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アフリカのデザインに潜むフラクタル

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    西暦1877年のドイツのことです
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    ゲオルク・カントールという数学者がいました
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    カントールは直線の中央部 3分の1を取り除き
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    残った両端の2本の線で同じ事をするという
    再帰的な作業を繰り返しました
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    つまり 繰り返すごとに 元となる線の数が
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    1本から 2本、4本、16本に増えるわけです
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    これを無限の回数繰り返すと--
    数学上では可能ですから
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    結果は無限の本数の線となります
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    それぞれの線には無限の数の点がありますから
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    彼は要素の数が無限より大きい集合を
    得たことに気がつきました
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    これに大変なショックを受け
    彼は精神病院に入院してしまいました
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    病院から退院すると
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    自分の天命は超限集合論を
    打ち立てることだと確信するようになりました
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    彼にとって最大の無限集合は神そのもので
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    とても信仰深い彼は
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    これを人生の使命としたのです
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    他の数学者も似たような研究をしました
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    スウェーデンのフォン・コッホは
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    線分を取り除く代わりに
    付け足すことを考えました
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    そして こんな美しい曲線をつくりました
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    この形をベースにする必用はありません
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    どんな形をベースにしてもよいわけです
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    ここをちょっと変えて
    こちらは下の方へ引っ張ります
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    このベースの形で操作を繰り返すと
    結果はとても違う構造になります
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    これらは全て自己相似性があります
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    どの部分をとっても全体に似ています
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    様々なスケールで 同じパターンが存在します
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    当時の数学者が困惑したのは
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    使う定規が短くなるにつれて
    測った長さが長くなるということです
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    無限に操作を繰り返して作った曲線を
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    無限に短い定規で測ると 長さは無限に長くなります
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    わけが解りません
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    そこで彼らはこの曲線を
    数学の教科書の後ろの方に追いやって
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    これは病的な曲線だから
    説明は不要ということにしました
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    (笑)
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    そのまま百年経ちました
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    そして1977年に
    フランスの数学者 ブノワ・マンデルブロが
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    この形をフラクタルと名づけ
    コンピューターグラフィックスに使うと
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    自然の形を表現できる事に気付きました
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    人間の肺 アカシアの木 シダの葉っぱ等
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    美しい自然の形を描けるのです
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    親指と人差し指の付け根の つながっている所を
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    ちょっとみて下さい
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    手をリラックスさせるとしわが見えます
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    しわの中にシワがあり
    シワの中にまたしわがあります
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    私たちの身体はフラクタルで覆われています
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    こんなのは病的だと言っていた数学者は
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    フラクタルの肺を使ってそう言ったのです
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    皮肉なことです 
    ここで 自然の再帰的操作をお見せします
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    ここにある直線を
    全体の形に置き換えるということを繰り返します
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    2回、3回、4回 …それを繰り返していくと
    こうなります 自然を見ると
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    これに似た自己相似形が多数あります
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    自己組織化するシステムを使っているのです
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    1980年代のことです
    アフリカの村の航空写真を見て
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    フラクタルがあることに気づきました
