フラクタル日除けー自然は完璧を目指さない | 酒井敏 | TEDxKyotoUniversity
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0:15 - 0:18こんにちは
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0:18 - 0:21これ 何だと思いますか?
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0:21 - 0:23ゲームの中の秘宝じゃありません
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0:23 - 0:26日よけです
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0:26 - 0:29こんなに穴だらけで
日よけになるのかと思うかもしれませんが -
0:29 - 0:33夏のお昼時には
ちゃんと日陰になるんです -
0:33 - 0:38太陽が動くと 光がちょっと
漏れてくるんですが -
0:38 - 0:41木陰みたいな感じで気持ちが良いんです
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0:41 - 0:46今日はこんなものを なんで
僕が作ろうと思ったかっていう話です -
0:46 - 0:49この日よけの研究は僕の人生の中で
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0:49 - 0:52目茶苦茶面白かった研究なんですが
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0:52 - 0:55最初からこんなものを作ろうと
思っていたわけではありません -
0:55 - 0:58最初は 都会は何で暑いのか?
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0:58 - 1:01ということを考えていたんです
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1:01 - 1:07都会が周囲の郊外よりも暑くなる現象を
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1:07 - 1:09ヒートアイランドといいます
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1:09 - 1:11ヒートアイランドというと
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1:11 - 1:15みなさんは夏の暑い昼間の気温を
思い浮かべると思います -
1:15 - 1:21ですが 実際には 昼間の気温は
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1:21 - 1:26田舎も都会もほとんど変わりません
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1:26 - 1:31ヒートアイランドが顕著に見えるのは
夜なんです -
1:31 - 1:33でも実際問題として
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1:33 - 1:37夏暑いときに都会にいると
暑く感じますよね -
1:37 - 1:40そういうデータもあります
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1:40 - 1:44[街の地表面は熱い]
これは京都の地表面温度です -
1:44 - 1:48衛星写真で衛星から撮った
地表面温度です -
1:48 - 1:49昼間の温度です
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1:49 - 1:55これを見るとやっぱり
都会が暑いということが分かります -
1:55 - 1:58地面が熱いと何が起こるかというと
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1:58 - 2:01熱い地面から赤外線がやってきます
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2:01 - 2:04その赤外線は熱い路面に立っている人間に
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2:04 - 2:08大体100Wくらいの熱を熱を余計に与えます
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2:08 - 2:12100Wというと どのくらい熱いか
ちょっと想像つかないかもしれませんけど -
2:12 - 2:17大体この使い捨てカイロ1枚1Wです
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2:17 - 2:19100Wで これ100枚分です
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2:19 - 2:21これで暑くないわけないですよね?
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2:21 - 2:27ですから 実は 街の昼間 暑いのは
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2:27 - 2:29気温が高いからではなくて
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2:29 - 2:33暑い路面からの赤外線が強いからなんです
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2:33 - 2:37じゃあ街は何故そんなに地表面が
熱くなっちゃうんでしょうか? -
2:37 - 2:39[建物や道路は大きい]
[葉っぱは小さい] -
2:39 - 2:45街の表面と田舎の表面と
地表面を見比べてみると -
2:45 - 2:47田舎の方は
小さい葉っぱで覆われています -
2:47 - 2:52それに対して 都会は
大きなビルであるとか 道路 -
2:52 - 2:54大きな面で覆われています
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2:54 - 3:00そんなのは温度と関係ないと思うかも
しれませんが これ 大ありなんです -
3:00 - 3:05夏の炎天下に 車を置いておくと
とても熱くなってしまうことは -
3:05 - 3:07皆さんよくご存知ですが
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3:07 - 3:10このミニカーは熱くなりません
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3:10 - 3:13小さいものは
空気に熱を逃す効率が良いので -
3:13 - 3:16熱くならないんです
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3:16 - 3:20よく見ると 葉っぱって
これくらいの大きさですよね -
3:20 - 3:22本当にこんなことが
起こるのか?というのを -
3:22 - 3:25さっきの衛星画像で見てみましょう
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3:25 - 3:28左下の方に白いところ
つまり熱いところがあります -
3:28 - 3:30これは何かというと
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3:30 - 3:33自衛隊の駐屯地です
