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MRIで人の思考を読む | ジョン=ディラン・ヘイズ | TEDxBerlin

  • 0:08 - 0:12
    正直に打ち明けてください
  • 0:12 - 0:15
    誰もが秘密の1つや2つあるでしょう
  • 0:16 - 0:17
    少なくとも1つは
  • 0:17 - 0:22
    皆様に簡単な実験に参加して頂きます
  • 0:22 - 0:24
    何か1つあなたの秘密を考えて下さい
  • 0:24 - 0:28
    頭の中でイメージするだけです
  • 0:28 - 0:32
    秘密なのだから誰も知らない
  • 0:32 - 0:34
    頭の中なので
  • 0:34 - 0:37
    隣の人が分かるはずがない
  • 0:37 - 0:39
    と思いがちですね
  • 0:39 - 0:41
    今日 それに挑戦したいと思います
  • 0:41 - 0:45
    あなたのプライバシーが
    あなたが感じているように
  • 0:45 - 0:47
    本物なのかどうか 問いたいのです
  • 0:47 - 0:50
    あなたの秘密は
    ありふれた事かもしれません
  • 0:50 - 0:53
    クレジットカードの暗証番号
    のような単純なものか
  • 0:53 - 0:56
    他人に知られたくない様な
    恥ずかしい事かもしれません
  • 0:56 - 1:01
    例えばネットで 愉快な
    猫のビデオを見ているとか
  • 1:01 - 1:03
    そんなことです
  • 1:03 - 1:05
    では人の思考を読み取ることが
    できるでしょうか
  • 1:07 - 1:12
    実は ある程度 人の精神状態や
  • 1:12 - 1:15
    感情は ボディランゲージや
  • 1:15 - 1:18
    顔の表情から読み取ることができます
  • 1:18 - 1:21
    かの有名なエクマン表情を見ると
  • 1:21 - 1:25
    顔の表情で感情がわかりますが
  • 1:25 - 1:28
    それは非常に限られています
  • 1:28 - 1:32
    左の人を見ると明らかに驚いていますが
  • 1:32 - 1:35
    何に驚いているのか
    何を見ているのか
  • 1:35 - 1:38
    何が聞こえているのか
    驚いている原因が分かりません
  • 1:38 - 1:41
    目に見える事
    ボディランゲージや
  • 1:41 - 1:45
    顔の表情を見ただけでは分からないので
    もっと深く入って行く必要があります
  • 1:45 - 1:48
    もっと深くとは 体のある部分
  • 1:48 - 1:52
    思考をコード化し保管する部分に
    入って行く必要があります
  • 1:52 - 1:54
    それは脳です
  • 1:54 - 1:58
    私は脳科学者ですが
    脳科学では 長年
  • 1:58 - 2:01
    脳の事実が次から次へと
    解明されてきましたが
  • 2:01 - 2:02
    常に同じ1つの事 —
  • 2:02 - 2:07
    思考と脳の情報処理過程との
    密接な関係に突き当たります
  • 2:07 - 2:11
    ある人の思考を探し出す事は
    その人をMRIに入れるなら
  • 2:11 - 2:13
    理論上可能です
  • 2:13 - 2:18
    問題は脳の言葉を
    どう翻訳するかです
  • 2:18 - 2:22
    脳を読み取る為にそれを
    翻訳することが必要です
  • 2:22 - 2:25
    情報が記録されている方法を
    理解する必要があります
  • 2:25 - 2:29
    あるシンプルな例が
    この手助けとなります
  • 2:29 - 2:31
    それはCDの表面に情報が
    保管されている仕組です
  • 2:31 - 2:34
    これが どのように
    機能しているかを見てみましょう
  • 2:34 - 2:39
    情報がコード化してある
    CD上のピットパターンがそれです
  • 2:39 - 2:41
    1つの曲には
  • 2:41 - 2:44
    1つのピットパターンがあり
  • 2:44 - 2:48
    別の曲は 別のパターンという風です
  • 2:48 - 2:51
    これは脳に情報が
    記録されている方法にとても似ています
  • 2:51 - 2:56
    脳は活動の空間的なパターンで
    思考を保管します
  • 2:56 - 2:58
    でも その読み方は?
  • 2:58 - 3:01
    脳活動パターンの意味が
    どうやって分かるのでしょう?
