政府がウェルビーイング(幸福度)を優先するべき理由
-
0:01 - 0:07ちょうど ここから1.6キロ程離れた
エディンバラのオールドタウンに -
0:07 - 0:09「パンミュアハウス」があります
-
0:10 - 0:11パンミュアハウスには
-
0:11 - 0:17世界的に有名な
スコットランド人経済学者 -
0:17 - 0:19アダム・スミスが住んでいました
-
0:20 - 0:25『国富論』は彼の重要な著書であり
-
0:25 - 0:29多くの事を扱っていますが
そのなかでスミスはこう論じました -
0:29 - 0:32国家の富を図る指標は
-
0:32 - 0:36金銀などの蓄えだけではない
-
0:36 - 0:42国家の生産と交易の総計が指標となる
-
0:42 - 0:49これは今ではGDP(国内総生産)として
知られる概念を -
0:49 - 0:52最も早期に述べた一例でしょう
-
0:53 - 0:56それから時は流れ
-
0:56 - 1:02その生産額と交易の指標
つまりGDPは -
1:02 - 1:05これまでになく重要さを増して行き―
-
1:05 - 1:06ついには―
-
1:06 - 1:10アダム・スミスは
意図していなかったと思いますが -
1:10 - 1:15往々にしてこれが
国家の総合的な成功を測る -
1:15 - 1:18最も重要な指標だと
考えられるまでになりました -
1:18 - 1:24今日 私が主張したいのは
いま それが変わるべき時だということです -
1:25 - 1:30国家として繁栄の尺度を何にするかは
重要な選択です -
1:30 - 1:34実に重要なことです
なぜならそれは 政治の焦点を動かし -
1:34 - 1:38公共活動の原動力となるからです
-
1:38 - 1:40しかしその文脈を背景にすると
-
1:40 - 1:47国家繁栄の尺度としてのGDPの限界は
-
1:47 - 1:50明らか過ぎると考えます
-
1:50 - 1:55GDPは労働による総生産を測りますが
-
1:56 - 1:59それぞれの労働の性質については
何ら言及していません -
1:59 - 2:03一体その労働は価値あるものなのか
やり甲斐のあるものなのか -
2:03 - 2:10例えばGDPは 違法薬物の消費についての
数値は含みますが -
2:10 - 2:13無償の介護についての数値は
含みません -
2:14 - 2:18GDPは経済を活性化する
短期的な経済活動に価値を認めます -
2:18 - 2:25たとえそれが長期的には
私たちの惑星の持続維持性に -
2:25 - 2:30計り知れない損失を与えるとしてもです
-
2:31 - 2:34過去十年間を振り返ると
-
2:34 - 2:38政治的 経済的激動が続き
-
2:38 - 2:41人々の格差は拡大しました
-
2:41 - 2:46この先には
危機的な気候変動や -
2:46 - 2:48自動化の拡大
-
2:48 - 2:52人口高齢化という課題があります
-
2:52 - 2:57そして 国家として
そして社会としての繁栄を -
2:57 - 3:03広い定義で捉えるべきという主張が
-
3:03 - 3:07ますます説得力を持っていると
考えています -
3:07 - 3:10そのために 2018年 スコットランドは
-
3:10 - 3:15率先して呼びかけを行い
新たなネットワークである -
3:15 - 3:21「ウェルビーイング経済府」と
呼ばれるグループを設立しました -
3:21 - 3:27創設に参加したのは
スコットランド、アイスランド -
3:27 - 3:29そしてニュージーランドでした
-
3:29 - 3:33この3か国が SIN(=罪)と呼ばれる
理由はお判りでしょうが -
3:33 - 3:37もちろん私たちの目的は公益なのに
-
3:38 - 3:42このグループの目的は
-
3:42 - 3:44GDPという狭い指標への執着に
異議を呈することです -
3:45 - 3:48経済成長はもちろん必要です
-
3:48 - 3:50重要ですとも
-
3:50 - 3:54でもそれ以外にも
重要なことがあるということなのです -
3:54 - 4:00GDPの成長は いかなるコストを払っても
目指す目標としてはふさわしくありません -
4:01 - 4:04このグループでは こう主張します
-
4:04 - 4:08経済政策の目標 目的は
-
4:08 - 4:11全体でのウェルビーイング(幸福度)で
あるべきである -
4:11 - 4:15それは国民の幸せや健康であり
-
4:15 - 4:19国民の富だけを指しません
-
4:19 - 4:22この考え方の政策への影響については
後ほど述べて行きますが -
4:22 - 4:25特に私たちが生きる現在の社会では
-
4:25 - 4:28これはより深く響きます
-
4:28 - 4:30ウェルビーイングに重きを置くとき
-
4:30 - 4:33深い洞察や根本的な問いを刺激する
-
4:33 - 4:37対話が私たちの間に生まれます
-
4:37 - 4:40私たちの生活に本当に重要なのは何だろう?
