命を懸ける勇気の源 | 佐藤康雄 | TEDxSeeds
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0:19 - 0:22こんにちは
このような 素晴らしい場所で -
0:22 - 0:26またこのようにたくさんの
素敵な皆さんの前で話せることを -
0:26 - 0:28楽しみにしてきました
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0:29 - 0:37この写真 3月19日 福島第一原発
3号機 燃料棒貯蔵プール -
0:37 - 0:40これがカラカラになってしまったところへ
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0:40 - 0:44大量かつ継続的に充水するというミッションを
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0:44 - 0:48成し遂げた後の記者会見の写真であります
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0:48 - 0:51この写真ご覧になったことある方
ちょっと手を挙げて頂けますか -
0:51 - 0:53ああ 嬉しいですね
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0:53 - 0:58見ていない方もいらっしゃるようですけど
その方は後で YouTube ででもご覧ください -
0:58 - 1:01このミッション
福島から帰りまして -
1:01 - 1:06すぐに この記者会見ということですので
髭を剃る間もありませんでした -
1:06 - 1:10今日はしっかりと髭を剃って参りました
(笑) -
1:10 - 1:17実は 今日はこの体験談を皆さんに
お話ししながら -
1:17 - 1:24消防の世界に ほんの少しですけれども
お招きできればな と考えています -
1:24 - 1:29と言いましても 時間があまりありませんので
この舞台の上にいらっしゃる方には -
1:29 - 1:34東京消防庁のヘルメットを被っていただいて
ご参加いただこうと思っていますので -
1:34 - 1:37ぜひお被りください
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1:37 - 1:40(拍手)
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1:41 - 1:44ご協力ありがとうございます
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1:44 - 1:513月11日 14時46分
東日本大震災が発生しました -
1:51 - 1:57マグニチュード9を超える
史上4番目という超巨大地震 -
1:57 - 2:0310メートルを越える
千年に一度という 巨大津波 -
2:03 - 2:101万人の方がお亡くなりになり
5000人を超える方が 今だ行方不明であります -
2:10 - 2:13お亡くなりになった方には
ご冥福をお祈りいたします -
2:13 - 2:20また被災された皆さまには
心からお悔やみを申し上げます -
2:21 - 2:25実はこの超巨大地震
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2:25 - 2:32東京にも被害を及ぼしたということは
あまり認識されておりません -
2:32 - 2:34震度5強の地震があり
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2:34 - 2:39そして34件を超える同時延焼火災がありました
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2:39 - 2:48東京の防災を担う私としましては
一刻も早くこの災害を終息させ -
2:48 - 2:52そして東北地方
非常に被害があるということですので -
2:52 - 3:00少しでも早く緊急消防援助隊を東北に送りたい
という気持ちで もう精一杯でした -
3:01 - 3:10ところが 徹夜が明けた 翌12日 なんと
福島第一原発 一号機 爆発したじゃありませんか -
3:10 - 3:15絶対 飛行機がぶつかっても
爆発しないと言われていたのに なんで -
3:15 - 3:17信じられませんでした
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3:18 - 3:23また14日になりますと三号機も爆発しました
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3:23 - 3:28福島第一原発 皆さんご存知のとおり
6基の原子炉がありますが -
3:28 - 3:35そのうちの一号機から四号機までが
連続的に爆発したんです -
3:35 - 3:40これは電源喪失による
冷却装置が働かないことによって -
3:40 - 3:45水が充足されていないことに
原因があるということでした -
3:45 - 3:51元々 原子力災害につきましては国家機密
ということもありますので -
3:51 - 3:54国が対応することになっています
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3:54 - 3:57ということで自衛隊のヘリが2機
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3:57 - 4:02空中から充水しようということで
果敢に向かってくれましたけれども -
4:02 - 4:08非常に高い放射のエネルギーで
なかなか目的を達せられなかった -
4:08 - 4:11そして また警察も国家の範疇ですので
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4:11 - 4:15放水車を出してくれて
そして放水しようとしましたけれども -
4:15 - 4:19これもなかなか 難しい
こういう状況でした -
4:19 - 4:22このとき 我々 東京の消防は
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4:22 - 4:25本来東京の消防庁ですから
東京をやるんですけども -
4:25 - 4:29原発というのは任務にありませんが
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4:29 - 4:34これは消防 放水の専門家
われわれに依頼が来る可能性がある -
4:34 - 4:39じゃあ その研究を始めようということで
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4:39 - 4:44部下たちと同時に始めたのがこのときであります