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3:33 - 3:39大きな屋根のある大きな建物があります
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3:39 - 3:43別に中で爆弾作っている訳ではないんです
(笑) -
3:43 - 3:45もっと北の方にやっぱり熱いところがあります
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3:45 - 3:50これは何かというと 自動車工場です
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3:50 - 3:52大きな屋根を持つ
巨大な建物が並んでます -
3:52 - 3:56やっぱり大きな面は熱くなっちゃう
ってことがわかります -
3:56 - 3:57もう一つ見てみましょう
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3:57 - 3:59今度は右下の方です
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3:59 - 4:01これは山の中なんですが
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4:01 - 4:05これは何かって言うと
ゴルフ場です -
4:05 - 4:08ゴルフ場の芝が熱いんです
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4:08 - 4:11芝の葉っぱって 小さいですよね
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4:11 - 4:15今 小さなものは熱くならないって
言ったばかりなんですが -
4:15 - 4:19熱は空気に逃がしますから
風通しが必要なんです -
4:19 - 4:21芝は地面に密生していいて
風が通らないので -
4:21 - 4:24熱くなっちゃうんです
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4:24 - 4:27こういう大きな木はというと
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4:27 - 4:29小さな葉が三次元的にばらまかれていて
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4:29 - 4:32風通しが良いので熱くならないんです
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4:32 - 4:37こういう風通しの良さを実現するには
どういう構造になっていたらいいか? -
4:37 - 4:40というので登場するのが
このシェルピンスキー四面体です -
4:40 - 4:43このシェルピンスキー四面体は
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4:43 - 4:49面積はあるんだけど体積はないという
不思議な性質を持っています -
4:49 - 4:52紙のように面積がありますから
光を遮ることができます -
4:52 - 4:57でも体積がありませんから
スカスカで風がよく通ります -
4:57 - 4:59なんか良く分からなく
なってきたと思いますから -
4:59 - 5:01フラクタルの説明をしたいと思います
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5:01 - 5:04いまミニーマウスの写真がここにあります
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5:04 - 5:0950%縮小した写真を3枚撮ります
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5:09 - 5:121枚の面積は4分の1ですから
3枚で4分の3です -
5:12 - 5:14ちょっと小さくなりました
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5:14 - 5:17これ 全体をまた同じようにコピーを取ります
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5:17 - 5:204分の3の4分の3で
また小さくなります -
5:20 - 5:22これをどんどん繰り返します
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5:22 - 5:26どんどんどんどん繰り返して
無限回繰り返すと -
5:26 - 5:28面積がゼロになっちゃいます
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5:28 - 5:32これ 100年くらい前の
シェルピンスキーという数学者が考えたもので -
5:32 - 5:35シェルピンスキーのガスケット
といわれています -
5:35 - 5:40でもこれは当時の数学者でも
なんだかよく分からなかったので -
5:40 - 5:43悪魔図形と言われたそうです
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5:43 - 5:47でも実はこの悪魔
皆さんの周りにいっぱいあります -
5:47 - 5:49はい 今度は山際(やまぎわ)先生
(笑) -
5:49 - 5:53山際先生のコピーを取りたいと思いますが
4枚取ります -
5:53 - 5:56ちょっとこれとコピーの取り方を変えます
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5:56 - 6:014枚ですが 一番下は
なぜか非常にやせ細っちゃった山際先生です -
6:01 - 6:05これ全体をまた同じように
コピーを取っていきます -
6:05 - 6:14いま 山際先生が4人
山際先生が16人 山際先生が64人 -
6:14 - 6:18えー 256人 1024人
どんどんいきます どんどんどんどんいって -
6:18 - 6:23山際先生がどんどん小さくなります
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6:23 - 6:25(笑)
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6:25 - 6:27さあ これ 何でしょう?
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6:27 - 6:30葉っぱですよね
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6:30 - 6:35これは世界人口を超える山際先生から成る
葉っぱなんですが -
6:35 - 6:36(笑)
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6:36 - 6:39本物より本物っぽい
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6:39 - 6:42さっきのシェルピンスキーのガスケットは
悪魔と呼ばれましたが -
6:42 - 6:45これは悪魔どころじゃなくて
もう実に自然な図形です -
6:45 - 6:47でもこれはコピーの取り方を
ちょっと変えただけで -
6:47 - 6:51この2つは同じ図形の仲間なんです
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6:51 - 6:55この木と このシェルピンスキー四面体
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6:55 - 6:57同じようなものに見えてきたでしょうか?
