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MDA フレームワークでゲームを分析する | Game Maker's Toolkit

  • 0:01 - 0:07
    開発中の『Alien: Isolation』には
    かなり基本的なセーブシステムがあった
  • 0:07 - 0:13
    各ステージに点在する見えないチェックポイントを
    通過すると自動でセーブされる
  • 0:13 - 0:19
    これが追加された理由は、実装が簡単だし
    分かりやすいし、それに実際——
  • 0:19 - 0:22
    他のゲームでも
    上手く機能してるからだ
  • 0:22 - 0:24
    デザインディレクターの
    Gary Napper が言うには
  • 0:24 - 0:29
    「他の開発チームと同様に私たちもたくさんプレイするし
    それぞれ好きな作品があります」
  • 0:29 - 0:33
    「大抵の場合、私たちの決定や選択は
    遊んでいるゲームに影響されています」
  • 0:33 - 0:40
    だが開発が進むにつれ、このセーブ仕様は
    本当に正しいのか疑問に思い始めた
  • 0:40 - 0:45
    プレイヤーは死んでも数分戻されるだけだと
    分かっているので
  • 0:45 - 0:50
    何も気にせず、宇宙基地を
    軽やかに進むだけだったのだ
  • 0:50 - 0:52
    ホラーゲームでは
    理想的ではない
  • 0:53 - 0:58
    チェックポイントは『Call of Duty』や
    『Bioshock』では有効だったかもしれないが
  • 0:58 - 1:02
    Napper は「これは恐怖と不安が目的の
    ゲームを作る場合——」
  • 1:03 - 1:05
    「適切な手法ではありませんでした」と述べる
  • 1:05 - 1:07
    つまりこういうことだ
  • 1:07 - 1:10
    他のゲームから影響を受けても
    全く問題ない
  • 1:10 - 1:14
    開発者は好きな作品から
    仕様を借りて
  • 1:14 - 1:18
    それらを進化、合体、リミックスして
    新しい形にすることが多い
  • 1:18 - 1:25
    だが重要なのは、自分のゲームにコピペする前に
    その仕様の効果を理解することだ
  • 1:25 - 1:31
    どうやって? 僕はマーク・ブラウン
    Game Maker's Toolkit へようこそ
  • 1:33 - 1:36
    大昔の 2004 年のことだ
  • 1:36 - 1:40
    3人のゲームデザイナーが集まって
    学術論文を書き
  • 1:40 - 1:45
    あるフレームワークが
    ゲーム仕様の分析に最適だと示した
  • 1:45 - 1:50
    これを「MDA」と呼び
    ゲームを3つの部分に分解する
  • 1:50 - 1:54
    メカニクス、ダイナミクス、エステティクスだ
  • 1:54 - 1:57
    メカニクスはゲームの仕組みのことだ
  • 1:57 - 2:03
    ルール、システム、ボタンの機能
    個々の状態や数値などだ
  • 2:03 - 2:10
    例えば「プレイヤーの最大弾薬数」という
    メカニクスがあればその数値を高くできる
  • 2:10 - 2:16
    次にダイナミクスは、そのメカニクスに応じた
    プレイヤーの行動や振る舞いのことを指す
  • 2:16 - 2:21
    つまり弾薬が大量にあれば
    プレイヤーは戦いに飛び込んで
  • 2:21 - 2:25
    敵を見つけ次第
    激しく撃ちまくるだろう
  • 2:25 - 2:30
    最後はエステティクス(美学)だが
    グラフィックスや美術様式と混同しないでくれ
  • 2:30 - 2:34
    ここでのエステティクスとは
    プレイヤーがその行動をした時の感情のことだ
  • 2:34 - 2:36
    つまり情動反応だ
  • 2:36 - 2:41
    だから激しく撃ちまくると、無謀で、強くて
    誰にも止められない感覚になる
  • 2:41 - 2:43
    要はこんな感じだ
  • 2:45 - 2:50
    言い換えるなら、メカニクスはコードで生まれ
    ダイナミクスはプレイヤーの行動で生まれ
  • 2:50 - 2:53
    エステティクスは
    プレイヤーの感情で生まれる
  • 2:53 - 3:00
    残念ながら、開発者はプレイヤーの頭の中に入って
    感情や行動を直接変えることはできない
  • 3:00 - 3:06
    だがコードは変えられる
    そして MDA は因果関係を表すので
  • 3:06 - 3:11
    この変更が段階的に連鎖して
    ダイナミクスとエステティクスを変化させる
  • 3:11 - 3:16
    例えば、数値を反対側に調整して
    弾薬を大幅に制限すれば
  • 3:16 - 3:19
    プレイヤーの行動は間違いなく変わる
  • 3:19 - 3:24
    戦う前に慎重になったり
    全く戦わなくなったりするだろう
  • 3:24 - 3:31
    1発ずつよく考えて撃つようになり
    弾薬探しに多くの時間を費やすだろう
  • 3:31 - 3:37
    その結果、全く異なるエステティクスになる
    無力感、恐怖、警戒などだ
  • 3:38 - 3:43
    つまり MDA フレームワークは
    メカニクス(仕様)を広い文脈の中で捉えて
  • 3:43 - 3:48
    「プレイヤーの行動はどうなるか?