-
4:41 - 4:45私たちは自分のコミュニティで
どんな価値を大切にするだろう? -
4:45 - 4:49私たちが本当に願っているのは
-
4:49 - 4:51どんな国やどんな社会だろう?
-
4:52 - 4:55このような疑問の答えを探すために
-
4:55 - 4:57参加しながら考えるよう
人々に働きかけると -
4:57 - 5:01とても多くの先進国が
世界中で同じように直面している -
5:01 - 5:07政治に対する疎外感や不満について
-
5:07 - 5:12きっと改善策が見つかるはずです
-
5:12 - 5:16政策的には
2007年にスコットランドで -
5:16 - 5:20「国家業績評価フレームワーク」と呼ぶ
-
5:20 - 5:24自己評価のための様々な指標を
発表したのが旅の出発点でした -
5:24 - 5:28それらは収入格差や
-
5:28 - 5:30子供の幸福度
-
5:30 - 5:34緑地や住まいへのアクセスなど
多岐に渡る指標です -
5:34 - 5:38そうしたものはどれも
GDP統計には反映されていませんが -
5:38 - 5:44全てが健全で幸せな社会の基盤です
-
5:44 - 5:50(拍手)
-
5:50 - 5:53そしてこの より広範なアプローチが
私たちの経済戦略の要であり -
5:53 - 5:57そこで私たちは
経済的競争力と同等の重きを置いて -
5:57 - 6:00不平等の是正にも取り組んでいます
-
6:00 - 6:02そして政策目標に掲げた
適正な労働条件 -
6:02 - 6:05つまり充実した仕事と
十分な報酬の実現を推進します -
6:05 - 6:09そして「公正な移行コミッション」を
設立したのは -
6:09 - 6:13炭素ゼロ経済実現への
道のりを先導するためです -
6:13 - 6:17過去の経済革新の歴史から学んだように
-
6:17 - 6:21注意深くないと
勝ち組より負け組が増えてしまいます -
6:21 - 6:25気候変動や自動化という課題に
直面する私たちは -
6:25 - 6:28二度と同じ間違いを犯してはいけません
-
6:29 - 6:32ここスコットランドで
私たちが行う仕事は重要なものですが -
6:32 - 6:35他国から学ぶべきことは豊富にあります
-
6:35 - 6:38先程触れた
ウェルビーイングのネットワークに -
6:38 - 6:41パートナーとして加盟しているのは
-
6:41 - 6:43アイスランドとニュージーランドですが
-
6:43 - 6:47ちなみに 3つの国全て
リーダーは女性です -
6:47 - 6:51それが重要かどうかの
判断は皆さんにお任せしますが― -
6:51 - 6:58(拍手)
-
7:02 - 7:04両国とも 目覚ましい活躍をしています
-
7:04 - 7:092019年にニュージーランドは
メンタルヘルスを中核に据えた -
7:09 - 7:11初の「ウェルビーイング予算」を
発表しました -
7:11 - 7:17アイスランドは同一賃金や児童福祉
父親の権利などで牽引しています -
7:17 - 7:20豊かな経済の実現を語るとき
-
7:20 - 7:23すぐにはこのような政策に
目が向きませんが -
7:23 - 7:28こうした政策は
健全な経済と幸せな社会の -
7:28 - 7:30基礎となるものです
-
7:30 - 7:35話をアダム・スミスの
『国富論』から始めましたが -
7:35 - 7:40アダム・スミスがその前に書いた
『道徳感情論』も -
7:40 - 7:43同じく重要だと私は考えています
-
7:43 - 7:47あらゆる政府の価値は
-
7:47 - 7:49国民の幸福の実現度によって
-
7:49 - 7:52測るべきだと彼は述べています
-
7:53 - 7:56これはウェルビーイングを推進する
-
7:57 - 8:02あらゆる国家集団にとって
良き基本的原則だと思います -
8:02 - 8:05誰にも全ての答えはありません
-
8:05 - 8:09アダム・スミスの生まれた
スコットランドも同じです -
8:09 - 8:13しかし ますます分断と不平等
-
8:13 - 8:16そして無関心と疎外感が増す
こんにち私たちの住む世界で -
8:16 - 8:20これらの問いを考え 答えを探し出し
-