  • 3:01 - 3:04
    その為に所謂 脳のスキャナーである
  • 3:04 - 3:08
    MRIとして知られている
    テクノロジーを使います
  • 3:08 - 3:11
    基本的に強力な磁場が発生しますが
  • 3:11 - 3:13
    脳には全く害を及ぼしません
  • 3:13 - 3:17
    これで脳活動を示す
    高画質の画像が撮れます
  • 3:17 - 3:18
    我々がしていることは
  • 3:18 - 3:22
    ベルリンのシャリティ病院の
    ラボを訪れる被験者の方々に
  • 3:22 - 3:24
    MRIに入ってもらい
  • 3:24 - 3:27
    脳の活動パターンを読み取ります
  • 3:27 - 3:31
    撮った画像はこんなものです
  • 3:31 - 3:33
    脳のイメージです
  • 3:33 - 3:35
    これらの画像を写真と
    混同しないで下さい
  • 3:35 - 3:37
    写真ではありません
  • 3:37 - 3:42
    ある空間の出来事を正確に
    表している完璧なものではなく
  • 3:42 - 3:46
    脳のこれらの部分が
    ある思考に関わっているという
  • 3:46 - 3:50
    その確率の高さを示している分布図です
  • 3:50 - 3:52
    その確率の高さを示している分布図です
  • 3:52 - 3:56
    暖色のオレンジや
    赤色の部分が見られます
  • 3:56 - 3:59
    これらは普段より
    活発になっている領域で
  • 3:59 - 4:00
    特定の思考をしている時の物です
  • 4:00 - 4:06
    ブルーの寒色の領域は
    普段より活動的でない場所です
  • 4:06 - 4:10
    しかし この脳活動のパターンは
    何を意味しているのでしょう?
  • 4:10 - 4:13
    今この人が考えている事が
    分かる方いますか?
  • 4:13 - 4:14
    どうでしょう?
  • 4:14 - 4:16
    難しいですね
  • 4:16 - 4:19
    これでは この人が
  • 4:19 - 4:22
    ブランデンブルク門の事を
    考えているとか分かりません
  • 4:22 - 4:24
    そんな事は書かれていない
  • 4:24 - 4:27
    抽象的な脳のコードですから
  • 4:27 - 4:30
    こういう事は良く分っていて
  • 4:30 - 4:31
    脳科学者なら知っています
  • 4:31 - 4:34
    人類は200年前 同じ様な
    問題に直面しています
  • 4:34 - 4:37
    人々がヒエログリフ(象形文字)
    に出会った
  • 4:37 - 4:39
    2百年前 ヒエログリフが何だか
  • 4:39 - 4:42
    何を意味しているのか
    誰も分かりませんでした
  • 4:42 - 4:43
    ピラミッドにこれを発見して
  • 4:43 - 4:46
    「壁紙のような飾りに違いない」
    と言う人もいれば
  • 4:46 - 4:50
    「たぶん何か意味があるのだろう」
    という人もいました
  • 4:50 - 4:52
    何を意味しているのでしょう?
  • 4:52 - 4:55
    どういう意味だと思いますか?
    よく似た問題で
  • 4:55 - 4:58
    脳画像みたいに
    分かりませんね
  • 4:58 - 5:03
    脳画像を見て
    脳だという事は言えますが
  • 5:03 - 5:05
    これはどうやって 理解します?
  • 5:05 - 5:09
    古代エジプト人の家族がいる訳でもないし
    分かる訳ありません
  • 5:09 - 5:12
    人々は翻訳のところで躓きました
  • 5:12 - 5:17
    1799年に かの有名な翻訳文書である
    ロゼッタストーンが発見されました
  • 5:17 - 5:20
    今ではロンドンの大英博物館に
    展示されています
  • 5:20 - 5:26
    この有名なロゼッタストーンには
    ヒエログリフで文章が書かれており
  • 5:26 - 5:29
    またギリシャ語と—
    ここでは重要ではないのですが
  • 5:29 - 5:32
    デモティック語でも書かれています
  • 5:32 - 5:36
    この翻訳を元に ヒエログリフは
    人々が分かっていた言語である
  • 5:36 - 5:39
    古代ギリシャ語に翻訳できたのです
  • 5:39 - 5:42
    これで仕事が 随分楽になりした
  • 5:42 - 5:46
    我々も脳用の “ロゼッタストーン”
    を探せば良いだけなんです
  • 5:46 - 5:47
    簡単そうですね
  • 5:47 - 5:49
    でもどこに行って?
