Return to Video

「謙虚であれ」およびその他の教訓—「水の哲学」からの教え

  • 0:01 - 0:03
    こんな気持ちは お分かりでしょう
  • 0:03 - 0:07
    山のような未読の
    スマホの通知で目が覚め
  • 0:08 - 0:10
    カレンダーは
    既に会議の予定で一杯
  • 0:10 - 0:13
    時には2重3重の重複予定―
  • 0:13 - 0:15
    時間がふさがり 忙しく感じます
  • 0:15 - 0:18
    実際 充実しているとは
    思っています
  • 0:19 - 0:23
    しかし結局 何かが
    足りないように感じるのです
  • 0:24 - 0:27
    足りないものが何か 知ろうとしますが
  • 0:27 - 0:29
    そうしている内に
  • 0:29 - 0:31
    また次の日が始まってしまう
  • 0:32 - 0:35
    私は2年前
    そんな風に考えていました
  • 0:36 - 0:39
    ストレスを感じ 不安で
  • 0:39 - 0:41
    少し追詰められていました
  • 0:41 - 0:44
    周囲の世界は 非常に
    目まぐるしく動いていました
  • 0:45 - 0:48
    何をすべきか
    分かりませんでした
  • 0:48 - 0:50
    私は こう自問し始めました
  • 0:50 - 0:52
    どうやって ついて行くのか?
  • 0:52 - 0:55
    考えられ得る
    またはそれよりも速い速度で
  • 0:55 - 1:00
    文字通り 変化を続ける世界の中で
    どうやって
  • 1:00 - 1:02
    達成感を見出すのか?
  • 1:04 - 1:05
    私は答えを探し始めました
  • 1:06 - 1:08
    多くの人達や友人と
    話をしました
  • 1:08 - 1:10
    家族とも 話をしました
  • 1:10 - 1:12
    多くの自己啓発本さえ
    読みましたが
  • 1:14 - 1:16
    満足できる答えは
    見つかりませんでした
  • 1:16 - 1:19
    実際 自己啓発本を読めば読む程
  • 1:19 - 1:21
    ストレスや不安は
    もっと募っていったのです
  • 1:22 - 1:23
    (笑)
  • 1:23 - 1:26
    ジャンクフードが 心一杯に
    詰め込まれていくように感じ
  • 1:26 - 1:29
    精神的な肥満に
    なっていくようでした
  • 1:29 - 1:31
    (笑)
  • 1:31 - 1:32
    諦めるところでした
  • 1:33 - 1:36
    ある日 これを見つけるまでは―
  • 1:36 - 1:41
    『道徳経』です
  • 1:42 - 1:45
    これは 2600年以上前に書かれた
  • 1:45 - 1:48
    古代中国の 古典哲学書です
  • 1:49 - 1:53
    本棚でも飛びぬけて薄く
    小さな本でした
  • 1:54 - 1:56
    僅か81ページしかありません
  • 1:56 - 1:59
    各ページには 短い漢詩が
    書かれています
  • 1:59 - 2:03
    ページをめくると
    1つの 特別な漢詩があったのを覚えています
  • 2:03 - 2:04
    それがこちらです
  • 2:04 - 2:06
    素晴らしいでしょう?
