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二つの政治体制の物語

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    おはようございます
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    私はエリック・リーと申します
    私はここで生まれました
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    いや 違います
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    こちらの上海で生まれました
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    当時は文化大革命の真っただ中でした
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    私の祖母は 私の産声と共に
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    銃声を聞いたそうです
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    子供の頃 こんな話を聞きました
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    人類について
    知っておく必要があることを
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    全部教えてくれるものです
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    その話によれば 人間社会は全て
    同じ段階を踏んで発展します
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    原始社会から始まり 奴隷社会
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    封建社会 資本主義 社会主義を経て
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    最後はどこに辿り着くでしょうか?
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    共産主義です!
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    遅かれ早かれ 全ての人類は
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    文化 言語 国籍に関係無く
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    政治的 社会的に発展を遂げた
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    最終段階に到達するでしょう
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    そして全ての民族が
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    地上の楽園で結束し
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    末永く幸せに暮らすでしょう
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    でも この物語を実現するには
    善と悪との戦い
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    つまり 善たる社会主義と
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    悪たる資本主義との戦いで
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    善が勝たなければなりません
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    もちろん これはカール・マルクスの
    理論を基にした
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    「メタナラティブ」でした
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    中国人はこれを取り入れました
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    私達はこの大きな物語を
    来る日も来る日も教え込まれました
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    次第に私達の一部となり
    すっかり信じ込みました
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    この物語はベストセラーものでした
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    全世界の3分の1の人々が
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    このメタナラティブのもとに住んでいました
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    その後 世界は一夜で変わってしまいました
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    私といえば 自分の信条が失敗したことに幻滅して
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    渡米して バークレーでヒッピーになりました
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    (笑)
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    そこで青年時代の私が経験したのは
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    まるで一つの物語では事足りないように
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    別の「メタナラティブ」を聞かされました
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    こちらも壮大な話で
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    人間社会はただ一つの終点に向かって
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    同じ段階を踏んで発展するという主張です
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    具体的に ご説明します
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    全ての社会は 文化や
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    キリスト教 イスラム教 儒教に関わらず
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    グループが基本的な単位である―
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    伝統的な社会から
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    個人が 原子のように自律した単位となっている
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    近代社会へと発展するはずで
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    ここでの個々人は 理性的であり
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    人々が欲しているのは だだ一つ
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    投票です
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    なぜなら 人々は合理的なので
    投票さえすれば
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    良い政府が生まれて
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    末永く幸せに暮らせるからです
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    ここでも 地上の楽園ができるわけです
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    いずれ全世界で選挙制民主主義が選ばれて
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    これが唯一の政治体制となり
    自由市場と共に
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    すべての人がお金持ちになります
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    でもこの物語を実現するには
    またも格闘しなければいけません
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    そう 善と悪の間です
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    (笑)
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    善とは民主主義を支持する人々で
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    民主的な選挙を行わない悪の国に
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    時には力ずくで
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    世界中で民主主義を広める
    ミッションを担っています
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    ジョージ・H・W・ブッシュ: 新世界秩序は・・・
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    ジョージ・W・ブッシュ: 世界の圧政を止め・・・
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    バラク・オバマ: 権力を有する者に対して
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    共通の基準を
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    [ ジョージ・W・ブッシュ:「任務完了!」]
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    (笑)(拍手)
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    この話もベストセラーになりましたね
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    Freedom Houseの統計によれば
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    民主主義国家の数は
    1970年の45ヶ国から
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    2010年には115ヶ国になりました
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    過去20年もの間
    西洋のエリート達は
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    休む間もなく 世界中で
    この展望を売り回ったわけです
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    複数の政党が
    政治権力の奪い合いをして
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    民衆が投票を行うことが
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    長きに渡って苦しんでいる
    途上国に対する
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    唯一の救済の道です
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    この道を進めば 成功間違いなしというわけです
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    その道を外れれば すなわち失敗です
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    この時は中国人は これを取り入れませんでした
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    私も一回はだまされましたが・・・
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    (笑)
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    結果は歴史を見れば明らかでしょう
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    たった30年にして
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    中国は世界の最貧農業国から
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    世界第2位の経済大国になりました
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    6億5千万もの人々が
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    貧困から抜け出しました
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    その時期に成功した
    全世界の貧困緩和の8割が
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    中国で行われました
