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Dead Spaceの変更はうまくいった
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Dead Space 2は高く評価された
初代のファンは少々アクション寄りでも受け入れた
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売り上げも向上した
大体200万本ほど売れたのだ
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だがEAはまだ満足しなかった
フランク・ギボーが言うには
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「Dead Spaceのようなシリーズにこれ以上
投資するには、500万ほど売る必要がある」
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そのためデザインはさらに変化した
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Dead Space 2はシリーズのルーツである
ホラーからの離脱を開始したが
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Dead Space 3におけるホラーは喩えて言うならば
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宇宙船に乗って機雷を撃ち、残骸を突破して
岩石に不時着する間、バックミラーに映る程度だ
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このシリーズはどこまで
アクションシューティング化していくのか
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その答えはすぐにわかる
短いプロローグが終わると
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3はいきなり映画的なイベントや
オフィスビル内での銃撃戦と共に始まる
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アイザックは新たに導入されたカバーシステムと
コンバットロールで人間の敵をなぎ倒していく
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いったん宇宙に出れば多少は落ち着いて
Dead Spaceらしいゲームになる
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だがアクション重視は全体に浸透している
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アイザックはかつてないほど素早くなり
バイオ4のレオンが老人に見えるほどだ
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さらに今作は精密射撃を難しくしていた
カメラ操作が変更され
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デフォルトで画面中央に照準が出るようになった
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これで他のシューティングゲームのように
頭や手足を狙いやすくなった
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弾薬は万能弾を使うようになった
全ての銃は同じ弾を消費して撃つのだ
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これにより弾薬管理の要素がほぼ消滅した
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弾の数が銃選択に影響することはなくなったのだ
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そもそも弾薬自体が重要ではない
今作ではアイテムがこれまでより豊富で
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僕は弾薬所持数がある時点で1000発を越えたほどだ
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万能弾はおそらく、今作初導入の
クラフティングシステムのためだろう
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ステージ中に見つかる部品で
銃の作成や強化ができる
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エンジニアとしてのアイザックの能力を
示すという点では面白いシステムだが
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問題はあまりに強力で万能な武器を作れる点だ
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当然弾薬も関係ないので
もう他の銃は要らなくなってしまう
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Dead Space 1を強化したプラズマカッターだけで
プレイしたと言う人もいるが
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1を3に変えれば、僕も同じことをした
ただしプラズマカッターではなく
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酸弾を撃つアサルトライフル+ロケットランチャーで
しかも威力とリロード、弾数を強化してある
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当然だが、超強力な武器を持っていると
武器交換やアイテム管理は不要になる
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プレイヤーの選択の余地は
戦闘よりもメニュー画面の方が多いくらいだ
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またプレイヤーがあまりに強いので
Dead Space 3はまるで恐くない
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プレイヤーに少しでも反応してもらうために
このゲームは不意打ちに頼っている
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例えばフィーダーという恐るべき強敵がいる
こいつは光と音に反応するので
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フラッシュライトは使わずに
キネシスを使って――
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失礼、銃で撃ってたから聞こえなかったよ
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再生する敵はDead Space 1では恐怖だったし
2では他の敵を避けて逃げることを強いられた
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だが3では少々面倒な相手にすぎない
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2体同時に出てくるが、それでも怖くない
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また古い敵も出てくる プレグナントや
壁と合体したガーディアンなどだが
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他の敵と微妙に違うくらいの存在でしかない
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大抵の場合、このゲームは単純な状況下で
大量のザコを撃つだけだ
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唯一不気味に感じたのは
死んだエイリアンの体内のエリアだ
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眼が光る敵の群れが
暗く複雑な迷路で襲いかかってくる
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これはなかなかの緊張感だ
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だが友達と一緒にプレイすれば
どんな恐怖も弱まる
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Dead Space 3は協力プレイモードも追加したのだ
ジョン・カーヴァーという男が仲間になる
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二人はネクロモーフとユニトロジー兵士たちを
力を合わせて撃退する
