0:00:00.110,0:00:03.340 普通、ワクチン開発には非常に長いプロセスがあります。 0:00:03.340,0:00:06.680 承認を取るには平均で8年必要です。 0:00:06.680,0:00:11.440 2~3年前からは、もっと早く開発が可能なmRNAワクチンを作りだすことが 0:00:11.440,0:00:12.730 可能になりました。 0:00:12.730,0:00:14.340 では、これらのワクチンはどのように働くのでしょう? 0:00:14.340,0:00:15.389 安全でしょうか? 0:00:15.389,0:00:18.420 また従来のワクチンと比べてどうなのでしょう? 0:00:18.420,0:00:21.640 しかしまずは、免疫がどのように働くかを知ってください。 0:00:21.640,0:00:26.090 ウイルスが体内に入ると、細胞の一つにくっつき、 0:00:26.090,0:00:28.760 中に自分のDNAやRNAを注入します。 0:00:28.760,0:00:33.670 これは細胞の設計図のようなもので、そこには細胞が何を作るべきかの情報があります。 0:00:33.670,0:00:39.250 ですので、この場合ウイルスは細胞に同じウイルスのコピーを製造するように 0:00:39.250,0:00:40.490 命じます。 0:00:40.490,0:00:45.160 これで細胞はウイルスの工場になり、より多くの細胞を感染させるウイルスの 0:00:45.160,0:00:46.200 コピーが噴き出てきます。 0:00:46.200,0:00:50.579 でも心配無用。もともと我々の体は外部からの侵入者を防ぐシステムを持っています。 0:00:50.579,0:00:56.329 免疫システムは我々の体に関係ないたんぱく質やウイルス、バクテリアを攻撃します。 0:00:56.329,0:01:00.000 しかし、免疫が侵入者を攻撃する方法を学ぶのに2~3日かかります。 0:01:00.000,0:01:05.010 その間もウイルス工場は休まずフル稼働し、 0:01:05.010,0:01:06.850 ウイルスを複製して全身に広げていきます。 0:01:06.850,0:01:11.680 ということは、感染したものが何だろうと症状は出始めます。 0:01:11.680,0:01:16.130 しかし、数日後、免疫システムはウイルスを攻撃する方法を考え出し、 0:01:16.130,0:01:18.440 「抗体」を作り始めます。 0:01:18.440,0:01:23.030 抗体はウイルスにくっつき、他の細胞への感染を防ぎながら 0:01:23.030,0:01:24.880 破壊させます。 0:01:24.880,0:01:29.690 このように、免疫システムは優れたものですが、反面、攻撃開始には時間がかかります。 0:01:29.690,0:01:33.409 そもそも我々が病気になるのはこのためです。 0:01:33.409,0:01:36.910 それを手助けするために開発されるのがワクチンです。 0:01:36.910,0:01:42.200 ワクチンの主な役割は、症状が出る前に免疫システムにウイルスの情報を教え、 0:01:42.200,0:01:43.860 撃退するために鍛えることです。 0:01:43.860,0:01:48.680 つまり、免疫システムに「ウイルスの指名手配写真」を見せるようなものです。 0:01:48.680,0:01:50.280 「こいつを見つけたら殺せ」と。 0:01:50.280,0:01:53.509 ワクチンには様々な種類がありますが、ここで「新顔」のmRNAワクチンについて 0:01:53.509,0:01:56.270 見ていきましょう。 0:01:56.270,0:02:01.329 それがどのように働くのか、新型コロナを例に説明します。 0:02:01.329,0:02:05.110 ウイルスの画像を見たことがありますか。独特の「スパイク」を持っています。 0:02:05.110,0:02:10.099 このスパイクは人体の特定の細胞(ACE2)への攻撃を誘導し 0:02:10.099,0:02:11.099 感染させます。 0:02:11.099,0:02:16.190 ここに新型コロナへのヒントがあります。もし、我々が体内でそれを作ることで 0:02:16.190,0:02:20.750 自分の免疫システムを鍛え、スパイクを識別できるようなったらどうでしょう? 0:02:20.750,0:02:26.550 そこで、研究者はウイルスの設計図(RNA)を採取し、 0:02:26.550,0:02:28.450 スパイク生成の原因部分を分離します。 0:02:28.450,0:02:33.340 この設計図を利用して研究者がmRNA(メッセンジャーRNA)を作り出します。 0:02:33.340,0:02:38.170 これはRNAの特殊な形で、人体の細胞に入って指示を送ることができます。 0:02:38.170,0:02:43.980 この場合、RNAにはコロナウイルスのスパイクを作る指示が入っています。 0:02:43.980,0:02:46.900 ウイルスそのものではなくスパイクだけを作らせます。 0:02:46.900,0:02:52.220 つまり、mRNAワクチンは、人体の細胞に対してウイルスの一部だけを 0:02:52.220,0:02:57.080 大量に作るレシピを渡すのです。 0:02:57.080,0:03:01.310 一旦これが起きると、体内の免疫システムのスイッチが入り、 0:03:01.310,0:03:02.860 侵入者を攻撃する方法を学び始めます。 0:03:02.860,0:03:07.890 繰り返しますが、免疫システムがスパイクをやっつけるには時間はかかります。 0:03:07.890,0:03:12.190 しかし、体内にはスパイクだけでウイルス本体はないので病気にはなりません。 0:03:12.190,0:03:13.190 その後、 0:03:13.190,0:03:17.240 人体の免疫システムはコロナウイルスのスパイクを攻撃する方法もすでに学んでいます。 0:03:17.240,0:03:21.980 免疫は体内のスパイク全てを破壊し、mRNAワクチンをも無効にします。 0:03:21.980,0:03:27.020 体内に残るのは特別な「B細胞」または「記憶済み細胞」だけです。 0:03:27.020,0:03:31.950 この細胞は、次に人体が同じ感染をするまで数か月から数年間体内に残ります。 0:03:31.950,0:03:36.650 これによって、B細胞はすぐに正しい抗体を作ることがでます。 0:03:36.650,0:03:39.600 これでウイルスが体内に広がったり人体を病気にさせなくできます。 0:03:39.600,0:03:43.760 このmRNA技術が興味深いのは 開発の速さです。 0:03:43.760,0:03:48.540 ウイルスのDNAかRNA情報がわかればすぐに着手できます。 0:03:48.540,0:03:54.330 このワクチンは体内にウイルスの一部だけを作るため接種した人が 0:03:54.330,0:03:55.860 病気になりません。 0:03:55.860,0:04:00.230 よくある従来型のワクチンは、生きたウイルスを弱らせたものを使います。 0:04:00.230,0:04:05.200 これも、免疫システムに反応を起こさせますが、同時に「弱い症状」も起こします。 0:04:05.200,0:04:09.310 ここまでmRNAワクチンについて説明しました。ではこちらは安全でしょうか? 0:04:09.310,0:04:14.310 それについては次の動画で解説します 0:04:14.310,0:04:17.769 0:04:17.769,0:04:19.169 0:04:19.169,0:04:24.539 0:04:24.539,0:04:29.259 0:04:29.259,0:04:30.369 0:04:30.369,0:04:34.919 0:04:34.919,0:04:39.270 0:04:39.270,0:04:44.500 0:04:44.500,0:04:50.039 0:04:50.039,0:04:54.270 0:04:54.270,0:04:55.759 0:04:55.759,0:04:58.680 0:04:58.680,0:05:00.530 0:05:00.530,0:05:04.620 0:05:04.620,0:05:08.199 0:05:08.199,0:05:11.849 0:05:11.849,0:05:12.849 0:05:12.849,0:05:13.349