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4:44 - 4:48東京消防庁には81の消防署があります
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4:48 - 4:52そしてそこには 全部レスキュー隊がいます
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4:52 - 4:58その中から精鋭を募りまして
4つのハイパーレスキュー隊を作って -
4:58 - 5:03東京消防庁に10ある消防方面本部のうち
4つの方面本部に配置しております -
5:03 - 5:05これは阪神大震災の経験から
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5:05 - 5:08大きな災害があったときに
派遣するためであります -
5:08 - 5:14で このうちの一番下 右下にあります
この第二消防方面本部 これにつきましては -
5:14 - 5:20もうあの 東北の方に
気仙沼の方にすぐに行っております -
5:20 - 5:24残りは3部隊があります
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5:26 - 5:31実は消防は原発こそ
任務に入っていませんけれども -
5:31 - 5:36東京で放射能を使ったテロ
あるいは研究所で放射能が漏れた -
5:36 - 5:43こういったことを想定して 基準を作り
装備を作り 日々訓練して参りました -
5:43 - 5:48どんな基準かと申しますと
この三角の右側に書いてありますけれども -
5:48 - 5:57普通のときは1回で浴びる放射能 放射線の限度
被ばく限度は 30 ミリシーベルトと決めております -
5:57 - 6:03ただし 人を助けるというようなときについては
100 ミリシーベルトまで認めようと -
6:03 - 6:07ただし100 ミリシーベルトまで認めた場合には
その職員は -
6:07 - 6:13もう決して一生涯 放射線災害には出さない
という基準であります -
6:13 - 6:18じゃあ こんど 原発に行くときに
どこまでを限界にしようかということを -
6:18 - 6:24これは先生にも入って頂いて検討しましたが
半径2キロぐらいの構内です -
6:24 - 6:27危ないとなって100ミリで逃げたら
100ミリ超えてしまいます -
6:27 - 6:30ということでそのときの限界は
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6:30 - 6:3480ミリシーベルトにしようということを
まず決めました -
6:34 - 6:40それから 先ほど 装備がある
この右上の方にあるのが放射線防護衣ですが -
6:40 - 6:43私から言わせればこれは防護衣ではありません
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6:43 - 6:45防塵服であります
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6:45 - 6:51なぜかというと 放射線の付いた
そういう塵は防げるんです 体内に入れないために -
6:51 - 6:55でも放射能そのものは
電子レンジに人を入れたようなものですから -
6:55 - 6:58どんどんそんなもの突き抜けてしまうんです
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6:58 - 7:03じゃあ何が大事か
時間で管理するしかないんであります -
7:04 - 7:083月17日
もう 15日 16日になりますと -
7:08 - 7:12まず 燃料棒 冷やすことが喫緊の課題
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7:12 - 7:15国民の皆さんも
どうやって冷やしてくれるんだろう -
7:15 - 7:17たぶん ご心配だったと思います
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7:17 - 7:243月17日 今言いました 東京にいる
全てのハイパーレスキュー隊を集めました -
7:24 - 7:27そして練っていた作戦
ほんとうは3つあるんですけれども -
7:27 - 7:31それがいかに短時間で 人が少なく
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7:31 - 7:34被ばくを少なくできるか ということを
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7:34 - 7:37実際にやってみました
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7:37 - 7:42当日 まだ現地では小雪が降るような
木枯らしの吹く寒いところです -
7:42 - 7:45原発も海沿いにあります
風が強いんです -
7:45 - 7:48たまたま運よく木枯らしが吹くときですので
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7:48 - 7:52風向きに対する影響も調べてみました
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7:52 - 7:58実はこのとき 一番指揮官として
悩みました -
7:58 - 8:02東京 3隊全部連れて行って留守にする
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8:02 - 8:04それは国難だからしょうがない
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8:04 - 8:10でもこのとき現地では
400ミリシーベルトもの放射線濃度だったんです -
8:10 - 8:13毎日100ミリシーベルトぐらいずつ上がっていく
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8:13 - 8:15我々が行ったときには
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8:15 - 8:18600ミリシーベルトぐらいに
なるんじゃないか 1時間でですね -
8:18 - 8:23そうすると80ミリシーベルトだと
10分も活動できないかもしれません -
8:23 - 8:29ですから 先ほど言った81ある消防署から
レスキュー隊をたくさん集めて -
8:29 - 8:32その人たちにこの操作を教えて
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8:32 - 8:37それでお前たちハイパーレスキュー隊は
その先生になってくれ と -
8:37 - 8:40この場でお願いしました
