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ラジェッシュ・ラオ:インダス文字のためのロゼッタ・ストーン

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    では実験から始めたいと思います
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    4000年後の未来を想像してください
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    現在の文明は
  • 0:09 - 0:11
    消え去り
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    本も
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    電子機器も
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    フェースブックもツイッターもありません
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    英語やアルファベットに関する知識は
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    全て忘れ去られたものとします
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    そんな未来の考古学者らが
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    遺跡と化した都市を掘りおこした時
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    何が発掘されるでしょう?
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    長方形のプラスチック片に
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    不思議な記号が記されたものや
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    丸い金属の破片や
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    記号が描かれた
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    円筒形の容器かもしれません
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    考古学者が 北米のどこかで
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    丘陵に埋もれた
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    巨大な記号を発見して
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    名声を得るかも知れません
  • 0:55 - 0:57
    さて これらの人工物から
  • 0:57 - 1:00
    4000年後の未来の人々は
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    何を学び得るでしょう?
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    これは仮定の質問ではありません
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    実際に このような質問は
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    4000年前に栄えた
    インダス文明を解き明かそうとしている
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    我々が現在直面している問題なのです
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    インダス文明と ほぼ同時期に
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    より名の知られた エジプトや
    メソポタミア文明も栄えていました
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    でもインダス文明の規模は
    それらよりも大きく
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    その領域は
  • 1:24 - 1:26
    約百万平方キロメートルに及び
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    現在のパキスタン
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    北西インド
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    そしてアフガニスタンと
    イランの一部にまで達していました
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    これほど広大な文明なら
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    強力な権力者や王がいたはずで
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    彼らの栄光を称える
    巨大遺跡も見つかるはずです
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    ただ そうしたものは
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    一切発掘されていません
  • 1:45 - 1:48
    発見されたのは小さなものばかり
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    これがその一例です
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    これは復元レプリカですが
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    さてこれは誰でしょう?
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    王? 神?
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    神官?
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    ひょっとしたら私達と同じ
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    普通の人かもしれません
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    それはまだ不明です
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    さらに文字付きの
    人工物も発見されています
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    もちろんプラスチックの破片ではなく
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    石の印章や銅版
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    土器 そして驚くことに
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    一枚の大きな標示板も
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    都市の入り口から出土しています
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    「ハリウッド」と書かれているかは不明です
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    いや「ボリウッド」かもしれませんね
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    現時点では
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    その内容は全く不明です
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    それはインダス文字が
    解読されていないからです
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    記号の意味は全く不明です
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    こうした記号は
    印章に多く見られます
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    これがその品です
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    四角の中に一角獣らしき
    動物が彫られています
  • 2:41 - 2:43
    実に素晴らしい芸術品ですが
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    どの位の大きさのものでしょうか?
  • 2:45 - 2:47
    この位でしょうか?
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    またはこの位でしょうか?
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    お見せしましょう
  • 2:52 - 2:55
    印章の復元レプリカです
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    2~3センチ四方の
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    小さなものです
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    これをどう使ったかというと
  • 3:01 - 3:04
    粘土に印をつけ
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    輸送荷物に取り付けていたようです
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    FedExの箱に付いてくる
  • 3:10 - 3:13
    納品書のようなものです
  • 3:13 - 3:16
    印章の
  • 3:16 - 3:18
    内容はどうでしょう
  • 3:18 - 3:20
    送り主の名前?
  • 3:20 - 3:22
    品物に関する情報?
