:10.706 サンドイッチ型フィードバックに代わる いい方法を教えてください NOTE Paragraph 00:15:10.873 --> 00:15:13.895 (キム)お説教のサンドイッチは 誰も喜ばないでしょうね 00:15:13.909 --> 00:15:17.529 褒めるときも批判するときも 等しく重要なのは— 00:15:17.553 --> 00:15:19.458 批判するときは特にそうですが— 00:15:19.482 --> 00:15:22.292 謙虚な態度で接することです 00:15:22.438 --> 00:15:25.562 自分が間違ったことを 言っているかもしれない 00:15:25.586 --> 00:15:27.051 それでもいいのです 00:15:27.235 --> 00:15:31.522 批判を口にするときにできることで 非常に大切なのは 00:15:31.546 --> 00:15:33.943 助けになりたいという思いを 明言することです NOTE Paragraph 00:15:33.967 --> 00:15:35.886 (音楽) NOTE Paragraph 00:15:35.910 --> 00:15:37.950 (アダム)これには裏付けもあります 00:15:37.974 --> 00:15:40.283 ブリッジウォーターでも 頻繁に聞いたことですが 00:15:40.307 --> 00:15:43.561 自分のためになるとわかっていると 批判を受け入れやすいのです 00:15:43.913 --> 00:15:46.346 一見 辛辣に聞こえるかもしれないことも 00:15:46.440 --> 00:15:48.356 自分のためになると 考えているそうです NOTE Paragraph 00:15:48.380 --> 00:15:50.928 (キム)健全な批判だとわかっていて 00:15:50.952 --> 00:15:53.776 その効果を肌で感じたことがあれば 00:15:53.800 --> 00:15:55.910 批判を求め続けるようになります 00:15:55.931 --> 00:15:58.093 ジョギングは苦しいこともあるけれど 00:15:58.117 --> 00:16:02.839 心身の健康のために大事だと わかっているから続けるのと同じです 00:16:02.863 --> 00:16:06.633 外に出るのがおっくうでも それでも頑張りますよね 00:16:06.657 --> 00:16:09.117 批判も同じことだと思います NOTE Paragraph 00:16:09.141 --> 00:16:11.339 (音楽) NOTE Paragraph 00:16:11.363 --> 00:16:13.327 (アダム)続きはまた後で NOTE Paragraph 00:16:13.740 --> 00:16:15.871 ここで一味違う広告をはさみます 00:16:15.895 --> 00:16:18.426 創造的なアイデアを追求している 00:16:18.450 --> 00:16:21.270 スポンサーのBonobos社を のぞいてみましょう NOTE Paragraph 00:16:21.294 --> 00:16:28.294 (音楽) NOTE Paragraph 00:16:32.911 --> 00:16:35.374 (音楽) NOTE Paragraph 00:16:35.398 --> 00:16:38.891 地球上の誰もがそうだと思いますが 私もカスタマーサービスが嫌いです 00:16:39.354 --> 00:16:41.268 人間と話をするのも一苦労 00:16:41.292 --> 00:16:44.122 つながっても マニュアル通りのことしか言わない 00:16:44.352 --> 00:16:47.268 何か結果を出したければ マネージャーを呼ぶしかありません 00:16:47.292 --> 00:16:48.825 しかも何度も何度もです 00:16:49.355 --> 00:16:51.689 でも Bonobosでは違います 00:16:52.058 --> 00:16:55.910 体にフィットする紳士服を作るこの会社 問題があって電話すると 00:16:55.934 --> 00:16:58.855 きちんと対応できる権限を持つ 本物の人間が電話に出ます 00:16:59.172 --> 00:17:01.180 「ニンジャ」と呼ばれる人々です NOTE Paragraph 00:17:01.204 --> 00:17:06.031 (ケルシー・ナッシュ)肩書はクリエイティブ 顧客エンゲージメント・リードです 00:17:06.055 --> 00:17:09.441 ニンジャを統率するチームの一員です NOTE Paragraph 00:17:09.465 --> 00:17:10.910 (アダム)こちらはケルシー・ナッシュ 00:17:10.934 --> 00:17:12.968 ケルシーをはじめニンジャには 00:17:12.992 --> 00:17:16.080 カスタマーサービス業界では 珍しい権限が与えられています 00:17:16.094 --> 00:17:17.118 「自由裁量」です NOTE Paragraph 00:17:17.138 --> 00:17:20.524 (ケルシー)ニンジャ一人ひとりが その時々で好きなように 00:17:20.548 --> 00:17:24.128 自分が必要だと思う方法で 顧客に対応する権限を持っています 00:17:24.190 --> 00:17:28.078 解決法を見つけるために 上や下にたらい回しにするようなことは 00:17:28.102 --> 00:17:29.324 ありません 00:17:29.348 --> 00:17:31.712 「24〜48時間でお返事します」は 無しです 00:17:31.736 --> 00:17:34.228 ですから毎日ニンジャたちに 問いかけます 00:17:34.228 --> 00:17:37.053 「あなたがお客様の立場なら 何を求める? 00:17:37.077 --> 00:17:38.426 どう感じる?」