  • 2:06 - 2:07
    (笑)
  • 2:07 - 2:09
    では 読んでみます
  • 2:09 - 2:13
    「最高の善は 水のようなものだ
  • 2:13 - 2:16
    水はあらゆる物に利益を与え 争わない
  • 2:17 - 2:20
    住むときは 地にとどまり
  • 2:20 - 2:23
    水たる時は 深みに向かって流れ
  • 2:23 - 2:26
    表現するに 誠実である
  • 2:27 - 2:29
    対立しても 優しさを保ち
  • 2:31 - 2:33
    治めるにおいては 支配をしない
  • 2:33 - 2:35
    行動においては 時機をうかがい
  • 2:36 - 2:39
    自らの性質に満足する
  • 2:39 - 2:42
    よって 間違うことはない」
  • 2:43 - 2:46
    ああ!初めてこれを読んだ時の事を
    思い出しました
  • 2:46 - 2:49
    最高に背筋がゾクゾクしました
  • 2:50 - 2:52
    今 皆さんに読んでいる時でさえ
    そう感じるのです
  • 2:53 - 2:56
    不安やストレスは
    まさに 突然消え去りました
  • 2:57 - 2:59
    その日から
  • 2:59 - 3:04
    日常生活に この漢詩に書かれた概念を
    応用しようとしてきました
  • 3:04 - 3:08
    そして今日この「水の哲学」から
    私が今迄学んだ3つの教訓を
  • 3:08 - 3:10
    皆さんにお話ししようと思います
  • 3:10 - 3:14
    この3つの教訓のおかげで
    自分の行動のほとんどに 大きな達成感を
  • 3:14 - 3:16
    見出せるようになりました
  • 3:17 - 3:20
    1つ目の教訓は
    「謙虚」についてです
  • 3:20 - 3:23
    川を流れる水を考えてみると
  • 3:23 - 3:25
    それは常に低い所を流れており
  • 3:26 - 3:29
    全ての植物の生育を助け
    動物を生かしています
  • 3:29 - 3:32
    自らに注意を引き付ける事もなければ
  • 3:32 - 3:34
    いかなる報酬も承認も
    必要としません
  • 3:35 - 3:37
    水は謙虚です
  • 3:38 - 3:40
    しかし水の
    この謙虚な貢献が無ければ
  • 3:40 - 3:43
    私達の知る生命は
    存在しないかもしれません
  • 3:45 - 3:48
    水の謙虚さは
    大切な事を教えてくれます
  • 3:48 - 3:52
    自分に全て任せてくれとか
    答えは全部 知っているといった
  • 3:52 - 3:54
    態度を取るのではなく
  • 3:54 - 3:56
    こう言っても
    全く構わないのです
  • 3:56 - 3:57
    「私には分かりません
  • 3:57 - 3:59
    もっと学びたいのです
  • 3:59 - 4:00
    貴方の助けが必要です」
  • 4:01 - 4:05
    自分自身の栄光や成功ではなく
    他人の栄光や成功を広める方が
  • 4:05 - 4:09
    ずっと やり甲斐のある事だ
    とも教えてくれました
  • 4:10 - 4:14
    自分が成功出来る事をするのではなく
    他人が成功出来るよう
  • 4:14 - 4:16
    難題を克服する手助けをする方が
  • 4:16 - 4:19
    より達成感のある意味深い事だとも
    教えてくれました
  • 4:21 - 4:23
    謙虚な物の見方で
  • 4:23 - 4:26
    私は周囲の人達と より豊かな関係を
    築く事が出来るようになり
  • 4:27 - 4:31
    彼らを比類ない 神秘的な存在に
    してしまう 物語や体験に
  • 4:31 - 4:33
    純粋に興味を持つようになりました
  • 4:33 - 4:35
    人生がとても楽しくなりました
  • 4:35 - 4:38
    偶然起こる面白い事や新たな考え
    初めて知る問題の解決法を
  • 4:38 - 4:40
    毎日 発見するようになったからです
  • 4:40 - 4:43
    全部 他人のアイデアや
    手助けのおかげです
  • 4:45 - 4:48
    水は低い所へ流れていくので
    全ての小川は
  • 4:48 - 4:50
    結局 海に流れていきます
