耳の不自由な両親

聴覚障がいのある親を持つ子供たち：耳が不自由な両親とそうではない子供（CODAキッズ）一家の世界と同世代のCODA仲間のユニークな経験を取り上げます。
耳の不自由な両親を持つ人々がキャンプで皆と経験を分かち合います。

（アニメの放映）

終わってたの？ごめんね

（ナレーター） モニカとスティーブンは
耳の不自由な両親です

子供たちはそうではありません

子供の気を引くのは
難しいことですが

（モニカ） いい子ね

（ナレーター） 耳が不自由なら
なおさらです！

はいはい

そうそう

上と下 他の歯もね

♪（音楽）♪

(モニカ・リーチ)
何より私は母親で

養子だっています

子供は男の子３人で

15歳のフィリックス

♪（音楽）♪

フィリックス

起きなさい！

ほらほら

起きる時間よ フィリックス！

お父さんの車に助けが必要だし
朝食だっているでしょう？

手伝ってくれるよね？

（フィリックス・オブンズ-リーチ）
好きだけどイヤだという関係だね

つまり 良い時もあるし

両親が嫌になるときもある

そんな感じだね

年頃ですから
性に関する事については

心配しています

ですから ２人で目を光らせています

（アニメの音）

真ん中はオリバー

６歳です

オリバー！オリバー

ちゃんと食べたかな表が
あるでしょう

ジャック？

一番下の子がジャックで

４歳になります

ジャック！

今週は学校でお昼を
残さず食べられた？

やったわね

よしよし

（アニメの音）

ママ？ ママ ママー

ママー！

ここ忘れてるよ！

野菜は全部食べなかったじゃない

- でも 毎日じゃないよ
- そう わかった

ニンジンと豆を食べたのね

ジャックは食べてたけど
あなたもそうだった？

そうね

ご覧なさい！

まあ すごい

２人ともえらいわ

ママ あれが欲しいの

僕の部屋は下の階にあるので

♪（音楽）♪

自分だけの場所が欲しいな

♪（音楽）♪

友達がよく来るんだけれど

当然ここがたまり場になる

ここでなら好きなだけ
騒げるからね

モニカには聞こえないんだけれど

５分ごとに様子を
見に来るんだ

僕らをチェックしているわけ

母と一緒に弟を公園に
連れていけとも言うんだ

養子のフィリックスはすぐに
弟にうんざりしてしまうので

時々あの子だけおいて

下の子たちを公園に
連れて行ったり

友達のところとか

水泳やスケートや浜辺に
行くこともあります

でも 本当はフィリックスにも
一緒にいてほしいんです

♪（音楽）♪

まあ！この子達ったら！

ママ エッグハントに使うんだよ！

-　じゃあ 午後にね！
-　なあ

- でも もう空よ
- （オリバー） お兄ちゃんが食べちゃった！

- 分けてやっただろう

（ナレーター） モニカは家族の時間を
大切にしています

今日は全員でボート旅行です

♪（音楽）♪

上で朝食を食べなさい！

（ナレーター） 上の子は乗り気でなくとも
（窓を叩く）

起きなさい！

早く

（オリバー） 僕じゃなくて良かった！

（ちゃんばら）
（窓を叩き続ける音）

（ノックが続く）

（ノック）

さあさあ 起きなさい！

カメラの前でなんか
着替えないぞ

いいから 起きて！

遠出して家族で一緒に
過ごすのが好き

本当に最高です

子供たちはパソコンが大好きで

離れようとしません

それで一日が
終わってしまうのです

♪（音楽）♪

（ナレーター） モニカは周りとの交流に
心をくだきますが

いらいらする事もあります

学校でうまく人と
係われないことがあります

通訳がいないので
きっかけを逃すのです

他に困るのは
例えばラグビーで

サイドラインで保護者が
話し続けていて

その後も話していると

バリアを感じます

そういう時はおとなしくする
羽目になるんです

♪（音楽）♪

しかし 子供たちが
耳の不自由な両親に

責任を感じる事は
望みません

オリバー 行け！

運転できる？

飛行機に乗った時に

乗務員がやってきて