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    つまり 全ての新・旧民主主義国家を
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    すべて合わせても
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    選挙を行わない 一党独裁国家が
    成し遂げたことに届かないのです
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    私はこんな物を使って育ちました
    食料配給券です
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    ある時 肉が一月一人 数百グラムで
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    配給されました
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    言うまでもありませんが
    私は祖母の分まで食べました
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    いったい何が起こっているのだろう?と自問しました
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    ここ私のホームタウンでは
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    自分のビジネスが急成長しています
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    毎日のように新しい
    会社が生まれています
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    人類史において ミドルクラスが
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    前例のない速さと
    スケールで拡大しています
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    しかし 先ほどの大きな物語によると
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    こんなことは起こるはずがありません
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    そこで自分が唯一できること―
    調査を行いました
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    ご存知のとおり 中国は中国共産党による
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    一党独裁の国家で
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    選挙は行いません
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    私たちの時代に優勢だった
    政治論を用いて
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    3つの仮説が立てられました
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    中国の体制は運営的に柔軟性がなく
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    政治的に閉ざされていて
    道徳的に正しくないと
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    実は 仮説は間違いでした
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    実際はその反対でした
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    中国の一党制は
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    3つの特徴があります
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    適応性 エリート主義 合法性です
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    ほとんどの政治学者は
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    一党制は本質的に
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    自己補正が不可能であると言います
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    ですから適応できずに長続きしないと仮定します
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    ところが 事実はどうでしょうか
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    世界で一番大きな国を 64年も存続させ
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    近年では他の追随が無いほど
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    中国共産党の政策は幅広いです
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    急進的な集団農場化から大躍進政策
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    農地の準私有化
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    文化大革命
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    鄧小平の市場改革
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    後継者の江沢民は
    資本家の共産党入党を認める
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    大きな政治的一歩を踏み出しました
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    毛沢東の時代には
    想像だにしなかったことです
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    ですから党の自己補正は
    こんな劇的な形で行われています
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    制度的に 新しい規則は
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    機能不全に陥った規則を
    補正する形で制定されます
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    例えば 任期制です
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    かつて 政治指導者の職務は終身制で
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    指導者はそれを利用して
    権力を大きくしたり
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    自らのルールを押し付けたりしました
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    毛沢東は現代中国建国の父ですが
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    長きに渡る支配は
    悲惨な失態をもたらしました
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    そこで中国共産党は
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    定年退職年齢を68~70歳に設定しました
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    よく耳にするのが
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    「中国の政治改革は
    経済革命より大幅に遅れているので
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    政治改革が急務だ」という話です
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    でもこの批判は 政治的な偏見に隠された
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    言葉の罠です
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    つまり 最初から どんな変革がされるべきか
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    決めておいて
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    そうした変革だけが 政治改革と呼ばれうるのです
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    実際のところ政治改革は
    決して止まったことはありません
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    30年前 20年前
    もしくは10年前と比べても
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    地方レベルから中央トップの
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    統治方法をはじめ
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    中国社会における様々な側面が
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    今日では様変わりしています
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    根本的な政治改革無しに
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    このような変化は
    実現不可能でしょう
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    大胆に聞こえるかもしれませんが
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    政治改革においては
    中国共産党が世界の先駆者です
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    第2の仮定は
    一党独裁国家は
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    権力が少数の手に掌握されることで
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    統制がきかず
    腐敗が広がります
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    確かに腐敗は大きな問題です
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    でも まずは大きな枠組みで
    考えてみましょう
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    皆さんの直感とは
    相反するかもしれませんが
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    中国共産党は今日の世界で
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    能力主義が最も進んでいる
    政治政党の一つです
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    中国の最高指導機関である
    中央政治局は25名の委員から構成されます
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    現在の体制では その内5名だけが
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    いわゆる太子党と呼ばれる
    特権階級の出身です
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    他の 国家主席や国務院総理を含めた20名は
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    一般家庭の出身です
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    中央委員会においては
    300人以上在籍していますが
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    権力と富のある家庭の出身者の割合は
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    更に少なくなります
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    中国の大部分の上層リーダ達は
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    トップにのし上がる為
    競争してきました
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    他の先進国や開発途上国の
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    支配層のエリート達と比べれば
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    中国共産党は出世のチャンスが
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    とても高いことが分かるでしょう
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    ここで問題なのは 一党制で
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    本当に こんなことができるのか?