と NOTE Paragraph 00:17:38.450 --> 00:17:40.972 (アダム)意外な展開になることもあります 00:17:41.249 --> 00:17:43.426 ケルシーの対応もその一つです NOTE Paragraph 00:17:43.450 --> 00:17:47.466 (ケルシー)デレクという男性から メールで問い合わせがありました 00:17:47.490 --> 00:17:49.648 「家で火事があって 00:17:49.672 --> 00:17:53.117 お気に入りのフランネルのシャツに 傷がついてしまいました 00:17:53.141 --> 00:17:56.418 このシャツを直したりは できないでのしょうか 00:17:56.442 --> 00:17:59.085 ウェブサイトを見ると もう売っていないようなので」 NOTE Paragraph 00:17:59.109 --> 00:18:01.291 (アダム)ケルシーは すぐに返信しました NOTE Paragraph 00:18:01.315 --> 00:18:02.965 (ケルシー)「新品をお送りします 00:18:02.975 --> 00:18:05.412 本当に大変でしたね 皆さんご無事ですか?」 00:18:05.436 --> 00:18:07.873 デレクの返事はこうでした 「皆 大丈夫でした 00:18:07.897 --> 00:18:11.684 ただ 15歳の飼い犬の 救出が間に合わず 00:18:11.708 --> 00:18:15.617 助からなかったことだけが 残念でたまりません」 NOTE Paragraph 00:18:15.641 --> 00:18:18.767 (アダム)それを聞いたケルシーは 「ニンジャモード」になり NOTE Paragraph 00:18:18.791 --> 00:18:23.029 (ケルシー)ネット検索すると デレクのインスタグラムがあったので 00:18:23.053 --> 00:18:27.252 犬の写真を手に入れて 肖像画を注文しました 00:18:27.276 --> 00:18:31.791 それからフランネルのシャツを 2〜3枚送りました NOTE Paragraph 00:18:31.815 --> 00:18:34.681 (デレク[電話口で]) 感傷的なタイプではないのですが 00:18:34.709 --> 00:18:36.719 大変な目に遭ったばかりで 00:18:36.719 --> 00:18:38.352 絵を見たとたんに涙が出ました NOTE Paragraph 00:18:38.352 --> 00:18:41.557 (アダム)この話を聞いたとき デレクに取材せねばと思いました NOTE Paragraph 00:18:41.577 --> 00:18:44.966 (デレク)ある意味 絶望的な状況にいたわけで 00:18:44.990 --> 00:18:50.035 そんな時に 小さなことでも いいことがあれば 00:18:50.035 --> 00:18:51.994 ものすごく心に響くものです 00:18:52.986 --> 00:18:55.872 Bonobosに そこまでする 義務はありません 00:18:55.896 --> 00:18:59.072 正しいことだからという思いだけで してくれたんです NOTE Paragraph 00:18:59.096 --> 00:19:03.283 (ケルシー)当社が万事において 誇りにしているのは人間らしさです 00:19:03.307 --> 00:19:06.934 問い合わせ一件一件を 一対一で対応します 00:19:06.958 --> 00:19:09.920 電話には人間が出ますし 人間同士として会話します 00:19:09.920 --> 00:19:11.529 「よし 何とかしましょう」って NOTE Paragraph 00:19:11.553 --> 00:19:13.490 (アダム)時には必要な対応です 00:19:13.514 --> 00:19:17.096 新しい仕事を始めたばかりのデレクは 間違いなく身に染みて感じています NOTE Paragraph 00:19:17.120 --> 00:19:20.522 (デレク)今の所 飾っている絵は あの一枚しかありません 00:19:20.546 --> 00:19:23.643 机の真上にある 窓の上の壁に掛けています 00:19:24.541 --> 00:19:27.812 毎朝 部屋のドアを開けて 最初に目に入るのがこの絵です NOTE Paragraph 00:19:28.542 --> 00:19:30.194 (アダム)Bonobosは 良質の洋服を作っていますが 00:19:30.218 --> 00:19:33.836 家を出ずに手に入るところが 私のお気に入りです 00:19:33.860 --> 00:19:35.304 私は買い物に出かけるのが 00:19:35.328 --> 00:19:38.185 カスタマーサービスに電話するのと 同じくらい嫌いなんです 00:19:38.426 --> 00:19:41.164 Bonobosのサイトでは 注文も楽々です 00:19:41.188 --> 00:19:44.521 配送も早く サイズが合わなければ ケルシーに電話をかけられます 00:19:44.965 --> 00:19:46.578 話をするためだけでもね 00:19:46.975 --> 00:19:49.673 bonobos.com/TEDを のぞいてみてください 00:19:49.697 --> 00:19:52.118 初回注文は20%オフになります 00:19:52.142 --> 00:19:55.753 bonobos.com/TEDで 20%オフをご利用ください NOTE Paragraph 00:19:55.777 --> 00:19:59.912 (音楽) NOTE Paragraph 00:20:03.944 --> 00:20:04.943 (音楽) NOTE Paragraph 00:20:04.963 --> 00:20:08.204 大学時代 飛び込みの選手だった私は 00:20:08.228 --> 00:20:12.091 二回転半ひねりを 習得しようとしていました 