    感情はどうなるのか?」を問う
  • 3:48 - 3:52
    この問いを使えば
    ゲームの仕様を分析できるのだ
  • 3:52 - 3:57
    例えば
    「ゼルダ BotW では、なぜ剣が砕けるのか?」
  • 3:57 - 4:00
    では、この仕様で行動はどう変わる?
  • 4:00 - 4:06
    たぶんプレイヤーは直接攻撃を控えるようになり
    より多くの時間をこっそり通り過ぎることや
  • 4:06 - 4:09
    創造的な奇襲に費やすだろう
  • 4:09 - 4:15
    色々な武器を使うように促され
    常に新しい武器を探すのは確実だろう
  • 4:15 - 4:19
    また戦闘中に劇的な瞬間を
    もたらすこともある
  • 4:20 - 4:23
    ここまでダイナミクスは
    プレイヤーの行動だと説明してきたが
  • 4:23 - 4:27
    ダイナミクスはゲームシステムから
    発生する結果を表す場合もある
  • 4:28 - 4:30
    では感じ方はどうか?
  • 4:30 - 4:35
    力不足に感じさせたり
    ずる賢く創造的になったと感じさせたり
  • 4:35 - 4:41
    そして恐らく、衰退し崩壊しつつある世界で
    冒険者になった気分にさせてくれるだろう
  • 4:41 - 4:44
    この分析プロセスに
    難しい部分があるとすれば
  • 4:44 - 4:49
    ゲームで生じる潜在意識を
    言葉で表すことだろう
  • 4:49 - 4:55
    開発者が求めるのは「このゲームは楽しかった」以上の
    強くて感情的な印象だ
  • 4:55 - 4:57
    「強くなった感じ」
  • 4:57 - 4:58
    「創造的」
  • 4:58 - 4:59
    「ずる賢い」
  • 4:59 - 5:00
    「緊張」
  • 5:00 - 5:01
    「怯える」
  • 5:01 - 5:01
    「好奇心」
  • 5:01 - 5:02
    「嘘つき」
  • 5:02 - 5:03
    「協力的」
  • 5:03 - 5:04
    「慌てる」など
  • 5:05 - 5:11
    MDA を使えばゲームの仕様を
    感情を届けるための強力な器として見れる
  • 5:11 - 5:16
    そのため他の作品から仕様を借りるとか
    全く新しいものを作る場合は
  • 5:16 - 5:19
    ダイナミクスやエステティクスが
    関連するものを選ぶことで
  • 5:19 - 5:24
    設計の他の部分を補完したり
    衝突を避けたりできる
  • 5:24 - 5:27
    例えば開発者の Jenova Chen によれば
    『Flower』には
  • 5:27 - 5:33
    かつてはレベル上げシステムや
    呪文の詠唱、リソース管理、時間制限などの
  • 5:33 - 5:37
    他のゲームで期待される仕様があったそうだが
    全て削除された
  • 5:37 - 5:42
    くつろぎ、平穏、平和という
    意図していた感情に反していたからだ
  • 5:42 - 5:46
    Chen は「私たちは大量のゲームを遊ぶ中で
    悪い癖をつけてきました」
  • 5:46 - 5:53
    「多くの場合で楽しくしたいですが、楽しさは必ずしも
    届けたい感情に役立つとは限りません」と述べる
  • 5:53 - 5:57
    だからこそ自分のゲームの理想を
    真に理解することが有益だ
  • 5:57 - 6:01
    つまりプレイヤーに与えたい
    包括的な感情や経験のことだ
  • 6:01 - 6:05
    なぜなら、例えばプレイヤーを
    怖がらせたい場合
  • 6:05 - 6:11
    不安、恐怖、孤立、無力感などを
    誘発する仕様を選びたいからだ
  • 6:11 - 6:14
    その理想は一言で表現できるだろう
  • 6:14 - 6:21
    『Subnautica』は「未知のスリル」という言葉をベースに
    全ての仕様をこのアイデアに合わせた
  • 6:21 - 6:25
    『バイオヴィレッジ』は「死に物狂い」を
    旗印に作られたので
  • 6:25 - 6:31
    テスターが面倒くさい戦闘を嫌がったとき
    開発者はその言葉をまるで——
  • 6:31 - 6:36
    北極星のように活用して
    ゲームの仕様を再調整、再検討した
  • 6:36 - 6:39
    理想がごっこ遊びの場合もある
  • 6:39 - 6:44
    バットマン、暗殺者、世界的指導者に
    なった気分にさせたいかもしれない
  • 6:44 - 6:48
    『Flower』がやろうとした
    くつろぎの感覚かもしれない
  • 6:48 - 6:50
    または具体的な経験かもしれない
  • 6:50 - 6:57
    『FTL』の制作時、開発者の出発点は
    「宇宙船を指揮する雰囲気の再現」だった
  • 6:57 - 7:04
    強い理想を念頭に置けば、仕様が自分のゲームに