「通訳の者を呼びましょうか？」

ちょっとした騒ぎになりました

「いいえ 結構です」

でも オリバーは納得せず

「大丈夫だから」と
なだめる事になりました

僕が操縦する！

お父さんはずーっと泳いでいくんだ

- 僕が運転する
- なんて言ったの オリバー？

僕が運転する
お父さんはー

- ずーっと泳ぐんだ
- そう

聴覚障がいの両親を持つ
子供はCODA（コーダ）と呼ばれます

CODAは手話を最初に会得して
育つ事が多く

進学時に配慮が
必要なこともあります

♪（音楽）♪

チーズ おいしい

（ナレーター） 聴覚障がいの親が
楽しむ場がない事は残念です

そこで CODAと家族対象の
キャンプを皆で企画しました

このキャンプを企画したのは
親を支援したいからです

子育て中の親をサポートする

サービスはあまり無いのです

実は 学校の保護者会には

通訳を依頼できる事すら
あまり知られていません

ネットワークの事もあります

あまりに多くの保護者が
ぽつんと孤立していますから

モニカはキャンプに
米国からの母親を招きました

（空港のざわめき）

16歳の息子も一緒です

フィリックスに良い影響があると
いいのですが

- こんにちは！
- どうも！

- 初めまして！
- こちらこそ！

- どうも！
- こんにちは！

- 旅はいかがでした？
- 上々だったわ

（モニカ） うちの子はもうすぐ15歳

お宅は16歳なのですね？

- そう 16歳よ
- ティーンね？

ほんと 本当に大変よ

コミュニケーションは難しいし
息子を信頼するのも

言う事を信じるのもね

うちは親が判断するの
私はそういう風に育ったから

子供に求める規律は厳しい

息子はアメリカ生まれだけど

私はインド出身なの

米国へ渡ったけど
私の考え方は違っていたわ

子供たちには手を焼かされた

でも 他の子たちが親と
接する姿でわかったのよ

「あら 同じだわ」

私は悪い母親なのかしら
と思ったけれど

いいえ そうじゃない

十代の子だもの

まだ プレイした事がないんだ

- 下りればいいの？
- そう

- 吹き飛ばすのかい？
- いいや

いつやればいい？

（ザック） こいつは強いな

（TVゲーム音）

- 死んじゃった？
- うん

- 向かってくるぞ どうすれば？
- よし やっつけろ

（場外から拍手）

（ザック） これ初めてだよ
普段はWii をやるのさ

体を動かす方が
得意なんだ

私が十代の頃とは
まるで違うのよ！

宿題はきっちりやったし
スポーツなどにも参加した

近頃は外出しないし
何かに打ち込む事もない

宿題をさせるのにも一苦労

言ってやらなくっちゃ

全然違うんですよ
何しろ興味の対象が

だらだらする事なのですから

何もかも あのオンライン！

友達はフェイスブックで作るから

どこの誰だかわからない
家に遊びには来ないもの

全くわからない世界です

心配にもなりますよ
いったい誰と話しているの！

うちの子もそうよ

でも息子を諭してやるのです
母親は私

私の家に住んでいるのだから

ルールに従ってもらわないと

18歳になって自立すれば
結構だけど

でも 実家にいる間は
ルール違反はだめよ

（TVゲーム音）

（ナレーター） モニカは子供達に
絆ができる事を期待しています

分かった

ニュージーランドではCODAという
言葉を使うけれど

まだ一般的ではないから

プレゼンは基本的なレベルで
大丈夫よ

子供同士でいるように
できるかしら？

グループで行動する事

了解

がちがちな計画でなく
融通をきかせて構わないけど

- 途中で投げ出さない事
- わかったよ

米国から来てCODAであることを
誇りにしているというのは

皆の新鮮な視点になると思う
- 確かにそうだね

♪（音楽）♪

（ナレーター） 50組以上の家族が
キャンプに参加しました

場所はクライストチャーチ近郊の
ポートヒルズです

同じ立場の人たちと会するのは

親子ともども貴重な機会です

みなさん立って下さい

