いずれは地球も火星のようになるその理由 | アンジャリ・トゥリパーティー
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0:17 - 0:20夜空を見上げ星を見ると
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0:20 - 0:22その数に驚かされます
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0:22 - 0:23美しいですね
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0:23 - 0:26しかし そこには
目には見えない星が もっとあるのです -
0:26 - 0:28なぜなら
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0:28 - 0:31ほとんどの恒星には それぞれ
周回している惑星が -
0:31 - 0:321つや2つはあると
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0:32 - 0:33分かっているからです
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0:34 - 0:37ですからこの写真には
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0:37 - 0:39今まで発見された系外惑星全ては
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0:39 - 0:40写っていないのです
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0:41 - 0:44惑星というと
私たちは遥か彼方にある -
0:44 - 0:46地球とは全く異なる天体を
想像しがちですが -
0:46 - 0:48私たちが暮らしている地球も惑星です
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0:48 - 0:51地球に関する多くの
驚くべき現象があります -
0:51 - 0:56そのようなことを探し求め
幅広く宇宙を探索する中 -
0:56 - 0:59驚くことが分かって来ています
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0:59 - 1:03その中の地球に関するあることを
お話ししたいと思います -
1:03 - 1:06それは 毎分
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1:06 - 1:09約180kgの水素と
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1:09 - 1:113kg近くのヘリウムが
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1:11 - 1:14地球から宇宙空間へと散逸しており
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1:15 - 1:19二度と戻って来るものではない
ということです -
1:20 - 1:23水素やヘリウムその他多くの気体で
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1:23 - 1:26組成されている地球の大気は
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1:26 - 1:29宇宙飛行士が
ISSから撮ったこの写真に -
1:30 - 1:33青い線となって写し出される
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1:33 - 1:35様々な気体の集まりにすぎません
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1:36 - 1:39しかし 私たちの惑星を包む
この薄い層のお陰で -
1:39 - 1:41地球では生命が繁栄し
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1:41 - 1:44隕石その他多くの衝撃から
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1:44 - 1:46地球が守られているというのは
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1:46 - 1:50驚愕の現象です
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1:50 - 1:53それだからこそ この構成部分が
失われているということは -
1:53 - 1:56それ程でないにしても
恐るべき事実です -
1:56 - 2:00私は この現象を研究しています
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2:00 - 2:02これは「大気の散逸」と呼ばれ
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2:03 - 2:08地球に限って起きていることではなく
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2:08 - 2:11むしろ惑星である証拠だと
言ってもいいでしょう -
2:11 - 2:16地球だけでなく どの惑星にも
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2:16 - 2:18起きている大気の散逸は
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2:18 - 2:24その惑星自体を
知る手がかりとなります -
2:24 - 2:27太陽系というと
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2:27 - 2:29この絵を思い浮かべるでしょう
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2:30 - 2:34惑星が8個ありますが
9個だと言う人もいるでしょうから -
2:34 - 2:36この絵に苛立つ
そんなあなたの為に -
2:36 - 2:37もう1つ加えましょう
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2:37 - 2:39(笑)
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2:39 - 2:42探査機「ニュー・ホライズン」の写真も
あるので冥王星も並べましょう -
2:42 - 2:44実は ここでは
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2:44 - 2:46大気散逸に関する
このトークの目的のため -
2:46 - 2:48冥王星も
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2:48 - 2:52他の見えない恒星を
周回する惑星と同じように -
2:52 - 2:54私の中では惑星なのです
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2:54 - 2:57惑星の基本的な性質の定義に
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2:57 - 3:00自己重力で1つに結合した天体
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3:01 - 3:02というのが含まれています
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3:02 - 3:05つまり色々なものが
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3:05 - 3:06引力で引きつけられ結合しており
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3:07 - 3:10質量も重力も大きいので
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3:10 - 3:11丸いのです
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3:11 - 3:13冥王星を含む
これら全ての惑星を見ると -
3:13 - 3:14冥王星を含む
これら全ての惑星を見ると -
3:14 - 3:15みんな丸いでしょう
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3:16 - 3:19重力の働きが分かりますね
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3:19 - 3:22惑星のもう1つの基本的性質は
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3:22 - 3:24これでは見えない
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3:24 - 3:25恒星である太陽との関係にあります
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3:26 - 3:29太陽系にある惑星は全て
太陽を周回していますが -
3:30 - 3:34それが基本的に大気の散逸を
引き起こしているのです -
3:35 - 3:40恒星が惑星に大気散逸を
起こさせている根本的な原因は -
3:40 - 3:46恒星から惑星に放射される
粒子や光や熱が -
3:46 - 3:49惑星の大気を
流出させているからです -
3:49 - 3:51熱気球を考えても
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3:51 - 3:55また この写真で見られるタイの
「コムローイ祭り」の提灯を見ても -
3:55 - 3:58熱風は気体を上昇させる力を
生み出すのが分かります -
3:58 - 4:01太陽が持つ十分なエネルギーと熱で
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4:01 - 4:02太陽が持つ十分なエネルギーと熱で
-
4:02 - 4:06重力に拘束されているだけの
非常に軽い気体は -
4:06 - 4:08宇宙空間へと拡散しています
-
4:09 - 4:12これが地球や他の惑星に
影響を及ぼし -
4:12 - 4:16恒星から熱を受け
自己重力に逆らいながら -
4:16 - 4:18恒星から熱を受け
自己重力に逆らいながら -
4:18 - 4:22その双方の影響を受け
大気散逸が起きています -
4:22 - 4:24先程お話ししたように
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4:24 - 4:28その割合は 毎分
水素が約180kg -
4:28 - 4:30ヘリウムが3kg近くです
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4:31 - 4:33では その様子は?
