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最も厳重な刑務所における詩 | フィル・ケイ | TEDxFoggyBottom

  • 0:14 - 0:16
    皆さんこんにちは
  • 0:18 - 0:22
    私の名はフィルといい
    スポークンワードの詩人です
  • 0:22 - 0:26
    それが何を意味するのか
    訝しく思うのは構いません
  • 0:26 - 0:28
    仕事は何をしているのか
    尋ねられ
  • 0:28 - 0:31
    「詩人です」と答えると
  • 0:31 - 0:34
    それが「求職中」の婉曲表現だと
    取られるのは良くあることなので
  • 0:34 - 0:35
    (笑)
  • 0:35 - 0:37
    でも詩人というのは
    本当の話です
  • 0:37 - 0:41
    私は様々な学校や組織や地域に
    出向いていって
  • 0:41 - 0:43
    あらゆる年齢層や背景の人を相手に
  • 0:43 - 0:48
    スポークンワードのパフォーマンスをしたり
    教えたりすることに多くの時間を費やしています
  • 0:48 - 0:49
    その多くは
  • 0:49 - 0:52
    Project VOICEを
    通じて行っていますが
  • 0:52 - 0:57
    これは素晴らしい友人にして優れた詩人の
    サラ・ケイと共同で運営している組織です
  • 0:57 - 1:00
    今日は詩で
    始めたいと思います
  • 1:01 - 1:03
    祖父についての詩です
  • 1:03 - 1:05
    今日は私にとって特別な日で
  • 1:05 - 1:10
    祖父は数年前に亡くなりましたが
    生きていれば今日が誕生日でした
  • 1:10 - 1:12
    こんな詩です
  • 1:14 - 1:18
    祖父は強い人ではないが
  • 1:19 - 1:22
    築くことの意味を知っている
  • 1:23 - 1:28
    1947年に 祖父と大叔父たちは
    第二次世界大戦から戻ってくると
  • 1:28 - 1:31
    軍払い下げ品の店を始めた
  • 1:31 - 1:35
    彼らはその店を
    「ユニオン払い下げ軍用品店」と名付けた
  • 1:35 - 1:36
    彼らの謳い文句は
  • 1:36 - 1:41
    「戦艦からハンティングナイフまで
    何でも揃えます」だった
  • 1:41 - 1:43
    祖父は強い人ではなかったが
  • 1:43 - 1:45
    約束を必ず守った
  • 1:45 - 1:49
    その場所は半分お店
    半分百科事典で
  • 1:49 - 1:54
    いつか誰かが欲しがる
    かもしれない奇妙な物が
  • 1:54 - 1:56
    天井まで詰まっていた
  • 1:56 - 2:00
    鋼の爪先のブーツ
    耐熱オーバーオール
  • 2:00 - 2:04
    1947年チェコスロバキア製の
    歯科セット
  • 2:04 - 2:07
    地下室まで詰まっていた
  • 2:07 - 2:11
    よその誰かになら
    忘れられてしまう人々も
  • 2:11 - 2:13
    ここでは違った
  • 2:13 - 2:16
    たとえばリチャードだ
    彼はそこで働いていたわけではなかったが
  • 2:16 - 2:21
    日曜の午後にはいつも
    軍服にすっかり身を固めて現れ
  • 2:21 - 2:23
    決して何も買うことがなかった
  • 2:23 - 2:24
    (笑)
  • 2:24 - 2:29
    ただ1度だけ 小さな女の子の手を引いて
    やってきたことがあり
  • 2:29 - 2:34
    「パパが英雄だった頃は
    こんな臭いがしたんだよ」と言った
  • 2:34 - 2:36
    祖父は強い人ではなかったが
  • 2:36 - 2:38
    私たちを守ってくれた
  • 2:38 - 2:41
    夜 一緒に公園を
    歩いていたとき
  • 2:41 - 2:44
    酒に酔った 入れ墨が
    皮膚の空いた部分より多い男が
  • 2:44 - 2:47
    祖父の方に真っ直ぐ
    歩いてくると言った
  • 2:47 - 2:48
    「よう とっつぁん!