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火力はほぼ二倍だ
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このモードでは協力を促す要素が追加される
一人がパズルを解いている間に
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もう一人は仲間を襲撃から守るとか
また一部のパズルは二人で解くように変更されている
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またアシンメトリック・ディメンティアという
ものがあるらしい
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どんなシステムにも宣伝用の名前が必要というわけだ
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各プレイヤーに違うものが見えるという仕様らしいが
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チャプター6までオンラインで遊んだ限りでは
何の違いにも気づかなかった
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カットシーンに出てくるキャラクターが
しょっちゅう変わるのが面白すぎて見逃したかも
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協力モードが一人プレイにほぼ全く
影響しないことには感謝しておこう
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アイテムがいちいち2つずつ配置されていたり
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カーヴァーがカットシーン中に
出たり消えたりするのが変なくらいか
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構造的には、Dead Space 3は
2よりも1に近いと言える
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特に後半の研究ステーション探索は
来た道を戻ることが多く、そのうち地形を覚える
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このため本当の場所のように感じられる
Dead Space 2にこういう場所はなかった
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初代のように、目標を好きな順で
攻略することもできる
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行く必要のない部屋だけでなく
やる必要のないミッションもある
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そうしたミッションにはシリーズの
ストーリーに関する興味深い情報がある
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だが今作は1と同様、ペース配分に問題がある
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前半は面白いし変化も多い
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様々な宇宙船を探索し、残骸のフィールドを飛び
氷の惑星へ着地する
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だが後半は3つの研究室の中だけで
5時間も費やすハメになる
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その後は神殿の部屋3つの中で4時間を過ごす
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この種のペース配分は
サバイバルホラーならまだ我慢できる
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長い廊下は圧迫感を強めるし
引き返す際には不意打ちの恐怖もある
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だがプレイヤーが強すぎる
シューティングでは飽きるだけだ
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Dead Space 2の方がアクション系シューティングの
ステージとして望ましいデザインだとわかる
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それでもDead Space 3はそれなりに
ペース配分に変化を加えている
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いくつかのパズルは独創的だ
エイリアンの言語を使った鍵開けや
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少しテトリスに似ている貨物操作や
エイリアンの体の部位を入れ換えるセクションなど
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ストーリー要素も多い
だがストーリーについて語っても仕方がない
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僕の好みではないし、Dead Spaceの物語に
情熱を燃やしている人もいるらしい
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そうは言っても、今作のは滅茶苦茶だ
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三角関係になってアイザックは
エリーとキスする
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20分前に恋人を処刑したばかりだというのに
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それから月が悪いという話になって
最終ボス戦になるのだが
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これはもう説明のしようもない
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シリーズが進むにつれ、Dead Spaceが
より壮大で荒唐無稽になるのは避けられなかった
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Dead Space 1の脚本家で、3には関わっていない
アントニー・ジョンストンも言っている
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「そうでないと宇宙船が違うだけの
同じゲームになるだろう」
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「それじゃ飽きる」
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だが僕は納得できない
Dead Space 3のとある20分ほどのセクションは
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このシリーズがアクションではなく
サバイバルホラーの道を進んでいたらどうなったか
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その可能性を示しているからだ
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宇宙船が氷の惑星に不時着した直後は
目標地点を示すマーカーもなく
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他のキャラクターとの交信も途絶える
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体温が下がっていくので
熱源から熱源へ移動して生存しつつ
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建物を探して体温を通常に戻さなければならない
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シリーズ中によく出てくる酸素管理の
うまい変化形だ
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また巨大モンスターに追われたり
雪の中から出現する敵もいる
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さらに吹雪が発生すると目の前の敵も見えなくなる
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音で判別するしかない
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サバイバルホラーとして見事なセッティングに
なっただろう 「遊星からの物体X」のようだ
