私たちが何者で、何のために戦うかを表現するために、ファッションがどう役立つか
-
0:01 - 0:0410歳頃だったある日
-
0:04 - 0:06父の古物が入った箱を見つけました
-
0:07 - 0:10その中にあった
たくさんの大学時代の教科書の下に -
0:10 - 0:14黒のコーデュロイのベルボトムパンツが
1着ありました -
0:15 - 0:17このパンツは酷い状態でした
-
0:17 - 0:19かびくさくて虫食いだらけでした
-
0:19 - 0:21もちろん そのパンツに惚れました
-
0:22 - 0:23そんなもの見たのは初めてでした
-
0:24 - 0:26その日までずっと
-
0:26 - 0:30私が知っていて 着ていたのは
学校の制服だけでしたが -
0:30 - 0:33実際 とてもありがたかったんです
-
0:33 - 0:36とても小さい頃から
-
0:36 - 0:38自分は少し変わっていると
気づいていたからです -
0:39 - 0:41私は同い年の男の子たちとは
似ても似つかなく -
0:41 - 0:43運動音痴で
-
0:43 - 0:45多分 最も男らしくない
男の子でした -
0:45 - 0:47(笑)
-
0:47 - 0:48相当いじめられました
-
0:49 - 0:54そこで 生き残るために
透明人間になろうと思い -
0:54 - 0:56制服は他の子供と
-
0:57 - 0:59変わらないように見せるのに
役立ちました -
0:59 - 1:00(笑)
-
1:00 - 1:02まあ かろうじてですがね
-
1:04 - 1:06私の日々の祈りがこれでした―
-
1:06 - 1:10「神様 他の皆と
同じようにしてください」 -
1:11 - 1:14でも このお願いは
留守電に直行していたのでしょう -
1:14 - 1:15(笑)
-
1:15 - 1:18やがて とてもはっきりしたのは
-
1:18 - 1:22自分は 私の父が兼ねてから望んだような
息子にはならないだろうということでした -
1:22 - 1:23ごめんね お父さん
-
1:26 - 1:28ええ 魔法のように変わる兆しも
ありませんでした -
1:28 - 1:34そして時間と共に 実際に変わりたいのか
どんどん分からなくなっていきました -
1:35 - 1:39だから あの黒のコーデュロイの
ベルボトムパンツに出会った日 -
1:39 - 1:41何かが起きました
-
1:41 - 1:43私が見たのはパンツではなく
-
1:43 - 1:45好機でした
-
1:45 - 1:48まさにその次の日
学校に それを着ていく必要がありました -
1:48 - 1:49何があってもです
-
1:50 - 1:53そしてこのダサすぎるパンツを着て
ベルトをきつく締めるやいなや -
1:54 - 1:58私の歩き方が変わり それは
ふんぞり歩きとしか言えないものでした -
1:58 - 2:00(笑)
-
2:00 - 2:02学校までの道も
-
2:02 - 2:05帰り道でもずっとです
すぐに帰宅させられましたからね -
2:05 - 2:06(笑)
-
2:06 - 2:10褐色の小さなロックスターに
変身したのです -
2:10 - 2:12(笑)
-
2:12 - 2:15自分が適合できないことを
ついに 気にしなくなりました -
2:15 - 2:18喜ばしいことだと その日
急に感じるようになったのです -
2:19 - 2:21その日は 透明人間になるのではなく
-
2:21 - 2:23ただ何か変わったものを着ることで
-
2:24 - 2:26他人に見られることを選びました
-
2:27 - 2:31その日私は 着るものの力を
発見したのでした -
2:32 - 2:34その日 ファッションの力を発見し
-
2:35 - 2:37それ以来ずっと 虜です
-
2:38 - 2:42ファッションは私たちそれぞれの違いを
世界に伝えてくれます -
2:43 - 2:45真実に向き合うという
この単純な行為により -
2:45 - 2:48私が気付いたのは
違いのどれもが 自分にとって -
2:48 - 2:50恥ではなくなったということです
-
2:50 - 2:53違いは私たちの表現なのだと悟りました
-
2:53 - 2:56私たちの非常に特徴ある
アイデンティティーの表現です -
2:58 - 3:00私たちは自分自身を表現すべきです
-
