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視力を失ったことで学んだアクセスするということ ― ルイス・ぺレズ

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    「内なる光(神)に目を向けよ」
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    これはクエーカー教徒流の
    言い方で
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    私が通った高校の
    モットーでした
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    高校生だった時には
    その言葉は
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    私にとって たいして
    意味を持ちませんでした
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    何年か後 それがずっと
    意味あるものになりました
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    大人になって
    一連の車の事故の後
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    視力障害と
    診断された時のことです
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    網膜色素変性症でした
    短くRPとも言います
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    RPについて
    最も簡単に説明する方法は
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    皆さんを私の眼の中に
    お連れすることです
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    これは 最近 眼の検査で
    撮影した写真です
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    私の眼の中心近くの
    あれらの点は
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    光受容細胞が死んでしまった
    眼の領域を示しています
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    そこが盲点となっていて
    2度と見ることができません
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    網膜色素変性症では
  • 0:53 - 0:55
    視覚は外側から
    失われていき
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    いつの日か完全に
    見えなくなります
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    現時点で 中心視野の角度は
    7から8度程度しかありません
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    網膜色素変性症があると
    どう見えるでしょうか
  • 1:06 - 1:08
    ちょっとした
    実験をしてみましょう
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    皆さん 両手で
    小さな丸を2つ作って
  • 1:10 - 1:14
    その丸から前方を
    覗いていただけますか
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    その感じが周辺視野が
    ない人の見え方です
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    網膜色素変性症って
    時には お手軽なこともあるんです
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    今この時が まさに一例です
  • 1:28 - 1:32
    (笑)
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    でも 網膜色素変性症を抱えて
    生きていくということは
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    単に私の眼に
    何が起きているかという話ではなく
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    実体験から学びを
    得ることなんです
  • 1:39 - 1:41
    その体験を皆さんと
    共有したいんです
  • 1:41 - 1:44
    でも少し
    違ったやり方でやってみます
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    私が書いた詩で
    伝えたいんです
  • 1:46 - 1:48
    「中間」という題の詩です
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    「ここに居るのでも あちらに居るのでもなく
    見えないわけでも 見えるわけでもない
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    私もあなたも
    互いの全ては見えていない
  • 1:59 - 2:05
    こちらにも そちらにも
    島や 都市 国にも属さない
  • 2:05 - 2:08
    スペイン語 スパングリッシュ
    英語
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    今 私は何者なのか
    何ともいえない
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    だから私は陰と陽の狭間に
    生きることを学ぶ
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    光が闇に転じ
    闇が迫ってくる
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    ダンスすることを学んだ
    陰の中でダンスすることだけだ」
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    この詩は
    どちらの立場にいるとも言えない ―
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    自分自身の経験を
    文字にしたものです
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    私は 視力障害者ですが
  • 2:34 - 2:38
    完全に見えるわけでも
    全く見えないわけでもありません
  • 2:38 - 2:40
    中間の世界に
    住んでいます
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    ドミニカ共和国からの
    移民の 有色人種として
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    どっちつかずの世界に
    生きています
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    学校はよく私達を
    区別したがります
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    私達にラベルを
    貼りたいんです
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    教育をとても豊かにするためには
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    学ぶ者が皆
    個性を持った存在であり
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    複雑なアイデンティティを
    持っていることを認め
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    それを学びに取り入れるべきだと
    理解することです
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    今 私は自分の肌の色と障害を
    受け入れています
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    でも常にそうだったわけでは
    ありません
  • 3:12 - 3:15
    初めて視覚障害の診断を
    下された時
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    本当のところ
    長い鬱状態に陥りました
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    人生で一番
    暗かった日々だったと思います
  • 3:22 - 3:27
    その闇からどう脱して
    内なる光に目を向けられたかって?
