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プレイヤーがミスを受け入れる意義 | Game Maker's Toolkit

  • 0:03 - 0:08
    『Elder Scrolls 2: Daggerfall』の説明書の中で
    ベセスダはこんなメッセージを書いて―
  • 0:08 - 0:12
    「セーブ地点からやり直す戦略」を
    避けるように勧めている
  • 0:12 - 0:17
    「ほとんどのゲーマーは、自分の実力を
    最大化するためにセーブデータを使います」
  • 0:17 - 0:22
    「何か問題が発生すると、セーブ地点に戻って
    上手くいくまでやり直すというものです」
  • 0:22 - 0:27
    「ゲームを最終的に振り返ってみると、幸運と
    完璧な選択が延々と続いているかのように見えます」
  • 0:27 - 0:30
    「しかし RPG は完璧にプレイすることが
    目的ではありません」
  • 0:30 - 0:33
    「キャラを作り、物語を生み出すことが
    目的なのです」
  • 0:33 - 0:39
    「実際、過ちを経験しない限り、ゲームの最も
    面白い部分に触れることは決してないでしょう」
  • 0:39 - 0:44
    「キャラクターが死亡した場合は、是非とも
    セーブ地点に戻ってやり直して下さい」
  • 0:44 - 0:50
    「しかしスリに遭ったり、クエストが失敗したり
    その他のありふれた災難が発生した場合は―」
  • 0:50 - 0:52
    「そのまま続けて下さい」
  • 0:52 - 0:55
    「次の展開に驚くかもしれません」
  • 0:55 - 0:59
    この文章は「セーブ厨(リセット厨)」に対する
    立派な態度だ
  • 0:59 - 1:03
    これは前のセーブファイルに戻る術のことで
    ステルスゲームで発見されたり―
  • 1:03 - 1:09
    RPG で最愛のキャラを失ったり
    乱数で不運な結果が出たりした瞬間に使われる
  • 1:09 - 1:14
    単純に失敗を取り消したり、不運な出来事を
    リセットしたくなる衝動に駆られるが
  • 1:14 - 1:16
    ベセスダが言うように
    そんなことをすれば―
  • 1:16 - 1:21
    ゲームが提供する「最高の体験談」を
    逃してしまうかもしれない
  • 1:21 - 1:25
    例えば、あと少しで死にそうだったけど
    逆転して勝利したとか
  • 1:25 - 1:29
    見張りが慌てて警報を鳴らす直前に殺したとか
  • 1:29 - 1:33
    隠密行動で大失敗したときに
    ドキドキしながら撤収したとか
  • 1:33 - 1:38
    お気に入りのキャラを失いながら、悲しみの中で
    ストーリーを進めなければならないとか
  • 1:38 - 1:41
    そしてそれは
    素晴らしい感情だ
  • 1:41 - 1:45
    しかし結局のところ、こういうことを
    説明書に書いても意味がない
  • 1:45 - 1:49
    プレイヤーにこういう体験をさせたいという
    意図があるなら―
  • 1:49 - 1:51
    それをゲーム自体に
    組み込む必要があるのだ
  • 1:51 - 1:54
    では、どうすれば
    逆境の中であっても―
  • 1:54 - 1:57
    セーブ地点に戻ろうと思わないような
    ゲームを作れるのだろうか?
  • 1:57 - 2:02
    過去のミスや失敗、挫折を
    乗り越えることが実際に奨励され
  • 2:02 - 2:07
    そうすることで、作品の最も面白い側面を
    垣間見れるようなゲームは作れるのか?
