Return to Video

囚人のジレンマを覆すには? / ルーカス・ハステッド

  • 0:07 - 0:12
    合理的思考を備えた二人のクッキー
    クリスピーとチューイーが散歩していると
  • 0:12 - 0:15
    一匹のキツネに出くわしました
  • 0:15 - 0:17
    二人がいかにも仲良しに見えたので
  • 0:17 - 0:20
    いきなり食べてしまうのではなく
  • 0:20 - 0:24
    ジレンマ (板挟み) の状況を作り
    二人の友情を試すことにしました
  • 0:24 - 0:30
    そこで 一人ずつに
    二人のうち どちらを犠牲にするか聞きました
  • 0:30 - 0:32
    二人は 話し合うことはできても
  • 0:32 - 0:37
    相手の選択を
    最後まで知ることはできません
  • 0:37 - 0:44
    キツネは 両方が 自分の犠牲を選べば
    二人とも手か足を1本ずつ食べ
  • 0:44 - 0:48
    片方が自分の犠牲を選び
    もう片方が相手の犠牲を選んだら
  • 0:48 - 0:50
    自分の犠牲を選んだ方を丸ごと食べ
  • 0:50 - 0:54
    相手の犠牲を選んだ方は
    逃がしてやろうと思いました
  • 0:54 - 1:01
    そして 両方とも相手の犠牲を選べば
    二人から手足を3本ずつ食べるつもりでした
  • 1:01 - 1:06
    ゲーム理論では これを
    「囚人のジレンマ」と呼んでいます
  • 1:06 - 1:11
    二人のクッキーが 合理的な判断のもと
    どう行動するかを分析するために
  • 1:11 - 1:14
    それぞれの選択を表にまとめてみましょう
  • 1:14 - 1:19
    横列はクリスピーの選択
    縦列はチューイの選択です
  • 1:19 - 1:21
    各セルに
  • 1:21 - 1:24
    選択によって残る手足の数が
    書かれています
  • 1:24 - 1:27
    選択によって残る手足の数が
    書かれています
  • 1:27 - 1:32
    はたして
    二人の友情は続くのでしょうか?
  • 1:32 - 1:34
    まず チューイの選択を見てみましょう
  • 1:34 - 1:39
    二人とも クリスピーの犠牲を選択すれば
    チューイは4本無傷で逃げることができます
  • 1:39 - 1:42
    クリスピーもチューイも
  • 1:42 - 1:46
    相手の犠牲を選択すれば
    手足は1本だけ残ります
  • 1:46 - 1:49
    つまり クリスピーがどっちを選択しても
  • 1:49 - 1:55
    クリスピーの犠牲を選択すれば
    チューイに最善の結果となるわけです
  • 1:55 - 1:57
    クリスピーの場合も同じです
  • 1:57 - 2:00
    このように「囚人のジレンマ」は
  • 2:00 - 2:03
    お互いを裏切るのが 標準的な結末です
  • 2:03 - 2:08
    迷わず相手を犠牲にするこの状況を
  • 2:08 - 2:12
    ゲーム理論家は
    「ナッシュ均衡」と呼びます
  • 2:12 - 2:15
    この均衡が崩れると
    どちらにも得ではありません
  • 2:15 - 2:18
    二人とも自己に合理的な選択をした結果
  • 2:18 - 2:22
    卑劣なキツネは クッキーで満腹
  • 2:22 - 2:27
    残されるのは 
    手足1本ずつの 元親友どうしです
  • 2:27 - 2:29
    通常 お話はここで終わるのですが
  • 2:29 - 2:33
    たまたま一人の魔法使いが
    この騒ぎを 一部始終見ていました
  • 2:33 - 2:38
    そして 二人にお互いを裏切った罰として
  • 2:38 - 2:42
    一生 ジレンマを繰り返す
    魔法をかけました
  • 2:42 - 2:47
    毎朝 日の出とともに 4本の手足がそろい
    1日が始まります
  • 2:47 - 2:48
    さて 何が起こるでしょうか?
  • 2:48 - 2:54
    これは「繰り返し囚人のジレンマ」と言い
    全く逆の結末を迎えます
  • 2:54 - 2:56
    なぜなら 未来の選択を
  • 2:56 - 3:02
    交渉の切り札として
    利用することができるからです
  • 3:02 - 3:06
    例えば
    二人で毎日 自分を犠牲にしようと決めたのに
  • 3:06 - 3:09
