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ハイ。Statics Oneへお帰りなさい。
今日のトピックはメディエーション(媒介)分析。
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この前の幾つかで重回帰分析について詳細に扱った。
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最初は概念的に重回帰を学び、
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そこで回帰方程式に複数の回帰係数がある時に
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それをどう解釈するかを学んだ。
そして行列の代数について見ていき、
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一つの方程式で複数の予測変数の回帰係数を一度に
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計算出来るようになった。
今日のレクチャーとこの後の2つのレクチャーでやっていく事は、
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社会科学の分野で特に人気な特定の種類の重回帰分析について
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より詳しく見ていく。
今日のレクチャー10ではメディエーション分析をやっていく。
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次のレクチャー11ではモデレーション分析をやっていく。
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そしてレクチャー12では媒介分析とモデレーション分析を両方
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Rでやっていく。そういう訳で今日のフォーカスはメディエーション分析。
そして今日のレクチャーは2つのセグメントに分けた。
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最初のセグメントではメディエーション分析をするのに、
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いわゆる回帰アプローチを取る。
2つ目のセグメントではパスモデル、または
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パス分析と呼ばれるアプローチを取る。
最初のセグメントでは
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メディエーション分析をする為に回帰アプローチだけでいく。
最初にメディエーションとモデレーションの違いを
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はっきりさせたい。
というのは、このトピックをこれまで
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大学院のコースで何度も教えてきたけれど、、、
そうそう、
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普段入門コースではこの話はしないけど、
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Satics Oneでは入れる事にした、とても良く使われる手法だからね。
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あー、そうだ。で、大学院レベルのコースで何度も教えてきたのだが、
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多くの院生がメディエーション(媒介)とモデレーションの区別をつけるのに苦労してる。
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どっちの分析がある種類のデザインや
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検証したい仮説に適切なのか?
だから最初にこの区別をクリアにしておきたい。
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メディエーションとモデレーション。
既に述べたように、今日は
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メディエーションについて話す。次のレクチャーでモデレーション。
その次に両方を一緒にRでやる。
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その区別をする為に、これら2つの丁度よい絵がある。
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メディエーション(媒介)やメディエータという言葉の意味について考えてみてくれ。
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この絵が描いているのは、この真ん中の所、メディエータ(調停人)の人がいる。
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これら2つの異なる意見を持つ人がコミュニケートして、
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この真ん中の人がこの二人の人の仲を取り持つ。
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統計的には、我々がやるのは、2つの相関があるかもしれない変数を
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調べる、という事。例えばXとYとする。
そんな例をここまでたくさん見てきた。
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そこではXとYの相関を見てきた。
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そこからさらに、もう一つの変数が見つけられるかを見てみる、という所が新しい。
それをMと呼ぼう。それがXとYの関係を
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メディエート(仲介)している。
もしそれが見つけられるなら、XとYをつなぐメカニズムについて、
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何かが言える。
そんな訳でこれは社会科学で人気の手法だ。
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何故ならたくさんの社会科学の領域で、
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彼らは観察研究に依拠せざるを得ない。
彼らはランダム化実験が出来ない。
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だからこの相関から因果を推測する問題がある。
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もし、メディエーションを示す事が出来たら、ちょっとだけ
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強い因果の議論に近づける。
それがただの相関だけなら、まだそこまでは行けない。
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でもそれは、モデレーションと区別するのには役に立つ。
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ここに、画像の下の所でモデレートしている絵がある。
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モデレータ(議長)は議論の全体をコントロールする。
モデレータはこの人間達の
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一人の人に直接影響を与える。
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統計的に変数同士の関係と同様に。
だからもしXとYに相関がある、と我々が言っても、
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モデレータは、
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いや、私の屋根の下ではそんなの無い、と言ったり出来る。
または、その相関を増加させよう、
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その関係はとても重要と私が思うから、と言ったりも出来る。
つまりモデレータは他の関係に影響を与えたり、
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制御したりする。
たくさんの院生はこのメディエーション分析や
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モデレーション分析で頭を悩ませるが、私の考えではそれは、
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それはたくさんの要素を詰めすぎるからだ。
だから私はこのナイスで短い省略形、
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高校のサッカーコーチが良く私に言った、KISS (Keep It Simple, Stupid, シンプルにしておく方が良いという諺)
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に立ち戻る。
試合を大げさにやり過ぎたり、何かについて喧嘩しすぎたときには
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彼はいつも、「KISSの法則を使え」と言った。
シンプルにしておきなさい。
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KISSの法則を使え。
ここでは我々は四つの変数しか扱わない。
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これはそんなに複雑じゃない。
コースの後半では四つの変数よりももっと多くの
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デザインをする事になる。
Statics Oneより先のコースまで行くと、
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もっと複雑なデータセットを扱う事になる。
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でもここでは多くとも4つの変数だけ。
このメディエーション分析では三変数のみ。
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シンプルに保て。
4つの変数だけある。XとYをこれまで同様
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予測変数と結果変数を表すのに使う。
この例で、このセグメントでは、
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予測変数と結果変数を使っていくが、
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Xを本当の意味での独立変数、
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ランダム化実験の物として使い、その上でメディエーション分析を行う、という事も考えられるのは
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心にとめておきなさい。
そして実際Rでメディエーション分析を実演するレクチャーでは、そうする。
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しかしここでは、それらを予測変数と結果変数に留めておく。
Mをメディエーターとして使う。
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Zはモデレータ変数。
この最初のセグメントで扱う例は、
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Xを何らかの心理学的特性、たとえば外向性として、
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それが幸福と相関しているか、という物。
実際多くの研究で真と出てる。
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正の相関が見て取れる。
つまりより外向的な方が、
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より幸せ、と異なる種類の尺度で出てる。
ではどんなメディエーターや
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メカニズムが考えられるか?