  • 2:07 - 2:12
    まぁ、いくつかのゲームでは
    挫折感を許容範囲内にすることが戦略だ
  • 2:12 - 2:17
    前のセーブ地点に戻ったほうがマシなほどの
    致命的な損害を与えないようにするのだ
  • 2:17 - 2:21
    そのための 1つの方法が、非常に広い
    「失敗の幅」を用意することだ
  • 2:21 - 2:26
    これは『Gunpoint』や『Heat Signature』を開発した
    Tom Francis が考案した言葉で
  • 2:26 - 2:30
    完璧な成功から完全な失敗までの
    状態の範囲を表している
  • 2:30 - 2:35
    例えば『XCOM』を考えてみてくれ
    全キャラが生存したまま任務遂行することもあれば
  • 2:35 - 2:38
    ヘマをやって、負傷した兵を
    2人連れて退却したり
  • 2:39 - 2:41
    全員死亡したまま
    帰還したりすることもある
  • 2:41 - 2:47
    大抵のゲームには「失敗の幅」があるが
    中には他よりもずっと寛容なものもある
  • 2:47 - 2:52
    Tom は例として、オープンワールドのステルスゲーム
    『メタルギアソリッド V』を挙げている
  • 2:52 - 2:58
    本作には非常に幅広い状態がある
    潜伏中のスネークから… 死んだスネークまで
  • 2:58 - 3:02
    歩哨はプレイヤーを目撃しても
    すぐには発砲しない
  • 3:02 - 3:04
    もっと詳しく調べに来るだけだ
  • 3:04 - 3:08
    見つかった場合は
    スローモーションの反射モードに入って
  • 3:08 - 3:11
    その歩哨をヘッドショットする機会が
    与えられる
  • 3:11 - 3:15
    ここでミスっても、歩哨は手動で
    支援を呼ぼうとするので
  • 3:15 - 3:17
    それを阻止する機会が得られる
  • 3:17 - 3:20
    こんなにやった後でも、スネークは逃げ去って
    また潜伏に戻ったり
  • 3:20 - 3:22
    戦闘したりできるし
  • 3:22 - 3:26
    あるいはヘリを呼ぶことで、「偵察」という
    メタルギアの標語にドロップキックして
  • 3:26 - 3:28
    海にブッ飛ばすことさえできる
  • 3:28 - 3:32
    この全てをしくじった場合は
    死ぬしかない
  • 3:32 - 3:34
    だから「失敗の幅」が
    非常に広くなっていて―
  • 3:34 - 3:40
    「目撃されず任務完了」と「戦場で血まみれ」の間には
    あらゆる状態があるのだ
  • 3:40 - 3:44
    つまり災難が起きても、それは
    リセットするほど過酷なものではなく
  • 3:44 - 3:47
    状況が少しずつ
    悪化していくだけなのだ
  • 3:47 - 3:52
    しかし「失敗の幅」の要点は
    多くの場合「元に戻せること」にある
  • 3:52 - 3:54
    上手にプレイすれば
    実際に状況を好転させて
  • 3:54 - 3:58
    最終的なゲームクリアへ向かって
    這い戻ることができる
  • 3:58 - 4:01
    これは『Far Cry 2』の
    大きな特徴だ
  • 4:01 - 4:03
    本作も「失敗の幅」が広いゲームだ
  • 4:03 - 4:07
    デカイ体力ゲージや、大量の回復注射器
    そして仲間システムのおかげだ
  • 4:07 - 4:11
    仲間の救助によって死んだ後でも
    もう 1 回だけプレイする機会が得られるのだ
  • 4:11 - 4:14
    また常に逆境に直面するゲームでもある
  • 4:14 - 4:17
    戦闘中に銃が
    詰まるかもしれない
  • 4:17 - 4:21
    前哨基地をこっそり通過する際に
    マラリアに感染するかもしれない
  • 4:21 - 4:25
    あるいは、逃走中に車が
    故障するかもしれない
  • 4:25 - 4:28
    だがこうした逆境は
    本当に重要な目的を果たす
  • 4:28 - 4:33
    2009年の GDC 講演で開発者の
    Clint Hocking がそれを説明した
  • 4:33 - 4:37
    元々、彼は『Far Cry 2』を
    「意図的な行動」が重要なゲームにしたかった
  • 4:37 - 4:40
    これを実現するために
    ゲームを 2つの局面に分割した
  • 4:40 - 4:44
    計画の局面では、現場を調査し
    気になるアイテムを探し
  • 4:44 - 4:47
    見張りの巡回パターンを観察して
    逃げ道を計画する
  • 4:47 - 4:51
    それから、計画を実際に行う
    実行局面がある
  • 4:51 - 4:57
    だが開発者は、プレイヤーの計画が