  • 3:27 - 3:29
    2、3のことが
    私を救ってくれました
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    まず 勿論 家族
    特に娘ですね
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    娘のお蔭で
    今日私はここにいます
  • 3:38 - 3:41
    娘のために在りたい
    良い手本になりたい
  • 3:41 - 3:43
    そんな思いで
    助けを求めました
  • 3:43 - 3:46
    そして娘は私を
    より良い人間にしてくれました
  • 3:46 - 3:49
    最初に視覚障害と
    診断された時には
  • 3:49 - 3:53
    その日が来るか
    分かりませんでしたが
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    この春 娘が高校を卒業するのを
    見ることができました
  • 4:02 - 4:07
    そして少し前のことですが
    娘は大学の寮に入りました
  • 4:11 - 4:15
    ドミニカ人とフィリピン人の
    間に生まれた娘も
  • 4:15 - 4:17
    中間の世界に住んでいます
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    その点でも私は娘の
    手本になりたかったのです
  • 4:21 - 4:25
    私が闇から脱する
    手助けとなったもう一つのことは
  • 4:25 - 4:29
    アレックスとの出会いと
    支援技術の発見です
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    ある日 新しいコンピューターの
    セットアップ中
  • 4:32 - 4:37
    画面読み上げ機能
    「ボイスオーバー」を発見しました
  • 4:37 - 4:39
    機能をオンにすると
    こう聞こえてきました
  • 4:39 - 4:43
    「ボイスオーバー Quick Startです
    このチュートリアルでは
  • 4:43 - 4:48
    ボイスオーバーの基本や
    主なコマンドを使った ―
  • 4:48 - 4:50
    マックとアプリの
    使い方を学ぶことができます」
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    多分お気づきでしょうが
    アレックスは人間じゃありません
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    それは読み上げ機能によって
    作動する合成音声で
  • 4:57 - 5:03
    マックや
    iPhoneやiPad等のiOSに搭載されています
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    アレックスは私の
    心にも話しかけてきました
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    重要なのは
    その声質の高さではなく
  • 5:10 - 5:14
    コンピューターが
    伝えるメッセージでした
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    それは希望を伝える
    メッセージだったのです
  • 5:16 - 5:19
    そのメッセージは
    何が起ころうと
  • 5:19 - 5:23
    視力を完全に失おうと
    全て大丈夫ということでした
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    そう これが
    私から皆さんへの課題です
  • 5:25 - 5:30
    何よりも 生徒たちに魔法の瞬間を
    創り出して欲しいのです
  • 5:30 - 5:34
    私にとって アレックスとの出会いが
    そんな魔法の瞬間でした
  • 5:34 - 5:38
    他の何よりも 生徒に
    希望を与えて下さい
  • 5:38 - 5:42
    希望がもてれば どんな困難も
    乗り越えられます
  • 5:42 - 5:46
    希望がなければ どんな些細な障害も
    乗り越えられません
  • 5:46 - 5:50
    他に私が闇から脱するのに
    助けとなったことは
  • 5:50 - 5:53
    日々の生活に
    喜びを見出すことでした
  • 5:53 - 5:57
    それは趣味を持つことで
    できました
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    重度の視覚障害を
    持つ者の趣味としては
  • 6:01 - 6:04
    もっとも想像しにくいものです
  • 6:04 - 6:06
    私は写真を勉強しようと
    決めたんです
  • 6:06 - 6:12
    1.3メガピクセルもある
    最初に手にしたカメラです
  • 6:12 - 6:16
    これ以来随分
    進歩しましたね
  • 6:16 - 6:19
    私が撮った写真を
    2、3枚ほどお見せします
  • 6:19 - 6:22
    私がなぜ写真を撮るのか
    疑問に思うでしょう
  • 6:22 - 6:26
    撮ってもそのうち
    見られなくなるだろうに?
  • 6:26 - 6:31
    写真だけに注目すると
    全体像が見えなくなるものです
  • 6:31 - 6:34
    私が何をしようとしたと思いますか?
