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2016年の映画『パッセンジャー』は
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宇宙でのロマンスについての
ハイ・コンセプトSF映画として宣伝された
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だから観るのを楽しみにしていた
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残念ながら、この前提は
良い恋愛映画に繋がらなかった
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実際ホラー映画との共通点のほうが多かった
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ジムは別の惑星への長い旅に出る宇宙船の乗客である
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しかし故障で冬眠状態から早く起こされてしまう
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「ここはどこ?」
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「地球からHomestead IIへ移動中です
あと約90年で到着します」
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「え?」
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彼は一人で生き
他の乗客が目覚める前に死ぬ運命のようだ
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自分の置かれる状況に囚われ
ジムはオーロラという名の乗客に執着しはじめる
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恋愛関係を求め
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ジムは事故だと見せかけ
彼女の冬眠ポッドに妨害操作をする
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オーロラの視点から見ると
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これは自分を永久に二人きりに監禁しようとする
見知らぬ男のストーリーだ
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この見知らぬ男は彼女の人生、彼女の未来と
彼女の自己決定権を奪い取った
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「話してもいいか」
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だが、この映画はラブストーリーであるべきなので
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観客はジムに同情し
この恋愛関係を応援しなければならない
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『パッセンジャー』はSFの設定で
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非常に古くとても厄介なメディア表現の
一例であることを覆い隠している
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『ロマンスとしての誘拐』
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「ロマンスとしての誘拐」というメディア表現では
男が女を誘拐あるいは監禁し
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そのうち彼女は彼に恋をする
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多くの物語の慣例のように
「ロマンスとしての誘拐」は昔からある
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古典文学まで遡ることができ
古典的ハリウッドでも人気だった
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「警察呼んで!」
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「助けて!」
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「まぁ、深く愛し合っているのね」
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「僕を怒らせるな」
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「あなたが下品な男だと知っていたわ」
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一部の表現では愛のために男は女を誘拐する
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「僕の好みの求愛を難しくしている」
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しかし、多くの場合女性は別の理由で誘拐され
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誘拐者と時間を過ごしているうちに恋に落ちる
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「動いたり、ベッドから降りたら」
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「俺は気づく」
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「そしてあなたを痛めることを約束する」
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誘拐や人質にされる状況自体は短期間かもしれない
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彼らの恋愛は良い結果に繋がらないかもしれない
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しかし、誘拐者は最終的に
必ずまともな男として描かれる
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「俺は誰かに銃を向けていない時は結構好感を持たれる」
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「信じないのわかっているが 本当だ
俺を信じないといけない」
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この設定は特に脚本家に人気だ
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「撃てば」
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なぜなら誘拐は二人の全く異なる登場人物を
くっつける簡単で早い方法だからだ
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「前もって謝らせてくれないか」
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「何を謝るの?」
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「これであなたは僕について来ないといけない」
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でも勘違いしてはいけない
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これらは女性の権利や自主性を侵害した男性が
恋愛関係という報酬を得る物語である
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「押されたり、掴まれたり、縛られたり」
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「真夜中にバスに引きずられるのが嫌いな女の子もいる」
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ロマンスとしての誘拐は様々なメディアでみられる
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「でも他にどうやって彼女をバスに乗せるんだ」
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ロマンス映画やコメディ映画でも
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「聞いてるんだけど?」
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「私にこれが起きているの信じられない」
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「これは冗談じゃない 誘拐されている」
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「誘拐と呼ぶのは失礼だ」
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古典的なミュージカルの『略奪された七人の花嫁』でも
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「♫それだけじゃない」
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「♫彼女たちは怒ったり苛立つふりをするが」
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「♫でも実はとても喜んでいる」
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「♫牛を囲い込むときにこれを思い出してくれ」
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「♫オー オー オー 可哀そうな彼女たち」
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でもこの描写は特に
アクション・アドベンチャー映画で人気である
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アーノルド・シュワルツェネッガーと
ブルース・ウィリスはそれぞれ3作ずつ
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誘拐した女性と恋愛関係に至る映画で主演をしている
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シュワルツェネッガーの『バトルランナー』でみられ
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「君の首を鶏のように折れることを覚えとけ」
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「動くな」
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『コマンドー』でもみられる
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「車に乗れ」
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さらに『トゥルーライズ』では彼の妻に対して
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ブルース・ウィリスの役は
『バンディッツ』で恋愛相手を人質にし
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高い評価を得た『12モンキーズ』では
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「ごめん、ごめん、ごめん、ごめん」
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また最近では『RED/レッド』で
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「君の瞳は美しい」
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観客はこれらの男たちがもたらす危険性が
