私がガラスにこだわる理由 | 木村 幸愛 | TEDxSapporo
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0:07 - 0:08こんにちは
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0:09 - 0:12北海道 小樽でガラスを作っています
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0:13 - 0:15木村幸愛(ゆきえ)と申します
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0:15 - 0:19今日は制作の格好で
吹き竿も持ってきました -
0:20 - 0:24こんなとこで喋ることなんて
もちろんありませんので -
0:24 - 0:28これ持ってたら なんとか正気を保てるかなと
思って持ってきたんですけど -
0:28 - 0:29(笑)
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0:30 - 0:33今日は どうなるかわかりませんが
宜しくお願いします -
0:33 - 0:36(拍手)
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0:37 - 0:41私がやっているのは宙吹きガラスと申します
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0:43 - 0:46およそ1,200度でガラスを溶かしていて
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0:46 - 0:50そして 24時間そのガラスを
溶かし続けています -
0:51 - 0:53この竿の先に そのガラスを巻いてきて
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0:54 - 0:56紙リンと呼ばれる 新聞紙を畳んで ―
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0:57 - 0:59水で濡らしたものを掌の上に乗せて
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0:59 - 1:02それで形を成形していきます
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1:02 - 1:05よく「熱くないですか?」と聞かれるんですが
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1:05 - 1:07掌は熱くないです
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1:07 - 1:10ただ 1,200度のガラスなんで
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1:10 - 1:13紙リンの水分が一気に沸騰して
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1:13 - 1:15手に垂れてきた時は
紙リンを投げ出してしまうぐらい -
1:16 - 1:17めちゃくちゃ熱いです
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1:17 - 1:22それ以外は 手で触れないので
金属のジャックと呼ばれる道具や -
1:22 - 1:25ピンセットの大っきな
ピンサーと呼ばれる道具で -
1:25 - 1:30指先の代わりに摘まんだり 引っ張ったり
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1:30 - 1:31ねじったり
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1:31 - 1:32そんな感じで作っています
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1:33 - 1:36制作の時は
ディスコミュージックなんかを掛けて -
1:36 - 1:38ノリノリで作ってます
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1:38 - 1:40服装も大体こんな感じで
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1:41 - 1:43ちょっと今日は ええ方のやつ
着て来ましたけど -
1:43 - 1:45(笑)
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1:45 - 1:47楽しく作っています
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1:47 - 1:50そしてどんなものを作っているかと言いますと
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1:50 - 1:53例えば 小樽の海をイメージしたペンダントとか
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1:54 - 1:56ハートを閉じ込めたペンダントとか
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1:57 - 2:01あとは ハートをモチーフにした飾り瓶とか
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2:03 - 2:06カラフルな透明色をたくさん使ったお皿とか
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2:07 - 2:09グラスとか
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2:10 - 2:11花器とか
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2:12 - 2:13アロマポットとか
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2:14 - 2:16あとはオブジェなんかも作ったりとか
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2:17 - 2:20トロフィーなんかも
制作依頼を受けて作ったりしています -
2:21 - 2:26ガラスは ただの何でもない塊だけでも
すごく綺麗ですので -
2:26 - 2:29いつもそれには負けたくないと思っています
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2:29 - 2:32私が手を加えることによって
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2:32 - 2:36もっと綺麗に もっと魅力的になれば ―
そう思いながら作っています -
2:37 - 2:43私は 大阪出身で
高校時代まで大阪で過ごしました -
2:44 - 2:46ガラスを始めるようになったきっかけは
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2:46 - 2:51高校時代の恩師が 吹きガラス工場に
連れて行ってくれたことでした -
2:51 - 2:54そこには真ん中に大っきな釜があって
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2:54 - 2:58ゴーゴーと火が燃えていて
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2:59 - 3:03その真っ赤な火を前に
真剣に立ち向かう職人さんを見て -
3:03 - 3:06率直に わあ凄い めっちゃ格好いい
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3:06 - 3:09と思ったのが最初の印象でした
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3:09 - 3:12そこで初めて溶けたガラスを
触らせてもらったんですけど -
3:13 - 3:17トロトロで 熱すぎて
何も もちろんできませんでした -
3:17 - 3:20でもその時に見た 溶けたガラスは
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3:21 - 3:24オレンジ色に静かに発光していて
