ロリー・サザーランド: 物事をどのように見るかがすべて
-
0:00 - 0:02ここにあるのは
-
0:02 - 0:05電子タバコです
-
0:05 - 0:09これは1年か2年前に発明されたものですが
-
0:09 - 0:11それで私は言いようもなく幸せになりました
-
0:11 - 0:12(笑)
-
0:12 - 0:15ニコチンによるところもありますが
-
0:15 - 0:17それよりずっと大きなことがあります
-
0:17 - 0:22英国では公共の場所で
タバコを吸うことが禁止されていますが -
0:22 - 0:26私はそれ以来二度と飲み会を楽しめませんでした
-
0:26 - 0:27(笑)
-
0:27 - 0:31その理由が先日分かりました
-
0:31 - 0:32それは飲み会に行って
-
0:32 - 0:34赤ワインのグラスを片手に
-
0:34 - 0:36延々と立ち話をするのですが
-
0:36 - 0:39実際にはずっと会話を続けて
いたいわけではないのです -
0:39 - 0:40そんなのは本当に疲れることです
-
0:40 - 0:44考えごとをしながら静かに
立ち尽くしていたい時もあるでしょう -
0:44 - 0:49角のほうに立ち尽くして窓の外を
見つめていたい時もあるでしょう -
0:49 - 0:52そこで問題となのですが タバコを吸わずに
-
0:52 - 0:56一人で窓の外を見つめて立ち尽くしていたら
-
0:56 - 0:59社会性がなく友達もいない馬鹿者扱いされます
-
0:59 - 1:00(笑)
-
1:00 - 1:04タバコを吸いながら一人で
窓の外を見つめて立ち尽くしていたら -
1:04 - 1:07哲学者扱いとなります
-
1:07 - 1:08(笑)
-
1:08 - 1:14(拍手)
-
1:14 - 1:18なので 物事を見る枠組みを変えることの力は
-
1:18 - 1:22はかりしれません
-
1:22 - 1:25同じ物事や同じ活動をしても
-
1:25 - 1:27とても優れた気分になる人もいれば
-
1:27 - 1:31ほんの僅かな気の持ち方の違いだけで
-
1:31 - 1:33惨めな気分になる人もいるのです
-
1:33 - 1:36思うのですが
古典派経済学の問題の1つは -
1:36 - 1:39現実に起こることに
完全にとらわれてしまっていることです -
1:39 - 1:43現実に起こることは、
人間の幸福をそれほど的確に示すものではありません -
1:43 - 1:45例えば
-
1:45 - 1:48なぜ年金受給者は若年の失業者と比べて
-
1:48 - 1:51はるかに幸福感が高いのか?
-
1:51 - 1:54どちらも 結局は人生において
全く同じ段階にいるのです -
1:54 - 1:58どちらも ありあまる時間がある一方
お金はそれほどありません -
1:58 - 2:01しかし 年金受給者はとても幸福である一方
-
2:01 - 2:04失業者は凄まじく不幸で憂鬱であると報告されています
-
2:04 - 2:09私が思うに 年金受給者はそうなることを自ら選んだ一方
-
2:09 - 2:11若年の失業者は
-
2:11 - 2:14それを押し付けられたと感じているからでしょう
-
2:14 - 2:18英国のアッパーミドルクラスでは
この問題が完全に解決されました -
2:18 - 2:20失業を再定義したのです
-
2:20 - 2:23アッパーミドルの英国人ならば
-
2:23 - 2:26失業を"1年間のオフ"といえばいいのです
-
2:26 - 2:27(笑)
-
2:27 - 2:31マンチェスターで失業している息子がいると
-
2:31 - 2:33それはとても恥ずかしいことですが
-
2:33 - 2:36タイで失業している息子がいると
-
2:36 - 2:39何かを成し遂げたかのように見られるのです
-
2:39 - 2:40(笑)
-
2:40 - 2:43しかし 物事を再定義すること
-
2:43 - 2:48つまり 経験やコストや物事を
改めて理解することとなりますが -
2:48 - 2:51それらが実際にどのようなことであるかというより
-
2:51 - 2:53それらをどう見るかということになってきます
-
2:53 - 2:55このことは本当に
強調しきれないくらい重要なことです -
2:55 - 2:58ダニエル・ピンクが触れている実験ですが
-
2:58 - 3:002匹の犬をそれぞれ箱に入れて
-
