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新聞にプライバシーを踏みにじられた私がいかに巻き返しを図ったか

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    5年前 私はTEDのステージに立ち
    自分の仕事についてお話ししました
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    しかしその1年後
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    ある夜 友達とパブを出たところで
    ひどい事件に見舞われました
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    スコットランドでのことです
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    森の小道を歩いていた時
    突然強い衝撃を感じ
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    2度目の衝撃を受けた時
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    私は地面に倒れました
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    何が当たったのか
    全く分かりませんでした
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    後で分かったのは
    あるお宅の庭の門を開けた瞬間
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    そこにいた野生の牡鹿が 歩道に沿って
    私めがけて突進してきたということです
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    その鹿の角が
    私の気管と食道を突き刺して
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    脊髄に至り 頚椎を折ったのです
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    親友が 私が倒れているのに気づきました
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    私は助けを求めて首の穿孔から
    声にならない声を出していました
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    親友と見つめ合い
    私は声を出すことができなかったのですが
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    親友は 思いを理解してくれました
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    彼女は言いました 「息をして 」
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    言われたとおり 息をすることに集中しながら
    私はとても冷静でしたが
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    絶対死ぬと思っていました
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    どうも私はその状況に満足でした
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    私はそれまでいつだってベストを尽くそうと
    努力してきたのですから
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    それで落ち着いて
    呼吸を1回1回続ける作業に興じ
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    息を吸っては 吐いていました
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    救急車が到着した時
    私には はっきりと意識があり
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    病院までの道のりにおける全てを分析しました
    私は科学者ですから
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    道路を通るタイヤの音や
    街灯の数
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    やがて見えてきた街の灯り
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    それらを分析して
    「助かるかも」と思いました
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    そして気を失いました
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    いったん近くの病院に搬送された後
    ヘリコプターでグラスゴーまで運ばれました
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    そこで私の喉は治療され
    私は昏睡状態に陥りました
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    昏睡状態に陥ってる間は
    パラレルワールドにいました
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    『ウエストワールド』と『ブラック・ミラー』を
    滅茶苦茶に混ぜたような世界でした
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    それはまた別の話ですが
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    地元のテレビ局は病院の前から
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    ケンブリッジの科学者が昏睡状態に陥ったと
    生中継で伝えましたが
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    その科学者の生死やケガの程度についての
    情報は得ていませんでした
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    1週間後
    私は昏睡状態から目覚めました
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    目覚めたこと自体 奇跡でしたが
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    さらに奇跡的なことに
    思考機能や運動機能
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    呼吸機能や
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    摂⾷嚥下機能にも
    障害が残りませんでした
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    3ヶ月半でそれらの機能は
    回復したのです
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    ですが元に戻せないものが
    1つありました
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    プライバシーです
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    ジェンダーにまつわる記事を
    タブロイド紙は掲載しました
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    私はトランスジェンダーなんです
    大した事実ではありません
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    まあ この髪の色や靴のサイズには
    関心を持たれるでしょうが
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    前回ここでお話をした時―
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    (拍手)
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    その時は―
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    (拍手)
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    ジェンダーの話など面白くないので
    その話はしませんでした
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    しかしあるスコットランドの新聞には
    こんな見出しの記事が載りました
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    「オスの鹿に突き刺されたおネエの科学者」
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    他にも5紙が同じような見出しを
    付けていました
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    一瞬 憤りを覚えましたが
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    すぐに落ち着き
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    そして頭によぎったのは
    「敵に回してはいけない女に歯向い
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    いずれ寝首をかかれる者たち」
    という文言です
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    (笑)
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    私は 親切な忍者です
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    忍者がすることを
    ちゃんとは知りませんが
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    勝手なイメージでは 暗がりの中を
    こっそり通り抜け 下水道管を這い
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    屋根伝いに走り
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    知らぬ間に人の背後に迫る存在です
