生徒を信じ向き合うこと: すべての生徒に成功する力がある | アビル・アベッド博士 | TEDxWeizmannInstitute
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0:11 - 0:14私の告白を聞いて下さい
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0:14 - 0:19でもその前に 皆さんに
打ち明けて頂きたいことがあります -
0:19 - 0:23ここにいるどれくらいの方が
人生で心から好きと思えることをしているでしょうか? -
0:23 - 0:25手を上げて頂けますか
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0:25 - 0:27(笑)
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0:27 - 0:29分かりました ありがとうございます
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0:30 - 0:32私の告白はこちらです
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0:32 - 0:37どんな悪夢の中でも 教師になるなんて
思っていませんでした -
0:37 - 0:43でも 今私は人生で心から好きなことをしています
教師をしています -
0:43 - 0:46私の名前はアビル
アビル・アベッド博士です -
0:46 - 0:52これから 私の物語と
こんな劇的な変化が起きた経緯をお話しします -
0:52 - 0:5925年前 私は化学工学部を卒業しました
学校はテクニオン -
0:59 - 1:01つまりイスラエル工科大学でした
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1:01 - 1:06それから仕事を探しましたが
納得のいく仕事が見つかりませんでした -
1:06 - 1:09そして悪運によって
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1:09 - 1:13ナザレのアル・ガリル高校で
教鞭を執り始めました -
1:13 - 1:18なぜなら 私は生計を立てたかった
そして他に選択肢がなかったからです -
1:19 - 1:23まず 私にとって特別なアル・ガリル高校について
お話ししなければなりません -
1:24 - 1:29アル・ガリル高校はナザレで唯一の
選抜試験のない高校です -
1:29 - 1:33ナザレはイスラエル北部で
最大のアラブ都市です -
1:33 - 1:40共学のアラブ系高校であり
生徒のほとんどは女性です -
1:40 - 1:44中程度の成績の生徒が多く
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1:44 - 1:48社会経済的地位が低い家庭の
出身者が大半を占めます -
1:49 - 1:57これから一緒に25年前に戻りましょう
私が初めてアル・ガリル高校に来た日です -
1:58 - 2:02その日 私は心の底から緊張していました
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2:02 - 2:06私は そこにいるべきでないように感じていました
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2:06 - 2:11校庭に足を踏み入れたとき
最初に私の頭をよぎったのは -
2:11 - 2:13「諦めて 家に帰ろう」という考えでした
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2:14 - 2:18最初の授業は大きなトラウマになりました
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2:19 - 2:22教室に入った私は
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2:22 - 2:26自己紹介をして
生徒たちのことを知ろうとする代わりに -
2:26 - 2:32黒板の近く 教壇の後ろに立ちました
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2:32 - 2:36まるで そうすることにより
生徒たちの好奇の視線から自分を守るかのように -
2:36 - 2:41片手にノートを持ち もう片方の手で
白いチョークを持っていました -
2:41 - 2:46そして 低く震える声で授業を始めました
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2:46 - 2:52それはそれは孤独なショーでした
自分でも酷いと感じ ごまかそうとしていました -
2:52 - 2:55しかし数分も経たないうちに 生徒たちは
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2:55 - 2:58私が居心地悪くしていることに気づきました
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2:58 - 3:03そして クラス全体が見事に崩壊しました
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3:05 - 3:09私はどうしようもなく感じました
ただ何をすべきか全く分からなかったのです -
3:10 - 3:15そんな教師1日目が終わったとき
私はとても落ち込み 極度の疲労感に襲われました -
3:15 - 3:21そして 自分には2つの選択肢があり
どちらかを選ばなければいけないと思いました -
3:21 - 3:251つ目の 容易な選択肢は
ただ辞めてしまうことです -
3:25 - 3:30私は教師になんてなりたくない
一度だって望んでなかった だからもう終わり -
3:31 - 3:362つ目の選択肢は 困難な状況を受け入れて
そこに留まることです -
3:36 - 3:40お分かりの通り 私は2つ目を選びました
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3:41 - 3:46私はそれまでの自分の人生とは
違う道を選びました -
3:46 - 3:49そして 生徒の人生も変える道になりました
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3:49 - 3:52つまり 教師として生きることを決めました
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3:52 - 3:56化学の教師として生きることを決めました
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3:56 - 4:00他人では代われない
化学教師になる決意をしました -
4:00 - 4:05疑問に思う方がいるかもしれません
「なぜそこに留まる決意をしたか?」 -