    完全に成功したり完全に失敗したりすることは望まず
  • 4:57 - 5:04
    むしろ、実行局面から計画局面に戻るような
    小さな挫折を経験してもらいたいと考えた
  • 5:04 - 5:08
    Clint はこうしたゲーム性を
    「即興性(臨機応変)」と表現する
  • 5:08 - 5:12
    これは計画と実行の間を
    絶えず行き来するというアイデアだが
  • 5:12 - 5:14
    連続した通しプレイの中で行われる
  • 5:14 - 5:18
    そしてプレイヤーに失敗や不運を
    経験させることには利点がもう 1つある
  • 5:18 - 5:23
    というのも、逆境に苦しむことによって
    刺激的かつ活発的に目標を変えて―
  • 5:23 - 5:26
    勝利へ向かって再び
    努力することができるからだ
  • 5:26 - 5:30
    例えば FPS で大量のダメージを受けて
    戦闘から離れなければならない場合―
  • 5:30 - 5:33
    陰に隠れたり
    体力パックを見つけたり
  • 5:33 - 5:35
    医療キットを作成したりする
  • 5:35 - 5:39
    またステルスゲームで発見されると
    逃げて隠れるか
  • 5:39 - 5:44
    または潜伏を諦めて、昔ながらのやり方で
    敵と戦わなければならない
  • 5:44 - 5:49
    そしてこれは、攻略に支障をきたしてプレイヤーが
    リセットした場合は機能しなくなってしまう
  • 5:49 - 5:53
    これが起きる可能性を減らすために
    Clint はこうした逆境を―
  • 5:53 - 5:56
    小さく、予測不可能で、回復できるものにした
  • 5:56 - 6:00
    マラリアの発作や、銃の弾詰まりなどは
    計画を台無しにするかもしれないが
  • 6:00 - 6:04
    リセットする理由としてはあまりにも些細だし
    軌道修正するのも簡単で
  • 6:04 - 6:06
    大抵は、いつ発生するのか
    全く予測できないものだ
  • 6:07 - 6:10
    「損失が小さくて予測できないからこそ―」
  • 6:10 - 6:14
    「プレイヤーは損失を避けるためのリセットを
    しようとしないのです」と Clint は述べる
  • 6:14 - 6:20
    ところで、完璧なプレイに報酬があったり
    失敗に罰があったりしたら
  • 6:20 - 6:22
    これら全ては崩れ去ってしまう
  • 6:22 - 6:26
    ステルスゲームの「一度も発見されなかった」とかいう
    無意味なランクや実績は大丈夫だ
  • 6:26 - 6:28
    これは上手なプレイヤーにとっては
    憧れの報酬だ
  • 6:28 - 6:32
    しかしミスったことで、後々ゲームが
    極めて難しくなるのであれば
  • 6:33 - 6:37
    プレイヤーが失敗した瞬間に
    リセットするのは当然だ
  • 6:37 - 6:42
    『XCOM』に話を戻すと、兵士を失って
    死傷者を出すと―
  • 6:42 - 6:47
    貧弱な新人を採用せざるを得なくなり
    今後の任務をクリアする可能性が低くなって―
  • 6:47 - 6:50
    死と失敗の厄介な悪循環が発生する
  • 6:50 - 6:55
    だからお気に入りのキャラを生かしておくために
    セーブ連打に頼るゲーマーがいるのも不思議ではない
  • 6:55 - 6:57
    そうしないと
    あまりにもキツすぎる
  • 6:57 - 7:02
    恐らくやり方としては、失敗を成功と同じくらい
    面白いものにする方が好ましい
  • 7:02 - 7:05
    『Shadow of Mordor』で
    オークの隊長に殺されると
  • 7:05 - 7:09
    そいつは殺したことを覚えてるので
    次に会ったときにその話を持ち出してくる
  • 7:09 - 7:15
    だからノーミスのプレイに戦術的な利益が無く
    不完全なプレイに有意義な結果があれば―
  • 7:15 - 7:18
    プレイヤーは自然な形で
    失敗を経験して
  • 7:18 - 7:21
    出来事がありのままに進むことを
    望むだろう
  • 7:21 - 7:24
    もちろん、この問題を解決する
    一番簡単な方法は
  • 7:24 - 7:27
    単純に、前のセーブをリロードする機能を
    削除することだ
  • 7:28 - 7:32
    『Darkest Dungeon』では、セーブは常に
    上書き保存されるので
  • 7:32 - 7:35
    ミスを巻き戻すのは
    不可能に近い
  • 7:35 - 7:37
    開発した Redhook Studios がこうしたのは
    2つの理由がある
  • 7:37 - 7:43
    1つは誤った判断や、不快なランダム性を
    受け入れてもらうためだ
  • 7:43 - 7:46