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しかしこれはDead Space 3だ
吹雪の中からストーカーが飛び出してきても…
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…というわけだ この後すぐに
暖かいスーツを入手し、全ては元通りだ
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ゾンビを見たら撃てばいい
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このような一部分を除けば、Dead Space 3は
完全に移行を済ませたと言える
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ホラーとアクションを両立させたゲームから
もっとアクション寄りのホラーゲームへ
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そしてテーマがホラーっぽいだけの
完全なアクションゲームへの移行だ
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その結果、全く異なるジャンルの
要素を引きずったゲームになっている
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弾薬や武器作成をあれだけ変えたにもかかわらず
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アイテム欄やステージ進行のペース
モンスターのデザインはそのままだ
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これらは明らかに、よりペースの遅い
ゲームのための要素だ
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だからこの作品をDead Spaceの伝統とは無関係な
ただの荒唐無稽な協力アクションとして見ても
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それほど優れたゲームとは言えない
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最初から大量の敵を撃ちまくるように
設計されたゲームと比べると見劣りしてしまう
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しかもそんなゲームは簡単に見つかる
サバイバルホラーは比較的少ないが
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TPSはいくらでもあるからだ
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これは秘密でも何でもないが
ホラーからアクションへのデザインの移行は
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開発チームの意図的な選択というよりも
EA側の販売戦略に基づくもので
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より一般的なファン層を獲得するための決定だ
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「ホラーゲームで一般層にアピールするのは難しい
この二つは正反対だからね」
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かつてVisceral Gamesに所属していた
ベン・ワナットの言葉だ
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「だから毎回スピードを上げて、より幅広い客層に
受けようとしたのは意図的な決定だよ」
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協力モードもこの決定によるものだ
詳しくはEurogamerのインタビューを見てほしい
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おかしなゲーム内課金や
Dead Space 2の対戦モードも同様だ
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全てはこのシリーズに
500万という売り上げを達成させるためだ
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だが…その努力も虚しかった
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「Dead Space 3では、元々あったものを
壊してしまった やりすぎてしまったんだ」
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と、ワナットは認めている Dead Space 3は
レビュー得点がシリーズ最低なだけでなく
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売り上げ面でも大失敗だった
発売直後には500万どころか、100万も売れなかった
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それでDead Spaceの新作を見なくなったというわけだ
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同じことが繰り返されている気がしないだろうか
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大胆なビジョンと革新的ゲームプレイを
引っさげた新作が登場する
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ところがシリーズはその独自性を失い
よりシンプルでアクション寄りになっていく
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「一般層に受けるため」という名目でだ
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だがそれで売り上げが増える保証はない
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確実なのは、元のビジョンを愛した
ハードコアなファンを怒らせることだけ
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運がよければリブートが出て
シリーズをそのルーツへ立ち戻らせてくれる
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それがDead Spaceにも起こるだろうか?
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おそらく無理だろう
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Dead Spaceの開発チームの大部分は
すでにEAを去っている
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Visceral Games自体はどうなったかというと
その後EAは昔のビジネスモデルに戻り
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スポーツゲームや映画の版権作品
それから人気作の続編ばかり作っている
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Visceral Gamesは今それをやっている
Battlefieldのスピンオフ作品Hardlineを製作し
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今はスターウォーズ系の版権作品を作っている
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だが、このDead Spaceの話は
重要な教訓を与えてくれているのではないだろうか
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「多くの人」が「気に入りそうな」
ゲームを作るよりも
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「一部の人」が「間違いなく愛してくれる」
ゲームを作る方がいいこともあると
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やあ、マーク・ブラウンの
Game Maker's Toolkitを視聴してくれてありがとう
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今表示されているのが上位の支援者たちだ
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今回の3部構成のエピソードは
ちょっとした実験的試みだった
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コメント欄で感想を聞かせてほしい
だがさしあたりは、いつものスタイルに戻るつもりだ