00:20:13.075 --> 00:20:16.132 ある競技会で披露した時 うまくいったと思いました 00:20:16.594 --> 00:20:18.706 でも 審査員が出したスコアは 00:20:18.730 --> 00:20:23.164 「2」「2.5」「0.5」でした 00:20:23.965 --> 00:20:26.744 そんなスコアは見たこともありません 00:20:27.721 --> 00:20:30.308 空中で回転しながら ひねりを入れている最中は 00:20:30.332 --> 00:20:32.797 自分の演技の出来は なかなか判断がつきません 00:20:33.112 --> 00:20:36.137 仕事人生も 大部分は これと似ています 00:20:36.401 --> 00:20:38.403 その真っ只中にいる当事者は 00:20:38.427 --> 00:20:40.741 自分を客観的に 見ることができません 00:20:41.414 --> 00:20:45.238 飛び込み競技会では 何人もの審査員が 同じ欠点に気づきました 00:20:45.860 --> 00:20:48.658 後からビデオで観ると自分でもわかりました 00:20:49.006 --> 00:20:51.371 私がやったのは 完璧に近い腹打ちだったのでした NOTE Paragraph 00:20:51.395 --> 00:20:53.485 (音楽) NOTE Paragraph 00:20:53.509 --> 00:20:55.042 スポーツ経験者なら 00:20:55.066 --> 00:20:57.434 現実を教えてくれる コーチや仲間と一緒に 00:20:57.458 --> 00:20:59.854 録画を観ることの価値を 知っているはずです 00:21:00.029 --> 00:21:02.792 これを仕事でも やってみてはいかがでしょう? 00:21:03.707 --> 00:21:05.518 ブリッジウォーターはやっています 00:21:05.971 --> 00:21:08.617 同社では徹底した透明性への こだわりから 00:21:08.641 --> 00:21:12.441 会議はほぼ全て ビデオや音声で残しています 00:21:12.730 --> 00:21:15.220 「お上が見ているぞ」的なノリですね 00:21:15.244 --> 00:21:16.832 それに変わりはないのですが 00:21:17.292 --> 00:21:20.286 ここでの違いは 皆に見られているということ 00:21:20.465 --> 00:21:23.442 会議の録音を頻繁に聞いて 学ぼうとしているのです 00:21:23.466 --> 00:21:26.029 徹底した透明性を体現した 会話をお聞かせしましょう 00:21:26.053 --> 00:21:29.085 創業者レイ・ダリオと 社員の会話です NOTE Paragraph 00:21:29.091 --> 00:21:31.577 (レイ)君の意見が全部 的外れだとは言っていないよ NOTE Paragraph 00:21:31.601 --> 00:21:35.045 (社員)そうお考えのように 聞こえますけど NOTE Paragraph 00:21:35.069 --> 00:21:36.799 (レイ)一部はそうだが 00:21:36.823 --> 00:21:38.418 ここで彼が言いたいのはだな 00:21:38.442 --> 00:21:42.084 自分の無知を認識していることを 態度で示しなさいということだ NOTE Paragraph 00:21:42.108 --> 00:21:43.767 (アダム)こういう会話を 00:21:43.791 --> 00:21:46.482 内内に処理してしまう 職場が本当に多いのです NOTE Paragraph 00:21:46.703 --> 00:21:48.685 (ジェン・ヒーリー) 普通の上下関係だと 00:21:48.685 --> 00:21:50.366 心の内を人に明かしませんよね NOTE Paragraph 00:21:50.366 --> 00:21:53.138 (アダム)ジェン・ヒーリーは ブリッジウォーターの管理職です NOTE Paragraph 00:21:53.138 --> 00:21:56.992 (ジェン)人に与える印象や どう思われるかを常に意識しています 00:21:56.992 --> 00:21:59.595 上の人にはおべっかを使い 00:21:59.609 --> 00:22:02.963 万事順調で 自分は何でも把握していると 印象づけようとします NOTE Paragraph 00:22:03.048 --> 00:22:05.172 (アダム)「徹底した透明性」には 00:22:05.172 --> 00:22:09.283 会社人生における大罪「社内のしがらみ」を 解決する機能も組み込まれています 00:22:09.297 --> 00:22:10.712 会議中の出来事が 00:22:10.712 --> 00:22:14.635 事後になって水面下で行われる 根回しや密談ほどには力を持たない — 00:22:14.635 --> 00:22:16.740 そんな組織が多すぎるのです NOTE Paragraph 00:22:16.760 --> 00:22:19.590 (ジェン)うちでは 思った通りに発言していいし 00:22:19.614 --> 00:22:22.111 同時に まずいことを言えば 責を負うのは自分です NOTE Paragraph 00:22:22.133 --> 00:22:25.102 (アダム)でもこの方式は 批判に対する本能的な拒否反応を 00:22:25.102 --> 00:22:27.691 同僚全員が克服できて初めて うまくいきます 00:22:27.896 --> 00:22:30.331 特に最初のうちは 簡単なことではありません NOTE Paragraph 00:22:30.355 --> 00:22:33.671 (アイリーン・マーレイ) ブリッジウォーターを知ったばかりの頃は 00:22:33.695 --> 00:22:35.125 