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騒音が健康に有害な理由―そして私たちにできること

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    聞こえるでしょうか?
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    何かわかりますか?
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    静寂です
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    サウンド・オブ・サイレンスです
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    サイモン&ガーファンクルが
    同名の曲を書きました
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    しかし最近では
    静寂を手に入れることは難しくなりました
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    そのため健康を犠牲にしています
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    実は驚くほどに高い代償を
    払っているのです
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    幸いなことに 個人としても
    社会としても
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    今すぐできることが
    いくつもあります
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    健康を守り
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    静寂の音の効能を
    より享受することができるのです
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    皆さんは過度の騒音が聴覚に
    良くないことをご存知と思います
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    コンサートやバーの帰り道に
    耳鳴りがして
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    聴覚がダメージを受けたことを確信します
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    恒久的にかもしれません
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    とても重大です
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    しかし騒音は聴覚のみならず
    健康に多くの影響を与えます
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    あまり知られていないだけで
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    聴覚への影響と同じくらい
    危険な影響です
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    では騒音とは何でしょうか?
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    騒音は「求められていない音」と定義され
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    音という物理的な部分と
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    その音を求めていないと思う状況という
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    心理的な部分の両方が混在します
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    とても良い例はロックコンサートです
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    ロックコンサートに行く人は
    100デシベルの音量に曝されますが
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    音楽を騒音とは思いません
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    そのバンドが好きで その上チケットに
    100ドルも支払っているのですから
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    音楽が爆音であっても気にならず
    騒音とは思わないのです
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    一方 その会場から3ブロック離れた場所に
    住む人はどうでしょう
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    その人が本を読もうとしても
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    音楽のせいで集中することはできません
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    この状況では音圧レベルは
    相当低いはずですが
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    この人は音楽を騒音と考え
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    長期間で見ると健康被害を引き起こす
    原因になるかもしれません
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    ではなぜ静かな空間は
    重要なのでしょうか?
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    それは騒音が聴覚に留まらない
    影響を及ぼすからです
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    しかし静寂な空間を探し出すことは
    ますます困難になっています
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    現代では
    交通量が着実に増加し
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    都市化が進み
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    工事現場に冷暖房機器
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    落ち葉掃除機に芝刈り機
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    野外コンサートや屋外バー
    携帯音楽プレイヤーや
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    午前3時までパーティーをする
    ご近所さんなどがいます
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    ああーっ!
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    2011年に世界保健機関は
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    毎年 160万年分の健康寿命が
    環境騒音に曝されることによって
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    奪われていると試算しました
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    EU加盟諸国だけの数字です
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    騒音の重要な影響のひとつに
    コミュニケーションの妨害があります
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    理解してもらうために声を張らなければ
    ならないかもしれません
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    極端な例では会話を中断しなくては
    いけないかもしれません
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    騒音のある環境では誤解が増えるでしょう
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    騒音のある地域の学校に通う子供が
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    そうでない学校に通う子供と比較して
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    学力で劣るという研究結果の
    理由となり得ます
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    そしてもうひとつの騒音による
    重要な健康への影響は
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    心血管疾患のリスク増加が
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    長い期間にわたって
    一定の騒音レベルに曝された人に
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    見られるということです
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    騒音はストレスですし
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    自分で制御できない場合には
    なおさらです
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    アドレナリンやコルチゾールといった
    ストレスホルモンを
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    体内で分泌しますが
    それが引き金となり 血液の構成や
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    血管の構造が変化し
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    たった一晩騒音に曝されただけでも
    血管の硬化が観察されます
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    疫学の研究によれば
    騒音暴露と
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    高血圧や心臓麻痺や脳梗塞などとの
    関連について
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    全般なリスクの増加は
    相対的には小さいものの
  • 4:07 - 4:11
    重大な公衆衛生の問題であると
    されています
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    なぜなら騒音は至る所にあり
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    多くの人が一定量の騒音に
    暴露されているといえるのです
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    最近の研究では
    アメリカ社会において
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    心血管疾患の治療だけでも
    毎年39億ドルもの医療費が
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    環境騒音への暴露を
    5デシベル下げることによって
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    削減できると試算されています
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    心血管疾患のほかにも
    がんや糖尿病や肥満など
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    騒音暴露に関連があるとされますが
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    実際にはそれらの疾患が
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    騒音が原因であると結論付けられる
    証拠はまだ得られていません
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    さらにもうひとつの重要な騒音の影響は
    睡眠障害です
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    睡眠は非常に活動的な仕組みで
    私たちを回復させ
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    次の覚醒期に備えるものです
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    静かな寝室は睡眠研究者が
    「良質な睡眠衛生」と呼ぶものの
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    基本となるものです
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    私たちの聴覚系は
    監視機能を備えています
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    常に周囲の環境を監視しているのは
