テクノロジーがいかに現実を切り取っているかを明らかにするアート
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0:01 - 0:03私はアーティストであり
エンジニアです -
0:03 - 0:09近ごろ 私たちの知覚にテクノロジーが
どのように介在するかについて -
0:09 - 0:11よく考えています
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0:12 - 0:16それは全く目に付かないように
巧妙に行われています -
0:17 - 0:21テクノロジーは現実世界の
実体験であるかのように装って -
0:21 - 0:25私たちの現実に対する認識を
形作るように作られています -
0:25 - 0:30その結果 そのようなテクノロジーの存在を
私たちはまったく意識しなくなり -
0:30 - 0:32気づきさえしなくなっています
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0:33 - 0:36私がいつもかけているメガネを
例にとってみましょう -
0:36 - 0:40メガネは 私が身の回りを
日常的に経験する方法の一部となっています -
0:40 - 0:42メガネによって 常に
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0:42 - 0:46現実が切り取られていても
ほとんど気にも留めません -
0:46 - 0:50私の言うテクノロジーも同じように
機能するようデザインされています -
0:50 - 0:53私たちが見たり考えたりすることに
変化を与えながらも -
0:53 - 0:55存在は意識されません
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0:56 - 0:59私が自分のメガネを意識するのは
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0:59 - 1:02メガネに意識を向けさせることが
起きた時くらいのものです -
1:02 - 1:06メガネが汚れたり
処方が変わったりした時です -
1:06 - 1:11そこで自問しました
「アーティストとして何ができるだろう? -
1:11 - 1:14私たちの現実を形作っている―
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1:14 - 1:20報道やソーシャルメディア
広告やサーチエンジンなどの -
1:20 - 1:22デジタルメディアに
どうしたら同じように -
1:22 - 1:24注意を向けられるだろう?」と
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1:25 - 1:30そこで 私は
様々な知覚装置を作りました -
1:30 - 1:33自分たちの世界の見方に
違和感を持たせ -
1:33 - 1:35疑問を投げかける装置です
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1:37 - 1:43例えば 昨今では 私たちの多くが
自分の意見とは違う意見に対して -
1:43 - 1:45アレルギー反応のようなものを
起こします -
1:46 - 1:52いわば「心理的アレルギー」があることにさえ
気づいていないかもしれません -
1:53 - 1:58そこで 赤色に対して人工的にアレルギーを
引き起こすヘルメットを作りました -
1:58 - 2:02これを装着すると
感覚過敏を模して 赤いものが -
2:02 - 2:04大きく見えるようになります
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2:05 - 2:08ノシーボとプラシーボの
2つのモードがあります -
2:09 - 2:15ノシーボモードでは
感覚過敏の知覚体験を作り出します -
2:15 - 2:17赤色が目に入る度に
赤が大きく見えます -
2:18 - 2:22ソーシャルメディアの
増幅効果に類似していて -
2:22 - 2:24何か気に入らないものが目に入ると
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2:24 - 2:27自分と同じような考え方をする人と
一緒になって -
2:27 - 2:32メッセージやミームを交換するので
さらに怒りが増幅されるというものです -
2:32 - 2:36ときには ほんの些細な議論が増幅され
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2:36 - 2:38度を失った規模に
膨れ上がります -
2:39 - 2:44それは私たちが怒りの政治の中で
生きているからかもしれません -
2:45 - 2:48プラシーボモードは
こんなアレルギーへの人工治療です -
2:49 - 2:51赤色が目に入る度に
赤が縮んで見えます -
2:52 - 2:54デジタルメディア同様
一時しのぎに過ぎません -
2:55 - 2:57自分と意見が異なる人々に出くわすと
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2:57 - 2:59フォローを外して
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2:59 - 3:02一切 目に入らないようにするのです
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3:02 - 3:06対象を回避することで
アレルギーを治療するのです -
3:06 - 3:10でも反対意見を意図的に無視する
このやり方では -
3:10 - 3:14人間の社会は過度に細分化され
分断を深めてしまいます -
3:15 - 3:18このヘルメットの内部のデバイスは
現実を再構築し -
3:18 - 3:21拡張現実を創り出す
一連のレンズを通して -
3:21 - 3:23私たちの目に映し出します
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3:24 - 3:29赤色を取り上げたのは
強烈で感情に訴えるからですが -
3:29 - 3:31可視性も高いと同時に
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3:31 - 3:32政治的でもあります
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3:32 - 3:34前回 行われた―
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3:34 - 3:37アメリカ大統領選挙の勢力地図を
このヘルメットを通して見ると -
3:37 - 3:38どうなるでしょうか?