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8:40 - 8:44どの隊長も 「いや俺たちにやらせてくれ」
「俺たちが行く」 -
8:44 - 8:48「いや だってお前たちには若い隊員もいるだろう」
って言ったんですが -
8:48 - 8:50「俺たちが行く」
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8:50 - 8:53この日のために訓練して
チームワークができているんだ -
8:53 - 8:56悩みましたね
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8:56 - 9:00でも悩んだ末
ハイパーレスキューで行くことに決めました -
9:00 - 9:07それでその日は
各部隊にそれぞれ 戻しました -
9:08 - 9:13ところが 戻ったその日の夜中
深夜 0時50分 -
9:13 - 9:16なんと内閣総理大臣から出場要請が来たんです
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9:16 - 9:19もっと本当は被害を少なくするために
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9:19 - 9:22縮小しよう 色々検討しようと思ってたんですが
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9:22 - 9:25その余裕はありません
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9:25 - 9:292時に正式に出場命令をかけて
またもとの位置に集まれ -
9:29 - 9:32そしてこのように発隊式をやりまして
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9:32 - 9:388時には福島に着きました
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9:43 - 9:49これが三号機が爆発した直後の
航空写真であります -
9:50 - 9:52どういう作戦を採ったかと言いますと
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9:52 - 9:56上の方にあります矢印
あれ海側にありますけれども -
9:56 - 10:01あそこに巨大なスーパーポンパー
というポンプを据えつけて -
10:01 - 10:07そして あの煙の出ている所
ここが三号機でありますけれども -
10:07 - 10:12三号機の脇に屈折式放水塔車というものを設けて
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10:12 - 10:18そのノズルの角度 それから繋げるホースは事前に
もう繋げるだけ繋いでおく -
10:18 - 10:23そしてあの青の線 まっすぐ
これが一番最短ですから -
10:23 - 10:28車で ―150ミリというこんな太いホースは
パタパタパタと延ばす -
10:28 - 10:33そして繋げば
あっという間に設定が完了する -
10:33 - 10:37私の考えでは概ね7分ぐらいで
できるんじゃないかなと -
10:37 - 10:42読んでいました
この作業だけは -
10:42 - 10:46東京電力と政府等と打ち合わせをしまして
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10:46 - 10:50東京消防庁は 17時 夕方の5時から作業してくれ
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10:50 - 10:54ということになりましたので
これはJビレッジ -
10:54 - 10:57原発から20キロ離れたところを
前進指揮所にしたんですが -
10:57 - 11:02そこで準備をして
みんな出場しました -
11:02 - 11:06ところが 私はそのJビレッジで待っていましたけれども
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11:06 - 11:12あそこは 人里離れたところに原発作りますので
携帯無線も通じない 消防無線も通じない -
11:12 - 11:14衛星無線も通じないんです
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11:14 - 11:16じっと待ちました
送り出して -
11:16 - 11:19その間政府から 5時過ぎると
どうなっている まだか -
11:19 - 11:23そんなものは判らない ―蹴っ飛ばしたんですけど
ガンガン来る -
11:23 - 11:28で 戻って来たの聞きますと
想定以上に荒れてたんです -
11:28 - 11:30隊長 7時過ぎに戻ってきました
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11:30 - 11:33「どうした できたか」
「放水できなかった」 -
11:33 - 11:36何こんな時間までいて
放水できなかったということは -
11:36 - 11:38全員被ばくして もう失敗か
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11:38 - 11:40絶望的になりました
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11:40 - 11:44「いや違う」
入ったのは偵察隊だけだと -
11:44 - 11:48偵察隊が時間かかったのは
できないと言うだけでなくて -
11:48 - 11:51どこなら放水するためにポンプを落とせるか
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11:51 - 11:54ホースを延ばせるか調べて
こんなにかかったと -
11:54 - 11:55本隊は門の外にいる
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11:55 - 12:00そうか じゃあもう一回再チャレンジできるな
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12:01 - 12:04だけど800メートル延ばすんです
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12:04 - 12:09そのうちのあそこの赤で描いている部分
ここは瓦礫や屋外タンクが多くて -
12:09 - 12:12とても車は入れません
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12:12 - 12:15手で延ばすしかありません
