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Title:
孤独なあなたは独りぼっちではありません
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Description:
「孤独や悲しみ、恐れを受け入れて自分の弱みをさらけ出すことで、かえって安心し、孤独感を和らげる場合がある」と話す作家でアーティストのジョニー・ソン。自ら手がけた特徴的なイラストをふんだんに交えた率直なトークで、自分が「部外者」だと感じる気持ちを打ち明けてみたところ、思いがけない形で結集したコミュニティから力を得て暗闇の中にかすかな一筋の光を探し出すことができたと語ります。
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Speaker:
ジョニー・ソン
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こんにちは
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皆さんにご紹介します
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「Jomny(ジョムニー)」です
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何で「ム」があるジョムニーなのか
不思議かもしれませんね
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うっかりしてたからです
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誰も完璧ではないですからね
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人類を研究する任務のため
地球に派遣されました
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ジョムニーは途方に暮れ 独りぼっちで
遠い故郷を恋しく思っています
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みなさんも同じように感じたことが
あるでしょう
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少なくとも私はあります
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この異星人の話を創作した頃
私はまさに異星人のような
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疎外感を覚えていました
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引っ越してマサチューセッツ工科大の
博士課程に入ったばかりでした
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おじけづき 孤立して
自分の居場所がない感じでした
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何年にもわたり
ジョークを書いては
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ソーシャルメディアで
シェアしていましたが
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気がつくと
その頻度が増していたのです
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多くの人にとってインターネットの世界は
孤独を感じる場と言えます
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こんなふうに感じることもあります
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大きく 果てしなく
だだっ広い空白
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いくら呼びかけても
誰も一度たりとも聞いてない
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ところが その空白に向かって叫ぶと
私の心は和みました
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自分の気持ちを空白に伝えていると
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その空白から返事が
返ってくるようになりました
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空白は無限で孤独な広がりでは
ありませんでした
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いろんな人が大勢 そこにいました
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みんなも空白を眺めていて
自分の声も聞いてほしいと願っています
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ソーシャルメディアは悪い結果も
たくさん生み出しています
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そこに疑いの余地はありません
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どんな時でもネットにつながると
悲しみや怒り、暴力を
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強く感じます
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この世の終わりのように
感じたりもします
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でも同時に 矛盾も感じます
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いま親友と呼べる人の多くとは
そもそもオンラインで出会ったというのが
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紛れない事実だからです
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ソーシャルメディアは
何かを打ち明けるのに向いているのが
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理由の1つでしょう
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全くプライベートな私的な日記に
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書き込むような気持ちでありながら
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同時に世界中のみんなに
読んでほしいのです
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おそらく それが楽しいのは
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自分とまったく違う境遇の人の立場で
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物事を体験することができるからで
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ときには それは良いことです
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私がフォローしていた人たちの中に
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心の問題やカウンセリングについて
話す人が大勢いたのですが
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同じ内容でも直接会って話す場合には
覚えることの多い引け目などを
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まったく感じさせない雰囲気でした
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彼らのおかげでメンタルヘルスについて
話し合うことが普通に感じられ
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私自身にもカウンセリングが
役立つかも知れないと
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思えるようになりました
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このような話題をネット上で
公然と大っぴらに話すなんて
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危ないことだと感じられるでしょう
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まだ完璧に成熟していないのに
オンラインで自分をさらけ出すのは
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とてつもなく危険だと
思っている人が多いようですが
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私は インターネットはむしろ
未熟な人に役立つと考えます
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そういう人にとって
刺激になると思うのです
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私が思うには 不完全な自分や
自分の不安や傷つきやすさを
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他の人に伝えることが
重要な何かだからです
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[玉ねぎと同じだよ 全部むいたら
ちっちゃくて怖がりの自分がいるんだ]
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打ち明けているのを聞くと
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私の孤独感はかえって和らぐ気がします
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それは孤独感を克服したからではなく
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孤独を感じているのは
自分だけではないと
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確認できるからです
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作家でアーティストでもある私は
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このように弱い自分を認める心地よさを
皆で共感し
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人とのつながりの中で お互いに
共有することを大切にしています
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内なる感情を表現することに
喜びを感じ
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言葉で表現できない
心の中の個人的な気持ちを取り上げ
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光にかざし
それにふさわしい言葉を与えて
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他の人たちと分かち合うことで
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その人たちも 自分の気持ちを表す言葉を
見つけてくれたらと思うからです
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でも私の最終的な狙いは
そのような体験を
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小さくて扱いやすい形にすることです
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そんな体験を小さくまとめられたら
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もっと扱いやすく もっと楽しめるように
なると思うからです
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誰もが持つ人間らしさを
もっと感じられると思うからです
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その形は 例えば
短編ストーリーや
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挿絵の入った
かわいらしい本だったりします
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そしてそれはネット上に載せた
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くだらないジョークだったりもします
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例えば 数ヶ月前
私は犬の散歩サービスという
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アプリのアイデアを投稿しました
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犬が玄関先まで訪ねてくるので
あなたは家から出て
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散歩に行くしかないというものです
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この後ぜひお話しましょう
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また メールを送る不安を感じるたび
これを共有したくなります
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メールの最後に書く
「Best(敬具)」は
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「ベストを尽くしてます」の略で
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「ベストを尽くしていますから
どうか嫌わないで」の略なのです