いい気分ではありませんでした NOTE Paragraph 00:22:35.149 --> 00:22:36.585 (アダム)アイリーン・マーレイさんです NOTE Paragraph 00:22:36.609 --> 00:22:39.602 (アイリーン)会議に出るため 初めて出社したときのことです 00:22:39.626 --> 00:22:41.998 取締役会か何かで そこでは 00:22:41.998 --> 00:22:43.764 尋問されている人がいました 00:22:43.788 --> 00:22:46.414 納得いく事情説明が出てくるまで 00:22:46.414 --> 00:22:48.794 その人を問いただすというもので 00:22:48.794 --> 00:22:51.026 私はその場にいるのが苦痛でした 00:22:51.040 --> 00:22:53.927 頭がおかしくなりそうでした 皆狂ってる と思いました NOTE Paragraph 00:22:53.927 --> 00:22:57.384 (アダム)今やアイリーンは 同社のダブルCEOの片割れです 00:22:57.408 --> 00:23:01.109 そこに到るまでの間に 批判を 愛の鞭だと思えるようになりました 00:23:01.133 --> 00:23:03.471 家族に言われるようなものです NOTE Paragraph 00:23:03.487 --> 00:23:06.061 (アイリーン)妹に 我ながらよく我慢できるなと 00:23:06.085 --> 00:23:08.730 思うようなことを時々言われますが 00:23:09.019 --> 00:23:11.780 それでも我慢できるのは 私のためを思っての言葉だからです 00:23:11.790 --> 00:23:13.839 そうして腑に落ちたのです 00:23:13.839 --> 00:23:18.752 自分で自分を理解するという目的の下 人を理解することがねらいであり 00:23:18.776 --> 00:23:23.921 そうすることで要は 自分が得意なことと 不得意なことを自覚できるようになり 00:23:23.964 --> 00:23:25.855 物事の要領が良くなる ということに NOTE Paragraph 00:23:25.855 --> 00:23:28.127 (レイ)SEALsのようなものですよ 00:23:28.127 --> 00:23:30.713 米海軍SEALsは 兵士を冷たい海で泳がせます 00:23:30.737 --> 00:23:34.385 それが困難であるならば 慣れるまで練習しようということです NOTE Paragraph 00:23:34.751 --> 00:23:38.830 (アダム)ブリッジウォーターでは 毎日新しい「チャレンジの輪」と出会います 00:23:38.830 --> 00:23:41.264 社員は信頼の置ける批評家を 探し求めることを学び 00:23:41.264 --> 00:23:43.139 自らの意志で参加を選びます 00:23:43.357 --> 00:23:47.156 そしてだんだんと 耳の痛い真実を 聞いても平気になっていきます 00:23:47.497 --> 00:23:49.715 もちろん脱落者もいます 00:23:50.068 --> 00:23:54.237 ブリッジウォーターでは新人の3分の1が 1年半経たずに辞めていきます 00:23:54.843 --> 00:23:59.418 前に登場したキラン・ラオも ちょうど入社1年半で 00:23:59.442 --> 00:24:02.727 社内の管理職の中で最下位だと 突然言われたのでした 00:24:02.727 --> 00:24:04.847 同僚200人の前でです 00:24:05.293 --> 00:24:08.456 心の準備ができていたとしても キランにはこたえました NOTE Paragraph 00:24:08.592 --> 00:24:13.506 (キラン)インド人の私の肌でも これ以上ないほど真っ赤だったでしょうね 00:24:13.530 --> 00:24:16.178 あの経験をたとえるなら 00:24:16.198 --> 00:24:19.061 ある日 海水浴に行こうと 00:24:19.085 --> 00:24:22.149 水着にビーチサンダル姿で 00:24:22.173 --> 00:24:26.252 勢いよくドアを開けて出たら 外は大吹雪 みたいな状況ですね NOTE Paragraph 00:24:26.252 --> 00:24:28.430 (アダム)キランはこれでも 00:24:28.430 --> 00:24:30.230 ブリッジウォーター入社前は 00:24:30.230 --> 00:24:33.608 順風満帆のキャリアを送り いくつもの肩書きを持っていました 00:24:33.630 --> 00:24:36.744 医師として世界保健機構で働き 00:24:36.947 --> 00:24:39.093 コンサル会社のプリンシパルを務め 00:24:39.279 --> 00:24:41.832 業績好調な投資会社に勤めていました 00:24:42.052 --> 00:24:44.599 あんな挫折は初めてだったのです 00:24:44.957 --> 00:24:49.236 しかし 続いて私が見たことのない 出来事が起こりました 00:24:49.403 --> 00:24:52.286 キランさん そのときはさぞ 恥ずかしかったでしょうね 00:24:52.310 --> 00:24:54.482 どうやって立ち直ったんですか? NOTE Paragraph 00:24:54.506 --> 00:24:56.744 (キラン)いや 爽快な気分でした NOTE Paragraph 00:24:56.768 --> 00:24:58.082 (アダム)今 何て? NOTE Paragraph 00:24:58.092 --> 00:24:59.322 (キラン)爽快でしたよ NOTE Paragraph 00:24:59.362 --> 00:25:00.922 (アダム)それ 変ですよ NOTE Paragraph 00:25:00.922 --> 00:25:02.027 (キラン)確かに NOTE Paragraph 00:25:02.027 --> 00:25:04.028 (アダム)キランが順位を知って 00:25:04.028 --> 00:25:06.464 どう反応したか 会議の録音で 聞いてみましょう NOTE Paragraph 00:25:06.464 --> 00:25:08.077 録音:私がキラン・ラオです 00:25:08.077 --> 00:25:11.361 この順位表で 今や悪名高き ナンバーワンを頂いた本人です NOTE Paragraph 00:25:11.379 --> 00:25:13.806 (笑) NOTE Paragraph 00:25:13.830 --> 00:25:15.220 素晴らしい順位表ですし 00:25:15.244 --> 00:25:17.594 私の順位は正当だと思います 00:25:17.759 --> 00:25:21.071 無力に感じるどころか 力が湧いてきます 00:25:21.506 --> 00:25:24.575 社に貢献するか辞めるか どちらが正しいにしても 00:25:24.599 --> 00:25:26.101 この先が楽しみです NOTE Paragraph 00:25:26.496 --> 00:25:28.752 (アダム)要は ドMってことですか? NOTE Paragraph 00:25:28.776 --> 00:25:29.926 (笑) NOTE Paragraph 00:25:30.812 --> 00:25:32.434 (キラン)順位表は 00:25:32.458 --> 00:25:36.141 私という人間を表した 客観的なデータに過ぎません 00:25:36.165 --> 00:25:39.300 どん底もてっぺんも 実際どういうものなのか 00:25:39.320 --> 00:25:41.712 知らないよりも 知っておくほうがいい 00:25:41.736 --> 00:25:43.704 それに対応できるように NOTE Paragraph 00:25:43.728 --> 00:25:47.561 (アダム)懐疑的な人 特に私の専門の筋の人なら 00:25:47.585 --> 00:25:50.728 認知的不協和を解消したいだけだ と言うかもしれません 00:25:50.752 --> 00:25:54.998 つまり「最悪だったけど それでも 会社に留まることにしたからには 00:25:55.022 --> 00:25:58.212 何かの教訓となり 成長につながる 出来事だったはずだ 00:25:58.222 --> 00:26:01.236 でないと 説明がつかない」 と言っているのだ と 00:26:01.260 --> 00:26:04.110 自分は不快な出来事を 正当化しているだけではないかと 00:26:04.124 --> 00:26:05.898 思ったことはないですか? NOTE Paragraph 00:26:06.068 --> 00:26:07.434 (キラン)ありませんね 00:26:07.458 --> 00:26:10.910 こういう衝撃的な体験が問題なのではなくて 00:26:10.934 --> 00:26:14.259 自分がブリッジウォーターに 向いているかどうか 00:26:14.280 --> 00:26:17.672 判断するにあたって 一番難しいのは 00:26:17.696 --> 00:26:19.522 衝撃的な体験よりも 00:26:19.546 --> 00:26:21.759 その社風に日々触れることです 00:26:22.108 --> 00:26:23.122 でしょ? 00:26:23.136 --> 00:26:29.365 衝撃のほうは 自分探しに真剣に 取り組んだときの副産物に過ぎません 00:26:29.981 --> 00:26:34.396 私はブリッジウォーターに入って 深いところで根本的に変わったと思います NOTE Paragraph 00:26:34.573 --> 00:26:36.963 (アダム)面白いですね 話を聞いていると まるで 00:26:36.997 --> 00:26:40.629 本能を書き換えるか解除しようと しているように思えます NOTE Paragraph 00:26:41.148 --> 00:26:44.179 (キラン)自分が何かやらかしたと 誰かに指摘されると 00:26:44.203 --> 00:26:45.542 自我が働いて 00:26:45.566 --> 00:26:49.946 私はみるみる 平静を失ってしまいます 00:26:50.720 --> 00:26:53.302 「そんなはずがない 何かの間違いだ 00:26:53.326 --> 00:26:57.407 これだけのことを成し遂げてきた私が そんな人間のはずがない」と NOTE Paragraph 00:26:58.010 --> 00:27:00.171 (アダム)私が 「証明モード」と呼ぶ状態です 00:27:00.195 --> 00:27:02.506 原始的で感情的な反応です 00:27:02.530 --> 00:27:04.153 低次元バージョンの自分です 00:27:04.438 --> 00:27:06.950 でも 人の脳には 高次元バージョンの設定もあって 00:27:06.974 --> 00:27:08.339 「改善モード」といいます 00:27:08.628 --> 00:27:11.132 例えて言うと 内なるオリンピック飛び込み選手 00:27:11.156 --> 00:27:13.341 自分の能力を正確に把握したがり 00:27:13.365 --> 00:27:15.889 成長する手段を 全て知りたがるモードです 00:27:16.530 --> 00:27:19.708 改善モードのあなたは 常に「未完成」です 00:27:20.253 --> 00:27:21.895 ブリッジウォーターの考え方は 00:27:21.919 --> 00:27:24.275 四六時中フィードバックに晒されれば 00:27:24.299 --> 00:27:27.173 改善モードの心の声に耳を傾ける力がつく というものです NOTE Paragraph 