二つの政治体制の物語
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0:01 - 0:02おはようございます
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0:02 - 0:07私はエリック・リーと申します
私はここで生まれました -
0:07 - 0:10いや 違います
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0:10 - 0:12こちらの上海で生まれました
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0:12 - 0:16当時は文化大革命の真っただ中でした
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0:16 - 0:18私の祖母は 私の産声と共に
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0:18 - 0:21銃声を聞いたそうです
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0:21 - 0:25子供の頃 こんな話を聞きました
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0:25 - 0:29人類について
知っておく必要があることを -
0:29 - 0:30全部教えてくれるものです
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0:30 - 0:33その話によれば 人間社会は全て
同じ段階を踏んで発展します -
0:33 - 0:37原始社会から始まり 奴隷社会
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0:37 - 0:40封建社会 資本主義 社会主義を経て
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0:40 - 0:42最後はどこに辿り着くでしょうか?
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0:42 - 0:45共産主義です!
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0:45 - 0:49遅かれ早かれ 全ての人類は
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0:49 - 0:52文化 言語 国籍に関係無く
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0:52 - 0:54政治的 社会的に発展を遂げた
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0:54 - 0:57最終段階に到達するでしょう
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0:57 - 0:59そして全ての民族が
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0:59 - 1:01地上の楽園で結束し
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1:01 - 1:04末永く幸せに暮らすでしょう
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1:04 - 1:06でも この物語を実現するには
善と悪との戦い -
1:06 - 1:09つまり 善たる社会主義と
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1:09 - 1:12悪たる資本主義との戦いで
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1:12 - 1:14善が勝たなければなりません
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1:14 - 1:16もちろん これはカール・マルクスの
理論を基にした -
1:16 - 1:19「メタナラティブ」でした
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1:19 - 1:22中国人はこれを取り入れました
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1:22 - 1:25私達はこの大きな物語を
来る日も来る日も教え込まれました -
1:25 - 1:27次第に私達の一部となり
すっかり信じ込みました -
1:27 - 1:30この物語はベストセラーものでした
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1:30 - 1:32全世界の3分の1の人々が
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1:32 - 1:34このメタナラティブのもとに住んでいました
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1:34 - 1:37その後 世界は一夜で変わってしまいました
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1:37 - 1:41私といえば 自分の信条が失敗したことに幻滅して
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1:41 - 1:44渡米して バークレーでヒッピーになりました
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1:44 - 1:47(笑)
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1:47 - 1:51そこで青年時代の私が経験したのは
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1:51 - 1:53まるで一つの物語では事足りないように
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1:53 - 1:55別の「メタナラティブ」を聞かされました
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1:55 - 1:59こちらも壮大な話で
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1:59 - 2:01人間社会はただ一つの終点に向かって
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2:01 - 2:05同じ段階を踏んで発展するという主張です
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2:05 - 2:07具体的に ご説明します
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2:07 - 2:10全ての社会は 文化や
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2:10 - 2:12キリスト教 イスラム教 儒教に関わらず
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2:12 - 2:15グループが基本的な単位である―
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2:15 - 2:18伝統的な社会から
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2:18 - 2:21個人が 原子のように自律した単位となっている
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2:21 - 2:22近代社会へと発展するはずで
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2:22 - 2:26ここでの個々人は 理性的であり
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2:26 - 2:28人々が欲しているのは だだ一つ
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2:28 - 2:31投票です
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2:31 - 2:33なぜなら 人々は合理的なので
投票さえすれば -
2:33 - 2:35良い政府が生まれて
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2:35 - 2:37末永く幸せに暮らせるからです
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2:37 - 2:40ここでも 地上の楽園ができるわけです
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2:40 - 2:43いずれ全世界で選挙制民主主義が選ばれて
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2:43 - 2:47これが唯一の政治体制となり
自由市場と共に -
2:47 - 2:50すべての人がお金持ちになります