3:00 - 3:05箱には電気床を仕掛けておきます
-
3:05 - 3:09時々床に電気ショックを流して
-
3:09 - 3:12犬に苦痛を与えます
-
3:12 - 3:17唯一の違いは 片方の犬には
箱の真ん中に小さなボタンがあることです -
3:17 - 3:20そのボタンを鼻で押すと電気ショックがとまります
-
3:20 - 3:23もう片方の犬にはそのようなボタンはありません
-
3:23 - 3:28この犬は初めの犬と全く同じレベルの
苦痛にさらされるのですが -
3:28 - 3:30状況をコントロールできません
-
3:30 - 3:35大体において 初めの犬は落ち着いていられます。
-
3:35 - 3:382匹目の犬は完全な抑うつ状態に陥ります
-
3:38 - 3:43人生における境遇そのものは
人生に対する統制感と比べると -
3:43 - 3:48幸福に与える影響は小さいものです
-
3:48 - 3:50これはとても興味深い疑問です
-
3:50 - 3:54疑問というのは
西洋社会におけるすべての議論は -
3:54 - 3:56課税レベルに関することです
-
3:56 - 3:58しかし もう一つ議論すべきことがあると思っていて
-
3:58 - 4:01それは徴収されたお金に対する
コントロールのレベルに関することです -
4:01 - 4:0610ポンド支払うことは
ある場面では忌々しいものですが -
4:06 - 4:12別の場面で10ポンド支払うことは
歓迎すべきことかもしれません -
4:12 - 4:162万ポンドの税金を健康のために使うとしたら
-
4:16 - 4:18単にカモにされていると感じるかもしれません
-
4:18 - 4:222万ポンドを病棟のために寄付するとしたら
-
4:22 - 4:24慈善家と呼ばれるでしょう
-
4:24 - 4:28税金を支払う意欲について話すという意味では
私は多分間違った国にいるのでしょう -
4:28 - 4:30(笑)
-
4:30 - 4:35なので 代わりに言いたいことは
物事をどのように見るかの枠組みが重要ということです -
4:35 - 4:37ギリシャを救済するというのか
-
4:37 - 4:41それともギリシャにお金を貸した
おバカな銀行を救済するというのか -
4:41 - 4:44どちらも同じことですから
-
4:44 - 4:46どのように呼ぶかによって
-
4:46 - 4:50心情的にも道徳的にも どう反応するかが違ってきます
-
4:50 - 4:53とても率直に言って
心理的な価値というのは非常に大きいと思います -
4:53 - 4:56私の良き友人でNick Chaterという教授がいて
-
4:56 - 4:59彼はロンドンで意思決定科学の教授をやっていますが
-
4:59 - 5:01人間の隠れた深みを見つめることばかりに
-
5:01 - 5:03時間を費やすのではなく
-
5:03 - 5:06隠れた浅みを探求することに
もっと時間を費やすべきと言っています -
5:06 - 5:08私も本当にそのとおりと思います
-
5:08 - 5:11どのような印象を持つかによって
-
5:11 - 5:13考え方や行動のあり方がとてつもなく違ってきます
-
5:13 - 5:17しかし 我々には人間心理についての
優れたモデルがありません -
5:17 - 5:19少なくともカーネマン以前の頃は
-
5:19 - 5:22人間心理についての優れたモデルはなく
-
5:22 - 5:27エンジニアリングや新古典派経済学のモデルと
並べられることもありませんでした -
5:27 - 5:31従って心理的な解決策を信じている人たちには
モデルがありませんでした -
5:31 - 5:33枠組みがなかったのです
-
5:33 - 5:36これはWarren Buffettのビジネスパートナーである
Charlie Mungerがいうところの -
5:36 - 5:38"アイデアをつるしておく格子"にあたるものです
-
5:38 - 5:42技術者 経済学者 特に古典派の経済学者には
-
5:42 - 5:45とても強固な格子が既に存在していて
-
5:45 - 5:48実質的にありとあらゆるアイデアをつるしておけたのです
-
5:48 - 5:51全体的なモデルがなければ 個別の洞察を
-
5:51 - 5:54ランダムに寄せ集めるに過ぎなくなります
-
5:54 - 5:58そうすると 何か解決策を探そうとしたときに
-
5:58 - 6:00エンジニアリング的な解決策や
