関節置換術のバイオな未来像
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0:01 - 0:03まず私自身の話から
始めましょう -
0:03 - 0:05大学時代に
サッカーをしていて -
0:05 - 0:08膝関節半月板を
断裂しました -
0:08 - 0:11それから前十字靭帯を
断裂してしまい -
0:11 - 0:13さらに膝関節炎になりました
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0:13 - 0:16同じ体験をされた方も
多数いらっしゃると思います -
0:16 - 0:18ちなみに私が結婚した
女性にも -
0:18 - 0:21全く同じ経験がありました
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0:21 - 0:24これが 私が整形外科医に
なった動機です -
0:24 - 0:27制限なしでスポーツを
続けることができるような -
0:27 - 0:30問題解決に集中したいと
思ったのです -
0:31 - 0:34この点について もっとよく
ご理解いただくために -
0:34 - 0:37ビデオを用意しました
ご覧ください -
0:37 - 0:40(ナレーション) 癌の危険性は
もはや周知の事実である -
0:40 - 0:41しかし 癌を上回る数の人々に
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0:41 - 0:44影響を及ぼす病気がある ―
関節炎だ -
0:44 - 0:46癌は命を奪うかもしれない
しかし数字上では -
0:46 - 0:49関節炎に悩まされる患者の方が
多いのである -
0:49 - 0:51長生きをした場合
実に二人に一人の確率で -
0:51 - 0:53関節炎を患う可能性がある
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0:53 - 0:55しかも加齢だけが
関節炎の原因ではない -
0:55 - 0:58日常の怪我からくる痛みが
数十年も続いたのち -
0:58 - 1:01ついに関節が
動かなくなってしまう -
1:01 - 1:03解決策を求めて
工学へと目を向け -
1:03 - 1:05磨耗した部位を
置換するための -
1:05 - 1:07人工素材が開発された
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1:07 - 1:09しかし 人工器官を
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1:09 - 1:11諸手を挙げて受け入れる
現在の風潮を見直し -
1:11 - 1:15もっと自然で優れた方法を
探すべきではないのだろうか? -
1:16 - 1:18他の選択肢を
考えてみよう -
1:19 - 1:21体が必要とする
置換部位が 全て -
1:21 - 1:23自然の中や
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1:23 - 1:25自身の幹細胞中に
既に存在するとしたら? -
1:25 - 1:27これが 磨耗した部位を
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1:27 - 1:30新しい自然のものと入れ替える
生物学的置換術なのである -
1:30 - 1:32(講演者) さて 生物学的治療とは
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1:32 - 1:34どのようなものでしょう
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1:34 - 1:36まず 私が妻や他の
何百人もの患者を -
1:36 - 1:38治療した方法から
お話しましょう -
1:38 - 1:40妻をはじめとして
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1:40 - 1:4240代‐80代の患者から
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1:42 - 1:44よく聞く質問として
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1:44 - 1:46次のようなものがあります
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1:46 - 1:49「先生 膝に入れる
緩衝材はないんですか? -
1:49 - 1:51人工関節には
まだ躊躇してるんです」 -
1:51 - 1:53なので妻にはヒトから
供与された半月板を -
1:53 - 1:55膝関節腔に移植しました
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1:55 - 1:58同種移植により
失われた半月板を補うのです -
1:58 - 1:59不安定な靭帯部分には
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1:59 - 2:01膝を安定させる目的で
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2:01 - 2:03ヒトから供与された
靭帯を用いました -
2:03 - 2:06関節表面が損なわれた
関節炎には -
2:06 - 2:08関節軟骨面を再生させ
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2:08 - 2:10表面を円滑化するために
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2:10 - 2:13私たちが1991年に開発した
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2:13 - 2:16幹細胞ペースト移植を
行いました -
2:16 - 2:19左が術前の妻の
損傷した膝の写真 -
2:19 - 2:21右が手術4ヵ月後 アスペンで
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2:21 - 2:23快適にハイキングする妻です
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2:23 - 2:26妻に限らず 他の患者にも
効果がありました -
2:26 - 2:29このビデオのジェン・フダックは
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2:29 - 2:31アスペン・スーパーパイプで
優勝しましたが -
2:31 - 2:34これは膝を怪我した
ほんの9ヵ月後のことです -
2:34 - 2:35写真でご覧いただけるように
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2:35 - 2:37膝にはペースト移植が
施されています -
2:37 - 2:41生物学的な表面再生が
可能なのです -
2:42 - 2:44このような成功例がありながら
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2:44 - 2:46なぜこれで十分で
ないのでしょうか -
2:46 - 2:50それは ドナーが
少ないからです -
2:50 - 2:52若い健康な人々が
バイク事故に逢い -
2:52 - 2:55我々に組織を
提供してくれる機会は -
2:55 - 2:56そうそうありません
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2:56 - 2:59しかも組織は
非常に高価です -
2:59 - 3:01従って生体組織移植は
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3:01 - 3:05あまり大々的に使える
解決策でありません -
3:05 - 3:06しかし 動物組織は
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3:06 - 3:09豊富にあり安価なため
解決策になりえます -
3:09 - 3:11しかも若い 健康な組織を
入手できます -
3:11 - 3:14しかし ここには免疫学的な
障壁があります -
3:14 - 3:17ガラクトシルまたは
ギャルエピトープと呼ばれる -
3:17 - 3:18特定のエピトープが
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3:18 - 3:20この障壁となっているのです
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3:20 - 3:22もし動物の組織を
人間に移植するのであれば -
3:22 - 3:25エピトープの除去法を
考えなくてはなりません -
3:25 - 3:27私は 動物組織の研究を
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3:27 - 3:291984年にスタートしましたが
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3:29 - 3:30最初は牛の
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3:30 - 3:33アキレス腱から始めました
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3:33 - 3:35タイプ I コラーゲンが
主成分である -
3:35 - 3:37牛アキレス腱を
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3:37 - 3:39酸と界面活性剤を
用いて洗浄し -