  • 5:49 - 5:53
    北アフリカ それとも東南アジアで
    発掘できるのでしょうか?
  • 5:53 - 5:55
    脳のロゼッタストーンなんて
    どこにあるのでしょう?
  • 5:55 - 6:00
    脳のロゼッタストーンなるものを
    見つけた人がいないのは
  • 6:00 - 6:05
    脳はヒエログリフとは比べ物にならない程
    はるかに複雑だからです
  • 6:05 - 6:10
    暗号解読と呼ばれるような
    何か他のものが要ります
  • 6:10 - 6:16
    第2次世界大戦中に
    ドイツ人が誇りにしていた
  • 6:16 - 6:19
    自分達の通信を暗号化していた
    エニグマ暗号機があります
  • 6:19 - 6:22
    ドイツは軍の機密文書を この機械にかけ
  • 6:22 - 6:26
    誰も読めないようにバラバラにし
  • 6:26 - 6:30
    潜水艦にその暗号化された文書を送り
  • 6:30 - 6:33
    そこで エニグマに
    それを通して解読していました
  • 6:33 - 6:36
    コードさえ分かれば これは出来ます
  • 6:36 - 6:40
    イギリス人はコードが分からず
    解読できなかったので
  • 6:40 - 6:43
    強引な統計方法を産み出し
  • 6:43 - 6:47
    そこに潜むコードを
    読み取ったそうです
  • 6:47 - 6:50
    我々は 脳画像を使い
    それに似た事をして
  • 6:50 - 6:53
    ヒトの考えていることを
    理解しようとしています
  • 6:53 - 6:55
    その方法を詳しく説明します
  • 6:55 - 6:57
    簡単な例を挙げましょう
  • 6:57 - 7:00
    左に3つの画像が見えますね
  • 7:00 - 7:03
    MRIの中で被験者が
    見ているものです
  • 7:03 - 7:06
    ブランデンブルグ門と花束と
    ジャーマン・シェパード犬です
  • 7:06 - 7:10
    右は それぞれの脳活動パターンです
  • 7:10 - 7:12
    ご覧のように大きく異なります
  • 7:12 - 7:17
    思考それぞれに特有の
    脳活動パターンが見られます
  • 7:17 - 7:18
    思考それぞれに特有の
    脳活動パターンが見られます
  • 7:18 - 7:21
    1つの思考に
    1つの活動パターンが見られ
  • 7:21 - 7:24
    思考により
    活動パターンが異なります
  • 7:24 - 7:26
    コンピュータを訓練すると
  • 7:26 - 7:29
    脳活動のパターンを認識し
  • 7:29 - 7:32
    右上の活動パターンが現れるなら
  • 7:32 - 7:36
    この人はブランデンブルグ門の事を
    考えているのだと分かります
  • 7:36 - 7:40
    指紋から個人を判定するようなものです
  • 7:40 - 7:43
    人の指紋を取り
    データベースに入れ
  • 7:43 - 7:46
    ソフトウェアを使いデータベースから
    指紋を判定するのと同じです
  • 7:46 - 7:47
    これが我々がしている事です
  • 7:47 - 7:50
    コンピュータを訓練して
  • 7:50 - 7:52
    脳活動パターンを認知させています
  • 7:52 - 7:55
    コンピュータも
    我々が多額を掛けたプログラムも
  • 7:55 - 7:58
    投資しただけの価値を示して
  • 7:58 - 8:00
    思考を解読してもらわないと
    困ります
  • 8:00 - 8:03
    それで脳活動のパターンを
    コンピュータに送ります
  • 8:03 - 8:05
    何だか分からないようなパターンでも
  • 8:05 - 8:10
    コンピュータが正確に思考を
    読み取れるかどうかで決まります
  • 8:10 - 8:13
    これが とてもうまく行くんです
  • 8:13 - 8:18
    こんなシンプルなゲームでも
    完璧に近い結果が出て
  • 8:18 - 8:20
    ほぼ毎回正確です
  • 8:20 - 8:24
    これはMRIの中で
    被験者が見る画像です
  • 8:24 - 8:26
    でも こう言えますね
  • 8:26 - 8:28
    「MRIの中で画像を見るなら
  • 8:28 - 8:31
    その人が見ている画像を
    見さえすれば
  • 8:31 - 8:33
    その人の考えている事は
    分かるのでは」と
  • 8:33 - 8:35
    それで もう少し難しくして
  • 8:35 - 8:38
    次に あるイメージを