  • 2:48 - 2:52
    ガキの頃 親父がよくあんたの店に
    連れてってくれたが
  • 2:52 - 2:55
    あんた 俺が大人みたいに
    握手してくれたことがあったよな
  • 2:55 - 2:57
    今でも良く覚えているよ」
  • 2:58 - 3:01
    祖父の事務所は
    上の階にあったが
  • 3:01 - 3:05
    祖父は店で仕事するのを好み
    誰にでも笑いかけた
  • 3:05 - 3:08
    みんな祖父のことを
    「陽気なアル」と呼んだ
  • 3:08 - 3:12
    太鼓腹に 禿げ頭 長い白髭で
  • 3:12 - 3:16
    小さな子なら 一目見て叫んだろう
    「サンタクロース!」
  • 3:16 - 3:17
    (笑)
  • 3:17 - 3:22
    ユニオン払い下げ軍用品店ができて6年して
  • 3:22 - 3:26
    祖父に息子ができた
    私の父だ
  • 3:26 - 3:30
    父は強い人ではないが
    築くことの意味を知っている
  • 3:30 - 3:33
    十代のある夏に
    父はその店で働いて
  • 3:33 - 3:37
    裏にドアを作ったが
    それは今も残っている
  • 3:37 - 3:42
    ユニオン払い下げ軍用品店ができて40年して
  • 3:42 - 3:44
    父に息子ができた
  • 3:44 - 3:46
    私は強い子供ではないが
  • 3:46 - 3:49
    築くことの意味を学ぼうとしている
  • 3:49 - 3:52
    十代のある夏に
    私はその店で働いて
  • 3:52 - 3:56
    天井まである陳列を作り上げた
  • 3:56 - 3:59
    父が物の見分け方を
    教えてくれたのと同じ天井だ
  • 3:59 - 4:04
    「ああ これか
    これは古いアメリカ軍の砲弾だ
  • 4:04 - 4:08
    持ってみたいと思うかもしれないが
    怪我をしないように注意することだ
  • 4:08 - 4:12
    ああ あれか
    あれは若いアメリカ娘だ
  • 4:12 - 4:15
    抱いてみたいと思うかもしれないが
    怪我をしないように注意することだ」
  • 4:15 - 4:17
    (笑)
  • 4:17 - 4:21
    ドアを作ったすぐ後に
    父はそれを通り抜け
  • 4:21 - 4:25
    自分の半分百科事典を作り上げ
    祖父に誇らしく思わせた
  • 4:25 - 4:30
    自分の陳列を作り上げたすぐ後に
    私は祖父の事務所に駆け上がって
  • 4:30 - 4:35
    出来上がったものを見せた
    「いいなフィル とてもいい」
  • 4:35 - 4:37
    次に何をしたらいいか聞くと
  • 4:37 - 4:41
    祖父は私に古い紙と
    くたびれたペンを渡した
  • 4:41 - 4:43
    それで何をするのか聞くと
  • 4:43 - 4:46
    祖父はただ肩をすくめて笑い
  • 4:46 - 4:51
    私は自分にやり方の分かる
    唯一の道を築きはじめた
  • 4:52 - 4:54
    (拍手)
  • 4:59 - 5:00
    ありがとうございます
  • 5:00 - 5:02
    (拍手)
  • 5:02 - 5:03
    ありがとう
  • 5:03 - 5:07
    これはスポークンワードの
    ひとつの例です
  • 5:07 - 5:11
    紙の上で読むためではなく
    演じられるよう作られた詩です
  • 5:11 - 5:15
    スポークンワード詩を作るプロセスについて
    聞かれることがありますが
  • 5:15 - 5:18
    他のものを作るのと
    あまり違いません
  • 5:18 - 5:20
    草稿があり 改訂版があり
  • 5:20 - 5:24
    そして願わくは 感想を聞かせてくれる
    信頼できる人たちがいます
  • 5:24 - 5:28
    これは今日 私が話そうと
    思っていることに関係しています
  • 5:28 - 5:30
    すこし時間を遡ります
  • 5:30 - 5:34
    2006年 私が大学に入ってすぐのころ
  • 5:34 - 5:37
    スポークンワードは
    何年かやっていましたが
  • 5:37 - 5:39
    ワークショップで教えたことは
    ほとんどありませんでした
  • 5:39 - 5:42
    地元の刑務所で
    ボランティアとして
  • 5:42 - 5:45
    スポークンワードを教える
    機会を見つけました
  • 5:45 - 5:49
    友達が申し込むように強く勧めるので
    やってみることにしました
  • 5:49 - 5:51
    正直に言うと その時は
  • 5:51 - 5:54
    自分がどんなことをすることになるのか
    良くわかっていませんでした
  • 5:54 - 5:58
    郊外で育った恵まれた若者が
    最も厳重な刑務所に行くことの意味合いを
  • 5:58 - 6:00
    考えてはいなかったのです
  • 6:00 - 6:05
    でも最初のワークショップに向かう車の中で
    不安が頭をもたげ
  • 6:05 - 6:08
    ハンドルを握りながら
    思いました
  • 6:08 - 6:12
    お前 何様のつもりだ?