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3:24 - 3:25それがものすごく綺麗で
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3:26 - 3:29そんな魅力みたいなものが忘れられなくて
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3:29 - 3:32一人で職人の世界に
飛び込んでみることにしました -
3:33 - 3:38周りからは
「あんたそんな 続かへんから止めとき」 -
3:38 - 3:42「そんな寒いとこ行って
あんた寒がりなのにどないすんの」 -
3:42 - 3:48と言われたんですけど
18歳の希望に燃えた私を誰も止められず -
3:48 - 3:50一人で小樽にやって来ました
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3:51 - 3:53ちょっと話は変わるんですけど
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3:53 - 3:56小学校の時から空手を始めまして
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3:56 - 3:58中学の時には全国で2位になりました
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3:59 - 4:02(拍手)
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4:03 - 4:05すごく負けず嫌いで
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4:05 - 4:071番になりたいと思ってたんです
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4:08 - 4:11正直 ガラスを始める時も
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4:11 - 4:14若かったですし 世間知らずでしたし
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4:14 - 4:17「もしかしたら これやったら
1番なれるんちゃうやろか?」 -
4:17 - 4:20なんて思ってたんですけど
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4:20 - 4:23そんな根拠のない自信みたいなものは
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4:23 - 4:26その後 速攻でズタボロになりました
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4:27 - 4:30職人の世界に
飛び込んだはいいんですけど -
4:30 - 4:35その世界は 私が想像してたよりも
遥かに厳しい世界でした -
4:36 - 4:38どんどん つらくなっていって
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4:38 - 4:39頑張ってはいたんですけど
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4:39 - 4:41毎日しんどくなって
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4:42 - 4:45当時は携帯電話も持ってなかったですし
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4:45 - 4:48雪の中 公衆電話から電話するんですけど
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4:50 - 4:54テレホンカードの数字が
みるみる減っていきますし -
4:54 - 4:57近くに話ができる友達も居なかったですし
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4:59 - 5:03家族には弱音は吐きたくなかったですし
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5:03 - 5:07そんな感じで精神的にも
けっこう追い詰められていって -
5:08 - 5:10しんどくなっていったんですけど
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5:10 - 5:13ふっと見える小樽の海の景色には
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5:13 - 5:16何度か心を救われたのを覚えています
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5:16 - 5:19ここまで近くに海とかは無かったので
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5:20 - 5:22「あー 海ってええなぁ」と思いました
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5:23 - 5:26そんなところで
ギリギリで頑張ってはいたんですけど -
5:26 - 5:28やっぱり挫折してしまいました
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5:29 - 5:33職人の世界に飛び込んで
2年で辞めてしまいました -
5:33 - 5:35でもその時
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5:35 - 5:38ここは辞めても
ガラスは絶対に止めないぞと -
5:38 - 5:40それだけは心に誓っていました
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5:41 - 5:43そして大阪に帰って
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5:43 - 5:47また新たな場所で
ガラスに携われることになったんです -
5:47 - 5:49職人の世界は
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5:49 - 5:52見て覚えろっていうものだったんですけど
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5:52 - 5:54正直 見てはいたんですけど
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5:54 - 5:55自分のことで精一杯で
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5:56 - 6:00でも ガラスを
窯から巻いては持っていく — -
6:00 - 6:02ガラスを巻いては持っていく というのを
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6:02 - 6:04毎日繰り返していたので
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6:04 - 6:09その部分だけは 次に働いた先の
大阪の先輩も認めてくれたんです -
6:09 - 6:14先輩に「お前 ガラス巻いてくんのだけは
天下一品やな」と -
6:14 - 6:18「こんなトロトロのガラス
なかなか扱えれる奴はおれへんぞ」と -
6:18 - 6:22「そやのに2年もやってて
なんでコップの1個も作られへんねん」 -
6:22 - 6:23と言われました
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6:24 - 6:27そうか 私はコップの1個も作れないんだと
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6:29 - 6:31改めて気付かされました
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6:31 - 6:34そしてその先輩が
自分でガラスを巻いてきて -
6:35 - 6:37自らコップを作ってくれるのを
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6:37 - 6:39言葉で全部説明してくれたんです