4:05 - 4:10それはおそらく 私を育てた両親の育て方に
関係しているんだと思います -
4:10 - 4:12私は貧しい家庭に生まれました
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4:12 - 4:15父はパン職人で 母は主婦でした
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4:15 - 4:18つまり 一人の給料で10人を
養わなくてはいけませんでした -
4:18 - 4:21というのも 両親の他に6人の息子と
2人の娘がいたんです -
4:21 - 4:25しかし 経済的にとても困難でありながら
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4:25 - 4:29いつも両親は私たち子どもに
学習し 高い教育を受けるよう勇気づけました -
4:30 - 4:32父はよく こう言いました
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4:32 - 4:37「高い教育を受けられれば
良い給料が保障され 立派な生活が待っている」 -
4:37 - 4:42だから 学級崩壊が起きていても
教室で自分に似た境遇の生徒を見たとき -
4:42 - 4:45彼女たちと昔の自分を
重ねていることに気がつきました -
4:45 - 4:48私には 彼女たちがどんな場所から
来ているかがよく分かります -
4:48 - 4:53だから なぜそのような振る舞いをするのか
理解できました -
4:53 - 4:57なぜ 突然現れた奇妙な人に
耳を傾けないか -
4:57 - 5:00ましてや 化学なんていう
奇妙な言葉を話している人になんて -
5:00 - 5:02私にとって その答えは明らかでした
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5:02 - 5:05生徒は一番楽な道を選ぶのです
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5:05 - 5:09彼女たちは 学習することを諦め
学校を辞めること選んでいきます -
5:09 - 5:11その時 私自身にも子どもがいました
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5:11 - 5:15そして ひそかにこう思っていました
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5:15 - 5:19「自分の子どもには
こんな経験をしてほしくない -
5:19 - 5:23学習を諦めるようかと
少しでも考えさせるような経験なんて」 -
5:23 - 5:30その時 私は大きなやりがいを感じました
これが私の使命だと思いました -
5:32 - 5:36私たちは皆 信念に突き動かされて
生きていると私は信じています -
5:36 - 5:42そして 私は心の底からこう信じています
すべての生徒は成功したい思っていて -
5:42 - 5:45すべての生徒に成功する力があると
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5:45 - 5:50私は生徒たちが成功するために
全力を尽くせると知っていました -
5:50 - 5:52でも どんな方法が良いか?
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5:52 - 5:57どうやって生徒を学習に参加させ
集中させるのか? -
5:57 - 6:02当時は 今やっているようなやり方が
まったく分かりませんでした -
6:02 - 6:06そのため まずは教員免許を
取らなくてはいけないと思いました -
6:06 - 6:10その後 私は大学院に進み
科学教育と技術を専攻し -
6:10 - 6:14修士号と博士号を取得しました
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6:14 - 6:18そして 25年の教育経験と学習の結果
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6:18 - 6:23良い結果を生むための
3つの教育指針を考案しました -
6:23 - 6:26私が教えるときは
それらを必ず実践しています -
6:26 - 6:281つ目は
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6:28 - 6:32生徒に学習の主導権を握らせることで
学習効果は最大になるのです -
6:33 - 6:39実際にやらなければ本当の学習はできません
聞いたり見たりするだけでは不十分です -
6:40 - 6:42孔子はこう言ったそうです
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6:42 - 6:48「聞いたことは忘れる
見たことは覚える -
6:48 - 6:51やったことは分かる」
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6:53 - 6:56私たちは生徒のとき
ただ講義を聞いているだけでした -
6:56 - 6:59先生のスライドやビデオを見て
疑問に思ったのではないでしょうか -
6:59 - 7:03どうやったらそれを
テストのときに思い出せるだろうか? -
7:03 - 7:07そこで私に提案があります
生徒を学習プロセスに巻き込んで下さい -
7:07 - 7:12そうすれば 生徒は知識を思い出す必要がなく
自分で組み立てられるようになります -
7:12 - 7:17そのためには 学習の焦点を
教師から生徒にシフトさせる必要があります -
7:17 - 7:21そして 最良の方法はチームワークです
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7:21 - 7:23三人寄れば文殊の知恵です
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7:23 - 7:27生徒たちは 疑問の創出
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7:27 - 7:31話し合い そして結論にたどり着く
といった一連のプロセスに関わります -
7:31 - 7:35チームワークの中で プロセスに関与することで
学習が有意義なものになります -
7:35 - 7:40生徒たちには 将来必要となるスキルを
与えてくれます -
7:40 - 7:44例えば 人間関係上の
コミュニケーションスキルなどです -
7:45 - 7:51しかし ほとんどの公立学校や大学で
見る光景はどうでしょうか? -
7:52 - 7:57教師は話を始めると ずっと話続けます
一方 生徒は聞いているだけです -
7:57 - 7:59私たちはこれを講義と呼んでいます
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8:01 - 8:05こんな発言に聞き覚えはありますか?