    何を話せばいいんだろう?
  • 6:12 - 6:17
    まじめに受け取ってもらえるのか?
    自分に何が教えられるだろう?
  • 6:17 - 6:21
    会場に行くと
    受刑者が1人ひとり入ってきました
  • 6:21 - 6:23
    16人いました
  • 6:23 - 6:27
    握手をして
    1人ずつ自己紹介をしました
  • 6:27 - 6:29
    マーカスが参加したのは
  • 6:29 - 6:34
    数ヶ月後の結婚記念日のため
    妻への詩を書きたいと思ったからです
  • 6:34 - 6:37
    グラハムは詩を書いたことは
    ありませんでしたが
  • 6:37 - 6:40
    ラップが好きなので
    やってみようと思ったのでした
  • 6:40 - 6:41
    それからティムがいて
  • 6:41 - 6:46
    彼は椅子に深くもたれていましたが
    肩に力が入っていて 眉をひそめ
  • 6:46 - 6:49
    私を真っ直ぐ見つめながら
    言いました
  • 6:50 - 6:53
    「俺はティム
    ただ聴きに来ただけだ
  • 6:53 - 6:59
    ただ 俺たちに教えるために連中が
    あんたにいくら払ってるのかは ちょっと興味がある」
  • 6:59 - 7:03
    私は本当のことを言いました
    ボランティアで何ももらっていないと
  • 7:03 - 7:06
    彼は頷いて「ならいい」と言いました
  • 7:07 - 7:11
    時間を進めます
    ワークショップの4週目のことです
  • 7:11 - 7:14
    彼らはおよそあらゆることを
    詩に書いてきました
  • 7:14 - 7:16
    刑務所のことだけ書く人もいました
  • 7:16 - 7:21
    日課とか 待ち時間とか
    二段ベッドの臭いとか
  • 7:21 - 7:23
    刑務所については
    何も書かない人もいました
  • 7:23 - 7:26
    家族や 近所のこと
  • 7:26 - 7:29
    角の店の山羊肉カレーのこと
  • 7:29 - 7:33
    自分の潔白について書く人もいれば
    自分の罪について書く人もいました
  • 7:34 - 7:38
    でも誰かが朗読しているときは
    みんな静かにしていました
  • 7:38 - 7:40
    そのワークショップに
    ゲイブという人がいました
  • 7:40 - 7:42
    ゲイブはイタリア人で
  • 7:42 - 7:45
    彼の作には よく自分の出のことが
    書かれていました
  • 7:45 - 7:47
    それは彼にとって
    重要なことだったのです
  • 7:47 - 7:50
    感想を聞いた後
    彼はまわりを見て言いました
  • 7:50 - 7:55
    「イタリア人以外の言葉なんかに
    耳を貸したことはなかったが—
  • 7:55 - 7:56
    (笑)
  • 7:56 - 7:59
    あんたらは すごく賢いってのがわかった」
  • 8:00 - 8:02
    ゆっくりとした変化がありました
  • 8:02 - 8:07
    私たちの間にあった壁が崩れはじめ
    私たちはもう他人ではありませんでした
  • 8:07 - 8:09
    5週目には
  • 8:09 - 8:13
    以前は知らなかった人の隣に
    彼らが座るようになりました
  • 8:13 - 8:14
    7週目には
  • 8:14 - 8:17
    みんな他の人への
    肯定的な意見がたくさんあって
  • 8:17 - 8:18
    紙に書かなければ
    なりませんでした
  • 8:18 - 8:21
    みんなに全部伝えられるだけの
    時間がなかったからです
  • 8:21 - 8:22
    9週目
  • 8:22 - 8:25
    彼らは互いの詩を
    引用するようになりました
  • 8:25 - 8:27
    私は依然よそ者であり
  • 8:27 - 8:32
    年が自分の倍の人相手に刑務所で仕事する
    うぶな若造に過ぎませんでしたが
  • 8:32 - 8:37
    ありのままの自分を受け容れて
    もらえたことを ありがたく思いました
  • 8:37 - 8:40
    たとえ週に数時間であっても
  • 8:40 - 8:41
    書き手の集まりの中にいて
  • 8:41 - 8:45
    自分がもっと良くなれるよう
    思ってくれる人たちの間にいるのが
  • 8:45 - 8:47
    どんなものか分かった
    初めての経験でした
  • 8:47 - 8:51