    適しているかどうか簡単に評価できる
  • 7:04 - 7:07
    もちろん、これは仕様以外にも当てはまる
  • 7:07 - 7:11
    ゲームの他の全ての要素
    例えば、視覚様式
  • 7:11 - 7:14
    音楽、アニメーション、物語
  • 7:14 - 7:16
    色彩、カメラの構図などは——
  • 7:16 - 7:20
    どれもダイナミクス無しで
    エステティクスを生み出す
  • 7:20 - 7:27
    例えば『Dead Space』の作曲家 Jason Graves によれば
    EA は当初、ありきたりな SF 音楽を要求していたらしい
  • 7:27 - 7:29
    電子音とドラムだらけの曲だ
  • 7:29 - 7:32
    「序盤を少しプレイした後——」
    Graves は述べる
  • 7:32 - 7:35
    「EA は戻ってきて、あまり怖くなかったと言った」
  • 7:35 - 7:40
    「音楽のせいで勇敢な気分になった
    目的は恐怖だったのに」
  • 7:40 - 7:44
    そして究極的には
    全要素が同じ方向を向いている時に
  • 7:44 - 7:47
    ゲームは最も明快で
    一貫したものになると思う
  • 7:47 - 7:53
    Jenova Chen は「全要素が同じ音を歌わなければ
    強い衝撃は生まれません」と述べる
  • 7:53 - 7:57
    たぶん僕にとって一番良い例は
    『DOOM (2016)』だろう
  • 7:57 - 8:02
    本作は強力な理想を掲げていた
    この場合は「前へ出る戦い」だ
  • 8:02 - 8:06
    そしてほぼ全ての要素が
    この言葉を支えている
  • 8:06 - 8:10
    これは仕様を見れば分かる
    移動の速さや——
  • 8:10 - 8:15
    敵に飛びかかると体力が湧く仕組み
    特定のデーモンが逃げることなど
  • 8:15 - 8:19
    全ての機能が、無敵の捕食者になって
    敵へ猛進することを促す
  • 8:19 - 8:23
    それを支えるのは非ゲーム要素だ
    例えばヘヴィメタルの音楽や
  • 8:23 - 8:28
    暴力的なアニメーション
    ドゥームスレイヤーの見た目や性格など
  • 8:28 - 8:32
    もちろんこれは僕が言うほど
    簡単ではない
  • 8:32 - 8:36
    ゲームを設計する時に考慮すべきことは
    他にもたくさんある
  • 8:36 - 8:43
    まずゲームの仕様は1つだけじゃない
    数百や、細かく見れば数千もある
  • 8:43 - 8:46
    僕の体験型ビデオエッセイ
    『Platformer Toolkit』を見れば
  • 8:46 - 8:50
    1つのキャラが数十もの数値で
    定義されていることが分かる
  • 8:50 - 8:55
    この数値次第でゲームの感覚は『Inside』から
    『Super Meat Boy』まで変わる
  • 8:55 - 8:59
    これらの仕様は相互に影響し
    重複し、弱め合うことさえある
  • 8:59 - 9:03
    『The Callisto Protocol』では
    弾薬が非常に少ないが
  • 9:03 - 9:07
    これは無力感や恐怖を感じさせるのが目的だ
  • 9:07 - 9:11
    しかし見事な動きの即死ステルス攻撃が
    1ボタンで発動するので
  • 9:12 - 9:14
    強くて無敵になった気分になる
  • 9:14 - 9:20
    また、ある仕様に対するプレイヤーの行動について
    有力な推測ができたとしても
  • 9:20 - 9:24
    プレイテストをたくさんやるまで
    確かなことは分からない
  • 9:24 - 9:30
    プレイヤーは仕様を誤解したり無視したり
    全く予想外のことをするかもしれない
  • 9:30 - 9:33
    それが楽しくて創発的な振る舞いのときもある
  • 9:33 - 9:39
    『Rocket League』の空飛ぶ車は
    理想にピッタリ合っていたので残された
  • 9:39 - 9:44
    しかし堕落した攻略法が生まれて
    目的の感情を損なうこともある
  • 9:44 - 9:49
    『Alien: Isolation』の自動チェックポイントの場合
    ゼノモーフに襲われた時は
  • 9:49 - 9:55
    次のチェックポイントまで急いで進み、そこで殺され
    安全に復活するのが賢い攻略法だった
  • 9:55 - 10:00
    さらに、場面ごとに
    異なる感情を届けたい場合は
  • 10:00 - 10:03
    状況に応じて仕様を変える必要がある
  • 10:03 - 10:09
    最初は弱くて愚鈍だったキャラが
    最後は強くて有能になるという物語を描くとするなら
  • 10:09 - 10:13
    その成長をどうやって仕様に反映させるのか?
