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物語に心惹かれる理由|トマス・プエヨ|TEDxHumboldtBay

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    老ホモサピエンスは焚火の側へとよろめき歩み
  • 0:18 - 0:22
    子どもたちは傍らに集い静かに座ります
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    部族でもっとも名高いハンターの
    話を聞きたくてうずうずしているのです
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    老いたハンターは自らの知識を
    分け与えたいと思っています
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    彼は咳払いをしてー
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    語り始めました
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    「肉食獣に遭遇する確率は
    川の側では25%
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    大型ネコ科動物は人よりも
    50パーセント速く走る
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    樹木があれば無力な
    ハンターの寿命は2倍延びる」
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    かわいそうな子供たち 果たして彼らは
    どれほどのことを記憶できるでしょうか
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    皆さんは退屈なプレゼンテーションで
    似たような目にあったことはありませんか
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    さてハンターの立場ではどうでしょう
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    彼は生涯をかけてハンターとしての
    スキルを磨いてきて
  • 1:03 - 1:06
    パワーポイント作成にも
    多くの時間を費やしました
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    それにも関わらず彼の経験は
    継承されません
  • 1:11 - 1:13
    すべては うまく伝えられなかったためです
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    皆さんに似たような状況の経験があり
  • 1:16 - 1:19
    誰かに何かを教えようとして
  • 1:19 - 1:22
    相手の記憶に残らなかったことがあれば
    「はい」と言って下さい
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    もし皆さんが誰かを説得しようとして
  • 1:26 - 1:27
    議論をし筋道を立てて説明しても
  • 1:27 - 1:30
    理屈が通らず聞き入れてもらえなかった人
    「はい」と言って下さい
  • 1:32 - 1:33
    すべての人が経験していることですね
  • 1:36 - 1:40
    自分が正しいだけでは不十分です
    それを相手に伝える必要があります
  • 1:40 - 1:44
    それには事実や理屈だけでは
    うまくいかない場合があります
  • 1:44 - 1:48
    世界中の有名なTED登壇者のー
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    トーク中の事実は25%のみで
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    物語が65%を占めている理由です
  • 1:55 - 1:56
    そのやり方は正解です
  • 1:56 - 2:00
    物語は事実の2倍から10倍も
    記憶に残りやすいのです
  • 2:00 - 2:04
    今 私が言ったことは事実であり
    記憶に残りにくいため もう一回繰り返します
  • 2:04 - 2:09
    物語は事実のみに比べ2倍から10倍も
    記憶に残りやすいのです
  • 2:09 - 2:13
    だから歴史に残る影響力のある本は
    みなシリーズものの物語であり
  • 2:13 - 2:16
    それゆえに物語は世界の主な宗教を
    生み出したのです
  • 2:17 - 2:20
    物語にはかくも強大な力があるのです
  • 2:21 - 2:25
    日常のコミュニケーションにもぜひ
    物語を取り入れようではありませんか
  • 2:27 - 2:30
    でも物語を取り入れるべきにも関わらず
    私たちは事実と理屈で語ります
  • 2:30 - 2:32
    これには2つの理由があります
  • 2:32 - 2:36
    その1:これほど物語に魅了される理由を
    私たちがよくわかっていないことです
  • 2:36 - 2:38
    人間は「理性的動物」です
    事実を毎日 使用します
  • 2:38 - 2:40
    事実だけでもよさそうですよね
  • 2:40 - 2:41
    その2とはー
  • 2:41 - 2:44
    労せずに物語を創る方法を
    よくわかっていないことです
  • 2:44 - 2:47
    私はこの2つの疑問を
    自問自答し続けてきました
  • 2:47 - 2:49
    私の父は映画監督です
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    子供の頃から家や学校ではいつも
    物語について話し合っていました
  • 2:53 - 2:56
    大学院では脚本制作を学びました
  • 2:56 - 3:00
    物語の構成について本も執筆しました
  • 3:00 - 3:03
    物語を創ることについて学べはしましたが
  • 3:03 - 3:05
    物語に魅了される理由は
    学べませんでした
  • 3:05 - 3:08
    その答えは仕事で見つけました
  • 3:08 - 3:10
    仕事で神経科学の本を
    大量に読む必要があったのですが
  • 3:10 - 3:14
    神経科学の観点から見た
    物語は驚くべきものでした
  • 3:16 - 3:18
    これからそれをお話ししますが
    単に話すだけでなく
  • 3:18 - 3:20
    ちょっとした実験をしますね
  • 3:20 - 3:23
    これから神経科学の観点から見た
    物語の話をしますが
  • 3:23 - 3:26
    皆さんの脳内で起きていることを
    分析してください
  • 3:26 - 3:28
    さあ始めましょう
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    私が「二足歩行」と言ったら
  • 3:32 - 3:33
    皆さんは何を考えますか?
