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知ってのとおり、この世は終わり(でも気分は上々)| ダニエル・ギルバート | TEDxAcademy

  • 0:17 - 0:20
    お集まりいただき ありがとうございます
  • 0:20 - 0:22
    1896年
  • 0:22 - 0:28
    ロンドン過早埋葬防止協会が
    結成されました
  • 0:28 - 0:33
    結成の目的は明確で
    「早すぎる埋葬を防止すること」
  • 0:33 - 0:37
    特に会員の生き埋めを防止することでした
  • 0:37 - 0:41
    19世紀のロンドンの医師たちには
    死にかけの人と
  • 0:41 - 0:45
    完全に死んだ人とを見分ける技術が
    ありましたが
  • 0:45 - 0:47
    いま一つ安定していませんでした
  • 0:47 - 0:52
    その結果「早すぎる埋葬」が
    問題になっていました
  • 0:52 - 0:55
    ただし重大な問題ではありませんでした
  • 0:55 - 0:59
    実際 1896年のロンドンで
    生き埋めになる確率は
  • 0:59 - 1:05
    2014年のアテネで生き埋めになる確率と
    ほぼ同じです
  • 1:05 - 1:09
    つまり ほぼゼロです
  • 1:09 - 1:14
    しかし それでもロンドン市民の心配は
    なくなりませんでした
  • 1:14 - 1:16
    彼らは社説を出し
    協会を結成し
  • 1:16 - 1:18
    議員に働きかけて
  • 1:18 - 1:21
    早すぎる埋葬の恐怖を防ぐため
  • 1:21 - 1:27
    莫大な費用のかかる法案を
    通そうとしました
  • 1:27 - 1:31
    生き埋めになることなんて
    まず ないんですけどね
  • 1:31 - 1:36
    なぜ私たちは時に小さな脅威を
    大きな事のように扱い
  • 1:36 - 1:40
    大きな脅威を小さな事のように
    扱うのでしょう?
  • 1:40 - 1:43
    今日はその疑問に答えていきたいと
    思います
  • 1:43 - 1:45
    答えは実にシンプルなんですよ
  • 1:45 - 1:49
    人間の脳は何でも来いの
    万能コンピュータではありません
  • 1:49 - 1:54
    脅威の発生する可能性を評価したり
  • 1:54 - 1:57
    その結果の規模を査定して
    どう対応すべきか
  • 1:57 - 2:00
    合理的に決めることはできないのです
  • 2:00 - 2:04
    人間の脳は大変特殊な機械です
  • 2:04 - 2:09
    ある大変特別な問題を解決するために
    進化したコンピュータです
  • 2:09 - 2:12
    その問題とは20万年前の
    アフリカの平原に住んでいた―
  • 2:12 - 2:15
    ごく少数の狩猟採集民にとって
  • 2:15 - 2:19
    問題だったことです
  • 2:19 - 2:22
    現代の我々が直面する脅威と
  • 2:22 - 2:26
    我々の祖先が直面した脅威が似ている時
    私たちは
  • 2:26 - 2:29
    固い決意をもって
    力強く素早く反応します
  • 2:29 - 2:33
    似ていなければ それに対応するのは
    非常に難しくなります
  • 2:33 - 2:37
    私たちが今日 直面している
    2つの脅威を例に考えてみましょう
  • 2:37 - 2:39
    テロと地球温暖化です
  • 2:39 - 2:42
    テロは脅威です
    非常に実際的な脅威です
  • 2:42 - 2:46
    平穏な市民社会の仕組みを脅かします
  • 2:46 - 2:51
    心の安寧を脅かし 人命を脅かします
  • 2:51 - 2:56
    数十、数百、数千人もの命が
    脅かされることもあります
  • 2:56 - 3:00
    しかし いくら想像力をたくましくしても
    テロによって地球上の
  • 3:00 - 3:03
    すべての生命が脅かされることは
    ありません
  • 3:03 - 3:06
    地球温暖化の脅威は まさにそれです
  • 3:06 - 3:10
    ところが私たちは今年も
    数十億ドルをかけて
  • 3:10 - 3:15
    テロという「早すぎる埋葬」を
    防止しているのです
  • 3:15 - 3:19
    そして私たちは
    地球上の先進工業諸国を集めて
  • 3:19 - 3:23
    会議を開き
    とても温暖化を止められないような
  • 3:23 - 3:29
    はるかに不十分な条項に
    合意することさえ出来ていないのです
  • 3:29 - 3:34