  • 3:22 - 3:25
    それは不明です なぜなら
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    文字が解読されていないからです
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    文字の解読は
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    単なる知的パズルではなく
  • 3:31 - 3:33
    南アジアの政治や文化史と
  • 3:33 - 3:35
    深い関わりのある
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    問題なのです
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    インダス文字はある意味
    3つの仮説がたたかう ―
  • 3:41 - 3:43
    「戦場」と化しています
  • 3:43 - 3:45
    一つ目の勢力が
  • 3:45 - 3:47
    信じて疑わないのは
  • 3:47 - 3:49
    インダス文字は
  • 3:49 - 3:51
    言語を表すものではないということ
  • 3:51 - 3:53
    つまり彼らによれば
  • 3:53 - 3:56
    記号は交通標識や
  • 3:56 - 3:59
    盾に刻まれたシンボルと変わりません
  • 3:59 - 4:01
    二つ目の勢力は
  • 4:01 - 4:04
    インド・ヨーロッパ語の一つを
    表す記号だと主張します
  • 4:04 - 4:06
    今日のインド地図を見ると
  • 4:06 - 4:09
    北インドで使われる言語は主に
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    インド・ヨーロッパ語族に属しています
  • 4:12 - 4:14
    つまりインダス文字は
  • 4:14 - 4:17
    サンスクリットのような 古代の
    インド・ヨーロッパ語の文字だというのです
  • 4:17 - 4:19
    最後の勢力は
  • 4:19 - 4:22
    インダス文明の人々は
  • 4:22 - 4:25
    今日の南インド人の祖先であったと信じています
  • 4:25 - 4:27
    インダス文字が表すのは
  • 4:27 - 4:29
    古代の
  • 4:29 - 4:31
    ドラビダ語族つまり
  • 4:31 - 4:34
    南インド人が話す語族ということです
  • 4:34 - 4:36
    この説の支持者は
  • 4:36 - 4:39
    ドラビダ語の話者が
    インド北部 アフガニスタンの近くに
  • 4:39 - 4:41
    少数いることを取り上げ
  • 4:41 - 4:44
    おそらくインド全域で
  • 4:44 - 4:47
    ドラビダ語が話されていた時期があり
  • 4:47 - 4:49
    したがって
  • 4:49 - 4:52
    インダス文明も
    ドラビダ系ではないかと主張します
  • 4:52 - 4:55
    どの仮説が正しいかは
  • 4:55 - 4:57
    謎です
    でも文字を解読すれば
  • 4:57 - 4:59
    答えがでるはずです
  • 4:59 - 5:01
    でも文字の解読は難問です
  • 5:01 - 5:03
    「ロゼッタストーン」がないからです
  • 5:03 - 5:05
    いや その言語学習ソフトではなく
  • 5:05 - 5:07
    古代の遺物で
  • 5:07 - 5:09
    同じ内容の文章が
  • 5:09 - 5:12
    既知と未知の文字で
    記されているものです
  • 5:12 - 5:15
    インダス文字には
    それに相当する遺物が存在しません
  • 5:15 - 5:18
    さらに話されていた言語も不明です
  • 5:18 - 5:20
    さらに厄介なのは
  • 5:20 - 5:22
    存在する文字列が
    非常に短いということです
  • 5:22 - 5:24
    既にお見せした印章など
  • 5:24 - 5:26
    小さいものに書かれています
  • 5:26 - 5:28
    立ちはだかる障害を
  • 5:28 - 5:30
    乗り越えられるのでしょうか
  • 5:30 - 5:33
    インダス文字は果たして解読可能なのでしょうか
  • 5:33 - 5:35
    残りの時間のスピーチは題して
  • 5:35 - 5:37
    「私が如何にして
    心配するのを止めて ―
  • 5:37 - 5:39
    インダス文字の問題を
    愛するようになったか」です
  • 5:39 - 5:42
    私は中学の教科書で出会って以来
  • 5:42 - 5:44
    インダス文字には
    ずっと魅せられてきました
  • 5:44 - 5:46
    その魅力とはインダス文字が
  • 5:46 - 5:50
    最後の主な未解読古代言語であるということです
  • 5:50 - 5:53
    私はコンピューター神経科学者なので
  • 5:53 - 5:55
    日中の仕事は
  • 5:55 - 5:57
    脳のコンピューターモデルを作り
  • 5:57 - 6:00
    脳がどのように予測するか
  • 6:00 - 6:02
    どのように判断を下すか
  • 6:02 - 6:04
    どのように学習するのかなどを
    研究しています
  • 6:04 - 6:07
    しかし2007年に
    インダス文字と再会したのです
  • 6:07 - 6:09
    インドを訪問した際に
  • 6:09 - 6:11
    コンピューターモデルを利用し
  • 6:11 - 6:13
    文字解読に挑戦している
  • 6:13 - 6:16
    インド人科学者に
    会う機会がありました
  • 6:16 - 6:18
    そのとき 彼らと協力する
  • 6:18 - 6:21
    いい機会だと思って
  • 6:21 - 6:23
    早速 飛びつきました
  • 6:23 - 6:25
    その結果をお知らせします
  • 6:25 - 6:28
    いや一緒に解読していきましょう
  • 6:28 - 6:30
    用意はいいですか
  • 6:30 - 6:33
    未解読の文字列の場合
  • 6:33 - 6:35
    まず筆記の方向を考えます
  • 6:35 - 6:38
    ここに二つの文字列があります
  • 6:38 - 6:40
    さてその方向は
  • 6:40 - 6:43
    右から左 それとも
    左から右でしょうか
  • 6:43 - 6:46
    ちょっと考えてみてください
  • 6:46 - 6:49
    右から左だと思う方?