    一人が裏切って
    相手の犠牲を選択したら
  • 3:09 - 3:14
    もう一人は 翌日から永遠に
    裏切り返してくるでしょう
  • 3:14 - 3:16
    では このかわいそうな二人が
    協力するよう
  • 3:16 - 3:20
    言い聞かせるだけで十分でしょうか
  • 3:20 - 3:24
    この答えを出すために
    違う角度から考える必要があります
  • 3:24 - 3:26
    二人はおそらく 今
  • 3:26 - 3:30
    未来のことより
    今日の心配だけしているはずです
  • 3:30 - 3:33
    少し難しく言えば
  • 3:33 - 3:37
    未来の心配は ある数値の分
    減って行くはずです
  • 3:37 - 3:39
    その数値は δ (デルタ) と言います
  • 3:39 - 3:44
    これはお金の価値を損なわせる
    インフレの概念に似ています
  • 3:44 - 3:48
    例えば δ が2分の1の場合
  • 3:48 - 3:52
    初日の選択時の 手足の数の心配量は
    2日目が1日目の半分
  • 3:52 - 3:56
    3日目が1日目の4分の1です
  • 3:56 - 4:01
    δ が0の場合
    未来のことを心配していないことを意味し
  • 4:01 - 4:06
    二人は 永遠に相手の犠牲を—
    つまり 最初の選択を繰り返します
  • 4:06 - 4:12
    δ が1の場合は
    毎日 3本の手足を失わないように
  • 4:12 - 4:14
    苦渋の選択でもするでしょう
  • 4:14 - 4:17
    つまり 自分の犠牲を選択するのです
  • 4:17 - 4:20
    ある特定の時点を境に
    二人にとって 得か損かに分かれます
  • 4:20 - 4:23
    どの時点かは
  • 4:23 - 4:27
    それぞれのケースの計算式を
    書き出すことでわかります
  • 4:27 - 4:31
    二人の利得を等しくし
    δ の数値を求めます
  • 4:31 - 4:34
    答えは δ が3分の1—
    つまり
  • 4:34 - 4:40
    二人の翌日の心配量が
    今日の時点で 少なくとも3分の1あれば
  • 4:40 - 4:44
    互いに協力し 自分の犠牲を選び続けるという
    最善策をとるのです
  • 4:44 - 4:48
    この分析は
    クッキーと魔法使いの話に限りません
  • 4:48 - 4:51
    通商交渉や 国際政治などの現場でも
  • 4:51 - 4:55
    よくあることです
  • 4:55 - 4:59
    理性ある指導者なら 自らの決定が
    敵陣の決定に影響を与えることを
  • 4:59 - 5:02
    想定しておかなければなりません
  • 5:02 - 5:07
    利己的行動は 適切なインセンティブがあれば
    短期的には得かもしれませんが
  • 5:07 - 5:13
    平和的協力は 単に可能であるだけでなく
    論証的にも数学的にも最善なのです
  • 5:13 - 5:17
    二人のクッキーの友情は
    時に崩れることもあるでしょう
  • 5:17 - 5:20
    しかし 1本の手足で生きる決意があれば
  • 5:20 - 5:24
    簡単に粉々になることはないでしょう
Title:
囚人のジレンマを覆すには? / ルーカス・ハステッド
Speaker:
ルーカス・ハステッド
Description:

合理的思考を備えた二人のクッキー、クリスピーとチューイーが散歩していると、一匹のキツネに出くわしました。キツネは、いきなり二人を食べてしまうのではなく、ジレンマ(板挟み)の状況を作り二人の友情を試すことにします。そこで それぞれに、二人のうちどちらを犠牲にするか聞きました。クッキーたちはどんな選択をするでしょうか?この話を例に、ルーカス・ハステッドが古典的ゲーム理論「囚人のジレンマ」を掘り下げて解説します。

講師: ルーカス・ハステッド 監督: イヴァナ・ボシュニャク / トーマス・ジョンソン

このビデオの教材: https://ed.ted.com/lessons/how-to-outsmart-the-prisoner-s-dilemma-lucas-husted

more » « less
Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TED-Ed
Duration:
05:24

Japanese subtitles

Revisions