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    「これはすごい でもなぜだろう」
    そう思った私は どうしてもアフリカまで行って
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    人々にわけを尋ねたくなりました
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    フルブライトの奨学金を頂いて
    1年アフリカを訪ね
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    フラクタル建築の理由を尋ねて廻りました
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    こんな良い仕事は滅多にありません
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    (笑)
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    この街にたどり着き
    この街の簡単なフラクタルのモデル化は
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    既にやってみたのですが
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    実際 街に行って その部族長の城に行き
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    つたないフランス語で
    こんな感じに頼みました
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    「私は数学者-- あなたの屋根の上に立ちたい」
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    彼は嫌な顔もせず 屋根の上に案内してくれ
    そこでフラクタルについて語り合いました
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    彼は嫌な顔もせず 屋根の上に案内してくれ
    そこでフラクタルについて語り合いました
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    彼は「そうそう 四角の中の四角のことだね
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    皆良く知っているよ」と言いました
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    驚いたことに王家の紋章に 四角の中の四角の中の四角が使われていることがわかりました
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    城の中の道もこの渦巻きです
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    道を進むにつれ礼儀正しく振舞わなくてはなりません
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    社会関係の変化を
    幾何的な変化に対応させているのです
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    これは意図的なパターンです 同じフラクタルでも
    シロアリの塚の様な無意識なものとは違います
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    これはザンビア南部にある村です
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    バイラが建てた
    この村の直径は約400mでした
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    大きな輪の形です
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    家族の住む輪が後ろに行くほど大きくなり
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    村長の輪がこの後ろの方にあります
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    その輪の中に村長の直系の家族がいます
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    これをフラクタル的に見ると
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    これが一軒の家 中に聖壇があります
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    これは何軒かが集った家
    家族の輪の集まりです
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    聖壇があるはずの所に人間がいます
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    そしてこれが村全体
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    輪の輪の輪です 村長の遠い親戚がここ
    直系の家族はここ
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    そして ここに こんな小さい村があります
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    こんな小さな村に人が住めるはずがないのですが
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    住人は霊なので問題ありません 
    祖先の方々です
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    もちろん霊が住んでいるこの村にも
    さらに小さい ミニチュアの村があるはずです
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    ゲオルク・カントールの言った様に
    再帰のプロセスは永遠に続くのです
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    こちらは ナイジェリアとカメルーンの国境近くの
    マンダラ山地のモコーレックです
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    フランス人の建築家が描いた図をみて
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    なんて素晴らしいフラクタルかと思いました
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    そこで操作を繰り返すとこの構造になる
    ベースとなる形をさがしました
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    これがその構造です
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    1回 2回 3回 4回と
    操作を繰り返して見て見ましょう
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    シミュレーションの結果
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    村全体がこのように
    渦巻状になっていることに気がつきました
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    これが複製される線
    自己複製しながらフラクタルになる線です
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    この線は偶然にも 村の唯一の四角い建物と
    同じ位置にあります
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    そこで村に着いたとき
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    「あの四角い建物に案内してくれませんか
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    何かがある気がします」と尋ねると
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    「案内しますが 中には入れませんよ
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    神聖な場所で 毎年生贄を捧げる所なのです
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    畑の肥沃のサイクルを保つために」と
    答えが返ってきました
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    考えてみると 肥沃のサイクルというのは
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    この場所を築いた幾何的なアルゴリズムの
    再帰的なサイクルと同様です