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6:57 - 7:01一見して全然違う形に見えるかもしれませんが
共通点があるんです -
7:01 - 7:05それで もしかしたら
このシェルピンスキー四面体が -
7:05 - 7:09木の代わりになるかもしれない
と思って実験してみました -
7:09 - 7:11まずは平らなトタン屋根
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7:11 - 7:14炎天下で屋根が熱くなっちゃいますから
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7:14 - 7:18そこから赤外線が出て
その下で昼寝していても暑いです -
7:18 - 7:21で フラクタル日よけです
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7:21 - 7:23日よけの温度全然上がりません
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7:23 - 7:27ですから赤外線がこなくて
風が通りますから -
7:27 - 7:30気持ちよく昼寝ができます
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7:30 - 7:36こういう日よけで街を覆ってしまえば
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7:36 - 7:38街が森のようになって
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7:38 - 7:40暑くならないんじゃないか
と思って作ってみたのが -
7:40 - 7:46この一番最初にお見せした
このフラクタル日よけなんです -
7:46 - 7:51これは口で説明しても なかなか
わかっていただけないんですが -
7:51 - 7:56実際にここへ行くと
ちょっと涼しくて気持ちが良いんです -
7:56 - 8:00学会でも最初は全く相手にされませんでした
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8:00 - 8:05でも最近は少しずつ拡がりつつあります
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8:05 - 8:08このフラクタル日よけの話をすると
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8:08 - 8:13なんでこんなことを思いついたんですか?
とよく言われます -
8:13 - 8:17実は私がこんなことを思いついたのは
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8:17 - 8:20素人だったからです
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8:20 - 8:24私の専門は建築学でも数学でもありません
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8:24 - 8:26太陽物理学です
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8:26 - 8:28全然関係ないです
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8:28 - 8:32いろいろ事情があって
専門とは違うことをやることになり -
8:32 - 8:36そのときに自分の手で観測して
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8:36 - 8:39自分の手で実験をして
なんか測ってみるまでは -
8:39 - 8:42勉強をしないでおこうと
決めたんです -
8:42 - 8:46だって研究って
人がやらないことをやることです -
8:46 - 8:49自分がやってみる前に勉強しちゃったら
-
8:49 - 8:54人と同じ発想しか
出なくなっちゃうじゃないですか? -
8:54 - 8:55新しいことをやるときに
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8:55 - 8:58知らないことっていうのは
知らないということは -
8:58 - 9:00非常に強い武器なんです
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9:00 - 9:03それも一生に一回しか使えない武器です
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9:03 - 9:05こんな貴重な武器を
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9:05 - 9:08使う前に捨てちゃうっていうのは
もったいないでしょう? -
9:08 - 9:12素人ですから
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9:12 - 9:14研究の設備もありませんでした
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9:14 - 9:16お金もありませんでした
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9:16 - 9:19ではどうするか?