  • 3:34 - 3:36
    歩くこと その通りですね
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    通常であれば皆さんの脳は言葉を解析し
  • 3:38 - 3:40
    繋ぎ合わせたりします
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    脳内の数か所が活性化するのです
  • 3:43 - 3:45
    これは個々人で異なります
  • 3:45 - 3:47
    言葉を解析し画像化するのです
  • 3:47 - 3:49
    これは難しいものです
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    代わりにお話しするのが
  • 3:51 - 3:53
    「走る女性の集団」
    であればどうでしょう
  • 3:53 - 3:55
    足で大地を力強く蹴り出し
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    筋肉は張りつめ
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    顔には風を受けています
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    お気づきでしょうか
  • 4:03 - 4:04
    さっきと違うでしょう?
  • 4:04 - 4:06
    皆さんの脳内では
    何が起きているのでしょう
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    実は実際に走る時に
    働く脳の部位が
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    活性化されているのです
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    肌に風を感じる時に
    働く脳の部位も
  • 4:16 - 4:18
    活性化されます
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    脳にとって物語を聞く事と
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    実体験との差異は無いのです
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    不思議でしょう!
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    まさにVRのように
    バーチャルな世界を創るのです
  • 4:26 - 4:29
    脳にとって実体験と
    バーチャル世界との差異は無いのです
  • 4:31 - 4:33
    では今度は3人の悪童の話をします
  • 4:33 - 4:36
    自転車に乗って 危害を加えようと
    あなたを追って来ます
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    あなたは逃げようとしますが
    体が不自由で逃げられません
  • 4:39 - 4:42
    あなたは必死でもがき
    突然身体が自由になります
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    しかも走れます!
  • 4:45 - 4:47
    脳内では何が起こったのでしょうか
  • 4:47 - 4:50
    話に引き込まれた感覚がありましたか?
    臨場感がありましたか?
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    まさにその通りの事が脳内で起きていたのです
  • 4:53 - 4:55
    その場にいたかのように感じるのは
  • 4:55 - 4:58
    脳の活動が この物語の主人公の脳と
    同じだったからです
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    さらには会場にいるすべての人
    私やあなたとも同じでした
  • 5:01 - 5:07
    私は物語ることにより「テレパシー」で
    脳内の活動を皆さんに伝えたのです
  • 5:07 - 5:09
    純粋な感情移入のようなものです
  • 5:09 - 5:14
    こういった脳の活動が物語を
    忘れがたいものにしているのです
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    物語は脳に叩き込まれます
  • 5:17 - 5:20
    神経科学の観点からの
    「物語」とは何でしょう?
  • 5:22 - 5:24
    「感情移入マシン」です
  • 5:24 - 5:27
    他者の脳内に入り込める装置のようなもので
  • 5:27 - 5:29
    おかげで他者の体験を追体験し
  • 5:29 - 5:32
    他者の思考回路で考え
    感情を感じられるのです
  • 5:33 - 5:37
    すごいでしょう? すごいですよね?
  • 5:37 - 5:38
    (観客)すごい!
