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耳鳴りの正体は?― マーク・ファゲルソン

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    長い1日を終えて帰宅したあなたは
    ひとり静かな夜を過ごしています
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    しかし 静けさはなく
    絶え間なく鳴り響く音が —
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    音を立てるようなものは
    何もないのに聞こえます
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    今あなたが経験しているのは
    いわゆる「耳鳴り」で
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    外部に音源がないにもかかわらず
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    キーン、ブンブン、シー、カチカチ
    といった雑音を感じる状態です
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    耳鳴りは 古代バビロン以来ずっと
    人類を悩ませ続け
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    レオナルド・ダヴィンチや
    チャールズ・ダーウィンも苦しみました
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    現在 世界では
    およそ7人に1人が
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    耳鳴りを経験しています
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    では このしつこい音は
    どこから来るのでしょうか?
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    普通 何かが聞こえる際には
    音波が耳の様々な部分にぶつかって
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    振動を起こし
    蝸牛の中にあるリンパ液に伝わります
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    振動が十分に大きければ
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    化学反応が引き起こされ
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    生体電気信号に変換されます
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    これらの神経の活動電位は
    聴覚伝導路を通って脳に伝わり
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    私たちが知覚する音となります
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    しかし ほとんどの耳鳴りでは
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    この謎の音を
    発生させる神経信号は
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    まったく耳の中を伝わりません
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    その代わりに 自身の中枢神経系が
    内部で音を生成しているのです
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    正常な状態では
    この自己生成された信号は
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    聴覚に必要不可欠なものです
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    すべての哺乳類は
    聴覚伝導路全体にわたり
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    継続的な神経活動を示します
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    音がない場合は
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    この神経活動をベースラインとし
    神経コードはこの状態を
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    無音と設定します
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    音がすると
    この神経活動は変化し
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    脳が無音と音を
    区別できるようになります
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    しかし 聴覚系の健康状態が
    この背景信号に影響することがあります
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    大きな音 病気 毒素
    そして自然な老化までもが
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    蝸牛細胞を損傷することがあります
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    中には数時間で治るものもありますが
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    たくさんの細胞が
    徐々に または一度に死ぬと
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    聴覚系の感度が低下してしまいます
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    情報を伝達する蝸牛細胞が減ると
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    入ってくる音が発する
    神経信号が弱まります
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    そして多くの環境音が
    完全に失われてしまうことがあります
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    脳はこれを補うために より多くの
    エネルギーを使って聴覚伝導路を監視します
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    あなたがラジオのつまみを
    回して調整するように
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    脳は より明瞭な信号が得られるよう
    調整つまみをひねりながら
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    神経活動を修正します
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    この背景神経活動を増やすことで
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    弱い聴覚入力の処理を
    助けようとするのです
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    ただ これは 無音のベースラインを
    変えてしまう可能性もあり
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    すると音がしなくても
    静寂とは程遠い状態になってしまうのです
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    これを「自覚的耳鳴り」と言い
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    耳鳴りの大多数を占めます
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    自覚的耳鳴りは
    分かっている限り あらゆる耳の疾患に
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    関連がある症状ですが
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    必ずしも悪いものではありません
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    症状が現れると驚ろくでしょうが
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    自覚的耳鳴りは
    本質的には悪影響はありません
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    しかし 一部の人にとっては
    自覚的耳鳴りの症状が現れると
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    心の傷や痛みが
    呼び覚まされることがあり
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    耳鳴りが悪化してしまいます
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    この心理的な悪循環により
    よく起こるのが「厄介な耳鳴り」で
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    これは PTSD 不眠症 不安や鬱の症状を
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    悪化させる可能性があります
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    自覚的耳鳴りを完治する方法は
    知られていません
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    そこで 医師にできる
    一番大切なことは
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    患者がこの聴覚的な事象を
    理解するのを助け
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    ややもすると苦痛を起こす音と
    中立的な関係を築くよう促すことです
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    例えば 音響療法では
    雨や鳥の鳴き声 音楽などの音を使って
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    耳鳴りを遮蔽し
    ストレスを軽減します
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    情報マスキングという方法では
    鎮静効果のある複雑な聴覚信号を使用し
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    脳の注意を
    耳鳴りの音からそらします
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    エネルギーマスキングという方法では
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    患者の耳鳴りと
    同じ周波数の音を使用し
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    耳鳴りの信号を伝える
    ニューロンを占有します
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    カウンセリングと並行して
    これらの治療法を実施すれば
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    耳鳴りがする人が
    自分と耳鳴りとの関係を
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    再評価できるようになります
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    控えめに言っても
    静寂を失うのはつらいことです
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    耳鳴りが明らかにしているのは
    内部の雑音を取り除くことに失敗しても
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    脳が 周りの世界を
    常に分析しているということです
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    ある意味では 耳鳴りを経験することは
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    脳が独り言を言っているのを
    盗み聞きしているようなものです —
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    聞きたい会話ではないかもしれませんが
Title:
耳鳴りの正体は?― マーク・ファゲルソン
Speaker:
マーク・ファゲルソン
Description:

耳鳴りは、古代バビロン以来ずっと人類を悩ませ続け、レオナルド・ダヴィンチやチャールズ・ダーウィンも苦しみました。現在、世界では、およそ7人に1人が耳鳴りを経験しています。一体耳鳴りとは何なのでしょうか?このしつこい音はどこから来るのでしょうか?マーク・ファゲルソンが、静寂の喪失の原因を探るために、聴覚系の中を旅します。

講師:マーク・ファゲルソン、 監督:Zedem Media
*このビデオの教材:https://ed.ted.com/lessons/what-s-that-ringing-in-your-ears-marc-fagelson

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Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TED-Ed
Duration:
05:17

Japanese subtitles

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