みんなで大きな輪になりましょう

お互いを知る機会です

お隣りさんを知ってください

皆さん こんにちは
私はクレアです

私はCODAです

こんにちは
僕はドウェーンです

オークランドから来ました
（まばらな拍手）

こんにちは
私はカヴィータです

アメリカの
カリフォルニアから来ました！

おや 失礼 ニュージーランドの
通訳をお願いするわ

（ナレーター） カヴィータは
アメリカの手話を話すのです

ニュージーランドの
手話通訳が必要です

失礼 今のは
カリフォルニア方式だったの

モニカはキャンプリーダーの一員です

私は財務とベッドの管理をします

またプログラム進行が
遅れないようにしますので

朝食に遅れたら
お気の毒さま！

スケジュールには厳しいわよ
覚悟して！

♪（音楽）♪

（ナレーター） 一方フィリックスは
落ち着きません

さあ どこで眠るのかな？

このベッドで寝るの ジャック？

（キス）

おやすみ！
ばいばいばい バイ！

♪（音楽）♪

翌朝ティーンは
各グループに分かれました

フィリックスは気に入りません

（フィリックス） 最初のサークルは
"アートセラピー" だってさ

真面目にやってられるのかな

そういう奴もいるけれど

ただ自分の考えを
紙に描くだけだよ

僕はやっていられないよ

（ナレーター） モニカはのっています
全てが順調です

すばらしいわ！

当初はどうなるかと
いぶかる親も多かったけれど

でもやってみたら
上手くいった

特にティーンは
お互いうまくやっているもの

スムーズに進行して

皆が仲良くしているのを見るのは
最高よ！

（ナレーター） 大人は子育ての悩み相談です

子供と読書をするのは
大切です

料理の本でも
何でも構いません

大事なことです

ぜひ ご意見をお聞かせください

どんな細かなことでも

私がここで編集して

ひとつひとつ書き留め

その成果は政府に
持っていきます

行動を起こしましょう

どうなるかは
わかりませんが

できることをやりましょう

私はジョザンナです
オーストラリアから来ました

読書が大切だという事は
同感です

私は耳の不自由な
両親の元で育ちました

子供の頃は
本をよく読んだものです

今でもそれは変わりません

高校へ進学して
卒業しました

通ったのは
普通高校でしたが

成績は一番でしたよ

でも 実は私も
耳が不自由なのです！

子供との絆を育むことは
素晴らしいと知ってほしいのです

宿題を一緒にやったり
どんどん話をしてください

本当に効果がありますよ

私と両親の絆は深く

家族でよく話をしました

宿題でも何でも話しました

本当に楽しかったのです！

両親はこんな風に
私を育ててくれました

それが成果に
つながったのです

皆さんもきっと
うまくいくと思います

ある日 呼び出しを受け
学校へと向かいました

娘に何かあったのかしら？
と心配でした

そして教室で
先生に言われたのは

「お嬢さんの話し方が
気になります」

「発音がおかしいのです」

先生は耳が聞こえない事を
忘れていました

「お嬢さんに教えてください

きちんとした話し方を」

先生を見つめ
「わかりました」

私は前向きにとらえました

非協力的だと思われるのは
いやでした

「ご指摘ありがとうございます

でも 私は耳が聞こえないのです」

「だから発音を
間違えるのだと思います

お力添えを
いただけないでしょうか？

発音を正していただけませんか？」

先生は私をみつめ
「私がですか？」

先生は前向きに
受け止めました

皆さんの先生にも同じことを
お願いできると思います

悪いのは親ではありません

今や娘は立派に育ち

きちんと話しますし
息子もそうです

きっとこれは
ヒントになると思います

先生や周りの人には
前向きに対応する事です

どうも

（キャッキャ）

♪（音楽）♪

フィリックスも少しずつ
グループに馴染み始めました

危なくないように締めて

（フィリックス） 止まれ！

[洗濯室 屋外講堂]