    自分の弱い部分を
    引き出してみんなに渡し
  • 8:51 - 8:56
    相手がそれを優しくこねて
    前よりも良いものにして返してくれるのが
  • 8:56 - 8:57
    どんな感じか学びました
  • 8:57 - 8:59
    そこは最も厳重な刑務所であり
  • 8:59 - 9:04
    自分の書いたものを無防備にさらけ出すことになるとは
    思いもしませんでした
  • 9:05 - 9:07
    話を進めます
  • 9:07 - 9:13
    11週目 ワークショップの全員が
    自分の詩を読んだわけではありませんでした
  • 9:13 - 9:18
    ティムは その場で最も考え深い
    意見を言ってくれる人でしたが
  • 9:18 - 9:21
    自分の詩を持ってきたことは
    ありませんでした
  • 9:21 - 9:23
    書くように言ったものか
    わかりませんでした
  • 9:23 - 9:24
    このようなワークショップでは
  • 9:24 - 9:28
    作品を持ってこないのには
    様々な理由があります
  • 9:28 - 9:31
    学習障害や
    読み書きの問題
  • 9:31 - 9:36
    笑われることへの恐れ
    教室外での暴力まで
  • 9:36 - 9:38
    でも11週目のワークショップの後
  • 9:38 - 9:40
    ティムが少し一緒に
    歩かないかと言いました
  • 9:40 - 9:42
    いいよと答えました
  • 9:42 - 9:44
    しかし そう答えてすぐ
  • 9:44 - 9:49
    ワークショップ会場から出口まで歩くには
    中庭を通るしかないことに気付きました
  • 9:49 - 9:53
    中庭を一緒に歩くというのは
    重大な行為でした
  • 9:54 - 9:59
    教室の安全な環境における友好と
    中庭での衆目は別の話で
  • 9:59 - 10:01
    2人のどちらにとっても
    リスクがありました
  • 10:01 - 10:06
    私にとっては 囚人と親しすぎると
    思われる危険があり
  • 10:06 - 10:10
    それは看守の好まないことで
    ワークショップが打ち切られる危険さえありました
  • 10:10 - 10:14
    ティムにとっては
    ゴマすり屋に見られるリスクがあり
  • 10:14 - 10:15
    刑務所の社会構造において
  • 10:15 - 10:20
    評判は 現実の有害な結果を
    もたらしうるものでした
  • 10:21 - 10:22
    でも私たちは
  • 10:22 - 10:26
    アイデアを交換し 互いに成長しようとする
    ワークショップの仲間でした
  • 10:26 - 10:30
    だからドアを開け
    中庭を通って
  • 10:30 - 10:32
    ゆっくりと歩き出しました
  • 10:33 - 10:36
    驚いたことに ティムは
  • 10:36 - 10:40
    なぜ私がまだ自分の詩を1つも
    持ってきていないのかと尋ねました
  • 10:40 - 10:41
    (笑)
  • 10:41 - 10:45
    それは私の講師としての
    未熟さのためだったのかもしれないし
  • 10:45 - 10:47
    自信が少し欠けていたため
    だったのかもしれませんが
  • 10:47 - 10:51
    誰かがそれに気付こうとは
    思っていませんでした
  • 10:51 - 10:54
    上手く書けなかったんだ
    と言いました
  • 10:54 - 10:56
    彼は自分もそうだと言いました
  • 10:56 - 10:58
    それで約束を交わしました
  • 10:58 - 11:01
    相手のために
    来週書いてくると
  • 11:01 - 11:03
    たとえ短いものだろうと
  • 11:03 - 11:06
    それを見るのが
    相手ひとりだったとしても
  • 11:06 - 11:09
    書くことについて私が
    最高のアドバイスをもらったのは
  • 11:09 - 11:13
    中3のときの国語の先生
    アーリー・パーカーからでした
  • 11:13 - 11:14
    パーカー先生は言いました
  • 11:14 - 11:18
    机に向かって最初の草稿を
    書くときには 臆することなく
  • 11:18 - 11:22
    自分のことをシェークスピア以来の
    最高の書き手だと思う人が
  • 11:22 - 11:25
    肩越しに覗いていると想像し