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2:50 - 2:53でもこの物語を実現するには
またも格闘しなければいけません -
2:53 - 2:55そう 善と悪の間です
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2:55 - 2:56(笑)
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2:56 - 2:59善とは民主主義を支持する人々で
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2:59 - 3:01民主的な選挙を行わない悪の国に
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3:01 - 3:04時には力ずくで
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3:04 - 3:07世界中で民主主義を広める
ミッションを担っています -
3:07 - 3:09ジョージ・H・W・ブッシュ: 新世界秩序は・・・
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3:09 - 3:12ジョージ・W・ブッシュ: 世界の圧政を止め・・・
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3:12 - 3:13バラク・オバマ: 権力を有する者に対して
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3:13 - 3:17共通の基準を
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3:17 - 3:19[ ジョージ・W・ブッシュ:「任務完了!」]
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3:19 - 3:26(笑)(拍手)
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3:26 - 3:30この話もベストセラーになりましたね
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3:30 - 3:32Freedom Houseの統計によれば
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3:32 - 3:35民主主義国家の数は
1970年の45ヶ国から -
3:35 - 3:382010年には115ヶ国になりました
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3:38 - 3:41過去20年もの間
西洋のエリート達は -
3:41 - 3:44休む間もなく 世界中で
この展望を売り回ったわけです -
3:44 - 3:47複数の政党が
政治権力の奪い合いをして -
3:47 - 3:48民衆が投票を行うことが
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3:48 - 3:50長きに渡って苦しんでいる
途上国に対する -
3:50 - 3:53唯一の救済の道です
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3:53 - 3:56この道を進めば 成功間違いなしというわけです
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3:56 - 3:59その道を外れれば すなわち失敗です
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3:59 - 4:03この時は中国人は これを取り入れませんでした
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4:03 - 4:05私も一回はだまされましたが・・・
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4:05 - 4:10(笑)
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4:10 - 4:12結果は歴史を見れば明らかでしょう
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4:12 - 4:14たった30年にして
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4:14 - 4:16中国は世界の最貧農業国から
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4:16 - 4:18世界第2位の経済大国になりました
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4:18 - 4:206億5千万もの人々が
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4:20 - 4:22貧困から抜け出しました
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4:22 - 4:25その時期に成功した
全世界の貧困緩和の8割が -
4:25 - 4:27中国で行われました
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4:27 - 4:30つまり 全ての新・旧民主主義国家を
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4:30 - 4:33すべて合わせても
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4:33 - 4:38選挙を行わない 一党独裁国家が
成し遂げたことに届かないのです -
4:38 - 4:41私はこんな物を使って育ちました
食料配給券です -
4:41 - 4:43ある時 肉が一月一人 数百グラムで
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4:43 - 4:46配給されました
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4:46 - 4:50言うまでもありませんが
私は祖母の分まで食べました -
4:50 - 4:54いったい何が起こっているのだろう?と自問しました
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4:54 - 4:56ここ私のホームタウンでは
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4:56 - 4:57自分のビジネスが急成長しています
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4:57 - 5:00毎日のように新しい
会社が生まれています -
5:00 - 5:03人類史において ミドルクラスが
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5:03 - 5:05前例のない速さと
スケールで拡大しています -
5:05 - 5:07しかし 先ほどの大きな物語によると
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5:07 - 5:10こんなことは起こるはずがありません
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5:10 - 5:13そこで自分が唯一できること―
調査を行いました -
5:13 - 5:15ご存知のとおり 中国は中国共産党による
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5:15 - 5:19一党独裁の国家で
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5:19 - 5:21選挙は行いません
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5:21 - 5:24私たちの時代に優勢だった
政治論を用いて -
5:24 - 5:263つの仮説が立てられました
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5:26 - 5:29中国の体制は運営的に柔軟性がなく
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5:29 - 5:33政治的に閉ざされていて
道徳的に正しくないと -
5:33 - 5:36実は 仮説は間違いでした
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5:36 - 5:38実際はその反対でした
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5:38 - 5:42中国の一党制は
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5:42 - 5:443つの特徴があります
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5:44 - 5:46適応性 エリート主義 合法性です
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5:46 - 5:48ほとんどの政治学者は