8:20 - 8:24単に経済的な繁栄だけでなく
-
8:24 - 8:28ウェルビーイングをビジョンの
中心に据えた社会を推進することが -
8:28 - 8:32以前にも増して重要です
-
8:32 - 8:38(拍手)
-
8:38 - 8:43皆さんは いま
この美しい陽の注ぐ首都にいますが― -
8:43 - 8:45(笑)
-
8:45 - 8:50この首都を擁する国は かつて
世界を啓蒙主義で牽引し -
8:50 - 8:54産業化時代へと導きました
-
8:54 - 8:56そして今では低炭素の時代へと
-
8:56 - 8:59世界を率いて行こうとしています
-
8:59 - 9:04私の願い そして決心は
スコットランドが これに加えて -
9:04 - 9:09世界の国々や政府の優先事項を
変えていくことを支援し -
9:09 - 9:14ウェルビーイングがあらゆる活動の
中心に据えられるように働きかけることです -
9:14 - 9:18それが 今の世代に果たすべき責任だと
考えます -
9:18 - 9:21それが 次世代と
それ以降の世代に対して -
9:21 - 9:24果たすべき責任だと信じています
-
9:24 - 9:27もしそれが
この啓蒙主義発祥の国から始まれば -
9:27 - 9:32より良く 健全で 公正で
-
9:32 - 9:34幸せな社会を ここわが祖国に
築けるでしょう -
9:34 - 9:36そうすれば私たちスコットランドも
-
9:36 - 9:41より平等で幸福な世界を作るための
役割を果たして行くことができます -
9:41 - 9:42どうもありがとうございました
-
9:42 - 9:46(拍手)
- Title:
- 政府がウェルビーイング(幸福度)を優先するべき理由
- Speaker:
- ニコラ・スタージョン
- Description:
-
2018年、スコットランド、アイスランド、そしてニュージーランドはGDPが国家の成功を測る究極の尺度となっている現状を変えるためにウェルビーイング経済府(WEGo)ネットワークを設立しました。この先見的なトークで、スコットランド首相ニコラ・スタージョンは、平等な賃金、チャイルドケア、メンタルヘルスや緑地へのアクセスなどを考慮に入れた広範囲に影響をもたらす「ウェルビーイング・エコノミー」について説明します。これを新たな焦点とすることで、いかに世界的な課題の解決につながるのでしょうか。
- Video Language:
- English
- Team:
- closed TED
- Project:
- TEDTalks
- Duration:
- 10:00
Natsuhiko Mizutani approved Japanese subtitles for Why governments should prioritize well-being | ||
Natsuhiko Mizutani edited Japanese subtitles for Why governments should prioritize well-being | ||
Natsuhiko Mizutani edited Japanese subtitles for Why governments should prioritize well-being | ||
Chiyoko Tada accepted Japanese subtitles for Why governments should prioritize well-being | ||
Eriko Tsukamoto edited Japanese subtitles for Why governments should prioritize well-being | ||
Eriko Tsukamoto edited Japanese subtitles for Why governments should prioritize well-being | ||
Eriko Tsukamoto edited Japanese subtitles for Why governments should prioritize well-being | ||
Eriko Tsukamoto edited Japanese subtitles for Why governments should prioritize well-being |