（ナレーター）ザックは子供たちに
教えている最中です

みんなに僕の話をしようか

僕はアメリカ育ち
なんだけれど

僕と姉さんはずーっと
同じ部屋だった

小さいころは９時に
寝る事になっていて

お父さんが全部チェックした

TVを消してあるかとかを
確認するわけ

それが終わって
お父さんが出ていくと

お父さんが廊下を
歩く音が聞こえて

自分の部屋に
入るのも聞こえる

僕と姉さんはTVをつけて

見る事にしていたよ

もちろん大音量で！

ある夜 お父さんは
何だか変だと思って

子供部屋に来た
「こら 何でTVをつけたんだ？」

僕らは寝たふりをしていたよ

お父さんが来るのが
聞こえたからね

CODAであるってそういう事

両親の耳が不自由で
気づかれないのは

悪くないよね

親の耳が不自由という事は
大したことじゃない

お互いに結ばれていることの方が
大切なんだよ

それが大事

CODAである事は誰かと
そんな絆を持つことなんだ

（ナレーター） CODAはよく誤解されます

騒がしく乱暴な子たちだと

手話は表現豊かな言葉なのも
ほとんど知られていません

親の耳が不自由だと
良いことは何かな？

ドアをバタンと閉めても
ママは気づかない

大声を出すのが好き

ママがびっくりするぐらい
大きな声で叫ぶの

CODAは一生
自分の一部であり続ける

このキャンプ中だけではないし

休みは一切なしだ

だから 良いところを忘れないで

CODAであることに
自信を持ってね

（拍手）

♪（音楽）♪

（ナレーター） 昼食はお互いに
知り合うのに良い機会です

モニカは会話が弾むよう
気を配ります

一度打ち解けると
共通点が多いことに

ティーンは気づきます

二つの別な世界にいるのよ！

学校には友達や先生がいて

他に親戚だっている

そしてもちろん
普段の生活がある

たぶん 時には

友達の中には私が母と
話をするのを見て

私をヘンだと思う子もいる

どうして両手を動かすの？
と思うみたい

そういう子は
もっと静かな方法でも

親子で通じると思うわけ

でも 私は両手を使わなきゃ

ヘンだと思う だってー

周りはぎこちなくなって
何だかそうね・・・

ヘンだよね

（ナレーター） フィリックスも打ち明けました

僕が学校へ行くと

周りは両親の
耳が不自由だという事に気づく

みんな興味を持って

手話を習いたがる

たいてい悪い言葉を
知りたがるね

（笑）

大勢の奴が手話を
習いたがる

でも教えてやっても

ただ茶化すだけだ

奴らは・・・

悪い言葉を
僕から覚えるけど

そんなのは手話じゃない

本気で習いたい訳じゃない！
嫌がらせだよ

わからないんだ
あいつらは

両親の耳が不自由だと
どんな感じかわからない

一つ確かなのは

周りに僕は理解してもらえないし
僕にも奴らが分からない

単純よ
何にもわかっていないだけ

その人達がいけないのよ！
あなたじゃない

彼らは手話に触れた事が
一度もないのだから

CODAとして
架け橋になりましょう

先ほどジョシュアが
言ったように

自分の視点で
考える事よ

その人たちの態度を
どうやって変えるかをね

友達がやってくると

”どうも” と ”どうぞ” を
知りたがる

手話を習う事に
関心を持つね

嫌な思いをした事はないな

英語のテストの際には

家で使う言語を
聞かれるけれど

必ず "その他" にするよ

英語じゃなくてね

誰もが生まれてから
言葉を学びました

誰から教わったのかしら？

お母さんとお父さんだよね
どうやって？

真似して覚えたでしょう

だから私は
母と同じように話します

私は54歳！

今でもCODAですよ

CODAである事は
私の強みです

母も父も私の誇りですから

両親からいろいろと
教わりました

大切なのはその事について
考える事

そしていかに
かけがえがない事かをね

世間との付き合い方で
僕らは仲間同士だった

周りは親が何も分からない
みたいに対応するんだ

耳が不自由なのは
どんな事かわからないんだね

それからCODAとして

CODAの役目の部門が

僕のお気に入りになるとはね

「あーあ グループから抜けて

他の活動をしよう」
と考えたかもしれないけど

実際は参加して良かったよ

ここで大勢 初めての人に

出会ったのだけれど

今後も連絡を取るつもりだ

両親のことで
苦労する子がいるなんて

これには考えさせられたよ

僕は両親のことで
いじめられたり

からかわれた事は
なかったから

でもそういう子もいた

それで驚いたんだ

どこにいても
誰と一緒でも

本当に理解してくれるのは

この部屋にいる仲間だ

（フィリックス） 養母に勧められた時は
嫌だったけど

今考えるとパネリストとして
参加すればよかった

話したい事があるからね

うん 来年は絶対に参加するよ

（ザック）♪（どこへ行こうと）♪
（全員）♪（どこへ行こうと）♪

（ザック）♪（注目の的）♪
（全員）♪（注目の的）♪

（ザック）♪（僕らはCODA）♪
（全員）♪（僕らはCODA）♪

（ザック）♪（強いぞCODA）♪
（全員）♪（強いぞCODA）♪

♪（音楽）♪