視力を失ったことで学んだアクセスするということ ― ルイス・ぺレズ
-
0:07 - 0:09「内なる光(神)に目を向けよ」
-
0:09 - 0:12これはクエーカー教徒流の
言い方で -
0:12 - 0:13私が通った高校の
モットーでした -
0:13 - 0:16高校生だった時には
その言葉は -
0:16 - 0:18私にとって たいして
意味を持ちませんでした -
0:18 - 0:20何年か後 それがずっと
意味あるものになりました -
0:20 - 0:23大人になって
一連の車の事故の後 -
0:23 - 0:26視力障害と
診断された時のことです -
0:26 - 0:31網膜色素変性症でした
短くRPとも言います -
0:31 - 0:34RPについて
最も簡単に説明する方法は -
0:34 - 0:36皆さんを私の眼の中に
お連れすることです -
0:36 - 0:40これは 最近 眼の検査で
撮影した写真です -
0:40 - 0:43私の眼の中心近くの
あれらの点は -
0:43 - 0:47光受容細胞が死んでしまった
眼の領域を示しています -
0:47 - 0:51そこが盲点となっていて
2度と見ることができません -
0:51 - 0:53網膜色素変性症では
-
0:53 - 0:55視覚は外側から
失われていき -
0:55 - 0:58いつの日か完全に
見えなくなります -
0:58 - 1:03現時点で 中心視野の角度は
7から8度程度しかありません -
1:03 - 1:06網膜色素変性症があると
どう見えるでしょうか -
1:06 - 1:08ちょっとした
実験をしてみましょう -
1:08 - 1:10皆さん 両手で
小さな丸を2つ作って -
1:10 - 1:14その丸から前方を
覗いていただけますか -
1:17 - 1:21その感じが周辺視野が
ない人の見え方です -
1:21 - 1:25網膜色素変性症って
時には お手軽なこともあるんです -
1:25 - 1:28今この時が まさに一例です
-
1:28 - 1:32(笑)
-
1:32 - 1:34でも 網膜色素変性症を抱えて
生きていくということは -
1:34 - 1:37単に私の眼に
何が起きているかという話ではなく -
1:37 - 1:39実体験から学びを
得ることなんです -
1:39 - 1:41その体験を皆さんと
共有したいんです -
1:41 - 1:44でも少し
違ったやり方でやってみます -
1:44 - 1:46私が書いた詩で
伝えたいんです -
1:46 - 1:48「中間」という題の詩です
-
1:49 - 1:54「ここに居るのでも あちらに居るのでもなく
見えないわけでも 見えるわけでもない -
1:54 - 1:59私もあなたも
互いの全ては見えていない -
1:59 - 2:05こちらにも そちらにも
島や 都市 国にも属さない -
2:05 - 2:08スペイン語 スパングリッシュ
英語 -
2:08 - 2:12今 私は何者なのか
何ともいえない -
2:13 - 2:18だから私は陰と陽の狭間に
生きることを学ぶ -
2:18 - 2:22光が闇に転じ
闇が迫ってくる -
2:22 - 2:25ダンスすることを学んだ
陰の中でダンスすることだけだ」 -
2:26 - 2:29この詩は
どちらの立場にいるとも言えない ― -
2:29 - 2:32自分自身の経験を
文字にしたものです -
2:32 - 2:34私は 視力障害者ですが
-
2:34 - 2:38完全に見えるわけでも
全く見えないわけでもありません -
2:38 - 2:40中間の世界に
住んでいます -
2:40 - 2:43ドミニカ共和国からの
移民の 有色人種として -
2:43 - 2:48どっちつかずの世界に
生きています -
2:48 - 2:51学校はよく私達を
区別したがります -
2:51 - 2:54私達にラベルを
貼りたいんです -
2:54 - 2:56教育をとても豊かにするためには
-
2:56 - 2:59学ぶ者が皆
個性を持った存在であり -
2:59 - 3:01複雑なアイデンティティを
持っていることを認め -
3:01 - 3:04それを学びに取り入れるべきだと
理解することです -
3:04 - 3:10今 私は自分の肌の色と障害を
受け入れています -
