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The Fantastic Masculinity of Newt Scamander

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    文化評論家として、私はたくさんの映画を鑑賞し
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    ハリウッドにおける男性性のポジティブな表象に
    いつも目を見張っています。
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    大抵失望して劇場を出るのですが
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    時折運に恵まれ
    良い意味で驚きに包まれることがあります。
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    "ファンタスティック・ビースト"の鑑賞後も
    丁度そんな風に感じられました。
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    このハリーポッター・スピンオフ映画の主人公である
    ニュート・スキャマンダーは従来とは異なる男性ヒーローで
  • 0:40 - 0:45
    通常は脇役に追いやられるようなキャラクターです。
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    彼は新鮮なまでに型にはまらない男性性を体現し、
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    冒険ファンタジーにおける主役にしては特に型破りです。
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    彼の男性らしさというのは、控えめで、傷つきやすく
    しかし自信に満ちたものなのです。
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    大まかに言ってニュートの性格は
    彼の魔法生物と絆を育む並外れた能力と
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    相対的に他の人間たちとはつながりを持てない
    ということによって定義づけられます。
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    ニュートは魔法生物学者であり
    つまるところ、魔法生物の世話における専門家です。
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    彼のライフワーク、彼の情熱は、これらの魔法動物を研究、
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    育成、保護し、その上彼らの窮状に対して
    理解と思いやりを促進する取り組みとして
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    教科書を執筆することです。
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    "彼らは現存する最後のつがいなんだ"
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    "もし僕が助けられていなければ
    それがグラプホーンの一巻の終わりだったかも"
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    これがドリトル先生的な状況でないことには言及すべきでしょう。
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    ニュートの動物に対する絆や親和性は
    超自然的な性質のものではありません
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    仮にそうだったとしても
    この魔法世界ではおかしくないわけですが。
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    対して彼は単純に、他人がそうしないときにも
    動物と彼らのニーズに注意を向けるのです。
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    "風邪を引いてた。誰か温める必要があったんだ。"
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    これはまた「動物は善、人間は悪」といった話でもありません。
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    彼が痛いほどにシャイで社会的にぎこちないとしても
    ニュートの思いやりある視点は、人々へ、
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    特に差別されたり追いやられている人々まで向けられており
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    そのことは、アメリカの魔法使いが魔法を持たない人々と
    接する態度へ抱く彼の嫌悪に見て取れます。
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    "スキャマンダーさん
    アメリカの魔法界について何か少しでもご存知で?"
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    "実のところ多少は。
    非魔法族との関わりについて大分後進的な法律があること"
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    "彼らと友達になってはならず、結婚できないことなど。
    最後のは少々馬鹿げて思えますが。"
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    "彼と結婚する人なんています?"
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    彼は隔離政策、差別的法律、死刑制度や、
  • 2:53 - 2:58
    その他正義の名の下に成される暴力に強く反対しています。
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    ニュートの真に特別な才能は魔法ではありません。
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    それは彼の共感する力です。
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    "ほらほら、今行くから。ママが来ましたよ。"
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    このように控えめで繊細な男性性は
    主役男性として通常と大きく異なるもので
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    映画評論家達が彼のキャラクターに
    がっかりさせられたのを見てもさほど驚きませんでした。
  • 3:22 - 3:27
    ニューヨークポスト紙は、ニュートが
    "あまり人を惹きつける主役ではない"と述べました。
  • 3:27 - 3:32
    MTVは彼が"深み"、"生気"や"一貫した個性"に欠けると主張。
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    ヴィレッジヴォイス紙は彼がたいてい
    "病気を患っている"ようにみえるとまで言いました。
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    スレート紙には彼が"多少退屈"だと感じられ、
  • 3:42 - 3:46
    スレートとニューリパブリックの両紙は、彼の人物像が
  • 3:46 - 3:50
    演じるエディ・レッドメインのカリスマ性を
    "薄めている"と残念がりました。
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    ニューリパブリック紙はまた
    彼の主役という扱いにショックを表し、
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    彼があまりに"善人、単純かつ無個性であるため"
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    "5部作シリーズの中心人物に彼がなるのは
    ちょっとどうかしている"と評しています。
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    私はがっかりしましたが、先ほども述べた通り