  • 11:25 - 11:29
    自分の書いているものを読んで
    その人が何と言うか想像するようにと
  • 11:29 - 11:31
    私にとって
    その相手は母です
  • 11:31 - 11:35
    ありがたいもので 私が見苦しい
    棒人形を 汚いナプキンに書くと
  • 11:35 - 11:39
    母は言ったものです
    「これは世紀の傑作だわ」
  • 11:39 - 11:40
    (笑)
  • 11:40 - 11:43
    パーカー先生が教えてくれたのは
  • 11:43 - 11:47
    自分のあらゆる馬鹿げた考えや
    自分の取るあらゆるリスクを
  • 11:47 - 11:51
    頭の中で その人の声が
    肯定するのを聞くということです
  • 11:51 - 11:53
    それからパーカー先生は言いました
  • 11:53 - 11:55
    「机に向かって推敲するときには
  • 11:55 - 11:58
    自分が尊敬しているけれど
    批判的な意見を言ってくれる人が
  • 11:58 - 12:01
    肩越しに覗いているのを
    想像しなさい」
  • 12:01 - 12:05
    私にとってその人は
    クランプソンという別の国語の先生でした
  • 12:05 - 12:07
    クランプソン先生との関係は
    素晴らしかったものの
  • 12:07 - 12:09
    私に厳しかったのです
  • 12:09 - 12:11
    自分の文章を読み返していると
    先生が言うのが聞こえます
  • 12:11 - 12:13
    「ここは意味をなしていないね」
  • 12:13 - 12:15
    「ここは何を言おうとしているわけ?」
  • 12:15 - 12:18
    「これは君が思っているほど
    可笑しくはないよ」
  • 12:18 - 12:23
    そうやってパーカー先生は
    初稿でリスクを取り
  • 12:23 - 12:27
    第2稿で そのうちのどれが効果を上げているか
    見るように教えてくれたのです
  • 12:27 - 12:30
    次の週 ワークショップのはじめに
  • 12:31 - 12:33
    ティムが 私にそっと
    紙切れを渡しました
  • 12:34 - 12:36
    私の方も彼に渡しました
  • 12:36 - 12:39
    その次の週には
    彼は2枚の紙切れを寄越しました
  • 12:39 - 12:42
    その次の週には
    みんなの前で詩を読みました
  • 12:42 - 12:45
    その次の週には
    私もみんなの前で読みました
  • 12:46 - 12:47
    時間を先に進めて
  • 12:47 - 12:49
    ワークショップの
    最後の週のことです
  • 12:49 - 12:54
    みんなワークショップ期間に
    書いた詩を全部持ってきました
  • 12:54 - 12:56
    部屋を笑顔の男達が満たし
  • 12:56 - 13:01
    それぞれの前には
    クシャクシャの紙の山がありました
  • 13:01 - 13:04
    ティムの山は他のみんなより
    少し高くなっていました
  • 13:04 - 13:08
    みんな部屋をまわり
    詩を交換し
  • 13:08 - 13:12
    胸当てを外して
    他の人に覗かせました
  • 13:12 - 13:14
    そしてワークショップの半ばに
    気付きました
  • 13:14 - 13:16
    それらの詩の多くにとって
  • 13:16 - 13:18
    これが声に出して分かち合われる
    唯一の機会であることに
  • 13:18 - 13:20
    もうひとつ気付いたのは
  • 13:20 - 13:24
    その時まで 私が詩を書くのは
    人に見せるため—
  • 13:24 - 13:27
    「いいね」と言ってくれる人のため
    YouTubeでの人気のため
  • 13:27 - 13:30
    部屋を満たす拍手のためだった
    ということです
  • 13:30 - 13:35
    でも彼らの詩は認めてもらうためではなく
    書くために書かれたものでした
  • 13:35 - 13:39
    何かを見付けるために
    自己発見の期待のために
  • 13:39 - 13:41
    ティムが詩を読もうと
    手を挙げました
  • 13:41 - 13:43
    紙についての詩でした
  • 13:43 - 13:45
    刑務所のようなところで
  • 13:45 - 13:49
    自分の考えを
    見られる場所があり
