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ナノメディスン(ナノ医薬):ナノバイオテクノロジー vs がん/マーク・E・デイビス/TEDxCaltech

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    こんばんは
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    (拍手)
  • 0:08 - 0:11
    ナノテクノロジーの新分野
    について話したいと思います
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    ナノメディスン(ナノ医薬)です
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    これはナノテクノロジーが
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    可能にする有望で新たな
    バイオテクノロジーの分野です
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    このスライドでわかるように
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    過去数十年に
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    心臓病による死亡は激減しました
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    これは良い報告です
  • 0:28 - 0:31
    しかしがんに関しては
    残念ながら同じことは言えません
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    今日
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    がんは85歳以下のアメリカ人の
    死因の第1位です
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    皆さんもご想像の通りこれは
    アメリカだけの問題ではなく
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    世界的な問題です
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    このデータによるとがんによる死亡率は
    結核 マラリア エイズ
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    全部を合わせたものよりも高いです
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    あいにく 将来 この率は
    増加すると予想されます
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    がんは社会に莫大な経済的負担を
    強いています
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    若年死亡による
    労働力の損失だけでなく
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    急速に高騰する治療費は
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    世界中のがん患者を治療する必要のある現在
    もはや継続可能ではありません
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    世界中のがん患者を治療する必要のある現在
    もはや継続可能ではありません
  • 1:14 - 1:16
    もちろん皆さんもご存知のように
  • 1:16 - 1:19
    現在のがん治療では多くの患者は
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    治療中 そして治療後でさえ
    不快な症状や機能低下など
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    QOL(生活の質)の低下に悩まされます
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    だから効果的かつ低コストで
    患者の高いQOLを保つ
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    新しいがん治療薬開発の
    必要性があるのです
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    新しいがん治療薬開発の
    必要性があるのです
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    これらを解決するため私達は
    毎日研究に励むのです
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    起床し 研究室に行き
    病院に行き
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    これらの問題に対処する方法を
    思考錯誤するのです
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    真剣に死亡率を
    減少させようとするなら
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    転移性疾患の治療を
    しなければなりません
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    つまり複数の腫瘍が
    全身に存在する場合
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    治療が全身同時に行われることが
    必要だということです
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    これを全身治療と言います
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    それではナノメディスンとは
    何でしょうか?
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    これらは治療効果のある
    微粒子で
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    現在のがん治療法を変革することが
    期待されます
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    現在のがん治療法を変革することが
    期待されます
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    アメリカ国立がん研究所
    (National Cancer Institute)は
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    これらの微粒子の大きさを
    1から100ナノメートルとし
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    治療効果のある物質と
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    ポリマーのような輸送分子の
    複合体と定義します
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    ではなぜ大きさが 重要なのでしょうか
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    これは真のナノテクノロジーです
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    これらの粒子は小さいです
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    100ナノメートルの微粒子が
    サッカーボールだとすると
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    サッカーボールは
    地球の大きさに等しくなります
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    この非常に小さな粒子を
    患者の血液内に注入すると
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    血流に乗って
    全身を循環します
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    興味深いことに
    このナノテクノロジーは
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    1ナノメートル以下の
    抗がん剤に比べると
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    実際には大きいのです
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    抗がん剤が
    サッカーボールだとすると
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    ナノ粒子はグッドイヤーの飛行船と
    同じ大きさになります
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    これはとても大きなモノです
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    だからナノ粒子は体の特定の
    部分へは入れません