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4:33 - 4:34すでに1980年代に
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4:34 - 4:37NASAの「ダイナミックエクスプローラー」
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4:37 - 4:38探査衛星が
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4:38 - 4:41地球の紫外線写真を撮っています
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4:41 - 4:43この地球の写真では
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4:43 - 4:45散逸している水素が
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4:45 - 4:48赤く表示されています
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4:48 - 4:52酸素や窒素の他の気体は
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4:52 - 4:53白くキラキラと極圏に
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4:54 - 4:56オーロラの環になり
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4:56 - 4:59熱帯地方付近にも所々現れています
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4:59 - 5:02この写真が決定的に証明しているのは
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5:02 - 5:06地球の大気は 地球上の私たちを
しっかりと包んでいるだけでなく -
5:06 - 5:09宇宙の彼方まで
流出しているということです -
5:09 - 5:11それも驚異的ペースで
起きているのです -
5:12 - 5:16しかし地球だけが大気の散逸を
起こしているのではありません -
5:16 - 5:20お隣の火星は
地球よりずっと小さいので -
5:20 - 5:24大気を保持する重力は 遥かに小さく
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5:24 - 5:26大気はあるのですが
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5:26 - 5:28地球とは比較にならない程希薄です
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5:28 - 5:30地表を見て下さい
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5:30 - 5:33大気が薄く天体衝突の衝撃を
和らげられなかったことを示す -
5:33 - 5:35複数のクレーターが見えます
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5:35 - 5:38また「赤い惑星」と呼ばれるように
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5:38 - 5:40火星が赤くなったのには
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5:40 - 5:42大気散逸が関わっているのです
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5:42 - 5:46火星は過去 水があり
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5:46 - 5:50水に十分なエネルギーが加わり
水素と酸素に分解して -
5:50 - 5:54軽い水素が宇宙空間に散逸し
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5:54 - 5:56残る酸素が
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5:56 - 5:58地表を酸化させ錆びつかせ
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5:58 - 6:02現在の錆色となったと
思われています -
6:03 - 6:04火星の写真を見て
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6:05 - 6:07多分 大気散逸が起こったのだろうと
言うのは構わないのですが -
6:07 - 6:11NASAは火星の周回軌道に
探査衛星「メイヴン」を送り -
6:11 - 6:15火星の大気散逸を調べています
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6:15 - 6:17火星探査機メイヴンは
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6:19 - 6:23地球上の景色にとても似た映像を
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6:23 - 6:25送って来ています
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6:25 - 6:27火星が大気を失いつつあるとは
随分前から分かっていましたが -
6:27 - 6:29それを示す素晴らしい写真があります
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6:29 - 6:32赤い円が見えますね
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6:33 - 6:34火星の輪郭です
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6:34 - 6:38青い色が火星から
散逸している水素を示しています -
6:38 - 6:42火星のサイズの10倍以上
その範囲は広がっています -
6:42 - 6:45散逸した水素は
もはや火星の大気圏にはなく -
6:45 - 6:47宇宙空間にあります
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6:47 - 6:49このことによって
水素が無くなったので -
6:49 - 6:52火星が赤くなったという
理論が裏付けられます -
6:53 - 6:55火星が失っているのは
水素だけではありません -
6:55 - 6:58地球の大気からヘリウムだけでなく
酸素や窒素も散逸していますが -
6:58 - 7:02火星からも酸素が失われているのが
メイヴンからの記録で見て取れます -
7:02 - 7:05酸素は重いので
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7:05 - 7:08水素程 遠くへは行きませんが
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7:08 - 7:10それでも火星から拡散しており
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7:10 - 7:13赤い枠内に閉じ込められている
わけではないのが分かります -
7:14 - 7:17大気の散逸は地球にだけ
見られる現象ではなく -
7:17 - 7:18どの惑星でも起きており
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7:18 - 7:24探査機を送り大気散逸を調べると
その惑星の歴史が分かり -
7:24 - 7:26また惑星一般についても
