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フィル・ハンセン 「震えを受け入れる」

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    美術学校に通っていた時に
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    手が震えるようになりました
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    できるだけ まっすぐ描いた
    つもりでも こうです
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    思い返せば 震えが
    役立つときもありました
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    ペンキを混ぜるとか
    ポラロイド写真を振るとか
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    でも 当時は何もかも
    終わったと思いました
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    芸術家になる夢が
    断たれたのです
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    震えの原因は
    点描を極めようと
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    長年 極小の点を
    打ち続けた結果です
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    長年 極小の点を
    打ち続けた結果です
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    完ぺきな丸だった点は
    震えのせいで
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    オタマジャクシみたいな
    形になっていきました
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    そうならないように
    ペンを強く握ると
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    震えがどんどん悪化するので
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    一層 強く握るようになります
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    こんな悪循環が続き
    激痛と関節の症状が出て
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    こんな悪循環が続き
    激痛と関節の症状が出て
  • 0:45 - 0:47
    ものを持てなくなりました
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    生涯 芸術を志してきたのに
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    美術学校を退学し
    芸術から離れました
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    数年たっても
    芸術が忘れられず
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    神経科に行くことにしたのですが
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    治る見込みのない
    神経障害とわかりました
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    グチャグチャの線を見て
    医師が言いました
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    「震えとうまく付き合っては?」
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    だから震えを受け入れて
    家に帰って鉛筆を持ち
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    手が震えるにまかせて
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    グニャグニャの線で絵を描きました
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    私が追求してきたものとは
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    ちょっと違いましたが
    それでも最高の気分でした
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    震えを受け入れてしまえば
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    制作を続けられると
    わかったことも大きかった
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    求める作品をつくるには
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    違う方法を探すだけで
    よかったのです
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    でも点描の断片性 つまり ―
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    小さな点が集まって
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    イメージが
    できていくのが好きでした
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    だから 別の方法でイメージの
    断片化を試みていきました
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    震えの影響がない方法です
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    絵の具に足を突っ込んで
    キャンバス上を歩いたり
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    角材でできた3次元の建造物に
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    2次元のイメージをバーナーで
    焼き付けたりしました
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    大きな素材で
    大規模な作品を作ると
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    手は痛みませんでした
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    たった一つの技法から
    離れることで
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    自分の芸術の枠組みを
    くつがえす ―
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    創造力の高め方を
    手に入れたのです
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    このとき初めて思いました
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    「限界を受け入れても
    創造力は高まる」って
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    当時は学校を去る直前でした
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    仕事をして新しい画材が
    やっと買えると 興奮していました
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    私は粗末な道具しか
    持っていなかったので
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    専門家向けの画材があれば
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    もっと色々な事が
    できると思ったのです
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    普通のハサミすらなくて
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    職場から1丁
    勝手に持ってくるまで ―
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    金ばさみを使っていました
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    学校を出て 職に就き
    給料をもらうと
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    画材屋にでかけて
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    狂ったように画材を
    買いあさりました
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    家に帰ると腰をおろして
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    制作に取りかかろうとしました
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    既存の枠に
    とらわれない作品です
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    ところが何時間たっても
    何も思い浮かばないのです
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    次の日も その次の日も同じで
  • 3:01 - 3:05
    作品が作れなくなって
    しまったのです
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    長い間 スランプの暗闇から
    抜け出せませんでした
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    わけがわかりません
    やっと必要なものを
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    買えるようになったのに
    創造性が消えたのです
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    でも 暗闇の中で気づきました
  • 3:18 - 3:22
    経験した事がないほど
    選択の幅が広がったせいで
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    途方に暮れていたのです
  • 3:24 - 3:28
    その瞬間 自分の震える手を
    思い出しました
  • 3:28 - 3:31
    震えを受け入れよう
  • 3:31 - 3:33
    創造性を取り戻したいなら
  • 3:33 - 3:37
    枠にとらわれないように
    努力するのではなく
  • 3:37 - 3:40
    枠の中に戻らなければ
  • 3:40 - 3:42
    そして こう考えました
  • 3:42 - 3:45
    制約を課すと
    創造性は高まるだろうか?
  • 3:45 - 3:50
    1ドル分の画材だけで
    作品を作るとしたら?