  • 4:51 - 4:54
    謙虚さは 水に力を与えています
  • 4:55 - 5:00
    しかし 水は私達に 地に留まり 存在し
    周囲の人達の状況に沿って形を変え
  • 5:00 - 5:05
    そこから学ぶ能力を
    与えていると思うのです
  • 5:06 - 5:09
    2つ目に私が学んだ教訓は
    「調和」についてです
  • 5:10 - 5:12
    岩に向かって流れている
    水を考えてみると
  • 5:12 - 5:14
    ただ岩の周囲を
    流れるだけなのです
  • 5:14 - 5:17
    当惑も 怒りもせず
    感情をかき乱される事も
  • 5:17 - 5:18
    ありません
  • 5:18 - 5:20
    実際 水は全く感情を持ちません
  • 5:21 - 5:25
    行く手を阻まれても 暴力は使わず
    対立することもなく
  • 5:26 - 5:28
    何らかの方法で 解決策を見出します
  • 5:30 - 5:33
    こう考えていくと
    私はまず 何故自分が
  • 5:33 - 5:35
    ストレスを感じていたか
    分かってきました
  • 5:36 - 5:38
    周囲と協調して働く事をせず
  • 5:38 - 5:40
    それに反発していたのです
  • 5:40 - 5:42
    自分が成功し
  • 5:42 - 5:46
    実力を示さねばという意識に苛まれ
    物事を無理やり変えようとしていました
  • 5:47 - 5:48
    でも結局 何も変わりませんでした
  • 5:49 - 5:50
    私は欲求不満を募らせました
  • 5:51 - 5:55
    そこで もっと成功しようとする事から
    より調和を求める事へと
  • 5:55 - 5:57
    視点を移していきました
  • 5:57 - 6:01
    即座に 私は心が穏やかになり
    再び集中出来るようになりました
  • 6:02 - 6:04
    そして こう考えるようになりました
  • 6:04 - 6:06
    この行動は私自身に
    より良い調和をもたらし
  • 6:06 - 6:09
    私の周囲に
    調和をもたらすだろうか?
  • 6:09 - 6:11
    これは 私の性質と
    適合するだろうか?
  • 6:12 - 6:15
    自分のあるべき姿より
    むしろ 単にありのままの
  • 6:15 - 6:18
    自分である事が より快適だと
    思うようになりました
  • 6:20 - 6:22
    仕事は実際 容易になりました
  • 6:22 - 6:25
    それは自分がコントロール出来ない物に
    目を向けるのを止め
  • 6:25 - 6:26
    出来る物だけに
    焦点を当てるようになったからです
  • 6:26 - 6:29
    自分自身と争うのを止め
  • 6:29 - 6:33
    問題を解決するため
    周りと協力することを学びました
  • 6:34 - 6:36
    自然は急ぎません
  • 6:37 - 6:39
    にもかかわらず全ては成就します
  • 6:40 - 6:43
    これは『道徳経』に於ける
    調和の力の表現法です
  • 6:44 - 6:48
    水が暴力や闘争を用いず
    解決を見出せるのと正に同じように
  • 6:49 - 6:53
    私達は自分が努力する中で
    より多くの成功を収める事より
  • 6:53 - 6:56
    一層の調和を目指す事で
    より大きな達成感を
  • 6:56 - 6:58
    見出す事ができるでしょう
  • 6:59 - 7:03
    「水の哲学」から私が学んだ
    3つ目の教訓は
  • 7:03 - 7:05
    「寛容」についてです
  • 7:06 - 7:08
    水は自在に変化します
  • 7:08 - 7:12
    温度によって 水は液体、固体
    気体にもなり得るのです
  • 7:13 - 7:14
    受け容れる物に応じて
  • 7:15 - 7:18
    テイーポット、カップ、花瓶等に
    姿を変えます
  • 7:19 - 7:23
    実際 変化に適応し 姿を変え
    柔軟であり続ける能力のおかげで
  • 7:23 - 7:25
    水は あらゆる環境の変化を物ともせず
  • 7:25 - 7:28
    これほど長く存在し続けているのです
  • 7:29 - 7:32
    私達もまた 常に変化し続ける世界に