ということです -
12:15 - 12:20何だよ こんなに放射能が濃くて
真っ暗な中 しかも瓦礫のある中 -
12:20 - 12:23あんな大きくて 普通
人が延ばしたことがない物を -
12:23 - 12:28たくさんの人を晒して
職員を晒して延ばすのかと -
12:28 - 12:32隊員にものすごく危険がかかるじゃないか
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12:32 - 12:37でも私には 一つは全く迷いはありませんでした
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12:37 - 12:40やらないという選択肢はないんです
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12:40 - 12:43先ほど言いましたように
どんどん放射能上がっていますから -
12:43 - 12:47もしここで撤退して
体制を立て直してやる暇はありません -
12:47 - 12:54じゃあ もう一つの選択肢は何かというと
隊員の安全をいかに確保するか しかないんです -
12:54 - 12:58作戦をうんと 皆で練りました
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12:58 - 13:062つの部隊をそれぞれ給水側
それから放水する屈折式放水塔車側 -
13:06 - 13:10両方から部隊を
両方からホースを延ばそう -
13:10 - 13:13そしてなおかつ人手が沢山要りますから
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13:13 - 13:17両方の部隊にマイクロバスを
一台ずつ増強しました -
13:17 - 13:22そこにはたくさん職員を乗せて
いざというときには 80ミリシーベルトになったら -
13:22 - 13:25もう機材は全部置いて
車に乗って戻ってこい -
13:25 - 13:28次に控えている部隊が行くから
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13:28 - 13:34こういう戦術を言い渡して
第2回目の作戦に突入させました -
13:34 - 13:38先ほど 150ミリのホース
車で延ばすと -
13:38 - 13:40本当は今日ここでお見せしたかったんですが
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13:40 - 13:43東京消防庁でも
そんなものは手で延ばすもんではないし -
13:43 - 13:45手で三階まで上げられないから
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13:45 - 13:46写真で勘弁してくれと
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13:46 - 13:52今日皆さん あそこ 都知事に説明している
実はこれ10分の1の長さですから -
13:52 - 13:561本50メートルで 1つの重さが100キロあります
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13:56 - 14:00それを7本以上暗闇の中で延ばすわけです
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14:02 - 14:05これが第二回作戦の決行です
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14:05 - 14:103時間半ぐらい検討しましたので
夜中23時になりました -
14:10 - 14:16これは その門のところで
打ち合わせをしているところです -
14:16 - 14:24そしてこれが 先ほど言いました屈折式放水塔車
3万8000リットルも一分間で放水できます -
14:24 - 14:27それに対して延ばしているところです
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14:27 - 14:32実はここで皆さんに
スペシャル・サプライズを用意しています -
14:32 - 14:34高山隊長 来てください
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14:34 - 14:39私が説明するよりも
これは実際にこの現場で指揮を執った -
14:39 - 14:44高山 幸夫 隊長であります
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14:44 - 14:48(拍手)
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14:49 - 14:54高山隊長 隊長としてこのとき
一番苦労したのはどんなところですか -
14:54 - 14:58(高山) やっぱりですね 任務の遂行と
さっき部長がおっしゃった 隊員の安全管理 -
14:58 - 15:01この両立をどう保って行くか
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15:01 - 15:04やれば危険が伴う
逃げるわけにいかない -
15:04 - 15:07この辺のバランスが
非常に私としては大変でした -
15:07 - 15:12(佐藤) 最後に 夜中の12時半に
放水が完了しましたが -
15:12 - 15:16放水したときに成功したかどうかってのは
どういうふうに判断しましたか -
15:16 - 15:20(高山) 目の前で「放水始め」という指示を出して
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15:20 - 15:24この150ミリのホースから
水がぶわっと乗ってきまして -
15:24 - 15:31でホースからばっと水が出た瞬間は
ほんと 天からの水のような 神の水のように思えて -
15:31 - 15:35隊員全員ガッツポーズをしてやったという
満足感でいっぱいでした -
15:36 - 15:42(佐藤) 実は今日はこのスペシャル・サプライズで
この会見のときの3人揃い踏みで -
15:42 - 15:45皆さんにお会いしたかったんです
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15:45 - 15:47(拍手)
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15:49 - 15:53ところがこの左にいますのが
富岡隊長というんですが -
15:53 - 15:56実は今スペインに行っています
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15:56 - 16:03我々のこの勇敢な消防活動に対して