3:00 - 3:02着たいものを着ましょう
-
3:02 - 3:04最悪 何が起こり得ると
いうのでしょうか? -
3:04 - 3:09ファッション・ポリスに
流行遅れを理由に逮捕されるとか? -
3:09 - 3:11(笑)
-
3:13 - 3:14ですよね
-
3:14 - 3:20「ファッション・ポリス」の意味が
全く異なる場合であれば話は別です -
3:22 - 3:26ノーベル賞受賞者のマララは
2012年の10月 タリバン過激派攻撃の -
3:26 - 3:28難を逃れました
-
3:28 - 3:33しかし 2017年の10月
違う敵に直面しました -
3:34 - 3:38インターネットの「荒らし」が
その日ジーンズを着ていた― -
3:38 - 3:4120歳の彼女が写った写真に対し
意地の悪い中傷を書き込んだのです -
3:42 - 3:43彼女が受けた
コメントや悪意は -
3:43 - 3:45彼女が受けた
コメントや悪意は -
3:45 - 3:48「そのスカーフをやめるのも
時間の問題だな」から -
3:49 - 3:50引用すると
-
3:51 - 3:54「それが ずっと前に頭を
狙われた理由だ」にまで -
3:54 - 3:55及びました
-
3:56 - 3:59今や 私たちの大半が
ジーンズ着用を選んでいます -
3:59 - 4:03ニューヨークやロンドン、ミラノ
パリのような場所でです -
4:04 - 4:08多分 それが特権だと
改めて考えはしないでしょう -
4:09 - 4:12どこか別の場所では
不都合を起こすかもしれないものや -
4:13 - 4:17ある日 私たちから取り上げられる
ようなものとしては考えないのです -
4:18 - 4:22私の祖母は着飾るのに
特別な喜びを感じるような -
4:22 - 4:23女性でした
-
4:23 - 4:25祖母のファッションはカラフルでした
-
4:25 - 4:28そして身に付けるのが大好きだった色は
-
4:28 - 4:31おそらく祖母についての
唯一の真実を表すもので -
4:31 - 4:33祖母自身が権限を持つ唯一のものでした
-
4:33 - 4:36同世代のその他ほとんどの
インド女性がそうであったように -
4:36 - 4:39慣習や伝統で決められたものを超えて
-
4:39 - 4:42存在することは
許されていなかったからです -
4:42 - 4:44祖母は17歳で結婚し
-
4:45 - 4:5065年にわたる結婚生活の後
ある日突然祖父が他界し -
4:51 - 4:53それは耐え難い喪失でした
-
4:55 - 4:59でもその日 祖母はまた別の何かも
失うことになりました -
4:59 - 5:01ただ1つの喜びである―
-
5:01 - 5:03色を身に付けることです
-
5:04 - 5:06インドでは慣例に従って
-
5:06 - 5:08ヒンドゥー教の女性が
未亡人になった時 -
5:08 - 5:10夫が亡くなった日から
-
5:10 - 5:13白以外の色を着ることは許されません
-
5:13 - 5:16誰も祖母に 白を着るよう
強いた訳ではありません -
5:16 - 5:20それでも 祖母が知る
夫より長生きした全ての女性が -
5:20 - 5:22祖母の母を含めて
-
5:22 - 5:23慣例に従っていました
-
5:23 - 5:28この抑圧は内在化しており
-
5:28 - 5:29とても根深いので
-
5:29 - 5:32祖母自身が選択を拒否しました
-
5:35 - 5:37祖母は今年亡くなり
-
5:37 - 5:38亡くなるその日まで
-
5:38 - 5:40白だけを着続けました
-
5:44 - 5:48昔の幸せな時期に撮った
祖母との写真があります -
5:48 - 5:51祖母が何を着ているか 見ても
よく分からないと思います -
5:51 - 5:53白黒写真ですからね
-
5:54 - 5:57でも その中で
微笑んでいる祖母を見れば -
5:57 - 5:59とにかく 色を身に付けていると
分かります -
6:00 - 6:03これもファッションにできることです
-
6:03 - 6:05私たちを喜びで満たす力があります
-
6:06 - 6:11どのような姿で
どのように生きたいかを -
6:11 - 6:13自分で選ぶ自由という喜びで
-
6:13 - 6:16そのために戦う価値のある自由です
-
6:17 - 6:21そして自由のための戦いや