  • 6:49 - 6:51
    左から右?
  • 6:51 - 6:53
    半々ですね
  • 6:53 - 6:55
    種明かしをすると
  • 6:55 - 6:57
    左側では
  • 6:57 - 7:00
    文字がつまっています
  • 7:00 - 7:02
    おそらく4000年前の筆者は
  • 7:02 - 7:04
    右から左に書いていたら
  • 7:04 - 7:06
    場所が足りなくなったので
  • 7:06 - 7:08
    文字を詰め込んだようです
  • 7:08 - 7:10
    また重なった記号があるので
  • 7:10 - 7:12
    文字列の方向は
  • 7:12 - 7:14
    右から左だったのでしょう
  • 7:14 - 7:16
    一つ分かっていることは
  • 7:16 - 7:19
    言語を表す文字列では
    方向が非常に重要で
  • 7:19 - 7:21
    インダス文字には 右から左という
  • 7:21 - 7:23
    特性があるとわかりました
  • 7:23 - 7:25
    他にどんな
    特性があるでしょうか
  • 7:25 - 7:27
    言語にはパターンがあります
  • 7:27 - 7:29
    例えば英語ではQという文字の
  • 7:29 - 7:32
    次にはどの文字が来るでしょう
  • 7:32 - 7:34
    そうUですね
  • 7:34 - 7:36
    それでは次の文字は
  • 7:36 - 7:38
    何だと思いますか?
  • 7:38 - 7:41
    EIAなど幾つか候補があります
  • 7:41 - 7:44
    でもBCDはありえませんね
  • 7:44 - 7:47
    インダス文字にも
    似たようなパターンがあります
  • 7:47 - 7:50
    多いのはダイヤ型の記号から
    始まる文字列です
  • 7:50 - 7:52
    そしてその次に現れるのは
  • 7:52 - 7:54
    引用符のような記号です
  • 7:54 - 7:56
    これはQとUの例に似ていますね
  • 7:56 - 7:58
    そしてその次には
  • 7:58 - 8:01
    魚のような記号や
    その他の記号が現れますが
  • 8:01 - 8:03
    下にある記号は決して現れません
  • 8:03 - 8:05
    さらに記号のなかには
  • 8:05 - 8:07
    列の最後尾を好むものもあり
  • 8:07 - 8:09
    この瓶に似た記号もそうです
  • 8:09 - 8:11
    そしてこの記号は
  • 8:11 - 8:13
    最も頻繁に見られる記号です
  • 8:13 - 8:16
    そこで思いついたことは
  • 8:16 - 8:18
    コンピュータに このパターンを
  • 8:18 - 8:20
    学習させることです
  • 8:20 - 8:23
    早速 文字列を
    コンピューターに取り込み
  • 8:23 - 8:25
    どの記号が一緒に見られ
  • 8:25 - 8:27
    どれが前後関係にあるのかを
  • 8:27 - 8:29
    統計モデルにして学習させました
  • 8:29 - 8:31
    次に完成したコンピューターモデルを
  • 8:31 - 8:34
    試すテストを行いました
  • 8:34 - 8:36
    記号の一部を削除し
  • 8:36 - 8:39
    それを予想できるかを試したのです
  • 8:39 - 8:42
    例を見てみましょう
  • 8:45 - 8:47
    いわばこれは
  • 8:47 - 8:49
    世界最古の
  • 8:49 - 8:52
    「ウィール・オブ・フォーチュン」ゲームです
  • 8:53 - 8:55
    さてその結果
  • 8:55 - 8:57
    コンピューターは75%の正解率で
  • 8:57 - 8:59
    正しい記号を予想しました
  • 8:59 - 9:01
    残りの25%も
  • 9:01 - 9:04
    2番目か3番目に
    予測した文字が正解でした
  • 9:04 - 9:06
    この手順は
  • 9:06 - 9:08
    とても実用的でもあります
  • 9:08 - 9:10
    破損している文字が多いからです
  • 9:10 - 9:12
    ご覧の通りです
  • 9:12 - 9:15
    コンピューターモデルを利用すれば
  • 9:15 - 9:17
    破損部分を予想することができます
  • 9:17 - 9:20
    これが予想された記号です
  • 9:20 - 9:22
    破損部分を再生することで
  • 9:22 - 9:25
    解読に役立つデータを
    さらに増やすことができます
  • 9:25 - 9:28
    また コンピューターモデルを
    次のように利用できます
  • 9:28 - 9:30
    サルが
  • 9:30 - 9:32
    キーボード入力した場合
  • 9:32 - 9:35
    結果はおそらくこうなります
  • 9:35 - 9:37
    このように無秩序な文字列では
  • 9:37 - 9:39
    エントロピーは非常に高くなります
  • 9:39 - 9:41
    物理・情報論理の用語です
  • 9:41 - 9:44
    完全に無秩序な文字列を想像してください
  • 9:44 - 9:48
    コーヒーをキーボードに
    こぼしたことはありますか?