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9:19 - 9:21もうほとんど全部手作りです
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9:21 - 9:24例えばこれ
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9:24 - 9:27気温を測るときにに使う
百葉箱みたいなものですが -
9:27 - 9:29これを買うと結構高いです
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9:29 - 9:31ですが プラスチックの板を買ってきて
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9:31 - 9:35ホットプレートで温めて 柔らかくして
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9:35 - 9:37ビールの缶で形を作ると(笑)
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9:37 - 9:41300円くらいでできちゃいます
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9:41 - 9:43自分で作ると 教科書で勉強するよりも
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9:43 - 9:47はるかに沢山のことが
非常によくわかります -
9:47 - 9:49当然ですが
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9:49 - 9:53このフラクタル日よけも全部手作りです
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9:53 - 9:55というか こんなもの 売ってませんから
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9:55 - 9:58作るしかないんです
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9:58 - 10:02材料と工具は
全部ホームセンターで買ってきました -
10:02 - 10:06そもそも研究とは
人がやらないことをやることです -
10:06 - 10:10必要なものはお金で
買えるわけないじゃないですか -
10:10 - 10:11研究にとって一番大事なのは
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10:11 - 10:13お金じゃないんです
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10:13 - 10:15暇です(笑)
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10:15 - 10:20その暇をふんだんに使って
綿密に計画を立てたのかというと -
10:20 - 10:23全然そんなことありません
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10:23 - 10:26計画なんてほとんどありませんでした
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10:26 - 10:31そもそも 研究って
分からないことをやるんですね -
10:31 - 10:34明日自分が何を思いつくか
分かんないじゃないですか -
10:34 - 10:36新しいことを思いついちゃったら
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10:36 - 10:39今まで考えたことが
無意味になっちゃうかもしれません -
10:39 - 10:42だから思いついたことを
片っぱしから やりました -
10:42 - 10:45半年後に自分が何をやっているか
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10:45 - 10:47自分でも全く想像がつきませんでした
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10:47 - 10:50完全に行き当たりばったりなんですが
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10:50 - 10:53めちゃくちゃ面白かったです
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10:53 - 10:57ではお金がなくて 計画もなくて
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10:57 - 10:59どうするのか?と
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10:59 - 11:02もう 偶然です(笑)
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11:02 - 11:05全く他力本願に聞こえるかもしれませんが
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11:05 - 11:09そもそも研究って分からないことを
分からないから やるんですよね -
11:09 - 11:12どこに答えがあるか分からないんです
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11:12 - 11:16だから答えも思わぬところから やってきます
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11:16 - 11:21実は このミニカーが
熱くならないということも -
11:21 - 11:25とんでもないところから やってきました
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11:25 - 11:27あるとき
[労働安全衛生法による免許証] -
11:27 - 11:29こういう資格を取らなきゃならなくなりました
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11:29 - 11:3330年ぶりに受験勉強をしました
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11:33 - 11:35この受験勉強をしているときに
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11:35 - 11:38このミニカーが熱くならない
ということに気がついたんです -
11:38 - 11:42気象学の勉強でも
都市工学の勉強でもありません -
11:42 - 11:47しかも この事実は実は古い教科書に
ちゃんと書いてありました -
11:47 - 11:51僕が見つけたものではないです
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11:54 - 11:56このシェルピンスキー四面体
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11:56 - 12:00これを日よけに使うことを思いついたのも
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12:00 - 12:02まったくの偶然からでした
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12:02 - 12:04ある数学の先生が
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12:04 - 12:08このシェルピンスキー四面体に
時計台の写真を貼り付けて -
12:08 - 12:12真正面から見ると
時計台がちゃんと見えるんですが -
12:12 - 12:16角度をかえると
ばらばらになっちゃってよくわからない -
12:16 - 12:19面白いでしょう?って
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12:19 - 12:22正直言って意味がわかりませんでした(笑)
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12:22 - 12:26あの 数学者って暇ですねー
って言っちゃいました(笑) -
12:26 - 12:31でもうちに帰って夜
布団に入って -
12:31 - 12:35ひょっとして 木ってこんなもんじゃないの?
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12:35 - 12:37と思いついたんです
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12:37 - 12:44お金がないことも
計画がないことも -
12:44 - 12:47偶然のチャンスに
出会う確率を上げてくれます -
12:47 - 12:53でも 問題はその偶然のチャンスを
いかに確実に掴むかっていうことです -
12:53 - 12:55こういうのを
セレンディピティっていうんですが -
12:55 - 12:58これが結構 難しい
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12:58 - 13:01心に余裕がないとできません
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13:01 - 13:05常に自然体の構えが必要なんです
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13:05 - 13:09フラクタル日よけを見ていると
つくづく思うことがあります -
13:09 - 13:14それは 自然は完璧を目指さないっていうことです
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13:14 - 13:17フラクタル日よけって実に中途半端な存在で
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13:17 - 13:21日よけって言いながら
なんと光が漏れちゃうんです -
13:21 - 13:23雨も風も防げません
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13:23 - 13:26なんか 間抜けなんです
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13:26 - 13:29でも 自然は多分そういう不完全なところを
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13:29 - 13:31逆に利用してるんだと思います
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13:31 - 13:34多分これが自然のありようなんだと思います
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13:34 - 13:39人間はこういう不完全さとか間抜けさに
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13:39 - 13:44なんとなく本能的に
心地良さを感じてないでしょうか? -
13:44 - 13:46多分そういうとき
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13:46 - 13:50偶然の中から
なんかチャンスを見つけるセンサーが -
13:50 - 13:53凄く感度が
高くなってる気がするんです -
13:53 - 13:55我々は
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13:58 - 14:02完璧を目指しすぎていないでしょうか?
