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マーク・ブラウンのGame Maker's Toolkitへようこそ
ゲームデザインについてのシリーズだ
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今、メトロイドバニアが流行っている
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Ori and the Blind ForestからXeodrifterまで
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インディ系ゲームは滅びつつあったこの様式を
復活させようとしている
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迷路のようなマップを移動し、新しい能力を入手し
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それを使ってそれまで通れなかった
障害物を除去するのだ
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しかし僕が最近プレイしたあるゲームは
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他のどのゲームよりも忠実に
昔のメトロイドの感覚を再現している
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道に迷う感覚と、奇妙な新しいエリアの発見
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次に何が待ち受けているかわからない感覚だ
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そのゲームとはAxiom Vergeだ
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ネタバレはしないように気をつけるが
いくつかのエリアと能力を見せることになるので
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気になる人は要注意だ
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初めてこのゲームをプレイした時
どうしてこんなに昔のファミコンゲームを
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思い起こさせるのかわからなかった
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8bitのグラフィックや、SF的な設定だけではないはずだ
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だが最近出た他のメトロイドバニア作品を
プレイしたら、理由がわかった
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スーパーメトロイドを忠実に
真似ようとする作品は多いのだが
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そのほとんどが一番重要な点を見逃している
「次に行く場所を教えない」という点だ
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スーパーメトロイドはプレイヤーを迷わせ
自分でマップを作るよう仕向ける
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紙のマップでも、頭の中のマップでもいい
でも近年のゲームはヒントやマーカーだらけだ
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ゲーム内のマップに道を記すことさえある
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「B5か、B5だな、よし」
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もっとも、メトロイドもフュージョンや
ゼロミッションでは行く場所を教えている
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実際、ネットがほぼ存在しなかった
1994年にはよかったが
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2015年になるとそうもいかない
ということもあるだろう
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でもこれはスーパーメトロイドを
名作にしている大きな要素だ
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Axiom Vergeを良作に仕立てている要素でもある
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Bloodborneのようなゲームでもこれは機能している
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だからこれはカートリッジに入って売られてそうな
横スクロールのゲームに限らない
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こうしたゲームは冒険をさせてくれる
自分で進む方向や道を選べるのだ
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新しい能力を手に入れたり、ボス部屋に
到達すると楽しいのは、自分で見つけたからだ
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マップに表示されるルートをたどったからではない
全部自分でやったのだ
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でも、本当にそうだろうか?
実際にはAxiom Vergeもスーパーメトロイドも
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プレイヤーをただ迷路に放り込んでいるわけじゃない
プレイヤーに探検の錯覚を与えているだけだ
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実は行き止まりなだけの扉や道を
正解のルートの途中に配置している
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でも新しい能力を解放した時はどうだろう
プレイヤーはそれが以前訪れたエリアに
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どう影響するかを考える
映画のどんでん返しを知った後で
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映画の内容について考え直すのと同じだ
どこに戻るかはプレイヤーの自由だ
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そうじゃないか?
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確かにこの場合の方が選択肢は多い
でもこれらのゲームは
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プレイヤーを正解の道に向かわせるための
様々なテクニックを駆使している
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重要な部屋には何か覚えやすい仕掛けがある
スーパーメトロイドのこのエリアは
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ハイジャンプブーツを手に入れたら戻って来る場所だが
扉は威圧的なガーゴイルの顔だ
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プレイヤーは何か重要な場所として
記憶に留めるだろう
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この部屋では、閉まる扉の間に
少しの間、閉じ込められる
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この一瞬の危機がプレイヤーの脳に焼き付く
スピードブースターを手に入れたら
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このムカつく扉に
思い知らせてやろうと考えるだろう
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新しいエリアのつなぎ目に
部屋を配置するのも賢い方法だ
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後で戻って来ようという気になるからだ
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もう一つのトリックは新しい能力の入手時に
正しい使い方のヒントを与えることだ
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多くのゲームは昔のメトロイドを真似ている
部屋から出られなくして
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能力を使って脱出させる
これならチュートリアルはいらない
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でも、別の方法もある
スーパーメトロイドでアイスビームを入手したら
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こいつを凍らせる必要があるのだが
先へ進むための道中には
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これと全く同じ見た目の敵を凍らせる必要がある
この二つを結び付ければ、正解の道に戻る
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Axiom Vergeは新能力を入手する際
戻る道が複数用意されていることがある
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でもどれを通っても
同じ正解の道にたどり着く
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例で説明しよう
ハイジャンプを入手したら、ここに上ってもいいし
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こっちでもいい どっちに行ってもこの部屋に着く
部屋を覚えるチャンスが2度あるので
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それだけ正しい場所にたどり着く
可能性が高くなる
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メトロイドの場合、このターミナルが
マップをある程度埋めてくれるので
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全体像を明かすことなく
探索すべきエリアのヒントを与えている
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そして本当に迷ってしまった場合は
通れる場所が制限されるので
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探索時にチェックすべき場所を
絞ることができる
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例えばスーパーメトロイドの
一時的に閉まる扉だ
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パズルのある重要な部屋で出現する
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これはメトロイドバニアでありがちな問題を
避けるための任天堂なりの方法だ
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プレイヤーは現時点で
障害物を突破できるかどうか
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知らないこともある
解法を見つけるまで出られなくすれば
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プレイヤーは突破可能であることを疑わない
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あるいはマップの大部分を進行不能にする方法もある
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Axiom Vergeでこの足場を降りると
この時点ではジャンプで戻れないことに気づく
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道に迷って、ゲーム開始地点まで
戻ってしまわないための措置だ
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スーパーメトロイドでは、この部屋は
アイスビームがないと上に戻れない
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しばらくは溶岩のエリア
ノルフェアに留まるしかない
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だが、以前のエリアに戻ることは
そもそも退屈であってはいけない
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グラップリングフックやスピードブースターなどの
能力があればより速く移動できる
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ショートカットもあった方がいい
スーパーメトロイドの縦横に広がる軸のような
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マップ構成を使えば、移動が容易になる
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来た道を戻るのをより面白くする方法もある
たとえばブリンスタのこの区域は
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戻る道に敵が数多く配置されている
あるいは戻る手間を省くために
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マップ構造にループを用意してもいい
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スーパーメトロイドとAxiom Vergeをプレイしていて
僕は完全に迷ってしまった
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でもそれはいいことだ
ようやく道がわかったときの快感は
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一度迷ってみなければ味わえないからだ
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例えばノルフェアの深い地底に
長時間閉じ込めらた後に
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ようやく抜け出せた時だ
この長いチャンバーを上って
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パワーボムで道を開き、地上に出る
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するとゲーム開始地点に戻ったことに気づく
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でも今、プレイヤーは前よりもずっと強くなり
これまで行けなかった新しいエリアに
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再び迷い込みに行く準備ができたわけだ
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メトロイドを名作に押し上げているのは
こういう物語的なメリハリだ
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これは迷えるようになっていればこそ機能する
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探索を促し、プレイヤーの記憶力を試すからだ
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このジャンルが活発なのはいいことだが
Axiom Vergeの高評価をきっかけとして
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他の開発者が行くべき場所を教えるのを
やめて、迷う自由を与えてくれるのを期待しよう
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視聴してくれてありがとう
行ったり来たりを使わないメトロイドバニアを
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知りたければ、画面をクリックして
Toki Tori 2の動画を見てほしい
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「いいね!」やコメントをもらえると嬉しい
それからPatreonでのサポートも
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考えてみてくれ