    このような反応にも驚きはしませんでした。
  • 4:11 - 4:17
    私たちは、映画館通いの観客として
    SFやファンタジー映画における男性キャラクターから
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    ある種の男性的振舞いを期待するよう慣らされてきました。
  • 4:23 - 4:30
    私たちは、自律的、恐れ知らずで、かつ身体的に強靭な
    あるいはそのようになることを学ぶ主役男性を望みます。
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    でなければ少なくとも機転が利き、陽気で
    カリスマ性のある男性。
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    できれば以上全てを兼ね備えている男性。
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    傷つきやすさを隠すということが
    男性ヒーローには実質的に要求されているのです。
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    男性における攻撃性や傲慢さはたやすく容赦し
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    しかし謙虚さや感受性の表出には不快感を示すよう
    私たちは学んできました。
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    私たちは、暴力には手が早く
    外交には気が遅い男性たちに見慣れています。
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    ニュートはこの流れからの大きな脱却です。
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    彼による男性性は、身体的強靭さや戦闘スキル、
    あるいは大胆な偉業に起因したわけでもなければ、
  • 5:11 - 5:13
    その他多くの男性ヒーローたちのように
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    天から与えられた神秘的な運命といったものから
    派生したわけでもありません。
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    彼は誠実で、面倒見が良く、感情に富み
    そして感受性があります。
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    "それは絶対マートラップだな。
    君は特に影響を受けやすいに違いない。"
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    そして大事なことに、その感受性は弱さではなく
    強さとしてとらえられます。
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    "じっとしてて。よし、それで発汗が止まるはず。"
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    私たちの文化では男性がこういった傷つきやすさを表すと、
    "軟弱"というレッテルがしばしば貼られます
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    面倒見の良さや感受性は、固定観念的に
    女性や女性性と結びつけられるものだからです。
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    そしてこれらの特質を男性冒険ヒーローの
    肯定的で英雄的な側面としてとらえることで
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    後進的な性役割へ異議を唱えることに大きく成功しています。
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    さて、ニュートの男性性の体現が
    まさしくどれほど革新的かということを理解するためには
  • 6:09 - 6:15
    彼が何者"でない"のかについて
    もう少し話してみることが役立ちます。
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    ニュートは、ホグワーツ魔法魔術学校に通った
    イギリス人魔法使いです。
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    けれどもニュートはハリー・ポッターではありません。
    彼はハッフルパフです。
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    "実は、違うんだ、僕は誇りを持ってハッフルパフなんだよ!"
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    友情、勤勉、そして謙虚を特徴とする寮である
    ハッフルパフの生徒は、
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    その他3つの魔法寮よりも地に足がついていて
    競争心が少ないと言われています。
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    一方ハリー・ポッターは
    グリフィンドールに振り分けられました。
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    大胆さ、度胸、慇懃、そして少なからず
    ひけらかす傾向があることで知られる寮です。
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    そのようなわけで、ハリーは
    伝統的ハリウッドヒーローの殿堂にすっきり収まります。
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    彼の物語は典型的な英雄の旅で、
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    これらファンタジーもののキャラクター・アークが
    どのように展開するか私たちは皆知っています。
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    疑いを知らない若い男性が冒険を押し付けられ、
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    そして彼が世界を救うことのできる
    全宇宙で唯一の存在であると判明する。
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    "ブラスターのように不恰好ででたらめではなくな"
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    かくして彼は"シャイで野暮ったいやつ"から
    "勝ち組のいかしたやつ"へと変化を遂げます。
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    この進化にある種の"燃える男根"を使った戦いが
    伴うことは珍しくありません。
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    それに対し、ニュート・スキャマンダーは
    「選ばれし者」ではなく
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    背負うべき宇宙規模の責任もない
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    ドクター・フーと比較ができる
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    イギリス人で 礼儀正しく 戦わないタイプだ
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    だがそれ以外は似てない
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    ニュートは痛みを抱えながらも
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    自身の戦いは表に出さない
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    力を誇示することに興味はない
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    "さあ すべての時空にすべての出来事"
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    "どこから行く?"