今このデータを作り上げた。
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私はRでデータをシミュレートした。
一つ考えられるメカニズムは、
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単に人生経験が多様なだけ、という物。
もしあなたが外向的なら、より幅広い経験を得るかもいれない。
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より多様な人生経験。
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それらは相関があるかもしれず、それが結果としてより幸福なのかも。
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次のレクチャーでやる事としては、今日はこの変数には関与しませんが、
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それは、その関係にモデレータ変数を考えてみる事だ。
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つまり、社会経済的なステータスがその関係をモデレートしてるかもしれない。
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つまり、この絵に描いたように、外向性が
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幸福と正に相関するのは、SCS(社会経済的ステータス)が高い人だけにあてはまるのかもしれない。
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SCSが低い、もの凄く低いと、
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外向的で様々な人生の経験を積んでいると、
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負の人生経験を積む事になり、より低い幸福度になるかも。
だから社会経済的なステータスは、
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その関係をモデレートするかもしれない、メディエートではなく。(モデレートは仕切る感じでメディエートは調整する感じ)
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さて、メディエーション分析をする時は、
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XとYが相関する事を知っていて、しかしより踏み込んで何故その相関が存在するかを
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知りたい時だ。
それらの変数が何故相関しているか?
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何故それらの変数が相関しているかのメカニズムを説明出来るか?
我々は既に単回帰から、少し前の講義でやったように、
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XとYが相関していると、XからYが予測出来る。
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そしてここに単回帰の方程式がある。
今メディエータ変数を追加すると、
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結果として3つの回帰式を得る事になる。
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その内2つを見ていく。
最初の式で、メディエータ変数「から」
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予測出来る。
二番目はメディエータ変数「を」Xから予測出来る。
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つまり最初の回帰式ではこの部分を取り除いた。
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Yをメディエータから予測出来る、と言っている。
二番目の回帰式では、
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この部分を取り除いた。
この式で言っているのは、
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メディエータをXから予測出来る、という事。
しかしこの、パス図の全体を取り込む為には、
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そしてそれは次のセグメントでやる事でもあるが、しなくてはいけない事は、
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両方の予測変数を一つの回帰方程式に入れる事。
これがいわば、フルのモデルだ。
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メディエーターと元の予測変数が両方入ってる。
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そこで質問は、メディエータを追加した後には
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Xの予測の妥当性または予測の価値に、何が起こるか?という事。
もしXとYがメディエータの為に相関していたのなら、
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このスライドで言ったように、という事だが、もしそうなら、Xはもはや有意では無いはず。
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何故ならYの変動の内Xが寄与している部分は全て
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メディエータが説明しているはずだから。
だからXはもはやYの有意な予測変数では無くなっているはず。
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質問に答える為にこの下を見る。
回帰係数B2はもはや、
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有意では無い、もしフルのメディエーションのケースなら。
しかし、こういう可能性も考えられる。
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B2、つまりXの回帰係数はいまだ有意だが、
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より小さく、弱くなっている、というケース、
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それのみで回帰式に入っていた時よりも。
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その場合は、パーシャルなメディエーションだという証拠を得た事になる。
つまりメディエーション分析をした時には、
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3通りの結果の可能性がある。
メディエーションの証拠が全く得られない場合、
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またはフルの証拠が得られる場合、
そうでなければ、部分的な証拠だけが得られる場合がある。
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その例をお見せしよう。
繰り返しになるが、ここに赤文字で注意を置いた。
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次のセグメントでは、これらのパスモデルを描いていくが、
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そこでは矢印は普通は因果関係を表す。
でも少なくともこの例に関しては、
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単にデータの相関を扱っているに過ぎない。
だから
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相関関係が因果関係を意味しない、という標語は引き続き当てはまる。
さらに、この大学院レベルのクラスで言っておきたいのは、
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統計的なメディエーションと真の因果的なメディエーションには
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大きな違いがあるということである。
したがって、統計的な意味で完全なメディエーションの
証拠を得られたかもしれない。
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しかし、単なるクロスセクションの相関データを
扱っているにすぎないのであれば、
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因果性に関する強い主張を何かできている、
というわけではない。
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オーケー。
では実際にどうメディエーションをどう検証して
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実装するか?それは3つの回帰モデルを実行していく事によって。
レクチャー12で
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ステップバイステップでRでスクリプトを書きながらやる。
ここでは、ただ駆け足で軽く見ていくだけに留める。