ニュートン的な解決策ばかりが -
6:00 - 6:05過度に重要視され
-
6:05 - 6:07心理的な解決策はあまり重要視されなくなります
-
6:07 - 6:09ユーロスターの例を挙げましょう
-
6:09 - 6:12パリ・ロンドン間の走行時間を40分縮めるために
-
6:12 - 6:16600万ポンドが使われました
-
6:16 - 6:20その0.01%もあれば
電車内でWiFiが使えるようになって -
6:20 - 6:23走行時間を縮めることはないにしても
-
6:23 - 6:27乗っていることの楽しさや利便性がぐっと高まるでしょう
-
6:27 - 6:29そして おそらくその10%もあれば
-
6:29 - 6:32世界でトップクラスの男女スーパーモデルを全員集めて
-
6:32 - 6:38すべての乗客にChateau Petrusを
タダで配って歩いてもらうこともできるでしょう -
6:38 - 6:41それでもまだ500万ポンド残っているし
-
6:41 - 6:44乗客だって電車を遅らせてくれと言うでしょう
-
6:44 - 6:46(笑)
-
6:46 - 6:49なぜ問題を心理的に
-
6:49 - 6:51解決する機会がないのでしょう
-
6:51 - 6:54それは 創造的で感情から引き起こされる
心理的なアイデアを扱う方法と -
6:54 - 6:59理性的かつ定量的に表に基づいて
アイデアを扱う方法との間で -
6:59 - 7:04バランスが取れていなくて
非対称になっているからでしょう -
7:04 - 7:07もし創造的な人がいて
それも正しい意味で創造的だとすると -
7:07 - 7:09自分よりもはるかに合理的な考え方をする人たちから
-
7:09 - 7:11承認を取りつけるべく
アイデアを説明しなければなりません -
7:11 - 7:15そこで 費用対効果分析 実現性検証 ROI分析などを
-
7:15 - 7:18繰り返さなければなりません
-
7:18 - 7:20それはそれで正しいのでしょう
-
7:20 - 7:22しかし こればかり使い回すものでもありません
-
7:22 - 7:25既存の経済学やエンジニアリングの
-
7:25 - 7:28枠組みを持つ人たちからすると
-
7:28 - 7:31ロジックそれ自体が答えと感じているところがあります
-
7:31 - 7:34彼らはこんなことは言いません
"数字をすべて積み上げたけど -
7:34 - 7:37このアイデアを発表する前に
クレージーな人たち何人かにあたってみて -
7:37 - 7:40もっと良くなる方法がないか聞いてみよう"
-
7:40 - 7:43そして 私の言うところの機械的なアイデアを
-
7:43 - 7:47心理的なアイデアに対して
不自然にも優先させてしまうのです -
7:47 - 7:49心理的なアイデアで素晴らしい例があります
-
7:49 - 7:54ロンドン地下鉄で1ポンドあたりの
乗客満足度をただ1つ向上させたのは -
7:54 - 7:59電車の本数を追加することでも
運行頻度を変えることでもなく -
7:59 - 8:03ドットマトリクス掲示板をホームに置くことでした
-
8:03 - 8:05なぜならば 待つことの性質というのは
-
8:05 - 8:09数字上の属性 つまり長さによって決まるだけではなく
-
8:09 - 8:11待っている間に経験する不確実性の
度合いにもよっても決まってくるからです -
8:11 - 8:15時計を見てカウントダウンしながら7分間待つ方が
-
8:15 - 8:17指をかんで
-
8:17 - 8:19"一体いつになったら電車は来るんだ"と言いながら
-
8:19 - 8:224分間待つよりも
気をくじかれたり苛立ったりしないものです -
8:22 - 8:26ここで韓国での素晴らしい
心理的な解決策を紹介します -
8:26 - 8:29赤信号でカウントダウンを行っているのです
-
8:29 - 8:32それによって事故率が削減されることが
実証されています -
8:32 - 8:35なぜでしょうか? 待ち時間を見ていると
-
8:35 - 8:40ロード・レージや焦燥感や苛立ちが激減するからです
-
8:40 - 8:43中国では このことの裏側にある
法則を理解していないがために -
8:43 - 8:46同じ法則を青信号に適用しました
-
8:46 - 8:49(笑)
-
8:49 - 8:52これはあまり良いアイデアではありませんね