「ちゃんと聞かないから 分からないんですよ -
8:05 - 8:10理解できなかった人のために
もう一度話すので聞いて下さい」 -
8:10 - 8:12聞き覚え ありますよね
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8:12 - 8:17こんなことを言うから
生徒たちは受動的になるんです -
8:17 - 8:21覚えて頂きたいことは
本当の学習と本当の巻き込みを達成するために -
8:21 - 8:26生徒に言葉を浴びせるのではなく
耳を傾けなければいけないのです -
8:26 - 8:30そうすれば 生徒たちは自由に
安心して意見を言えるのです -
8:30 - 8:36そう 2つ目の指針は
教師は生徒の話を聞くべきという点です -
8:36 - 8:41教師は耳を傾け
生徒は発言するべきなのです -
8:41 - 8:45「聞く」は良い教育を行う上で
必要不可欠なキーワードの1つです -
8:45 - 8:52生徒は ひとたび自分の考えや疑問が受け入れられ
大事にしてもらえたと分かれば -
8:52 - 8:57全力で学習するようになる傾向があります
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8:57 - 8:583つ目の指針は
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8:58 - 9:02授業をリアルで
生徒の生活を取り込んだ内容にする点です -
9:02 - 9:08今日何を学ぶかを話すのではなく
なぜ学ぶかを話しましょう -
9:08 - 9:12生徒がそれを学ぶことが
なぜ大事なのかを話しましょう -
9:12 - 9:15例えば 授業の初めに
こう言うとどうでしょうか? -
9:15 - 9:19「今日は 分子軌道における電子配置と
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9:19 - 9:21そこに光が相互作用する場合に
何が起きるかを学びます」 -
9:24 - 9:27この説明で あなたは
本当に知りたくなりますか? -
9:27 - 9:30分子軌道における電子配置なんて
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9:31 - 9:35それぞれの用語が何を意味するかだって
理解できるでしょうか? -
9:35 - 9:37誰も授業を聞こうとなんて思いません
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9:37 - 9:43生徒をやる気にさせる教師は
同じ授業を始めるときにこう切り出します -
9:43 - 9:48「花火の特徴的な色が
どうやって作られるか知っていますか?」 -
9:50 - 9:54また 果物や野菜がどうして特徴的な色を
しているか知っていますか? -
9:56 - 10:00なんできゅうりは緑色なのでしょうか?
なんでトマトは赤いのでしょうか?」 -
10:00 - 10:03全然違うように聞こえませんか?
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10:03 - 10:07「では 答えを知りたいですか?