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7:26 - 7:29地球の未来についても
知ることができます -
7:29 - 7:31それで地球の未来を予測するには
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7:31 - 7:34遠くの見えない惑星を知る
というのが1つの方法です -
7:35 - 7:38その前に一言
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7:38 - 7:41冥王星では このような写真は
お見せできません -
7:41 - 7:42がっかりでしょうが
-
7:42 - 7:44その写真が まだないのです
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7:44 - 7:47探査機「ニュー・ホライズン」が
-
7:47 - 7:49冥王星の大気散逸について調査中なので
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7:49 - 7:51楽しみに しばらくお待ち下さい
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7:52 - 7:54しかし ここでお話したい惑星は
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7:54 - 7:56「トランジット系外惑星」
として知られている -
7:56 - 8:00太陽系外の恒星を
周回する惑星です -
8:00 - 8:03「系外惑星」または
「太陽系外惑星」と呼ばれる -
8:03 - 8:05トランジット系外惑星には
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8:05 - 8:07ある特質があります
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8:07 - 8:09中央にある星をよく見ると
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8:09 - 8:11瞬いているでしょう
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8:11 - 8:13その瞬きの理由は
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8:13 - 8:17常にその恒星を周回している
複数の惑星があるからです -
8:17 - 8:19そして それが特有な効果を生み出し
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8:19 - 8:22それらの惑星が恒星の光を遮るとき
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8:22 - 8:24瞬いて見えるのです
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8:24 - 8:27もう一度お見せします
瞬いているのが見えますね -
8:28 - 8:29夜空の星の
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8:29 - 8:31瞬きを調べて
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8:31 - 8:34惑星を探し出すことができます
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8:34 - 8:37この方法で5千個以上もの惑星が
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8:37 - 8:40天の川銀河内で発見されています
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8:40 - 8:42前にも言いましたが
もっとあると思っています -
8:42 - 8:46私たちが見ている星の瞬きは
惑星そのものからのものではなく -
8:46 - 8:48記録可能な
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8:48 - 8:50恒星の周期的な輝度の変化です
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8:50 - 8:52恒星を周回する惑星が
恒星からの光を遮り -
8:52 - 8:55それで私たちには
瞬いているように見えるのです -
8:55 - 8:57これから惑星を発見できるだけでなく
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8:57 - 8:59波長の異なる光をも検知できます
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8:59 - 9:02地球や火星を
紫外線で見ると言いましたが -
9:02 - 9:06ハッブル宇宙望遠鏡で
トランジット系外惑星の -
9:06 - 9:08紫外線観測をすると
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9:08 - 9:12惑星が恒星の前を通るとき
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9:12 - 9:16紫外線はずっと弱くなり
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9:16 - 9:17瞬きが ずっと大きくみえます
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9:18 - 9:20それは拡散した水素を含む大気が
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9:20 - 9:22惑星を囲んでいるので
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9:22 - 9:24惑星は 膨らんで見え
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9:24 - 9:27より多くの光が遮られることになるからだと
考えています -
9:27 - 9:30この手法を使い
大気散逸をしている -
9:30 - 9:34数個のトランジット系外惑星を
発見することが出来ました -
9:34 - 9:37私たちが発見した惑星の中の幾つかは
「ホット・ジュピター」 -
9:37 - 9:38とでも呼びたいものです
-
9:38 - 9:41この名前の由来は 木星のように
主に気体でできた惑星だからです -
9:41 - 9:43ホット・ジュピターは
恒星にとても近く -
9:43 - 9:46その距離は太陽と木星間の
百分の1程しかありません -
9:46 - 9:49ホット・ジュピターにはたくさんの
今にも散逸しそうな軽い気体と -
9:49 - 9:51恒星から放射される強い熱があり
-
9:51 - 9:54壊滅的ペースで
大気散逸が起きています -
9:54 - 9:59毎分180kgの水素を
失っている地球とは雲泥の差で -
9:59 - 10:00ホット・ジュピターは
-
10:00 - 10:04毎分約60万トンもの水素を
失っているのです -
10:05 - 10:10これでは そんな惑星は
無くなってしまうのではと -
10:10 - 10:12誰もが私たちの太陽系を見て
-
10:12 - 10:14投げかけてきた疑問です
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10:14 - 10:16なぜなら太陽に近い惑星は
岩石惑星で -
10:16 - 10:19太陽から遠い惑星は
もっと大きく主に気体だからです -
10:19 - 10:21最初は木星のような惑星だったのに
太陽が近いので -
10:21 - 10:23ガスが全部なくなったということが
-
10:23 - 10:25あり得るのでしょうか