  • 5:38 - 5:41
    物語に力がある理由がまさにこれであり
  • 5:41 - 5:43
    その活用法を知れば
  • 5:43 - 5:46
    良い物語を創ることができます
  • 5:46 - 5:49
    2000年前に生きた
    アリストテレスに尋ねれば
  • 5:49 - 5:52
    物語の3部構成「始まり」「中間」「終わり」
    を教えてくれるでしょう
  • 5:52 - 5:55
    しかし私には そこまで
    本質を突いた定義には思えません
  • 5:55 - 5:59
    物語を創るにはちょっとだけ
    ディテールがあればよいのです
  • 5:59 - 6:01
    これから物語を創るレシピをお伝えします
  • 6:01 - 6:04
    しかしお話しするつもりはありません
    実際にお見せします
  • 6:04 - 6:06
    2点だけ言っておきます
  • 6:06 - 6:09
    古典映画のネタバレがいくつかあります
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    まだ見ていない方は
  • 6:10 - 6:12
    残念でした
  • 6:12 - 6:14
    これがお仕置きです
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    2つめです
    かなり早いですよ いいですか?
  • 6:18 - 6:20
    椅子のひじ掛けを掴んでください
  • 6:20 - 6:22
    いいですか? いきますよ!
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    (『ライオン・キング』オープニングテーマ)
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    始まりはごく普通の世界です
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    主人公の世界
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    普段通りの世界です
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    でも 何かががおかしいのです
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    何かが引っかかります
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    突然 ー
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    (ノックの音)
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    刺激的な事件が起こります
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    物語の始まりの出来事で
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    主人公の世界を変えてしまうものです
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    しかし主人公は理解が追いつきません
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    (ハグリッド)「ハリー 君は魔法使いだ」
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    導き手が訪れる瞬間です!
  • 6:49 - 6:53
    導き手は主人公が刺激的な事件に
    立ち向かうよう背を押し
  • 6:53 - 6:54
    逃げることを止めさせます
  • 6:54 - 6:57
    そして普通の世界から引きずり出し
  • 6:57 - 7:01
    異世界への入り口をくぐらせます
  • 7:01 - 7:02
    魔法の世界
  • 7:02 - 7:06
    これまで見知った世界とは
    まったく異なる新たな世界です
  • 7:06 - 7:08
    新たな友と出会い
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    (エイリアン)「ウー」
    (バズ)「やあ諸君!」
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    新たな敵と邂逅し
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    新たな試練と困難に立ち向かいます
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    そして突如ー
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    バン!
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    物語の「中間」です
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    物語半ばで展開をがらっと
    変えてしまうできごとです
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    主人公のその世界への
    視点を変えてしまうのです
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    主人公は過ちを悟りますが
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    新しい情報に対処するすべを知りません
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    まだ弱いのです まごまごしているうちに
  • 7:33 - 7:36
    敵は彼の弱さにつけこみます
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    主人公に脅威が迫り
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    周りを取り囲まれます
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    敵襲です!
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    主人公の危機です
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    物語で一番 どん底に当たる場面です
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    死の瞬間や
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    損失の瞬間です
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    主人公の膝は崩れ落ち
  • 7:52 - 7:56
    何かを変える必要性に気づきます
  • 7:56 - 7:57
    ここで逆転です
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    主人公は力を得て帰還します
  • 8:00 - 8:03
    敵との最終決戦です
  • 8:03 - 8:05
    主人公には変化がおきて
  • 8:05 - 8:08
    新たなる高みに昇ります
  • 8:09 - 8:12
    そして勝利するのです
  • 8:12 - 8:14
    そして後日譚
    主人公は元の世界に戻り
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    元居た場所へ帰還しますが
    彼は変わりました
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    変わったおかげで勝利し
  • 8:19 - 8:22
    変わったおかげで褒賞を手に入れます
  • 8:23 - 8:26
    これが物語の構造です
  • 8:26 - 8:28
    おしまい
  • 8:28 - 8:29
    いいえ違います
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    なんとなく正しいと思うでしょう
  • 8:32 - 8:33
    でも違うのです
  • 8:33 - 8:35
    他のストーリーテラーに聞くと
    こう言われます
  • 8:35 - 8:38
    「このレシピは忘れろ
    君がたどるべきレシピはこちらだ
  • 8:38 - 8:40
    元のレシピは完全に間違いだ」
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    別のストーリーテラーに聞くと
    こう言われます
  • 8:42 - 8:45
    「物語の3部構成だって?