    想像してもらうだけにします
  • 8:38 - 8:42
    MRI内の被験者に
  • 8:42 - 8:46
    時計 手 顔 など様々な事を
    思い浮かべてもらい
  • 8:46 - 8:49
    その都度 脳活動パターンを撮り
  • 8:49 - 8:52
    想像だけに基づく思考が解読できます
  • 8:52 - 8:55
    環境には 何もなく
    頭の中での思考だけですが
  • 8:55 - 8:59
    コンピュータの画面には
    MRI内の人の思考が現れます
  • 8:59 - 9:02
    これも驚く程 巧く行きます
  • 9:02 - 9:03
    また こう言えます
  • 9:03 - 9:08
    「これでは まだ学問の域を出ないので
    何かもっと面白いものを探そう
  • 9:08 - 9:10
    人の振る舞いとか
    決断とか
  • 9:10 - 9:11
    人の思考に関係のある事を」と
  • 9:11 - 9:14
    それで我々は いくつかの研究で
  • 9:14 - 9:16
    人の決断過程を見てみました
  • 9:16 - 9:18
    これは とてもシンプルな選択—
  • 9:18 - 9:22
    全く関連のないものからの選択です
  • 9:22 - 9:23
    例えば
  • 9:23 - 9:26
    「左と右のボタン どちらを押したい?」
  • 9:26 - 9:28
    または もう少し関連性があるもの
  • 9:28 - 9:31
    「この車は好きですか?買いたいですか?
  • 9:31 - 9:33
    それとも こちらの車を買いたいですか?」とか
  • 9:33 - 9:37
    そうして被験者の脳活動を読み取ります
  • 9:37 - 9:40
    最初のケースでは
    被験者が決断した後を見ます
  • 9:40 - 9:43
    決断後にその脳活動の画像を撮り
  • 9:43 - 9:46
    選択の決断が下されるまでを解読します
  • 9:46 - 9:49
    誰もがしている選択—
  • 9:49 - 9:53
    BMWとベンツの
    どちらにしようかなどの
  • 9:53 - 9:54
    選択です
  • 9:54 - 9:56
    脳活動から それが
    読み取れるでしょうか?
  • 9:56 - 10:00
    出来ます しかも その正確さは
    かなり高い確率なのです
  • 10:00 - 10:05
    でも選択そのものは どうでしょう
  • 10:05 - 10:08
    何を選ぼうと
    自由ではあるのですが
  • 10:08 - 10:11
    その選択の理由は何なのでしょう?
  • 10:11 - 10:15
    それで選択する前に
    戻って見てみると
  • 10:15 - 10:18
    分かった事は ある程度
  • 10:18 - 10:21
    自由選択のどのオプションを選ぶのか
  • 10:21 - 10:23
    予測できたのです
  • 10:23 - 10:27
    それも被験者が実際に決断を下す前—
  • 10:27 - 10:31
    意識して決断する早くて7秒も前にです
  • 10:31 - 10:35
    あなたが 今何かを決めたつもりでも
    脳は すでに7秒前には
  • 10:35 - 10:39
    その決断の準備をしているのです
  • 10:39 - 10:40
    何故そんな事が あり得るのでしょう
  • 10:40 - 10:44
    ここで重要な謎が 浮かび上がります
  • 10:44 - 10:46
    普段 私たちは 選択をする過程で
  • 10:46 - 10:48
    連鎖する事柄を考えます
  • 10:48 - 10:52
    そして まず誰にも言わず
    決めた事は頭の中だけです
  • 10:52 - 10:55
    それから 脳を使い体を動かします
  • 10:55 - 10:58
    決断を人に伝える行動が その1つです
  • 10:58 - 11:00
    しかし この実験で分かった事は
  • 11:00 - 11:04
    脳が決断の準備をした
  • 11:04 - 11:07
    その数秒後に意識が働き出し
  • 11:07 - 11:10
    体を動かし物事をし始める
    というのです
  • 11:10 - 11:15
    多くの興味深い疑問が
    これから湧いてきます
  • 11:15 - 11:20
    「行動の責任はどこに?」
    という最も重要な疑問です
  • 11:20 - 11:23
    意識が決断の後に来る つまり
  • 11:23 - 11:25
    本人が認識する前に
    決断が下されているなら
  • 11:25 - 11:28
    その人に行動の責任が
    あるのでしょうか?