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    再帰的なパターンは
    これらの村の微々たる所にも見られます
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    これはマリのナンカニの村です
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    家族の家にはいると
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    暖炉に鍋が再帰的に積み上げられています
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    イッサが見せてくれたカラバッシュです
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    これも再帰的に積み上げられています
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    一番小さなカラバッシュに女性の魂が入っているそうで
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    彼女が死ぬと 特別な儀式で
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    ザランガと呼ばれるこの山を崩して
    彼女の魂は永遠の世界に行くのだそうです
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    ここでも 無限というのは大切です
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    ここで3つの疑問が浮かびます
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    このような相似的なパターンは
    先住民の建築物に共通なのではないか?
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    もちろん 私もそう仮定しました
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    初めてアフリカのフラクタルを見たとき
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    「階級組織的な社会ではない先住民のグループは
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    皆どれもボトムアップの建築をするのではないか」と
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    しかしそれは間違いでした
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    アメリカ先住民や南太平洋の建築物の
    航空写真を何枚も見ましたが
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    フラクタルなのは アフリカの建築のみでした
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    それぞれの社会には特有の
    幾何学的なデザインがあるものです
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    アメリカ先住民は
    円や90度回転対称形を使います
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    焼き物やバスケットを見るとわかります
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    これはアナサジ族の廃墟の航空写真です
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    一番大きな構造は円形で 小さな部分は四角です
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    大きさが違うところでは 形が違っています
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    2番目の疑問は
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    「エグラッシュ博士、アフリカの文化の多様性を
    無視していませんか?」というものです
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    違うと言える理由が3つあります
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    1つ目に ムディンベの素晴らしい本
    『アフリカの発明』に書かれてあるように
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    アフリカは まず植民地として そして後に
    反対勢力によって
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    人工的に作られたと考えています
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    2つ目に デザインの手法が共通でも
    文化が同じということではありません
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    もちろん遺伝的なものでもありません
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    3つ目に フラクタルは自己相似的ですから
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    それ自身に似ていても
    他のものと似ているわけではありません
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    場所によって 使われ方が大きく違い
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    単にアフリカで共通の技術なのです
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    最後の疑問は ここで見るフラクタルは
    数学的な知識ではなく
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    単なる本能的な行為の結果ではないかということです
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    アフリカの人々がフラクタルを使っているはずがありません
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    1970年代まで発明されなかったものです
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    アフリカのフラクタルには確かに本能的なものもあります
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    ダカーという街でこの様なものを見つけ
    人々に尋ねました
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    「どんなアルゴリズムや決まりを使って
    これを作っているのですか?」
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    答えは
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    「良く見えるように 作っているだけだよ
    あたりまえだろ」(笑)
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    でも全部がそうではないのです
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    幾つかには確かにアルゴリズムがあり
    それもとても洗練されたものです
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    このマンベトゥの彫刻には再帰的なな幾何がみられます
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    エチオピアの十字架にも素晴らしい形が見られます
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    アンゴラではチョクウェの人々が砂に線を描きます
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    ドイツの数学者オイラーがグラフと読んだものです
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    現在のオイラー路です
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    ペンを紙から一度も離さずに
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    同じ線の上を2回通ってはいけません