00:27:27.188 --> 00:27:29.196 (キラン)もっと穏やかな声もあります 00:27:29.220 --> 00:27:32.887 論理的なほうの自分は 頭の中でこう語りかけてきます 00:27:32.911 --> 00:27:34.750 「この1年は大変だったよ 00:27:35.361 --> 00:27:37.696 あまり実りある年だったとは言えないし 00:27:37.720 --> 00:27:40.501 自分で立てた目標もろくに 達成できていない 00:27:40.769 --> 00:27:42.789 でも あまり驚くことでもない」 00:27:42.813 --> 00:27:45.283 ただし この2つの声は 00:27:45.307 --> 00:27:48.206 その時で音量が大きく異なるんです 00:27:48.517 --> 00:27:50.966 低次元の自分はわめき散らし 00:27:50.990 --> 00:27:53.053 高次元の自分はささやいている NOTE Paragraph 00:27:53.067 --> 00:27:54.066 (アダム)なるほど 00:27:54.080 --> 00:27:57.355 つまり 2通りの自分が常に 何かしら対立し続けていると NOTE Paragraph 00:27:57.379 --> 00:27:59.566 (キラン)そういうことです 00:27:59.590 --> 00:28:03.124 ありがたいのは 今はそれを 自覚できるようになったことです 00:28:03.148 --> 00:28:06.327 以前は これを認識して 落ち着きを取り戻すのに 00:28:06.347 --> 00:28:08.503 1、2ヶ月かかっていました 00:28:08.862 --> 00:28:11.570 レイと仕事していると それが0.1秒で済みます NOTE Paragraph 00:28:11.594 --> 00:28:14.508 (レイ)ええ まさにそれくらい 一瞬で終わります 00:28:14.522 --> 00:28:19.404 それが何であれ 「しまった ああしておけば...」となり 00:28:19.428 --> 00:28:22.053 同時に「ここでの教訓は?」 と考えるのです 00:28:22.077 --> 00:28:24.501 これは習慣の為せるわざです NOTE Paragraph 00:28:24.505 --> 00:28:26.279 (アダム)奇妙な話です 00:28:26.405 --> 00:28:27.640 レイの話はつまり 00:28:27.660 --> 00:28:31.457 批判されたとき 他の人間ほど苦痛を感じないばかりか 00:28:31.467 --> 00:28:34.731 苦痛を感じる信号が 快楽を感じる信号を伴うように 00:28:34.744 --> 00:28:36.605 自らを鍛えた ということで 00:28:36.821 --> 00:28:39.161 何年にもわたって 否定的なフィードバックが 00:28:39.174 --> 00:28:41.236 肯定的な結果を生むさまを 見てきた今 00:28:41.260 --> 00:28:44.045 レイは批判を耳にするのが どうも嬉しいようです NOTE Paragraph 00:28:44.069 --> 00:28:47.803 (レイ)批判されたとき あなたはどう感じますか? NOTE Paragraph 00:28:48.382 --> 00:28:50.791 (アダム)私は概して... 00:28:51.660 --> 00:28:53.720 たいていは批判されて いい気はしません 00:28:53.744 --> 00:28:55.001 でも求めてはいます 00:28:55.015 --> 00:28:58.415 教壇に立つようになった頃 人前で話すのが怖かったんです 00:28:58.683 --> 00:29:00.438 講義評価アンケートに 00:29:00.438 --> 00:29:01.461 私の極度の緊張が 00:29:01.461 --> 00:29:04.674 聴講席の生徒まで ガタガタふるえさせたと書かれたことも 00:29:04.678 --> 00:29:07.901 当時は自己嫌悪に陥りましたが 00:29:07.901 --> 00:29:11.054 そんな情けない自分を脱却するには フィードバックが必要なのです 00:29:11.401 --> 00:29:14.338 自分から求めた評価で 受け入れやすかったというのもあります 00:29:14.365 --> 00:29:17.932 勝手に向こうから言ってきて 「お前に聞いてないし」となるときは 00:29:17.952 --> 00:29:20.976 批判をうまく受け入れられないと思います NOTE Paragraph 00:29:21.609 --> 00:29:23.180 (レイ)いいこと言いましたね 00:29:23.204 --> 00:29:26.232 求めてもいない批判をされると びっくりするのは 00:29:26.252 --> 00:29:27.808 至極 当たり前のことです 00:29:27.822 --> 00:29:30.212 扁桃体が反応しているからです 00:29:30.236 --> 00:29:33.984 扁桃体は闘争・逃走反応を司り 反応は ほんの一時的なもので 00:29:34.001 --> 00:29:37.773 しばらくすれば落ち着きます 00:29:37.787 --> 00:29:40.926 そこで振り返って考えることで 00:29:40.950 --> 00:29:45.409 「苦痛+自省=成長」という 方程式が働くのです 00:29:45.494 --> 00:29:50.545 というのも 苦痛は 何かがおかしいと教えてくれますし 00:29:50.569 --> 00:29:54.278 自省することで 学びが生まれます 00:29:54.283 --> 00:29:57.560 それをしばらく続けると 学習せずにはいられなくなるのです NOTE Paragraph 00:29:57.584 --> 00:29:58.973 (音楽) NOTE Paragraph 00:29:59.080 --> 00:30:00.795 (アダム)それを目指してるんですね 00:30:00.821 --> 00:30:02.135 ところが 普通の人だと 00:30:02.145 --> 00:30:04.992 自分の中の「独裁者」が 自省を乗っ取り 00:30:05.030 --> 00:30:07.923 直ちに拒絶と攻撃が 始まってしまいます 00:30:08.590 --> 00:30:11.301 もっと素直に自分を省みる 必要があるのですが 00:30:11.850 --> 00:30:13.910 いざとなると難しいものです 00:30:14.255 --> 00:30:16.944 心理学では 他人の目に映る自分の姿を 00:30:16.958 --> 00:30:19.866 もう少し自覚しやすくする 面白い方法があります 00:30:20.791 --> 00:30:25.251 パソコンの前に座って 時間制限のある 選択式テストを受けているとしましょう 00:30:25.255 --> 00:30:28.171 指示には タイマーが鳴るまで 設問に答え続けるように 00:30:28.195 --> 00:30:29.849 書かれています 00:30:30.413 --> 00:30:34.269 ただし キーボードでの入力が 記録されていることは知らされていません 00:30:34.283 --> 00:30:38.346 タイマーが鳴った後で設問に答えれば ズルをしたことがバレるというわけです 00:30:39.124 --> 00:30:42.640 ここで 教室に鏡があると 不正が起こる確率が 00:30:42.664 --> 00:30:44.525 ぐっと下がることがわかりました 00:30:44.993 --> 00:30:48.550 自分の行いが他人の目にどう映るか 省みる気にさせられるからです NOTE Paragraph 00:30:48.574 --> 00:30:49.902 (音楽) NOTE Paragraph 00:30:49.964 --> 00:30:53.586 ブリッジウォーターで レイは 絶えず自らを鏡に映すことで 00:30:53.610 --> 00:30:56.590 他人の目に映る自分を 見ようとしています 00:30:57.128 --> 00:30:59.531 心理学ではよく 「第2スコア」の話をします 00:30:59.531 --> 00:31:00.970 次のような考え方です 00:31:00.970 --> 00:31:03.996 準備不足で冗長な発表を してしまったのはどうしようもない 00:31:03.996 --> 00:31:06.083 Dマイナスは決定で もうやり直せない 00:31:06.083 --> 00:31:07.729 できることは一つだけ 00:31:07.747 --> 00:31:09.762 「第1スコアについては何もできない 00:31:09.762 --> 00:31:12.970 第2スコア つまり最初の評価の 受け取り方は自分で決められる」 00:31:12.970 --> 00:31:14.965 つまり Dマイナスをつけられたとしても 00:31:14.965 --> 00:31:18.429 評価への反応については Aプラスを獲得することもできる 00:31:18.452 --> 00:31:20.494 そう明確に自己評価しているんですか? NOTE Paragraph 00:31:20.494 --> 00:31:23.119 (レイ)社員全員がしています (アダム)全員ですか NOTE Paragraph 00:31:23.119 --> 00:31:25.280 学習やフィードバックにどう反応するかが 00:31:25.280 --> 00:31:27.300 評価されていると分かっていれば 00:31:27.300 --> 00:31:30.123 守るべき固定イメージは ないということになりますね NOTE Paragraph 00:31:30.150 --> 00:31:32.102 (レイ)お見事 その通りです NOTE Paragraph 00:31:32.136 --> 00:31:33.721 (アダム)第2スコアの考え方で 00:31:33.725 --> 00:31:35.436 私はフィードバックを得るたび 00:31:35.450 --> 00:31:38.930 それをどれだけ上手く受け止めたかを 自己評価しています 00:31:39.188 --> 00:31:41.220 誰もが取り入れていい習慣だと思います 00:31:41.230 --> 00:31:44.426 フィードバックした側からすれば 最初の評価はもう済んでいます 00:31:44.443 --> 00:31:48.148 今の時点での評価の焦点は 受け入れるか反発するかという態度にあると 00:31:48.148 --> 00:31:50.122 自分に言い聞かせるとといいでしょう 00:31:50.136 --> 00:31:52.654 自己防衛心が働いているとき 自覚があるとは限りません 00:31:52.668 --> 00:31:54.781 率直な意見をくれる人々に 頼りましょう 00:31:54.810 --> 00:31:57.077 第2スコアを つけてもらうのです 00:31:57.101 --> 00:31:59.950 「フィードバックを聞いたときの 私はどんな態度だった?」