  • 6:34 - 6:36
    私が写真を撮る理由は
  • 6:36 - 6:39
    盲人の写真家
    ピート・エッカートと同じで
  • 6:39 - 6:45
    「写真は人々に見てもらうため
    撮影という行為は自分のため」です
  • 6:45 - 6:49
    私にとって写真は
    単なる芸術ではありません
  • 6:49 - 6:53
    私には
    政治的活動なんです
  • 6:53 - 6:56
    写真によって私は
    人から見える存在になります
  • 6:56 - 7:01
    我が国の歴史上
    私の障害者としての権利と
  • 7:01 - 7:05
    移民の有色人種である権利が
    迫害されている今
  • 7:05 - 7:08
    私はできるだけ注目される
    必要があるんです
  • 7:08 - 7:16
    (拍手)
  • 7:16 - 7:19
    世界中の人々に
    自分の存在と
  • 7:19 - 7:24
    自分という人間 自分が属する人種に
    誇りを持っていると知って欲しいのです
  • 7:24 - 7:28
    同じメッセージを
    生徒達に伝えましょう
  • 7:28 - 7:32
    写真はそこにいない
    私の存在を主張してくれます
  • 7:32 - 7:36
    私が白杖とカメラを持って
    出没するといつでも
  • 7:36 - 7:38
    (笑)
  • 7:38 - 7:41
    人は驚いてもう一度
    私の方を振り返ります
  • 7:41 - 7:45
    それは彼らに
    障害に対する先入観を―
  • 7:45 - 7:48
    特に視覚障害を持つことの
    意味について
  • 7:48 - 7:50
    否応なく考えさせるのです
  • 7:50 - 7:53
    現代において 多くの会話が交わされる
    オンライン空間で
  • 7:53 - 7:55
    私がこれらの写真を
    アップすると
  • 7:55 - 7:59
    私の存在は認められます
  • 7:59 - 8:01
    では私は写真をどうやって
    撮ると思いますか?
  • 8:01 - 8:07
    スマートフォンの
    支援技術が頼りです
  • 8:07 - 8:09
    これがその一例です
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    これは読み上げ機能ボイスオーバーに
    組み込まれているもので
  • 8:12 - 8:15
    枠の中に何人いるか
    認識して
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    私に教えてくれます
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    「1人の顔 小さな顔 中央にいます
    ボタンを押して写真を撮ってください」
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    勿論 写真を撮りたい場所へ
    行く必要はあります
  • 8:28 - 8:32
    だから配車アプリの
    リフトやウーバーに頼ります
  • 8:32 - 8:37
    私が住む地域では
    公共交通機関はまばらです
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    タクシーは高いし
    当てになりませんが
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    リフトやウーバーのアプリは
    まさに私の世界を広げ
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    行きたい所に
    行けるようになったのです
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    写真を学びたければ
    私のタブレットPCから
  • 8:52 - 8:54
    「イーパブ」形式の
    電子書籍を利用できます
  • 8:54 - 9:00
    イーパブの電子書籍では
    フォントのサイズを好きなだけ調節できます
  • 9:00 - 9:04
    背景を調節しコントラストを
    強めることもできます
  • 9:04 - 9:07
    そして一日の終わりに
    私の眼が疲れてきたら
  • 9:07 - 9:09
    ただアレックスに
    読んでもらえばいいのです
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    テクノロジーのおかげで 多くの人にとっては
    物事が簡単にできるようになり
  • 9:13 - 9:17
    ある人々にとっては
    不可能が可能になっています
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    例をもう一つ紹介します
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    これは私の友人
    ローガン・プリケットです
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    ローガンは若い時
    MRIルーチン検査を受けました
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    不幸にも 医療者達は
    彼のアレルギーを知らず
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    染料入りの注射をしました
  • 9:32 - 9:37
    結果 彼はショック状態となり
    昏睡に陥りました
  • 9:37 - 9:39
    昏睡から目覚めた時
  • 9:39 - 9:43
    彼は失明しており
    著しい運動障害が生じ
  • 9:43 - 9:46
    その上声帯が
    押しつぶされたので
  • 9:46 - 9:52
    救命されたものの 現在
    囁き以上の声が出ません
  • 9:52 - 9:56
    私はモンゴメリーの
    オーバーン大学のチームに加わりましたが
  • 9:56 - 10:01
    チームの課題は
    ローガンが仲間と一緒に教育を受けられる ―
  • 10:01 - 10:03
    システムを作ることでした
  • 10:03 - 10:06
    これを彼が使うスマートフォンに
    組み込みました
  • 10:06 - 10:10
    このシステムによって ローガンは
    授業に出席し
  • 10:10 - 10:13
    クラスルームの
    ディスカッションに参加し
  • 10:13 - 10:17
    課題を提出し
    普通の大学生が行う ―
  • 10:17 - 10:22
    全てのことが
    できるというものです
  • 10:22 - 10:24
    それで最後は
    どうなったかって?