  • 10:13 - 10:19
    最後に、恐らく一番重要なことだが
    エステティクスは究極的には、主観的なものだ
  • 10:19 - 10:25
    スコア制によって競争心を掻き立てられ
    全ステージを熱心にリプレイする人もいれば
  • 10:25 - 10:30
    裁判のように感じて
    Steam で返金を望む人もいるだろう
  • 10:30 - 10:36
    時間制限の重圧が楽しくて爽快な人もいれば
    不安感が誘発される人もいるだろう
  • 10:36 - 10:39
    これは腕前や才能と関連することが多い
  • 10:39 - 10:46
    Tango の『Hi-Fi Rush』ではビートに合わせて戦いながら
    ロックスターの気分になってもらうのだが
  • 10:46 - 10:51
    音楽の才能がゼロの僕は
    ドジなマヌケの気分だった
  • 10:52 - 10:57
    最後に、ごっこ遊びと多様な腕前の
    バランスに関する動画を紹介しよう
  • 10:58 - 11:04
    さて『Alien: Isolation』に話を戻すと
    チームは最終的に別のセーブシステムを試した
  • 11:04 - 11:06
    昔のゲームに近いやつだ
  • 11:06 - 11:12
    それで、少数のセーブ端末を
    手動で操作するようになった
  • 11:12 - 11:18
    そして困ったことに、セーブ端末が起動して
    実際にセーブされるまで少し時間がかかるので
  • 11:18 - 11:22
    エイリアンが忍び寄ってきて
    殺される可能性があるのだ
  • 11:22 - 11:25
    この新しい仕様は全てを変えた
  • 11:25 - 11:28
    プレイヤーの行動や感情を
    完全に変えたのだ
  • 11:28 - 11:31
    「恐怖を感じました」と Napper は言う
  • 11:31 - 11:36
    「セーブ地点まで行って無事セーブできなければ
    進行状況を失うことになります」
  • 11:36 - 11:40
    「セーブは緊張しました
    セーブを探すのは緊張しました」
  • 11:40 - 11:46
    「セーブという単純な行為が、恐怖と孤立という
    本作の原動力を支えるものになったのです」
  • 11:47 - 11:52
    だからゲームの仕様を借りてもいいが
    その効果を理解する必要がある
  • 11:52 - 11:54
    MDA はそのための強力な方法で
  • 11:54 - 12:00
    仕様によってプレイヤーがどう行動し
    どう感じるか予測するのに役立つのだ
  • 12:00 - 12:03
    それらの感情がゲームの理想を補完したら
    最高だ
  • 12:04 - 12:07
    もし衝突したら
    削除する必要がありそうだ
  • 12:07 - 12:12
    というのも、ゲームの仕様を選ぶ、盗む
    または制作することに関しては
  • 12:12 - 12:16
    『Shovel Knight』を開発した
    Yacht Club Games の言葉を聞くべきだ
  • 12:16 - 12:21
    「作ろうとするゲーム、喚起しようとする感情」
  • 12:21 - 12:25
    「そしてプレイヤーにしてもらいたい
    経験によって決まります」
  • 12:25 - 12:26
    (字幕翻訳:Nekofloor)
  • 12:26 - 12:29
    ご視聴ありがとう!
  • 12:29 - 12:35
    この動画は元々、ロンドン、ブレダ、ブーデン
    シェレフテオの大学講義だった
  • 12:35 - 12:41
    僕を学校に呼びたい場合は連絡してくれ
    メールアドレスはチャンネルの概要欄にある
  • 12:41 - 12:45
    来月の GDC には僕も行くので
    会ったらよろしく!
  • 12:45 - 12:47
    とはいえ今は
    ここをクリックすれば
  • 12:47 - 12:53
    具体的なごっこ遊びを多様な腕前のプレイヤーに
    届けるという動画を視聴できるぞ
Title:
MDA フレームワークでゲームを分析する | Game Maker's Toolkit
Description:

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Video Language:
English
Duration:
13:07

Japanese subtitles

Revisions