  • 11:28 - 11:31
    犯罪を犯しそれは自分の
    無意識の脳がした事で
  • 11:31 - 11:34
    決断して行動に移す前に
    脳で起きていた事なので
  • 11:34 - 11:37
    犯罪を犯した本人の責任ではない
  • 11:37 - 11:38
    と言えるかもしれません
  • 11:38 - 11:42
    このような人の自由意志に
    関しての興味深い疑問が
  • 11:42 - 11:44
    湧いてきます
  • 11:44 - 11:47
    皆さんも考えておいて下さい
  • 11:47 - 11:49
    では 次の問いに移りますが
  • 11:49 - 11:52
    これに興味があるなら
    我々のウェブサイトをご覧下さい
  • 11:52 - 11:54
    次の質問です
  • 11:54 - 11:58
    19世紀に人々がしていた
    同じようなステージショーの1つ
  • 11:58 - 12:02
    心を読む事が テクノロジーを使って
    出来るでしょうか
  • 12:02 - 12:05
    これは そんな事を
    ステージでやっている絵です
  • 12:05 - 12:08
    魔術師が観客から誰か1人を選び
  • 12:08 - 12:11
    ステージに呼び目隠しをし その人に
    何かを思い浮かべてもらいます
  • 12:11 - 12:14
    ある形とか 人とかです
  • 12:14 - 12:16
    そして魔術師が
    その人の思考を読み取り
  • 12:16 - 12:20
    黒板にそれを描きます
  • 12:20 - 12:23
    これを何か新しいものに
    置き換えられるでしょうか?
  • 12:23 - 12:25
    MRIを舞台の上に置いて
    出来るでしょうか?
  • 12:25 - 12:28
    MRIの中に人を入れ
  • 12:28 - 12:31
    その人の考えている事を黒板に書く
  • 12:31 - 12:33
    それが出来るでしょうか?
  • 12:33 - 12:37
    ある程度はできても
    そんなに巧くは行きません
  • 12:37 - 12:39
    その理由を説明しましょう
  • 12:39 - 12:43
    まず MRIの解像度は
    非常に限られています
  • 12:43 - 12:45
    解像度が数ミリだということは
  • 12:45 - 12:49
    最小の計測ボリュームの中に
    最大百万個もの神経細胞が
  • 12:49 - 12:51
    あるという事です
  • 12:51 - 12:55
    1ピクセルにはそんなに多くの
    神経細胞が含まれています
  • 12:55 - 13:00
    それで基本的にMRIの画像を
    もっと高解度にする必要があります
  • 13:00 - 13:03
    そうすれば個々の細胞の活動に
  • 13:03 - 13:06
    本当に全容の詳細を読み取りたい時
    ズームインできます
  • 13:06 - 13:09
    しかし ここには解像度より
    もっと深刻な問題が含まれています
  • 13:09 - 13:14
    その1つは 私たちは
    各個人特有の脳言語で
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    情報を記録しているという事です
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    ここに4つの異なる
    脳活動パターンがあります
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    4人とも同じ思考をしているのに
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    パターンが違うのです
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    情報の処理の仕方が
    1人ずつ異なるという事で
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    私たちが なかなか理解し合えない
    理由が説明できますね
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    1人1人脳活動パターンに
    これ程違いがあるのですから
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    これが大きな課題なんです
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    ある人の分析結果は
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    別の人に適用できないのです
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    別の人ではうまく行かないのです
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    もう1つの問題は
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    好みとか思考は
    その人の脳言語を変え
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    一生を通して
    変化しているかもしれません
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    若い時は好きな映画は
    『ラッシー』とか
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    好きな食べ物はハンバーガー
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    好きな音楽はヘビーメタルだったりでも—
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    正直言って 皆さん そうでしょう?
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    大人になると好みも変わって来て
    感傷的な映画が好きになったり
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    自分に言い聞かせながらだとしても
    サラダを好きになったり
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    好きな音楽はバイエルン吹奏楽の曲
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    とかでしょう?