  • 9:48 - 9:50
    キーが故障し
  • 9:50 - 9:53
    同じ文字を繰り返す
    なんてこともあります
  • 9:53 - 9:56
    この文字列のエントロピーは
    とても低いと言えます
  • 9:56 - 9:58
    変化がないからです
  • 9:58 - 10:01
    一方 言語のエントロピーは中程度です
  • 10:01 - 10:03
    単調すぎず
  • 10:03 - 10:05
    無秩序すぎでもありません
  • 10:05 - 10:07
    さてインダス文字はどうでしょう?
  • 10:07 - 10:11
    あらゆるシーケンスの
    エントロピーを図に表しました
  • 10:11 - 10:13
    一番上は 完全に
    無秩序なシーケンスで
  • 10:13 - 10:15
    ランダムな文字列です
  • 10:15 - 10:17
    興味深いことに
  • 10:17 - 10:20
    ヒトゲノムや楽器音楽も
    ここに含まれます
  • 10:20 - 10:22
    どちらも非常に柔軟なので
  • 10:22 - 10:24
    エントロピーが高いのです
  • 10:24 - 10:26
    最も低い位置にあるのが
  • 10:26 - 10:28
    単調なAばかりのシーケンスや
  • 10:28 - 10:30
    コンピュータープログラムです
  • 10:30 - 10:32
    これはFortranという言語で
  • 10:32 - 10:34
    厳密なルールに従います
  • 10:34 - 10:36
    言語で使われる文字列は
  • 10:36 - 10:38
    中間範囲に見られます
  • 10:38 - 10:40
    さてインダス文字は
    どのあたりでしょう?
  • 10:40 - 10:42
    インダス文字は
  • 10:42 - 10:44
    言語文字の範囲内だと
    分かりました
  • 10:44 - 10:46
    当時この結果の発表は
  • 10:46 - 10:49
    大きな論議を巻き起こしました
  • 10:49 - 10:52
    特にインダス文字は言語を
  • 10:52 - 10:54
    表すものではないと主張する人たちが
  • 10:54 - 10:57
    非難の声を上げました
  • 10:57 - 10:59
    私にも嫌がらせメールが届きました
  • 10:59 - 11:01
    私の生徒達には
  • 11:01 - 11:04
    もっと自分の身の安全を
    考えてと言われました
  • 11:04 - 11:06
    まさか解読業が
  • 11:06 - 11:08
    危険な職業だなんて
    思いもしませんよね
  • 11:08 - 11:10
    さてこの結果は
    何を示しているのでしょう?
  • 11:10 - 11:12
    それはインダス文字が
  • 11:12 - 11:14
    言語の特性をもっていることです
  • 11:14 - 11:16
    ですから
  • 11:16 - 11:18
    見かけが言語文字で
  • 11:18 - 11:20
    振る舞いも言語文字ならば
  • 11:20 - 11:23
    それはきっと言語文字だと
    いえませんか?
  • 11:23 - 11:25
    この文字が本当に
    言語を表しているという
  • 11:25 - 11:27
    他の証拠はあるでしょうか?