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5:48 - 5:51一党制は本質的に
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5:51 - 5:53自己補正が不可能であると言います
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5:53 - 5:56ですから適応できずに長続きしないと仮定します
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5:56 - 5:57ところが 事実はどうでしょうか
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5:57 - 6:01世界で一番大きな国を 64年も存続させ
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6:01 - 6:04近年では他の追随が無いほど
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6:04 - 6:06中国共産党の政策は幅広いです
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6:06 - 6:10急進的な集団農場化から大躍進政策
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6:10 - 6:13農地の準私有化
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6:13 - 6:15文化大革命
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6:15 - 6:18鄧小平の市場改革
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6:18 - 6:21後継者の江沢民は
資本家の共産党入党を認める -
6:21 - 6:25大きな政治的一歩を踏み出しました
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6:25 - 6:28毛沢東の時代には
想像だにしなかったことです -
6:28 - 6:32ですから党の自己補正は
こんな劇的な形で行われています -
6:32 - 6:34制度的に 新しい規則は
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6:34 - 6:37機能不全に陥った規則を
補正する形で制定されます -
6:37 - 6:39例えば 任期制です
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6:39 - 6:41かつて 政治指導者の職務は終身制で
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6:41 - 6:43指導者はそれを利用して
権力を大きくしたり -
6:43 - 6:45自らのルールを押し付けたりしました
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6:45 - 6:47毛沢東は現代中国建国の父ですが
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6:47 - 6:50長きに渡る支配は
悲惨な失態をもたらしました -
6:50 - 6:52そこで中国共産党は
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6:52 - 6:56定年退職年齢を68~70歳に設定しました
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6:56 - 6:58よく耳にするのが
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6:58 - 7:01「中国の政治改革は
経済革命より大幅に遅れているので -
7:01 - 7:04政治改革が急務だ」という話です
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7:04 - 7:07でもこの批判は 政治的な偏見に隠された
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7:07 - 7:10言葉の罠です
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7:10 - 7:13つまり 最初から どんな変革がされるべきか
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7:13 - 7:14決めておいて
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7:14 - 7:18そうした変革だけが 政治改革と呼ばれうるのです
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7:18 - 7:21実際のところ政治改革は
決して止まったことはありません -
7:21 - 7:2430年前 20年前
もしくは10年前と比べても -
7:24 - 7:27地方レベルから中央トップの
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7:27 - 7:28統治方法をはじめ
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7:28 - 7:30中国社会における様々な側面が
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7:30 - 7:32今日では様変わりしています
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7:32 - 7:35根本的な政治改革無しに
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7:35 - 7:39このような変化は
実現不可能でしょう -
7:39 - 7:41大胆に聞こえるかもしれませんが
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7:41 - 7:45政治改革においては
中国共産党が世界の先駆者です -
7:45 - 7:48第2の仮定は
一党独裁国家は -
7:48 - 7:51権力が少数の手に掌握されることで
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7:51 - 7:54統制がきかず
腐敗が広がります -
7:54 - 7:56確かに腐敗は大きな問題です
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7:56 - 7:58でも まずは大きな枠組みで
考えてみましょう -
7:58 - 8:00皆さんの直感とは
相反するかもしれませんが -
8:00 - 8:03中国共産党は今日の世界で
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8:03 - 8:06能力主義が最も進んでいる
政治政党の一つです -
8:06 - 8:10中国の最高指導機関である
中央政治局は25名の委員から構成されます -
8:10 - 8:12現在の体制では その内5名だけが
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8:12 - 8:16いわゆる太子党と呼ばれる
特権階級の出身です -
8:16 - 8:18他の 国家主席や国務院総理を含めた20名は
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8:18 - 8:21一般家庭の出身です
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8:21 - 8:24中央委員会においては
300人以上在籍していますが -
8:24 - 8:26権力と富のある家庭の出身者の割合は
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8:26 - 8:28更に少なくなります
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8:28 - 8:31中国の大部分の上層リーダ達は
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8:31 - 8:33トップにのし上がる為
競争してきました -
8:33 - 8:36他の先進国や開発途上国の
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8:36 - 8:38支配層のエリート達と比べれば
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8:38 - 8:40中国共産党は出世のチャンスが
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8:40 - 8:43とても高いことが分かるでしょう
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8:43 - 8:45ここで問題なのは 一党制で
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8:45 - 8:49本当に こんなことができるのか?