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    睡眠時も同様です
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    寝室の騒音は
    寝つきを悪くする原因になり
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    夜間を通して私たちを覚醒させ
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    夜間の血圧低下を阻害します
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    騒音による睡眠障害がある状態が
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    数か月 数年と続くとなると
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    心血管疾患のリスクを上昇させるという
    仮説もあります
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    しかしながら 騒音による睡眠障害は
    あまり認識されていません
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    睡眠中は意識がないからです
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    かつて 交通騒音の睡眠への影響について
    研究を行いましたが
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    研究の被験者はしばしば
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    「ああ 素晴らしい夜だったよ
    すぐに眠りにつけ
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    一度も起きなかった」と言います
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    夜間に記録した
    生理的な信号を調べてみると
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    何度も覚醒状態があり
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    ひどく分断化された睡眠構造で
    あることが分かりました
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    それらの覚醒はとても短時間なので
    被験者が意識を取り戻すことはなく
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    翌朝に記憶していることもないのですが
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    しかしながら 交通騒音は
    睡眠の安らかさに対して
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    深刻な影響を
    与えているかもしれないのです
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    ではどんな音量が
    うるさすぎるのでしょうか?
  • 6:21 - 6:25
    うるさすぎるという兆候は
    あなたの行動の変化に現れます
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    理解してもらうために声量を上げたり
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    テレビの音量を上げたりします
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    室外を避けたり
    窓を閉めたりします
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    寝室を家の地下に移したり
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    遮音材を使ったりします
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    多くの人は騒音の少ない
    地域に転居しますが
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    誰にでもその余裕があるとは限りません
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    音響環境を改善し
    健康を保つために
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    すぐに出来る方法は何でしょうか?
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    まず第一に 何かうるさすぎるものが
    あれば指摘しましょう
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    例えば 映画館の事業者は
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    聴覚に障害がある人だけが
    映画館に行くと考えているようです
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    大音量に対して苦情を呈し
    それで改善されなければ
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    返金を要求して立ち去りましょう
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    そうすればマネージャーも
    事態を理解できるでしょう
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    騒音の健康への影響について
    子どもたちに話して
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    今 大音量の音楽を聞くことが
    年を取ってから影響することを教えましょう
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    寝室を家の中で静かな場所に
    移すことができれば
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    建物が道路からの交通騒音から
    保護してくれます
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    新しい住居を借りたり
    購入したりしようとしているなら
  • 7:33 - 7:35
    静けさを優先しましょう
  • 7:35 - 7:38
    1日の内の異なる時間帯に
    物件を訪れて
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    騒音について近所の人と
    話してみてください
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    旅行の際にはノイズキャンセリング
    ヘッドフォンを装着することができ
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    事務所が高い騒音レベルの場合にも有効です
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    一般的には静寂な空間を探しましょう
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    週末や休暇中は特にです
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    あなたの聴覚系をくつろがせましょう
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    このトークにとてもふさわしいのですが
  • 8:01 - 8:04
    4年前に日本で開かれた
    騒音に関する会議に参加しました
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    アメリカに帰国して
    空港に降り立ってみると
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    音の壁が立ちはだかっていました
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    このことは 私たちが曝されている
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    一定量の騒音公害を認識できず
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    静かな空間から得られる利益を
    認識できないことを示しています
  • 8:21 - 8:23
    騒音に対してほかに何ができるでしょうか?
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    二酸化炭素排出量と同様に
    騒音排出量という概念があります
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    そしてこの騒音排出量を
    削減するためにできることがあります
  • 8:31 - 8:36
    例えば土曜日の朝7時から
    芝刈りをしないことです
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    近所の人からも感謝されるでしょう
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    落ち葉掃除機の代わりに
    熊手を使いましょう
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    一般的に騒音の発生源で音量を
    減らすことが最も有効なので
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    新しい自動車を購入する時や
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    冷暖房機器やミキサーなどの
    購入に際しても
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    低騒音を優先させましょう
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    多くの機器メーカーがそのような
    機材から発生する騒音のレベルを公表し
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    宣伝に使っているメーカーもあるでしょう
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    そういった情報を使いましょう
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    多くの人には 強力な騒音規制や法整備が
    良いアイデアに思えるでしょうし
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    明白な解決策とも思えるでしょうが
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    考えているほど
    簡単なことではありません
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    騒音を生み出す活動の多くが
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    収益も生み出しているからです
  • 9:15 - 9:20
    空港とその周辺産業のことを
    考えてみてください
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    私たちの研究は
    健康に影響を及ぼしうる騒音レベルを
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    政治家に伝えることができ
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    より良い騒音政策に寄与します
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    ロベルト・コッホは
    かつてこう言ったそうです
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    「いつの日か 人類はコレラやペストと同様に
    容赦のない戦いを 騒音とくり広げる」
  • 9:39 - 9:41
    私は今がその時と思います
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    そしてこの戦いに
    勝利することを望んでいます
  • 9:43 - 9:46
    勝利した暁には 祝えることでしょう
  • 9:46 - 9:47
    素晴らしく静粛にね
  • 9:47 - 9:48
    (笑)
  • 9:48 - 9:50
    ありがとうございました
  • 9:50 - 9:52
    (拍手)
Title:
騒音が健康に有害な理由―そして私たちにできること
Speaker:
マティアス・バスナー
Description:

近年、静寂はめったに手に入らない代物です。交通、建設工事、空調、隣人の芝刈り機... これらの不必要な音は、私たちの健康に驚くほどの影響を与える可能性がある、と騒音研究者のマティアス・バスナーは説きます。騒音があなたの健康と睡眠にどのように影響するのか、そして静寂の音の効能をどうしたら得られるかを発見してください。

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Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TEDTalks
Duration:
10:04

Japanese subtitles

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