-
8:52 - 8:56信号まで200メートルで 残り5秒と分かったら
一気にアクセルをかけるでしょう -
8:56 - 8:58(笑)
-
8:58 - 9:01韓国では両方ともきちんと検証しました
-
9:01 - 9:04そうして 赤信号に適用すると事故率が下がり
-
9:04 - 9:07青信号に適用すると上がることが分かりました
-
9:07 - 9:10これは人間の意思決定に必要なことのすべてで
-
9:10 - 9:12これら3つのことを考慮しなければなりません
-
9:12 - 9:15どれか1つが他に対して完全に優位になるべきと
言っているのではありません -
9:15 - 9:18問題を解決しようとするときには
-
9:18 - 9:20これら3つのことを均等に見た上で
-
9:20 - 9:22真ん中のスイートスポットにあたる解決策を
-
9:22 - 9:25探すべきということです
-
9:25 - 9:27優れた企業を見てみると
-
9:27 - 9:31常にこれら3つがうまく機能しています
-
9:31 - 9:33とても成功した企業であるGoogleは
-
9:33 - 9:36技術的に素晴らしい成功を収めていますが
-
9:36 - 9:39それはとても優れた心理的な洞察に基づいています
-
9:39 - 9:43一般的に1つのことに取り組む者の方が
-
9:43 - 9:47他のことも同時に取り組む者より
優れていると見られます -
9:47 - 9:50これは目的の希薄化といってごく自然なことです
-
9:50 - 9:52Ayelet Fishbachがこのことについて論文を書いています
-
9:52 - 9:54Googleの時代には誰もが
-
9:54 - 9:56ポータルになろうとしていました
-
9:56 - 9:57そう 検索機能がありますが
-
9:57 - 10:01他にも天気、スポーツ、ニュースもあります
-
10:01 - 10:03Googleには分かっていました
検索エンジンだけをやるならば -
10:03 - 10:07きわめて優れた検索エンジンであることを
期待されることを -
10:07 - 10:08皆さん このことはお分かりでしょう
-
10:08 - 10:10テレビを買いに行くときの経験から
-
10:10 - 10:14薄型テレビの列の奥のほうには
-
10:14 - 10:19DVD内蔵テレビという評判の良くないものがあります
-
10:19 - 10:22その品質については何の知識もなくても
-
10:22 - 10:26DVD内蔵テレビを見てこう思うのです
-
10:26 - 10:30"ああ ゴミみたいなテレビに
ガラクタのようなDVDがついたようなものだろうな" -
10:30 - 10:33そうして テレビとDVDを別々に買って店を出るのです
-
10:33 - 10:38Googleは技術的に成功したのと同様に
心理的にも成功しています -
10:38 - 10:41問題とは一切思っていなかったことを
解決する場合にも -
10:41 - 10:44心理学を使うことができます
-
10:44 - 10:47これは抗生物質をきちんと全部服用させるための提案です
-
10:47 - 10:4924錠の白い錠剤を飲ませるのではありません
-
10:49 - 10:5218錠の白い錠剤と6錠の青い錠剤を処方して
-
10:52 - 10:56まずは白い錠剤を飲み
その後で青い錠剤を飲むように言います -
10:56 - 10:58これはチャンキングというやり方です
-
10:58 - 11:01最後まで飲みきる可能性は
-
11:01 - 11:03途中に節目がある方がはるかに高くなります
-
11:03 - 11:06経済学の大きな過ちの一つは
-
11:06 - 11:09それが退職であれ失業であれ費用であれ
-
11:09 - 11:13量的な意味で捉えるばかりで
-
11:13 - 11:17質的な意味では捉えていないということです
-
11:17 - 11:20これは英国の高速料金所です
-
11:20 - 11:24とても頻繁に行列が発生します
-
11:24 - 11:26とてもひどい行列になることもあります
-
11:26 - 11:28例えば空港のセキュリティレーンでも
-
11:28 - 11:30同じことが当てはまります
-
11:30 - 11:33ここで2倍の料金を払って高速レーンを
-
11:33 - 11:36通ることができるようにしたらどうなるでしょう?