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    欧米諸国には あまり知られていませんが
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    パワフルな政治組織をご紹介します
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    中国共産党中央組織部です
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    この組織は 最も成功している―
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    企業がうらやむほどの
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    巨大人材エンジンのような役割を担います
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    回転式のピラミッドのように運営されていて
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    3つの柱から構成されています
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    官公庁 国有企業
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    そして大学や政府管轄の事業を行う
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    社会組織です
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    それぞれ違う組織のため
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    統合された党幹部の育成を行っています
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    全3つの道において
    大学卒業生を採用して
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    新卒レベルの役職を与えます
    一番下の役職で
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    科員(Keyuan)と呼ばれます
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    その後4つの階級を経て
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    昇進していきます
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    副科長(Fuke) 科長(Ke) 副処長(Fuchu) 処長(Chu)
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    映画『ベスト・キッド』の空手技の名前ではなく
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    まじめな人事制度です
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    様々な仕事があり
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    村の健康管理の実施から
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    都市部の外国投資
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    企業の管理と広域です
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    年に一度 組織の党員の評価が行われます
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    上司や同僚
    部下にインタビューを行い
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    素行調査も抜かりありません
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    世論調査も駆使して
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    成功者を昇進させます
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    幹部になる者たちは
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    この3分野全てで 仕事を経験することもできます
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    特に成功した幹部は
    基礎の4つのレベルを超えて
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    副局長(Fuju) 局長(Ju)レベルに
    躍進します
  • 10:12 - 10:14
    高官僚の道へと いざなわれます
  • 10:14 - 10:17
    その頃には こんな職責を負うようになります
  • 10:17 - 10:20
    数百万の人口を抱える地域や
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    数百万ドルの収入がある会社の統括です
  • 10:23 - 10:27
    このシステムの競争率の高さを
    ご説明しましょう
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    2012年に副科長と科長レベルは
    90万人おりました
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    副処長と処長レベルは60万人
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    副局長と局長レベルは たった4万人です
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    局長レベルを超える
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    数少ない優秀な役員は
    更に数ランク昇格して
  • 10:41 - 10:44
    最後は中央委員会に入ります
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    このプロセスには20~30年かかります
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    後援者は関与するでしょうか?
    もちろんです
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    でも基本的な動力は能力主義です
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    要するに党がやっているのは
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    中国が昔行っていた
    指導教育システムの
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    現代版です
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    中国の新国家主席の習近平ですが
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    元党首の息子です
    これは とても珍しいです