    この惑星の温暖化が問題なのは
    確実です
  • 3:34 - 3:37
    現代の科学者は
    まるで聖書に出てくる預言者です
  • 3:37 - 3:43
    彼らは今後50年のうちに
    主要都市で洪水が起きると言っています
  • 3:43 - 3:46
    水没する国もあるでしょう
  • 3:46 - 3:49
    乾燥した地域は
    ますます乾燥するでしょう
  • 3:49 - 3:52
    水害や乾燥がひどくて住めなくなれば
    難民が出ますが
  • 3:52 - 3:54
    彼らには行くところがありません
  • 3:54 - 3:58
    海水の温度が上昇し
    ハリケーンが増え
  • 3:58 - 4:01
    海岸沿いの都市は破壊されるでしょう
  • 4:01 - 4:03
    山火事が猛威を振るうでしょう
  • 4:03 - 4:07
    森林の乾燥が進めば
    火災を食い止めることはできません
  • 4:07 - 4:08
    飢饉が起きるでしょう
  • 4:08 - 4:12
    後進諸国では農業生産が
  • 4:12 - 4:15
    10~25%減るでしょう
  • 4:15 - 4:18
    今でさえ国民を養えていないのにです
  • 4:18 - 4:23
    虫が南から北へ移動することで
    病気が問題になります
  • 4:23 - 4:25
    マラリアや西ナイル熱ウイルスが
  • 4:25 - 4:28
    そんな病気と無縁だった地域に
    広がっていきます
  • 4:28 - 4:33
    まるで旧約聖書ですね
    血、ブヨ、蛙などの災いを描いた―
  • 4:33 - 4:35
    『出エジプト記』です
  • 4:35 - 4:39
    でも本当にそうなるんです
    私たち全員に関わります
  • 4:39 - 4:44
    なぜ私たちは実質的に
    何もしていないのでしょう
  • 4:44 - 4:47
    その答えは私たちの脳です
    私たちの脳はある4つの
  • 4:47 - 4:51
    本質的な特徴を備えた脅威に対して
    反応するように進化してきました
  • 4:51 - 4:55
    脅威にその特徴があれば
    私たちは反応しますが
  • 4:55 - 4:59
    脅威にその特徴がなければ
    対応しにくいというわけです
  • 4:59 - 5:02
    私たちが反応する脅威の特徴は
    意図的で不道徳で
  • 5:02 - 5:05
    切迫していて瞬間的なものです
  • 5:05 - 5:09
    この4つ それぞれにまつわる心理を
    お話しします
  • 5:09 - 5:12
    「意図的」から行きましょう
  • 5:12 - 5:16
    ここにお集まりの皆さんはご存じでしょう
    人間の脳には異なる部位があり
  • 5:16 - 5:19
    各部位はちょっとずつ違うことを
    担当しています
  • 5:19 - 5:25
    人間の脳はそれぞれに特化した領域に
    極めて重要な機能を任せています
  • 5:25 - 5:29
    後ろのところに視覚を司る領域があり
  • 5:29 - 5:32
    こっちには言語を司る領域がある
    という具合です
  • 5:32 - 5:37
    見ることと話すことは
    私たちが生きていく上で極めて重要ですから
  • 5:37 - 5:40
    脳はその役割を担う領域を
    それぞれ固有に持っているのです
  • 5:40 - 5:44
    テニス用の領域や
    買い物用の領域はありません
  • 5:44 - 5:48
    それらは人類の生存において
    重要ではないので
  • 5:48 - 5:51
    脳にはそれを担う固有の場所が
    ないのです
  • 5:51 - 5:54
    ここ15年で どんなことが発見されたと
    思いますか
  • 5:54 - 5:57
    脳には他の人間の心を理解することに
  • 5:57 - 6:02
    特化したネットワークがあります
  • 6:02 - 6:07
    他の人間の考えや感情や
  • 6:07 - 6:10
    意図や計画や野心を理解するためだけの
  • 6:10 - 6:13
    特別なネットワークです
  • 6:13 - 6:17
    さらに このネットワークは
    オフになることがありません
  • 6:17 - 6:20
    永久にオンの状態のままです
  • 6:20 - 6:26
    だから私たちの脳は人間に関することで
    いっぱいなのです
  • 6:26 - 6:30
    こちらの2枚の写真をご覧ください
    何のパターンも見えないでしょう
  • 6:30 - 6:34
    でもひっくり返せば
    誰でもすぐに見えるようになります
  • 6:34 - 6:37
    雲の中に顔があります
    トルティーヤにはキリストが!
