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場所、人、時間が真のパブリックアートを創る | ヒメナ・エレゲダ&スティーブン・ウォード | TEDxAnjo

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    (ヒメナ・エレゲダ)(スペイン語)
    こんにちは お元気ですか?
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    (スティーブン・ウォード)
    (英語)こんにちは
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    (スティーブン)
    2人のライフワークの始まりは 22年前
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    ここ 日本からでした
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    お互いの作品に 関わりを持ち
  • 0:31 - 0:34
    次第に 共同制作を始めます
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    (ヒメナ) そして 野外で
    誰でも自由に触れられる—
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    焼き物の作品を
    作るようになりました
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    それは まるで 船を造りながら
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    海を渡っていく
    冒険のようでした
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    (スティーブン)20年前の夏
    市の許可を得て
  • 0:54 - 0:59
    1か月かけて 公共の場に粘土で
  • 0:59 - 1:05
    これぐらいの形を作り
    廃材を使って焼きました
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    製作中 2度の台風に耐え
    完成した作品は
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    「空の広場」と名付けました
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    しかし ある日
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    この作品は 壊されてしまいました
  • 1:24 - 1:28
    (ヒメナ)作品を形作っていた
    3トンの粘土は
  • 1:28 - 1:31
    瓦礫になってしまったのです
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    あまりのショックに
    私は子どもをおぶって
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    市役所の担当者まで
    作品の破片を持っていきました
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    納得できる説明はなかったのですが
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    壊された原因のひとつは
  • 1:44 - 1:49
    場所と人の関係を
    考えなかったからだと気付きました
  • 1:50 - 1:55
    そこで 実際に地域の人と
    コミュニケーションを取りつつ
  • 1:55 - 1:58
    一緒に制作をすることで
  • 1:58 - 2:02
    そこでしか生み出すことの
    できないものを
  • 2:02 - 2:04
    創りたいと思いました
  • 2:05 - 2:08
    (スティーブン)
    この町に作品を残したいという
  • 2:08 - 2:10
    2人の強い思いが届き
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    再び 公共の公園で
    制作する許可をもらいました
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    (ヒメナ)次の作品のテーマは
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    人と人が向き合える場
  • 2:24 - 2:30
    場所 人 作品の3つを
    つなぎ合わせるビジョンです
  • 2:32 - 2:35
    (スティーブン)
    この作品は 公園で制作していたので
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    いろいろな人が声をかけてくれました
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    一緒に粘土やレンガを運び
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    窯焚きも力を合わせたことで
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    作品と人の繋がりができました
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    3年間つくった作品は
    その場所で焼き
  • 2:57 - 3:01
    熱や圧力で岩のようになり
  • 3:02 - 3:06
    ずっとその場所に残り続けます
  • 3:07 - 3:10
    「空と曙の広場」です
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    私たちが なぜこのような
    空間を作ろうと思ったのか
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    (ヒメナ)ベネズエラにある
    石で作られた野外劇場で感じた—
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    さまざまな音の響き
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    (スティーブン)
    アメリカの大木の空洞で経験したー
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    包み込まれるような感覚から
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    インスピレーションを得たからです
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    (ヒメナ)音に包まれる不思議な空間を
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    粘土で表現したくなりました
