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普通、ワクチン開発には非常に長いプロセスがあります。
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承認を取るには平均で８年必要です。
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2~3年前からは、もっと早く開発が可能なmRNAワクチンを作りだすことが
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可能になりました。
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では、これらのワクチンはどのように働くのでしょう？
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安全でしょうか？
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また従来のワクチンと比べてどうなのでしょう？
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しかしまずは、免疫がどのように働くかを知ってください。
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ウイルスが体内に入ると、細胞の一つにくっつき、
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中に自分のDNAやRNAを注入します。
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これは細胞の設計図のようなもので、そこには細胞が何を作るべきかの情報があります。
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ですので、この場合ウイルスは細胞に同じウイルスのコピーを製造するように
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命じます。
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これで細胞はウイルスの工場になり、より多くの細胞を感染させるウイルスの
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コピーが噴き出てきます。
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でも心配無用。もともと我々の体は外部からの侵入者を防ぐシステムを持っています。
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免疫システムは我々の体に関係ないたんぱく質やウイルス、バクテリアを攻撃します。
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しかし、免疫が侵入者を攻撃する方法を学ぶのに２～３日かかります。
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その間もウイルス工場は休まずフル稼働し、
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ウイルスを複製して全身に広げていきます。
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ということは、感染したものが何だろうと症状は出始めます。
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しかし、数日後、免疫システムはウイルスを攻撃する方法を考え出し、
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「抗体」を作り始めます。
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抗体はウイルスにくっつき、他の細胞への感染を防ぎながら
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破壊させます。
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このように、免疫システムは優れたものですが、反面、攻撃開始には時間がかかります。
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そもそも我々が病気になるのはこのためです。
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それを手助けするために開発されるのがワクチンです。
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ワクチンの主な役割は、症状が出る前に免疫システムにウイルスの情報を教え、
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撃退するために鍛えることです。
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つまり、免疫システムに「ウイルスの指名手配写真」を見せるようなものです。
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「こいつを見つけたら殺せ」と。
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ワクチンには様々な種類がありますが、ここで「新顔」のmRNAワクチンについて
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見ていきましょう。
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それがどのように働くのか、新型コロナを例に説明します。
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ウイルスの画像を見たことがありますか。独特の「スパイク」を持っています。
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このスパイクは人体の特定の細胞（ACE2)への攻撃を誘導し
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感染させます。
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ここに新型コロナへのヒントがあります。もし、我々が体内でそれを作ることで
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自分の免疫システムを鍛え、スパイクを識別できるようなったらどうでしょう？
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そこで、研究者はウイルスの設計図（RNA）を採取し、
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スパイク生成の原因部分を分離します。
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この設計図を利用して研究者がmRNA（ﾒｯｾﾝｼﾞｬｰRNA）を作り出します。
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これはRNAの特殊な形で、人体の細胞に入って指示を送ることができます。
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この場合、RNAにはコロナウイルスのスパイクを作る指示が入っています。
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ウイルスそのものではなくスパイクだけを作らせます。
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つまり、mRNAワクチンは、人体の細胞に対してウイルスの一部だけを
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大量に作るレシピを渡すのです。
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一旦これが起きると、体内の免疫システムのスイッチが入り、
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侵入者を攻撃する方法を学び始めます。
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繰り返しますが、免疫システムがスパイクをやっつけるには時間はかかります。
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しかし、体内にはスパイクだけでウイルス本体はないので病気にはなりません。
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その後、
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人体の免疫システムはコロナウイルスのスパイクを攻撃する方法もすでに学んでいます。
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免疫は体内のスパイク全てを破壊し、mRNAワクチンをも無効にします。
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体内に残るのは特別な「B細胞」または「記憶済み細胞」だけです。
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この細胞は、次に人体が同じ感染をするまで数か月から数年間体内に残ります。
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これによって、B細胞はすぐに正しい抗体を作ることがでます。
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これでウイルスが体内に広がったり人体を病気にさせなくできます。
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このmRNA技術が興味深いのは 開発の速さです。
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ウイルスのDNAかRNA情報がわかればすぐに着手できます。
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このワクチンは体内にウイルスの一部だけを作るため接種した人が
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病気になりません。
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よくある従来型のワクチンは、生きたウイルスを弱らせたものを使います。
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これも、免疫システムに反応を起こさせますが、同時に「弱い症状」も起こします。
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ここまでmRNAワクチンについて説明しました。ではこちらは安全でしょうか？
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それについては次の動画で解説します
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