-
11:36 - 11:40おかしなことではありません 経済的にも優れています
-
11:40 - 11:42時間はある人にとっては別の人よりも重要なものですから
-
11:42 - 11:44就職の面接に行こうとしているならば
-
11:44 - 11:48高速レーンを通るために数ポンドを我慢して支払うでしょう
-
11:48 - 11:51義理の母に会いに行こうとしているならば
-
11:51 - 11:55多分左側にとどまることを選ぶでしょう
-
11:55 - 12:00ただ1つの問題は
このような経済的に優れた解決策をとろうとすると -
12:00 - 12:01嫌がられるということです
-
12:01 - 12:04意図的に遅れを作りだすことで
-
12:04 - 12:06売上を最大化していると思われてしまい
-
12:06 - 12:10"一体何でお前のバカさ加減に
お金を払わなければならないんだ?"となるのです -
12:10 - 12:12その一方で この見方をほんの少し変えて
-
12:12 - 12:14慈善事業の寄付金を管理するようにして
-
12:14 - 12:20余計にもらった分のお金は高速料金所の
会社に回すのではなく慈善事業に回すようにすれば -
12:20 - 12:23支払おうとする意思も全く違ったものとなるでしょう
-
12:23 - 12:26経済的にそこそこ優れた解決策があり
-
12:26 - 12:29それに対して周りのみんなから承認を受けて
-
12:29 - 12:31さらには若干の好意までも受けて
-
12:31 - 12:34嫌なやつにならずに済むのです
-
12:34 - 12:37経済学者が本質的な間違いを犯すのは
-
12:37 - 12:39お金はお金だと考えてしまうことです
-
12:39 - 12:445ポンド支払うことの痛みは
-
12:44 - 12:47単に金額に比例するだけでなく
-
12:47 - 12:49そのお金がどう使われるかによっても違ってきます
-
12:49 - 12:52これを理解することで
租税政策に革命をもたらす可能性があると思っています -
12:52 - 12:54公共サービスにも革命をもたらす可能性もあります
-
12:54 - 12:57物事を劇的に変えうるのです
-
12:57 - 12:59ここで紹介したい人がいます
-
12:59 - 13:01彼はオーストリア学派の経済学者です
-
13:01 - 13:0620世紀前半のウィーンで活躍していました
-
13:06 - 13:08オーストリア学派の面白いところは
-
13:08 - 13:11フロイトとともに成長してきたことです
-
13:11 - 13:14彼らは心理学に多大な関心を持っていました
-
13:14 - 13:19彼らには行動科学と呼ばれる学科があり
-
13:19 - 13:21それが経済学に先立つと考えていました
-
13:21 - 13:26行動科学は選択や行動や意思決定に関する学問です
-
13:26 - 13:27私も彼らは正しいと思います
-
13:27 - 13:29現代社会で危険なことは
-
13:29 - 13:31経済学を学ぶことが
-
13:31 - 13:36人間の心理を学ぶことより先になってしまっていることです
-
13:36 - 13:39Charlie Mungerが言うように
"経済学が人間の行動に関するものでないとしたら -
13:39 - 13:41一体何だというのでしょう"
-
13:41 - 13:47興味深いことに Von Misesは
経済学は心理学の一部であるとしています -
13:47 - 13:49彼は経済学を
-
13:49 - 13:53"希少性という条件下での人間の行動科学"としていました
-
13:53 - 13:56Von Misesはとりわけ
-
13:56 - 14:02見事な説得力でもってアナロジーを使って
-
14:02 - 14:05マーケティングによる価値や感覚的な価値に触れ
-