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まさに彼らが刺激的で魅力的である
本質の一つと見なすべきである
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彼らは行動をとる男たちで
主導権を持ち、欲しいものを手に入れる
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「車に乗ってくれ」
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「嫌だ」
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「頭に気をつけろ」
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必要なら暴力を使って
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数少ない例外を除き、これらの誘拐者は
白人男性であると気づくかもしれない
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「来い!」
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「何もするな!何もするな!」
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西洋の主流な観客は暴力的な白人男性に
疑いの余地を与えがちである
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「手を上げろ 二人とも!」
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しかし似た状況における有色人種の男性には
同レベルの思いやりを持たない
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「よし、全員」
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「床にしゃがめ!」
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「殺さないで!」
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「死にたくない!」
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大多数のメディアの描写のように
さまざまな主題がある
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偶然の誘拐が本当の誘拐につながったものや
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「常に頭を膝の上にのせろ」
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「わかったか?」
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何やっているか分かっていない愚かな犯罪者や
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「あなたは私が知る限り一番ダメな誘拐者だね」
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「大変な状況で出来るだけ頑張っているんだ!」
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自分の暗殺対象に恋をする殺し屋など
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しかし、これらのロマンスとしての誘拐の物語の基本は
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男性が女性を完全に支配することである
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「この変態!」
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「縛らないで!」
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「お願い!」
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このテーマは男性が
今まで独立していた女性に対して
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強制的に身の程を思い知らせる
シーンによって強化されている
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「大昔ではね、お嬢さん」
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「唸るのをやめた山猫を信頼すべきではないように」
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「背を向けているときの女性を信頼すべきではない」
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実際、誘拐された女性たちは
受け身な乙女として描かれていない
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「私を連れていくの?」
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「聞け!動いたり口を開けたりしたら思い知らせる」
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「あんたなんか怖くないよ!変態!」
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「犯罪者は勇敢だと思っていたが
あなたは馬鹿で劣悪な顔をしている」
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これらの女性は威勢が良いように描かれているが
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彼女たちは身のために
威勢が良すぎると表現されている
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「あなたは少し威勢が良すぎて身のためにならない」
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これは誘拐者が彼の力とコントロールを
主張するチャンスを与える
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「声を出すな わかるか?」
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彼女を強引に黙らせることを通して
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観客は女性に対する支配や女性の無力化を
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フェチにするシーンを繰り返し見せられる
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彼女が形成を逆転させようとした場合
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彼は動じず、彼を怯えさせる試みはうまくいかない
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一部の場合、彼が再度コントロールを取り戻すとき
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その行動は誘惑として表現される
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誘拐や不法監禁はほぼ普遍的に
咎めるべき犯罪として理解されている
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そのため、誘拐は広く悪者の行動とされている
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疑いなく良い人がやることではない
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そのため脚本家は誘拐者を同情できる
キャラクターにする方法を見つけなればならない
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「大丈夫?」
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一つの手法として誘拐者に人間としての
基本的な良識を見せる瞬間をつくること
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人質に食べ物や飲み物を与えるだけなどでもいい
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「飲め」
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もしくは彼女がトイレに行くことを許すこと
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「ねえ」
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「少し助けがいる」
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あるいは彼女に性的暴行をいないこと
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「僕は最近していないが、あなたには何もしない」
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「緊張なんかしていない」
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「じゃあ落ち着いて」
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「とても冷静だ。ただ性的な動機がないことを
説明しようとしているだけだ」
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これらは良い人と見られるには
驚くほど低いハードルだ
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「あなたは良い人に見える 他とは違う
自分にとって正しいことをしている」
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もう一つ誘拐者をヒーローとして描く手法は
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彼の暴力をより暴力的な男性たちの行動と
対比させることである
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「彼らは悪いやつら?」
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「より悪いやつら」
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「より悪いやつら?」
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脚本家はさらに誘拐自体を
必要なものとして描き、正当化する
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「やめろ、やめろ!俺について来い!」
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世界を救うなど大義のためにやったこととして
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もしくは彼女の命を救うなど
被害者のためにやったこととして
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「私を離して」
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「安全ではない」
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「安全ではない?」
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このバージョンはあまりにもよく見られ
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英雄的な救助が同時に誘拐であるという