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    この手のケースは初めてでしょう
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    習近平でさえトップに昇りつめるのに
    30年掛かりました
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    彼のキャリアは農村管理者から始まりました
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    政治局に入局した時には
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    全1億5千万の人口を有する地域を
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    統括していました
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    地域全体のGDPは1兆5億米ドルでした
  • 11:23 - 11:25
    さて 誤解しないでいただきたいのですが
  • 11:25 - 11:28
    誰かを批判するつもりはありません
    単なる事実です
  • 11:28 - 11:32
    ジョージ・W・ブッシュを覚えていますか?
  • 11:32 - 11:35
    ちなみに批判ではないです
  • 11:35 - 11:35
    (笑)
  • 11:35 - 11:38
    彼がテキサス州知事になる前
  • 11:38 - 11:41
    オバマ大統領が大統領選に出馬する前には
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    中国の制度では 
    小さな町の長にすらなれなかったでしょう
  • 11:44 - 11:46
    統括できないでしょう
  • 11:46 - 11:48
    ウィンストン・チャーチルはこう言いました
  • 11:48 - 11:50
    民主主義は酷いシステムだが
    一番マシだ
  • 11:50 - 11:54
    チャーチルは中国共産党のことは
    明らかに知らなかったみたいですね
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    欧米人は普通選挙権を使用した―
  • 11:57 - 12:00
    複数党の選挙が
    唯一政治的に
  • 12:00 - 12:03
    正当であると考えます
  • 12:03 - 12:06
    「中国共産党は選挙で選ばれないのなら
    正当性はどこにあるんだ?」
  • 12:06 - 12:09
    と聞かれたことがあります
  • 12:09 - 12:12
    「能力で判断したらどうだろう?」と答えました
  • 12:12 - 12:14
    事実でしたら確認できますよね
  • 12:14 - 12:15
    1949年に中国共産党が政権を握った時
  • 12:15 - 12:19
    中国は内戦から抜け出せず
    他国からの武力侵略でズタズタでした
  • 12:19 - 12:23
    当時の平均寿命は41歳でした
  • 12:23 - 12:26
    今や中国は世界第2の経済大国です
  • 12:26 - 12:29
    産業の要で 人々の生活は
  • 12:29 - 12:31
    どんどん豊かになっています
  • 12:31 - 12:34
    ピュー研究所が中国人に意識調査を行ったところ
  • 12:34 - 12:36
    近年 こんな結果が出ています
  • 12:36 - 12:40
    国の方向性に満足している国民は85パーセント
  • 12:40 - 12:43
    5年前よりも良い状況であると考える国民は
  • 12:43 - 12:45
    70パーセントです
  • 12:45 - 12:47
    将来の展望は明るいと期待する人は
  • 12:47 - 12:50
    82パーセントにものぼります
  • 12:50 - 12:54
    ファイナンシャル・タイムズ紙が行った
    世界の若者の意識調査で
  • 12:54 - 12:57
    先週発表された 最新の数字によると
  • 12:57 - 13:00
    中国のY世代の93パーセントが
  • 13:00 - 13:02
    国の将来に前向きです
  • 13:02 - 13:08
    これが先ほどの正当性の証拠でないとしたら
    何が証拠になるでしょうか
  • 13:08 - 13:11
    これとは対照的に
    世界のほとんどの選挙を行う選挙制民主主義国家は
  • 13:11 - 13:14
    評価が低いですね
  • 13:14 - 13:16
    ワシントンからヨーロッパまでの主要国政府が
  • 13:16 - 13:20
    どれほど機能不全に陥っているかは
    この場で詳しく述べるまでもないでしょう
  • 13:20 - 13:23
    ほんの一握りの例外を除けば
  • 13:23 - 13:26
    選挙制を取り入れている
    多くの開発途上国が
  • 13:26 - 13:30
    いまだ貧困や内乱に苦しんでいます
  • 13:30 - 13:32
    選挙で選ばれた政府なのに
  • 13:32 - 13:34
    数ヶ月で支持率が50パーセントを下回り
  • 13:34 - 13:38
    次期選挙まで どんどん下降していきます
  • 13:38 - 13:40
    民主主義とは 選んでは後悔するという
  • 13:40 - 13:43
    終わりのない繰り返しになってきています
  • 13:43 - 13:46
    このままだと危機に瀕しているのは
  • 13:46 - 13:49
    中国の一党制ではなく
  • 13:49 - 13:51
    民主主義ではないでしょうか
  • 13:51 - 13:54
    ここで間違った印象を与えたくありませんが
  • 13:54 - 13:56
    中国が素晴らしくて
    これから超大国とか
  • 13:56 - 13:58
    世界一になるなんて言っていません
  • 13:58 - 14:01
    中国は大きな課題に直面しています
  • 14:01 - 14:03
    厳しい変革を伴う
    社会・経済問題は
  • 14:03 - 14:07
    非常に複雑です
  • 14:07 - 14:10
    大気汚染 食の安全
    人口問題です
  • 14:10 - 14:14
    政治面では 汚職が最悪の問題です
  • 14:14 - 14:17
    腐敗が蔓延し
    制度を脆弱にしています
  • 14:17 - 14:19
    道徳的イメージにも影をおとします
  • 14:19 - 14:22
    でも ほとんどのアナリストは
    この原因を見誤っています
  • 14:22 - 14:25
    腐敗は一党制がもたらすため
  • 14:25 - 14:26
    これを改善するには
  • 14:26 - 14:28
    全システムを変革しなければと言われています
  • 14:28 - 14:31
    しかし 注意深く見れば そうではないことが分かります
  • 14:31 - 14:34
    トランスペアレンシー・インターナショナル(TI)によると
  • 14:34 - 14:38
    腐敗指数の低い国ランキングで
    ここ数年 中国は 170ヶ国中70~80位で
  • 14:38 - 14:40
    順位を上げています
  • 14:40 - 14:42
    世界最大の民主主義国家であるインドは
  • 14:42 - 14:44
    94位で順位を落としています
  • 14:44 - 14:47
    中国の下に位置する
    約100の国々の
  • 14:47 - 14:50
    半数以上が選挙制による
    民主主義国家です
  • 14:50 - 14:53
    ですから選挙が腐敗の万能薬なら
  • 14:53 - 14:56
    どうして低順位の国々は
    立ち直れないんでしょうか?