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これらが実行したい3つの回帰方程式だ。
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lmはRの関数で、LinearModel(線形モデル)を表す。
一つは、ただ単純に
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XとYの直接の関係を示す。
明らかにメディエートとは
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関係が無くてはならない。
それを確認する為、Xとメディエータの関係を見る。
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その後、このフルのモデルを実行する。
問題は予測変数の妥当性、つまり
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Xの予測における価値が、Mを加えた後でどうなるか。
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フルのメディエーションを得る為に、最初はこの2つを見る。
この最初の2つの単回帰の方程式。
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明らかに、Xは有意な予測変数であって欲しい。
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メディエーション分析をするには、まずXが有意な予測変数でなくてはならない。
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XはYの有意な予測変数でなくてはならない。
XはMの有意な予測変数である必要もある。
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それらが前提条件。
もし成り立たなければ、メディエーション分析は出来ない。
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この最後の回帰方程式では、Mは有意であるべき。
Xがどうあるべきかは、いろいろ有り得る。
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Xが有意で無くなるなら、
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0になるなら、それはフルのメディエーションである、という証拠となる。
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つまり、Xの直接効果は完全に消えてしまった。
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だが有意なメディエーターに対してもXは有意のままたりえる。
その場合はパーシャル(部分的)なメディエーションである、という証拠となる。
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この例に戻って、幾つかの数字を実際に見て、
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もっと具体的にしていこう。
前にも言った通り、
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Rでデータを作った。
これらはシミュレートしたデータ。188人の被験者が居て、
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これはナイスな大きな例だ、で、彼らを調査している。
このレクチャーでは社会経済的なステータスは
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空白のままにしてある。
それは次のレクチャーで。
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この時点では3つの指標だけある。
幸福、外向性、人生経験の多様性。
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それらのスコアは単純に1から5までの尺度とする。
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より高いスコアはより幸せ、より外向的、より多様な人生経験。
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これら3つが全て正の相関だと想定している。
最初の2つの単回帰のモデルの結果は、
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こうなる。
幸福を外向性から予測すると、
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標準化していない回帰係数は0.28となる。
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それが意味する所は一単位の外向性の上昇に対して、
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幸福度の尺度で0.28だけの上昇を予測している。
そして外向性が0だと、
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幸福度は2.19となると予測している。
例えば外向性が4の誰かを考えてみよう。
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その人は、4掛ける0.28が1をちょっと越える位で、そこに2.19を足すのだから、
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3.3とか3.4くらい。
だから外向性が高ければ、
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少しだけ幸福度が高い、または幸福度の予測されるスコアは高くなる。
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それらは正の相関を持っている。
人生経験の多様さも同様。
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だから最初の2つの条件は満たしている。
Xが結果変数に対して有意な予測変数で、
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しかもメディエータ変数も有意に予測している。
ではフルのモデルを見てみよう。
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それは下のここにある。
見て取れる事として、外向性と人生経験の多様性の
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回帰係数はどちらも有意。
そしてそれらを
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単回帰にそれぞれ入れた場合と比較すると、
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そんなには低下していない。
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外向性は0.28から0.22へ、多様性は、、、
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他の方を持ってないや。それが0.19になった。
これら予測変数と結果変数の関係の傾きは、
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それらを個々に予測変数として入れた場合と比較して、
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そんなに落ちてない。
ここで見ているのは、パーシャルなメディエーションの証拠という事になる。
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何故ならダイレクトなパスは0には落ちてない。
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実の所ちょっとしか落ちてない。
当初のナイスな正の傾きから、
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僅かしか落ちていない。
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この結果を解釈する為に、まず回帰式に戻る。
外向性と幸福度は
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正の相関。
人生経験の多様性はその関係を部分的にだけ
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メディエートしている。
何故ならここの値、0.22は、
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0.28からちょっとしか落ちていない。
もしこれが0まで落ちていたら、
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それはフルなメディエーションの証拠となるのだが。
次のセグメントでは、同じ例を、
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パスモデル形式で行う。
そしてそれを全部グラフィカルに示す。
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その事は関係を見て理解するのに役に立つと思う。
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それを私のお気に入りのモデル達の中に見る事になる。
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その為に、もう一度この例をパス分析のアプローチでやる。
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それが次のセグメントのトピック。