3:39 - 3:41抗原を分解して除きます
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3:41 - 3:44それを使って
再生テンプレートを作成します -
3:44 - 3:47その再生テンプレートを
患者の膝に -
3:47 - 3:49挿入することにより
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3:49 - 3:52失われた半月板軟骨を
再生させるのです -
3:52 - 3:54この方法により 世界中で
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3:54 - 3:574千件を越える手術が
行われました -
3:57 - 3:59これはFDA認可を受け
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3:59 - 4:02世界的に受け入れられている
半月板再生法です -
4:02 - 4:04組織を分解できる(軟骨の)場合には
これで大丈夫です -
4:04 - 4:08では 無傷の靭帯が
必要なときはどうでしょう -
4:08 - 4:10ミキサーは使えません
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4:10 - 4:12そういった場合のために―
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4:12 - 4:15私はウリ・ガリリと
トム・テューレックと共に -
4:15 - 4:17このガラクトシルエピトープを
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4:17 - 4:19特定の酵素を用い
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4:19 - 4:21酵素洗浄で取り除く方法を
開発しました -
4:21 - 4:23酵素洗浄で取り除く方法を
開発しました -
4:23 - 4:26「ギャルストリップ」テクニックです
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4:26 - 4:28組織をヒト化したのです
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4:28 - 4:30ギャルをストリップすることで
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4:30 - 4:32組織を人間化したのです (笑)
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4:32 - 4:34その後 患者の膝に
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4:34 - 4:36戻すことが可能になります
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4:37 - 4:39その方法で現在では
ブタ靭帯を使って -
4:39 - 4:41若く 健康で 大きな組織を
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4:41 - 4:44FDA認可臨床試験として
10名に移植しました -
4:44 - 4:47被験者の1人が
カナダ滑降マスターズ大会で -
4:47 - 4:49術後 3回の優勝に
輝きました ― -
4:49 - 4:52「ブタ靱帯に乗って」と本人の言です
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4:52 - 4:55同じような臨床試験が
現在実施待ちです -
4:57 - 4:59では この次の段階は
どうなるでしょう -
4:59 - 5:01部分的だけでなく
生物学的な -
5:01 - 5:03全膝関節置換術の
実施がどうなるのか -
5:03 - 5:05人工関節に替わる
革命は起こるのか -
5:05 - 5:08私たちの取り組みを
ご説明しますと -
5:08 - 5:10若い健康なブタから
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5:10 - 5:13関節軟骨を取り出し
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5:13 - 5:15その抗原を取り除き
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5:15 - 5:18患者の幹細胞とあわせ
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5:18 - 5:21炎症のある膝の関節表面に
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5:21 - 5:23移植します
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5:23 - 5:25これが回復すれば
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5:25 - 5:27患者の膝に新しい
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5:27 - 5:31生物学的表面が
作られるのです -
5:33 - 5:36これが現在の
生物学的アプローチです -
5:36 - 5:39部品を使って
膝を作り直す -
5:39 - 5:42完全に新しい表面で
膝を舗装し直すのです -
5:42 - 5:45また 動物界は4億年にも及ぶ
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5:45 - 5:48歩行の歴史があります
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5:48 - 5:49その恩恵も
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5:49 - 5:51享受することが出来ます
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5:51 - 5:53皆さんの怪我をした関節や
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5:53 - 5:5540歳・50歳・60歳の関節より
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5:55 - 5:57もっと厚く 若く優れた組織を
使う事が可能です -
5:57 - 6:00この処置は 外来で
受けることが可能です -
6:00 - 6:03また 準備にかかるコストは
非常に安価です -
6:03 - 6:05こういった理由で
生物学的膝関節置換術の -
6:05 - 6:07世界的普及が
現実的だといえるのです -
6:07 - 6:10さあ スーパー生物材料の
世界にようこそ -
6:10 - 6:12これは ハードウェアではありません
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6:12 - 6:15これは ソフトウェアでもありません
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6:15 - 6:16バイオウェアです
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6:16 - 6:20あなた自身の新バージョンです
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6:20 - 6:22まもなく公開予定です
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6:22 - 6:24(笑)
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6:24 - 6:26最寄の手術室でどうぞ
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6:26 - 6:28ありがとうございました
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6:28 - 6:30(拍手)
- Title:
- 関節置換術のバイオな未来像
- Speaker:
- ケビン・ストーン
- Description:
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関節炎や怪我など、非常に多くの人々が関節の故障を抱えています。しかし、生体組織を使う最高の治療を享受している人はほとんどいません。ヒト間の同種移植に要する高額費用やドナー不足を回避できる、動物組織を使用した新しい治療法をケビン・ストーンが紹介します。
- Video Language:
- English
- Team:
- closed TED
- Project:
- TEDTalks
- Duration:
- 06:31
Yasushi Aoki edited Japanese subtitles for The bio-future of joint replacement | ||
Yasushi Aoki edited Japanese subtitles for The bio-future of joint replacement | ||
Yasushi Aoki edited Japanese subtitles for The bio-future of joint replacement | ||
Yasushi Aoki edited Japanese subtitles for The bio-future of joint replacement | ||
Jun Funds added a translation |