サブカテゴリーになっている
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これらの救助・誘拐シナリオを理解するために
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1984年の『ターミネーター』の短い誘拐をみてみよう
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カイル・リーズは過去に戻り
サラ・コナーをターミネーターから救う
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しかし逃走中に彼はこの助けは
任意ではないことをはっきりと示す
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「言うとおりにしろ!」
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「言ったままに!」
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「俺が言うまで動くな」
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「俺が言うまで音を出すな」
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「わかったか?」
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「わかったか!」
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「はい!お願いだから傷つけないで!」
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このような物語では男性がすべての手札を
持っていることに気づいただろうか
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彼だけが彼女に起きる本当の危険を理解し
彼だけが生き延びる方法を知る
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「つまりあなたも未来から来たの?」
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「そうだ」
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このようなシーンが陰湿なのは
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男性の虐待的な行為を
英雄的な愛の行為に捻じ曲げていることだ
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「離して」
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「聞いて 理解しろ」
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「ターミネーターが外にいて」
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「アイツは止まらない」
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「絶対に!」
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「お前が死ぬまで!」
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物語は私たち視聴者が
カイルのサラに対する攻撃的な行動を
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合理的で必要なものとして見るように
特別に設計されている
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「あなたは止められる?」
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ここでみられる物語のトリックは
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女性の合理的で理性的な男性の暴力に対する抵抗を
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ナイーブな間違いとして
複雑なシナリオを設定することである
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この構造は偶然ではない
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これは男性が女性の自由と基本的な権利を
取り上げることを彼女のためとして描き
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彼女の生存が誘拐者に依存するシチュエーションに至る
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一種の特別な男性的な幻想である
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「あなたが理解できるように言うと」
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「今あなたが一人で外にいたら寿命はここだ」
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「僕といたらここ 僕なしだとここ」
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「僕あり 僕なし 僕あり 僕なし」
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彼女のためだという描き方の最も酷い例の一つが
映画版の『Vフォー・ヴァンデッタ』である
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「つかまえた」
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「やめて やめて」
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ヒーローはイーヴィーを誘拐し
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彼女にファシズム政府につかまったと信じさせ
彼女を容赦なく拷問する
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「彼の居場所を教えて」
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「知らない!」
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これらの嫌悪すべき行為は
必要不可欠だと描かれている
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なぜなら何日間も続く拷問を通して
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イーヴィーが強さを学ぶからだ
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彼女は彼の拷問を許すだけではなく、彼に感謝し
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その後二人はロマンチックな時を過ごす
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「僕はワインを買う前に必ず試す」
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「一口飲んでみよう
連れていく価値があるか確かめよう」
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はっきり言おう
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ロマンスとしての誘拐は虐待表現である
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今まで話した全ての男性キャラクターは
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DV防止組織が言う危険信号である行為を行っている
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「やめて!」
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ではいくつかの危険信号を簡単に見てみよう
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物理的力
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虐待者は対立時に物理的力を用いることがある
これはパートナーを押さえることを含む
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これらの行動はよく
被害者が静かになる要求と共に行われる
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「黙れ!黙れ!黙れ!」
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暴力の脅し
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虐待者は支配の手段の一つとして暴力の実行で脅す
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「黙らなければこの石でお前の頭を耳から
グアカモレのような物質が出てくるぐらい強く叩くぞ」
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行動のコントロール
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虐待者はパートナーの行動をコントロールと制限し
本人の代わりに決断を行う
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「行こう」
「何?」
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「今すぐ」
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これは多くの場合保護に見せかけられている
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そして「ロマンスとしての虐待」描写の
中心となる行為として
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孤立
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虐待者は被害者を友人、家族や
場合によっては外部世界から孤立させようとする
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これは多くの場合通信機器の使用の制限を含む
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これらの行為はそれぞれ虐待的関係の
危険信号として認識されている
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大多数の「ロマンスとしての虐待」映画の
男性キャラクターにいくつかの危険信号があてまはる
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「そう 僕が君を起こした」
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『パッセンジャー』のジムのような
はっきりと暴力的ではない誘拐者も
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被害者を孤立させ、コントロールしている
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「気持ちが悪い」
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書き手の意図に関わらず
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これらの物語は虐待的な男性の暴力的な行為を
正当化し、ロマンチック化する
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「ロマンスとしての虐待」についての議論は