3:10 - 3:12でも常にそうだったわけでは
ありません -
3:12 - 3:15初めて視覚障害の診断を
下された時 -
3:15 - 3:18本当のところ
長い鬱状態に陥りました -
3:18 - 3:22人生で一番
暗かった日々だったと思います -
3:22 - 3:27その闇からどう脱して
内なる光に目を向けられたかって? -
3:27 - 3:292、3のことが
私を救ってくれました -
3:29 - 3:34まず 勿論 家族
特に娘ですね -
3:34 - 3:38娘のお蔭で
今日私はここにいます -
3:38 - 3:41娘のために在りたい
良い手本になりたい -
3:41 - 3:43そんな思いで
助けを求めました -
3:43 - 3:46そして娘は私を
より良い人間にしてくれました -
3:46 - 3:49最初に視覚障害と
診断された時には -
3:49 - 3:53その日が来るか
分かりませんでしたが -
3:53 - 3:57この春 娘が高校を卒業するのを
見ることができました -
4:02 - 4:07そして少し前のことですが
娘は大学の寮に入りました -
4:11 - 4:15ドミニカ人とフィリピン人の
間に生まれた娘も -
4:15 - 4:17中間の世界に住んでいます
-
4:17 - 4:21その点でも私は娘の
手本になりたかったのです -
4:21 - 4:25私が闇から脱する
手助けとなったもう一つのことは -
4:25 - 4:29アレックスとの出会いと
支援技術の発見です -
4:29 - 4:32ある日 新しいコンピューターの
セットアップ中 -
4:32 - 4:37画面読み上げ機能
「ボイスオーバー」を発見しました -
4:37 - 4:39機能をオンにすると
こう聞こえてきました -
4:39 - 4:43「ボイスオーバー Quick Startです
このチュートリアルでは -
4:43 - 4:48ボイスオーバーの基本や
主なコマンドを使った ― -
4:48 - 4:50マックとアプリの
使い方を学ぶことができます」 -
4:50 - 4:54多分お気づきでしょうが
アレックスは人間じゃありません -
4:54 - 4:57それは読み上げ機能によって
作動する合成音声で -
4:57 - 5:03マックや
iPhoneやiPad等のiOSに搭載されています -
5:03 - 5:07アレックスは私の
心にも話しかけてきました -
5:07 - 5:10重要なのは
その声質の高さではなく -
5:10 - 5:14コンピューターが
伝えるメッセージでした -
5:14 - 5:16それは希望を伝える
メッセージだったのです -
5:16 - 5:19そのメッセージは
何が起ころうと -
5:19 - 5:23視力を完全に失おうと
全て大丈夫ということでした -
5:23 - 5:25そう これが
私から皆さんへの課題です -
5:25 - 5:30何よりも 生徒たちに魔法の瞬間を
創り出して欲しいのです -
5:30 - 5:34私にとって アレックスとの出会いが
そんな魔法の瞬間でした -
5:34 - 5:38他の何よりも 生徒に
希望を与えて下さい -
5:38 - 5:42希望がもてれば どんな困難も
乗り越えられます -
5:42 - 5:46希望がなければ どんな些細な障害も
乗り越えられません -
5:46 - 5:50他に私が闇から脱するのに
助けとなったことは -
5:50 - 5:53日々の生活に
喜びを見出すことでした -
5:53 - 5:57それは趣味を持つことで
できました -
5:57 - 6:01重度の視覚障害を
持つ者の趣味としては -
6:01 - 6:04もっとも想像しにくいものです
-
6:04 - 6:06私は写真を勉強しようと
決めたんです -
6:06 - 6:121.3メガピクセルもある
最初に手にしたカメラです -
6:12 - 6:16これ以来随分
進歩しましたね -
6:16 - 6:19私が撮った写真を
2、3枚ほどお見せします -
6:19 - 6:22私がなぜ写真を撮るのか
疑問に思うでしょう -
6:22 - 6:26撮ってもそのうち
見られなくなるだろうに? -
6:26 - 6:31写真だけに注目すると
全体像が見えなくなるものです -
6:31 - 6:34私が何をしようとしたと思いますか?