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14:02 - 14:04ちゃんと勉強して
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14:04 - 14:06立派な計画を立てて
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14:06 - 14:07真面目に仕事すれば
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14:07 - 14:11イノベーションが起こると
思ってないでしょうか? -
14:11 - 14:13人間も自然の中に生きてますから
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14:13 - 14:15そう簡単にはいきません
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14:15 - 14:16イノベーションというのは
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14:16 - 14:18真面目の外にあるもんだと思います
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14:18 - 14:19フラクタル日よけって
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14:19 - 14:22そんなことを教えてくれる
ような気がするんです -
14:22 - 14:26フラクタル日よけって
中途半端で 適当なんですが -
14:26 - 14:28なんとなく自然で気持ちが良い
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14:28 - 14:31これを見ていると
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14:31 - 14:33細かいことを考えるのが
バカバカしくなって -
14:33 - 14:38「まいいか」という気になってきます
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14:38 - 14:41私はこのフラクタル日よけが
世の中に広がって -
14:41 - 14:44都市が少しでも快適に
暮らせるようになったら -
14:44 - 14:46嬉しいと思うんですが
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14:46 - 14:51それと一緒に この不完全で
中途半端で 適当でも -
14:51 - 14:55「ま いいか」っていう気分が
広がってくれたらと思います -
14:55 - 15:00そうすると この堅苦しい世の中が
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15:00 - 15:02ちょっと楽になるんじゃないかと思います
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15:02 - 15:06そして偶然の中から
-
15:06 - 15:09チャンスを見つけるセンサーが働き出します
-
15:09 - 15:12みなさんも もし
このフラクタル日よけを見つけたら -
15:12 - 15:13その下へ行って
-
15:13 - 15:15思いっきり肩の力を抜いて
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15:15 - 15:18「ま いいか」って呟いてみてください
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15:18 - 15:21そうしたら気分が楽になって
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15:21 - 15:23なんか思いつくかもしれません
-
15:23 - 15:25ありがとうございました
-
15:25 - 15:28(拍手)
- Title:
- フラクタル日除けー自然は完璧を目指さない | 酒井敏 | TEDxKyotoUniversity
- Description:
-
このビデオはTEDカンファレンスとは独立して運営されるTEDxイベントにおいて収録されたものです。
発想は思いがけないところからやってきます。無理に発想しようとしてもできません。フラクタル日除けの発明と、発明の元となる発想の裏話について、聞いてみましょう。 - Video Language:
- Japanese
- Team:
- closed TED
- Project:
- TEDxTalks
- Duration:
- 15:35
Natsuhiko Mizutani approved Japanese subtitles for フラクタル日除けー自然は完璧を目指さない | 酒井敏 | TEDxKyotoUniversity | ||
Natsuhiko Mizutani edited Japanese subtitles for フラクタル日除けー自然は完璧を目指さない | 酒井敏 | TEDxKyotoUniversity | ||
Natsuhiko Mizutani edited Japanese subtitles for フラクタル日除けー自然は完璧を目指さない | 酒井敏 | TEDxKyotoUniversity | ||
Natsuhiko Mizutani edited Japanese subtitles for フラクタル日除けー自然は完璧を目指さない | 酒井敏 | TEDxKyotoUniversity | ||
Natsuhiko Mizutani edited Japanese subtitles for フラクタル日除けー自然は完璧を目指さない | 酒井敏 | TEDxKyotoUniversity | ||
Natsuhiko Mizutani edited Japanese subtitles for フラクタル日除けー自然は完璧を目指さない | 酒井敏 | TEDxKyotoUniversity | ||
Takafusa Kitazume accepted Japanese subtitles for フラクタル日除けー自然は完璧を目指さない | 酒井敏 | TEDxKyotoUniversity | ||
Takafusa Kitazume edited Japanese subtitles for フラクタル日除けー自然は完璧を目指さない | 酒井敏 | TEDxKyotoUniversity |