    3どころか5...6...いや8
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    いや22...
  • 8:47 - 8:48
    31あるよ!」
  • 8:48 - 8:52
    実際 物語のレシピは何百種類とあります
  • 8:52 - 8:54
    皆が同意するものは存在しません
  • 8:54 - 8:59
    本や脚本を執筆する人であれば
    議論は楽しいはずですが
  • 8:59 - 9:03
    私たちには
    ごく簡単なレシピがあればいいだけです
  • 9:03 - 9:05
    日常で物語を創るのに使えるものです
  • 9:05 - 9:09
    必要なのはもっと根本的でシンプルなものです
  • 9:12 - 9:15
    さて物語が線形ではなく
  • 9:17 - 9:18
    環形だったとしたらどうでしょう?
  • 9:19 - 9:22
    始まりと終わりが繋がっている環形です
  • 9:22 - 9:25
    異世界と冒険を経た後
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    私たちは普通の世界に戻ります
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    この対比のおかげで
    私たちには違いがわかります
  • 9:31 - 9:33
    『ライオン・キング』を例に見てみましょう
  • 9:33 - 9:36
    シンバの誕生が始まりです
  • 9:36 - 9:39
    「サークル・オブ・ライフ(生命の環)」
    を経た後に
  • 9:39 - 9:41
    シンバの子の誕生で終わります
  • 9:41 - 9:43
    『それでも夜は明ける』でも同じです
  • 9:43 - 9:46
    奴隷とされる黒人男性の一群から始まり
  • 9:46 - 9:48
    開放される黒人男性の一群で終わります
  • 9:48 - 9:49
    『最愛の大地』でもしかり
  • 9:49 - 9:52
    宇宙空間に女性がひとり
    地球を眺めやる場面から始まり
  • 9:52 - 9:55
    地球上に女性がひとり
    宇宙を見上げる場面で終わるのです
  • 9:56 - 9:59
    『マッドメン』でも同様です
  • 9:59 - 10:01
    第1シーズンのエピソード1では
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    ドン・ドレイパーは不幸でした
  • 10:03 - 10:06
    しかし彼は非常に難しい
    広告キャンペーンを成功させ
  • 10:06 - 10:09
    7年後の最終エピソードでは
  • 10:09 - 10:12
    再度 非常に難しい
    広告キャンペーンを成功させます
  • 10:12 - 10:13
    そしてこの時の彼は幸福です
  • 10:14 - 10:15
    『ゴッドファーザー』では
  • 10:15 - 10:19
    結婚式に始まり葬式で終わります
  • 10:20 - 10:21
    このように構造として
  • 10:21 - 10:23
    「始まり」「終わり」
    環形が分かりますね
  • 10:23 - 10:25
    同じことが直後に起こります
  • 10:25 - 10:29
    「問題」と「解決」つまり
    刺激的な事件とクライマックスです
  • 10:29 - 10:31
    もう一度『ゴッドファーザー』を
    見てみましょう
  • 10:31 - 10:33
    始めにマイケル・コルレオーネは言います
  • 10:33 - 10:37
    「僕のファミリーはならず者だが僕は違う」
  • 10:38 - 10:39
    彼が言いたいのはこうです
  • 10:39 - 10:44
    「誠意と社会規範は僕にとって
    ファミリーよりも大切だ」
  • 10:45 - 10:47
    しかし映画の終盤では
  • 10:47 - 10:51
    彼はファミリーの敵を皆殺しにし
    妻に白々しい嘘をつきます
  • 10:51 - 10:55
    誠意と社会規範よりも
    ファミリーを優先するのです
  • 10:55 - 10:57
    ここでは「鏡像」が見られます
  • 10:57 - 10:59
    『トイ・ストーリー』でも同じです
  • 10:59 - 11:01
    まずバズを見てみましょう
  • 11:01 - 11:04
    突然やって来て
    ウッディのリーダー的な地位を脅かします
  • 11:04 - 11:08
    しかし物語の終わりには
    友かつ共同リーダーとなるのです
  • 11:08 - 11:11
    このパターンは物語全体を通じて見られます
  • 11:11 - 11:14
    前半は問題の探求
  • 11:14 - 11:16
    後半は解決法の探求です
  • 11:16 - 11:20
    だから『マトリックス』のような物語では
  • 11:20 - 11:23
    どのシーンにおいても
  • 11:23 - 11:26
    前半が後半に「鏡像」として
    投影されているのです
  • 11:26 - 11:27
    すごいですよね!