と 00:32:00.111 --> 00:32:03.450 そして その人たちの言葉を 真摯に受け止め 00:32:03.920 --> 00:32:06.492 「ありがとう」と返事しましょう NOTE Paragraph 00:32:06.516 --> 00:32:08.337 (音楽) NOTE Paragraph 00:32:08.337 --> 00:32:10.541 自分の力を示す最善の方法は 00:32:10.541 --> 00:32:13.261 向上心を見せることです 00:32:13.535 --> 00:32:15.046 キランがいいお手本です NOTE Paragraph 00:32:15.054 --> 00:32:18.073 (キラン)その日の帰り道 妻に電話して このことを話したんです 00:32:18.083 --> 00:32:23.041 管理職を出来の悪い順に並べた 順位表で私が筆頭だったこと 00:32:23.434 --> 00:32:26.582 そして 精力的に 素晴らしい1日を過ごし 00:32:27.718 --> 00:32:28.919 爽快な気分だったことを 00:32:28.943 --> 00:32:31.403 すると妻は「素敵じゃない あなた 誇らしいわ」と NOTE Paragraph 00:32:31.417 --> 00:32:33.426 (アダム)誇らしいと 言われたんですか 00:32:33.450 --> 00:32:35.466 管理職最下位と ランク付けされたことを? NOTE Paragraph 00:32:35.490 --> 00:32:37.299 (キラン)いや 自らを鏡で見たこと 00:32:37.309 --> 00:32:39.315 そして見えた姿に 嫌悪しなかったこと 00:32:39.339 --> 00:32:42.302 現実をありのままに 見られたことを ですよ 00:32:42.841 --> 00:32:44.536 もうその頃には 家に着いてましたね 00:32:44.550 --> 00:32:46.190 会社から近いんですよ NOTE Paragraph 00:32:46.279 --> 00:32:53.397 (音楽) NOTE Paragraph 00:32:53.421 --> 00:32:56.186 (アダム)WorkLifeのホストは 私 アダム・グラント 00:32:56.196 --> 00:32:58.903 制作はTEDおよび Transmitter Media 00:32:58.927 --> 00:33:00.752 およびPinapple Street Mediaです 00:33:00.776 --> 00:33:04.378 スタッフは コリン・ヘルムズ グレタ・コーン、ガブリエル・ルイス 00:33:04.402 --> 00:33:06.434 アンジェラ・チェン そしてジャネット・リー 00:33:06.458 --> 00:33:10.166 制作責任者はダン・オドネル アシスタントはジュリア・アルソップ 00:33:10.768 --> 00:33:14.069 編集はデイヴィッド・ハーマン アシスタントはダン・ドズーラ 00:33:14.093 --> 00:33:16.191 オリジナル音楽は ハンスデール・スー 00:33:16.937 --> 00:33:18.799 協賛は 00:33:18.823 --> 00:33:22.703 Bonobos、Accenture JP Morgan ChaseそしてWarby Parker NOTE Paragraph 00:33:23.365 --> 00:33:24.651 次回のWorkLifeでは 00:33:24.675 --> 00:33:27.170 The Daily Showの 放送作家の部屋にお邪魔して 00:33:27.194 --> 00:33:30.373 壮絶なプレッシャーの中で 新しいものを作る様子を見ていきます NOTE Paragraph 00:33:30.397 --> 00:33:33.830 (デイヴィッド・キブッカ) 最終稿にならないものが初稿なんです NOTE Paragraph 00:33:33.840 --> 00:33:36.614 (ダン・アミラ) だから初稿って呼ぶんです NOTE Paragraph 00:33:36.618 --> 00:33:39.240 (デイヴィッド)それが 「初稿」の主な由来ですからね NOTE Paragraph 00:33:39.574 --> 00:33:41.405 (アダム)以上 次回予告でした 00:33:41.429 --> 00:33:43.637 最後までお付き合い ありがとうございました 00:33:43.637 --> 00:33:46.464 気に入っていただけた方は 番組をもっと広くお届けできるよう 00:33:46.481 --> 00:33:48.323 評価やレビューをお願いします 00:33:48.621 --> 00:33:49.947 では また来週! NOTE Paragraph 00:33:49.971 --> 00:33:53.582 (音楽) NOTE Paragraph 00:33:55.403 --> 00:33:58.751 レイさん いつもながら 楽しく 興味深く 示唆に富むお話を 00:33:58.751 --> 00:34:00.164 ありがとうございました NOTE Paragraph 00:34:00.188 --> 00:34:02.596 (レイ)では どんな批判を 聞かせてくれるのかな NOTE Paragraph 00:34:02.610 --> 00:34:04.459 (アダム)批判しなきゃいけないと? NOTE Paragraph 00:34:04.459 --> 00:34:05.473 (レイ)そう NOTE Paragraph 00:34:05.473 --> 00:34:07.518 (アダム)えっと… 時間足ります? NOTE Paragraph 00:34:07.542 --> 00:34:09.053 (笑) NOTE Paragraph 00:34:09.077 --> 00:34:12.682 お話が 抽象的な概念や 考え方のレベルに留まり 00:34:12.706 --> 00:34:17.349 ご自身の実体験や物語や その時感じたことにまでは 00:34:17.373 --> 00:34:19.508 及んでいませんでした 00:34:19.532 --> 00:34:23.268 それがあれば もっと実感のこもった お話になっていたでしょう 00:34:23.292 --> 00:34:26.521 具体的な内容や 感情を含む内容を もっと取り入れて 00:34:26.521 --> 00:34:28.610 抽象的な概念と合わせて お話されれば 00:34:28.634 --> 00:34:31.135 もっと効率良く伝わると思います NOTE Paragraph 00:34:33.014 --> 00:34:34.534 (レイ)ご指摘ありがとう