14:05 - 14:09それらを他の種類の価値と同等にに扱うべきと
-
14:09 - 14:11説明していました
-
14:11 - 14:13私たちはみんな
マーケティングの世界で働く人たちでさえも -
14:13 - 14:15価値を2つの方法で考えてしまいます
-
14:15 - 14:161つは現実的な価値で
-
14:16 - 14:18工場で何かを作ってサービスを提供するようなことです
-
14:18 - 14:20もう1つはいかがわしい価値で
-
14:20 - 14:22物事の見方を変えることで創り上げるものです
-
14:22 - 14:25Von Misesはこの区別を完全に否定しています
-
14:25 - 14:27そして彼は次のようなアナロジーを使いました
-
14:27 - 14:32彼はフランスの重農主義者と呼ばれる
おかしな経済学者の話をしました -
14:32 - 14:36その経済学者は真の価値は土地からのみ
生まれると考えていました -
14:36 - 14:39なので 羊飼いや石切工や農民であれば
-
14:39 - 14:41真の価値を創り上げていることになります
-
14:41 - 14:43しかし 羊飼いから羊毛を買いとって
-
14:43 - 14:46帽子に加工して付加価値をつけるというのは
-
14:46 - 14:49真の価値を創り上げているのではなく
-
14:49 - 14:51羊を利用しているだけということになります
-
14:51 - 14:55ここでVon Misesは 現代の経済学者は
広告やマーケティングで -
14:55 - 14:57全く同じ間違いを犯していると指摘しました
-
14:57 - 14:59レストランを経営しているならば
-
14:59 - 15:01調理をすることによる価値と
-
15:01 - 15:04床を掃除することによる価値との間で
-
15:04 - 15:06健全な線引きなどできないでしょう
-
15:06 - 15:09片方はお金を払う直接の対象である
-
15:09 - 15:11主要な商品を作っています
-
15:11 - 15:12もう片方はその商品を楽しみ
-
15:12 - 15:16評価するための雰囲気を作っています
-
15:16 - 15:19そこで 片方をもう片方に対して優先すべきという考え方は
-
15:19 - 15:21根本的に間違っています
-
15:21 - 15:22簡単な思考実験をやってみましょう
-
15:22 - 15:25あるレストランで
ミシュランの星付きの料理を提供しているが -
15:25 - 15:27下水の臭いが充満していて
-
15:27 - 15:31人間の排泄物が落ちているとしましょう
-
15:31 - 15:34そこで価値を高めるためにまずやるべきことは
-
15:34 - 15:37料理の質をさらに高めることではなく
-
15:37 - 15:41臭いを取り除き床を掃除することでしょう
-
15:41 - 15:44このことを理解することは決定的に重要です
-
15:44 - 15:46それが奇妙でピンとこないようであれば
-
15:46 - 15:51英国ではファーストクラスの郵便が98%の割合で
-
15:51 - 15:53翌日に届くことを考えてみましょう
-
15:53 - 15:55英国の郵便局はそれでは不十分と思っていて
-
15:55 - 15:5799%に高めようとしています
-
15:57 - 16:02そうしようとすることで組織が壊れかかりました
-
16:02 - 16:05それならば通りがかりの人にでも聞いてみましょう
-
16:05 - 16:08"ファーストクラスの郵便の何%が
翌日に届くと思いますか?" -
16:08 - 16:13平均的な回答や最も多い回答は
50-60%でしょう -
16:13 - 16:15現実よりもずっと悪く認識されているというのなら
-
16:15 - 16:19その現実を変えるために一体何をするというのでしょう?