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6:39 - 6:43「ここは この時に こうやから
ここで こう冷ますんや」 -
6:43 - 6:44とか そんな感じで
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6:44 - 6:48そうすると今まで見て覚えてきたものが
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6:48 - 6:51頭の中にパズルのピースみたいに
あったんですけど -
6:51 - 6:55それが言葉で教えてもらったことによって
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6:55 - 6:57一気にババババっと組み上がっていきました
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6:58 - 7:02そしてスッと一気に
理解できるようになったんです -
7:02 - 7:06その後からはコップが
すらっと作れるようになったんです -
7:07 - 7:10これは自分でもとても気持ちのいい体験でした
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7:10 - 7:12そして それからは ―
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7:13 - 7:17これやったら
なんでも作れるんちゃうかなと思いまして -
7:17 - 7:20色んなものに挑戦していくようになりました
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7:22 - 7:24その時に —
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7:25 - 7:29初めてガラスが楽しいと
思えるようになったんです -
7:29 - 7:31それまで私にとってガラスは
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7:31 - 7:33つらいものでしかなかったので
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7:34 - 7:39そして場所を横浜の方にも移しまして
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7:40 - 7:42経験を重ねていきまして
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7:43 - 7:4830歳の時に夫の故郷でもある
小樽に戻ってきて -
7:48 - 7:51自分の工房を作るために
戻ってくることになりました -
7:52 - 7:57場所も決まって
アメリカから溶解炉も輸入して -
7:57 - 8:00「ギャラリーオープンや!」と
気合いを入れてたんですけど -
8:00 - 8:04溶解炉は稼働から5日目で
いきなり壊れました -
8:06 - 8:07えーっ!てなって
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8:08 - 8:10もうどうしようとなって
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8:10 - 8:13新聞にもオープンの日を
載せてもらってましたし -
8:15 - 8:17どうしよう?となって
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8:17 - 8:18泣きながら
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8:18 - 8:22夫と一緒に食べた焼きそばの味は
今でも忘れられないです -
8:23 - 8:25そんなこと あったんですけど
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8:25 - 8:28なんとかオープンすることができました
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8:28 - 8:32家族とか知人とか友人の支えがありまして
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8:33 - 8:37そして 私が独立すると腹をくくって
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8:37 - 8:40これで生きていくと決めた時から
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8:40 - 8:43家族の態度も
変わってきたような気がするんです -
8:44 - 8:48特に父は大阪から小樽に来る度に
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8:48 - 8:54ギャラリーの中の机なんかを
夫を一番弟子にして 作っていってくれています -
8:55 - 9:00ギャラリーの棚も
2人で仲良く作ってくれたりして -
9:02 - 9:07そして夫は父の一番弟子に加え
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9:07 - 9:10私の専属アシスタントにもなって
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9:10 - 9:13工房での作業も
ずっと一緒にやってくれています -
9:13 - 9:17夫はそれまでガラスは
やったことはなかったんですよね -
9:17 - 9:21そして大阪の母や妹 —
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9:22 - 9:24小樽の夫の母も
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9:24 - 9:27内職や経理なんかで
手伝ってくれるようになりまして -
9:28 - 9:33私の独立が 家族の共通の
話題になるというのは -
9:33 - 9:36最初から意図していたことでは
ありませんでした -
9:36 - 9:40ガラスを始めた頃は
一人でガラスを頑張って -
9:40 - 9:44いつか家を建てたら
みんなが幸せになれるんちゃうかなとか -
9:44 - 9:46そんなようなことを思ってたんですけど
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9:47 - 9:53私の想像しないところで
家族の絆は深まっているように思います -
9:54 - 9:59そして今ではもう一つ
ガラスを続ける理由が増えたような気がします -
10:01 - 10:03「プロポーズに使いたい
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10:03 - 10:05大切な瞬間なので協力して欲しい」
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10:07 - 10:12遠方から「年に一度の楽しみ」
と言って来てくださる方 -
10:12 - 10:14「あなたを見てると
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10:14 - 10:20小さい頃に体が不自由になった娘が
元気だったら という姿を想像する」 -
10:20 - 10:25力強い握手と共に「あなたを応援してる」
と言ってくれた おばあさま -
10:26 - 10:27そして届く手紙
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10:28 - 10:30いつからか ガラスを作ることで
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10:30 - 10:34随分と人様の人生に
触れることになっていました -
10:35 - 10:38そして人様の人生に触れることは
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10:38 - 10:41正直 楽しい事ばかりではないです
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10:42 - 10:45つい去年も こんな出来事がありました
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10:45 - 10:47釧路の村上さん