  • 6:37 - 6:39
    (笑)
  • 6:39 - 6:42
    目をこらさなくても
    パターンが見えた理由は
  • 6:42 - 6:47
    この特別なネットワークが常に
  • 6:47 - 6:51
    人間の営みや知能を組み込んだ
    パターンを探しているからです
  • 6:51 - 6:54
    このため私がスクリーンに点を載せて
  • 6:54 - 6:56
    特定の動かし方をすると
  • 6:56 - 6:58
    皆さんには即座に
    走ってくる男性が見え
  • 6:58 - 7:00
    その人が女性に変わったりもするのです
  • 7:00 - 7:03
    空を見れば
    そこにはヘラクレスとゼウスがいます
  • 7:03 - 7:06
    幻覚が起きたとき
    聞こえるのは何ですか?
  • 7:06 - 7:10
    人の声です
    汽笛や目覚まし時計は聞こえません
  • 7:10 - 7:14
    聞こえるのは人の話し声です
  • 7:14 - 7:19
    私たちの頭は人間の意図でいっぱいです
    だから下着に爆弾を隠している人のことが
  • 7:19 - 7:23
    気になって仕方がないのです
  • 7:23 - 7:26
    ちなみに年間を通じて
    下着に隠した爆弾による
  • 7:26 - 7:29
    死亡者はゼロです
    (笑)
  • 7:29 - 7:34
    インフルエンザをひどく心配している人は
    いないでしょう
  • 7:34 - 7:39
    インフルエンザによる死亡者は
    年間30万人です
  • 7:40 - 7:42
    すごい数ですよ
  • 7:42 - 7:47
    多くの親は見知らぬ人に
    我が子が車で連れ去られることを
  • 7:47 - 7:49
    心配するわりに
  • 7:49 - 7:52
    子どもがフライドポテトを食べ過ぎるのは
    心配しません
  • 7:52 - 7:56
    しかし見知らぬ人に子どもが誘拐されるのは
    極めて稀なことで
  • 7:56 - 8:02
    ジャンクフードによる肥満は稀どころか
    日に日に珍しくなくなってきています
  • 8:02 - 8:04
    こうした例は 遠くへ行かなくても
    見つかります
  • 8:04 - 8:11
    ここアテネでもアメリカ同様
    航空機のニュースを毎日 耳にするでしょう
  • 8:11 - 8:17
    何らかの謎めいた理由で消息を絶ち
    200人が死亡したというニュースです
  • 8:17 - 8:21
    私はこの航空機のニュースを日に2度
    毎日 何ヶ月間も聞き
  • 8:21 - 8:23
    いまだに週に1度は聞きます
  • 8:23 - 8:27
    ところが私たちの多くは
    同時期に発表された ある別の―
  • 8:27 - 8:32
    大気汚染による死者が2012年
    7百万人だったという記事を見逃しています
  • 8:32 - 8:34
    大惨事ですよ
  • 8:34 - 8:38
    まあね でも航空機の話に戻っちゃうんです
  • 8:38 - 8:42
    航空機の件には人の意図が関わっていて
  • 8:42 - 8:45
    汚染には その気配がないですからね
  • 8:45 - 8:47
    研究実験でも同じことが現れます
  • 8:47 - 8:50
    研究室に協力者を集めて
  • 8:50 - 8:52
    お金に関わるゲームをしてもらいました
  • 8:52 - 8:55