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    また ナノ粒子は大量の薬物を
    運搬できます
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    この飛行船にサッカーボールを
    いくつ入れられるか
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    そして他の複数の機能を
    付加できるか想像して下さい
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    過去10年程 私のグループと
  • 3:21 - 3:23
    他の世界中の研究者は
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    固形腫瘍を持つ患者を治療するための
    多機能なシステムを
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    設計し操作する方法を
    開発しようとしました
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    この分野は約50プラスマイナス
    20ナノメートルほどの大きさの粒子に
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    注目しています
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    50ナノメートルを
    グッドイヤーの飛行船の半分と
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    想像してください
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    ここにこれらのタイプの微粒子を
    説明する2つの図解があります
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    そのサイズと表面 そして
    微粒子にどんな機能を付加できるかの
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    設計に取り組んでいます
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    理由は次の通りです
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    1つのパネルは良く見えません
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    これらの微粒子を患者に投与すると
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    それは血流に乗って
    全身に行き渡ります
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    抗がん剤なら入り込める特定の部位に
    微粒子は侵入できません
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    例えば健康な組織です
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    抗がん剤は 骨髄にまで達します
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    骨髄は免疫系の細胞を作り
    抗がん剤はそれらの細胞を殺します
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    そして髪の毛に含まれる分子も阻害し
    脱毛します
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    ナノ粒子はそこまでたどり着けません
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    従ってナノ粒子は
    抗がん剤よりもずっと安全なのです
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    一方 腫瘍は新たな血管を伸ばしますが
    これらの血管は未完成なので
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    ナノ粒子はこれらの部位に
    到達できます
  • 4:34 - 4:37
    ですから 私達はナノ粒子の表面を
  • 4:37 - 4:40
    がん細胞の表面分子と優先的に
    相互作用する分子で修飾し
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    がん細胞がこれらの粒子を
    細胞内部に
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    取り込むように促します
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    カリフォルニア工科大学では
    「賢い」粒子を作ろうと試みています
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    化学センサーを取り付ければ
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    「OK 今細胞内にいて
  • 4:54 - 4:57
    治療用搭載物を放出します」
    となるのです
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    放出後 抜け殻になった粒子は
    分解してさらに小さくなり
  • 5:01 - 5:04
    尿中に排出されるよう設計されます
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    ですから粒子の残骸は
    全く残りません
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    正常な細胞は増殖 分裂
    死滅と順序正しく経緯します
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    これらの過程のスイッチを
    onやoffにすることで調節する
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    沢山の制御システムがあります
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    がんではこれらのいくつかが変化し
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    例をあげると
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    細胞を増殖 分裂させる経路が
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    永続的にonになることがあります
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    最低限の副作用で効果的に
    治療したいなら
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    これらの異常な部分だけを
    攻撃したいわけです
  • 5:36 - 5:40
    それを可能にするかもしれない
    新しいバイオテクノロジーがあります
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    「RNA干渉」と呼ばれます これは
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    2本鎖RNA つまり2本のRNA鎖が
    一緒になったものを使って
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    遺伝子発現を抑制する方法です
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    クレイグ・メローと
    アンディー・ファイアーが
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    2本鎖RNAが線虫で
    どう機能するかを解明し
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    2006年にノーベル生理学賞を受賞しました
  • 6:01 - 6:04
    アンディーが受賞スピーチで
    こう言いました
  • 6:04 - 6:08
    「腫瘍がそれ自体の増大の原因となる
    遺伝子を持っていたら
  • 6:08 - 6:11
    その患者はどうなるでしょう?
  • 6:11 - 6:14
    このような小さなRNAを
    患者に与えることで
  • 6:14 - 6:17
    腫瘍の増殖を抑えることは
    できないだろうか?
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    このRNAを標的に
    到達させることができれば
  • 6:20 - 6:22
    とてもクールな治療薬となりえます」
  • 6:22 - 6:24
    「クールな治療法」という
    言い方がいいですね
  • 6:24 - 6:26
    運搬方法が大きな問題です
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    これらのRNAを標的に到達させ
    正しく機能させるにはどうすればいいか
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    1、2年ほど前
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    同僚と私が 初めて
  • 6:34 - 6:37
    線虫での発見がヒトにも
    応用できることを証明しました