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3:38 - 3:39(笑)
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3:39 - 3:43あなたが共和党支持か民主党支持かは
まったく関係ありません -
3:43 - 3:47なぜなら媒介により私たちの知覚が
改変されているからです -
3:47 - 3:50どちらの側も
アレルギーを持っているのです -
3:51 - 3:52デジタルメディアでは
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3:52 - 3:56私たちが毎日目にするものは
しばしば介在されており -
3:56 - 3:57非常に巧妙に行われています
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3:58 - 4:00もし私たちがこの事を
意識しなければ -
4:00 - 4:05多くの心理的アレルギーに対して
脆弱なままであり続けることになります -
4:07 - 4:10知覚は私たちのアイデンティティの
一部であるだけではなく -
4:10 - 4:15デジタルメディアにおいては
バリューチェーンの一部でもあるのです -
4:16 - 4:20私たちの視界には
あまりに多くの情報が詰め込まれ -
4:20 - 4:25私たちの知覚は不動産価値を持つ
商品になってしまったのです -
4:26 - 4:30無意識の偏りを悪用するために
デザインは利用され -
4:30 - 4:33自分の意見を再確認するコンテンツを
アルゴリズムは好みます -
4:33 - 4:37それゆえ 視野の隅々までもが
広告を販売するために -
4:37 - 4:39侵食されるのです
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4:39 - 4:43このように あなたの通知画面に
小さな赤い点が現れると -
4:43 - 4:48それは大きく広がり
頭の中を埋め尽くします -
4:49 - 4:52メガネにちょっとした汚れを
つける方法や -
4:52 - 4:55メガネのレンズを変える方法を
考え始めるうちに -
4:55 - 4:57別のプロジェクトを思いつきました
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4:57 - 5:01これからお見せするのはコンセプトです
現実の製品ではありません -
5:02 - 5:04ウェブブラウザのプラグインで
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5:04 - 5:08いつもは気も留めないような事柄に
気づかせてくれます -
5:09 - 5:12先ほどのヘルメットのように
このプラグインは現実を再構築しますが -
5:13 - 5:16今回はデジタルメディア
そのものを再構築します -
5:17 - 5:20ふるい落とされた
隠れた声を目立たせます -
5:20 - 5:22あなたが着目すべきことが
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5:22 - 5:24より大きく活性化していきます
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5:24 - 5:29この例では猫たちの中から
ジェンダーバイアスの記事が浮かび上がります -
5:29 - 5:31(笑)
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5:31 - 5:36アルゴリズムによって増幅される事象を
このプラグインで希釈できました -
5:37 - 5:39このコメント欄のように
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5:39 - 5:42同じ意見を叫んでいる人が
たくさんいると -
5:42 - 5:45このプラグインはそのようなコメントを
ものすごく小さくします -
5:45 - 5:46(笑)
-
5:46 - 5:51画面上で表示されるピクセルの量が
-
5:51 - 5:56このスレッドに貢献している
実際の価値に比例しています -
5:56 - 5:58(笑)
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5:59 - 6:03(拍手)
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6:05 - 6:09このプラグインは
私たちの視界の不動産価値も示し -
6:09 - 6:12私たちの知覚がどれほど
商品化されているかを教えてくれます -
6:13 - 6:15広告ブロッカーとは異なり
-
6:15 - 6:17あなたがウェブで目にする
すべての広告について -
6:17 - 6:20あなたが稼げるはずの広告料を
表示してくれます -
6:20 - 6:22(笑)
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6:22 - 6:25私たちは現実と
商用流通化された現実との -
6:25 - 6:272つの現実のはざまにある
戦場で生活しており -
6:27 - 6:32このプラグインの次のバージョンは
商用化現実を打ちのめして -
6:32 - 6:35ありのままの事実を
見せるようにします -
6:35 - 6:37(笑)
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6:38 - 6:42(拍手)
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6:43 - 6:47このアイデアに様々な道があることが
想像できるでしょう -
6:47 - 6:51この技術を実際に製品化するなら
高いリスクになるのは分かっています -
6:52 - 6:55私はこのプラグインを
善意をもって -
6:55 - 6:59知覚を訓練し 偏りを排除するために
作り上げました -
6:59 - 7:03でも同様のアプローチは
悪用することもできます -
7:03 - 7:06例えば世論を操作するために
このようなプラグインの -
7:06 - 7:08インストールを
市民に強要するようなことです -
7:09 - 7:12公正かつ個人的なものにするのは
簡単ではなく -
7:12 - 7:15その努力がなければ 介在するものを
増やすだけになってしまいます -
7:16 - 7:19さて これは私たちにとって
どういう意味を持つのでしょう? -
7:19 - 7:23テクノロジーが 人々の分断を
深めているのだとしても -
7:23 - 7:27既存のモデルを打ち壊し
さらにその先に進むことによって -
7:27 - 7:30再び世界をつなぐことに
利用できると思うのです -
7:31 - 7:34これらのテクノロジーと
いかに接点を持つかを探ることで -
7:34 - 7:39私たちは習慣化した
機械的ともいえる行動から抜け出して -
7:39 - 7:42最終的にお互いの共通の基盤を
見いだせるのです -
7:43 - 7:45テクノロジーは
中立になりえません -
7:45 - 7:48文脈をもたらし 現実を切り取ります
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7:48 - 7:51これは問題でもありますが
解決策でもあります -
7:52 - 7:57私たちの盲点を発見し
知覚を訓練し直すことに利用でき -
7:58 - 8:01そうすれば お互いの見方を
選び取れるのです -
8:02 - 8:03ありがとうございました
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8:03 - 8:06(拍手)
- Title:
- テクノロジーがいかに現実を切り取っているかを明らかにするアート
- Speaker:
- ジャーバオ・リー
- Description:
-
皆さんのものの見方を変えてしまうかもしれないトークで、デザイナーでありアーティストでもあるジャーバオ・リーは、デジタルメディア固有の偏りを明らかにするような自身のコンセプチュアル・アート作品を紹介します。赤という色に「アレルギー反応」を起こさせるヘルメットから、予想外の方法でネット上のコンテンツをふるいにかけるブラウザのプラグインまで、リーの作品は私たちが現実を知覚する上で、いかにテクノロジーが介在しているかを明らかにします。
- Video Language:
- English
- Team:
- closed TED
- Project:
- TEDTalks
- Duration:
- 08:21
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