  • 11:27 - 11:30
    言語文字は実際
    複数の言語を表せます
  • 11:30 - 11:33
    例えばこの英文を
  • 11:33 - 11:35
    オランダ語で表す場合は
  • 11:35 - 11:37
    やはりアルファベットを利用します
  • 11:37 - 11:40
    英語しか知らなければ
  • 11:40 - 11:42
    オランダ語の
  • 11:42 - 11:44
    これらの言葉には
  • 11:44 - 11:46
    見慣れないパターンがあるはずです
  • 11:46 - 11:48
    見慣れない部分があるため
  • 11:48 - 11:51
    英語の言葉ではないと判断できます
  • 11:51 - 11:53
    インダス文字でも同じことが言えます
  • 11:53 - 11:55
    コンピューター処理の結果
  • 11:55 - 11:57
    この2つの文字列に
  • 11:57 - 11:59
    見慣れないパターンが発見されました
  • 11:59 - 12:01
    例えば上の行を見ると
  • 12:01 - 12:04
    瓶の記号が連続しています
  • 12:04 - 12:06
    この記号はインダス文字で
  • 12:06 - 12:08
    最も頻繁に起こる記号ですが
  • 12:08 - 12:10
    このように連続する例は
  • 12:10 - 12:12
    ここ以外に見つかっていません
  • 12:12 - 12:14
    なぜなのでしょう?
  • 12:14 - 12:17
    この文字列の発掘場所を
    もう一度 調査した結果
  • 12:17 - 12:19
    発見場所は
  • 12:19 - 12:21
    インダス渓谷から遠く離れた
  • 12:21 - 12:24
    現在のイラクやイランの
    周辺だとわかりました
  • 12:24 - 12:26
    なぜそこで発見されたかというと
  • 12:26 - 12:28
    実はインダス文明の人々は
  • 12:28 - 12:30
    進取の気性に富んだ人々でした
  • 12:30 - 12:33
    遠く離れた人々とも貿易を行うため
  • 12:33 - 12:36
    海を渡り
  • 12:36 - 12:39
    メソポタミアまで旅しました
    今のイラクです
  • 12:39 - 12:41
    どういうことかというと
  • 12:41 - 12:44
    インダス文明の貿易人 商人は
  • 12:44 - 12:47
    外国語を表すために
    文字を使っていたということです
  • 12:47 - 12:49
    英語とオランダ語の例のように
  • 12:49 - 12:51
    そう考えればこのような見慣れない
  • 12:51 - 12:54
    パターンの文字列にも
  • 12:54 - 12:57
    説明がつきます
  • 12:57 - 12:59
    つまりインダス文字は
  • 12:59 - 13:02
    複数の言語表示に使用できるのです
  • 13:02 - 13:05
    これまで見てきた結果から
  • 13:05 - 13:08
    インダス文字は言語を
    表していると言えそうです
  • 13:08 - 13:10
    言語を表す文字だとすれば
  • 13:10 - 13:12
    記号をどう読むべきか
  • 13:12 - 13:14
    これが次の大きな課題です
  • 13:14 - 13:16
    記号の多くは
  • 13:16 - 13:18
    人間や虫や
  • 13:18 - 13:21
    魚や鳥の絵のようです
  • 13:21 - 13:23
    古代文字の多くは
  • 13:23 - 13:25
    「判じ物」の原理に基づいています
  • 13:25 - 13:28
    つまり言葉を絵で表しています
  • 13:28 - 13:31
    例えばここに言葉があります
  • 13:31 - 13:33
    これを絵で表せますか?
  • 13:33 - 13:35
    やってみてください
  • 13:35 - 13:37
    できましたか?
  • 13:37 - 13:39
    それでは
  • 13:39 - 13:41
    私の回答です
  • 13:41 - 13:43
    蜜蜂と葉っぱの絵をあわせ
  • 13:43 - 13:45
    ビー・リーフと読ませて
    “belief”となります
  • 13:45 - 13:47
    他にも回答はあるかもしれません
  • 13:47 - 13:49
    インダス文字の場合
  • 13:49 - 13:51
    問題は逆です
  • 13:51 - 13:54
    シーケンス全体の意味が通るような
  • 13:54 - 13:56
    絵の発音を解明しなければいけません
  • 13:56 - 13:59
    まるでクロスワードパズルのようです
  • 13:59 - 14:02
    ただしこれは最難級の
    クロスワードパズルなのです
  • 14:02 - 14:06
    なぜならその解明結果は
    大きな賭けの対象でもあるからです
  • 14:06 - 14:09
    同僚のイラヴァサム・マハデヴァンと
    アスコ・パーポラは
  • 14:09 - 14:11
    このパズル問題に取り組んでいます
  • 14:11 - 14:13
    パーポラの研究内容を
    少しお見せしましょう
  • 14:13 - 14:15
    ここに短い文字列があります
  • 14:15 - 14:18