    本作では惨いことが起きるので
    それに対処しなければならないのだ
  • 7:46 - 7:52
    それと、ある種の危険を冒すべきかどうか
    真剣に考えてもらいたかったというのもある
  • 7:52 - 7:56
    そのために、思うようにいかなくても
    前のセーブ地点に戻れないことを認識させている
  • 7:56 - 8:00
    2016年の GDC 講演で、開発者の
    Tyler Sigman はこう語った
  • 8:00 - 8:02
    「私たちが求めていたものは
    不変的な結果です」
  • 8:02 - 8:05
    「私たちはいつでも、こう考えてもらいたいのです」
  • 8:05 - 8:08
    「 "もうちょっと先へ進んで、財宝を
    もうちょっと獲るべきかな?" とか―」
  • 8:08 - 8:13
    「 "2人が苦しんでてこいつはほぼ死んでるけど
    自分はこのクエスト完遂できるのか?" とか」
  • 8:13 - 8:20
    「そのためには、本当に意味のある
    嫌らしいセーブシステムが必要だったのです」
  • 8:20 - 8:23
    他のゲームもこれをやっている 例えば
    サバイバルゲームの『The Long Dark』では
  • 8:24 - 8:30
    オオカミの襲撃や怪我などの災難が起きると
    自動的にセーブされるので
  • 8:30 - 8:33
    最も劇的なところから
    プレイを続けなければならない
  • 8:33 - 8:38
    これは家庭用ゲーム機ではかなり普通のことだ
    進行状況をセーブするのは簡単ではなく
  • 8:38 - 8:41
    実際のセーブ地点や
    中間地点に頼らなければならない
  • 8:41 - 8:46
    だからといって、休憩が必要な際に
    簡単にセーブできないというわけではない
  • 8:46 - 8:50
    『ダークソウル』で永続的にセーブできるのは
    篝火のある場所だけなのだが
  • 8:50 - 8:52
    ゲームはいつでも中断できる
  • 8:52 - 8:56
    これでゲームを中止して
    次はその場所から再開できる
  • 8:56 - 9:01
    しかしそのセーブは削除されるので、ドジをやっても
    中断地点まで巻き戻すことはできない
  • 9:01 - 9:05
    だから多くの説得力ある理由のおかげで
    プレイヤーはゲームに留まっているし
  • 9:05 - 9:08
    ミスった瞬間に
    即ロードすることもないのだ
  • 9:08 - 9:12
    失敗したときは、活発的に目標を変更し
    しばらく違うことをするようになる
  • 9:12 - 9:15
    最高の物語は
    災難が起きたときに生まれる
  • 9:15 - 9:19
    危険を伴うプレイは、戻ってやり直しができない方が
    ずっと有意義なものになる
  • 9:20 - 9:23
    しかしこの純粋な遊び方を実践するかどうかは
    プレイヤーが決めることではない
  • 9:23 - 9:27
    僕は『Civ 4』を開発した Soren Johnson の
    言葉を引用したことがあった
  • 9:27 - 9:31
    「機会があれば、プレイヤーは
    ゲームの面白さを最適化するだろう」
  • 9:31 - 9:35
    だからもし開発者が、本当にプレイヤーを
    この体験に留めておきたいのであれば―
  • 9:35 - 9:39
    安易なセーブ連打を禁止するとか
    逆境を許容範囲内して続けられるようにするとか
  • 9:40 - 9:44
    ノーミスプレイの報酬を削除するとか、失敗を
    成功と同じくらい楽しくする必要がある
  • 9:44 - 9:47
    その時になって、初めてプレイヤーは
    「そのまま続けて―」
  • 9:47 - 9:49
    「次の展開に驚く」のだ
  • 9:50 - 9:50
    (字幕翻訳:Nekofloor)
  • 9:51 - 9:52
    やぁ! ご視聴ありがとう!
  • 9:52 - 9:56
    Game Maker’s Toolkit は Patreon で
    援助してくれた皆のおかげで制作されている
  • 9:56 - 10:01
    僕が生放送をするために YouTube に戻ってきたことに
    気付いたかもしれない Twitch はダメだったのでね
  • 10:01 - 10:04
    僕は英国夏時間の午後 8時に生放送しているから
  • 10:04 - 10:07
    生放送を視聴したい場合は
    通知ベルをクリックしてくれ
Title:
プレイヤーがミスを受け入れる意義 | Game Maker's Toolkit
Description:

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Video Language:
English
Duration:
10:11

Japanese subtitles

Revisions