    いいですか
    協力者は他の人間のプレーヤーが
  • 8:55 - 8:58
    自分に対して不正な取引をした場合には
    激怒しますが
  • 8:58 - 9:02
    不正取引をしたのがコンピュータだったら
    気にしないのです
  • 9:02 - 9:05
    心理学の研究で電気ショックを与えると
  • 9:05 - 9:09
    ショックを与えたのが人間の場合は
  • 9:09 - 9:12
    機械の場合より痛いと回答します
  • 9:12 - 9:16
    もしこの飛行機が
    このビルに突っ込んだ理由が
  • 9:16 - 9:18
    落雷だったとしたら
  • 9:18 - 9:22
    会場のどなたも この事件の日付を
    言い当てることはできなかったでしょう
  • 9:22 - 9:25
    しかし アメリカ人全員
    そして多くのヨーロッパ人にとって
  • 9:25 - 9:31
    これはインパクトの強い写真です
    一目で「9月11日」と答えられます
  • 9:31 - 9:37
    地球温暖化には殺意がありません
    そこが残念なところです
  • 9:37 - 9:44
    なぜなら もし地球温暖化が
    ヒゲ面の極悪非道な男の陰謀なら
  • 9:44 - 9:49
    CIAやNSAのような
    国家的な情報機関ができていて
  • 9:49 - 9:55
    明日にでも地球温暖化を止めるべく
    頑張っていたでしょう
  • 9:55 - 10:01
    2つめは私たちが反応する脅威は
    道徳的要素を含んだものだということです
  • 10:01 - 10:06
    人間は社会的な動物です
    他人の心を大いに気にしますが
  • 10:06 - 10:08
    人間は道徳的な動物でもあります
  • 10:08 - 10:11
    実際のところ
    良し悪しや白黒や善悪を
  • 10:11 - 10:17
    非常に気にする唯一の動物です
  • 10:17 - 10:19
    しかし気づいていただきたいのです
    私たちの道徳的な規則と
  • 10:19 - 10:23
    それに違反することについて
    大変興味深いことがあります
  • 10:23 - 10:25
    例として こんな話をしましょう
  • 10:25 - 10:28
    おそらく皆さん全員の
    道徳的規則に違反する話です
  • 10:28 - 10:31
    ジュリーとマークは兄妹です
  • 10:31 - 10:35
    2人は大学の夏休みに
    フランスを旅行中です
  • 10:35 - 10:39
    ある夜 海辺に近い小屋で
    2人っきりになり
  • 10:39 - 10:46
    セックスをしてみたら
    おもしろくて楽しいんじゃないかと思いました
  • 10:46 - 10:50
    少なくとも2人にとって
    新しい経験になります
  • 10:50 - 10:52
    ジュリーは避妊薬を飲んでいましたが
  • 10:52 - 10:56
    念のためマークもコンドームを使いました
  • 10:56 - 11:00
    セックスは楽しめましたが
    もう二度としないと決めました
  • 11:00 - 11:03
    その夜のことは2人の特別な秘密となり
  • 11:03 - 11:06
    それによって2人の仲は一層深まりました
  • 11:06 - 11:08
    さて ここで質問です
  • 11:08 - 11:12
    この話をどう思いますか?
    彼らはセックスして良かったのでしょうか?