『美女と野獣』に言及しなければならない
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特にとても人気な2本のディズニー映画である
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どちらもこの描写がみられる
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野獣はベルの父の命を手に握っている
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彼を救うために
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「約束ね」
「ああ」
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ベルは彼女の自由を差し出し
野獣の城に永久的に監禁されることに同意する
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「パパ!」
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『美女と野獣』批判は多くの場合
「ストックホルム症候群」という心理学的現象に焦点を当てる
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誘拐の被害者が誘拐者に同情するようになる現象である
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しかしこれは僕の「ロマンスとしての誘拐」描写の
定義に含まれていない
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なぜなら「ストックホルム症候群」に焦点を当てることは
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加害者から被害者へ責任転嫁しがちで
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女性キャラクターが洗脳されていることを暗示することで
彼女たちへの間接的な攻撃につながるからだ
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見てきた通り、これらの映画の誘拐や監禁された女性たちは
多くの場合かなり勇敢に描かれている
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特に危険な状況を考慮すると
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多くは逃走を試み、一部はそれに成功する
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しかしそれと関係なく
被害者と彼女の動機はこの描写の問題点ではない
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問題はすべて誘拐者と彼の行動から生じる
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結局は野獣がベルを監禁し
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彼女を孤立させ、暴言を吐き
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「僕と夕食を食べるように言ったじゃないか」
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さらには彼女が食事することを禁じた
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「僕と一緒に食べなければ
彼女は何も食べない!」
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「悪意はなかったの」
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「お前は何をやったか理解しているのか?!」
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「やめて!」
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これらの虐待的な行為にかかわらず
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野獣は誤解されている良いやつだと描かれ
最終的には女を手に入れる
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これらの物語は男性と男らしさについて
潜在的なメッセージを伝えている
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もっとも酷いのは虐待的な男性は
適切な女性に出会えば良いという考えだ
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あまりにも特別な彼女からの愛の約束は
魔法的に彼の暴力的な行為を治癒し
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彼をより良い人にする
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もちろんこれらを問題を抱えた男性の
救済と許しについての物語とすることはできる
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ある意味そうだ
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しかし、残念ながらこれらの救済の物語は
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とても悪質な家庭内虐待に関する
迷信を強化させることにつながる
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虐待的な男性は一晩で突然変化はしないのだ
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特にずっと酷いやつだった後には
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暴力的な行為の履歴がある男性は
愛する人のためにそれを控えない
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逆である
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家庭内暴力に関する統計はパートナーや家族が
大多数の攻撃を受けることを示している
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映画の中ではこれらの誘拐ロマンスは
ハッピー・エンディングにつながると期待できる
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しかし現実では
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このような恋愛関係は
虐待的な関係につながる可能性が高い
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家庭内暴力の最も的確な予測につながるのは
過去の虐待的な行為だからだ
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実際、女性に対する暴力の歴史をもつ男性は
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将来同じ行為を繰り返す可能性が13倍高い
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心理学者はこれらの繰り返しの行動パターンを
虐待サイクルと呼ぶ
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虐待がいったん止まると
「ハネムーン期」と呼ばれる虐待者が悔恨を示す時期があり
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二度とやらないことを約束し
場合によっては愛がある行為を行う
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一時期的に
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しかし必然的に緊張感が蓄積される期間が続き
次の虐待的な期間につながる
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「あなたを預かるよ ボルタイ」
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「あなたを預かり、僕の情熱に反応し
あなたの憎しみは愛にかわる」
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「その日が来るより先に
ハゲタカがあなたの心臓を食べるわ」
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そしてサイクルは続く
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サイクルを止める最初のステップは多くの場合
被害者が虐待者から離れることである
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暴力的な男性が行動パターンを変えることは可能である
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しかし、これは非常に難しいプロセスであり
長年の治療を必要とする
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しかしこれは映画ではほとんど起きない
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今まで話した映画の中では
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虐待的な男性は
真実の愛を見つけることで奇跡的に変化し
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彼らの行動への許しは
たった一つの英雄的な行為から得られる
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つまり彼らは周囲の人間にもたらした被害に
責任をとらされていない
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本当の救済には自分の行為に対して
責任を取ることが必要である
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ゆっくりとした多くの場合痛みが伴う
自己変化のための営みを
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結論として、暴力的な男性を
正しい方法で愛することで直すことはできない
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しかし、これこそが「虐待としてのロマンス」という表現の
本質的な考えである
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このような歪んだハリウッド映画ロジックは
すべての性別の人々が虐待的な関係に残ることにつながる
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ロマンスとしての虐待という表現は引退させるべきだ
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映画の中の関係は様々なドラマチックで
エキサイティングな状況から生じることができる
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書き手がこれからも虐待的な男性の行為を
ロマンチック化し続ける理由はない
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観てくれてありがとうございます
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これらの長いビデオエッセイは書いたりリサーチしたり
プロデュースするのに膨大な時間がかかります
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なので、もっと観たい場合はPateronを通して
このプロジェクトの資金を手伝ってください
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またすぐ次のエピソードで男らしさ
政治とメディアの交差について分析をします