    こんにち生きています
  • 7:33 - 7:36
    私達は もはや固定的な仕事内容に
    従って働くことも
  • 7:36 - 7:38
    唯一のキャリアパスを
    進むこともありません
  • 7:39 - 7:43
    時代に合わせて自らのスキルを
    常に更新し 活性化させる事を
  • 7:43 - 7:44
    期待されているのです
  • 7:45 - 7:48
    私達の団体ではよく
    ハッカソンを主催します
  • 7:48 - 7:50
    そこでは 小さなグループまたは
    個人が協力し合って
  • 7:51 - 7:53
    短い時間の枠で
    ビジネスの問題を解決します
  • 7:54 - 7:57
    興味深い事に 常に
    勝利を収めるチームは
  • 7:57 - 8:00
    最も経験豊かなメンバー構成の
    チームではなく
  • 8:00 - 8:03
    進んで学んだり
    学んだことを捨て去るのを
  • 8:03 - 8:05
    ためらわないメンバーが
  • 8:05 - 8:07
    互いに助け合って
    変化していく環境の中で
  • 8:07 - 8:10
    上手く切り抜けていく
    チームなのです
  • 8:11 - 8:13
    人生とは ある意味で
    ハッカソンに似ています
  • 8:14 - 8:18
    それは 私達皆への
    進歩と解放との呼びかけで
  • 8:18 - 8:20
    波及効果を引き起こすのです
  • 8:21 - 8:25
    今 私達は部屋に閉じこもり
    動かないでいる事ができます
  • 8:25 - 8:28
    それは自分を縛る
    こんな信念のせいです
  • 8:28 - 8:30
    「絶対に中国の哲学の話なんて
    出来っこないよ
  • 8:30 - 8:32
    大勢の前では」
  • 8:32 - 8:33
    (笑)
  • 8:33 - 8:36
    一方 こだわりをやめ
    成り行きを素直に楽しむ事もでき
  • 8:36 - 8:38
    人生は素晴らしい体験に
    なり得るのです
  • 8:39 - 8:43
    humility(謙虚)、harmony(調和)
    openness(寛容)です
  • 8:43 - 8:46
    この3つが 今のところ
    私が「水の哲学」から学んだ教訓です
  • 8:47 - 8:51
    短縮して H-H-Oとか
    H2Oと呼べますね
  • 8:51 - 8:52
    (笑)
  • 8:52 - 8:55
    これは 私の人生を導く
    原則となりました
  • 8:56 - 8:59
    そこで最近私はストレス、不満
  • 8:59 - 9:02
    不安を感じたり 何をすべきか
    分からなくなる度に
  • 9:02 - 9:04
    こう自問します
  • 9:04 - 9:06
    「水ならどうするだろう?」
  • 9:06 - 9:07
    (笑)
  • 9:07 - 9:11
    ビットコイン、フィンテック
    デジタル技術が生まれるずっと前に
  • 9:11 - 9:15
    書かれた本に感化された
    このシンプルで力強い問いが私の生活を
  • 9:15 - 9:17
    より良い方向に変えてくれました
  • 9:18 - 9:20
    これを実践し
    どう役立ったか教えて下さい
  • 9:20 - 9:22
    ご意見を心待ちにしています
  • 9:22 - 9:23
    有難うございました
  • 9:23 - 9:26
    (拍手)
Title:
「謙虚であれ」およびその他の教訓—「水の哲学」からの教え
Speaker:
レイモンド・タン
Description:

私達は常に変化を続ける世界の中で、どうやって達成感を見出すのでしょうか?レイモンド・タンは古代中国の哲学書『道徳経』に出会うまで、この疑問と格闘していました。この書の中で、彼は善を水に例えた漢詩を見つけ、現在その概念を自らの日常生活の中で応用しています。この魅力的なトークの中で、彼はこの「水の哲学」から、これまで学んだ3つの教訓の話をします。「水ならどうするだろうか?」タンはそう問います。「このシンプルで力強い問いは…私の人生をより良い方向へ変えてくれたのです。」

more » « less
Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TEDTalks
Duration:
09:42

Japanese subtitles

Revisions