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8:49 - 8:51欧米諸国には あまり知られていませんが
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8:51 - 8:53パワフルな政治組織をご紹介します
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8:53 - 8:56中国共産党中央組織部です
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8:56 - 8:58この組織は 最も成功している―
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8:58 - 9:00企業がうらやむほどの
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9:00 - 9:04巨大人材エンジンのような役割を担います
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9:04 - 9:06回転式のピラミッドのように運営されていて
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9:06 - 9:073つの柱から構成されています
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9:07 - 9:10官公庁 国有企業
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9:10 - 9:12そして大学や政府管轄の事業を行う
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9:12 - 9:14社会組織です
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9:14 - 9:17それぞれ違う組織のため
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9:17 - 9:19統合された党幹部の育成を行っています
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9:19 - 9:22全3つの道において
大学卒業生を採用して -
9:22 - 9:24新卒レベルの役職を与えます
一番下の役職で -
9:24 - 9:26科員(Keyuan)と呼ばれます
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9:26 - 9:27その後4つの階級を経て
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9:27 - 9:32昇進していきます
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9:32 - 9:36副科長(Fuke) 科長(Ke) 副処長(Fuchu) 処長(Chu)
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9:36 - 9:38映画『ベスト・キッド』の空手技の名前ではなく
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9:38 - 9:41まじめな人事制度です
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9:41 - 9:44様々な仕事があり
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9:44 - 9:45村の健康管理の実施から
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9:45 - 9:48都市部の外国投資
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9:48 - 9:50企業の管理と広域です
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9:50 - 9:52年に一度 組織の党員の評価が行われます
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9:52 - 9:55上司や同僚
部下にインタビューを行い -
9:55 - 9:57素行調査も抜かりありません
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9:57 - 9:59世論調査も駆使して
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9:59 - 10:01成功者を昇進させます
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10:01 - 10:03幹部になる者たちは
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10:03 - 10:06この3分野全てで 仕事を経験することもできます
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10:06 - 10:09特に成功した幹部は
基礎の4つのレベルを超えて -
10:09 - 10:12副局長(Fuju) 局長(Ju)レベルに
躍進します -
10:12 - 10:14高官僚の道へと いざなわれます
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10:14 - 10:17その頃には こんな職責を負うようになります
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10:17 - 10:20数百万の人口を抱える地域や
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10:20 - 10:23数百万ドルの収入がある会社の統括です
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10:23 - 10:27このシステムの競争率の高さを
ご説明しましょう -
10:27 - 10:312012年に副科長と科長レベルは
90万人おりました -
10:31 - 10:34副処長と処長レベルは60万人
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10:34 - 10:37副局長と局長レベルは たった4万人です
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10:37 - 10:39局長レベルを超える
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10:39 - 10:41数少ない優秀な役員は
更に数ランク昇格して -
10:41 - 10:44最後は中央委員会に入ります
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10:44 - 10:47このプロセスには20~30年かかります
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10:47 - 10:50後援者は関与するでしょうか?
もちろんです -
10:50 - 10:54でも基本的な動力は能力主義です
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10:54 - 10:56要するに党がやっているのは
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10:56 - 10:59中国が昔行っていた
指導教育システムの -
10:59 - 11:01現代版です
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11:01 - 11:03中国の新国家主席の習近平ですが
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11:03 - 11:06元党首の息子です
これは とても珍しいです -
11:06 - 11:08この手のケースは初めてでしょう
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11:08 - 11:11習近平でさえトップに昇りつめるのに
30年掛かりました -
11:11 - 11:13彼のキャリアは農村管理者から始まりました
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11:13 - 11:14政治局に入局した時には
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11:14 - 11:17全1億5千万の人口を有する地域を
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11:17 - 11:18統括していました
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11:18 - 11:23地域全体のGDPは1兆5億米ドルでした
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11:23 - 11:25さて 誤解しないでいただきたいのですが
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11:25 - 11:28誰かを批判するつもりはありません
単なる事実です -
11:28 - 11:32ジョージ・W・ブッシュを覚えていますか?