  • 11:12 - 11:15
    この質問に何千もの回答がつきましたが
  • 11:15 - 11:18
    今のところ「はい」という回答は
    ありません
  • 11:18 - 11:23
    全員が2人のセックスを
    絶対に間違いだと考えています
  • 11:23 - 11:26
    回答者はその理由を問われました
  • 11:26 - 11:28
    さまざまな回答がありました
  • 11:28 - 11:31
    「だって それはもう
    兄と妹がセックスしたら
  • 11:31 - 11:32
    奇形児ができるじゃない」
  • 11:32 - 11:34
    いや 話を思い出してください
  • 11:34 - 11:36
    彼らは2種類の避妊をしていましたよ
  • 11:36 - 11:38
    子どもはできませんでした
  • 11:38 - 11:42
    「うーん そのせいで彼らは心理的に
    メチャクチャになっちゃうでしょう」
  • 11:42 - 11:45
    いや 彼らはいたって順調だと
    言いましたよね
  • 11:45 - 11:47
    2人にとって それは特別な出来事で
  • 11:47 - 11:50
    2人は以前にも増して仲良くなりました
  • 11:50 - 11:52
    「うーん 法律に違反する」
  • 11:52 - 11:55
    そうですね ただし2人がいた
    フランスでは合法です
  • 11:55 - 11:57
    (笑)
  • 11:57 - 12:00
    皆さんは なぜ悪いか
    いくらでも並べられます
  • 12:00 - 12:02
    私はどれも理由にならないと返せますが
  • 12:02 - 12:05
    皆さんの考えは一切 変わらないでしょう
  • 12:05 - 12:08
    皆さんがこれを悪いと考える理由は
    理由などではないからです
  • 12:08 - 12:10
    それは感情です
  • 12:10 - 12:14
    道徳的な規則違反があると
    私たちは強い感情を覚え
  • 12:14 - 12:16
    行動を起こさざるを得なくなります
  • 12:16 - 12:20
    この話の場合 よく見受けられる感情は
    怒りと嫌悪感です
  • 12:20 - 12:24
    しかし道徳的規則の違反や
    道徳的規則そのものについて
  • 12:24 - 12:26
    あることに注意してください
  • 12:26 - 12:29
    こうした感情の元は
    私たちの祖先が懸念したことと
  • 12:29 - 12:31
    まったく同じである可能性が高いです
  • 12:31 - 12:34
    人類の文化には必ず道徳的規則があり
  • 12:34 - 12:37
    キスしてよい相手や殺してよい相手が
    決まっています
  • 12:37 - 12:40
    しかし人類の文化のどこにも
  • 12:40 - 12:44
    車のエアコンを使ってよいか
    どんな電球を買ったらよいか
  • 12:44 - 12:47
    そんなことを定めた道徳的規則は
    ありません
  • 12:47 - 12:50
    したがって地球温暖化のような問題には
  • 12:50 - 12:53
    道徳的な要素が見当たらないのです
  • 12:53 - 12:56
    確かに心配にはなりますし
    気にもかかります
  • 12:56 - 13:01
    しかし吐き気を催したり
    嫌悪感を抱いたりはしません
  • 13:01 - 13:05
    侮辱されたり
    名誉を傷つけられた感じもしません
  • 13:05 - 13:09
    その結果 私たちは地球温暖化のような
    問題に対して
  • 13:09 - 13:13
    感情がなかなか動かないのです
    それより 私たちの目は
  • 13:13 - 13:16
    同姓婚や国旗を焼く行為など
    地球上の生命にとって
  • 13:16 - 13:19
    重大な他の脅威に向いてしまいます
  • 13:19 - 13:23
    こうした脅威は種を絶滅させる可能性が
    非常に高いですからね
  • 13:23 - 13:25
    (笑)
  • 13:25 - 13:29
    「切迫」
    私たちは差し迫った脅威に反応します
  • 13:29 - 13:34
    もし私がこの男のように
    靴を取って皆さんに投げつけたら
  • 13:34 - 13:38
    ブッシュ大統領と同じことをされるでしょう
  • 13:38 - 13:39
    身をかがめます
  • 13:39 - 13:44
    ブッシュ大統領にできるんですから
    皆さんもきっとできます
  • 13:44 - 13:51
    (笑)
    (拍手)
  • 13:51 - 13:54
    大統領は機敏な方では
    ありませんでしたが
  • 13:54 - 13:57
    ご覧ください
    この身のかわし方の素早いこと
  • 13:57 - 14:02
    その理由は目前の危機から
    身をかわすことが
  • 14:02 - 14:05
    人間の脳の得意とすることだからです
  • 14:05 - 14:10
    実際 この惑星に生まれてから