  • 10:24 - 10:28
    この春 ローガンは
    大学を卒業しました
  • 10:28 - 10:34
    (拍手)
  • 10:34 - 10:38
    しかも 成績優等で
    4年間で卒業したのです
  • 10:38 - 10:42
    (拍手)
  • 10:42 - 10:47
    その上 学位を取得した
    著者となっています
  • 10:47 - 10:52
    私がこのシステム開発に
    関わった人を信頼していたので
  • 10:52 - 10:56
    彼らに協力してもらい
    似た状況にある人の助けになればと
  • 10:56 - 11:00
    このテクノロジーを使った
    彼の経験について書いた本を出版しました
  • 11:00 - 11:03
    他にローガンとの経験で
    とても良かったことは
  • 11:03 - 11:07
    特に現代の政治状況において
    例を見ることのない
  • 11:07 - 11:10
    組み合わせだったと
    いうことです
  • 11:10 - 11:16
    なぜなら 私達は基本的に異なる民族に属し
    それぞれの立場にいたのですから
  • 11:16 - 11:19
    ローガンは
    アメリカ南部で生まれ育ちました
  • 11:19 - 11:22
    私は北東部に住む
    リベラル派です
  • 11:22 - 11:25
    私達は違う政治的信条の
    持ち主かもしれません
  • 11:25 - 11:30
    違う宗教を信じ
    違う音楽を聴くかもしれません
  • 11:30 - 11:34
    でも大切なことは
    互いの中に人間性を見出し
  • 11:34 - 11:39
    共通の目標に向かって
    邁進できたことです
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    ローガンのような生徒と
    一緒に作業する時の目標は
  • 11:41 - 11:46
    彼らができることを
    私がやることではありません
  • 11:46 - 11:49
    私の目標は
    火花となり
  • 11:49 - 11:51
    道を照らし
  • 11:51 - 11:53
    生徒達が必要とする
    ツールと方策を与え
  • 11:53 - 11:56
    彼らがなり得る最高の
    自分になって
  • 11:56 - 11:59
    彼らの夢が叶い
    目標を達成してもらうことです
  • 11:59 - 12:02
    これが私から皆さんへの
    今日の課題です
  • 12:02 - 12:06
    火花になって
    道を照らして下さい
  • 12:06 - 12:10
    皆さんにお伝えしたい
    何よりも大事なメッセージは
  • 12:10 - 12:16
    私達教育者は 今の世界に
    必要不可欠な灯りだということです
  • 12:16 - 12:19
    一緒にもっと多くの灯りを
    ともしませんか?
  • 12:19 - 12:23
    全ての生徒が
    照らされるようにしませんか?
  • 12:23 - 12:25
    有難うございました
  • 12:25 - 12:32
    (拍手)
Title:
視力を失ったことで学んだアクセスするということ ― ルイス・ぺレズ
Description:

一連の車の事故の後、ルイス・ぺレズには網膜色素変性症による視覚障害が残りました。新しい状況に順応しようと模索するうちに、ルイスは、彼の教育者としての仕事に取り入れられる価値あるツールを発見しました 。支援技術の発見から写真撮影に至るまで、 ルイスは視力に頼らず物を見ることや他者から見られる(認められる)ための手段を探しだしました。現在、彼が願っていることは従来のカテゴリーに合わない生徒達が(テクノロジーへの)アクセスや見る/見られることを通して、自分達の可能性に気づく機会を与えることです。

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Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TED-Ed
Duration:
12:33

Japanese subtitles

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