ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』を読むべき理由 / ジル・ダッシュ
-
0:07 - 0:10ウィリアム・ゴールディングは
人間性への信頼を失いつつありました -
0:10 - 0:14第二次世界大戦で
英国の駆逐艦に乗務した -
0:14 - 0:17元哲学教師の海軍大尉は
-
0:17 - 0:21人間の残虐性を
絶えず目にすることになりました -
0:21 - 0:23国に戻っても
-
0:23 - 0:28冷戦下の超大国が
核兵器で殲滅すると互いに脅し合っており -
0:28 - 0:32人間の本質とは何なのか
考えさせられました -
0:32 - 0:35その暴力の不可避性への考察が
-
0:35 - 0:40処女作にして最も有名な作品
『蠅の王』として結実しました -
0:40 - 0:43この小説は21社から断られた後
-
0:43 - 0:471954年に出版されました
-
0:47 - 0:52題名は 傲慢と戦争に結び付けられている悪魔
ベルゼブブから取られていますが -
0:52 - 0:56この2つは物語の
核心をなしています -
0:56 - 1:00この小説は 難破して未開の孤島に
流れ着いた少年たちの冒険を描く -
1:00 - 1:05人気ジャンルへの
暗いパロディになっています -
1:05 - 1:09そういう物語では 主人公たちが
新たな環境で持ち上がるー -
1:09 - 1:12様々な危難を乗り越えながら
自然を征服していきます -
1:12 - 1:14このジャンルはまた
-
1:14 - 1:18当時の英国作品によくある
植民地主義的な見方を良しとし -
1:18 - 1:21少年たちが島の原住民に
-
1:21 - 1:24“より優れた” 英国的価値を
教えたりします -
1:24 - 1:27ゴールディングの皮肉は痛烈で
-
1:27 - 1:33最も人気があった漂流冒険物である
バランタインの『さんご島の三少年』から -
1:33 - 1:37設定や人物名を
借りることまでしています -
1:37 - 1:39バランタインの本が読者に
-
1:39 - 1:43「喜びと学びと限りない楽しみ」を
約束しているのに対し -
1:43 - 1:46ゴールディングの本にあるのは
暗さです -
1:46 - 1:50『蠅の王』では少年たちが
既に島にいるところから始まりますが -
1:50 - 1:53会話の端々から
恐ろしい旅の様子がうかがえ -
1:53 - 1:58彼らの飛行機は核戦争のさなかに
撃墜されています -
1:58 - 2:03少年たちは 6歳から13歳で
互いを知りません -
2:03 - 2:09例外は合唱隊で 黒い制服を着ていて
ジャックという少年に率いられています -
2:09 - 2:12バランタインの『さんご島の三少年』同様に
-
2:12 - 2:15少年たちの新たな世界は
楽園のように見え -
2:15 - 2:19飲み水も 寝場所も
豊富な食べ物もあります -
2:19 - 2:21しかし冒頭から
-
2:21 - 2:26この一見平穏な状況には
不気味な暗い影が差しています -
2:26 - 2:30少年たちの影は
「黒いコウモリのような生き物」にたとえられ -
2:30 - 2:33合唱隊が海岸に登場する様も
-
2:33 - 2:36「うごめく何か暗いもの」と
形容されています -
2:36 - 2:39到着して時を経ず
少年たちは -
2:39 - 2:44森に潜む獰猛な獣の
恐ろしい噂をし合います -
2:44 - 2:47ゴールディングの物語は
この不吉な導入から始まって -
2:47 - 2:49大人が不在である中で
-
2:49 - 2:53団結が速やかにほころんでいく様が
描かれます -
2:53 - 2:57生き残った者たちは 最初は
秩序を打ち立てようとします -
2:57 - 3:01ラルフという少年は
ほら貝を吹いてみんなを集めたり -
3:01 - 3:03作業を割り振ったりします
-
3:03 - 3:05しかしジャックが
リーダーの地位をラルフと争って -
3:05 - 3:10グループはまとまりを失い
少年たちは暗い衝動に身を任せます -
3:10 - 3:13烏合の衆と化した子供たちは
救助されるための計画もすぐに忘れ -
3:13 - 3:15わずかな理性の声を押し殺し
-
3:15 - 3:21ジャックに盲目的に従って 島の際へと
正気の際へと進んで行きます -
3:21 - 3:25その倫理、礼儀、社会に関する
普遍的テーマによって -
3:25 - 3:28文学の名作とされている
この小説では -
3:28 - 3:33当時の慣習や 長く保たれてきた
人間性への信頼が風刺されています -
3:33 - 3:37漂流冒険譚では植民地主義が
肯定されていることが多いですが -
3:37 - 3:40『蠅の王』では
それがひっくり返されています -
3:40 - 3:44原住民を紋切り型の
野蛮人として描く代わりに -
3:44 - 3:50ゴールディングは天使のような英国の児童たちを
野蛮な戯画的存在へと変えています -
3:50 - 3:53少年たちが島内で
争っている間にも -
3:53 - 3:58外では 彼らが島に来る原因となった
破滅的な戦争が続いています -
3:58 - 4:01少年たちを彼ら自身から
救い出せたとしても -
4:01 - 4:04いったいどんな世界に
戻ることになるのでしょう? -
4:04 - 4:10登場人物たちを特定の場所や時代に
結び付けるものはほとんどなく -
4:10 - 4:12この小説は時代を超えた
-
4:12 - 4:16生の人間の本性への
考察のように感じられます -
4:16 - 4:19ゴールディングの暗い見方に
賛同しない読者もいるでしょうが -
4:19 - 4:25『蠅の王』には 最も楽観的な人さえ
不安にさせるものがあります
- Title:
- ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』を読むべき理由 / ジル・ダッシュ
- Speaker:
- ジル・ダッシュ
- Description:
-
第二次世界大戦で人間の残虐性を目にしたウィリアム・ゴールディングは人間性への信頼を失います。のちの冷戦では超大国が互いに核兵器で殲滅すると脅し合う状況となり、人間の本性と暴力の根っこにあるものを考えさせられました。その考察が最初の小説『蠅の王』に結実します。ジル・ダッシュがこの時代を超えた風刺作品について探ります。
講師 ジル・ダッシュ
監督 Lucy Animation Studioこのビデオの教材 https://ed.ted.com/lessons/why-should-you-read-lord-of-the-flies-by-william-golding-jill-dash
- Video Language:
- English
- Team:
- closed TED
- Project:
- TED-Ed
- Duration:
- 04:25
Yasushi Aoki approved Japanese subtitles for Why should you read "Lord of the Flies" by William Golding? | ||
Yasushi Aoki edited Japanese subtitles for Why should you read "Lord of the Flies" by William Golding? | ||
Tomoyuki Suzuki accepted Japanese subtitles for Why should you read "Lord of the Flies" by William Golding? | ||
Yasushi Aoki edited Japanese subtitles for Why should you read "Lord of the Flies" by William Golding? | ||
Yasushi Aoki edited Japanese subtitles for Why should you read "Lord of the Flies" by William Golding? | ||
Yasushi Aoki edited Japanese subtitles for Why should you read "Lord of the Flies" by William Golding? | ||
Yasushi Aoki edited Japanese subtitles for Why should you read "Lord of the Flies" by William Golding? | ||
Tomoyuki Suzuki declined Japanese subtitles for Why should you read "Lord of the Flies" by William Golding? |