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11:32 - 11:35ちなみに批判ではないです
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11:35 - 11:35(笑)
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11:35 - 11:38彼がテキサス州知事になる前
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11:38 - 11:41オバマ大統領が大統領選に出馬する前には
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11:41 - 11:44中国の制度では
小さな町の長にすらなれなかったでしょう -
11:44 - 11:46統括できないでしょう
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11:46 - 11:48ウィンストン・チャーチルはこう言いました
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11:48 - 11:50民主主義は酷いシステムだが
一番マシだ -
11:50 - 11:54チャーチルは中国共産党のことは
明らかに知らなかったみたいですね -
11:54 - 11:57欧米人は普通選挙権を使用した―
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11:57 - 12:00複数党の選挙が
唯一政治的に -
12:00 - 12:03正当であると考えます
-
12:03 - 12:06「中国共産党は選挙で選ばれないのなら
正当性はどこにあるんだ?」 -
12:06 - 12:09と聞かれたことがあります
-
12:09 - 12:12「能力で判断したらどうだろう?」と答えました
-
12:12 - 12:14事実でしたら確認できますよね
-
12:14 - 12:151949年に中国共産党が政権を握った時
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12:15 - 12:19中国は内戦から抜け出せず
他国からの武力侵略でズタズタでした -
12:19 - 12:23当時の平均寿命は41歳でした
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12:23 - 12:26今や中国は世界第2の経済大国です
-
12:26 - 12:29産業の要で 人々の生活は
-
12:29 - 12:31どんどん豊かになっています
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12:31 - 12:34ピュー研究所が中国人に意識調査を行ったところ
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12:34 - 12:36近年 こんな結果が出ています
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12:36 - 12:40国の方向性に満足している国民は85パーセント
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12:40 - 12:435年前よりも良い状況であると考える国民は
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12:43 - 12:4570パーセントです
-
12:45 - 12:47将来の展望は明るいと期待する人は
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12:47 - 12:5082パーセントにものぼります
-
12:50 - 12:54ファイナンシャル・タイムズ紙が行った
世界の若者の意識調査で -
12:54 - 12:57先週発表された 最新の数字によると
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12:57 - 13:00中国のY世代の93パーセントが
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13:00 - 13:02国の将来に前向きです
-
13:02 - 13:08これが先ほどの正当性の証拠でないとしたら
何が証拠になるでしょうか -
13:08 - 13:11これとは対照的に
世界のほとんどの選挙を行う選挙制民主主義国家は -
13:11 - 13:14評価が低いですね
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13:14 - 13:16ワシントンからヨーロッパまでの主要国政府が
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13:16 - 13:20どれほど機能不全に陥っているかは
この場で詳しく述べるまでもないでしょう -
13:20 - 13:23ほんの一握りの例外を除けば
-
13:23 - 13:26選挙制を取り入れている
多くの開発途上国が -
13:26 - 13:30いまだ貧困や内乱に苦しんでいます
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13:30 - 13:32選挙で選ばれた政府なのに
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13:32 - 13:34数ヶ月で支持率が50パーセントを下回り
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13:34 - 13:38次期選挙まで どんどん下降していきます
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13:38 - 13:40民主主義とは 選んでは後悔するという
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13:40 - 13:43終わりのない繰り返しになってきています
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13:43 - 13:46このままだと危機に瀕しているのは
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13:46 - 13:49中国の一党制ではなく
-
13:49 - 13:51民主主義ではないでしょうか
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13:51 - 13:54ここで間違った印象を与えたくありませんが
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13:54 - 13:56中国が素晴らしくて
これから超大国とか -
13:56 - 13:58世界一になるなんて言っていません
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13:58 - 14:01中国は大きな課題に直面しています
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14:01 - 14:03厳しい変革を伴う
社会・経済問題は -
14:03 - 14:07非常に複雑です
-
14:07 - 14:10大気汚染 食の安全
人口問題です -
14:10 - 14:14政治面では 汚職が最悪の問題です
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14:14 - 14:17腐敗が蔓延し
制度を脆弱にしています -
14:17 - 14:19道徳的イメージにも影をおとします
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14:19 - 14:22でも ほとんどのアナリストは
この原因を見誤っています -
14:22 - 14:25腐敗は一党制がもたらすため
-
14:25 - 14:26これを改善するには
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14:26 - 14:28全システムを変革しなければと言われています
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14:28 - 14:31しかし 注意深く見れば そうではないことが分かります
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14:31 - 14:34トランスペアレンシー・インターナショナル(TI)によると
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14:34 - 14:38腐敗指数の低い国ランキングで
ここ数年 中国は 170ヶ国中70~80位で -
14:38 - 14:40順位を上げています
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14:40 - 14:42世界最大の民主主義国家であるインドは
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14:42 - 14:4494位で順位を落としています
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14:44 - 14:47中国の下に位置する
約100の国々の -
14:47 - 14:50半数以上が選挙制による
民主主義国家です -
14:50 - 14:53ですから選挙が腐敗の万能薬なら
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14:53 - 14:56どうして低順位の国々は