スペインのアストリアス皇太子から -
16:03 - 16:08こういう共存共栄賞をいただけるということで
昨日授賞式でございまして -
16:08 - 16:10(拍手)
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16:18 - 16:233人がいるのに2人では
まだ皆さんに申し訳ないので -
16:23 - 16:26もう一つスペシャル・サプライズ用意しました
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16:26 - 16:28どうぞ
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16:29 - 16:31(拍手)
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16:36 - 16:41実は先ほど 100キロのホース
暗闇で延長したって言いましたが -
16:41 - 16:44この装備 25キロあるんです
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16:44 - 16:50ですからこの25キロの装備を背負って
なおかつ 100キロのホースを延ばしたわけです -
16:50 - 16:52はい ごくろうさま
じゃあ外してください -
16:54 - 17:00ご紹介します
彼は三島 ケイ隊員であります -
17:01 - 17:02なぜサプライズか
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17:02 - 17:05(拍手)
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17:05 - 17:08まだ本当は拍手早いんですけどね
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17:08 - 17:12彼は 彼こそが先ほど三号機にへばりついた
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17:12 - 17:16屈折式放水塔車を操作してくれた機関員なんです
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17:16 - 17:19あの暗闇の中で 適切に
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17:19 - 17:2550メートル離れた
30メートル高いホースに水を注入してくれたんです -
17:25 - 17:27(拍手)
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17:27 - 17:32実は彼には1歳の娘さんが3月のとき いました
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17:32 - 17:37そしてこの9月の22日に
もう一人女の子が生まれました -
17:37 - 17:403月に行ったときは小さなお子さんがいて
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17:40 - 17:45奥さんのお腹にも新しい命が宿ってた
-
17:45 - 17:49それがあっても行ってくれた
嬉しかった -
17:49 - 17:51(拍手)
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18:11 - 18:18実は先ほど こういう装備があるから
しっかりしてるから 訓練もしっかりやってる -
18:18 - 18:21情報もお互いにしっかり共有する
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18:21 - 18:27でも 我々消防官がこういう
命を懸けたところに行ける勇気というのは -
18:27 - 18:30実はそれだけではないんです
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18:30 - 18:34今 三島隊員のお子さんの話 しましたが
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18:34 - 18:36家族の愛があってなんです
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18:36 - 18:39私も先ほどのプロジェクトができたときに
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18:39 - 18:43家内に 「プロジェクトの発足に成功したよ」
その答え -
18:43 - 18:46―これ記者会見で
ご覧になったかもしれませんけれど -
18:46 - 18:49「日本の救世主になって」という言葉を
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18:49 - 18:51家内からメールでもらいました
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18:51 - 18:57これが私に力を与えてくれて
背中を押してくれました -
18:59 - 19:05東京消防庁には
今 ちょうど今年で60年ですけれども -
19:05 - 19:10総隊長として警護部長がまず真っ先に
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19:10 - 19:15現場に行ったというのは
今回が初めてだそうであります -
19:15 - 19:20そしてこれからもたぶん無いだろう
ということであります -
19:22 - 19:24なぜ行ったのか
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19:24 - 19:26記者会見ではないのでお話できるんですが
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19:26 - 19:31実は私は指揮を執りに行ったのではありません
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19:31 - 19:35総監と相談してもう始めから
2人だけで相談して -
19:35 - 19:37行こうということを言っていましたが
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19:37 - 19:41指揮は高山隊長が執った方が
よっぽど上手いです -
19:41 - 19:47私が行った目的は
隊員の安全管理が一つ -
19:47 - 19:52そしてもう一つ
やはり死ぬ場所で状況が変わりますので -
19:52 - 19:56決断をすることが一つ