  • 3:50 - 3:52
    この頃 ― 今もそうですが
  • 3:52 - 3:55
    夕方はスターバックスで
    過ごすことが多く
  • 3:55 - 3:58
    カップを余分にくれることを
    知っていたので
  • 3:58 - 4:01
    50個もらうことにしました
  • 4:01 - 4:03
    すぐにくれて驚きました
  • 4:03 - 4:05
    持っていた鉛筆を使って
  • 4:05 - 4:08
    たった80セントで
    この作品を作りました
  • 4:08 - 4:10
    すべてを理解した瞬間でした
  • 4:10 - 4:13
    限界を超えるためには
  • 4:13 - 4:16
    まず最初に制約が
    必要だったのです
  • 4:16 - 4:18
    私は枠の中で考えることを
  • 4:18 - 4:20
    キャンバスにも応用しました
  • 4:20 - 4:23
    キャンバスではなく
    自分の体にしか描けなかったら?
  • 4:23 - 4:26
    30種類のイメージを
    一層ずつ重ねて
  • 4:26 - 4:27
    描いていきました
  • 4:27 - 4:32
    全部 私の人生に
    影響を与えたものの絵です
  • 4:32 - 4:34
    あるいは筆ではなく
  • 4:34 - 4:37
    空手チョップだけで
    描くとしたら? (笑)
  • 4:37 - 4:39
    自分の手を絵の具に漬けて
  • 4:39 - 4:40
    キャンバスを攻撃しました
  • 4:40 - 4:43
    本気で叩いたので
    小指の関節にアザができ
  • 4:43 - 4:46
    2週間も消えませんでした
  • 4:46 - 4:49
    (笑) (拍手)
  • 4:49 - 4:53
    あるいは作品の主題を
    自分以外の誰かに
  • 4:53 - 4:55
    考えてもらわなければ
    ならなかったら?
  • 4:55 - 4:58
    考えてもらわなければ
    ならなかったら?
  • 4:58 - 5:01
    6日間ウェブカメラの
    前で暮らしました
  • 5:01 - 5:03
    床に寝起きし
    テイクアウトの食事をとりながら
  • 5:03 - 5:06
    みんなに呼びかけました
    「私に電話をして ―
  • 5:06 - 5:08
    人生が変わった瞬間の
    話をしてほしい」って
  • 5:08 - 5:11
    みんなの話を
    回転式のキャンバスに
  • 5:11 - 5:14
    書いていくと
    芸術作品になりました
  • 5:14 - 5:19
    (拍手)
  • 5:19 - 5:23
    作品を作って
    展示するのではなく
  • 5:23 - 5:25
    破壊しなければ
    ならないとしたら?
  • 5:25 - 5:28
    これが究極の制約でしょう
  • 5:28 - 5:30
    芸術家なのに作品がないんです
  • 5:30 - 5:33
    このアイデアから生まれたのが
    1年かけて取り組んだ ―
  • 5:33 - 5:34
    「さよなら アート」です
  • 5:34 - 5:39
    作品はすべて
    出来上がったら破壊します
  • 5:39 - 5:40
    最初は自分で壊していました
  • 5:40 - 5:43
    例えばジミ・ヘンドリックスの
    イメージを
  • 5:43 - 5:46
    7,000本以上のマッチで作りました
  • 5:46 - 5:47
    (笑)
  • 5:47 - 5:50
    その後 自然に崩壊する
    作品を加えました
  • 5:50 - 5:53
    はかなく消える素材を
    探しました
  • 5:53 - 5:55
    吐き出した食べ物や
  • 5:55 - 5:59
    (笑)
  • 5:59 - 6:02
    歩道に描いたチョークの絵 ―
  • 6:02 - 6:07
    凍らせたワインまでありました
  • 6:07 - 6:09
    破壊の最後のバージョンでは
  • 6:09 - 6:13
    初めから存在しないものを
    作ろうとしました
  • 6:13 - 6:16
    テーブルにろうそくを並べ
    火をつけた後 消します
  • 6:16 - 6:20
    これを一組のろうそくに
    何度も繰り返し
  • 6:20 - 6:24
    撮影したビデオを集めて
    大きな画像にしました
  • 6:24 - 6:28
    最終的なイメージの全体を
    実際に見ることはできません
  • 6:28 - 6:32
    存在する前に破壊されたのです
  • 6:32 - 6:35
    「さよなら アート」のシリーズでは
  • 6:35 - 6:37
    23点の作品を作りました
  • 6:37 - 6:41
    展示できる物は
    何も残っていません
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    私が究極の制約と
    考えていたものは
  • 6:43 - 6:46
    実際には究極の自由でした
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    作品を作るたびに破壊することで
  • 6:48 - 6:50
    私は中立の状態に戻り
  • 6:50 - 6:55
    新鮮な気持ちで
    次の作品に取りかかれます
  • 6:55 - 6:57
    でも簡単ではありません
  • 6:57 - 6:59
    制作が軌道に乗らないことや
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    膨大な時間を費やしたのに
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    イメージの出来が
    ひどいこともあります
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    でもこのプロセスを熱心に続けると
  • 7:07 - 7:09