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    ニュートは個人的目標で満足していて
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    教科書を書きたい
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    魔法の教科書とは言え
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    ヒーローとしては恐ろしく控えめだ
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    ポッターとは違い
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    スーパーパワーは持っていない
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    自分の能力や立場についての悩みもない
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    "レベリオ"
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    "ほら座って"
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    自分に自信を持った大人だ
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    "毒は入ってない"
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    周りの人を心配させてはいても
  • 9:01 - 9:05
    そしてこの点が批評家たちが
  • 9:05 - 9:09
    この主人公を好まない理由ではないか
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    "何かお困りで?"
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    ニュートは自閉症だという説もあった
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    内気な性格で 人に近寄られたくない
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    他人に共感しながらも 関係を築けない
  • 9:27 - 9:33
    目を合わせるのを避けてもいる
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    この仮説を検証することはできない
  • 9:38 - 9:42
    おそらくエディがそう決めたのだろう
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    どうであれ 脚本と演技の結果
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    ニュートは今までのハリウッドでの
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    ステレオタイプにはハマっていない
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    この種のキャラは特定の型を持ちがちだ
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    "苦悩する天才"
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    頭はいいが精神的に不安定
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    才能に対する代償としてよく描かれる
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    "マッドサイエンティスト"
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    奇抜さを持った気まぐれなキャラで
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    多少の愛嬌もあるが
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    "思考を読む!"
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    出てくるのはコメディだ
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    "シャーロック・ホームズ"
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    超人的IQを持ち
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    "ペンをくれと言った"
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    それゆえ冷静で
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    "いつ?"
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    "1時間前"
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    他人に共感できないか関心がない
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    "黙れ"
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    "はい?"
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    "思考がノイズだ"
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    しかしニュートは精神を病んではないし
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    人を気にかけている
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    "ひどい"
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    正反対だ
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    その感性が彼の長所だ
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    映画は彼の性格を描かなかった
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    真のヒーローとなるための障害としては
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    物語は"強くなれ"と要求しなかった
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    "外向性を学べ"とも
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    ニュートは変わる必要がなかった
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    仲良くなった人は
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    彼のやり方で彼と関わった
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    "来て"
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    ニュートは旅を通して成長した
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    だがそれは人間関係的にだ
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    "たまたまニュートが…"
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    友人の作り方や信頼を学んだ
  • 11:50 - 11:53
    "なぜ記憶を消さなかった?"
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    "君が好きだから"
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    "君は友達だから"
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    深い関係の構築は彼の成長の核だ
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    "いろいろと…"
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    "あったね"
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    映画の終わりは
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    他の映画と比較して盛り上がらない
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    ハリー・ポッターと比較してもそうだ
  • 12:31 - 12:36
    例によって強力な敵との戦いがあるが
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    そこでもニュートは共感で動いている
  • 12:42 - 12:44
    "君を助けに来た クリーデンス"
  • 12:45 - 12:47
    "傷つけたりしない"
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    魔法対決で敵を打ち負かすよりも
  • 12:51 - 12:56
    戦いをやめさせようと行動している
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    最後に敵は滅ぼされたが
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    ニュートがやったのではなかった
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    そして悪に勝ったにも関わらず
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    うれしそうではなかった
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    むしろ悲しい出来事かのようだ
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    モンスターを助けられなかったとして
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    大事だからもう一度言おう
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    この映画は敵の破壊を悲劇として描く
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    助けられなかったと
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    型破りな制作会社にふさわしい
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    型破りな結末だ
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    5部作を通しワーナー・ブラザースが
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    ニュートを主人公として
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    続けていくかはわからない
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    JKローリングは 少なくとも次回までは
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    ニュートはスターだと言った
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    しかしハリウッドには圧力もあるだろう
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    キャラを伝統的に男らしくするように
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    製作者がニュートを降格させるなら
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    それは恥ずべきことだ
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    私たちには優しさと共感力を持った
  • 14:14 - 14:17
    男らしさを描く映画が必要だからだ
Title:
The Fantastic Masculinity of Newt Scamander
Description:

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Video Language:
English
Duration:
14:33

Japanese subtitles

Revisions