  • 11:27 - 11:32
    映画の前半を
    後半すべてのシーンで再現しているのです
  • 11:32 - 11:33
    まるで鏡像のように
  • 11:36 - 11:39
    さあこれで物語の構造がわかりましたね
  • 11:39 - 11:43
    前半が後半の「鏡像」であり
    シンメトリーなのです
  • 11:43 - 11:46
    物語が二分されていれば
    どこかで繋がる必要があります
  • 11:46 - 11:48
    それがまさに「中間」なのです
  • 11:49 - 11:51
    「中間」は物語のキーポイントです
  • 11:51 - 11:54
    問題解決のための本質が呈示されるからです
  • 11:54 - 11:59
    『ゴッドファーザー』では
    マイケルが最初に殺人を犯す場面です
  • 12:00 - 12:04
    ファミリーを社会規範よりも優先するのです
    しかも彼はそれに喜びを見出します
  • 12:05 - 12:08
    『ライオン・キング』では
    ムファサ王が死ぬ場面です
  • 12:08 - 12:11
    息子のシンバは子ども時代の終焉を悟ります
  • 12:11 - 12:14
    彼はいずれは成長しライオンの王と
    なるのです
  • 12:16 - 12:19
    『トイ・ストーリー』では
    バズとウッディが誘拐される場面です
  • 12:19 - 12:23
    いがみあいをやめなければ
    二人とも死ぬと悟るのです
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    『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』では
    レイがライトセーバーに触れ
  • 12:28 - 12:30
    ジェダイであることを悟る場面です
  • 12:32 - 12:36
    物語の構造とはこのようなものです
    環形を描いていることがわかりますね
  • 12:36 - 12:37
    「環状構造」です
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    この構造は今お話しした映画以外にも
    どこにでも見られるものです
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    『ハムレット』『マクベス』
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    シェイクスピアの作品はほとんどそうです
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    さらに時代を遡り
  • 12:48 - 12:52
    英語で初めて書かれた叙事詩『ベーオウルフ』
  • 12:52 - 12:53
    これもまた環状構造です
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    さらに遡り 釈迦の伝説ではいかがでしょうか
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    物語だけでなく「サガ(一族の物語などの
    壮大な物語)」でも見られます
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    例えば『スター・ウォーズ』三部作も
    また環形です
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    最初の6作すべてが環状構造です
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    『ハリー・ポッター』作品のそれぞれも
    7冊合わせても環形を成しています
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    環形はミクロのレベルでも見られます
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    良い物語であれば全ての幕 全てのシーンが
  • 13:18 - 13:20
    環形を成しています
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    なぜこの構造はそこら中にあり
    あらゆる場所に見られるのでしょう?
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    何か根本的なものがあるのでしょうか?
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    さて実はこの構造はー
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    問題解決の構造なのです
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    問題を定義して探求し
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    解決するための本質を見い出します
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    本質を探究し
    無事 問題を解決します
  • 13:42 - 13:45
    つまり物語とは「問題解決」なのです
  • 13:45 - 13:48
    さて今 物語とは問題解決であると言い
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    ほんの5分前 物語とは感情移入マシンだと
    お話ししましたね?
  • 13:51 - 13:53
    ではこの2点は
    どのように繋がるのでしょうか?