立ち直れないんでしょうか? -
14:56 - 15:00私は投資家ですので
賭けをします -
15:00 - 15:02ですから 今日のトークで
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15:02 - 15:05ちょっと未来予想をしてみないと
フェアじゃないですよね -
15:05 - 15:07やってみましょう
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15:07 - 15:09今後 10年以内に
中国はアメリカを追い抜いて -
15:09 - 15:12世界一の経済大国になります
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15:12 - 15:14すべての開発途上国の中で
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15:14 - 15:16一人当たりの所得が ほぼトップになります
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15:16 - 15:18汚職は低減しますが
撲滅はされません -
15:18 - 15:21TIランキングで10~20ランクが上昇して
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15:21 - 15:2460位以内になるでしょう
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15:24 - 15:27経済変革が加速して
政治改革も継続します -
15:27 - 15:30一党制も固守されます
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15:30 - 15:33私たちは 一つの時代の終焉を迎えつつあります
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15:33 - 15:36普遍的主張となったメタナラティブによって
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15:36 - 15:38私たちは 20世紀に失敗したにもかかわらず
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15:38 - 15:4121世紀にも失敗しつつあります
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15:41 - 15:44メタナラティブは民主主義を
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15:44 - 15:47内側から破壊する癌です
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15:47 - 15:48ここで はっきりさせていただきますが
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15:48 - 15:51民主主義がダメだと言っているのではありません
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15:51 - 15:54その反対に 民主主義は西洋の発展と
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15:54 - 15:57近代社会の創造に寄与したと考えます
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15:57 - 16:00問題は多くの西洋のエリートが
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16:00 - 16:03自分たちの政治体制を過信していることが
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16:03 - 16:07現代の欧米諸国の病の根源なのです
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16:07 - 16:09彼らが他の国々に自分たちのやり方を
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16:09 - 16:11押し付ける時間を少しでも削って
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16:11 - 16:15自国の政治改革に時間を費やすならば
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16:15 - 16:18民主主義をうまく行なうチャンスがあるかもしれません
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16:18 - 16:20中国の政治モデルが
選挙による民主主義を -
16:20 - 16:23乗っ取るようなことは 決してありません
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16:23 - 16:25どこでも通用するとは考えていないからです
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16:25 - 16:29他の国には輸出できませんが
そこが重要です -
16:29 - 16:31中国の例が顕著である点は
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16:31 - 16:33代替案を提示しているのではなく
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16:33 - 16:38違う政治の形態が存在しうることを
自ら示しているのです -
16:38 - 16:41メタナラティブの時代を終わらせましょう
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16:41 - 16:45共産主義も民主主義も
どちらも素晴らしい理想かもしれません -
16:45 - 16:49でも それぞれの普遍性を
主張する時代は終わりました -
16:49 - 16:51周りの人たちや 自分の子供たちに
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16:51 - 16:53あるべき政治体制は一つであり
全ての社会が進むべき道は -
16:53 - 16:55一つであると教えるのは
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16:55 - 16:58もう止めましょう
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16:58 - 17:00間違っていますし あまりに無責任です
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17:00 - 17:05何より つまらないですしね
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17:05 - 17:09様々なものが存在できるという考えを
受け入れましょう -
17:09 - 17:12おそらく もっと面白い時代がやってきます
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17:12 - 17:14皆さんに迎え入れる勇気はありますか?
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17:14 - 17:15ありがとうございました
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17:15 - 17:31(拍手)
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17:31 - 17:35ありがとう どうもありがとう
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17:35 - 17:37ブルーノ・ジュサーニ: 質問がありますので
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17:37 - 17:40もう少しお話を聞かせてください
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17:40 - 17:43ここに来ている多くの方々や
概して欧米諸国では -
17:43 - 17:47民主主義体制が
機能不全に陥りつつあるという主張に -
17:47 - 17:49賛同するかと思います
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17:49 - 17:52ただ同時に
私たちの多くが不安に感じるのが -
17:52 - 17:56選挙によって選ばれない権力者がいて
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17:56 - 18:02彼らが 他からの監督や協議なしに
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18:02 - 18:05国家の利益について決定することです
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18:05 - 18:08中国のモデルのメカニズムについて
教えていただけますか? -
18:08 - 18:10国家の利益が国民のそれと相違した時は
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18:10 - 18:12国民が実際に批判することはできるんでしょうか?