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10:47 - 10:50この方はギャラリーをオープンしたての頃
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10:51 - 10:55ギャラリーを開けても誰も来てくれない
そんな時に -
10:55 - 10:57「雑誌を見て素敵と思って来たのよ」
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10:57 - 10:59と言って 来てくださいました
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11:00 - 11:03「あなたの赤を見ると元気になるのよ」
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11:03 - 11:06って言ってくださいました
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11:07 - 11:12村上さんは長い間 癌と闘病されていました
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11:14 - 11:18「本当はね つらい時はたくさんあるのよ
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11:18 - 11:22でも あなたのアクセサリーをつけて
病院に行くと -
11:22 - 11:24お出かけみたいでウキウキできるから」
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11:24 - 11:26って言ってくださいました
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11:26 - 11:32毎年 北海道が桜で満開になる
一番季節のいい時に -
11:32 - 11:35旦那様と共にギャラリーに
訪れてくださいました -
11:36 - 11:42去年の春 いらっしゃらないので
どうしたのかなと思って電話してみると -
11:42 - 11:45既に亡くなられていました
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11:46 - 11:49悲しくて涙が出ました
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11:49 - 11:52ガラスをやっていなければ
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11:52 - 11:55こんな悲しみを味わうことも
なかったのかなとさえ思いました -
11:57 - 12:02でも 村上さんが下さった温かさは
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12:02 - 12:06私は生涯忘れることはないと思っています
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12:06 - 12:10喜びも悲しみも全て受け止めていきたい
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12:10 - 12:13そう思える出来事でした
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12:16 - 12:22何かを作る理由 続ける理由
何を作るかというのは -
12:22 - 12:25私は変わっていっていいと思っています
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12:25 - 12:29また 変わっていくもんなんじゃないかと
思っています -
12:29 - 12:33よく 将来何を作りたいですかって
聞かれることがあるんですけど -
12:33 - 12:36私はこの答えにいつも困ってしまいます
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12:37 - 12:39というのも 将来作りたい物は
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12:39 - 12:44その未来にならないと
きっとわからないような気がするんです -
12:44 - 12:49今 作ってる物や
取り組んでいる物の積み重ねが -
12:49 - 12:52きっと未来の自分を変えていくと思っています
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12:53 - 12:57そんな未来が楽しみになるような
挑戦をしていきたいと思っています -
12:58 - 13:04ガラスを始めた頃は 1番になりたいという
向こう見ずな理由でした -
13:04 - 13:08そして挫折をした後は 意地で続けてました
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13:09 - 13:13ガラスの技術の習得にワクワクして
続けてきた時もありましたし -
13:14 - 13:17習得技術がついてきた頃からは
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13:17 - 13:21次はどんな表現をしてみようかなと
いつも考えてるような気がします -
13:22 - 13:26これからもガラスを作る理由は
変わり続けると思っています -
13:27 - 13:29でも最初に ―
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13:30 - 13:32「ガラスをやりたい!」
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13:32 - 13:33「これや!」
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13:33 - 13:37と思った時の そのスパークリングな気持ち
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13:37 - 13:41それだけはずっと信じ続けたいと思っています
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13:43 - 13:46だから私はガラスにこだわっています
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13:48 - 13:52いつか海の見える場所に工房をつくって
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13:52 - 13:58これからも もっともっと 人の心に
響くような作品を作り続けていきたい -
13:58 - 14:01それが今の私の夢です
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14:01 - 14:04今日はどうもありがとうございました
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14:04 - 14:07(拍手)
- Title:
- 私がガラスにこだわる理由 | 木村 幸愛 | TEDxSapporo
- Description:
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ガラス作家の木村 幸愛は、17歳のときにガラスに魅了され、現在は小樽に自身の工房「幸愛硝子(ユキエガラス)」を開いています。たった一人で始めたガラス職人への挑戦でしたが、ガラスを作り続けたことで、家族の絆が深まったり、いくつものお客様との大切な出会いがあったと言います。ガラスを作る理由は変わり続けるかもしれないけれども、最初に「ガラスをやりたい!」と思った気持ちを信じ、これからももっと人の心に響くガラス作品を作り続けていきたいと、夢を語ります。
このビデオは、TEDカンファレンスの形式で地元コミュニティが独自に運営するTEDxイベントにおいて収録されたものです。詳しくは http://ted.com/tedx をご覧ください。
- Video Language:
- Japanese
- Team:
- closed TED
- Project:
- TEDxTalks
- Duration:
- 14:18
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