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「オーウェル的な」という言葉の本当の意味 ― ノア・タヴリン

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    ニュースを見たり
    政治に関心を抱いているなら
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    「オーウェル的な」という言葉が
    様々な文脈で用いられるのを
  • 0:12 - 0:15
    聞いたことがあるかもしれません
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    でも この言葉の本当の意味や
    頻繁に用いられる理由を
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    立ち止まって考えたことはありますか?
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    この言葉はエリック・ブレアという
    イギリス人作家にちなんでおり
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    彼はジョージ・オーウェルの
    ペンネームで知られています
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    最も有名な作品である小説
    『1984』は
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    全体主義的な政府のもとで
    抑圧された社会を描いており
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    「オーウェル的な」という言葉は
    権威主義を表すのによく使われます
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    しかし このような用法は
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    オーウェルのメッセージを
    完全に伝えていないだけでなく
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    オーウェルが警鐘を鳴らしたこと
    そのものを体現しさえするのです
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    オーウェルは
    あらゆる独裁政治に反対を示し
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    その人生の大半を
    左右両翼からの
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    反民主主義的な動きとの闘いに
    費やしました
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    しかし 彼が深く懸念していたのは
    そういったイデオロギーの広まり方です
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    彼が示した最も深遠な考えには
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    私たちの考え方や意見の形成における
    言語の重要性があります
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    『1984』の舞台 オセアニアの政府が
    人々の行動や言論を
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    規制する方法には明らかなものもあります
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    一挙一動や一言一句が監視され
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    一線を越えた者を待ち受ける
    恐ろしい末路が
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    常に人々の頭をもたげています
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    別の規制方法は
    そこまで明らかではありません
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    人々は「真理省」がねつ造した―
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    歴史的事実や統計などのプロパガンダを
    絶え間なく見せられるのです
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    「平和省」は軍隊のことです
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    強制収容所は
    「歓喜キャンプ」と呼ばれます
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    政治犯たちは「愛情省」によって
    拘留され 拷問を受けます
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    この故意の皮肉は
    「ダブルスピーク(二重語法)」―
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    つまり言葉が意味を示すためではなく
    意味を蝕むために用いられ
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    意味する概念そのものを
    腐敗させる よい例です
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    この政権による言論統制は
    さらに進み
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    英語から言葉を消去して
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    新しい公用語である
    「ニュースピーク(新語法)」を生みます
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    略語や単純な具象名詞だけからなる
    非常に粗雑な言語で
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    微妙な意味や批判的な考えを表すのに
    十分な複雑な語彙がありません
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    これは「ダブルシンク(二重思考)」という
    精神状態に影響します
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    これは催眠による
    認知の不調和状態であり
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    ある出来事に関する
    自分の認識に反して
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    公式に押し付けられた話を
    信じるようになるもので
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    個人は完全に
    政府の定義する現実のみに
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    依存してしまうのです
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    その結果生まれる世界では
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    思考過程のプライバシーまでもが
    侵害され
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    寝言で反社会的なことを
    言っただけで有罪になったり
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    日記をつけたり 恋愛をするだけで
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    反逆罪とみなされたりするのです
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    これは全体主義的政権のもとだけで
    起こるように思えるかもしれませんが
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    オーウェルはこれが
    民主主義的な社会においても
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    起こりうると警告しています
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    「オーウェル的な」が「権威主義的」という
    意味にとどまらないのはこのためです
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    彼は「政治と英語」という随筆で
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    仰々しい言葉で権威を示したり
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    婉曲表現や複雑な文章構造で
    残虐な行いを受け入れやすくする
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    文章技巧について述べています
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    しかし より平易な言語の誤用でさえ
    私たちの考え方に影響します
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    日々 広告で見聞きする言葉は
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    あなたに訴え 行動に影響するよう
    工夫が凝らされており
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    サウンドバイトや
    政治キャンペーンの売り文句が
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    諸問題についての微妙なニュアンスを
    ほぼ伝えていないのと同じことです
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    メディアで見聞きしたり
    インターネットで見つけたような
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    使い古されたフレーズや答えを
    私たちが使うのは
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    深く考えたり
    自分の考えを見直したりせずに
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    簡単に済ませられるからです
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    今度「オーウェル的な」という
    言葉を耳にしたら
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    よく注目してみてください
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    人を欺き 操るような言語の使い方について
    話しているのであれば
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    それは正しい用法です
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    集団の監視や
    介入を行う政府についての話題なら
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    権威主義ではあっても 必ずしも
    オーウェル的であるとは限りません
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    嫌いな考えを修飾するのに
    何でもかんでも用いていたら
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    批判の対象よりも
    その言説そのものが
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    もっと「オーウェル的」である
    かもしれません
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    言葉には 考えを形成する力があります
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    言語は政治を表現する手段であり
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    非常にありきたりな日々のやり取りから
    高邁な理想に至るまで
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    社会の基盤を形成します
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    オーウェルは言語を守るように
    私たちを促しているのです
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    なぜなら 究極的には
    明確に考え 意思疎通する能力こそが
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    戦争が平和を
    自由が強制労働を示すような世界から
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    私たちを守るものだからです
Title:
「オーウェル的な」という言葉の本当の意味 ― ノア・タヴリン
Speaker:
Noah Tavlin
Description:

ニュースを見たり、政治に関心があるなら、「オーウェル的な」という言葉が
様々な文脈で用いられるのを聞いたことがあるかもしれません。しかし、この言葉の本当の意味や、頻繁に用いられる理由について、立ち止まって考えたことはありますか? ノア・タヴリンが、この言葉を分析します。

講師:ノア・タヴリン、アニメーション:TED-Ed
*このビデオの教材:http://ed.ted.com/lessons/what-orwellian-really-means-noah-tavlin

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Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TED-Ed
Duration:
05:32

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