    最初の数億年の間
  • 14:10 - 14:12
    脳の仕事はそれでした
  • 14:12 - 14:14
    脳は「かわす」専門の重要なマシーンで
  • 14:14 - 14:19
    捕食者から身をかわすことを
    やっていました
  • 14:19 - 14:24
    ここ200万年で 人間の脳は
    ある新しい技を覚えました
  • 14:24 - 14:30
    まだ現れていない脅威から
    身をかわすことを覚えたのです
  • 14:30 - 14:34
    約200万年前 人間の脳は
    新しい国を発見しました
  • 14:34 - 14:39
    「未来」という名の国です
    そこには他の動物は存在しません
  • 14:39 - 14:44
    人類も まったく見たことのなかった国です
  • 14:44 - 14:50
    時間的な先を見通し
    まだ起きてもいないことの
  • 14:50 - 14:53
    結果に反応する能力です
    飛んでくる靴にだけでなく
  • 14:53 - 14:56
    いつか飛んでくるかもしれない靴にも
    反応できます
  • 14:56 - 14:59
    これは実に新しい能力です
  • 14:59 - 15:01
    それは脳の特別な部位と関わっています
  • 15:01 - 15:04
    「前頭葉」という まったく新しい部位です
  • 15:04 - 15:09
    前頭葉は脳の進化において
    最も新しい部位です
  • 15:09 - 15:12
    脳の中で最後に成長が完成する部位です
  • 15:12 - 15:16
    前頭葉が完全に成長するのは
    18~19歳になってからです
  • 15:16 - 15:21
    年を取ると真っ先に衰える部位です
  • 15:21 - 15:23
    前頭葉は とても脆弱な部位ですが
  • 15:23 - 15:26
    前頭葉によって可能になったことも
    とても脆弱です
  • 15:26 - 15:30
    未来について考える能力が
    私たちに備わってから日が浅いため
  • 15:30 - 15:33
    私たちは それが得意ではありません
  • 15:33 - 15:35
    その能力を持たないと―
    つまり前頭葉を損傷したら
  • 15:35 - 15:38
    どうなるか想像してください
  • 15:38 - 15:40
    こちらは心理学者と患者の会話です
  • 15:40 - 15:43
    患者は この重要な領域に損傷があります
  • 15:43 - 15:46
    心理学者の質問は
    皆さんなら誰でも答えられるものですが
  • 15:46 - 15:50
    この患者には
    それが とんでもなく悩ましいのです
  • 15:50 - 15:53
    「明日は何をしますか?」
  • 15:53 - 15:54
    「わかりません」
  • 15:54 - 15:57
    「質問を覚えていますか?」
  • 15:57 - 15:59
    「明日 私が何をするか」
  • 15:59 - 16:03
    「そうです
    それを考えようとした時
  • 16:03 - 16:05
    頭がどういう状態になるか
    教えてくれますか?」
  • 16:05 - 16:10
    「真っ白だね
    眠っているような状態だ
  • 16:10 - 16:13
    何もない部屋の中で
  • 16:13 - 16:16
    椅子を探せと言われるんだけど
  • 16:16 - 16:18
    そこには何もないんだ
  • 16:18 - 16:20
    湖の真ん中で泳いでいるみたいだ
  • 16:20 - 16:24
    支える物も道具も 何もない」
  • 16:24 - 16:27
    永遠の現在に生きるというのは
    こういうことです
  • 16:27 - 16:29
    明日のない現在です
  • 16:29 - 16:33
    人間の脳を調べると
    おもしろいことに気づきます
  • 16:33 - 16:37
    「今」について心配している領域は
    このくらいありますが
  • 16:37 - 16:42
    「今」以外の時について心配している領域は
    このくらいしかありません
  • 16:42 - 16:45
    だから人々に質問すると
  • 16:45 - 16:49
    なにやら筋の通らない答えが
    返ってくるわけです
  • 16:49 - 16:56
    12ヶ月のうちに100ユーロ または
    13ヶ月のうちに200ユーロ 差し上げましょう
  • 16:56 - 17:00
    この提案に ほとんどの人が
    200ユーロを選択します
  • 17:00 - 17:03
    なぜか?金額が倍になるのですから
    1ヶ月待つ価値があります
  • 17:03 - 17:06
    そうでしょう?当然です
  • 17:06 - 17:09
    しかしこの場合をご覧ください
    質問は同じですが
  • 17:09 - 17:13
    今すぐ100ユーロか
    1ヶ月のうちに200ユーロか
  • 17:13 - 17:16
    すると人々は急に待ちきれなくなります
  • 17:16 - 17:18
    「そりゃ今すぐもらえる方がいい」
    なぜか?