  • 14:56 - 15:00
    私は投資家ですので
    賭けをします
  • 15:00 - 15:02
    ですから 今日のトークで
  • 15:02 - 15:05
    ちょっと未来予想をしてみないと
    フェアじゃないですよね
  • 15:05 - 15:07
    やってみましょう
  • 15:07 - 15:09
    今後 10年以内に
    中国はアメリカを追い抜いて
  • 15:09 - 15:12
    世界一の経済大国になります
  • 15:12 - 15:14
    すべての開発途上国の中で
  • 15:14 - 15:16
    一人当たりの所得が ほぼトップになります
  • 15:16 - 15:18
    汚職は低減しますが
    撲滅はされません
  • 15:18 - 15:21
    TIランキングで10~20ランクが上昇して
  • 15:21 - 15:24
    60位以内になるでしょう
  • 15:24 - 15:27
    経済変革が加速して
    政治改革も継続します
  • 15:27 - 15:30
    一党制も固守されます
  • 15:30 - 15:33
    私たちは 一つの時代の終焉を迎えつつあります
  • 15:33 - 15:36
    普遍的主張となったメタナラティブによって
  • 15:36 - 15:38
    私たちは 20世紀に失敗したにもかかわらず
  • 15:38 - 15:41
    21世紀にも失敗しつつあります
  • 15:41 - 15:44
    メタナラティブは民主主義を
  • 15:44 - 15:47
    内側から破壊する癌です
  • 15:47 - 15:48
    ここで はっきりさせていただきますが
  • 15:48 - 15:51
    民主主義がダメだと言っているのではありません
  • 15:51 - 15:54
    その反対に 民主主義は西洋の発展と
  • 15:54 - 15:57
    近代社会の創造に寄与したと考えます
  • 15:57 - 16:00
    問題は多くの西洋のエリートが
  • 16:00 - 16:03
    自分たちの政治体制を過信していることが
  • 16:03 - 16:07
    現代の欧米諸国の病の根源なのです
  • 16:07 - 16:09
    彼らが他の国々に自分たちのやり方を
  • 16:09 - 16:11
    押し付ける時間を少しでも削って
  • 16:11 - 16:15
    自国の政治改革に時間を費やすならば
  • 16:15 - 16:18
    民主主義をうまく行なうチャンスがあるかもしれません
  • 16:18 - 16:20
    中国の政治モデルが
    選挙による民主主義を
  • 16:20 - 16:23
    乗っ取るようなことは 決してありません
  • 16:23 - 16:25
    どこでも通用するとは考えていないからです
  • 16:25 - 16:29
    他の国には輸出できませんが
    そこが重要です
  • 16:29 - 16:31
    中国の例が顕著である点は
  • 16:31 - 16:33
    代替案を提示しているのではなく
  • 16:33 - 16:38
    違う政治の形態が存在しうることを
    自ら示しているのです
  • 16:38 - 16:41
    メタナラティブの時代を終わらせましょう
  • 16:41 - 16:45
    共産主義も民主主義も
    どちらも素晴らしい理想かもしれません
  • 16:45 - 16:49
    でも それぞれの普遍性を
    主張する時代は終わりました
  • 16:49 - 16:51
    周りの人たちや 自分の子供たちに
  • 16:51 - 16:53
    あるべき政治体制は一つであり
    全ての社会が進むべき道は
  • 16:53 - 16:55
    一つであると教えるのは
  • 16:55 - 16:58
    もう止めましょう
  • 16:58 - 17:00
    間違っていますし あまりに無責任です
  • 17:00 - 17:05
    何より つまらないですしね
  • 17:05 - 17:09
    様々なものが存在できるという考えを
    受け入れましょう
  • 17:09 - 17:12
    おそらく もっと面白い時代がやってきます
  • 17:12 - 17:14
    皆さんに迎え入れる勇気はありますか?
  • 17:14 - 17:15
    ありがとうございました
  • 17:15 - 17:31
    (拍手)
  • 17:31 - 17:35
    ありがとう どうもありがとう
  • 17:35 - 17:37
    ブルーノ・ジュサーニ: 質問がありますので
  • 17:37 - 17:40
    もう少しお話を聞かせてください
  • 17:40 - 17:43
    ここに来ている多くの方々や
    概して欧米諸国では
  • 17:43 - 17:47
    民主主義体制が
    機能不全に陥りつつあるという主張に
  • 17:47 - 17:49
    賛同するかと思います
  • 17:49 - 17:52
    ただ同時に
    私たちの多くが不安に感じるのが
  • 17:52 - 17:56
    選挙によって選ばれない権力者がいて
  • 17:56 - 18:02
    彼らが 他からの監督や協議なしに
  • 18:02 - 18:05
    国家の利益について決定することです
  • 18:05 - 18:08
    中国のモデルのメカニズムについて
    教えていただけますか?