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18:12 - 18:16政治学者のフランシス・フクヤマは
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18:16 - 18:20中国の体制を
「呼応する権威主義」と呼びました -
18:20 - 18:23厳密には違いますが
的を得た捉え方と考えます -
18:23 - 18:27中国で一番大きな
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18:27 - 18:29世論調査会社があるんですが
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18:29 - 18:32最大手のクライアントは
どこだと思いますか? -
18:32 - 18:34中国政府です
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18:34 - 18:36それも中央政府だけでなく
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18:36 - 18:38市や省政府から
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18:38 - 18:40最も小さい地区の役所までもが利用しています
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18:40 - 18:42常に世論調査を実施していて
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18:42 - 18:44ゴミ収集に満足していますか?
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18:44 - 18:47国政の方向性に満足していますか?
なんて聞いています -
18:47 - 18:50お分かりのとおり
中国には違った種類のメカニズムがあり -
18:50 - 18:53人々の考えや要求に きちんと呼応しています
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18:53 - 18:57私が言いたいのは
人々のニーズに応えるには -
18:57 - 18:59ひたすら選挙を繰り返す―
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18:59 - 19:01一つの政治体制しか存在しないという
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19:01 - 19:02思考から脱却すべきです
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19:02 - 19:04私は この世界で選挙が
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19:04 - 19:07呼応する政府を作るとは思えません
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19:07 - 19:12(拍手)
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19:12 - 19:13多くの方が賛同しているようですね
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19:13 - 19:16民主主義体制の一つの特徴は
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19:16 - 19:19市民社会が意思を表明できることです
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19:19 - 19:21先ほど中国において
政府と当局が -
19:21 - 19:24どれだけ支持を集めているか
具体的な数字を見せていましたね -
19:24 - 19:28でも 貴方は他の問題についても言及していました
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19:28 - 19:30大きな課題なんかです
他の方向に進みかねない -
19:30 - 19:33データも大量にあるはずです
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19:33 - 19:35何万もの動乱や抗議活動
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19:35 - 19:38環境保護抗議などです
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19:38 - 19:41これを見ると
中国のモデルは -
19:41 - 19:43国民が党の外で
市民社会が発言するような -
19:43 - 19:46自由が無いように見えるのですが
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19:46 - 19:50環境または その他によらず
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19:50 - 19:51中国には活発な市民社会があります
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19:51 - 19:54でも他国とは異なるので 皆さんは分からないでしょう
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19:54 - 19:57欧米の定義によると
市民社会とは -
19:57 - 19:59政治体制から分離されている―
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19:59 - 20:01あるいは それに反する立場でなければいけません
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20:01 - 20:06でも この定義は中国文化には該当しません
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20:06 - 20:08過去数千年もの間
中国には市民社会が存在しました -
20:08 - 20:11それでいて方向性が首尾一貫していて
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20:11 - 20:14政治秩序の一部でもあると考えます
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20:14 - 20:17大きな文化の違いですね
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20:17 - 20:21ブルーノ・ジュサーニ:TEDでシェアしてくれてありがとう
エリック・リー:ありがとう
- Title:
- 二つの政治体制の物語
- Speaker:
- エリック・X.・リー
- Description:
-
欧米社会における一般的な考え方では、社会が発展するにともない、資本主義社会を形成し、複数党から成る民主主義になります。正しいですよね?中国人の投資家であり政治学者であるエリック・X・ リーの見解は違います。通常の概念にチャレンジするトークのなかで、現代国家を成功に導く道は一つではないことを語りかけます。
- Video Language:
- English
- Team:
closed TED
- Project:
- TEDTalks
- Duration:
- 20:37
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Akiko Hicks edited Japanese subtitles for A tale of two political systems | |
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Yuko Yoshida accepted Japanese subtitles for A tale of two political systems | |
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