    本当にすごいことが起こります
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    作品を壊して学んだのは
  • 7:12 - 7:15
    「気にしない」ことです
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    結果を気にせず
    失敗を気にせず
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    欠点も気にしない
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    そして代わりに発見したのは
  • 7:23 - 7:28
    結果に左右されず絶え間なく
    芸術を創造するプロセスです
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    常に創造できるようになり
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    次に作るものだけを考え
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    アイデアは
    どんどん思いつきました
  • 7:35 - 7:37
    アートという夢から離れていた ―
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    3年間を振り返ると
    やっていたのは形だけで
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    夢を追い続けるため
    他の方法を探すわけでもなく
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    ただ あきらめていました
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    震えを受け入れていなかったら
    どうなっていたことか・・・
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    震えを受け入れる事は
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    芸術やテクニックだけの
    問題ではないからです
  • 7:55 - 8:00
    それは人生や生きる技術に
    関係していたのです
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    私達がしていることは
    ほとんど ―
  • 8:02 - 8:08
    手段が限られた
    枠の範囲内で行われるからです
  • 8:08 - 8:11
    制約の中で 創造性を
    発揮する術を学ぶことが
  • 8:11 - 8:15
    私達が自分を変え
    全体として世界を変える ―
  • 8:15 - 8:19
    最も確かな道なのです
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    限界を創造性の源と
    とらえることで
  • 8:23 - 8:26
    私の人生は変わりました
  • 8:26 - 8:28
    今でも壁にぶち当たったり
  • 8:28 - 8:31
    創造の過程で途方に暮れ ―
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    苦しむこともあります
  • 8:33 - 8:35
    でも プロセスにしたがって
  • 8:35 - 8:38
    可能性を探ろうとします
  • 8:38 - 8:43
    たとえば 本物の生きた
    ミミズで絵を描く ―
  • 8:43 - 8:47
    画びょうでバナナに
    タトゥーを入れる ―
  • 8:47 - 8:53
    ハンバーガーの
    脂で絵を描く・・・
  • 8:53 - 8:55
    (笑)
  • 8:55 - 8:57
    最近 取り組んでいるのは
  • 8:57 - 9:00
    私が学んだ
    創造性を高める習慣を
  • 9:00 - 9:03
    他の人でもまねできるように
    翻訳することです
  • 9:03 - 9:07
    制約の中では 創造性を
    生かすのが難しいかも知れません
  • 9:07 - 9:11
    でもマンネリから抜け出し
  • 9:11 - 9:14
    カテゴリーを再検討し
  • 9:14 - 9:18
    一般に認められた規範を疑う
    最高の方法でしょう
  • 9:18 - 9:22
    だから「今を楽しもう」を
    合い言葉にするより
  • 9:22 - 9:26
    毎日こう考えるのはどうでしょう
  • 9:26 - 9:28
    「制約を楽しもう」
  • 9:28 - 9:30
    ありがとう
  • 9:30 - 9:35
    (拍手)
Title:
フィル・ハンセン 「震えを受け入れる」
Speaker:
Phil Hansen
Description:

フィル・ハンセンは美術学校時代、激しい手の震えに襲われ、大好きだった点描画が描けなくなりました。完全に打ちのめされた彼は、目標を見失います。立ち直るきっかけは神経科の医師のこんな単純なアドバイスでした。「限界を受け入れなさい・・・そして乗り越えなさい。」

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Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TEDTalks
Duration:
10:01
Akiko Hicks approved Japanese subtitles for Embrace the shake
Yuko Yoshida accepted Japanese subtitles for Embrace the shake
Yuko Yoshida edited Japanese subtitles for Embrace the shake
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