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19:56 - 19:58あと実はもう一つあります
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19:58 - 20:03責任を取るために行きました
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20:03 - 20:09これだけの場所ですから
半分は戻れないと思った -
20:09 - 20:14彼らは終わってみると 結果ですけど
家族の元に返せて 本当に良かった -
20:14 - 20:18(拍手)
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20:37 - 20:40実は福島の対応というのは
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20:40 - 20:45我々消防活動の正に ワン・オブ・ゼム であります
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20:45 - 20:48今回の東日本大震災では
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20:48 - 20:51日本全国から緊急消防援助隊が
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20:51 - 20:542万7000部隊以上
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20:54 - 20:57そして なんと10万人以上の緊急援助隊が
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20:57 - 21:01東北の被災地に駆けつけました
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21:01 - 21:09そして世界各国から国、地域、機関で197ヶ国もの
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21:09 - 21:12支援の申し入れがありました
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21:12 - 21:16私も災害を担当してつくづく思いますけれども
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21:16 - 21:20今まで 文明 文化が発展してきたもの
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21:20 - 21:25これは正に人間の 絆によるものだと思います
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21:25 - 21:30今 東北地方 復興に向けて
全力で頑張っていますけれども -
21:30 - 21:36消防もこういうふうに 皆と一緒に
絆を作って支援しています -
21:36 - 21:39皆さんも一緒に支援してくれますよね
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21:39 - 21:41(拍手)
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21:45 - 21:49人類こそ こういう絆があって発展してきて
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21:49 - 21:53こういう幾多の災害を乗り切れたんだと思います
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21:53 - 22:00東日本大震災からも この気持ちさえあれば
必ずや立ち直れると思います -
22:00 - 22:01がんばりましょう
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22:01 - 22:03今日は本当に短い時間でしたけれども
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22:03 - 22:07消防の世界に入って頂きまして
ありがとうございました -
22:07 - 22:10(拍手)
-
22:37 - 22:42(司会者) 佐藤さん ありがとうございました
-
22:44 - 22:51ここで少し せっかくですので
三島さんにお話しを伺いたいと思います -
22:51 - 22:54よろしいでしょうか
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22:57 - 23:013月18日に出場が決まったとお聞きしたときに
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23:01 - 23:04いろんな思いがあったと思うんですけれど
-
23:04 - 23:08そのときの心境を少しお話しい頂けますでしょうか
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23:08 - 23:14(三島)はい もう最初テレビで原発災害を見たときは
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23:14 - 23:18正直 行くことはないだろう
というふうに思っていました -
23:18 - 23:21ただ この出場命令がかかった時というものは
-
23:21 - 23:26正直 これはヤバいな
どうしようかなっていう恐怖感と -
23:26 - 23:29もう誰もがやったことのないミッションだったので
-
23:29 - 23:32絶対やってやる 俺らがやるんだっていう使命感
-
23:32 - 23:38ほんとそれが 入り混じってた
―どうしていいかわからないような状態でした -
23:38 - 23:41(司会者) もちろん三島さん自身も
そう思われたということは -
23:41 - 23:46それをご家族の方 お子さん
ご報告されたと思うんですけれど -
23:46 - 23:50それはどんなご報告だったんですか
-
23:50 - 23:54(三島)原発事故 イコール チェルノブイリ
-
23:54 - 23:58もっと大きく言えば
広島 長崎の原爆というようなイメージしか -
23:58 - 24:01私の家族含めて そういう思いがあったようです
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24:01 - 24:05私のかみさんも さっき言った通り
当時妊娠初期だったもので -
24:05 - 24:07これで流産されたら困るなって