  • 18:08 - 18:10
    国家の利益が国民のそれと相違した時は
  • 18:10 - 18:12
    国民が実際に批判することはできるんでしょうか?
  • 18:12 - 18:16
    政治学者のフランシス・フクヤマは
  • 18:16 - 18:20
    中国の体制を
    「呼応する権威主義」と呼びました
  • 18:20 - 18:23
    厳密には違いますが
    的を得た捉え方と考えます
  • 18:23 - 18:27
    中国で一番大きな
  • 18:27 - 18:29
    世論調査会社があるんですが
  • 18:29 - 18:32
    最大手のクライアントは
    どこだと思いますか?
  • 18:32 - 18:34
    中国政府です
  • 18:34 - 18:36
    それも中央政府だけでなく
  • 18:36 - 18:38
    市や省政府から
  • 18:38 - 18:40
    最も小さい地区の役所までもが利用しています
  • 18:40 - 18:42
    常に世論調査を実施していて
  • 18:42 - 18:44
    ゴミ収集に満足していますか?
  • 18:44 - 18:47
    国政の方向性に満足していますか?
    なんて聞いています
  • 18:47 - 18:50
    お分かりのとおり
    中国には違った種類のメカニズムがあり
  • 18:50 - 18:53
    人々の考えや要求に きちんと呼応しています
  • 18:53 - 18:57
    私が言いたいのは
    人々のニーズに応えるには
  • 18:57 - 18:59
    ひたすら選挙を繰り返す―
  • 18:59 - 19:01
    一つの政治体制しか存在しないという
  • 19:01 - 19:02
    思考から脱却すべきです
  • 19:02 - 19:04
    私は この世界で選挙が
  • 19:04 - 19:07
    呼応する政府を作るとは思えません
  • 19:07 - 19:12
    (拍手)
  • 19:12 - 19:13
    多くの方が賛同しているようですね
  • 19:13 - 19:16
    民主主義体制の一つの特徴は
  • 19:16 - 19:19
    市民社会が意思を表明できることです
  • 19:19 - 19:21
    先ほど中国において
    政府と当局が
  • 19:21 - 19:24
    どれだけ支持を集めているか
    具体的な数字を見せていましたね
  • 19:24 - 19:28
    でも 貴方は他の問題についても言及していました
  • 19:28 - 19:30
    大きな課題なんかです
    他の方向に進みかねない
  • 19:30 - 19:33
    データも大量にあるはずです
  • 19:33 - 19:35
    何万もの動乱や抗議活動
  • 19:35 - 19:38
    環境保護抗議などです
  • 19:38 - 19:41
    これを見ると
    中国のモデルは
  • 19:41 - 19:43
    国民が党の外で
    市民社会が発言するような
  • 19:43 - 19:46
    自由が無いように見えるのですが
  • 19:46 - 19:50
    環境または その他によらず
  • 19:50 - 19:51
    中国には活発な市民社会があります
  • 19:51 - 19:54
    でも他国とは異なるので 皆さんは分からないでしょう
  • 19:54 - 19:57
    欧米の定義によると
    市民社会とは
  • 19:57 - 19:59
    政治体制から分離されている―
  • 19:59 - 20:01
    あるいは それに反する立場でなければいけません
  • 20:01 - 20:06
    でも この定義は中国文化には該当しません
  • 20:06 - 20:08
    過去数千年もの間
    中国には市民社会が存在しました
  • 20:08 - 20:11
    それでいて方向性が首尾一貫していて
  • 20:11 - 20:14
    政治秩序の一部でもあると考えます
  • 20:14 - 20:17
    大きな文化の違いですね
  • 20:17 - 20:21
    ブルーノ・ジュサーニ:TEDでシェアしてくれてありがとう
    エリック・リー:ありがとう
Title:
二つの政治体制の物語
Speaker:
エリック・X.・リー
Description:

欧米社会における一般的な考え方では、社会が発展するにともない、資本主義社会を形成し、複数党から成る民主主義になります。正しいですよね?中国人の投資家であり政治学者であるエリック・X・ リーの見解は違います。通常の概念にチャレンジするトークのなかで、現代国家を成功に導く道は一つではないことを語りかけます。

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Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TEDTalks
Duration:
20:37

Japanese subtitles

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