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    そのインスピレーションに
    鵜や鷹の群れが飛ぶ—
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    田んぼに囲まれた里山が繋がりました
  • 3:49 - 3:55
    遊び ダンス 音楽
    劇と自然が一緒になって
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    新しい表現が生まれる場所
  • 3:58 - 4:01
    焼き物の反響板を持つ野外劇場
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    それが 「山の広場 野外劇場」です
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    (スティーブン)焼き物の歴史は古く
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    26,000年も前から続いています
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    しかし 今回私たちが 挑戦するような
  • 4:21 - 4:25
    巨大な焼き物の前例が ありません
  • 4:27 - 4:30
    ビジョンがクリアになるにつれ
  • 4:30 - 4:36
    自分たちの能力や
    素材の限界に迫ることは
  • 4:36 - 4:41
    構造上も経済的にも 大きなリスクです
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    (ヒメナ)私たちはリスクを承知で
  • 4:44 - 4:50
    代々 窯を作ってきた陶芸家
    建築家 測量士
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    そして 歯医者さんからも
    教わりながら 制作に取り掛かりました
  • 4:58 - 5:00
    (スティーブン)作業をしている所で
  • 5:00 - 5:03
    (ヒメナ)「そこで何してるんですか?
  • 5:03 - 5:07
    反響板 粘土で!
    わあ すごいですね
  • 5:07 - 5:11
    大変そうですね
    いつ完成するんですか?」
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    (スティーブン)
    「まあ 今日明日には終わらないな
  • 5:14 - 5:17
    けど 一緒にやれば早く終わりますよ」
  • 5:18 - 5:21
    こういう時のために
  • 5:21 - 5:24
    軍手はいつも用意してありました
  • 5:24 - 5:25
    (笑)
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    (ヒメナ)「サンキュー」
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    少しずつ一緒に作業する人が増えていき
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    自分たちのビジョンが
    より現実になってきました
  • 5:37 - 5:40
    (スティーブン)(英語)来れる時に
  • 5:40 - 5:43
    (英語)出来ることを
  • 5:43 - 5:47
    来れる時に 出来ることを
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    バケツリレーで粘土を運んでる人
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    (ヒメナ)粘土をこねてる人
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    (スティーブン)おにぎりつくってる人
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    (ヒメナ)
    何もしないでずっと喋ってる人
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    (スティーブン)大きな葉っぱを傘にして
    走り回ってる子どもたち
  • 6:02 - 6:05
    (ヒメナ)すでに劇が始まってます
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    多くの人が参加する中で
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    出会いや別れ 時には対立もありました
  • 6:12 - 6:18
    ある時 台風で 30トン
    積み上げていた反響板から
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    7トンが崩れる出来事がありました
  • 6:21 - 6:25
    より早く直そうと
    工場のラインのようなやり方を
  • 6:25 - 6:28
    押しつけてきた人がいましたが
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    多くの人は機械的な作業に反対でした
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    (スティーブン)何故なら 土と関わり
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    その場でしか出来ない時間を
    体験するために
  • 6:42 - 6:46
    参加したい人が多かったからです
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    ただ早くできればいい と考えている人は
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    ほとんどいませんでした
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    (ヒメナ)ようやく窯を作る段階
  • 6:57 - 7:03
    ひとつ 28キロのレンガを
    積み重ねて窯を作ります
  • 7:03 - 7:09
    5メートルの高さまで熱が
    逃げないように 組み上げていきます
  • 7:09 - 7:13
    それはまさに 200トンのパズルです
  • 7:14 - 7:19
    ここまで来るのに すでに
    周りの田んぼの稲刈りを
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    14回も見てしまいました
  • 7:22 - 7:26
    終わりが見えない 延々と続く労働の中
  • 7:26 - 7:30
    ビジョンを失ってしまいそうでした
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    同時に この時期は
    仲間が あまり集まりませんでした
  • 7:36 - 7:40
    休みの日に レンガ運びたい人って
    いないでしょ?