  • 6:37 - 6:40
    これは大変有意義な応用です
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    つい去年
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    RNA干渉を患者に応用できることを
    証明できましたので
  • 6:44 - 6:47
    ここでいくつかのポイントを
    説明します
  • 6:47 - 6:50
    このテクノロジーで
    大変興味深いのは
  • 6:50 - 6:54
    タンパク質濃度を標的とした
    多くの薬品とは異なることです
  • 6:54 - 6:56
    タンパク質には多くの機能があります
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    だから薬品も多くの異なる作用を
    持たないといけません
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    タンパク質の機能には
    攻撃できないものも多くあります
  • 7:02 - 7:04
    これらを「投薬不可能な標的」 と呼びます
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    RNA干渉は
    メッセンジャーRNAを攻撃するので
  • 7:09 - 7:12
    メッセンジャーRNAの塩基配列を
    変えるだけで良いのです
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    どのメッセンジャーRNAを
    攻撃、除去することも可能です
  • 7:16 - 7:19
    従って 2本鎖RNAの
    塩基を変えるだけの技術で
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    どの遺伝子も「薬物治療可能」となるのです
  • 7:23 - 7:24
    同僚と私は
  • 7:24 - 7:28
    このような小さなRNAを運搬する
    ナノ粒子を開発し
  • 7:28 - 7:31
    これをがん患者に投与しました
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    これらの粒子はがん患者の体を循環します
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    そして私達はナノ粒子が
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    転移性悪性黒色腫の患者の腫瘍に
    行き着くことを証明しました
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    しかも ナノ粒子は用量に依存して
    作用します
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    これが何を意味するかというと
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    患者に投与するナノ粒子の数を増やすと
  • 7:48 - 7:51
    腫瘍にたどり着くナノ粒子の数も
    それにつれて増すということです
  • 7:51 - 7:55
    治療中 患者は高いQOLを保つのです
  • 7:55 - 7:59
    私達は数人の患者に 生検を行い
  • 7:59 - 8:01
    もっと詳しく観察できました
  • 8:01 - 8:03
    ここに2枚のスライドがあります
  • 8:03 - 8:06
    1枚目で腫瘍領域中の明るい部分は
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    ナノ粒子です
  • 8:08 - 8:12
    実際にナノ粒子が腫瘍組織に到達し
    腫瘍細胞内部に入ることを
  • 8:12 - 8:13
    証明できたのです
  • 8:13 - 8:16
    意図した通り ナノ粒子は
    腫瘍の周辺の健康な組織には
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    全く存在しませんでした
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    このように個別のメッセンジャーRNAを
    除去することができたのです
  • 8:24 - 8:27
    私達はこれがRNA干渉の作用によると
    証明できました
  • 8:27 - 8:30
    このスライドでわかるように
  • 8:30 - 8:32
    その結果 タンパク質の産生を抑制し
  • 8:32 - 8:34
    このタンパク質を除くことで
  • 8:34 - 8:38
    この患者の腫瘍の増殖を止めたのです
  • 8:39 - 8:43
    これはナノ粒子が
    適切な特質を持つ 新規のがん治療薬を
  • 8:43 - 8:46
    開発しようという
    新しいバイオテクノロジーを
  • 8:46 - 8:51
    可能にする少なくとも1つの例です
  • 8:51 - 8:55
    このテクノロジーの
    潜在的可能性は高いので
  • 8:55 - 8:57
    がん患者が高いQOLを保持できる治療を
  • 8:57 - 9:00
    選べるようになることを願います
  • 9:00 - 9:03
    それでは将来について考えましょう
  • 9:03 - 9:05
    これまでのところ
  • 9:05 - 9:08
    私達は患者にナノ粒子を投与し
  • 9:08 - 9:13
    患者の高いQOLを保ったまま
    腫瘍の持つ個別の遺伝子を
  • 9:13 - 9:16
    抑制することに成功しました
  • 9:16 - 9:17
    さて いくつもの特性を持った
    複数のRNAを粒子に搭載すれば
  • 9:17 - 9:20
    さて いくつもの特性を持った
    複数のRNAを粒子に搭載すれば
  • 9:20 - 9:23
    複数の遺伝子を同時に攻撃することも
    可能なはずです
  • 9:23 - 9:27
    私達のビジョンとしては
    患者の治療を開始するにあたり
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    ごく少量の血液を採取し
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    本日話題になった様々な技術を用いて
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    血液内のいろいろな生体分子を
    たとえば アレイ技術などで
  • 9:38 - 9:39
    分析することです
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    そんな情報からすると
  • 9:41 - 9:44
    たぶん将来には
    自宅で検査するようになるでしょう
  • 9:44 - 9:45
    それを携帯に接続し
  • 9:45 - 9:47
    携帯は主治医に
    「これが結果です」と連絡します
  • 9:47 - 9:49
    携帯は主治医に
    「これが結果です」と連絡します
  • 9:49 - 9:51
    次に医者を受診した時
  • 9:51 - 9:53
    医師はこんなふうに言います
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    「この新しい治療方法を行いましょう」
  • 9:55 - 10:00
    ですから 個人に合わせるという意味で
    治療法を変えられるだけでなく
  • 10:00 - 10:05
    ダイナミックに変化させ
    個人が実際に病気の経過を
  • 10:05 - 10:09
    観察し最適な方法で
    病気を根絶することが
  • 10:09 - 10:12
    可能になることを
    私達は期待しています
  • 10:12 - 10:16
    これががんについての見通しですが
    多分このようになると思います
  • 10:16 - 10:18
    他の病気にも
    同じことが起こるのを期待します
  • 10:18 - 10:19
    ありがとうございます
  • 10:19 - 10:21
    (拍手)
Title:
ナノメディスン(ナノ医薬):ナノバイオテクノロジー vs がん/マーク・E・デイビス/TEDxCaltech
Description:

マーク・E・デイビスはカリフォルニア工科大学ワレン&キャサリン・シュリンガー 化学工学教授です。シティー・オブ・ホープ市のComprehensive Cancer Center (総合がんセンター)
のExperimental Therapeutics Program (実験的治療薬プログラム)のメンバーでもあります。これまでに350以上の科学論文と2冊の教科書の出版、そして50以上の特許を保持しています。彼は数々の賞の受賞者でありNSF Alan T. Waterman賞を工学者として初めて受賞しました。彼は1997年 全米技術アカデミーに、2006年には全米科学アカデミーに会員として選ばれました。専門分野は材料合成、すなわち分子認識と触媒に使用される固体、そして広範囲の治療薬を生体内運搬するポリマーです。彼は2つのバイオテクノロジー会社の創立者でもあります。彼はまた全米マスターズ陸上の400メートルと200メートル競走の代表としても活躍しました。

このビデオは、TEDカンファレンスの形式で地元コミュニティが独自に運営するTEDxイベントにおいて収録されたものです。詳しくは http://ted.com/tedx をご覧ください。

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Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TEDxTalks
Duration:
10:30

Japanese subtitles

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