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    彼らは年齢のレベルによってこれを再帰的に教えます
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    小さな子供はこれを習い
    大きくなると次のもの
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    もっと歳が上になると
    これを習います
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    アルゴリズムを繰り返しながら
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    神秘の反復を習います
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    次のレベルの知識を手に入れるのです
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    そして最後にアフリカどこにいっても
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    このゲームを見かけます
    ガーナではオワリと呼ばれ
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    ここではマンカラ ケニアではバオ
    その他の場所ではソゴと呼ばれています
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    遊んでみると突然
    自己形成的なパターンが現れます
  • 9:22 - 9:25
    ガーナの人々は
    この自己形成的なパターンをわかっていて
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    戦略として使います
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    つまり これは意識的にある知識です
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    これは素晴らしいフラクタルです
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    サヘルでは街のいたるところで
    このような風除けの垣根を見かけます
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    垣根は世界のどこでも直交的 直線的です
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    でもここアフリカでは この様な
    非線形にスケールの変化する垣根があります
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    これを作る人を
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    マリのバマコの近辺にみつけ
    「なぜ ここではフラクタルの垣根をつくるのか
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    他のところでは見かけない」と尋ねました
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    彼の答えはとても興味深いものでした
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    「ジャングルに住んでいるのなら
    まっすぐにわらを並べて作るよ
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    その方が簡単で安く出来る
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    時間がかからないし わらも少しで済む」
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    「でも風や砂が簡単に通り抜けてしまう
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    この上部の目の詰んだ部分は
    風や砂をうまくブロックする
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    でも とても詰まっているので
    手間がかかるし わらも沢山必用だ 」
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    「でも 経験から
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    地面から上に行くにつれ
    風が強くなるのを知っている」
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    まるで費用便益分析のようです
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    わらの長さを計って 両対数グラフに描き
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    スケーリング指数を求めると
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    風工学の本にある 風の速度と高さの関係を示す
    スケーリング指数とほぼ同じになります
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    風工学の本にある 風の速度と高さの関係を示す
    スケーリング指数とほぼ同じになります
  • 10:34 - 10:39
    つまり この人々のスケーリング技術の実用化は
    まさにぴったりといえます
  • 10:39 - 10:44
    最も複雑なフラクタルの
    アルゴリズムの使用例は 幾何ではなく
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    シンボリック・コードに見つかりました
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    これはバマナの砂占いです
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    同じ占いシステムがアフリカ全体でみつかります
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    西海岸でも 東海岸でも みつかり
    とてもよく保存されている
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    シンボルも よくみかけます
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    それぞれのシンボルは4 ビットです--
    4ビットの2進法のワードです
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    まず これらの線をランダムに砂に描いて数えます
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    奇数だったら 縦線を1本
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    偶数だったら 縦線を2本書きます
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    これをとても速くするので
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    何をしているのかわかりませんでした
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    ランダムに線を書くのは4回だけ
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    そこから12のシンボルをどう生成するのか
  • 11:23 - 11:25
    見当がつかず 尋ねても教えてくれません
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    「これは教えるわけにはいかないんだ」と
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    「お金を払うよ 先生になってくれないか
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    毎日来て きちんと払うよ」と頼んでも
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    「お金の問題ではなく
    宗教の問題なんだ」と言われました
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    ついにせっぱつまって
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    「1877年のカントールの話を聴いてください」
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    と私がアフリカに来た理由を話し始めました
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    カントールの集合を見ると彼らはとても興奮して