  • 17:18 - 17:25
    「今」には特別な力があるのです
    「明日」など目じゃありません
  • 17:25 - 17:31
    地球温暖化にまつわる問題の1つは
    それが後々起きてくるということです
  • 17:31 - 17:36
    最後は「瞬間的」
    私たちは瞬間的な脅威に反応します
  • 17:36 - 17:41
    この揺らめくキャンドルの炎から
    目をそらせる人はいませんよね
  • 17:41 - 17:45
    理由は人間の脳というものが
    変化に大変興味があるからです
  • 17:45 - 17:49
    場所の変化、光の変化、音の変化―
  • 17:49 - 17:53
    大きさの変化、圧力の変化、温度の変化に
    大いに関心があります
  • 17:53 - 17:57
    人間の脳はどんなタイプの変化にも
    気づきますが
  • 17:57 - 18:00
    その変化は速くなければダメです
  • 18:00 - 18:03
    これは静止画ではありません
    動画です
  • 18:03 - 18:06
    今 皆さんが見ているのは動画で
    画面上では
  • 18:06 - 18:10
    実に重大な変化が起きていますが
    見えないでしょう
  • 18:10 - 18:15
    理由はその変化に
    20秒もかかっているからです
  • 18:15 - 18:17
    どこが変化したか気づいた方はいますか?
  • 18:17 - 18:19
    もう一度 再生しますよ
  • 18:19 - 18:21
    先ほどの倍速にしましょう
  • 18:21 - 18:25
    10秒かけて変化するところを
    ご覧いただいています
  • 18:25 - 18:27
    気づいた方がいるようですね
  • 18:27 - 18:32
    もっと高速にしましょう
    5秒で再生してみます
  • 18:32 - 18:36
    最初にお見せしたのと
    まったく同じ変化なのですが
  • 18:36 - 18:41
    ほとんどの方に見えなかったのは
    変化の速度が遅すぎたからです
  • 18:41 - 18:44
    テロが起こす変化は高速です
  • 18:44 - 18:48
    そこにあった建物が
    翌日なくなっていれば
  • 18:48 - 18:50
    脳は気づきます
  • 18:50 - 18:53
    しかし地球温暖化がもたらす変化は
    どれもこれも遅いのです
  • 18:53 - 18:58
    ここ15~20年で
    地球上の水や空気や食べ物の純度は
  • 18:58 - 19:01
    劇的に下がりました
  • 19:01 - 19:05
    しかしその変化は決まって
    日々少しずつなのです
  • 19:05 - 19:09
    私たちの脳は
    そのくらいの遅さで起きる変化を
  • 19:09 - 19:11
    捉えるようには作られていません
  • 19:11 - 19:14
    もちろん私たちは
    環境を大事にしていますよ
  • 19:14 - 19:16
    石油会社が1日のうちに
    千バレルの原油を流出させれば
  • 19:16 - 19:20
    私たちは憤慨します
  • 19:20 - 19:23
    しかし石油会社が毎日1バレルずつ
    千日にわたって流出させたら
  • 19:23 - 19:26
    私たちは気にしません
  • 19:26 - 19:28
    若者たちよ 気をつけたまえ
  • 19:28 - 19:30
    (笑)
  • 19:30 - 19:33
    抜け毛は1本ずつ着々と進むのです
  • 19:33 - 19:37
    (笑)
    (拍手)
  • 19:41 - 19:44
    もし家に鏡がなかったり
    妻がいなかったりしたら
  • 19:44 - 19:46
    私は抜け毛に気づきもしなかったでしょう
  • 19:46 - 19:48
    (笑)
  • 19:48 - 19:49
    重要なのは これです
  • 19:49 - 19:54
    1989年のある朝 私が目覚めて
    鏡の中に
  • 19:54 - 19:57
    このハゲの男がいたら
    悲鳴を上げてますよ
  • 19:57 - 20:01
    医者に駆け込み
    男性用の増毛サロンにも行き
  • 20:01 - 20:03
    「植毛してください」 と言ったでしょう
  • 20:03 - 20:08
    しかし進行があまりにも遅かったため
    私は抜け毛に気づきもしませんでした
  • 20:08 - 20:13
    皮肉なことに人間の脳は
    動きの遅い敵と戦うようには
  • 20:13 - 20:19
    設計されていないのです
  • 20:19 - 20:22
    意図的で不道徳で
    切迫していて瞬間的な脅威は
  • 20:22 - 20:25
    私たちの注意を引き
    私たちは反応します
  • 20:25 - 20:27
    その特徴がない脅威には
    無関心で無反応です
  • 20:27 - 20:30
    地球温暖化は人類の未来にとって
    最大の脅威ですが
  • 20:30 - 20:35
    4つの特性のどれも
    持ち合わせていません
  • 20:35 - 20:39
    人類滅亡は避けられない
    ということでしょうか?