-
6:34 - 6:36私が写真を撮る理由は
-
6:36 - 6:39盲人の写真家
ピート・エッカートと同じで -
6:39 - 6:45「写真は人々に見てもらうため
撮影という行為は自分のため」です -
6:45 - 6:49私にとって写真は
単なる芸術ではありません -
6:49 - 6:53私には
政治的活動なんです -
6:53 - 6:56写真によって私は
人から見える存在になります -
6:56 - 7:01我が国の歴史上
私の障害者としての権利と -
7:01 - 7:05移民の有色人種である権利が
迫害されている今 -
7:05 - 7:08私はできるだけ注目される
必要があるんです -
7:08 - 7:16(拍手)
-
7:16 - 7:19世界中の人々に
自分の存在と -
7:19 - 7:24自分という人間 自分が属する人種に
誇りを持っていると知って欲しいのです -
7:24 - 7:28同じメッセージを
生徒達に伝えましょう -
7:28 - 7:32写真はそこにいない
私の存在を主張してくれます -
7:32 - 7:36私が白杖とカメラを持って
出没するといつでも -
7:36 - 7:38(笑)
-
7:38 - 7:41人は驚いてもう一度
私の方を振り返ります -
7:41 - 7:45それは彼らに
障害に対する先入観を― -
7:45 - 7:48特に視覚障害を持つことの
意味について -
7:48 - 7:50否応なく考えさせるのです
-
7:50 - 7:53現代において 多くの会話が交わされる
オンライン空間で -
7:53 - 7:55私がこれらの写真を
アップすると -
7:55 - 7:59私の存在は認められます
-
7:59 - 8:01では私は写真をどうやって
撮ると思いますか? -
8:01 - 8:07スマートフォンの
支援技術が頼りです -
8:07 - 8:09これがその一例です
-
8:09 - 8:12これは読み上げ機能ボイスオーバーに
組み込まれているもので -
8:12 - 8:15枠の中に何人いるか
認識して -
8:15 - 8:17私に教えてくれます
-
8:17 - 8:24「1人の顔 小さな顔 中央にいます
ボタンを押して写真を撮ってください」 -
8:24 - 8:28勿論 写真を撮りたい場所へ
行く必要はあります -
8:28 - 8:32だから配車アプリの
リフトやウーバーに頼ります -
8:32 - 8:37私が住む地域では
公共交通機関はまばらです -
8:37 - 8:40タクシーは高いし
当てになりませんが -
8:40 - 8:44リフトやウーバーのアプリは
まさに私の世界を広げ -
8:44 - 8:47行きたい所に
行けるようになったのです -
8:47 - 8:52写真を学びたければ
私のタブレットPCから -
8:52 - 8:54「イーパブ」形式の
電子書籍を利用できます -
8:54 - 9:00イーパブの電子書籍では
フォントのサイズを好きなだけ調節できます -
9:00 - 9:04背景を調節しコントラストを
強めることもできます -
9:04 - 9:07そして一日の終わりに
私の眼が疲れてきたら -
9:07 - 9:09ただアレックスに
読んでもらえばいいのです -
9:09 - 9:13テクノロジーのおかげで 多くの人にとっては
物事が簡単にできるようになり -
9:13 - 9:17ある人々にとっては
不可能が可能になっています -
9:17 - 9:20例をもう一つ紹介します
-
9:20 - 9:22これは私の友人
ローガン・プリケットです -
9:22 - 9:26ローガンは若い時
MRIルーチン検査を受けました -
9:26 - 9:30不幸にも 医療者達は
彼のアレルギーを知らず -
9:30 - 9:32染料入りの注射をしました
-
9:32 - 9:37結果 彼はショック状態となり
昏睡に陥りました -
9:37 - 9:39昏睡から目覚めた時
-
9:39 - 9:43彼は失明しており
著しい運動障害が生じ -
9:43 - 9:46その上声帯が
押しつぶされたので -
9:46 - 9:52救命されたものの 現在
囁き以上の声が出ません -
9:52 - 9:56私はモンゴメリーの
オーバーン大学のチームに加わりましたが -
9:56 - 10:01チームの課題は
ローガンが仲間と一緒に教育を受けられる ― -
10:01 - 10:03システムを作ることでした
-
10:03 - 10:06これを彼が使うスマートフォンに
組み込みました -
10:06 - 10:10このシステムによって ローガンは
授業に出席し -
10:10 - 10:13クラスルームの
ディスカッションに参加し -
10:13 - 10:17課題を提出し
普通の大学生が行う ― -
10:17 - 10:22全てのことが
できるというものです -
10:22 - 10:24それで最後は
どうなったかって? -
10:24 - 10:28この春 ローガンは
大学を卒業しました -
10:28 - 10:34(拍手)
-
10:34 - 10:38しかも 成績優等で
4年間で卒業したのです -
10:38 - 10:42(拍手)
-
10:42 - 10:47その上 学位を取得した
著者となっています -