  • 13:49 - 13:52
    それを手にできるのは
    いかに素晴らしいことかと
  • 13:52 - 13:55
    私たちはあらゆる事柄について
    詩を分かち合いました
  • 13:55 - 13:58
    口笛の吹き方を学ぶ詩があり
  • 13:58 - 14:00
    ファーストキスの詩があり
  • 14:00 - 14:05
    絶好のタイミングで素敵な長いオナラをすることの
    喜びについての詩がありました
  • 14:05 - 14:06
    (笑)
  • 14:07 - 14:10
    私たちは自分のつまらない片隅や
  • 14:11 - 14:14
    誰も尋ねない部分や
  • 14:14 - 14:19
    逮捕歴や芸術家の略歴には
    現れることのないものを分かち合いました
  • 14:19 - 14:25
    その瞬間の私たちは 年齢や過去ではなく
    四方の壁によってだけ限られた
  • 14:25 - 14:28
    詩を共有する17人の男でした
  • 14:29 - 14:33
    去年私は詩を教えて
    何千キロも旅しましたが
  • 14:33 - 14:36
    私の知る最も優れた
    芸術家の何人かは
  • 14:36 - 14:38
    監房を出ることが
    滅多にないのです
  • 14:38 - 14:43
    これは私が忘れることなく
    引きずり続ける不当な現実です
  • 14:44 - 14:49
    最後のワークショップの終わりに
    ティムは一緒に少し歩かないかと言いました
  • 14:49 - 14:50
    私はいいよと答えました
  • 14:50 - 14:54
    ドアを開け
    中庭を通って歩きました
  • 14:54 - 14:58
    彼は自分のことを忘れずにいてくれるかと聞き
    私はもちろんだと答えました
  • 14:58 - 15:03
    「じゃあ 俺たちのために
    頑張ってくれよ」と彼は言い
  • 15:03 - 15:06
    「やってみるよ」と私は答えました
  • 15:07 - 15:10
    最後にもう1つ詩を読んで
    終わりにします
  • 15:10 - 15:13
    刑務所で作り始めた詩です
  • 15:13 - 15:16
    この場にいて聞いてくれたことに
    感謝します
  • 15:16 - 15:18
    とても光栄でした
  • 15:21 - 15:24
    母の教えてくれたコツだが
  • 15:25 - 15:28
    何かを何度も繰り返していると
  • 15:28 - 15:30
    意味が失われてしまう
  • 15:30 - 15:32
    たとえば 宿題—
  • 15:32 - 15:36
    宿題 宿題 宿題 宿題 宿題 宿題 宿題 宿題
  • 15:36 - 15:38
    ほら 何もない
  • 15:38 - 15:42
    人生も同じだと母は言った
  • 15:42 - 15:46
    日没もあまりしょっちゅう見ていると
    ただの午後6時になってしまう
  • 15:46 - 15:50
    同じ間違いを何度も繰り返していると
    それを間違いとは思わなくなる
  • 15:50 - 15:53
    ただ起きて 起きて 起きて
    起きて 起きて 起きていると
  • 15:53 - 15:55
    そのうちなぜなのか
    忘れてしまう
  • 15:55 - 15:58
    永遠に続くものはないと
    母は言った
  • 15:59 - 16:02
    両親は僕が7歳のときに別れた
  • 16:02 - 16:06
    最後の口論の前に
    両親は僕を近所の家に行かせた
  • 16:06 - 16:10
    シャトルから蹴り出された
    宇宙飛行士のように
  • 16:10 - 16:14
    帰ってくると
    家には引力がなくなっていた
  • 16:14 - 16:17
    僕は事故かと思っていた
  • 16:17 - 16:18
    でも僕がいなくなると
  • 16:18 - 16:20
    2人は「愛してる」と囁き合った
  • 16:20 - 16:23
    あまりに多く繰り返したために
    意味を忘れてしまったのだ
  • 16:23 - 16:28
    家族 家族 家族 家族 家族 家族 家族
  • 16:28 - 16:30
    母の教えてくれたコツだが
  • 16:30 - 16:34
    何かを何度も繰り返していると
    意味が失われてしまう
  • 16:34 - 16:36
    これは僕のお気に入りの
    遊びになった
  • 16:36 - 16:38
    それは言葉の痛みを