    縦線が7本 その隣に
    魚らしき記号があります
  • 14:18 - 14:20
    これらの印章は
  • 14:20 - 14:22
    荷物に取り付けられた
  • 14:22 - 14:24
    粘土に記されていたものですので
  • 14:24 - 14:27
    その粘土の一部には
  • 14:27 - 14:29
    商人の名前が記載されているはずです
  • 14:29 - 14:31
    インドでは
  • 14:31 - 14:33
    古くからの伝統で
  • 14:33 - 14:35
    子供の誕生時に見えた星座に
  • 14:35 - 14:38
    ちなんだ占星術的な名前が
    つけられてきました
  • 14:38 - 14:40
    ドラビダ言語では
  • 14:40 - 14:42
    「魚」という言葉は「ミーン」で
  • 14:42 - 14:45
    「星」という言葉の同音語です
  • 14:45 - 14:47
    7つの星は
  • 14:47 - 14:49
    「エル・ミーン」と発音し
  • 14:49 - 14:51
    ドラビダ語で
  • 14:51 - 14:53
    北斗七星を指します
  • 14:53 - 14:56
    同じく6つの星から成る文字列は
  • 14:56 - 14:58
    「アル・ミーン」と発音し
  • 14:58 - 15:00
    旧ドラビダ語で
  • 15:00 - 15:02
    プレアデス星団を指します
  • 15:02 - 15:05
    他の組み合わせを見ると
  • 15:05 - 15:08
    魚の記号と
    屋根のようなものが見えます
  • 15:08 - 15:11
    これは「メイ・ミーン」と発音し
  • 15:11 - 15:14
    古ドラビダ語で土星を指します
  • 15:14 - 15:16
    これには血が騒ぎました
  • 15:16 - 15:18
    核心に近づいているようです
  • 15:18 - 15:20
    だからといって印章に
  • 15:20 - 15:22
    惑星や星座にちなんだ
  • 15:22 - 15:24
    ドラビダ語の名前が含まれるとは限りません
  • 15:24 - 15:26
    今の段階では
  • 15:26 - 15:28
    特定の解読法を決定づける
  • 15:28 - 15:30
    ことができません
  • 15:30 - 15:33
    でもさらに分析が進み
  • 15:33 - 15:35
    より長い文字列が
  • 15:35 - 15:37
    間違いなく解読できているようであれば
  • 15:37 - 15:39
    正しい方向に進んでいることになります
  • 15:39 - 15:41
    今のところ 我々は
  • 15:41 - 15:44
    TEDという言葉を
  • 15:44 - 15:47
    エジプト象形文字や
    くさび文字で表すことができます
  • 15:47 - 15:49
    これは両文字が
  • 15:49 - 15:51
    19世紀に解読されたからです
  • 15:51 - 15:53
    これらの文字を解読すれば
  • 15:53 - 15:56
    古代文明が語る言葉を
    直接知ることができます
  • 15:56 - 15:58
    マヤ文明は
  • 15:58 - 16:00
    20世紀になって語り出しました
  • 16:00 - 16:03
    でも インダス文明は無言のままです
  • 16:03 - 16:05
    「それがどうした?」と思うかもしれません
  • 16:05 - 16:07
    インダス文明は
  • 16:07 - 16:09
    南インド人や北インド人や
  • 16:09 - 16:11
    パキスタン人だけでなく
  • 16:11 - 16:13
    私達全員が共有するべきなのです
  • 16:13 - 16:15
    彼らは私達全員
  • 16:15 - 16:17
    あなたの そして私の先祖なのです
  • 16:17 - 16:19
    ただ歴史という不運な事故によって
  • 16:19 - 16:21
    口を封じられてしまったのです
  • 16:21 - 16:23
    文字さえ解読できれば
  • 16:23 - 16:25
    再び私達に語りかけてくれるでしょう
  • 16:25 - 16:28
    何を語ってくれるでしょうか
  • 16:28 - 16:31
    何が明かされるでしょうか
    彼ら そして私達について
  • 16:31 - 16:34
    明らかになるのが待ちきれません
  • 16:34 - 16:36
    ありがとうございました
  • 16:36 - 16:40
    (拍手)
Title:
ラジェッシュ・ラオ:インダス文字のためのロゼッタ・ストーン
Speaker:
Rajesh Rao
Description:

ラジェッシュ・ラオが魅せられたのは「クロスワードのなかのクロスワード」、すなわち4000年前のインダス文字の解読です。TED2011で彼が語るのは、インダス文明を理解する鍵となるインダス語を、現代のコンピュータ技術を駆使して解読する方法です。

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Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TEDTalks
Duration:
16:41

Japanese subtitles

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