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    中の1人が「こっちにおいで
    助けになれるかもしれない」と言ってくれ
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    私にバマナ僧になるための儀式をしてくれました
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    興味があったのは数学だけですから
  • 11:55 - 11:57
    彼は始終頭を振って言いました
    「自分はこういう習い方はしなかった」 と
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    彼は始終頭を振って言いました
    「自分はこういう習い方はしなかった」 と
  • 11:58 - 12:02
    寝るときには コーラの実を床の横に置き
    砂に埋められ
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    7つのコインを7人のライ患者に渡すなど
    一通りのものを終えると
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    ついに 秘密を教えてもらうことが出来ました
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    これは決定論的カオスを使った
    擬似乱数生成器だったのです
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    4ビットのシンボルを得たら もう1つを横に並べます
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    偶数と奇数を足すと奇数
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    奇数と偶数を足すと奇数
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    偶数と偶数を足すと偶数
    奇数と奇数でも偶数です
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    足し算をして2で割った余り
    コンピューターのパリティーチェックと同じです
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    そしてこのシンボルを また使って
    繰り返します
  • 12:35 - 12:37
    自己生成する多様なシンボルなのです
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    本当にある種の決定論的カオスを使っています
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    2進法なので
  • 12:43 - 12:45
    ハードウェアとして作ることができます
  • 12:45 - 12:50
    アフリカで工学を教えるのに
    とても良い学習ツールになるでしょう
  • 12:50 - 12:53
    おもしろいのはこの歴史です
  • 12:53 - 12:59
    12世紀にサンターヤのヒューゴが
    イスラムの聖教界からスペインにこれを持ってきました
  • 12:59 - 13:05
    そこでジオマンシーとして錬金術の世界に広まりました
  • 13:05 - 13:07
    大地による予言です
  • 13:07 - 13:12
    これは1930年に
    リチャード王のために描かれた占いの表です
  • 13:12 - 13:15
    ライプニッツという ドイツの数学者が
  • 13:15 - 13:19
    『組合せ論』という博士論文の中で
    ジオマンシーを紹介しました
  • 13:19 - 13:23
    彼は「1本2本の縦線を使うかわりに
  • 13:23 - 13:27
    0と1を使おう そうすれば2の累乗で数えられる」
  • 13:27 - 13:29
    そう 0と1
    2進法です
  • 13:29 - 13:32
    ジョージ・ブールはライプニッツの
    2進法からブール代数を作りました
  • 13:32 - 13:35
    ジョン・フォン・ノイマンはそれを使って
    デジタルコンピューターを作ったわけです
  • 13:35 - 13:38
    ここにある小さなPDAやラップトップなど
  • 13:38 - 13:41
    世界中のデジタルサーキットの基盤は
    アフリカで生まれました
  • 13:41 - 13:46
    ブライアン・イーノは コンピューターには
    「アフリカさ」が欠けていると言うけれど
  • 13:46 - 13:51
    ブライアンこそアフリカの歴史をもっと学ぶべきです
  • 13:51 - 13:54
    (笑)(拍手)
  • 13:54 - 13:58
    まとめとして このアイデアの
    応用についてお話します
  • 13:58 - 14:00
    私たちのウエブサイトを訪ねてください
  • 14:00 - 14:02
    アプレットは無料で ブラウザ上で起動します
  • 14:02 - 14:04
    世界の誰でも使うことが出来ます
  • 14:04 - 14:09
    アメリカ国立科学財団 の
    「コンピューティング参加拡大」という企画から
  • 14:09 - 14:16
    プログラム可能なこれらのデザインツールを
    開発するための研究費を得ましたので
  • 14:16 - 14:18
    うまく行けば3年後に
    誰もがインターネット上で
  • 14:18 - 14:21
    独自のシミュレーションや作品を
    作れるようになります
  • 14:21 - 14:26
    米国内ではアフリカ系アメリカ人
    先住アメリカ人、南米系の生徒を研究しています
  • 14:26 - 14:32
    数学の授業でこのソフトウェアを使うと
    使わないコントロールグループに比べ
  • 14:32 - 14:35
    統計的に 能力がかなり伸びるのが解りました
  • 14:35 - 14:41
    数学に根付いた伝統がある
    ということを教えることもできます
  • 14:41 - 14:45
    伝統は音楽やダンスだけではありません
  • 14:45 - 14:48
    ガーナではパイロットプログラムを始めました
  • 14:48 - 14:53
    まずは人々が協力してくれるか様子をみるための
    小額の研究費を獲得しました
  • 14:53 - 14:56
    将来どうなるか楽しみです
  • 14:56 - 14:58
    デザインの分野でも研究をしています
  • 14:58 - 15:03
    名前を書き忘れましたが ケニアにいる同僚の
    ケリーが素晴らしい発案をしました
  • 15:03 - 15:08
    フラクタル構造を持った村に
    フラクタル構造の住所を使うアイデアです
  • 15:08 - 15:12
    フラクタル構造の村に
    通常の格子構造の住所を使っても
  • 15:12 - 15:14
    うまく合わないからです
  • 15:14 - 15:19
    コロンビア大学のバーナード・チュミは
    アフリカ芸術美術館のデザインにこれを使いました
  • 15:19 - 15:27
    オハイオ州大のデービッド・ヒューズは
    アフリカ風建築の本を書きました
  • 15:27 - 15:29
    その中でこの様なフラクタル構造も紹介しています
  • 15:29 - 15:34
    最後に自己組織化についてお話しします
  • 15:34 - 15:36
    先程の話であったように 私たちの脳にあり
  • 15:36 - 15:41
    Googleの検索エンジンにも使われています
  • 15:41 - 15:43
    実際 Googleがこのように成功しているのは
  • 15:43 - 15:47
    誰よりも先に インターネットの
    自己組織的な性質を利用したからです
  • 15:47 - 15:49
    環境持続や
  • 15:49 - 15:51
    企業家精神の発展力
  • 15:51 - 15:53
    民主主義の倫理の元にもなっています
  • 15:54 - 15:56
    もちろん悪いことにも関係しています
  • 15:56 - 15:59
    自己組織性はAIDSのウイルスが速く広がる理由です
  • 15:59 - 16:03
    自己組織化的な資本主義が破壊的な影響を
    もたらすと思わない方は
  • 16:03 - 16:05
    そのことに気付いていないのです
  • 16:05 - 16:09
    ここで前述の伝統的なアフリカの
  • 16:09 - 16:11
    自己組織の方法を考えてみるのは大切です
  • 16:11 - 16:13
    彼らのアルゴリズムは頑健で
  • 16:14 - 16:17
    自己組織化を考えたり 新しい事業を起こす上で
  • 16:17 - 16:19
    より親切で平等な方法だといえます
  • 16:19 - 16:23
    このような仕事のために良い方法を探したいのなら
  • 16:23 - 16:28
    アフリカの壊れにくい自己組織化の
    アルゴリズムをみればよいわけです
  • 16:28 - 16:29
    ありがとうございました
Title:
アフリカのデザインに潜むフラクタル
Speaker:
ロン・エグラッシュ
Description:

「私は数学者- あなたの屋根の上に立ちたい」
ロン・エグラッシュはこう言って アフリカにあるフラクタルのパターンを研究しながら 村々を訪ね歩きました。ロン・エグラッシュは 数学と文化の繋がりを研究する 民族数学者です。彼がアフリカで見つけた フラクタルを基にした数々のデザインを紹介します

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Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TEDTalks
Duration:
16:34
  • 9
    00:00:26,000 --> 00:00:29,000
    それぞれの線には無数の点がありますから
    ->
    それぞれの線には無限の数の点がありますから
    # 無限の中に無限があるとすると無限よりも大きいという意味が伝わり易いと思います

    13
    00:00:38,000 --> 00:00:44,000
    自分の天命は超限集合論を発見することだと
    確信するようになりました
    ->
    自分の天命は超限集合論をこの地上に打ち立てることだと確信するようになりました
    # 既に彼は発見してますね.(to found は to find の過去ではなく,founding の foundでしょう)

    16
    00:00:48,000 --> 00:00:50,000
    これを人生の仕事としたのです
    ->
    これを人生の使命としたのです
    # mission を宗教的意味と重ねていると思いますので使命ではどうでしょうか

    107
    00:05:42,000 --> 00:05:45,000
    神聖な場所で 生贄を捧げる所なのです
    ->
    神聖な場所で 毎年生贄を捧げる所なのです

    126
    00:06:42,000 --> 00:06:45,000
    皆どれも下から上に向かう建築をするのではないか」と
    ->
    皆どれもボトムアップの建築をするのではないか」と
    # トップの意思を全てに反映させる中央集権の逆で物を作るというという Bottom up の日本語訳はいいものがみあたりませんので,カタカナにしました.

    137
    00:07:20,000 --> 00:07:23,000
    私がアフリカの文化の多様性を無視していないかという事です
    ->
    「エグラッシュ博士,アフリカの文化の多様性を無視していませんか?」というものです.
    # これに関しては元の翻訳でも良いとは思うのですが,英語を聞きながら字幕をみるとちょっと気になったので

    140
    00:07:30,000 --> 00:07:33,000
    アフリカは植民地として 対立する力のもとに
    ->
    アフリカは まず植民地として そして後に

    141
    00:07:33,000 --> 00:07:35,000
    人工的に作られたと考えています
    ->
    それに対立するものとして人工的に作られたと考えています
    # then を翻訳に入れてみました.ただ,私はこれがなぜ多様性の無視と結びつくのかとの論理が不明です.

    158
    00:08:23,000 --> 00:08:28,000
    幾つかには確かにアルゴリズムがあり それもとても複雑なものです
    ->
    幾つかには確かにアルゴリズムがあり それもとても洗練されたものです
    # Sophisticated の訳をこうしてみました.

    164
    00:08:45,000 --> 00:08:47,000
    ペンをを紙から一度も離さずに
    ->
    ペンを紙から一度も離さずに
    # Typo

    170
    00:09:02,000 --> 00:09:04,000
    伝統的な反復法を習います
    ->
    神秘の反復を習います
    # これはちょっと不明ですが,数学者が recursive な反復について神秘的な感じを抱くというのはわかる感覚なので想像してみました.しかし,想像なので元の訳でもかまいません.

    182
    00:09:39,000 --> 00:09:43,000
    でもここアフリカでは この様な直線的でないスケールの変化する垣根があります
    ->
    でもここアフリカでは この様な非線形にスケールの変化する垣根があります
    # linear, nonlinear 数学的に定義された言葉なので pedantic かもしれませんがこのようにしました

    183
    00:09:43,000 --> 00:09:45,000
    これを作る人をみつけ
    ->
    これを作る人を
    # 次の字幕とつなげると,「これを作る人をみつけ マリのバマコの近辺にみつけ」となりますので,「これを作る人を マリのバマコの近辺にみつけ」としました.