    霧散させてくれた
  • 16:38 - 16:40
    別れ 別れ 別れ
  • 16:40 - 16:41
    ほら 何もない
  • 16:41 - 16:43
    離れる 離れる 離れる 離れる
  • 16:43 - 16:45
    ほら 何もない
  • 16:45 - 16:47
    今では傷ついた便利屋だ
  • 16:47 - 16:49
    一日中言葉に取り組んでいる
  • 16:49 - 16:52
    言わなくていい
    皮肉なのは分かっている
  • 16:52 - 16:54
    子供の頃
  • 16:54 - 16:57
    言葉を支配するコツは
  • 16:57 - 16:58
    それを分解して
  • 16:58 - 17:01
    無価値だと分からせること
    なんだと教わった
  • 17:01 - 17:05
    愛してる 愛してる 愛してる 愛してる 愛してる 愛してる
  • 17:05 - 17:07
    ほら 何もない
  • 17:08 - 17:12
    両親が離婚してすぐ
    吃るようになった
  • 17:13 - 17:17
    運命というのは残酷で
    手際の良い教師だ
  • 17:17 - 17:19
    吃りに逃げ道はない
  • 17:19 - 17:21
    すべての言葉の意味が
  • 17:21 - 17:24
    喉を這い上がってくるのが
    感じられる
  • 17:24 - 17:27
    わ わ わ わ 別れ
  • 17:28 - 17:31
    吃りは鏡でできた檻だ
  • 17:31 - 17:34
    「なんて言ったの?」
    「慌てないで」
  • 17:34 - 17:37
    「ほら 坊や 思い切って言ってごらん」
  • 17:37 - 17:41
    その1つひとつが 逃れることのできない
    存在の まぎれもない反映なのだ
  • 17:41 - 17:43
    あらゆる酷い瞬間が
  • 17:43 - 17:46
    自らの告知に
    何度も何度も何度も躓き
  • 17:46 - 17:49
    ただ部屋の真ん中に
    留まっている
  • 17:49 - 17:53
    自分の言うことには
    引力がなくなったかのように
  • 17:53 - 17:58
    母さん 父さん
    僕はもう言葉を無駄にしてないよ
  • 17:58 - 18:03
    吃りを直そうと
    何百時間も練習した後の今でも
  • 18:03 - 18:07
    喉の奥に意味の爪が
    引っかかっているのを感じる
  • 18:07 - 18:09
    聞いてよ
  • 18:09 - 18:13
    宇宙でも引っかかるのが
    聞こえるんだって
  • 18:13 - 18:18
    「あ あ あ あ あ 愛してる」と
  • 18:19 - 18:20
    ありがとうございました
  • 18:20 - 18:23
    (拍手)
Title:
最も厳重な刑務所における詩 | フィル・ケイ | TEDxFoggyBottom
Description:

優れたストーリーテリングの技術を持つフィル・ケイが、心を掴む2篇の詩とともに、最も厳重な刑務所の受刑者たちと詩を作った体験について語ります。

フィル・ケイは旅するスポークワードの詩人で、仲間とProject VOICEを運営しています。自分の詩の朗読をしたりワークショップをしたりして世界中をまわっています。NPRの番組やリンカーンセンターに出演し、全米大学ポエトリースラムで、詩のパフォーマンスの技術に目覚ましい革新をもたらした者に与えられる Pushing the Art Forward賞を2度受賞しました。この賞を2度受賞しているのは彼だけです。フィルはブラウン大学を卒業し、在学中に Space in Prisons for the Arts and Creative Expression (SPACE)のコーディネーターを務め、最も厳重な刑務所内のワークショップで詩を教えていました。2011年に著書 A light bulb symphony を出版しており、また彼の作品はよくCHAOS Magazineに掲載されています。

このビデオは、TEDカンファレンスの形式で地元コミュニティが独自に運営するTEDxイベントにおいて収録されたものです。詳しくは http://ted.com/tedx をご覧ください。

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Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TEDxTalks
Duration:
18:30

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