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あるいは場を和らげるための
私のお決まりの返事―
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「一緒に食事してくれるなら
生者でも死者でも構わない
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そのくらい孤独なんだ」
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同じような反応があります
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一緒に笑いたいという人はすぐ集まり
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その気持ちを共有したら
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またすぐに解散します
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でも このような小さな集まりには
大きな意味があるはずだと思います
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ケンブリッジ市へ引っ越して
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この質問を投稿しました
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「あなたとの生涯最後の会話を
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すでに終えてしまった人が
何人いるでしょうか?」
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私の頭にあったのは
違う街や 違う国へ
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引っ越していった自分の友達のことで
つながりを保つことが
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難しくなるだろうと心配したのです
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ところがいろんな人が返信して
自分の体験を教えてくれました
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ある人は仲違いした家族のことを
話してくれました
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ある人はあっと言う間に
突然逝ってしまった
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大事な人のことを話してくれました
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私と同様に 引っ越していった
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学生時代の友人の話をする人もいました
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すると素晴らしいことが起きました
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私宛の返信だけではなく
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お互いの投稿に返信が付き始め
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お互いに会話をして体験を分かち合い
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いたわり合い
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しばらく話をしていない
あの昔の友人や
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仲違いした家族のあのひとりに
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手を差し伸べてみるよう促しあったりしました
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やがて ささやかで小じんまりとした
小さなコミュニティが生まれました
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いろんな人が一緒に集まったことで
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支援グループができたように感じられました
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ポストを投稿する度に
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このような小さなコミュニティが
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生まれる可能性があるのです
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いろんな種類の生物が
一緒に集まり 惹かれ合うような
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可能性があります
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すると時にはインターネットの雑音の中から
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心の友が見つかることもあります
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返信やコメント欄で目にした
とりわけ優しい書き込みや
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的を得た書き込みや
愉快な書き込みが
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心に残ることもあります
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時には誰かをフォローしてみると
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自分はすでにフォローされていたというのも
楽しいものです
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実生活で知る人の投稿を
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自分の投稿と見比べて
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関心の重なりがとても多いと気付き
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さらに親近感を感じることもあります
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時には 運がよければ
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もう一人の異星人と
対面できるかもしれません
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[2人の異星人が 知らない土地で出会うと
少しほっとします]
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インターネットの大半は
そんな雰囲気の場ではないからです
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誰もが知るように たいていは
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そこは誤解が生じる場で
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対立の場で
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様々な戸惑いや悲鳴や
怒鳴り声や大声が溢れかえり
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いろんなことが多すぎる所だと
感じます
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混沌とした空気で
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良い部分と悪い部分との
線引きも無理なありさまです
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すでに誰もが見て知っているように
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悪い部分が私たちを
どうしようもないほど傷つけます
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オンラインの空間に居場所を作る
プラットフォームは
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何も考えないまま あるいはわざと
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ハラスメントや嫌がらせを許し
誤った情報を拡散し
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悪意や中傷発言やそれに伴う暴力を
許してしまうデザインだからです
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現状のどのプラットフォームも
課題に対応できず
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解決への取り組みも足りていません
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私も 多くの人も
このオンライン空間に惹きつけられるのは
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そこにみんながいると分かっているからです
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ささいなつながりを重んじる自分は
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愚かでバカげてると思う時もあります
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今は こんなご時勢なのに
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でも私の姿勢としては常々
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ささやかな人とのつながりは
余計なことではないと考えています
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それが隠れる場所になるからではなく
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むしろみんなが集まってくる
理由になるからです
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重要で 必要なことで
前向きな人生の源になるものです
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それは小さな 一時的な聖域ですが
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自分で思っているほど
孤独ではないと教えてくれる場です
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確かに人生は大変で
誰にも悲しみはあります
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死はいずれ訪れます
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[いいか 人生は大変で みんな悲しい
誰もがいずれ死ぬけど
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僕はエアートランポリンを買った
君はどうするの?やるの、やらないの?]
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人間同士の関係や繋がりだと思っています
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私が特に世の中に対して
悲しみと絶望を感じていた時
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空白の 孤独な暗闇に向かって
叫んでみました
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「今の時点でソーシャルメディアに
ログオンしようとするのは
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最後の頼みの綱として
誰かの手を握るような気分だ」
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するとこの時は
空白からの返事だけではなく
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人が集まってきました
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みんなが私の叫びに答えたり
お互いに話をし始めると
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少しづつ小さな小さな
コミュニティが生まれました
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みんなが手を取り合うために
集まりました
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まさに渦中に置かれたときに
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人間同士のつながりを手放してはいけません
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短いひとときの重なりで
たかが小さなことにすぎませんが
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それでも真っ暗な闇の中にある
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かすかな一筋の光なのです
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