  • 20:39 - 20:41
    我々にできることは何もないのでしょうか?
  • 20:41 - 20:43
    そんなことは ありません
  • 20:43 - 20:47
    自然が設計したわけではない物事で
    人間がやっていることは数多くあります
  • 20:47 - 20:50
    私はここへ飛んできました
  • 20:50 - 20:55
    この哺乳動物がギリシャへ飛ぶなんて
    自然には絶対に想像できません
  • 20:55 - 20:59
    私には代数計算ができます
    交響曲が書けます
  • 20:59 - 21:02
    平和な文明社会で暮らすことができます
  • 21:02 - 21:06
    どれも自然が設計してくれた物では
    ありません
  • 21:06 - 21:11
    私たちは4つの特徴を持たない脅威にも
    反応できるのです
  • 21:11 - 21:16
    ただ それには努力が必要です
    受身の反応ではなく能動的に動くのです
  • 21:16 - 21:19
    まさに それが人間の成し遂げた偉業です
  • 21:19 - 21:23
    スターバックス社の方のご好意で
    同社のカップの側面に
  • 21:23 - 21:26
    文章を書くことになり
    私は考えに考えました
  • 21:26 - 21:29
    おそらく私が書くものの中で
    その文章ほど―
  • 21:29 - 21:31
    重要なものは他にないだろうと
    思ったからです
  • 21:31 - 21:36
    なにしろ その文章は
    何百万もの人の目に触れるのです
  • 21:36 - 21:38
    コーヒーを口にする前の
  • 21:38 - 21:41
    非常に暗示にかかりやすく
    何でも信じてしまう人々です
  • 21:41 - 21:42
    (笑)
  • 21:42 - 21:46
    じっくり考えて
    私はこんな文章を書きました
  • 21:46 - 21:50
    「人間の脳は
    既知の宇宙において唯一
  • 21:50 - 21:55
    自らの未来を予測し
    自らの運を判断できる物体です
  • 21:55 - 21:59
    結果を予見しながらも
    なお私たちには
  • 21:59 - 22:02
    悲惨な決断ができるわけですが
  • 22:02 - 22:06
    これぞ人間の営みがもたらす
    大いなる未解決の謎です
  • 22:06 - 22:09
    自らの手に 自らの運命を収め
  • 22:09 - 22:12
    こぶしを握るのは一体なぜですか?」
  • 22:12 - 22:13
    答えはわかっていますね
  • 22:13 - 22:18
    こぶしを握るのは危険に対する
    紛れもない自然な反応です
  • 22:18 - 22:21
    私たちが救われることが
    あるとしたら
  • 22:21 - 22:25
    それは私たちという動物が
    脅威にさらされた時 脳を使って
  • 22:25 - 22:29
    他の動物にはできないことを
    可能にした場合です
  • 22:29 - 22:32
    握った手を開きましょう
  • 22:32 - 22:33
    ありがとうございました
  • 22:33 - 22:37
    (拍手)
Title:
知ってのとおり、この世は終わり(でも気分は上々)| ダニエル・ギルバート | TEDxAcademy
Description:

科学的な研究が地球温暖化の影響を示しているのに、人々があまり心配していないのはなぜでしょうか。ダニエル・ギルバートは私たちの脳が自然に反応する脅威には意図的、切迫している、不道徳、瞬間的という特徴があり、地球温暖化にはその特徴が1つもないと論じます。私たちが今日直面している脅威を評価するために、私たちは握りこぶしを作るのではなく、手を開くべきなのです。
このビデオはTEDカンファレンスとは独立して運営されるTEDxイベントにおいて収録されたものです。

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Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TEDxTalks
Duration:
22:48

Japanese subtitles

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