-
16:19 - 16:23それこそ 悪臭漂うレストランで
料理を改善するようなものです -
16:23 - 16:25やらなければならないのは
-
16:25 - 16:27何よりもファーストクラスの郵便の
-
16:27 - 16:3198%は翌日に届くということを言って回ることです
-
16:31 - 16:33これはとても意味のあることです
-
16:33 - 16:35英国にはとても良い枠組みがあって
-
16:35 - 16:37ドイツよりも英国のほうが
-
16:37 - 16:39ファーストクラスの郵便が翌日に到着することが多いと
-
16:39 - 16:41言って回ることです
-
16:41 - 16:43英国では何かでハッピーになりたかったら
-
16:43 - 16:46ドイツよりも優れていると言えばいいのですから
-
16:46 - 16:47(笑)
-
16:47 - 16:50(拍手)
-
16:50 - 16:54物事を見る枠組みを選べば
-
16:54 - 16:57感知される価値 即ち実際の価値も完全に変わります
-
16:57 - 16:59ドイツについて言うならば
-
16:59 - 17:01ドイツとフランスは欧州統合の取り組みで
-
17:01 - 17:03素晴らしい仕事をしています
-
17:03 - 17:06ドイツとフランスが予期していないことが1つあって
-
17:06 - 17:08それはフランスとドイツとの間で
緩やに憎みあいつつ統合を進めていることです -
17:08 - 17:11そうはいっても私は英国人ですし
そんなやり方を好ましく思っています -
17:11 - 17:17他にも知っておくべきなのは
私たちの感覚は完璧ではないということです -
17:17 - 17:19料理とそれを堪能する雰囲気の質的な違いを
-
17:19 - 17:22はっきりと言い当てることはできません
-
17:22 - 17:23このことは車を洗車してもらったことがあれば
-
17:23 - 17:26分かる現象でしょう
-
17:26 - 17:29いつもよりうまく運転しているように感じられます
-
17:29 - 17:32その理由というのも
-
17:32 - 17:34洗車のときに自分の知らないところで
-
17:34 - 17:38オイル交換をされているのでない限り
-
17:38 - 17:40私たちの感覚が完璧ではないからです
-
17:40 - 17:44ブランド力のある鎮痛剤は
ブランド力のない鎮痛剤と比べると -
17:44 - 17:46ずっとよく効きます
-
17:46 - 17:49それは痛みが軽くなったと報告されたというのではなく
-
17:49 - 17:51実際に痛みを計測して軽くなっているのです
-
17:51 - 17:55このように感覚というのは
どのような場面においても完璧ではありません -
17:55 - 17:59なので ある側面で悪いと思われるようなことをすると
-
17:59 - 18:00他の人を害することになるのです
-
18:00 - 18:02ありがとうございました
-
18:02 - 18:04(拍手)
- Title:
- ロリー・サザーランド: 物事をどのように見るかがすべて
- Speaker:
- Rory Sutherland
- Description:
-
私たちの人生は、直面していることそのものよりも、それをどのように見るかによって大きな影響を受ける、とロリー・サザーランドは言います。TEDxAthensで、彼は物事を見る枠組みを変えることがどのように幸福の鍵となっているのかを見事に例証します。
- Video Language:
- English
- Team:
- closed TED
- Project:
- TEDTalks
- Duration:
- 18:24
Dimitra Papageorgiou approved Japanese subtitles for Perspective is everything | ||
Ryuichi Takano accepted Japanese subtitles for Perspective is everything | ||
Shinji Nakagawa edited Japanese subtitles for Perspective is everything | ||
Shinji Nakagawa edited Japanese subtitles for Perspective is everything | ||
Shinji Nakagawa edited Japanese subtitles for Perspective is everything | ||
Shinji Nakagawa edited Japanese subtitles for Perspective is everything | ||
Shinji Nakagawa edited Japanese subtitles for Perspective is everything | ||
Shinji Nakagawa edited Japanese subtitles for Perspective is everything |