抗議活動は さまざまな形で現れます -
6:22 - 6:25祖母のような
何千人ものインドの未亡人が住む -
6:25 - 6:27ヴリンダーヴァンという都市があります
-
6:28 - 6:31それゆえ 何世紀もの間
多くの白であふれていました -
6:33 - 6:36しかし つい最近の2013年になって
-
6:36 - 6:39ヴリンダーヴァンの未亡人たちは
ホーリー祭という― -
6:40 - 6:42インドで行われる
色の祭典を祝い始めました -
6:43 - 6:45未亡人の参加は禁止されています
-
6:47 - 6:483月のこの日
-
6:48 - 6:52彼女たちは祭りで使われる
伝統的な色粉で -
6:53 - 6:54互いに色を付け合います
-
6:55 - 6:59手一杯のあらゆる色粉が
空中へ投げられ -
6:59 - 7:03白いサリーがゆっくりと
色で覆われ始めます -
7:04 - 7:08自分には禁止されている
虹のような様々な色で -
7:08 - 7:12全身が覆われるまで止めません
-
7:13 - 7:15次の日にはその色は落ちてしまいます
-
7:15 - 7:18でも その瞬間は彼女たちの
-
7:18 - 7:21美しき「中断」です
-
7:23 - 7:24この「中断」や
-
7:25 - 7:27いかなる不協和もが
-
7:27 - 7:31抑圧に対する
私たちの最初の抵抗となり得ます -
7:32 - 7:33そしてファッションは
-
7:34 - 7:36まさに 私たちが体にまとう
視覚的「中断」にも -
7:37 - 7:39なり得るのです
-
7:40 - 7:43抵抗の教訓を
いつも教えてきたのは -
7:43 - 7:45ファッションの偉大な革命家である—
-
7:45 - 7:46デザイナーたちです
-
7:47 - 7:52ジャン=ポール・ゴルチエは
女性は王になれると教えてくれました -
7:53 - 7:54トム・ブラウンは
-
7:54 - 7:57男性もヒールをはけると
教えてくれました -
7:58 - 8:03そしてアレキサンダー・マックイーンの
1999年春のショーで -
8:03 - 8:06ランウェイの中央に
巨大なロボティックアームが2本置かれ -
8:07 - 8:12モデルのシャローム・ハーロウが
この巨大な2本のアームの間で -
8:12 - 8:14くるくる回り始めると
-
8:14 - 8:17最初は密かに そして次第に激しく
-
8:17 - 8:19アームがスプレーを
吹きかけ始めました -
8:19 - 8:21マックイーンはこのように
-
8:22 - 8:23自ら命を絶つ前
-
8:23 - 8:27私たちのこの体は
1つのキャンバスであり -
8:28 - 8:32私たちがやりたいように
絵を描けると教えてくれました -
8:33 - 8:36このファッションの世界を愛したのが
-
8:36 - 8:37カラール・ヌシです
-
8:37 - 8:40イラク出身の学生
そして俳優でした -
8:40 - 8:43鮮やかで折衷的な服を愛しました
-
8:43 - 8:48しかし その外見が原因で 間もなく
殺害の脅しを受けるようになりました -
8:49 - 8:50彼は動じず
-
8:51 - 8:53素敵な彼のままでした
-
8:53 - 8:55しかし2017年の7月に
-
8:55 - 8:59カラールはバグダッドの繁華街で
遺体となって見つかりました -
9:02 - 9:03誘拐され
-
9:04 - 9:06拷問を受け
-
9:07 - 9:11目撃者によると遺体には
いくつも傷がありました -
9:12 - 9:13刺し傷です
-
9:16 - 9:18約3200km離れたペシャワールでは
-
9:18 - 9:25パキスタン人のトランスジェンダー活動家
アリーシャが2016年5月に複数回撃たれ -
9:25 - 9:27病院へ搬送されましたが
-
9:27 - 9:30女性の服を着ていたため
-
9:30 - 9:34男性と女性病棟のどちらへの収容も
拒否されました -
9:36 - 9:40私たちが選んで着るものは
時に生死に関わります -
9:42 - 9:45時には 死においてさえ
性別を選択できません -
9:45 - 9:47アリーシャはその日に亡くなり
-
9:47 - 9:491人の男性として埋葬されました
-
9:51 - 9:52なんて世界なのでしょうか?