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24:07 - 24:10ほんとそういう思いで
どうメールしたらいいのか -
24:10 - 24:13もう電話はとてもできなかったので
どうしようと思った時に -
24:13 - 24:16軽く ちょっと飲みに行ってくるよ
みたいな感覚で -
24:16 - 24:19総理大臣命令 出ちゃったから
行ってくるよっていうような -
24:19 - 24:20メールを送りました
-
24:20 - 24:23そしたらですね 皆から
やってこい やってこいって -
24:23 - 24:26すごい命令だから行ってこい と
-
24:26 - 24:30かみさんからも 国の為なんだから 一丁やってこいと
偉そうなメールが来ました -
24:30 - 24:33それが 本当に力になったんですけど
-
24:33 - 24:36出場当時の真っ暗闇で
ほんとにやる気になっているときなのに -
24:36 - 24:40もう寝る っていうメールが来たときには ちょっと
寂しかったんですけど (笑) -
24:40 - 24:43(拍手)
-
24:48 - 24:52(司会者) ぜひ 三島さんに
ここにいる260人の素晴らしい方々 -
24:52 - 24:55そしてインターネットで見ている
世界中の方がいらっしゃいますので -
24:55 - 24:58今 三島さんが思う 気持ちをですね
-
24:58 - 25:01ひとこと頂いてもよろしいでしょうか
-
25:01 - 25:06(三島) あのミッションを成功したときってのは
正直 喜びました -
25:06 - 25:11で あのときの危機を取り去った
というふうには思っています -
25:11 - 25:14ただ残念ながら現在まで
原発は終息していませんし -
25:14 - 25:16本当に危ない現場で
-
25:16 - 25:18作業されている方が今でもいます
-
25:18 - 25:23また 津波災害 そういったもので被災された方々
というものが 復興したかというと -
25:23 - 25:25とてもそういう状態じゃあありません
-
25:25 - 25:29なので 両手を挙げて喜べる自分がいません
-
25:29 - 25:33なんですけども あのときにちょっとでも
被災された方々が -
25:33 - 25:35お やったじゃねーかよ
じゃ 俺らもやろうかっていうふうに -
25:35 - 25:39思って頂いたときに始めて
ミッション達成したんだなっていうふうに -
25:39 - 25:41思えるんじゃないか
というふうに思っています -
25:41 - 25:44それともう一つ われわれ消防官っていうのは
スーパーマンじゃないんですね -
25:44 - 25:48死んでしまっちゃあ 私らも 駄目なんですね
-
25:48 - 25:51やっぱり私が ミッションを終えて
帰ってきたときに -
25:51 - 25:53娘が寄ってきて抱っこしたときとか
-
25:53 - 25:56先日生まれた子どもを見たときにですね
-
25:56 - 25:59本当に生きて帰ってよかったと
強く思いました -
26:04 - 26:07(拍手)
-
26:10 - 26:16やっぱり 自分の身を守れない人間に
他人を助けることは絶対できない -
26:16 - 26:19そういうふうに思っています
高山隊長からも教わっています -
26:19 - 26:26なんですけども
目の前に私たちの助けを求める人がいるんであれば -
26:26 - 26:31それはもう全力で
本当に自分の力の限界を越えてまでも -
26:31 - 26:35助けて その人が
私と同じように生きて帰って良かったって -
26:35 - 26:37思っていただけるように
これからも全力でがんばります -
26:37 - 26:39本当にありがとうございました
-
26:39 - 26:42(拍手)
-
26:48 - 26:54(司会者) 佐藤さん 高山さん 三島さん
本当にどうもありがとうございました
- Title:
- 命を懸ける勇気の源 | 佐藤康雄 | TEDxSeeds
- Description:
-
東日本大地震によって発生した福島第一原発1号機の爆発から6日後、極めて困難で危険な原子炉冷却のミッションが達成された。佐藤康雄は自らの率いる東京消防庁ハイパーレスキュー隊の活躍を生々しく語る。
このビデオはTEDカンファレンスとは独立して運営されるTEDxイベントにおいて収録されたものです。
- Video Language:
- Japanese
- Team:
closed TED
- Project:
- TEDxTalks
- Duration:
- 26:59
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Natsuhiko Mizutani approved Japanese subtitles for 命を懸ける勇気の源 | 佐藤康雄 | TEDxSeeds | |
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Takafusa Kitazume accepted Japanese subtitles for 命を懸ける勇気の源 | 佐藤康雄 | TEDxSeeds | |
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Natsuhiko Mizutani edited Japanese subtitles for 命を懸ける勇気の源 | 佐藤康雄 | TEDxSeeds | |
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Natsuhiko Mizutani edited Japanese subtitles for 命を懸ける勇気の源 | 佐藤康雄 | TEDxSeeds | |
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Natsuhiko Mizutani edited Japanese subtitles for 命を懸ける勇気の源 | 佐藤康雄 | TEDxSeeds | |
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Takafusa Kitazume edited Japanese subtitles for 命を懸ける勇気の源 | 佐藤康雄 | TEDxSeeds | |
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Takafusa Kitazume edited Japanese subtitles for 命を懸ける勇気の源 | 佐藤康雄 | TEDxSeeds | |
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Takafusa Kitazume declined Japanese subtitles for 命を懸ける勇気の源 | 佐藤康雄 | TEDxSeeds |