  • 7:40 - 7:41
    (笑)
  • 7:41 - 7:44
    (スティーブン) あれ?
    (ヒメナ)あ! いるかもしれない
  • 7:44 - 7:45
    いるかな?
  • 7:45 - 7:46
    (笑)
  • 7:46 - 7:50
    それでもまた覗きに来る人もいました
  • 7:51 - 7:53
    (スティーブン)
    「まだ終わってないの?」
  • 7:53 - 7:55
    (ヒメナ)「軍手ならありますよ」
  • 7:55 - 7:57
    (スティーブン)「お! サンキュー」
  • 7:57 - 7:59
    (笑)
  • 7:59 - 8:03
    (ヒメナ)こうして いよいよ
    窯が完成しました
  • 8:03 - 8:09
    粘土は 高い温度で焼かれると 石になり
    二度と土へは戻りません
  • 8:10 - 8:12
    この反響板を焼き固めるには
  • 8:12 - 8:16
    40日かけて 1,200度上がるまで
  • 8:16 - 8:19
    焼き続ける必要がありました
  • 8:20 - 8:24
    窯焚きは一発勝負
    失敗は許されません
  • 8:25 - 8:29
    もしも 焼いている途中で爆発したら?
  • 8:29 - 8:31
    うまく温度が上がらなかったら?
  • 8:32 - 8:35
    今までビジョンを共にしてきた人たち
  • 8:35 - 8:40
    そして 自分たちが費やした
    資金や時間を考えると
  • 8:40 - 8:43
    不安で落ち着きませんでした
  • 8:44 - 8:48
    (スティーブン)
    40日間の窯焚きはマラソンです
  • 8:48 - 8:54
    火を入れて 最初は
    音楽で言う「モデラート」
  • 8:54 - 8:58
    低温をじっくりキープします
  • 8:58 - 9:04
    そして 窯の温度はだんだん
    アレグロのように速く上げていき
  • 9:05 - 9:08
    最後には全力で熱し上げます
  • 9:09 - 9:13
    キャンプ生活しながら
    無心に焚き続けました
  • 9:15 - 9:20
    連日の寝不足で — ふぅ!
    みんな 頭がおかしくなりそう
  • 9:20 - 9:24
    というか 実際におかしくなりました
  • 9:24 - 9:25
    (笑)
  • 9:25 - 9:31
    (ヒメナ)そして最後に
    一本の赤松を投げ入れ 窯焚きは終了
  • 9:32 - 9:35
    本当に上手く焼けているかどうかは
  • 9:35 - 9:40
    さらに冷めるまで
    40日間 待たなければなりません
  • 9:41 - 9:46
    2年の試作 3年の反響板 10年の窯
  • 9:46 - 9:50
    そして 1年をかけて窯を解体すると
  • 9:51 - 9:54
    蛹から蝶が羽ばたくように
  • 9:54 - 9:58
    オカリナのような反響板が
    姿を現しました
  • 10:00 - 10:03
    (スティーブン)
    「山の広場 野外劇場」は当初
  • 10:03 - 10:07
    完成には2年を予定していましたが
  • 10:07 - 10:11
    結局16年もかかってしまいました
  • 10:13 - 10:18
    時には 想定外だからこそ
    達成できることもあります
  • 10:20 - 10:25
    (ヒメナ)このプロジェクトに関わった
    のべ2,000人もの人びと
  • 10:25 - 10:30
    それぞれが 自分なりに劇場の
    イメージを持ってたでしょう
  • 10:30 - 10:34
    しかし ビジョンは
    単なるイメージとは違います
  • 10:35 - 10:37
    ビジョンは未来を創る力です
  • 10:38 - 10:44
    その力で 3つの可能性をつなぎ合わせ
    このプロジェクトは実現しました
  • 10:45 - 10:49
    (スティーブン)
    場所の可能性 そこだから出来る
  • 10:49 - 10:52
    (ヒメナ)人の可能性
    誰にでも出来ることがある
  • 10:53 - 10:57
    (スティーブン)時間の可能性
    時間をかければ出来る
  • 10:57 - 11:03
    この里山に人が集まり 劇場が完成し
  • 11:04 - 11:07
    新しい表現が生まれることで
  • 11:08 - 11:11
    生きた場所に生まれ変わりました
  • 11:12 - 11:16
    それは 私たちが目指したビジョン
    そのものでした
  • 11:18 - 11:22
    (ヒメナ)(英語)人のために
    人が創った場所
  • 11:22 - 11:25
    人のために 人が創った場所
  • 11:28 - 11:31
    (音楽)
  • 12:01 - 12:04
    (音楽終わり)
  • 12:08 - 12:10
    (ヒメナ) この巨大な反響板は
  • 12:10 - 12:15
    空から見ると 小石のようにしか 映りません
  • 12:15 - 12:21
    しかし その小石に 造った
    みんなの手の跡が確かに残り
  • 12:21 - 12:26
    この経験を通して生まれた
    一人ひとりの思いが
  • 12:26 - 12:30
    これからも新たな物語を
    紡ぎ出していくでしょう
  • 12:30 - 12:34
    みなさんも 自分の持っている
    ビジョンに向かって
  • 12:34 - 12:38
    自分の船をひとりで漕ぐもよし
  • 12:38 - 12:40
    (スティーブン)
    みんなで協力して漕ぐもよし
  • 12:40 - 12:43
    (ヒメナ) さあ 新たな物語を
  • 12:43 - 12:45
    (ヒメナ&スティーブン)
    創る冒険を始めましょう!
  • 12:45 - 12:49
    (ヒメナ)(英語)ありがとうございます
    (スティーブン)(スペイン語)ありがとう
  • 12:49 - 12:51
    (拍手)
Title:
場所、人、時間が真のパブリックアートを創る | ヒメナ・エレゲダ&スティーブン・ウォード | TEDxAnjo
Description:

人と共に在るためには労力が必要です。日本で出会って22年、ヒメナとスティーブンはそれぞれのアーティストとしての核を真正面から互いに尊重しあうことで、一緒にビジョンを拡大させてきました。彼らが追求してきたのはパブリックアートの本当の意義。それを陶芸作品で表現することにこだわり続けた結果、彼らはついにその答えに辿り着きます。

このビデオは、TEDカンファレンスの形式で地元コミュニティが独自に運営するTEDxイベントにおいて収録されたものです。詳しくは http://ted.com/tedx をご覧ください。

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Video Language:
Japanese
Team:
closed TED
Project:
TEDxTalks
Duration:
12:54

Japanese subtitles

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