-
9:53 - 9:57この世界では
このように監視される状況や -
9:58 - 10:00私たちの体や着るものに対する暴力を
-
10:00 - 10:04恐れるのは当然のことです
-
10:05 - 10:10しかし もっと大きな恐怖とは
私たちがひとたび降伏し -
10:10 - 10:11周りに溶け込み
-
10:11 - 10:13次々と 見えない存在になり
-
10:14 - 10:17この偽の協調性が
より正常に見えるほど -
10:18 - 10:20この抑圧を衝撃的だと
感じなくなります -
10:22 - 10:24私たちが育てる子供たちにとって
-
10:25 - 10:29今日の不公平さが
明日には普通になるかもしれません -
10:31 - 10:32現状に慣れていき
-
10:33 - 10:37彼らもまた 異なるものは何でも
こう見なし始めるかもしれません -
10:38 - 10:40汚れた 憎まれるべきもので
-
10:41 - 10:42消されるべきものだ
-
10:44 - 10:45灯りを消すように
-
10:45 - 10:461つ1つ
-
10:46 - 10:48闇が生き方となるまでずっとです
-
10:51 - 10:53しかし もし私が今日
-
10:53 - 10:54そして あなたが明日
-
10:54 - 10:56もしかしたら
より多くの人がいつの日か -
10:56 - 10:59自分らしさを見せるという
権利を喜んで受け入れれば -
10:59 - 11:02乱暴に白塗りでごまかされた世界で
-
11:02 - 11:05私たちはその中に刺し込まれる
「色の針」となります -
11:05 - 11:07ヴリンダーヴァンの
未亡人のようにです -
11:09 - 11:13私たちのような人が
たくさんいたとしたら -
11:13 - 11:15銃は狙いを付けられるでしょうか?
-
11:15 - 11:17カラールや
-
11:17 - 11:19マララや
-
11:19 - 11:20アリーシャに?
-
11:22 - 11:24私たち全員を
殺せるのでしょうか? -
11:27 - 11:28今こそ立ち上がり
-
11:29 - 11:31人目を引く時です
-
11:31 - 11:34同一性とは安全性を意味する世界で
-
11:34 - 11:36衣服のように
シンプルなものを使い -
11:36 - 11:39あらゆる人の目を自分に向けさせ
-
11:39 - 11:43この世界には違いがあり
それはこれからも変わらないと主張するのです -
11:44 - 11:46それに慣れてください
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11:47 - 11:49この主張に言葉は必要ありません
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11:50 - 11:53ファッションは 異議を唱えるための
言葉を与えてくれます -
11:54 - 11:55勇気を与えてくれます
-
11:56 - 12:00文字通り私たちの袖に
勇気を着させてくれます -
12:02 - 12:03であれば 着ましょう
-
12:04 - 12:06鎧のように着てください
-
12:07 - 12:08それが大事だからです
-
12:09 - 12:11そして あなたが大事だからです
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12:12 - 12:13ありがとうございました
-
12:13 - 12:16(拍手)
- Title:
- 私たちが何者で、何のために戦うかを表現するために、ファッションがどう役立つか
- Speaker:
- カウスタヴ・デイ
- Description:
-
ニューヨークでジーンズを履いた女性を見ても誰も何とも思いません。でもノーベル賞受賞者のマララが履けば、政治性をはらむ行為となります。世界中で、個性は犯罪となる可能性があり、そして衣服は抗議の一形態となり得ます。私たちが着るものの持つ力をテーマとするこのトークの中で、カウスタヴ・デイは、ファッションがいかに、言葉を使わずに異議を唱える言語となり、本当の自分を受け入れることを奨励するか考察します。
- Video Language:
- English
- Team:
- closed TED
- Project:
- TEDTalks
- Duration:
- 12:33
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