  • 13:54 - 13:56
    物語とは
  • 13:56 - 13:59
    他者の脳内に入り込み
  • 13:59 - 14:02
    問題解決の方法を知るための手段です
  • 14:03 - 14:05
    言い方を変えれば
  • 14:05 - 14:06
    物語とは
  • 14:07 - 14:09
    学びの手段なのです
  • 14:10 - 14:13
    何十万年という昔
  • 14:14 - 14:18
    ホモサピエンスは
    強くも素早くもありませんでした
  • 14:18 - 14:20
    しかし高い問題解決能力を持っていました
  • 14:20 - 14:23
    物語を愛する者は
  • 14:23 - 14:26
    問題解決に長け
    生存競争に勝利しました
  • 14:26 - 14:29
    多くの子孫を残し遺伝子を拡散できたのです
  • 14:29 - 14:34
    こうして人間は
    物語を愛するよう進化したのです
  • 14:34 - 14:37
    物語からは多くを学べるからです
  • 14:38 - 14:42
    冒頭のハンターは箇条書きで話すようなことは
    なかったはずですよね
  • 14:42 - 14:44
    こういう話し方だったはずです
    「お前たち位の年頃
  • 14:44 - 14:49
    わしはひどく腹を空かせて
    森に狩りに行った
  • 14:49 - 14:53
    川に近づくとライオンが見えた
  • 14:53 - 14:54
    ライオンもわしを見たー
  • 14:54 - 14:57
    わしは走った
    しかしライオンはわしより速かった
  • 14:57 - 15:00
    そこでわしは木に飛び上って
    九死に一生を得たんじゃ」
  • 15:00 - 15:03
    子どもたちは何と言ったでしょう?
    「わあすごい!
  • 15:03 - 15:06
    川には行かないようにするよ
    肉食獣がいるからね
  • 15:06 - 15:09
    ライオンと追いかけっこは
    しないようにするよ
  • 15:09 - 15:11
    危険な目に遭ったら木に登るよ」
  • 15:12 - 15:16
    冒頭のような伝え方では
    覚えられなかったような教えが
  • 15:16 - 15:19
    しっかりと頭に叩き込まれたのです
  • 15:20 - 15:25
    物語の力を活用したいのなら
    私の話をよくお聞きなさい
  • 15:25 - 15:28
    人に教えようとしても
  • 15:28 - 15:30
    覚えてくれないことに疲れたのなら
  • 15:30 - 15:33
    事実を並べるだけではなく
    物語で包んではいかがでしょう?
  • 15:33 - 15:35
    人を説得しようとしても
  • 15:35 - 15:37
    理屈が通らないのに疲れたのなら
  • 15:37 - 15:42
    相手の喉元に理屈を突き付けることをやめ
    物語を使ってみてください
  • 15:42 - 15:45
    物語を1つだけ1度きりで
    終わらせないでください
  • 15:45 - 15:48
    家でも学校でも物語を使ってください
  • 15:48 - 15:51
    仕事でも同様です
    物語をいつでも どこでも活用しましょう!
  • 15:52 - 15:58
    TED愛好者の皆さんには真実を求める
    ユニークな知的好奇心があります
  • 15:59 - 16:02
    ストーリーテリングをマスターし
    ぜひ広げてください
  • 16:04 - 16:05
    ありがとうございました
  • 16:05 - 16:07
    (拍手)
Title:
物語に心惹かれる理由|トマス・プエヨ|TEDxHumboldtBay
Description:

物語は私たちの脳に入り込んで私たちを魅了し、影響を及ぼします。それがどのような仕組みなのか、その力をどのように活用できるかを、考えたことはありますか?
楽しい上に目からうろこが落ちるようなこのトークでは、ストーリーテラーにして作家のトマス・プエヨが、物語を見る目を完全に変えてしまいます。プエヨが私たちを誘う旅路では、神経科学的な観点から見た物語や、おもしろい物語は実は、隠れた同じ設計図を基にしていること、物語の秘密兵器としての活用法などについて語られます。

トマス・プエヨ・ブロシャールは、行動心理学の専門家です。『スター・ウォーズ』『ベーオウルフ』『ハリー・ポッター』などの有名な物語の底を支える、ストーリーテリングのパターンを分析したAmazonベストセラー本、“The Star Wars Rings”の著者です。

このビデオは、TEDカンファレンスの形式で地元コミュニティが独自に運営するTEDxイベントにおいて収録されたものです。詳しくは http://ted.com/tedx をご覧ください。

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Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TEDxTalks
Duration:
16:20

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