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10:07 - 10:13じゃあ 分子軌道の電子配置など
について学びましょう」 -
10:13 - 10:20現実世界とつながったとき
学習は最大の効果を生むのです -
10:20 - 10:24良い教え方の本質は
生徒との良い関係を作るところにあります -
10:24 - 10:30本質は 人間らしくいるところ
生徒に成功する力があると信じるところ -
10:30 - 10:34プロとして常に全力を尽くすところにあります
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10:35 - 10:41卒業生からこんなことを聞いたら
どんなに嬉しいでしょうか -
10:41 - 10:46「化学は興味深い科目になりました
昔は嫌悪に近い感覚を持っていたのに -
10:46 - 10:53避けてた気持ちは好奇心に変わり
できないことへの恐怖はチャレンジに変わりました」 -
10:53 - 11:01また 別の生徒は言いました
化学の先生になりたい -
11:01 - 11:04そして 私のように授業をしたいと
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11:05 - 11:08こうなれば おのずと結果が出てきます
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11:08 - 11:12私の生徒たちは
上位10%に入るようになりました -
11:12 - 11:15大学入学試験の成績でです
これは政府が課す試験で -
11:15 - 11:18受験時期は高校卒業直前です
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11:21 - 11:28私は 人でごった返す 泣くくらい問題だらけの
クラスをいくつも担当してきました -
11:30 - 11:36私はいつも考えました
どうすれば 生徒たちを10ヵ月で -
11:36 - 11:38政府の最終試験で良い成績を
残せるようにできるか -
11:38 - 11:41それは難しいものでした
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11:41 - 11:48教える熱意がなく 信念もなければ
私は間違いなく失敗していたでしょう -
11:50 - 11:55熱意ある先生は 生徒に大きな影響を
与えることができるのです -
11:55 - 11:59この影響力は さらに大きくなります
もし教師が本気でこう信じることができれば -
11:59 - 12:05すべての生徒が成功を望んでいて
すべての生徒に成功する力があると -
12:05 - 12:09化学教師ということもあり
私は方程式が大好きです -
12:09 - 12:14だから 成功を保証する方程式を
ここに書きました -
12:14 - 12:18SはP掛けるBの二乗となります
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12:18 - 12:24Sは成功 Pは教育への熱意
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12:24 - 12:28そしてBは生徒を信じることです
信じなければいけないことが2つあります -
12:28 - 12:32生徒が成功を望んでいると信じること
生徒に成功する力があると信じることです -
12:32 - 12:38もし自分たちの子どもに成功する力があると
すべての人が信じれば 子どもは成功します -
12:38 - 12:39なぜかと言うと
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12:41 - 12:45私たちは 期待したものを
得ることができる場合が多いからです -
12:46 - 12:53良い教育には 理性と同じくらい
熱意が重要なんです -
12:53 - 12:58私は すべての生徒には最高の教師と
出会う権利があると信じています -
12:58 - 13:03自分の子どもには そんな教師に教わってほしい
そう思いませんか? -
13:03 - 13:08だから 私たちは生徒に
自分の子どもに耳を傾ける必要があります -
13:08 - 13:14また 彼らに暖かく協力してあげて下さい
そして これらを愛を持って行うのです -
13:14 - 13:16私を信じてやってみて下さい
彼らはそれを理解し -
13:16 - 13:20授業への積極的な参加や
敬意という形で示してくれるでしょう -
13:21 - 13:24生徒をやる気にさせる教師が教える理由は
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13:24 - 13:29他に仕事の選択肢がなく
生計を立てるためではありません -
13:29 - 13:35彼らは 毎日大きな愛を持って教室に入り
教えることを選んだからです -
13:36 - 13:37ありがとうございました
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13:37 - 13:39(拍手)
- Title:
- 生徒を信じ向き合うこと: すべての生徒に成功する力がある | アビル・アベッド博士 | TEDxWeizmannInstitute
- Description:
-
このスピーチで、アビル・アベッド博士は、熱意のある先生は生徒に大きな影響を与えることを伝えています。そしてその影響力は、生徒に成功する力があると先生が心から信じることで、さらに大きくなると主張しています。また、良い教育をもたらすと彼女が信じ、教室で実施している3つの教育指針を紹介しています。
このビデオはTEDカンファレンスとは独立して運営されるTEDxイベントにおいて収録されたものです。
- Video Language:
- English
- Team:
closed TED
- Project:
- TEDxTalks
- Duration:
- 13:41
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Yuko Yoshida edited Japanese subtitles for Faith to face: every student can succeed | Dr. Abir Abed | TEDxWeizmannInstitute | |
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Yuko Yoshida edited Japanese subtitles for Faith to face: every student can succeed | Dr. Abir Abed | TEDxWeizmannInstitute | |
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Yuko Yoshida edited Japanese subtitles for Faith to face: every student can succeed | Dr. Abir Abed | TEDxWeizmannInstitute | |
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Yuko Yoshida approved Japanese subtitles for Faith to face: every student can succeed | Dr. Abir Abed | TEDxWeizmannInstitute | |
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Yuko Yoshida accepted Japanese subtitles for Faith to face: every student can succeed | Dr. Abir Abed | TEDxWeizmannInstitute | |
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Kei Kamimura edited Japanese subtitles for Faith to face: every student can succeed | Dr. Abir Abed | TEDxWeizmannInstitute | |
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Kei Kamimura edited Japanese subtitles for Faith to face: every student can succeed | Dr. Abir Abed | TEDxWeizmannInstitute | |
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Kei Kamimura edited Japanese subtitles for Faith to face: every student can succeed | Dr. Abir Abed | TEDxWeizmannInstitute |