10:47 - 10:52私がこのシステム開発に
関わった人を信頼していたので -
10:52 - 10:56彼らに協力してもらい
似た状況にある人の助けになればと -
10:56 - 11:00このテクノロジーを使った
彼の経験について書いた本を出版しました -
11:00 - 11:03他にローガンとの経験で
とても良かったことは -
11:03 - 11:07特に現代の政治状況において
例を見ることのない -
11:07 - 11:10組み合わせだったと
いうことです -
11:10 - 11:16なぜなら 私達は基本的に異なる民族に属し
それぞれの立場にいたのですから -
11:16 - 11:19ローガンは
アメリカ南部で生まれ育ちました -
11:19 - 11:22私は北東部に住む
リベラル派です -
11:22 - 11:25私達は違う政治的信条の
持ち主かもしれません -
11:25 - 11:30違う宗教を信じ
違う音楽を聴くかもしれません -
11:30 - 11:34でも大切なことは
互いの中に人間性を見出し -
11:34 - 11:39共通の目標に向かって
邁進できたことです -
11:39 - 11:41ローガンのような生徒と
一緒に作業する時の目標は -
11:41 - 11:46彼らができることを
私がやることではありません -
11:46 - 11:49私の目標は
火花となり -
11:49 - 11:51道を照らし
-
11:51 - 11:53生徒達が必要とする
ツールと方策を与え -
11:53 - 11:56彼らがなり得る最高の
自分になって -
11:56 - 11:59彼らの夢が叶い
目標を達成してもらうことです -
11:59 - 12:02これが私から皆さんへの
今日の課題です -
12:02 - 12:06火花になって
道を照らして下さい -
12:06 - 12:10皆さんにお伝えしたい
何よりも大事なメッセージは -
12:10 - 12:16私達教育者は 今の世界に
必要不可欠な灯りだということです -
12:16 - 12:19一緒にもっと多くの灯りを
ともしませんか? -
12:19 - 12:23全ての生徒が
照らされるようにしませんか? -
12:23 - 12:25有難うございました
-
12:25 - 12:32(拍手)
- Title:
- 視力を失ったことで学んだアクセスするということ ― ルイス・ぺレズ
- Description:
-
一連の車の事故の後、ルイス・ぺレズには網膜色素変性症による視覚障害が残りました。新しい状況に順応しようと模索するうちに、ルイスは、彼の教育者としての仕事に取り入れられる価値あるツールを発見しました 。支援技術の発見から写真撮影に至るまで、 ルイスは視力に頼らず物を見ることや他者から見られる(認められる)ための手段を探しだしました。現在、彼が願っていることは従来のカテゴリーに合わない生徒達が(テクノロジーへの)アクセスや見る/見られることを通して、自分達の可能性に気づく機会を与えることです。
- Video Language:
- English
- Team:
- closed TED
- Project:
- TED-Ed
- Duration:
- 12:33
TED Translators admin approved Japanese subtitles for What losing my vision taught me about access - Luis Perez | ||
Tomoyuki Suzuki accepted Japanese subtitles for What losing my vision taught me about access - Luis Perez | ||
Tomoyuki Suzuki edited Japanese subtitles for What losing my vision taught me about access - Luis Perez | ||
Yukimi Miyashita edited Japanese subtitles for What losing my vision taught me about access - Luis Perez | ||
Tomoyuki Suzuki declined Japanese subtitles for What losing my vision taught me about access - Luis Perez | ||
Tomoyuki Suzuki edited Japanese subtitles for What losing my vision taught me about access - Luis Perez | ||
Tomoyuki Suzuki edited Japanese subtitles for What losing my vision taught me about access - Luis Perez | ||
Tomoyuki Suzuki edited Japanese subtitles for What losing my vision taught me about access - Luis Perez |