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10:25 - 10:28惑星の始まりが
ホット・ジュピターみたいな状態だったら -
10:28 - 10:31水星や地球のような惑星には
ならないだろうと考えています -
10:31 - 10:33しかし 小さい惑星で始まるなら
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10:33 - 10:36大量の気体が放出され
-
10:36 - 10:38それが大きく影響して
-
10:38 - 10:42最初の状態とは随分違う惑星に
なった可能性はあります -
10:42 - 10:43これは 一般的なことのようで
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10:44 - 10:46太陽系では どうなのかと
お考えのことかもしれません -
10:46 - 10:49これが地球の私たちと
どんな関係があるのでしょう -
10:49 - 10:51遠い未来
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10:51 - 10:53太陽の光度が増し
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10:53 - 10:54太陽から放射される熱が
-
10:54 - 10:57非常に強烈になるとしたなら
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10:58 - 11:02今 ホット・ジュピターから
気体が流出しているように -
11:02 - 11:05地球からも気体が
急速に流出して行きます" -
11:05 - 11:07それで 私たちが予期するのは
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11:07 - 11:09少なくとも 心の準備をしているのは
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11:09 - 11:11遠い未来に
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11:11 - 11:14地球は火星のようになる
と言う現実があるからなのです -
11:14 - 11:16地球の水から分離した水素は
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11:16 - 11:19宇宙空間により速く
放出され -
11:19 - 11:23乾燥した赤い惑星だけが残るでしょう
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11:23 - 11:26でも 怖がらないで下さい
数十億年後の話ですから -
11:26 - 11:28十分準備の時間はあります
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11:28 - 11:29(笑)
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11:29 - 11:31未来に何が起きるのか
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11:31 - 11:33というだけでなく
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11:33 - 11:36大気散逸が こうしている間も
起きていることに気付いて欲しかったのです -
11:36 - 11:40宇宙で起きていることや
遥か彼方の惑星について知らせてくれる -
11:40 - 11:41多くの素晴らしい技術が
今はあります -
11:42 - 11:45私たちは そんな世界を知ろうと
これらの惑星を研究しています -
11:45 - 11:49こうして火星や ホット・ジュピターのような
系外惑星を調べる過程で -
11:49 - 11:52大気散逸の様な現象を発見し
-
11:52 - 11:56地球のことが
さらに解明されます -
11:56 - 12:00次に宇宙とは どこか遠いことのように
感じられる時 この私の話を思い出して下さい -
12:00 - 12:02ありがとうございました
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12:02 - 12:05(拍手)
- Title:
- いずれは地球も火星のようになるその理由 | アンジャリ・トゥリパーティー
- Description:
-
毎分、約180kgの水素と3kg近くのヘリウムが、地球の大気から宇宙空間へ散逸しています。この大気散逸に関する研究をしている天文物理学者のアンジャリ・トゥリパーティーは、いつか(数十億年後に)この青い地球も大気散逸で火星のように赤くなると、興味をそそる分かり易いトークで説明します。
このビデオは、TEDカンファレンスとは独立して運営されるTEDxイベントにおいて、収録されたものです。
- Video Language:
- English
- Team:
closed TED
- Project:
- TEDxTalks
- Duration:
- 12:13
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Natsuhiko Mizutani edited Japanese subtitles for Your Atmosphere is Escaping | Anjali Tripathi | TEDxBeaconStreet | |
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Natsuhiko Mizutani approved Japanese subtitles for Your Atmosphere is Escaping | Anjali Tripathi | TEDxBeaconStreet | |
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Natsuhiko Mizutani edited Japanese subtitles for Your Atmosphere is Escaping | Anjali Tripathi | TEDxBeaconStreet | |
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Natsuhiko Mizutani edited Japanese subtitles for Your Atmosphere is Escaping | Anjali Tripathi | TEDxBeaconStreet | |
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Masaki Yanagishita accepted Japanese subtitles for Your Atmosphere is Escaping | Anjali Tripathi | TEDxBeaconStreet | |
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Reiko Bovee edited Japanese subtitles for Your Atmosphere is Escaping | Anjali Tripathi | TEDxBeaconStreet | |
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Reiko Bovee edited Japanese subtitles for Your Atmosphere is Escaping | Anjali Tripathi | TEDxBeaconStreet | |
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Reiko Bovee edited Japanese subtitles for Your Atmosphere is Escaping | Anjali Tripathi | TEDxBeaconStreet |