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    忍者は敵の前に現れませんし
    抗議活動もせず
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    1つのプランに とことん集中します
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    私も病院のベッドの上で
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    他の人の身に こんなことが
    起きることを減らすための
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    計画を考えました
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    やり方としては 現行の仕組みを利用し
    自分のプライバシーを犠牲にします
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    新聞社が百万人に伝えたことを
    1千万人に伝える計画です
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    怒っている人間に対しては
    人は守りを固めると考え
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    新聞社を攻撃はしなかったので
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    彼らは防衛的ではありませんでした
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    私は親切で冷静な内容の手紙をしたため
    新聞社に送りました
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    米国で言えば『FOXニュース』のような
    英国の The Sun紙は
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    私の「穏当な要求」に対して
    お礼を言ってきました
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    私が求めたのは 謝罪や 記事の撤回や
    損害賠償金ではなく
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    自分たちが報道倫理違反を
    犯したことを認め
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    あんな書き方は間違っていたと
    認めることでした
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    一連のやりとりの中で
    私は記者たちについて知り
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    記者たちは私のことを知り始めました
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    私たちは奇妙にも友達になりました
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    以来 The Sun紙のフィリッパと
    ワインを酌み交わすことさえしています
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    3ヶ月後 その新聞社は
    要求を全て受け入れ
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    ある金曜日に謝罪声明が
    発表されて
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    この件は結末を迎えました
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    新聞社にとっては 結末でした
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    次の日 私は夕方のニュースに
    出演しました
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    「英国紙6社が報道倫理違反を認める」
    と銘打ったコーナーでした
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    司会者に
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    「事実をショッキングに表現することが
    記者の仕事だとは思いませんか」と聞かれ
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    こう答えました「鹿に角を刺されて
    森の地べたに倒れたんです
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    それで十分ショッキングでは?」
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    (笑)
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    そこで今度は自ら見出しを考えました
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    気に入ったのはこうです
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    「鹿は私の喉を踏みつけ
    新聞が私のプライバシーを踏みにじった」
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    その日のBBCニュース・オンラインでは
    アクセス数ナンバーワン記事でした
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    とても愉快でした
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    意見をメディアで
    表明したその週が終わり
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    新しい声と意見を言う機会を
    得た私は
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    愛と思いやりのメッセージを
    広め始めました
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    新聞社や記者に
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    怒りや憎悪を抱いた瞬間に
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    私は自分の中に その人たちに対する
    偏狭な考えがあるのに気づかされました
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    批判に走ることなく
    その人たちと対話をする必要がありました
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    私はその人たちを理解しようと努め
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    そうすることにより
    自分のことも理解されるようになりました
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    半年後 報道を規制する委員会に入るよう
    要請がありました
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    それから年に何回か Daily Mail紙の編集者
    ポール・デイカーたちと
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    お茶とお菓子を囲み
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    「ところでケイト 最近どう?」
    なんて聞かれています
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    私は彼らを尊敬しています
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    そして今 私は 議決権を持つ3人の
    市民代表委員のうちの1人です
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    私が他の人と違うからではなく
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    私の意見が他の人の意見と同様に
    重要だからです
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    皮肉なことに
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    時々 斜陽業界である印刷業界の方から
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    会いたいと言われます
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    TEDで話した
    インタラクティブ印刷
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    その技術が業界の起死回生に
    つながると
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    考える人がいるのです
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    自分の中の偏狭な考えに用心して
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    敵の中から友達を作りましょう
  • 6:00 - 6:01
    ありがとうございました
  • 6:01 - 6:05
    (拍手)
Title:
新聞にプライバシーを踏みにじられた私がいかに巻き返しを図ったか
Speaker:
ケイト・ストーン
Description:

恐ろしい出来事に見舞われたケイト・ストーンは、タブロイド紙に面白おかしく書き立てられた後、自分のストーリーを語る主導権を握り、さらに人々が自分と同じようにプライバシーを失うのを防ぐ助けになる方法を模索しました。ストーンがどのように自らの手で名誉を回復したのか、ユーモアと勇気に満ちた、プライベートな内容のトークが教えてくれます。

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Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TEDTalks
Duration:
06:18

Japanese subtitles

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