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    それで問題は脳活動パターンは
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    一生を通して この様に
    情報の変化を起こし
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    これに対しては 我々は
    対処法がないのですが
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    それよりも大きな問題は
    非常に多様な私達の思考です
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    私はモンティ・パイソンの
    この言葉が好きです
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    「私のホバークラフトには うなぎが一杯」
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    今日こんな考えをする人がいるなんて
    誰も思わなかったでしょう
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    仮に その当日について
    考えている事を推測する
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    コンピュータプログラムを作成しても
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    絶対「私のホバークラフトはうなぎで一杯」
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    なんてことはまず出てこないでしょう
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    こんな状況も説明できるべきなのです
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    いろんな事を考える脳のための
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    全てが載っている辞書が
    一冊あれば良いのですが・・・
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    それで思考を脳活動パターンに
    翻訳する辞書が必要となります
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    でも ありません
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    あるとしたら どんなものでしょう
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    被験者に十分な報酬を払い
    ここに来てもらい
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    20年間MRIで被験者の
    脳画像を撮るとします
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    一日目は辞書の
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    appleから始まり
    それを20年間続け
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    zで始まるzebraなどの言葉で
    やっと辞書を読み終わる
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    それが思考の脳活動パターンを
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    測定する方法なのでしょうか?
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    幸運にも 近道があるのです
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    脳自体が情報を うまくアレンジしていて
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    脳の言葉を分かり易くしてくれ
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    類似の法則を使っているのです
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    これを説明しましょう
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    右上に仮想上の
    脳活動パターンがあります
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    この人は車のことを考えています
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    右下は自転車の事を
    考えている人の脳活動パターンです
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    しかしMRIでは異なるパターンが
    測定されました
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    車と自転車のパターンの
    ミックスのようですが
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    何だと思いますか?
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    オートバイです
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    こんな類似の法則を
    巧く利用することができるので
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    脳内の思考を全部知る必要はありません
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    それでも多くの思考を解読できます
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    これから 多くの技術が
    派生する事が考えられます
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    例えば 嘘発見機や
    脳マーケットもあり得
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    そんなビジネスとしての可能性に
    人々は関心を寄せています
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    このテクノロジーを使い
    犯罪科学や
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    医療の分野にも応用され
    動けない人が突如動き出し
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    コンピューターを使ったり
    様々な事ができるようになる等です
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    ここで議論すべき課題は
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    この様なテクノロジーから望む事は何か
    何が倫理的に可能なのかという事です
  • 16:43 - 16:46
    しかし1つ大きな疑問が付き纏います
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    あなたは自由に
    操られてしまうのでしょうか
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    そんな事は心配要りません
    なぜなら まずその人に
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    MRIに入ってもらわなくては
    ならないからです
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    私たちの思考は ある程度
    プライベートなものです
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    世界中どこを歩いても大丈夫
    あなたの脳を
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    遠隔操作で覗く携帯MRIなど
    誰も持っていません
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    あなたが考えている
    クレジットカードの暗証番号を
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    読み取る人などいません
    心配しないで下さい
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    それでも まだ皆さんは
    ある事を心配してますね
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    自分の脳を他人に操られる
    可能性があるのではと
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    ここで言う「操る」とは
    思考を人の脳に植え付け
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    ある特定の事を考えさせることです
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    SF映画
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    『ストレンジ・デイズ』とか
    『インセプション』等のように
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    それは 今は あり得ません
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    私たちの思考は
    脳にコード化されていて
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    その上 脳活動パターンが
    複雑で とても緻密だからです
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    脳活動パターンには
    実に細かな部分が多いのです
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    現在 脳を刺激するテクノロジーはありますが
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    ピンポイントではないので
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    こんなに緻密なパターンを
    脳に書けるような
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    そんなテクノロジーは
    今は まだありません
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    それでMRIでは ある程度
    思考を読み取れますが
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    今のテクノロジーでは
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    特にあなたの脳に他人が思考を
    プログラムして植え付けるなんていう
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    心配は全くありません
  • 18:12 - 18:13
    ありがとうございました
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    (拍手)
Title:
MRIで人の思考を読む | ジョン=ディラン・ヘイズ | TEDxBerlin
Description:

ジョン=ディラン・ヘイズは、ヒトの認知過程のニューロン機構に焦点をおいて研究しています。彼は、ヒトの自由意志、企図と認識の神経科学だけでなく、特に思考の解読に於ける、テクニカルな部分と倫理的な部分にも関心を持っています。MRIを使い、ヒトの思考を読み取る彼の研究をお聴き下さい。
このビデオは、TEDカンファレンスとは独立して運営されるTEDxイベントにおいて、収録されたものです。

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Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TEDxTalks
Duration:
18:22

Japanese subtitles

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