エル・アナツイ ： 言語と記号 / 【独占】 / Art21

エピソード165: 日本、葉山にある現代美術館にて2011に撮影。エル・アナツイが彼の作品における言葉や記号の役割について語っている。『グリ』（2010）のように、作品に名前をつける際アナツイはよく彼の母国語であるエウェを使用する。というのも、エウェの言葉は発音の仕方によって様々な意味になりうるからだ。アナツイはまた、アディンクラ・シンボルと呼ばれる、真理的概念を具体的に象徴する西アフリカの抽象的な記号システムを発見した経験を語っている。

木や粘土や金属、要らなくなった酒容器の金属キャップなどを使用し、エル・アナツイはアフリカとヨーロッパの抽象芸術の歴史に視覚的に触れながら、固定された形に執着する従来の彫刻家の壁を破っている。モノの日常的なあり方や視覚的シンボルの解読における言語の役割を探りながら、アナツイの作品は、廃棄されたモノが歴史を語るなかで、植民地時代そしてその後の経済・文化交流の物語を広く追跡している。

更にアナツイについて知りたい方は：
http://www.art21.org/artists/el-anatsui

CREDITS: Producer: Ian Forster. Consulting Producer: Wesley Miller & Nick Ravich. Interview: Susan Sollins. Camera: Takahisa Araki & Joel Shapiro. Sound: Steve Bores. Editor: Morgan Riles. Artwork Courtesy: El Anatsui & Museum for African Art. Special Thanks: Lisa Binder, The Museum of Modern Art, Hayama, Japan, Jack Shainman Gallery & Wellesley College. Theme Music: Peter Foley.

[金属の薄片が風になびいてお互いに当たりあっている音]

もっといろんな言葉を話せたらいいなと思う

ひとつひとつの言語は完全な窓だからね

新しい窓だ

たまに言語をあまり知らないことを残念に思うよ

もっといろんな窓が開いてくれたら最高だね

作品名を自分の言語　エウェでつけることがあるんだけど

私の言語には　意味がいくつもある言葉があるんだ

少しのトーンの変化で　『グリ』という言葉は

いろんな意味になりうる

『グリ』は『壁』

同じ綴りで『物語』

『破壊』という意味

『噴火』という意味にもなる

というような感じだ

私が使う言葉はよくいろんな意味を持つけど

英語ではもうちょっと特定される

私は変動性という考え方で作品を作っているし

あるいは不特定だね　
だから言葉で伝えたくないんだ

言葉で伝え　背景を与えることで

意味の広がりを妨げるから

背景なしにしておきたいんだ

どんな解釈もできるように

私の仕事を始めるきっかけとなった伝統は

このようなシンボルの集合なんだ

アディンクラ・シンボルといってね

『アディンクラ』はさよならを言うという意味

実はこの一連の記号やシンボルは

織物に印刷されているんだ

図書館で何冊か本を読んだけど

アフリカにはアートがないと書かれていたり

アフリカのアートは抽象的でないと書いてあった

そしてこれらの記号を見たわけだ

抽象的な考えを要約しようとしたのがはっきりわかる

神の唯一性や統一性など

感銘を受けた私は　5年以上もこれらの記号と向き合ったよ

学校を終えたあとでね

ヨーロッパでは皆美術館に行って

先祖の芸術作品を見るように

これは私が発見した自分の美術館なんだ