    196
    00:10:24,000 --> 00:10:26,000
    わらの長さを計って 全対数グラフに描き
    ->
    わらの長さを計って 両対数グラフに描き
    # log-log グラフは両対数の訳が定着していると思います.個人的には対数-対数グラフと呼びたいのですが...http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%A1%E5%AF%BE%E6%95%B0%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%95

    207
    00:10:59,000 --> 00:11:05,000
    それぞれのシンボルは4 ビットです_
    4ビットの2進法のワードです
    ->
    それぞれのシンボルは4 ビットです--
    4ビットの2進法のワードです
    # または − のダッシュ

    239
    00:12:35,000 --> 00:12:37,000
    自己生成する様々なシンボルなのです
    ->
    多様性を自己生成する様々なシンボルなのです
    # 原文のdiversity を追加しました.

    250
    00:13:15,000 --> 00:13:19,000
    『結合』という博士論文の中で
    ジオマンシーを紹介しました
    ->
    『組合せ論』という博士論文の中で
    ジオマンシーを紹介しました
    # ライプニッツの論文に関する Wiki をみると,http://en.wikipedia.org/wiki/De_Arte_Combinatoria 組合せ論(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%84%E5%90%88%E3%81%9B%E8%AB%96)のことのようです.

    254
    00:13:29,000 --> 00:13:32,000
    ジョージ・ブールはライブニッツの二進法をからブール代数を作りました
    ->
    ジョージ・ブールはライブニッツの二進法からブール代数を作りました
    # Typo

    255
    00:13:32,000 --> 00:13:35,000
    フォン・ノイマンはそれを使ってデジタルコンピューターを作ったわけです
    ->
    ジョン・フォン・ノイマンはそれを使ってデジタルコンピューターを作ったわけです

    256
    00:13:35,000 --> 00:13:38,000
    PDAやラップトップなど
    ->
    ここにある小さなPDAやラップトップなど
    # all these little を talk で聞いた感じでは,会場にあるもののような感じでしたのでこのようにしました.

    268
    00:14:18,000 --> 00:14:21,000
    シミュレーションやものを作ることが出来ます
    ->
    個人でシミュレーションしたり,個人でものを作ったりできるようになります
    # own を訳に入れてみました

    279
    00:15:03,000 --> 00:15:08,000
    フラクタル構造を持った村に
    フラクタル構造の住所使うアイデアです
    ->
    フラクタル構造を持った村に
    フラクタル構造の住所を使うアイデアです
    # Typo

    292
    00:15:51,000 --> 00:15:53,000
    自由主義の倫理の元にもなっています
    ->
    民主主義の倫理の元にもなっています
    # democracy の訳

    295
    00:15:59,000 --> 00:16:03,000
    資本主義が自己組織化によって破壊的な影響をもたらすと思わない方は
    ->
    自己組織化的な資本主義が破壊的な影響をもたらすと思わない方は
    # より capitalism is self-organizing の直訳に近くしました

    299
    00:16:11,000 --> 00:16:13,000
    彼らのアルゴリズムは壊れにくく
    ->
    彼らのアルゴリズムは頑健で
    # robust の訳は迷うのですが,頑健かロバストが良いのかと思います.
    # 私が Computer science を勉強した時には頑健という言葉を使っていました.Wiki にもそれがもととあります.http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%90%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%8D%E3%82%B9 しかし,個人的には日本語に一対一に対応する言葉がないのでロバストと片仮名にしたいと思います.私は海外で働いていることもあり,カタカナ言葉で覚えていた方が他の国の人達とコミュニケーションがしやすいので,片仮名言葉には比較的寛容なこともあると思います.(日本語にして覚えていても世界で通用しないので)

  • 通してみました.字幕はライプニッツのみ変更しました.
    タイトルも更新しました.OKです.

Japanese subtitles

Revisions